06/07/31 09:26:04 CGvvGOBr0
ブロードキャスト:過剰な演出、過度の反応=荻野祥三
自慢出来る話ではないが、私の机の周辺を含めて、マスコミの職場は雑然としている。部外者が
見たら驚き、伝える情報の信頼度が落ちるのではないかと反省する。
テレビ局の報道セクションも同様で、写真や図表が載ったフリップ、イラクや北朝鮮の立体模型など
が部屋の片隅に散乱している。小泉純一郎首相の人形だって、他の小道具と一緒にガラクタ寸前だ。
これが戦前だったら大問題になるかもしれないが、幸いその当時はテレビがなかった。
TBSがニュース番組で放送した旧日本軍の「731部隊」に関する部分で、ニュースと関係のない
安倍晋三官房長官の写真パネルが映ったことが問題になっている。そのシーンは冒頭の数秒。カメラが
電話で取材中の記者に接近する。その時、“ガラクタコーナー”にあった安倍氏の写真が映った。
騒ぎになってから見ればそうかと思うが、放送された21日に見た一般の視聴者は気づかなかった人が
多いだろう。TBSも局内でチェック出来なかった。しかし、映像が安倍氏の知るところとなり、官房長官
会見で「意図的になされたものであるとすると、恐ろしい」との発言が出た。
「731部隊」のニュースを見たが、出来がよくない。他にも本筋と関係のない映像がでてくる。例えば
常石敬一神奈川大学教授へのインタビューシーンでは、バーのごとく並んだ酒瓶が映る。場所がどこで
あるかの説明もない。夕方のニュースにありがちな「演出過剰の作り」が、「731部隊」のようなテーマ
にも波及しているのか。
安倍氏がテレビ報道に意見を言う自由はあるが、次期首相最有力と言われる政治家が、本気で
抗議するような内容ではない気がする。過剰な演出。過度の反応。両者の自制が求められる。
毎日新聞 2006年7月29日 東京夕刊
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