06/03/30 13:16:57 FUk2RJfr
『世界の中心で、愛をさけぶ』に於ける「ソラノウタ(アボリジニの詩)」と、
劇作上、同じ役割を『白夜行』で担っていたのが『風と共に去りぬ』だった。
「ソノラノウタ」のモチーフを全編を通じて見事に活かし切ったことにより、
『世界の中心で、愛をさけぶ』は大変な完成度を持つに至ったが、
『白夜行』では『風と共に去りぬ』のモチーフを完全に活かし切れたとは言い難い。
アボリジニの詩とは違って格段に複雑な内容を持つ『風と共に去りぬ』のモチーフを、
有機的にドラマに組みこむことは難しかったのだろうが、工夫次第でもっとうまく活用できたと思う。
『風と共に去りぬ』は、単に一人の女性の生き様を描いた小説というだけではなく、
北部の勃興の前に南部が滅びてゆくという「時代」を描いた作品でもあった。
『風と共に去りぬ』の持つそういう叙事詩的な世界観をうまく換骨奪胎し、
バブル崩壊後から現代までの日本の世相の移り行きみたいなものまで感じさせて欲しかった。
第1話では「時代」を感じさせることに成功していたのだけど、
2話以降はそういう「時代」そのものを描くという視点は失われていった。
水準以上のドラマだったことは確かだったが、個人的には不満の残る仕上がりだった。