07/04/27 17:25:48 PkEUnlof0
毛で毛を洗う戦いクソワロタ
854:10チャージ、10分キープ
07/04/27 19:07:52 ZJcgnBDH0
「ハァ、ハァ…ッス!」
23暗い空の中、川上憲伸(D11)は高層ビル群の大通りを走っていた。
大通りであるだけに、見通しが良く、逃げる川上にとっては思わしくない状況である。
チラリと後ろに目を向けると、微塵の疲れも見せずに必死の形相で追いかける田中賢介(F3)がいた。
「あわわ、まだ追っかけて来るッス!」
出来れば路地裏にでも逃げ込みたいところだが、行き止まりだった場合、川上の髪は終わりを告げることになるだろう。
それだけは何としても避けたい。他人の毛を狩るのは嫌だが、狩られるのもごめんである。
「うぷ…ッス!」
突然川上の胃から何かがこみあげてくる。さっき機内で飲んだ『シウマイinゼリー』だ。
もずく、わかめ、こんぶなどといった、一部の人達に大人気の海藻エキスを配合したゼリー飲料である。
川上も例外ではなく、海藻エキスという言葉につられ、不味いのを我慢しつつも大量に飲んでいた。
「うぅ、つらいッス!」
同時にわき腹も痛くなってきた。『シウマイinゼリー』のパクリ元であろう『ウィ○ーinゼリー』は
「10秒チャージ2時間キープ」などと謳っているが、こちらは10分も持たなかった。
「キムタクの嘘つき!ッス!」
川上は『ウィ○ーinゼリー』を飲みながら走るキムタクのCMを思い出し、心の中で叫んだ。
走りが鈍ってきた川上と田中の距離が縮まっていく。川上は一か八か、路地裏へ入っていった。
855:10チャージ、10分キープ2
07/04/27 19:09:07 ZJcgnBDH0
「そんな・・・ッス。」
川上の目に飛び込んできたのは灰色の大きな壁であった。
「あああああぁぁ!!川髪ぃぃ!!」
田中が叫び声を上げながら路地裏へと入ってきた。川上は覚悟を決めた。
「大豊さん、待っててくださいッス!」
その時、右手にあるビルに、裏口のようなドアがあるのを発見した。
川上はとっさにドアへと近づいた。幸い鍵はかかっておらず、ビル内に逃げることができた。
素早く鍵をかけ、安堵の表情を浮かべる。田中が扉をたたく音が激しく鳴り響くが、
今の田中に表口から回りこむという冷静な判断が出来る状態でないという証であった。
川上は、とりあえず表口から出てこのエリアを去ろうと思い、表口を探していた。
裏口と繋がっていたのは厨房らしき所で、様々な調理器具が置いてあった。
食料はないようだ。厨房をでると、質素なテーブルとイスがいくつもおかれた食堂に出た。
どうやら社員食堂のようだ。川上が歩みを進めるごとに扉を叩く音が小さくなっていく。
川上は食堂の扉を開けた。そこにはある選手が仁王立ちしていた。
「うわぁ!ッス!」
「やだなぁ川上さん、そんなに驚かないでくださいよ。」
そこにいたのは森本稀哲(F1)だった。
【残り26人】
856:代打名無し@実況は実況板で
07/04/27 19:10:12 ZJcgnBDH0
タイトル、秒が抜けてました。orz
正しくは、「10秒チャージ、10分キープ」です。
857:代打名無し@実況は実況板で
07/04/28 00:55:38 pf+bSJ9yO
>>854-856乙。
2スレだけはもったいないな…もう少し話が膨らませそうだと思うが。
858:代打名無し@実況は実況板で
07/04/28 01:13:35 AsmXESva0
>842
ご指摘thxです。うっかりミスでしたorz
保管庫さんには修正をお願いしてきました。
859:代打名無し@実況は実況板で
07/04/28 01:55:05 B8M1G2xc0
>>「川髪ぃぃ!!」
ちょww賢介字違うww
ひちょりが厨房にいたのは、ひちょり厨房とかけた?
860:代打名無し@実況は実況板で
07/04/28 01:57:05 B8M1G2xc0
あ、ひちょりがいたの厨房じゃないか、食堂かスマン
861:新世界の髪(1/5)
07/04/28 02:28:16 NERXL8oI0
「ちぇっ、失敗したな……」
既に傾きかけている日の下で、東出は小さく呟いた。
長谷川の下から逃亡した後、東出はいつの間にか砂漠エリアまで来ていた。
余りにもあっさり長谷川から髪を奪うことに成功した東出は、心に余裕を持つことが出来ていた。
この毛ー無に積極的に乗るつもりがないのは変わりがない。
だが、折角の機会なんだ。つまらない毛ー無だと思ってたが、毛に飢えた人間を見るのも案外面白いかもしれない。
とりあえず、いろいろな場所を廻ってみつつ、できるだけ生き残ってみよう。長谷川さんがどうなるかも気になるしね。
そう思って東出は砂漠エリアを一通り探検してみることにしたのだ。
だが、しばらく歩いたところで東出は後悔し始めていた。
もう夕方になっているとはいえ、それでも砂漠に降り注ぐ太陽の光の強烈さは東出の予想を遥かに上回っていて、彼の体力を容赦なく奪っていく。
おまけに、歩けども歩けども東出の目の前には相変わらずまるでどっかのチームの主軸打者の頭頂部のように荒涼とした砂漠が広がっているばかりで、ちっとも面白みが無い。
「やっぱつまんないなあ。もういいや、このエリアを出ちゃおっとプップクプー 」
東出がそう決意しかけたその時、不意に前方から誰かがこちらにやってくるのに気づく。
フサウターの反応を確かめる事も忘れたまま、東出は人影を凝視した。
「おーい……君…東出君…だよね?」
前方から走ってくる人影の正体が徐々に明らかになってくる。
「あ、はい、東出です…。そちらは塩崎さんですよね…?」
東出は脳の底から名前を引きずり出す。塩崎真。確か前田さんの高校時代の後輩だったはずだ。
「ああ、そうだ、塩崎だ……」
一瞬沈黙が走る。もともと自分と塩崎はそこまで面識のある関係ではないはずだ。
なのに何故わざわざ話しかけてきたのか。東出がそう問おうとしたら、先に塩崎が口を開いた。
「……東出君は、この毛ー無に乗ってるのかい?」
どこと無く怯えたような表情で塩崎は訊いてくる。
2323に属される自分が9696なあんたをすぐに襲わない時点で乗ってないと言ってるようなもんじゃないかと心の内で嘲笑いつつ、東出は答える。
「…いいえ、乗ってませんよ」
862:新世界の髪(2/5)
07/04/28 02:30:00 NERXL8oI0
「……そうか、よかった……今までずっと砂漠を1人で彷徨ってたから心細くてね……早く誰かに会いたいと思ってたんだ」
心底から安堵したような表情で塩崎は言った。どうやら仲間を探していたらしい。
いったい俺が毛ー無に乗ってたらどうするつもりだったんだろう。この人も結構お人好しだな。
そんな東出の思惑にはまるで気づかないといった風に塩崎は提案する。
「…とりあえず、情報交換でもしないかい?それでこれから如何するかとかも決めようじゃないか」
「東出君の武器は何なんだい?」
気軽な調子で塩崎が尋ねる。
ここは隠していても仕方が無い。東出はポケットからバリカンを出して塩崎に見せてみる。
「ごくありふれた型ですよ。これといった特徴はありません」
「へえ、偶然だな。俺もそれと一緒の武器なんだよ」
そう言って塩崎もカバンの中からバリカンを取り出してみる。
出てきたバリカンは、確かに東出の持っているバリカンと同じ型のようだ。
「……参加者全員に同じバリカンが支給されてるのかな?」
「それは無いでしょう。確か山下さんが支給品には当たり外れがあるというような話をしていた筈です」
「そうか、つい失念してたよ……。そう言われると確かに違いがあるな。
俺のが新品っぽいのに対して東出君のは若干中古っぽい感じだもんな。
…ほら、髪の毛まで付いてるし……」
東出はドキッとした。その毛は恐らく、先ほど刈った長谷川の毛だろう。
とりあえず毛ー無に乗っていると思われるのはまずい。
「……何か気持ち悪いですね。支給する前に髪の毛ぐらいちゃんと掃っておいて欲しいですね」
気づかれないようにさらりと受け流す。
「うん、確かにそうだよな。誰かの使いかけだと思うと使うわけではないにしてもやっぱなんか嫌だな」
幸いにも疑念を抱かれることは無かったようだ。やっぱこの人お人好しだなと東出は思った。
「ところで支給品といえば……、塩崎さんの補助アイテムは何ですか?ほら青い袋に入ってるやつ」
「ん、ああ…、俺のはこんなんだ」
そう言って塩崎はカバンの中の青い袋に手を突っ込む。
袋から出てきたのは、23赤色の液体が入った注射器だった。
「…なんか不気味な感じがしますね、それ……」
「だろ?説明書も入ってないしさ……正直使いようが無いよ」
863:新世界の髪(3/5)
07/04/28 02:31:40 NERXL8oI0
塩崎がお手上げのようなポーズを取る。それを見て東出は考える。
効果は一体何なんだろう?果たしてこのゲームを進める上で有利になるものなのか……?
「……で、そう言う東出君の補助アイテムは何なんだい?」
「はあ、それが……」
東出は少しだけ眉を顰めて袋の中身を取り出す。
その中身を見て、塩崎の顔が失望で埋まっていくのが東出にも分かった。
ベース。
どこからどうみても一塁ベース。
しかもご丁寧にもブラウン監督らしき人物のサインまで書かれている。
「ははは……、いかにもカープらしい武器だね…」
いささか呆れ返ったような口調で塩崎が苦笑する。
その様子を見て、思わず東出はため息をついた。
「ところで東出君はもう誰かに会ったのかい?例えば黒田君とか」
東出は一瞬、どうしようかと迷った。長谷川さんに会ったことを言うべきか。
やっぱ黙っておいた方がいいかな。
一応長谷川さんの髪を刈ったのは事実だから下手に合流されると困るし。
「いいえ、俺もこの世界で見た選手はあなたが初めてです」
「そうか……」
塩崎は少し黙り込んだ。砂漠に微風が吹き始める。
「塩崎さんはどうするつもりなんですか?なんか仲間を探していたようですが……」
不意に東出は訊いてみた。
思えば、先程から塩崎の態度が緩過ぎる気がしてならない。
髪の奪い合いに参加しているにも拘らず、2323で面識の少ない自分をあっさり信用した上に、
いくら見通しのいい砂漠エリアとはいえ全然周囲を警戒する様子が無かったりと、まるで危機感が感じられないのだ。
東出の心には、既に疑心が芽生えていた。
もしかして、この人も長谷川さんと同じ種類の、勘違い9696人間なんだろうか……。
864:新世界の髪(4/5)
07/04/28 02:33:05 NERXL8oI0
「俺は……正直、あんまり他人の毛を刈る気にはなれない。
だから、とりあえずある程度選手達で集まり、後はなるべく守りあって隠れてようと思うんだ。」
「……でも、それではHPが10万に満たない選手は失格するんじゃ……」
「大丈夫だって。なんで山下さん達がこんな事を起こしたかは分からないけど、
いずれにせよこんな事になって世間や監督達が黙っているはずが無いよ。
どうせこんな馬鹿げた戦いはすぐ中止される。だからそれまで我慢して守り23ばいいんだ」
「はあ……」
「心配は要らない。とりあえず東出君、君の髪は絶対に守ってみせるさ」
「…………」
―東出は、塩崎に罰を与えることを決意した。
まさかここまで酷い答えが返ってくるとは思わなかった。
なんという楽観主義。しかも完全に人任せ。
ルールこそ行き当たりばったりだが、完璧に構築されたバーチャル世界等を見ても、山下達が周到な準備をしていることが分かる。
それなのにどうしてそうも簡単にゲームが中止されると思えるのだろう。
だから9696はいけないんだ。
このような愚か者の9696には、例え年上の人であってももはや我慢が出来ない。
制裁を下さなければならない。そして正しい道へ導いてあげるんだ。
「……分かりました。俺も塩崎さんに協力します」
ふっと23笑いを作って東出はそう言った。
「そうか、分かってくれてありがとう。それじゃあ早速仲間集め……と行きたいところだが、その前にせっかくだから少し休憩しないか?
今まで1人ではおちおち休憩も出来なかっただろう?俺が見張ってやるから安心して機内で休んでこいよ」
「え、いえ、俺は後でいいですよ。俺が見張りますから塩崎さんお先にどうぞ」
「遠慮することないさ。東出君も疲れてるだろ?」
「いや、俺は途中密林エリアから来たので、ずっと砂漠エリアにいた塩崎さんよりはまだましです。
それに俺はまだ若いですし、体力には自信があるつもりです」
「そうか……。それじゃあお言葉に甘えさせてもらうよ」
865:新世界の髪(5/5)
07/04/28 02:34:33 NERXL8oI0
東出は心の中でほくそ笑んだ。
仲間になったと見せかけて塩崎が機内に戻ったところを狙おうと思ってたが、まさか向こうから言い出してくれるとは。
これほど都合のいい展開があるだろうか。
……そうだ、これはきっと天の神、いや髪の思し召しに違いない。
そもそも、自分よりもこの毛ー無に23わしく、やる気もあるにもかかわらずリストから漏れた選手も大勢いるはずだ。
それにもかかわらず、何故自分が選ばれたのか。その答えがきっとこれに違いない。
己の欲望のために醜悪な毛の強奪をするのではなく、愚かな9696の罪を暴き正しき道を示す。
そしてこの世界の選手を皆プライドと闘争心と真面目さを持つ理想的な野球選手にしてあげるのだ。
それが、この世界での自分の使命。そう確信する。
長谷川さんを丸刈りにしなくて正解だった。彼に悔い改める機会を与えることが出来た。
これからは、塩崎等の愚かなる9696にのみ罰を与え、理想的な心を持つ選手を陰ながら23まし助けていく。
例え年上やセリーグの人であっても罰を与えるべき人にはしっかり与えよう。どうせいつか感謝される事になるのだから。
そして、自分はこのバーチャル空間という新世界の髪となるのだ。
(…とりあえず塩崎さんをどうしてあげようかな。あの今度新しく宮崎県知事になった人みたいにするのなんか面白そうだな……)
東出は気づくことが出来ない。自らの思考がすでに常軌を逸しているということに。
そして塩崎が本当は2323である上に毛ー無に乗っていて、情報を得るためにお人好しという仮面を被り、
仮面の下に狂気に歪んだ素顔を隠し虎視眈々と東出を狙っていたことに。
ペルソナが剥がれ落ち素顔が剥き出しになる時は、もうすぐそこまで迫っていた。
【残り26人】
866:代打名無し@実況は実況板で
07/04/28 02:48:37 NERXL8oI0
>>863,>>864での「ゲーム」のセリフを「毛ー無」に直します。
すみません。
867:代打名無し@実況は実況板で
07/04/28 03:15:24 HPBjzJtCO
>>861-865 おおおサスペンス!
868:髪の偉業(1/5)
07/04/28 03:39:01 Qiay95Y90
「も…森本君ッスか。」
「やあ川上さん、日本シリーズではお世話になりました。」
川上は森本の言葉を最後まで聞くことなく引き返そうとした。
しかし、森本に袖口をつかまれる。
「待って下さいよ川上さん。僕は川上さんの毛を狩る気なんてありませんよ。」
「じゃあ・・・、何ッスか?」
川上は怪訝な様子で森本に問う。
「僕はこのプログラムのプレイヤーではありません。」
川上はあっけにとられているような顔をしていた。
じゃあなんでこのプログラムに参加しているのかを聞こうとしたが、森本はさらに続けた。
「僕はこのプログラムの…進行役と言ったほうがいいですかね。
このプログラムに参加している人達の様子を見て回っているんですよ。」
「そうッスか、僕は大丈夫なんでもう行くッス。」
そう言うと川上は再び方向を変えて森本の横を通り過ぎていった。
「57000、少ないですね。」
森本がポツリそう言うと、川上が森本に向かって言った。
「いいんッスよ、人の毛を狩るくらいなら、23たって構わないッス!」
いくら川上が2323とはいえ、髪が全くない男に言われたので腹が立った。
「本当にいいんですか?その髪が投球に影響していても?」
川上はピタリと歩みを止めた。
869:髪の偉業(2/5)
07/04/28 03:39:41 Qiay95Y90
「川上さんはすごいピッチャーですよ。ノーヒットノーランもやっていますしね。
でも、川上さんは夏場に弱いですね。それに試合の後半に突然崩れることもありますね。」
「そ、それがどうしたって言うんッスか!」
少し荒れ気味の声で川上が返す。
「いや、夏場は頭も蒸れますしね、試合後半は夏じゃなくても汗が出て大変ですよね?
集中できないんじゃないかなあっと思って。頭のことが心配で。」
「うっ、いやっ、そんなことはない…ッス。」
森本は得意の猫なで声でさらに続けた。
「どうしたんですか?あのドラゴンズのエースである川上さんが随分弱気じゃないですか?」
「違うッス!そんな関係ないッスよ!第一、僕はノーヒットノーランだって…」
川上は声を強張らせるが森本が遮った。
「ノーヒットノーランを成し遂げたは確か2002年ですよね、あの頃はまだ髪にも余裕がありましたよね。
そして川上さん、あなたは2005年と昨シーズンに完全試合を達成するチャンスがありましたよね?」
「ま、まぁ、そんなこともあったッスね。」
「川上さんはいつも試合の中盤からしきりに帽子を気にしていますよね?
でも2002年のときにはこんなことはしていなかった。
だから偉業を成し遂げることができた。
でも、最近は頭のことを考えるばかり、投球に気が回らなかった。
それで2005年はスンヨプさんにホームラン打たれたり、
昨シーズンには福浦さんにフォアボールだしたり、挙句にサブローさんにヒット打たれて、
2度も完全試合を逃した。」
「だから違うッス!!あれは僕が至らなかっただけッス!髪のことは関係ないッス!
もう僕は行くッスよ!?」
再び川上が歩みを進めようとしたが、森本に今度は肩を掴まれた。
870:髪の偉業(3/5)
07/04/28 03:41:16 Qiay95Y90
「そうとも限らないんですよ。昨シーズン山本さんがノーヒットノーラン、やりましたよね?
阪神が猛烈な追い上げを見せる中、川上さんも阪神にノックアウトされた。
そんな中、阪神の息の根を止めたともいえるあの神のようなノーヒットノーランですよ。」
「それがどうし…」
川上は森本の手を振り払おうとしたものの、森本の手はビクともしなかった。
「なんで山本さんができて、川上さんができなかったのか、わかりますか?それは髪…」
「違うッス!!違うッスぅぅ!!」
川上は森本の言葉を聞かまいとするかのように暴れだした。
しかし森本は動揺することもなく、見計らったかのようにさらに声を甘くし、
「川上さん、現実を見ましょうよ、山本さんには髪があって、川上さんにはないから。
それが答えなんですよ。山本さんには髪を心配する必要がない、だから、最後まで集中して・・・」
「やめろ!!やめろぉぉッス!!」
完全に理性を失った川上は、森本の言葉を拒絶するかのように頭を激しく左右に振った。
その時、デイバックから1枚の写真が床に落ちた。そこに映るまぶしい笑顔。
川上は激しく振っていた頭をピタリと止めた。
「・・・そうだ、僕には大豊さんがいるッス!もう頭のことなんて気にしないッス!それでまたいいピッチングをするッス!」
川上は正気を取り戻し、ハツラツとした声で森本に言った。
「もう僕は23てもかまわないッス!大豊さんのようになれるならそれでいいッス!」
「そうですかぁ。でも、大豊さんはカツラだったんですよねぇ…。」
森本は残念そうに呟いた。しかし内心ではほくそ笑んでいた。
「・・・ッス?」
871:髪の偉業(4/5)
07/04/28 03:42:10 Qiay95Y90
今の今まで知らなかった事実を告げられた川上は目を見開いた。
「川上さん、知らなかったんですか?」
森本はわざとらしく聞き返した。さらに森本は続ける。
「大豊さんはカツラがばれちゃって、それで仕方なく、23をさらしたんですよ。」
森本は川上を揺さぶるために「仕方なく」を強調した。
「そんな、大豊さん・・・ッス。」
川上の頭の中に描かれていた大豊の肉色のミラーボールに亀裂が走る。
「川上さん、考えてみて下さいよ。だれでも23は嫌ですよ。
ボクみたいにそれがキャラになるならともかく、川上さんが23たってただの23で終わりですよ。
みんなの笑いものになるだけです。おもしろいから笑われるんじゃなくて、
哀れだから、みじめだから笑われるんですよ。」
川上の中のミラーボールが音を立てて崩れ落ちた。あれだけ輝いて見えたミラーボールが、
今となっては醜く映った。川上を支えるものが無くなってしまった。
「あqwせdrftgyふじこlp;ッス・・・、あqwせdrftgyふじこlp;ッスぅぅ!!」
森本は川上が何を言っているかわからなかったが、川上の耳元で呟いた。
「川上さん、ほら、向こうで賢介が扉を叩いている音が聞こえますよね?
狩っちゃったらいいじゃないですか。理性を失っている人間は弱いものですよ?」
「・・・器が弱い、武器が弱いッス。」
「武器ならこれ、あげますよ。予備ならいくらでも持っていますし。」
そう言うと森本はどこにでもありそうな、至って普通のバリカンを川上に差し出した。
「バリカン・・・ッス。これがあれば・・・ッス。」
「そうですよ、日本シリーズの恨みもありますし、刈ってしまいましょうよ!」
日本シリーズの恨みといえば森本も言えたことではないのだが、もはや川上には関係なかった。
ただ毛が刈れればそれでよかった。
「田中毛んすけぇぇ!!覚悟するッス!!」
川上は毛ダッシュで田中のいるドアの方へと向かっていった。
「川上さん、がんばって下さいよ・・・。」
森本はそう言い残しビルを去った。
【残り26人】
872:代打名無し@実況は実況板で
07/04/28 03:44:13 Qiay95Y90
ミスで4レスで終わってしまいました。
>>857氏の指摘どおり、前の話が短いので、「10秒チャージ」の続きに入れてください。
題名は出来れば「髪の偉業」でお願いします。
873:代打名無し@実況は実況板で
07/04/28 08:37:53 pf+bSJ9yO
>>861-865>>868-872共に乙。
強いて言えば>>862の「23赤色」は「23紅色」に訂正すべき。