07/05/11 19:00:29 IJw53Gtw0
犬 「渡るのかい?
これを渡るのかい?
よお。
信号を―
信号を渡ろうって言うのかい?」
飼い主「あぁ、渡るよ」
犬 「本当に?
大丈夫なんだろうね。まさか、赤だなんて言うんじゃないだろうね。
私は、君が鼻たれのガキの時分から、信号を渡ってきた犬だよ。
その私に、きみは信号の渡り方を講義をしようというんじゃないだろうね 」
飼い主「あぁ、青だから大丈夫だよ」
犬 「ふん―
そうか。
私は、犬だからね。犬だから、色などわかるはずもないんだよ」
飼い主「そうだね。わからないね」
犬 「ああ、わからない。
でも、青なんだな。
じゃぁ、渡ってしまっても構わないんだね」
飼い主「そうだよ。渡っていいんだよ」
犬 「よかったよ。
そういうことなら、渡ろう。
信号を、渡ろうじゃねえか」
飼い主「うん、渡ろうね」
犬 「ああ―
信号が―
信号が青だから、信号が渡れるじゃねえか。
ぞくぞくしてきやがる。
なあ、飼い主よ」
飼い主「うん。前見てていいよ」
犬 「ほら、君と私は、今まさに、信号を渡っているよ。
夜道を歩く時は、後ろに気をつけような」