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30歳以上のおっさんが高校野球を語る - 暇つぶし2ch323:名無しさん@実況は実況板で
07/08/04 12:35:19 xK1aQLX10
二宮清純「唯我独論」 : 第62回 “幻のスラッガー”阿久沢が選んだ道

 センバツ高校野球には新緑のイメージがある。同じ熱闘を繰り広げても夏の選手権が「燃(も)える」なら春のセンバツ「萌(も)える」という言葉が似つかわしい。
 忘れられない選手がいる。もう今から25年前、つまり四半世紀前の話だ。群馬の桐生高に阿久沢毅という超高校級のスラッガーがいた。左打者だ。
 阿久沢は早実の王貞治(現ダイエー監督)がマークして以来、20年ぶりに2試合連続で甲子園のスタンドにアーチを架けた。一本目は二回戦の岐阜高戦。浜風に乗って打球は楽々とレフトのフェンスを超えた。
 二本目は準々決勝の奈良・郡山戦。ライナー性の打球は逆風をものともせずにライトラッキーゾーンに突き刺さった。

 阿久沢は身長183センチ、体重80キロの巨漢ながらファーストの守備も抜群にうまかった。エースの木暮洋に代わってたびたびマウンドにも上がった。
 加えてチーム1の快速。野球選手としては、非の打ち所がなかった。大会後、桐生高には12球団のスカウトが殺到した。
 「大学に行く」と明言すると今度は六大学の関係者がやってきた。とりわけ熱心に誘ったのは早大だった。スポーツ紙には<阿久沢、早大入り>の見出しが躍った。
 セレクションを受け、事実上の内定を得た。しかし彼が最終的に選んだのは硬式野球部のない地元の国立群馬大学だった。プロを蹴り、六大学を断った時点で彼の野球人生は終わったといえるのかもしれない。

 正直に告白すれば甲子園で話題の怪物・松井秀喜を初めて見た時も阿久沢を見た時のよな衝撃は感じなかった。パワー、柔軟性、選球眼…彼には打者に必要なものの全てが備わっていた。まさしく怪物だった。
 阿久沢と同い年、後に広島で活躍する西田真二は語ったものだ。「あんなバッターおらへん。PLからは僕、金石、木戸、小早川、阿部と何人もプロ入りしたけど僕らとはスケールが違っていた。
 同い年に豊見城の石嶺もおったけど阿久沢にはかなわんかったね」
 幻のスラッガー阿久沢毅。その後、彼は教師となった。北関東の寒風を背にノックバットを振る日々。いつの日にか自らが鍛えた選手たちとともに甲子園に戻ってきて欲しい。




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