07/07/03 03:16:32 XmOcwrkfO
「とうきび茹でっかぁ」
ダンボールをこじ開けると、実家から送られてきたとうきびを取り出した。台所の前に立ち股を開く。
既に鍋を水で満たし、俺のとうきびは俺の調理を待つ。
実を縦にして外皮を剥くと、ひげを掻き分けて、黄色い宝石がそこにあった。
「俺の故郷の贈り物だぜ」声に出していう。
「夏はやっぱとうきび」
やおらザルの中から、ズルムケ状態の仮性包茎とうきびを取り出す、鍋に湯をたっぷり沸かし、逆手でとうきびを投入する、
「グツッ、グツッ」音が俺の食欲中枢を更に刺激する。
「とうきびたまんねぇ」湯掻きに合わせて、身体を上下させる。
「男のとうきびにゃあこれだよ」ラッシュを吸い込む。
「スッ、スッ、スッ、スッ」顔から熱くなり、やがて頭の中が真っ白になる。
「懐かしい、懐かしい」「故郷のとうきび」
頃合いをみてとうきびを取り出す。俺は自分のこの格好が好きだ。
黄色いとうきびをザルに揚げ、アツアツのとうきびの上から、軽く塩を振って、腰を振り、左手で実を持ち上げ、右手でヌルヌルととうきびを扱く。
台所の中のの俺は、日本一ノスタルジーになっていた。
「ちきしょう故郷に帰りテェよ」最高潮が近付くと、いつもそう思った。ラッシュをもう一度効かせ、とうきびに噛り付くと、望郷の念へ向かってまっしぐらだ。
「お袋、今年も帰れそうにねぇよ」「越中一本のほんまもんの親不孝者」
「グスッ、グスッ」「ズリュッ、ブチュッ」涙を流しながら、クライマックスをめざす。
「たまんねぇよ」脳ミソの奥から、激しいうねりが起こった。やがて奔流となり、俺を悩ます。
-帰りてぇ- -でも仕事が忙しい-相反する気持ちがせめぎあい、俺は崖っ淵に立つ。
「きたっ」俺は膝を直角に曲げ、それに備える。奔流は堰を切ろうとしていた。
「おふくろー ! 」「ぶちっ」
喉元を押し分けて、淡い鳴咽がしゃくり出される。
真っ白い時間が過ぎ、目の前が現実に戻る。