06/11/11 23:57:22 FCkbM0MN0
とある放課後、散りかけの桜に誘われて、私はいつもの桜の木の前に向かった。
到着するなり、私の目は野獣と化し、獲物を物色し始める。
いた!木の幹によっかかり桜の木を眺めている、おかっぱ美少女を発見。
……私はそのおかっぱ少女の顔に見覚えがあった。
先日、丁度この場所と、小偶寺で私と話した娘だ。
その娘が家に来たせいで、私は寺の娘だとバレてしまったんだ。
ノンケそうだししょうがないな、妹(スール)にできないとも思った。
しかし、あの全身から発せられる「百合フェロモン」には抗い難い。
それに、万が一隠れ百合である可能性もある。
よし、行くぜ!私は一大決心をしおかっぱ娘に声を掛けた。
「ご、ごきげんよう。知的そうな顔ね。わ、わ、私のロザリオ首にかけてくださらない?」
ノンケと分かってる奴を妹に誘うのは初めてで、不覚にも声が震えた。
「いいですよ。実は私はレズなんです。卒業するまで志摩子さんの傍にくっ付いて離れないから。。」
私の妄想では、おかっぱ娘はこう言う筈だった。しかし、現実は甘くない。
「なんなんですかあなた。気持ち悪い。先生呼びますよ。」
やはり駄目だったか……。おかっぱ娘は私を睨みつけると、どこかへ行ってしまった。
胸に広がる痛みと、もやもやした得体の知れない感情に耐えながら、俺は思った。
そうか、私は心を許せる妹が欲しかったんじゃない。
私はあのおかっぱ美少女に恋をしていた……そして失恋したんだ、と。
まだ私自身無垢なリリアン部外生だった頃を思い出し、私の目から涙が溢れた。