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>>93
と、籐堂院瑞穂がロンバルディーニに即座に接近し、拳を叩き込んだ。
――いい動きだ。純粋な身体能力なら私が上だろうが、あの踏み込みは技術によるもの。
単なる力比べをするなら勝てるとは思う。しかし、戦闘となれば話は別だ。
「気でも狂ったか?レオーネ・ロンバルディーニ、私が直々に目を覚まさせてやろう」
言いながら、籐堂院瑞穂は刀を抜き放ち、構えを取る。
この場で優先すべきは彼女を食らうことか、それとも――いや、決まっている。
やりやすい相手から、というのはこの場合誰か。そして、今の私が優先すべきことは。
熱量操作。レオーネ・ロンバルディーニの腕の周囲に干渉する。
熱量で文字を描く。腕からの温度を感じ取れば、こう書かれていると分かるはずだ
【契約は守ります】
「ご無事ですか、煌神リンさん!」
同時に、籐堂院瑞穂の背後にいる彼らのところまで駆けつける。
攻撃はない、どうやら、彼らは戸惑っているようだ。
「私は、ある人に依頼されたんです。煌神リンさんを保護して欲しい、と。
それで、こうして近くで見張っていたわけなんですが――申し訳ありません。
結局、ミサイルに反応も出来ず、家からの脱出も手伝えませんでした」
嘘ではない。彼女の保護を依頼されたのは事実だ。
ミサイルの発射を事前に知らされていたわけではない、反応できなかったのも事実だ。
家からの脱出も――まあ、自力で脱出できてしまったのでは、手伝えなかった、それも事実だ。
更に、私は籐堂院瑞穂に向けて、言葉を発する。
「お久しぶりです、籐堂院瑞穂さん。といっても、貴方は覚えていないでしょうが。
――あなたの父、籐堂院神が作り上げた、反機関組織。私はかつて、そこで下っ端をやっていましてね。
組織は既に壊滅してしまいましたが、いわゆる残党はいた、ということです」
そして少しずつ煌神リンに近寄り、彼女の肩に手を置いて話しかける。
「本当に申し訳ありません。自力で脱出できていたのは幸いです。
――相手は機関の幹部、ファーストナンバーです。どうやら消耗している様子ですし、ここは逃げてください」
私の言葉に安心したのか、それとも緊張の連続だったのか、一瞬、彼女の気が緩む。
その一瞬で彼女殴りつけ、抱え持つ。異能者相手では気絶には至らないだろうが、この場合は問題ない。
一撃にひるんだ隙にレオーネの後方に跳躍し、戦闘機の座席に放り込む。
……籐堂院瑞穂からの攻撃はない。先程も言ったが身体能力ならば私が上だ。
直線距離での速度、そのうえ跳躍してのものとなれば、彼女よりも私の方が速い。
「依頼は完了しましたよ、レオーネさん。
――とはいえ、持ち帰るにはまだ仕事をしなきゃいけないようですが」
熱量操作。煌神リンを投げ込んだ座席の周囲を高熱で覆う。
無理をすれば出てこれないこともないだろうが、その場合、能力の低下は免れまい。
「私は私の仕事をこなしたんですから、貴方の仕事ぶりも見せてもらいますよ」
まずは、二人の力を見たい。あるいは、私だけ残して撤退、というのも有り得るが。
【アルト:煌神リンの無事を確認、確保】
【成長した瑞穂と、レオーネの力に興味津々】
【小村のことを上野恭平だと思っている】