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一方、読売の編集手帳。内容はともかく、この締め方は「後の武蔵である」のように応用が利くかもしれない。
2006年4月21日(金)編集手帳
昭和を代表する論客のひとり、劇作家の福田恆存(つねあり)さんは「ドライアイス」に例えられたことがある。
「冷たいが、触れると火傷(やけど)をする」と
◆冷たく醒(さ)めた論理のうちに烈火の情熱を蔵した精神を述べたものだろう。烈火がなければ他国に侮られて
国益を損なう。烈火のみでは近隣の迷惑者にすぎない。外交の要諦(ようてい)にも通じよう
◆日本海に浮かぶ日本固有の領土、竹島を巡って日韓両国の間に緊張の波が高い。海上保安庁が予定
する海洋調査に対し、島の領有権を主張する韓国政府が猛反発し、「断固たる対応をとる」と調査の中止を
求めている
◆「断固たる対応」とは何だろう。測量船の拿捕(だほ)を指すのなら、公海上の公船拿捕を禁じた国連海洋法
条約に違反する。烈火に頭がのぼせやすいお国柄とはいえ、国際法に触れて冷たい火傷を負う愚はよもや犯すまい
◆韓国は竹島を実力で支配している。国際法破りはそれが「不法占拠」であることを告白するに等しい。激情に
駆られて告白するか。和解の道を探り、こぶしはみだりに振り上げるものでないことを学ぶか。韓国政府はいずれか
を選ばねばならない
◆差しあたり、緊張の高波に舵(かじ)を取る日本政府丸が携帯すべき品々は分かっている。国際法を右手に、
対話を重んじる自制心を左手に、胸には領土を守る心を。ドライアイスである。