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『ごきげんよう』
「じゃあ祐巳、山百合会の件は電話して。パーティーがあるから九時までに」
「はい。お屋敷のほうにかけますね。九時までに」
「乃梨子にも電話するね」
「…あ、志摩子さん、いいです。電話かけるとお金かかるし…」
「え?乃梨子ちゃん、お金って電話代程度のこと…?」
「…ごめん」
「あ、いいよ。倹約することは悪いことじゃないんだし」
「そうよ。いいわよ」
「そうよ。乃梨子、気にしないで」
祐巳は電話代さえ倹約しようとする乃梨子ちゃんに、反感ではなくむしろ
好感に似た驚きを感じていた。
わたしも筋金入りの庶民のはずなのに、いつの間にか電話代程度で、と
思うようになっていた。これも全部お姉さまのせいだ。祐巳は自分をこんなにも
変えてしまった小笠原祥子という女性に、ちょっとだけ文句を言いたくなった。
もちろん筋違いの文句だってわかってはいるけれど。
…ごきげんようといえばマリア様がみてるしかないと思うんだ…