07/02/02 11:57:59 OjQIXx810
登校しようと思い、とどまる。
今日はバレンタインデーの真っ最中だ。
毒男なんてとてもいられねぇやな。
今日は常に引きこもるか!
帰り道、公園のゴミ箱に書きかけのラブレターを捨てた。
肌に食い込む北風が、気を引き締める。
畜生、また寂しさが溢れてしょうがねぇぜ・・・
辺りを見渡す。この街には広い商店街がある。
武は真っ直ぐにアーケードの中に向かった。
カップルでごった返す人波の中、武は服を脱ぎ、丁寧にたたむ。
六尺一丁になり、鞄の中から鉢巻を取り出して締める。
そして蚊の鳴くような声でつぶやき続ける。
「俺は男だ…もてない男だ… 男独り…くやしい、くやしい、うらめしい」
そしてその場で涙を流し始める。
「うっ…うっ…うっ…」
流涙がアスファルトに染みこむたび、ううっと声を搾り出す。
やり場のない男の悲しみを、ひたすら独語で発散させる。
「地球が爆発すればいいのに…地球が爆発すればいいのに…」
両目から血の涙が噴き出しては零れ落ち、足元の路地の色を変えていく。
武の周囲だけ誰も近寄らなくなってくる。
「くそ!淋しいな」
チョコレートをもらえず、空っぽの鞄を見て言う。
そして、財布から1000円札を1枚引っ張り出しキオスクへ入った。
明治製菓の板チョコを購入すると、武の頬は汗と涙で光っている。
「よっしゃ、チョコ手に入れた」
そして再び家路につく。
誰もいないアパートに、武が板チョコを頬張る音とエロゲーのBGMが延々と響き渡った。