05/06/17 15:47:53 0
梨沙子は千奈美と同じ沿線上住んでいるから、お互い仕事場に行くときに合流することがよくあった。
梨沙子の父親が時々、一緒だった。背が高くて、格好良くて、優しそうで、スマートで。
千奈美は自分の父の無骨な様と比べて、強いコンプレックスと嫉妬を感じていた。
「千奈美ちゃん、うちの梨沙子のことよろしくね?」
千奈美の頭を優しく撫でる梨沙子パパ。あぁ、こんな人がお父さんだったらなぁとなんど思ったことか。
約束の日、梨沙子はトートバッグにラケットを差し込んでトコトコと現れた。
「千奈美ちゃん、まった?」
体育館でバドミントンのラケットを片手に男と打ち合っていた千奈美は、シャトルを地面に叩き落とし
振り返った。
「ううん、そんなに。」
「やぁ、いらっしゃい。梨沙子ちゃん」
ネットの向こう側からがっしりした体躯の男が近寄ってきた。
「???千奈美ちゃん、だれ?」
「あ、あれ?私のお父さん」
答える千奈美の顔には暗い陰が差していた。
続く