08/05/26 19:08:06 O
>>66
女の背負う刀が喋り出したことに、戦場ヶ原はさほど驚きをしめさなかった。
昨晩闘ったカタナ使いの女も、意思を持つ刀を持っていたのだ。
そんな妖刀が他にもあったとて別に不思議ではない。
しかし、戦場ヶ原の驚きはまた違う所にあった。
「なっ………!??」
絶句。戦場ヶ原は馬鹿みたいに口を開けて、さっきまでリンがいた場所に佇む女を見つめていた。
赤く長い髪。金色の瞳。背中に背負う剣を見れば、その女がリン本人であることは推測出来た。
能力を封印されてこの姿になったということは、今までの姿が能力によって変態を遂げていたものであり、この姿が彼女本来の姿であるということだ。
(なんなんだ…コイツはっ!?)
ふと、彼女が恥ずかしそうにこちらを見ているのに気付いた。
姿形まで妙齢の女性となったリンの肢体を見て、戦場ヶ原は慌てて顔を逸らした。
(チッ……調子が狂うぜ…)
戦場ヶ原はそっぽを向きつつ、自分の着物の羽織りを脱ぎだし、大人のリンに放り投げた。
「…着てろ。見ちゃおれねぇ。」
さすがにその姿は女性経験のない戦場ヶ原には幾分か刺激の強いものであったのだろう。
池上に通されて、戦場ヶ原たち3人は彼の家に上がり込む。
大きな家だ。少なくとも戦場ヶ原の下宿先であるボロアパートに比べれば天と地ほどの立派な屋敷だった。
細かに整理された家財やシンプルで生活感の感じられない内装から、彼の人となりが感じられた。
「…フン、悪くねぇ。」
相変わらずの偉そうな態度で、我が家のように居間の中をウロウロするが、ソファの前に来た時、
戦場ヶ原の身体はまるで糸の切れたくぐつのようにどさりとソファに倒れこんだ。
次の瞬間にはもう、大きな寝息を立てて、彼は爆睡していた。
今日1日でいろんなことがあった。
闘いに疲れた戦士は、己の欲求に忠実にその身を癒そうと深い眠りについたのだ。
その姿は、さながら冬眠につく獣のようであり、ちょっとやそっとでは起きそうになかった。
【戦場ヶ原 天:就寝。2日目終了。】
【死体のように爆睡しているため、爆弾でも落ちてこない限り起きない】