07/04/29 13:13:07 EJAofNBt0
とりあえずネタになりそうなのを
2007年4月29日中日新聞15面 4月を送る 中日新聞常務・編集担当 小出宣昭
世をあげて禁煙の時代だが、私は今も、たばこのみである。中日新聞では少数民族「スー族」(吸う族)と呼ばれ、
細々と伝統の香りを守り続けている。
うまいコーヒーを飲み、ぷかりと煙をくゆらすときが、多数民族「スワン族」(吸わん族)の方々には申し訳ないが、
至福の瞬間なのだ。時間が止まり、精神の静寂が訪れる。
たばこは、吸うよりも、ふーっと吐き出すときが落ち着きをもたらす。禅の呼吸とよく似ている。五臓六腑が空っぽ
になるまで息を吐くと、後は自然に空気が入ってくる。この繰り返しによる落ち着き。「無一物無尽蔵」と禅はいう。
こんな心境にご理解をいただき、スー族とスワン族の静かな共存を願っていたのだが、がぜん、
とんがった事態が起きた。五月から名古屋のタクシーをすべて禁煙にするというのだ。
いやはや。少数民族は多数民族の決定に従うほか術はないが、その決め方にいささかの薄っぺらさを
感じるがゆえに、スー族としての反論を書きとどめる。
名古屋タクシー協会によると、全車一斉の禁煙に踏み切った理由は、時代の流れに加え、女性や高齢者から「車内
がたばこくさい」との苦情が増えたからという。私は、他の理由はともかく「くさい」というのはなんとも容認できない。
私たち日本人は、かつて朝鮮半島の人々を「ニンニクくさい」といい、欧米人を「バタくさい」といって世界から
友人を失ってしまった。自分たちが「魚くさい」「醤油くさい」と思われていることも知らずに、である。
世の中、においはお互いさまなのだ。