07/04/27 09:34:12 QF8lvVn70
大雨により堤防が決壊、教会を含む一帯は濁流に取り囲まれた。
直ちに救出部隊が編制され、水陸両用ジープと救助用のボートが教会に向かうが
神父は頑として脱出を拒み続けた。
教会の鐘楼に上がり、まだ周辺に残っている住民の為にロウソクの明かりで灯台の
役目を続けようというのである。
救出部隊のヘリコプターが見守る中でついに鐘楼も水中へ没した。その直後、明かりを
目指して集まってきた最後の住民を発見。神父の尊い犠牲で彼等は救われたのである。
神父の下へ眩しい光と共に天使が舞い降りてきた。安らかな微笑みを浮かべながら
近付こうとする神父にしかめっ面の天使が言った。
「なんてザマだ」
「ええ?」
「ボスがジープとボートを出したのにそれを断りやがったな。最後にはヘリまで出したのに」
「しかし、見てくれたまえ、あの住民達を。彼等は救われたじゃないですか」
「このマヌケ野朗め、こいつを見てみろ」
天使が差し出したのは新聞であった。そこにはジープとボートの上から救助作戦を指揮する
荘厳な神父の写真が一面にあった。さらに救助ヘリからロープに吊下がりレインジャー
隊員顔負けの姿で少女を抱き抱える神父がトップを飾る物まであったのである。
「すべてぶち壊しだ。これからボスの下へ出頭するが、さっきみたいなアホ面でニヤニヤして
みろ。どうなるか分かるだろうな」