07/05/04 10:25:40 uoZyBLCH0
波止場にあるバー。船員相手のこの店のバーテンは外国の珍しい物を見るのが
お気に入りだ。心底気に入った時などその客を一晩無料にするほどだった。
今日もそれを目当てにやって来る船員が大勢居たが、未だバーテンの奢りに
有り付いた客は居なかった。
黒人の船員がやって来た。屈強な体つきで着ている物は安物だが頑丈に出来ている。
実用本位の格好と氷の様な目つきのその船員を見るとバーテンは言った。
「お客さん、今度の航海は大変だったようですな」
黒人船員はジロリとバーテンを睨むと膝に抱えていた袋から一羽のオウムを取り出した。
バーテンが見た事も無い色で巧みな保護色はまるで兵士の迷彩服を思わせる。
びっくりするのはその顔付きで、凶暴その物だった。その凶暴な顔で油断無く店内を
見渡しているオウムは頑丈なクサリで黒人船員の腰にシッカリと繋がれていた。
「こいつは凄い。捕まえるのに相当手を焼いたでしょう。何回か逃げ出した事も
有るようですな。いやいや、その鎖を見れば分かるってもんでさ」
今日の奢りはこいつに決まりだ。早速一杯目を作りながらバーテンは聞いた。
「ところでお客さん、その物騒なヤツを一体どこで?」
オウムが言った。
「アフリカさ」