06/05/11 18:27:15 tmZmTsDC0
陽が昇る。島だ! 目指すレクニスの緑の背が輝いて見えてくる。
ひと晩中星の瞬きをたよりに帆を駆って、ようやく辿り着いた。
深紅の花を右手に掲げた島いちばんの美女モレアが駈けてくるのが見える。だが、
この島や対岸から近いベルス島とかでは手に入らない、僕の積み荷が目当てなのだ、
残念なことに。この辺りでは賑わっている方のベルス島さえ、流行の装飾品を売る店は
ないのだった。彼女たちは島レースと呼ばれる繊細な編み物の名手だ。僕はそれと引き
換えに幾らかのアクセサリーや髪飾りを女性達に渡す。物々交換、というより贈与と
贈与。だから取引はいつもハッピーだ。この島こそ僕の幸福の源泉。そしてもちろん
彼女たちにも。浜辺で取引が済むと、パーティだ。彼女たちは踊り、島うたを唄う。
ひろい海域の中に散らばる島べつに、特有の歌詞を持つ歌がある。僕は歌詞のなかの
とある一節が気になってる。その唐突に現れるフレーズはこんなふうだ・・・