06/12/19 03:43:33 ZCDaqEiW0
そんなにもあなたは黄紙を待つてゐた
かなしく青いあかるい芝の上で
私の手からとつた一つの黄紙を
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなる黄紙の汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉に嵐はあるが
かういふチャンスの瀬戸ぎはに
モッツはもとのモッツとなり
大事な試合を一瞬にかたむけた
それからひと時
昔監督に喧嘩を売つた時のやうな深呼吸を一つして
あなたの機関は香港へ行つた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光る黄紙を今日も置かう