03/12/04 01:20 iLLHR9Bm
>>688
困りましたね。まさかこれほどまで珍妙な説が幅をきか
せているとは思いもよりませんでした
一体どのような文献を参考にされているのか判断しか
ねますが、みなさんは鍛造し終えた後の真っ直ぐな鉄
の棒が熱処理した瞬間にググッと反り返ると思ってらっ
しゃるのですか?
わたくしは備前と関で実際に刀を鍛える場面に逐一参
加させて頂いたことがありますが、熱処理時の自然現
象で反りが生まれたところなどただの一度も目にしたこ
とがありません。むしろ、膨張率の違いによるゆがみが
出ることを極端に嫌っておられました。
考えてみて下さい。例えば国宝の安家は刃渡りが77.2
cmで反りが2.9cmあります。これほどの反りが熱処理時
に自然発生的にできたものであるなら、刀身全体にゆが
みが入って使い物にならなくなってしまいます。
次に、部材の熱膨張率の違いで反りが生じると仰ってい
ますが、それなら割り込みの刀と甲伏の刀で同じ方向に
刀が反るのはどうしてですか?
ご存知とは思いますがこのふたつの製法は軟鉄と鋼の
位置が逆ですから膨張率の低い鋼に地金が引っ張られ
て反りが生まれるのであればそれぞれ逆のほうに反らな
ければおかしい理屈です。
尾上卓生さんが日本規格協会の刊行物中で刀の破砕断
面の分析を行っていますが、組織が反りと同じ方向に伸び
ているなどといった事実はどこにも記載されておりません。