07/11/17 18:20:22 gviSN2T6
「金のグローブ、銀のバット」
あるところに一人の青年がいました。青年は田舎の小さな村で暮らしていましたが、
非常に仕事熱心でその優秀な仕事ぶりは隣の隣の隣の村まで聞こえるほどでした。
ある日青年がいつもの様にバットの素振りをしていると、側の泉から美しい女神が現れました。
女神は訝しむ青年をジッと見つめながら言いました。
「アナタに相応しいのは金のグローブですか?それとも銀のバットですか?」
「両方です」
青年はキッパリと答えました。
「アナタは大変正直な方ですね。褒美に両方差し上げましょう」
村の人たちは帰ってきた青年が手にしている光り輝くお宝を見て大層驚き、
この青年の名前は後世まで語り継がれました。
一方、その様子を物陰からこっそり見ていた者がおりました。この男、大した仕事もせずに
何とか楽に自分の評判を上げることができないかと日頃からそんなことばかり考えていました。
「なるほど、ああやればいいのか。よし、それなら俺も」
男は物陰から飛び出ると、泉の側で盛大に肉を焼き始めました。
「ほれ、出てこい女神!肉をたらふく食わせてやんぞ!ほれほれ!」
やがて水面にゴポゴポと不思議な泡が沸いたと思うと、泉の中から先ほどの女神が現れました。
「アナタに相応しいのは金のグローブですか?それとも銀のバットですか?」
すかさず松井は答えました。
「両方です!」
「・・・そうですか。では村に帰ってみてください。そこにアナタに相応しいものが置かれています」
喜び勇んだ男が村に帰るとそこに置かれていたのは金のグローブでも銀のバットでもなく、
ただの鉄のベンチだったとか。
めでたしめでたし