【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ3at CHARANETA2
【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ3 - 暇つぶし2ch65: ◆7Q1qJNYWx.
08/05/26 17:25:01 0
>>54>>58>>64
俺は外道院とひと時はなして、外にやってきたわけだが。
何処に行くか迷うんだな、これが

とりあえずこの戦いの様子を見るために異能者の気を探ってみる。
無論、リンやレオーネに近づかないようにだ。

今から一番近い異能者は、ふむ・・・ただいま戦闘中のようだ。
ちょうどいいので行ってみるか…


しばらく異能者の気を探っていくと高校生くらいの男と女が囲まれていた。
あれは、きっと虐殺部隊だろうもう一人異能者がいるがその異能者は高校生のほうに味方するようだ。
はてさて、これは面白いちょうどいい機会だ…
俺は能力の一部を発動し、大鎌を出すとその一団に近づく。
少し近づいたところで、俄然興味が湧いてきた。
あの女子高生が着ている制服、唯能高校の制服だ確かリンもそこに通っていたはず。

ちょうどいいので、少し聞いてみようかリンの事を
そんな考えを頭に浮かべ、虐殺部隊に声をかける。
「なぁ、ちょっといいか?」
虐殺部隊の一人がこっちを向く

「なんだお前?見せ物じゃねぇんだ殺すぞ!」
まったく血の気の多い連中だ

「ふ~んそうか殺してみろよ俺はさ?そっちのやつに用があるんだよ」
三人を指差し、男に答える、なんか、空気が変わったな。

「ざけてんじゃねぇ!」
「おい!まて!その方は!」
男の仲間が、男を止めようとする。
何だ俺を知っているのか、きっとこの部隊の隊長といったところだろう。

「そうそう、やめとけって」
言ってから三人のほうに歩み寄り女のことを見る。

女は怯えたようだった、男が前に出てくる。
俺は慌てて訂正する。

「いやいや、すまん俺はまったく敵意はないよ。」
穏やかにニコニコ笑ったまま俺の知りたい事を聞く。
「お前、唯能高校の生徒だろ?お前らの学校に煌神リンっていないか?身長がちっちゃいやつ」

【ツバサ:桜にリンのことを尋ねる】
【今のところ敵意はないがもしかしたら、攻撃を仕掛けてくる可能性も】

66:池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU
08/05/26 18:34:25 0
>>52>>53>>57>>62
返事を聞くが、山田は煌神 リン次第ということだった。
その煌神 リンの返事はどうなのかと、俺は目を煌神 リンに向ける。
しかし、これまで静かな口調で話していた彼女が、急に大声をあげた。
俺は彼女の言葉に従って目を逸らす。
そして煌神 リンの許可が下り、再び彼女に目を向けた時、流石に俺は驚いた。
そこに居たのは先程までの少女ではなく、見知らぬ大人の女性であったからだ。

しかし女性の言動から、どうやらこの女性が煌神 リン本人であるようだった。
直接本人に確かめてみるまでもなく、少女への変態を可能にしていたものが
彼女自身の異能力であることは明白だ。であれば、城栄に異能力を封印されたことで
この姿に、つまり、元の姿に戻らざるを得なくなったと考えるべきだろう。

─だが、驚くべきことはこれだけでは終わらなかった。
突然、これまでに聞き覚えの無い第三者の声が周囲に鳴り響いたのだ。
新たな異能者か、とも一瞬思ったが、その声の発生場所を突き止めて、
そこで俺は再び驚かされた。なんと、外国人風の女が持っていた刀が喋っているのだ。
これも恐らく……いや、そうでなくては説明がつかない。
紛れも無くあの女の異能力だろう。

女は、こちらがそう理解することによって徐々に冷静な表情に戻っていくのを
見計らったように、俺の顔に向けて刀を一閃した─。
─避ける間もなく、俺は己の頬に小さな切り傷を出現させていた。
女は「驚くのは早い、私はこれだけの腕を持っているのだ」と言わんばかりの表情をしている。
俺は鼻で笑みを零し、いつの間にか手袋が嵌められていた右手を差し出し、握手に応えた。

「では、三人とも俺について─」

言いかけて、俺は止めていた。
いや、正しくは途中で誰かに割って入られ、全てを言い切ることができなかったのだ。

>「申し訳ありませんが、私もお願いできますか?
> どうやら、どこかで今夜をやり過ごす必要があるみたいでして」
割って入ってきたのは金髪の女だった。
銀髪の女に続いて、こんどは金。しかもこれまた外国人風だ。
友好的に振る舞おうとする金髪女に対し、俺は冷酷に即断した。

「知ったことか。失せろ」

話を聞き、どうやら大方の事は理解している様子からして、異能者であろう。
泊める代わりに『番犬』にしてくれと言ってくるつもりかもしれないが、
その役割も、あれだけの剣の腕を持つ籐堂院一人いれば十分のはず。
これ以上、素性の分からぬ者を家に置いても俺には何のメリットもない。
そして宿を持たぬ人間を誰でも救済してやる程、俺はお人好しでもないのだ。

「─行くぞ」

俺は金髪女に背を向け、三人について来るよう促した。

【池上 燐介:アルトの頼みを拒否し、背を向け自宅へと歩き始める】

67:戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg
08/05/26 19:08:06 O
>>66
女の背負う刀が喋り出したことに、戦場ヶ原はさほど驚きをしめさなかった。
昨晩闘ったカタナ使いの女も、意思を持つ刀を持っていたのだ。
そんな妖刀が他にもあったとて別に不思議ではない。
しかし、戦場ヶ原の驚きはまた違う所にあった。

「なっ………!??」

絶句。戦場ヶ原は馬鹿みたいに口を開けて、さっきまでリンがいた場所に佇む女を見つめていた。
赤く長い髪。金色の瞳。背中に背負う剣を見れば、その女がリン本人であることは推測出来た。
能力を封印されてこの姿になったということは、今までの姿が能力によって変態を遂げていたものであり、この姿が彼女本来の姿であるということだ。
(なんなんだ…コイツはっ!?)
ふと、彼女が恥ずかしそうにこちらを見ているのに気付いた。
姿形まで妙齢の女性となったリンの肢体を見て、戦場ヶ原は慌てて顔を逸らした。
(チッ……調子が狂うぜ…)
戦場ヶ原はそっぽを向きつつ、自分の着物の羽織りを脱ぎだし、大人のリンに放り投げた。

「…着てろ。見ちゃおれねぇ。」

さすがにその姿は女性経験のない戦場ヶ原には幾分か刺激の強いものであったのだろう。


池上に通されて、戦場ヶ原たち3人は彼の家に上がり込む。
大きな家だ。少なくとも戦場ヶ原の下宿先であるボロアパートに比べれば天と地ほどの立派な屋敷だった。
細かに整理された家財やシンプルで生活感の感じられない内装から、彼の人となりが感じられた。

「…フン、悪くねぇ。」

相変わらずの偉そうな態度で、我が家のように居間の中をウロウロするが、ソファの前に来た時、
戦場ヶ原の身体はまるで糸の切れたくぐつのようにどさりとソファに倒れこんだ。
次の瞬間にはもう、大きな寝息を立てて、彼は爆睡していた。
今日1日でいろんなことがあった。
闘いに疲れた戦士は、己の欲求に忠実にその身を癒そうと深い眠りについたのだ。

その姿は、さながら冬眠につく獣のようであり、ちょっとやそっとでは起きそうになかった。

【戦場ヶ原 天:就寝。2日目終了。】
【死体のように爆睡しているため、爆弾でも落ちてこない限り起きない】

68:文月宗太 ◆XzQQgkPzlg
08/05/26 19:25:38 O
>>65
「遅ぇ…!」
兵士が突き出した槍を造作もなくかわし、文月が剣を一閃させる。
それは相手を斬るための斬撃ではなかった。
刃ではなく剣の腹で、自分に、あるいは少年の方へ殺到する兵士をたたき伏せていく。
「一応峰打ちだがよ、打ち所が悪けりゃ、命の保証はねぇぜ?」
文月と目を合わせた兵士の一人が、恐怖を顔に張り付かせる。
本来なら一撃必殺意外は狙うべくもない大剣を、まるで普通の剣のようなスピードで振り回す文月の姿は、敵からすればさぞ恐ろしく見えることだろう。
衝撃がその兵士の脇腹を襲い、彼は意志とは関係なく吹き飛ばされた。 肋骨を粉砕され、大量の胃液が口からあふれ出す。
文月からすれば峰打ちであっても、兵士達からすれば即死も有り得る攻撃だった。
そのあまりの凄まじさに、兵士達は本能的に動きを止めていた。
言葉にならない恐怖が、兵士達全員に伝播するまで、さほど時間はかからなかった。
敵の士気が完全に萎えていることを悟った文月は、少年の方へと視線を移した。

69:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/26 19:48:09 0
応接室へ戻ると、既に外道院とツバサの姿は無く、もぬけの殻となっていた。
ツバサはともかく、外道院が外出するとはな……。
隠蔽用のカバーストーリーでも流した方が良さそうだ。
溜め息を吐いた時、不意に懐の『機連送』が『美しき青きドナウ』を奏でた。
慌てて取り出す。発信者は――。

「よぉ。調子はどうだ、色男?
 こっちはもうスケジュールを全部終えたぜ」

太く威厳さえ感じさせる声の主は、我が友人城栄金剛その人であった。
奴が電話で連絡を取ってくるなど珍しい。

「確かに暇をしていた。……にしても、君が直接電話を入れるとはな。
 何か良い事でも在ったか?」

はっはっはっ、と豪快に笑い飛ばす。間違いなく彼の興味を引く事が在ったのだ。
それもつい先程だ。となると、恐らく――。

「煌神リンとその協力者達が思いの他、使えるレベルだったのだろう?」

これしかない。奴の想定していたレベルにこそ届かなかったものの、
及第点くらいはクリアしていたのだろう。まるで新品の玩具を遊んでいる子供のようだ。

「解っちまったか。そりゃ長い付き合いだものな」

……少し悔しそうな顔をする城栄の顔が目に浮かんだ。

「それで……。久方ぶりに電話を掛けて来たのは、
 その件だけという訳でもないだろう?」

「まぁな。……先程、小村禅夜から連絡が在った。
 異能者と交戦、敗北。別の異能者に助けられたそうだ」

……あの小村を負かすとは。余程の手練だ。
小村とて形式だけとは言え、伊達に幹部の座を与えられている訳ではないし、
三年前のミスが無ければファーストナンバーの上位に食い込んでいたであろう人物だ。
私は目を細めた。

「ヤツにゃあ、端(はなっ)から期待なんぞしてねぇよ。
 ありゃ、お飾りみてぇなモンだ」

小村が聞いたら泣きそうな暴言を私は黙って聞いていた。

「いいか、こっからが本題だ。さっき小村を助けた野郎が居るって言ったよな」

城栄の声のトーンが一気に2オクターブほど下がる。
これは"裏の顔"で居る時の彼の声だ。

「小村のヤツが、その野郎と取引したそうだ。
 雑魚どもを"食う"事を黙認する代わりに、機関の手助けをしてくれるそうだ」

食う? 食事の事か? それとも……。

「その野郎は異能者を文字通り餌として食らう。
 どうだ、面白い能力だろう?」

確かに。異能者の事を食べるとは。
私の知りうる限り前例が無い。この祭りを企画した城栄に感謝しなければ。
知識を得る事が出来たのだから。

70:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/26 19:59:40 0
>>69
「で、俺の考えとしてはだ。小村の代わりにそいつをお前のサポートに――」
「断る。知らない奴と組む気は無い」

後ろから刺されたのでは話にならない。私は城栄の言葉を遮った。

「まぁ、そう言うなよ。使えるか使えないかも判断して欲しい。俺たちの理想の為にな」
「……使えないと判断したら?」
「殺せ。そんなヤツは要らねぇ」
「……良いだろう」

結局彼の頼みを聞く事と成った。口車に乗ったというより、折れたと言った方が正しいだろう。
昔からそうだった。最初は彼の言い分を拒否するが、最後になって折れてしまう。

「それで人相は?」
「名前はアルト・ハーケン、眼鏡を掛けたスーツの女だ。お前のタイプだろ?
 野郎はもう既に煌神リンの所に向っているかもな」

既に向っている、という事は事情を知らなければリンを食べてしまうかも知れないという事か。

「解った。こちらも急いで向う」

電話を切ろうとすると、城栄が慌てて引き止めた。何だ、まだ何か用件が在るのか?

「まぁ待てよ、色男。お前明日空いてるか?」

空いていないと言っても空けろで済ませる男だ。
ここは素直に空いていると言った方が良いだろう。

「明日、奴(やっこ)を食いに行くぞ。この前、良いヤツを見つけたんだ」
「冷奴(ひややっこ)くらい食べた事は在るぞ。
 四角に切り取った豆腐にしょうゆを掛けて、薬味を上に――」
「馬鹿野郎、ちげぇよ!」

城栄が怒鳴り声を上げるが、それはあくまで仲間や友人に掛ける怒鳴り声で、
敵や失敗した部下に対するそれではないのは解る。
――違う? どうして? 奴とは冷奴の事を言うのではないのか?
私の辞書には載っていないぞ。

「いいかァ? 俺の言う奴ってのはな、芸者の事を言うんだよ」

初めて知った。今回の来日は学ぶ事が多い。

「お前、もしかして芸者と遊んだ事がねぇのか?
 だったら尚更行くしかねぇよなぁ?」
「馬鹿な。機関一の色男と言われている私だ。
 フン、良いだろう。芸者の一人や二人くらい落としてみせる!」

変な気合が体を巡る。ここで断るのはプライドが許さない。
気が付くと手でガッツポーズを取っていた。
先程の事は訂正しよう。……私は彼の口車に乗る事が多い。

「ま、用件は以上だぜ。……しくじるんじゃねぇぞ」

言いたい事を述べるとさっさと電話を切ってしまった。
相変わらずだ、と私は少し笑った。
最後の言葉は彼なりの友人への激励だろう。素直ではないのが城栄金剛という男だ。
――私は『機連送』をしまうと格納庫へと向った……。
【レオーネ:現在地 機関アジト】
【アルト・ハーケンの事を聞かされる】

71:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/26 20:12:47 0
>>69の訂正
×『美しき青きドナウ』
○『美しく青きドナウ』

72:神重智&敬 ◆6eLTPQTFGA
08/05/26 20:29:10 0
>>61
「あんたの言うとおりだ、神重敬。」
「もしも私があんたに負けるようなら、あんた達の味方に値しないだろう」
宗方はそう言いながら紅茶を片づけた。
そしてベルトから懐中電灯を抜き、懐中電灯…?
「その勝負、受けて立つ。」
野郎、舐めてやがるのか…?
だが次の瞬間、その言葉を撤回しなければならなくなった。
懐中電灯からは謎の刃が生み出され、それを構えた。

「お互いの持つ最高の一撃を互いに放つとしよう。それなら勝負は一瞬でつく─」
その瞬間、部屋の全ての電気が消え、宗方に光が集中する。

「私の二つ名は″明滅〟スペクター 光を操る能力!」
なるほど…納得だ。懐中電灯を取り出したのも。今光が全て消えたのも。
こいつの能力によって光がすべて吸収されたせいだ。面白い。

「私には墓に刻む言葉も─入る墓もない─」
「今、ここで、この瞬間決着をつけよう─来い神重! 最高の一撃でだ!」
俺に全力を促す…楽しませてくれそうじゃないか。

「いいぜ…乗ってやるよ!その勝負にな!」
勝負が楽しい。ゾクゾクする。
腕を水平に突き出し、一つの物質…紅い刀身の刀を作りだしたが―
「チッ…こんな時に…!このクズ能力が!」
刀はその形を成す前に壊れてしまった。
恐らく智の体を制御するにはまだ時間が足りないのだろう。
能力は刀の生成を拒否した。

「仕方ねえ…今の俺の全力を見せてやるよ!」
ナイフを取り出し、それを左腕に突き刺す
腕からは血が飛び、その血はひとつの剣を作り出す。

『血祭りの剣(ブラッドソード)』
さっきの男との戦いでも使ったこの剣…これで宗方の全力に応える。

「さあ見せてくれよ!お前の全力とやらを!」
右手に紅き剣を構え、宗方に言い放つ
向こうもそのつもりだと言わんばかりの顔で睨みあう。
そして紅き剣と光の剣が交じりあい――


73:神重智&敬 ◆6eLTPQTFGA
08/05/26 20:29:46 0
ガキィィィ!


―――勝負はあっさりと…本当に一撃でついた。
ドサッ
宗方の倒れる音だ。勝負はついた。普通ならば神重の勝ちだろう。
だが神重の顔にはしてやられた、という表情しか浮かんでいなかった。
何故なら―
ドサッ

今聞こえたもう一つの落下音。それは神重の右腕だ。
そう、剣が交じり合ったとき、宗方の剣は神重の剣を上回り
神重の腕ごと切り落としたのである。つまり…宗方は無傷なのだ。
「…やってくれるじゃねえか…」
その声に怒りはこもっていない。むしろ楽しげである。
そして倒れている宗方を左腕で持ち上げ…。
「一撃で力を使い果たしたとはいえ、俺の自慢の剣ごと切り落とすとは
 たいした野郎だお前は。」
剣は決して脆くは無かった。それだけ宗方の剣が上回っていたのだろう。
敬は自分より能力が下回る相手は嬲って殺す…。だが互角…あるいはそれ以上のものに対しては
最高の敬意を払うのが礼儀だと自分なりのルールを持っている。
今回の宗方の一撃は…それに該当した。
「いいだろう。協力してやろうじゃねえか
 これからの予定を聞かせてもらおうか…」
神重は予想以上の結果に満足気であった。

(やれやれ…どうなるかと思ったがひとまずは収まったな
 だがおかしいな…いくらなんでも一撃で力を使い果たすとは思えないのだが…)
智は敬の暴走に心が休まらないのであった…。

【神重敬:宗方と戦闘後、協力することを決める
     予想以上の強さに満足気】

74:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/26 20:39:20 0
>>68
俺は桜を抱え、敵を一人斬り伏せ包囲網から脱出する。
これでもう後ろに敵はいない。目の前の敵にだけ集中できる。
敵を斬り裂き、突き刺し、薙ぎ払い、蹴り飛ばす。
俺の目の前には、刀傷から血を噴出していているもの、蹴り飛ばされた事で壁にめり込み気絶するものなどが多数出ていた。
まさかこの間まで中学校に通っていた子供風情が、ここまでやるとは思ってもいなかったのだろう。
ある者は、焦りの表情を。ある者は、恐怖の表情をみせていた。
現在、俺に向かってくる兵士は一人としていなかった。
見れば、援軍に来てくれた男のほうもあらかた粉砕し終わったようだ。
男に対峙しているほぼ全ての者が膝をつき、嘔吐していた。
男が、視線をこちらに向けてきた。
その視線がどうやら敵にはもう戦う意思、つまり士気がほとんど枯渇している事を伝えている。

「……案外だらしないんだな」

ボソっと俺は呟く。この呟きが他人に聞こえたかどうかは定かではない。
…さて?この男達、どうする?
どうせ、こんな組織に身を置いているぐらいだ。ロクな価値はないだろう。
それに、生かしたところで俺や桜、この男を再び襲うかもしれない。
一人は腕を斬りおとして戦闘能力を除去し、その後メッセンジャーとして活用。
残りの兵士は皆殺しにでもするか?
しかし、こんな所で大量の殺人を行えば少なからず騒ぎが起きるだろう。間違いなく、懲役は食らうな。
ならば、纏めて縛り上げて池にでも放り込んでしまおうか。
……これだけ大人数の人間を縛り上げられるような縄がどこにある?
ああ面倒だ。

75:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/05/26 20:39:56 0
>>57
私は今、池上に案内された部屋のベッドに腰掛けている。
さっきからおかしな事だらけだ、赤髪の少女の事もあるが、金髪の女性の言動が私のとって最も不可解だった。
何故、あのタイミングで話しかけてきたのか、しかも自分も泊めろなどいくら相手が池上で無くとも断るだろう。
しかし、異能力者を野放しにしておいて良かったのだろうか?
という疑問が私の頭をよぎった、仕留めておいた方が良かったかもしれない。
なにかが起こる、私の中ではそんな予感がしていた。

「あの金髪の女はどこかおかしい、多分俺達の中の誰かを狙っている」
「師匠もそう思いますか、私もおかしいと思います
池上との約束を守るためにも、今日は寝ないで番をしていたほうがいいかもしれませんね」

そうして私はベッドから腰を上げ、部屋の窓から誰かが襲撃してきても分かるように外を伺いながら、やがて来るであろう戦闘に備えて軽く素振りをする事にした。

【籐堂院瑞穂:ひとまず現状維持 警戒態勢】

76:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/26 20:41:09 0
>>65
俺が頭の中で色々と兵士達の始末について考えていたが、なにやら場が騒がしい事に気がついた。

(何だ、何を騒いでいる)

>「そうそう、やめとけって」

この男……誰だ……
兵士達は、この男を知っているようだ。そして、この男に敵対する意思はないらしい。
ここから推測されるのは……この男が兵士達の仲間、もしくは上官ということだ。
桜が、俺の後ろに隠れる。その桜を庇うように、俺は前に出た。

>「いやいや、すまん俺はまったく敵意はないよ。」

本当か?…簡単には信用するわけにはいかないが、それじゃあ話しが続かない。
この場はとりあえず信じることにし、剣を下げた。

>「お前、唯能高校の生徒だろ?お前らの学校に煌神リンっていないか?身長がちっちゃいやつ」

煌神?
あぁ、そういえば違うクラスにいたな…珍しい苗字だったから覚えている。
まぁ、会話をしたことは無いが。

「リン…ちゃん?」

俺の背後に身を隠しながらも、桜が答える。
どうやら桜も知っているらしい。

「…知ってるよ。何度か一緒に遊んだ事があるから。
 でも、最近行方不明になってて…貴方は、リンちゃんの事知ってるの?」

なんてこった。桜と煌神は友人の仲らしい。
聞けば、メールアドレスも交換しているとか。
しかし、最近は返事が無く学校にも着ていないとの事。
何かあったのか?……まさか、桜みたいに誘拐されたんじゃないだろうな……?
俺は、名前だけ知っている煌神について様々な想像を膨らませるのだった。

【廻間:煌神の行方について想像】
【桜:ツバサの問に対し、知っていると答える。廻間の後ろに隠れている】

77:葦川妃映 ◆oov3HbsEaA
08/05/26 21:06:18 0
【国崎薬局:居間】

目前にはカレーもといカレー(笑)。
おそらくは国崎が作った物であろうそれを口にしたときの
それぞれの反応の違いはなかなか興味深い物だった。

が、その愉快な出来事をを食事と捉えることは無理だった。
シュールなドッキリパーティーだったと考えたほうが幾分か建設的だと思う。
苦笑を保ったままスプーンをおいて席を立つ。
「国崎さん。貴方のお店で包帯買うわ。レジにお金入れておくから、宜しくね」
それだけ言うと、店の方へと降りる。
暗い店内の中を、包帯や救急セットを探して歩く。
時々躓きそうになったが、眼が慣れてくるとそれも無くなり、気がつけば物色を始めていた。
「包帯と救急セットはこれでいいとして─あ、これとこれもあると良いかも」
手に取ったのは強力な栄養ドリンクと、噴射式の殺虫剤。
別にこの騒動で使わなかったとしても、日常生活でつけば良い。
「備えあれば憂いなし」と「杞憂」のバランスを考えるとこんなものかな。
レジの中に千円札を三枚入れて、包帯を巻きながら
葬式ムードの居間へと戻ろうとしたら、ふとあくびがこぼれた。
台所に引きこもってしまった国崎も呼び戻して一度、本格的な方針を決めたいところだ。
きつめに巻かれた包帯が、気持ちを引き締めるとともにどこか安心感を与える。

選択肢は多数ある。ならば、望む答えもきっとある。
「と、言うわけで頑張りましょうか」
買った物を手に持ちながら、いざ居間へ。

【現在地:国崎薬局 応急処置完了】

78: ◆7Q1qJNYWx.
08/05/26 21:09:36 0
>>76
ふむ、俺の問いかけにこの女は知っていると答えた。

「ん、あぁ俺はあいつの兄貴だ」

俺が答えると女のほうは警戒を少し解いたようだ、だが大鎌を持っている自分に完全に心を開いてないようだった。
俺は女の傍らの男、多分異能者だろうに挨拶する。

「お初お目にかかる、機関がナンバーⅡ、ツバサ=ライマースだ」
機関のナンバーⅡ、その事実を聞いたところで男はあからさまに警戒を強めたようだった。

まぁ、確かに2番と聞いて警戒しない奴はいないだろう。
…なんか無駄に隣から殺気浴びさせてくるし。

「あぁ、警戒しないでくれ俺はただ妹の様子が気になっただけなんだぜ?」

とりあえずこの女に自己紹介と、リンについて教えてもらう事にした。
一通り教えてもらうと俺は虐殺部隊を追っ払う。

「さて、これで俺の目的は終了だが…ふぅむ・・・お前、俺と戦ってみないか?」

俺は、廻間に戦いを申し込んだ、あ、せっかく警戒がとけてきたのにまた警戒させてしまった。
「大丈夫だ、その女は巻き込まない機関の幹部にどれだけ通用するか試してみたくはないか?
もちろん二人でもいいぞ?そこの男とな…」

廻間は了承しその前に聞きたい事があるといった。
リンの行方についてだ、俺は正直にリンの異能について答えた。
「さて、これでいいだろう?さっさとはじめようぜ♪」
久し振りの戦闘だ、自然と機嫌がよくなる。

【ツバサ:廻間に戦いを申し込む】
【桜にリンとの関係を話す】

79:文月宗太 ◆XzQQgkPzlg
08/05/26 21:18:31 O
>>76

間違いない、能力者だ。現れた男を見て、文月はそう確信した。
その男は誰かを探しているらしい。
ならば、まず話を聞くべきだろう。
頭では理解できる。しかし、光を喪った右目の疼きが、文月の感情を加速させた。
人を探しているのは、自分も同じだ。
「おい…」
敵意を隠そうともせず、文月は現れた男に歩み寄っていく。
敵意はまだ殺意には到ってはいないが、いつ殺意に変わってもおかしくない。
「テメェ…機関の異能者か?」
そう言って、男を睨みつける文月の瞳。
そこには、攻撃的で自虐的などす黒い炎が渦巻いていた。

80: ◆7Q1qJNYWx.
08/05/26 21:24:03 0
>>67
リンは今、池上に案内された部屋のベットの上で考え事をしていた。
リンは一人で寝られないのだ、昔から兄が過保護だった事もあるが自分ひとりでは眠れないようになってしまっている。

いつもは、使用人にそばについてもいらうから問題ないが今はその使用人もいない。
そう言う事でりんは悩んでいた。

「どうしよう…さっき池上さんに服を貸してもらったけどメイド服だしこれ・・・」
まぁ、金持ちといっても女物の服まで用意してある筈もないから、しょうがない。

リンはあきらめて、居間にいく事にした。

居間では戦場ヶ原が、ソファで寝ていた。

静かに眠っている彼の顔を見て思わず笑みをこぼす。
よく見ればこのソファも結構広い、人二人が寝ても大丈夫なほど、リンは数分間悩んだがついに決心した。

「お、おじゃまします…」
顔を真っ赤にさせおずおずと戦場ヶ原の隣りにねっころがる。

顔を赤くしつつもリンは安らかに眠りに落ちていった。

【煌神:戦場ヶ原の隣りに寝る服装はメイド服。】

81:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/26 22:05:08 0
>>66
「知ったことか。失せろ」

私の言葉を聞くと、彼はすぐにそう返した。予想通りではある。

「─行くぞ」

そのまま去っていく彼らを、私は追いかけもせず、声をかけもせず見送った。
さて、これで確証が持てた。やはり、あの男は同情から他人を泊めるタイプではない。
一見すると冷血漢に見えて、根っこではお人好しなタイプである可能性も消えた。
となれば、籐堂院 瑞穂を泊める理由は言葉の通り。戦力が欲しいから、だ。
彼の力は機関の調査したリストで確認している。かなりの異能者だ。
そんな彼が、わざわざ他人に用心棒のような真似をさせるというのは変だ。
つまり、自分で戦うわけにはいかない状態だということだ。

「さて、誰かとの戦闘で負傷したのか。それとも能力の使いすぎか。
 どちらにせよ好機です。今なら相手をするのは籐堂院 瑞穂だけになるでしょう。
 ――ん。あれ?」

携帯が鳴っている。登録されていない番号からの連絡。となると、

「はい、もしもし。こちらはアルト。あら、やっぱり上野さんですか」

予想通り、電話の相手は上野さんだった。
なんでも、煌神リンの確保の手伝いをするように、ということらしい。
それを私に伝えるように、上から命令されたとか。
煌神リン。機関の重要視する異能者。――その重要性を再確認する。
何故なら、彼女の確保を任された者が、機関の幹部。ファーストナンバーの一人。
Nо.6。レオーネ・ロンバルディーニ。それほどの大物が動くほどの相手か。

「え? いえいえ、リストには重要人物とありましたし、食べる気はありませんでした。
 ……酷いですね、本当ですよ? 覚醒の兆候がある、程度なら食べたかもしれませんが。
 少なくとも、重要人物を無断で食べて、機関に敵対するような真似はしません。契約したでしょう?」

しつこく忠告を受ける。絶対に煌神リンを食べるな、ということだ。
――しかし、幹部。それもファーストナンバーと共同戦線か。
この目で、その力をじっくりと見せてもらいたいものだが。そんな余裕があるかどうか。

「…ともかく、合流しないといけませんからね。
 合流場所については… えぇ、お願いします」

上野さんからの説明は終わった。まずは機関の幹部との合流が先決だろう。
しかし、実に面白い人だ。少し慌てていたように聞こえて、愉快な気分になった。

「身体の調子は十全。精神面も十全。つまるところ、すべてが十全。
 ……さて、参りましょうか。無理矢理にでも確保するというのなら、そこそこ得意です」

【アルト:レオーネと合流しようとする】
【小村のことを上野恭平だと思っている】

82:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/26 22:39:44 0
>>70
やはりF-15Eは良い機体だ。加速、操作性全て申し分ない。
耐Gスーツを着用していないが何も問題ない。
常人ならGに耐えかねてブラックアウトしてるだろうが、
機関の鍛え方は通常の軍隊の鍛え方とは違う。
出来なければ、待つのは解雇ではなく死なのだから……。
それに、私とて機関の幹部だ。
身体強化系の能力者に一歩及ばずともこれ位は出来る。

しかし、ここに来てようやく思い出す。肝心要の事を……。
――場所を聞いていなかった。
しまった、何たる失態! どうする!? 聞きに戻るか!?
そこで、また思い出す。『機連送』の存在を……。
片手で取り出すと、急いで本部に連絡を入れる。

「私だ。煌神リンが最後に目撃されたのは何処だ?」
平常心を保ちながら、冷静に問い掛ける。
これではカッコが付かないが、聞かなかった私が悪いのだ。
そんな私に親切丁寧に教えてくれた連絡員には、昇格という褒美を与えてやろう。
聞いてきた事に多少驚いていたようだが……。
涙のナイトフライトに成らずに済んだのは幸いだ。
ついで……という訳ではないが、
連絡員が小村から聞かされたハーケンの携帯電話の番号も教えられた。
スロットルを更に上げると、聞かされた場所へと方向を変えた。

機体を平行に保つと、『機連送』を使ってハーケンに連絡を入れる。

「君がハーケン? アルト・ハーケン君か?」

声の質からして十代後半から二十代前半といった所か。
慇懃な喋り方をした女だ、これが彼女への第一感想だった。

「間もなく近くで花火が上がる。何、場所は直ぐに判る。
 君も参加するのだろう? デートには遅れないで来て欲しいものだ」

これだけ伝えれば十分だ。私は電話を切った。
全ての準備は整った。後は異能者の反応を頼りにするだけ。

――流石に戦闘機は早い。機関本部から物の数分で到着した。
速度と高度を下げて見てみるが、それらしい人影は見当たらない。
少々不機嫌な気分になっていると、不意に感覚が鋭くなる。
どうやら発信源は、他の住宅よりも豪奢な建物の中からのようだ。
協力者の家か、それとも潜伏先だろうか。
どちらにしろ、知った所で意味は無い。これから無くなるのだから……。

場所が判れば話は早い。
彼らは今、"最近、夜に飛行機が良く飛ぶようになった"と思っているだろうが、
残念ながら戦闘機だ。まあ、飛行機である事には代わりは無いが。
挨拶代わりに、建物に空対空ミサイル『スパロー』を発射する。
二階にリンが居ない事を祈りながら……。
爆音と共に物の見事に二階部分が吹き飛んだ。

さぁ、パーティーはこれからだ、リン。

【レオーネ:現在地池上家 上空】
【池上家は二階部分が綺麗に吹き飛ぶ】

83:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/26 23:04:58 0
>>78
男は機関のナンバー2、ツバサ=ライマースと名乗った。
……機関……機関か。
桜を洗脳し、七重を襲わせたあの機関か。普段の俺なら激昂しツバサに飛び掛かっていた事だろう。
しかし、今の俺は本当に落ち着いている。これも全て、漆黒の心のおかげだ。
俺は心の底から、この心の伝授してくれた師匠に感謝した。

>「あぁ、警戒しないでくれ俺はただ妹の様子が気になっただけなんだぜ?」

……兄、か。アニキは今、何処で何をしている事やら……
ツバサがリンの兄だと知るやいなや、桜が少しだけ……本当に少しだけだが、警戒を解く。
やはりリンの兄というより、自分を誘拐した組織の人間というのが大きいのだろう。
桜は自らの名前を名乗り、少しずつ……少しずつ、自分の知ってる限りのリンの事を喋り始めた。
もちろん自らを機関の人間だ名乗ってる人間を、そう簡単に信用するわけにはいかない。
しかし……この男からは敵意を感じない。今だけは、ほんの少しだけ信じておこう。

>「さて、これで俺の目的は終了だが…ふぅむ・・・お前、俺と戦ってみないか?
大丈夫だ、その女は巻き込まない機関の幹部にどれだけ通用するか試してみたくはないか?
もちろん二人でもいいぞ?そこの男とな…」

なるほどね、いわゆる模擬戦と言うわけか。
確かに自分の力が、機関にどこまで通用するか試してみたい。
しかも、この男は自らを幹部だと名乗っている。
先ほど名乗ったナンバーが本当なら…トップレベル、幹部の中でも指折りということになる。
そんな相手と戦えるチャンスなど、滅多に無い。この千載一遇のチャンス、逃すわけにはいかないか。

「……分かった。言ってるとおり、桜に手を出さないというのなら戦ってみよう。
 俺自身も、自分の腕がどれほど通用するか試してみたい」

俺はツバサにそう返すと、援軍に来た男に向き直りこうつげた。
もちろん、自らの未熟さは分かっている。
しかし、スピードだけなら誰にも負けない自信がある。
そこを利用し、敵の虚をつけば勝機は見えてくるかもしれない。

「さて、俺はツバサと戦ってみるけどどうするんだい?
 言うとおり、2対1のハンディキャップを仕掛けるか?それとも、一人ずつぶつかるか?」

相変わらずの漆黒の心状態の故、冷たい瞳を男に向けて提案を持ちかけた。

【廻間:ツバサの提案に了承の意を示し、文月にどうするのか問う。桜は戦闘時には距離をとります】

84:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/26 23:14:58 0
>>82
と、上野さんとの連絡が終った途端にまた電話が。しかもまた登録されていない番号から、
ともかく出てみると、いきなり声が聞こえた。

「君がハーケン? アルト・ハーケン君か?」

機関の人間か。あるいは――この声の主がレオーネ・ロンバルディーニか。

「ええ、私がアルト・ハーケンです。
 …偶然、捕獲対象のすぐ傍まで来ていましてね。
 今すぐにでも行動は可能ですよ?」

「間もなく近くで花火が上がる。何、場所は直ぐに判る。
 君も参加するのだろう? デートには遅れないで来て欲しいものだ」

その一言を伝え終わると同時に電話は切れた。

「花火… 爆弾か何かでしょうか。あるいは――」

音が聞こえた。飛行機の飛ぶ音。このタイミングで、ということは、つまり、

「随分と思い切った真似をしますね。
 …隠蔽できるのならばいいんですけれど、ね」

いや、そんなレベルの話か? 戦闘機による強襲。花火という言葉から連想すれば――
空を見上げる。そこに見えたのは、今まさに発射された、ミサイル。
それは池上 燐介の家の、二階に直撃した。って、ちょっと待ちなさい、

「バ――――バカですか貴方はっ!
 あんな様子では中にいる目標が無事かどうか…! しかも、隠蔽工作が可能なレベルではありません!!
 …仕方ありません、ともかく今は生存者の確認をしなければ。救助活動も考慮せねばいけませんね、これは」

思い切った真似、どころの話ではない。これだけの爆発。これだけの規模。
いかに機関の力大きくとも、隠蔽できるレベルではない。
だが、まあ、その気になれば可能かもしれない。どこぞのテロリストの仕業に仕立て上げる、とか。
かなり苦しいが、悪の組織の暗躍だとかよりは現実味があるだろう。

「機関のNо.6――能力はともかく、性格に難がありすぎる…!
これでは協力する、どころの話ではありませんよ!!」

駆け出す。らしくもなく神様に祈りたくなる。死なないでくださいよ、籐堂院瑞穂に煌神リン。
ちゃんと生き延びてもらわないと、私が困るんですから!

【アルト:ミサイルの着弾を確認。池上邸に突撃し、生存者を確認する】
【小村のことを上野恭平だと思っている】

85:文月宗太 ◆XzQQgkPzlg
08/05/26 23:17:30 O
「…機関の幹部とはな!今夜はツいてるやがるぜ……」
何がそんなに嬉しいのだろうか。
先程までの文月とは明らかに違う。怒りと歓喜が入り混じった言葉。
少年からの問いかけも、聞こえていないのかもしれない。
文月は少年の方を振り向きもせず、ツバサと名乗った男へと斬りかかった。

86:五徳 静慎 ◆YUm3AOdOaA
08/05/26 23:43:50 0
「美しい花火だ・・・」
ミサイル着弾の瞬間を見てつぶやく

「あれをやった者はさぞかし素晴しい『驚喜』、いや『狂喜』か?
 いずれにしろ『喜劇』を見せてくれそうだ。
 ぜひともその返り血で描かれたサインがほしいものだ。」

池上邸に足を進めようとして立ち止まる

「しかしこんな事を実行できるのは『機関』だけだろうが・・・・
 いくらなんでも無茶苦茶だな・・・?
 無人兵器でも暴走させたか?」

言って再び歩みを進める

【五徳:ミサイルに興味を持ち池上邸に接近あと2,3分くらいで到着しそうなあたり】


87:池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU
08/05/26 23:45:42 0
割と広い庭の所々には多くの草木が植えられている。敷地の隅には鯉でも飼っていそうな
池が見受けられ、その反対側には二台の高級車がガレージの下に停められている。
俺は見慣れた風景に目を奪られることなく、庭の真ん中を自宅の玄関目指して歩いていく。

玄関を開け、後ろからついて来た三人を自宅に招き入れる。
玄関の正面から除かせる廊下には埃一つ落ちていないのが窺え、
内装は派手な飾りつけも無く、ただそこには清潔感だけが漂っていた。
この三人は大方予想していたことなのか、特に驚きは見せていない。

俺は籐堂院を二階の両親が使っていた寝室に案内した。
その寝室のベッドは一人が使うには広いダブルベッド。ドアを開けた隣の部屋にはバスや
トイレが備え付けられており、冷蔵庫までもが設置されているので、不自由はしないだろう。
彼女が条件を呑んだことで、俺は約束通り良い寝床を提供したのだ。

山田や煌神 リンには、「一階なら俺の部屋以外、どこを使ってもいい」と言っておいたが、
彼らは空き部屋となっているいくつかの部屋を使おうとはせず、居間で寝転んでいた。
煌神 リンは寝る前に着替えがしたかったらしく、俺に女物の服を寄越すように申し出た
ので、以前に俺の家で働いていたお手伝いが使っていた服を渡してやった。
別にそれが俺の趣味だったわけではなく、この家には女が着れそうな服は
その服しか無かったというのが実情だ。

俺は自分の部屋へ入ると、ボロボロになった服を脱ぎ、
タンスから取り出した新しい服に着替え、机の椅子に腰をかけた。
そして俺はそこから自分の部屋の窓に目を向けた。
カーテンをしていないため、部屋の電気が窓を通して自宅の庭を映している。
─水が抜かれ、鯉どころか虫も住んでいなそうな石と岩だけの池。
真っ白な埃を被ったままの車が置いてあるガレージ、枝や草の葉が伸びきった
庭に植えられた草木─。
彼ら三人は夜中であったので気付かなかったのかもしれないが、
実のところ綺麗に掃除されているのは自宅の中だけであり、庭は全くの放置状態なのだ。

俺は一人で暮らしてはいるものの、両親はまだ存命中である。
ただ二人とも実業家というやつで、常に世界各地を飛び回っている人種だ。
そのせいで俺は幼い頃より、両親に代わって雇われたお手伝いに世話をされて来た。
それまでは庭も綺麗に手入れがされていたが、俺が両親に頼んで本当に一人で生活
させてもらうようになってから、庭が綺麗に手入れされることはなくなった。
一人でも定期的に掃除はしているが、何分広い。つまり庭にまでは手が行き届かず、
こうして自宅の中だけが清潔に保たれるという現象が生まれたわけだ。

そういえば……あの高級車を送ってきたのは両親だった。
俺が二十歳の時に、成人の祝いとかいうやつで……。
まぁ、大学は市内にあるし、買い物に遠出することもないのでほとんど使っていないが。
もっとも自分達が送った車が使われていないということすら、二人は知るまい。
前に会ったのは確か……三年程前になるからな……。

88:若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts
08/05/26 23:47:05 O
>>29
「金というものはあるところにはあるものでござるな」
御剣は屋敷の広さに呆れていた。機関のシナゴークとして使われていたことは聞いていたが客間だけで40部屋あるとは思いもしてなかった。
御剣が自嘲的に笑いながら通路の向こうに気配を感じていた。
「お客様、当屋敷にお越しいただきありがとうございます。ご案内はわたくし葛野美弥子が承らせていただきます」
美弥子は大鎌を取り出すといきなりふりおろした。御剣が身を屈めると大鎌はほんの少し前まで首のあった場所を通過した。
「いやいや、どういたしましてでござる。貴殿の寝間着姿なかなか艶っぽうござる」
同時に二本の苦無が飛んだ。苦無は美弥子の急所を正確に狙っていたが大鎌にひとふりで弾かれた。
「申し訳ございません。お客様の急な来訪で身支度が整いませんでした」
ふたりはお互いの実力を厄介な相手だと十分に把握した。感情を昂らせることなく冷静に人を殺せるその筋の人間であるのだと。そう、人を殺すことを日常として扱える種の人間だと。
「御主人様は只今お休みになられております。僭越ながらメイドのわたくしが御主人様に成り代わりあなた様を冥界にお見送りさせていただきます」
大鎌がうなった。暗闇に風をきる音だけが聞こえる。一撃、二撃、三撃―美弥子の攻撃を御剣は全てかわした。
「メイドに冥土送りとは冗談にもならぬでござる」
御剣は彼女が予想以上に厄介な相手だと認知した。彼女の攻撃には起こりがなかったからだ。
目の動き筋肉の緊張息づかいかすかな兆候でも見逃さない自信はあったが彼女はごく自然な状態から攻撃に移ることができる非常に厄介な相手だ。
「本気を出すでござる。ミツルギ忍法暗闇の術」
御剣の身体から闇の光が現れ周囲をさらなる暗闇に落としこんだ。

89:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/26 23:47:36 0
>>82
リン、お前が逃げたからこんな事になるんだよ。
あの時逃げなければ、大人しく私と一緒に来ていれば……。
もう一発発射した所でリン達が家から飛び出てくるのが見えた。
最後の一発は民家に命中したが、なんと言う事は無い。
リンを捕まえる為だ。多少の犠牲は止むを得ない。
私は脱出装置のレバーを倒した。

――着地し、スーツに付いた埃を軽く払う。
折角の『エルメネジルド・ゼニア』だ、汚れはつけたくない。

周囲の様子を見渡すまでも無い。そこら中から火の手が上がっている。
隠蔽は――
……無理か。起きてきた者も居るようだ。
だからどうした? 最初から隠蔽などするつもりは無い。
私には使命が在るのだ。
『世界改竄』……。その為にはリンの捕獲が第一なのだ。
まぁ、生きて居たらの話だが……。
丁度、先程まで私が乗っていた戦闘機が民家に墜落するのが見えた。
目的地から少々距離が在るようだ。

「おいで、リン。私の最高傑作」

――私は顔を手で隠すと、高らかに笑った。
狂おしいまでの笑いが腹のそこから湧き上がってくる。
あの程度でリンが死ぬ訳が無い。私には解る。
民衆とは逆方向に進む。一つオペラでも歌いたい気分だ。
朝のコーヒーを飲むよりも遥かに清清しい。
悲鳴の中を笑いながら歩いていると、目の前に煌神リン達が現れた。

――漸く逢えたね、煌神リン。

【レオーネ:現在地 道路】
【精神が高揚しています】

90:池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU
08/05/26 23:48:21 0
しかしそうやって二人が稼いでくれるお陰で、俺は学費にも毎日の生活にも
何不自由することなく、こうして生きてこれた。
それを理解していたからこそ、俺はこれまで両親に何一つ文句を言ったことは
なかったが……。

「まぁ……俺は殺人者だ。親の目の届かぬ所で不孝を働いている子供が、
偉そうに親の勤めを果たしていないと文句を言うわけにもいかないしな……」

窓から庭を眺めながら、俺は独り、無意識の内に小さくそう呟いていた。

壁時計を見る。時間は午前一時を回っていた。
恐らく籐堂院は起きているだろうが、他の二人は寝てしまっただろう。

「さて……俺も寝るとするか」

俺は椅子から離れ、自分のベッドに横になり目を瞑った─。
──。
──。

>>82─ドオオオオォォォンッ!!

─眠りかけていた脳を、正に揺さぶり起こす程の轟音と振動で俺は瞼を開けた。
何やら家全体が揺れている。近くの家が爆発事故で起こしたのだろうか。
……いや、違う。この揺れは、俺の家から─二階で起こっているのだ。

しかし、爆発が自分の家の二階で起こったものだと気付きながら、
俺は身体一つ動かさず落ち着いていた。
─というより、起きるのが面倒で、動く気にはなれなかったのだが。

「ただの爆発ではないだろうな……とすれば異能者か……。
……まぁ、異能者退治は籐堂院に任せてある。俺はもう少し休ませてもらおう……」

こうして、俺の意識は再び眠りへと入っていった─。

【池上 燐介:爆発に気付きながらも再び眠りに入る】

91:オマエ ◆Jd2pQO.KKI
08/05/27 00:43:16 0
公園。数日前に戦ヶ原と剣使いが繰り広げた壮絶な戦いで廃墟となり、
閉鎖されたその場所に、三つの人影があった。
一人は30代の女性、もう一人は小学生らしき子供。
その二つの影は手にナイフを持ち、数分前から何度も交差しており、
金属音や肉切音を響かせている。
彼らは、腕力や速度こそ常人離れしていたが、動きは素人そのものなので、
互いにナイフの一撃を避けられず、交差するたびに体から流れ出る血液を増やしていく。
「痛い、い”だいよ!! 止めて、もうやだよママー!!」
「いやあっっ!なに、もういや、逃げて―ちゃん逃げてー!!」
そして、その度に泣き叫ぶのだが、どうした事か、身体は相手を殺すため、
その意思とは反対に相手に切りかかっていく。何度も。何度も。何度も。

「あー、ホラ!頑張ってくだサイ!そコ!右!右ですヨ!」
その様子を残りの一人。白い仮面に白いスーツを来た綺麗な白髪の人間が、
崩れかけた滑り台の上から、手に汗握ると言った様子で眺めていた。

「ママ!ママ!マ……がっ」
「あああっ!!?嫌!嫌!いやあああああ!!!」
そうして、さらに数回の交差を経て、女性の手に持つ刃物が深々と子供の
胸を貫く事で決着は付いた。人影は二つになる。

「エクセレントッ!! 私君は感動しましたヨ! いやー、やはり勝負を決するのは
 リーチと体力でしたカ。 両方とも必死なのがまた、私君的に好感度アップでシタ!」
「……どうして……どうしてこんな……」
楽しげな声で拍手をしながら女性に近づく仮面の人間の言葉に反応せず、
女性は自分の子供だった物を見つめながら呟く。
ソレに対して仮面の人間は、まるで勝者へのご褒美だとでもいう様に、律儀に返答を返す。

「ああ、それは僕君の趣味でス。いや、最初は洗脳した方達を送るだけの
 任務だったのデスがネ。どうも金剛サンが面白そうな事をシテいるみたいなので、私君、
 No69サンに無理を言って街への派遣を代わって貰ったのデスヨ。
 でも、着いたら待機命令ばかりで暇で暇で仕方が無かったカラ、洗脳した人間で趣味の
 人間遊びを始めたんデス。あなた達は、人間の中では実に素晴らしかったデスヨ?
 ……ア。怒られるから、この事はファーストナンバーの人達には言わないでくださいネ?」
 
まるで、楽しい秘密の娯楽を語るような男の物言いに、絶望していた母親は、目に憎しみと怒りの
色を浮かべ、血と涙を混ぜた怒りの声を出す。

「お前が……お前みたいな奴がっ!!!」
手のナイフを握り締め、先程から自由を取り戻していた身体を仮面の人間の方へ向け
「はい、私君の名前はオマエでス。 ああ、私君の用はもう終わったから、
 あなたも死んでいいデス。自分の首にナイフを突き立ててくだサイ」
「な……グゲ!?」
そのナイフで、自分の喉笛を切り裂いた。女性だった物は倒れ、人影は一つになった。

「んー、やっぱりこの街は楽しいですネ!面白そうな素材も何人かいましたシ、私君、この町が
 大好きになるかも知れまセン!」

そう言って、『オマエ』という名の仮面の人間が伸びをすると、
その上空を轟音を立てて戦闘機が飛んでいくのが見えた。直後に響く、爆発音。
 
「……誰でしょうカ? 金剛サン?外道院サン?それともレオーネサンですかネ?
 全く、うっかりさんですネ。あれだけ派手にやったら、この町の秘密のお祭りが
 見つかってしまいますヨ?……そうダ、今回は気分もいいので、お手伝いしてあげまショウ」

【(NPC)機関NO.13 オマエ:虐殺部隊に紛れ込んで町に入る。
 人間で遊んでいたが、レオーネの起こした爆発を見て、
 爆発地周囲の一般人を洗脳操作する事により、爆撃と戦闘機飛行の情報隠蔽を開始】

92:若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts
08/05/27 00:45:57 O
>>88
闇の光…奇妙な表現だがそれはそうとしか表現できなかった。どう見ても御剣の身体は闇で周囲を照らしていた。
「夜の闇…聞いたことがありますわ、【闇黒(エンプティ)】と呼ばれる異能者ハンターがいることを…」
「拙者も聞いたことがあるでござるよ。特殊部隊<博愛の死神>に歩く武器庫と呼ばれた隊員がいると…」
「女性の過去を詮索するのは礼儀に反しますわ」
美弥子は正確に御剣に対し攻撃を仕掛けた。
「いやはや、目がきかぬというのによくわかるでごさるな」
「わたくしにとりまして当屋敷は神聖なる職場。屋敷のつくりなど目を瞑ってもわかります」
嫌な相手だと御剣は思った。しかし、美弥子が大鎌の石突で床を叩いていることを見逃さなかった。
御剣は彼女が蝙蝠のように床を叩いた音の反響で自分の位置を確認しているのを知り驚愕した。
(音ならばこちらにも手はあるでござる)
ピュュュュュュィ―
笛のような音が美弥子を襲った。咄嗟に美弥子は大鎌の刃で音を受け止めた。
「指弾!」
それは暗器の一種。暗器とは隠し武器のことで小さく目立たないことから暗殺等に使われる道具である。音が出るのは彼のオリジナルだろうがここはそれが幸いした。
「まだまだ続くでござる」
一発、二発、三発と音が美弥子におどりかかったがすべてそれをかわした。するとかわした四発目が美弥子の二の腕をかすめた。
「跳弾!!」
床か壁に当たった音が入斜角を変え美弥子を襲いはじめた。五発、六発、七発を過ぎたあたりから美弥子は聴覚の異常を感じた。
反射し反響してくる高音に三半規管が悲鳴をあげはじめていた。美弥子は御剣の位置を見失ったことでこの武器が聴覚を封じるためのものだと気付き己の迂濶さを呪った。
「とどめでござる」
美弥子の眉間に向かって音が襲った。

93:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/05/27 00:53:12 0
私は池上なら何も言わずに許してくれるだろうと思い、屋敷の一階にある台所に行き、勝手に淹れさせて貰ったコーヒーを飲みながら、外の景色を眺めていた。
実に静かだし、何も起こりそうもない、まさか私の思い過ごしだったか?
すると、上空から戦闘機が飛んでくるのが見える、まさかとは思うが『機関』か?
随分派手な登場をしてくれる、私は最後にコーヒーを飲み、迎撃しようと天之尾羽張を持ち、口に含んだコーヒーを盛大に吹いた。

「な、ミサイル?冗談だろう?ちょっと待てあれは『機関』じゃないのか?」

その戦闘機は移動用ではなかったのだ、なんとミサイルを発射した。
『機関』がこのような暴挙にでるとは思えない、だとすると『機関』以外の別組織か?
そうしている内にミサイルは池上宅の二階に命中、すさまじい轟音と共に天井に亀裂が入った。
早く避難しないと崩れるかもしれないな、池上達が危ない、忠告だけしといてやるか。

「早く逃げろ、空襲をうけた!このままだとこの建物は崩れる可能性が高い」

そう叫び、私は窓から外に出て上空を見上げる、何者かが戦闘機から降りてきたみたいだ。
馬鹿な奴だ、大騒ぎじゃないか、これではここに警察が来るのも時間の問題だ、手っ取り早くかたをつけよう。
屋敷というか何というか見るも無惨な建物から戦場ヶ原達が出てきたのが見える、池上は居ないようだが、今は関係ない、奴を追わねば。
戦場ヶ原達が逃げている方向に一人だけ他の人の流れを逆らって歩く者が居た。
あれが、この騒動の首謀者か、どこかで見たことがある。

「おいおい、あれってレオーネじゃねえか?」

師匠が言う、確かに前逢ったのは結構前だが私は覚えているし、登場の仕方も似ている。
あれは、確か私達の組織の本拠地に戦闘機で乗りこんできて何度も爆撃した時だったかな?
結局、欲張りすぎた戦闘機は全て師匠が落としたんだがな。
奴は人の精神に干渉する能力でなかなか手強かった記憶がある、そのせいで仕留め損ねた覚えがある。
そういえば、今はそんな過去を思い出している場合じゃなかったな。
私は戦場ヶ原達の横を素早く駆け抜け、レオーネに肉薄する。
そして、高笑いしているレオーネの鳩尾に思い切り拳を叩き込む。
レオーネは体を折り曲げ、大きく咳き込む。
自慢じゃないが私の拳は岩すら容易に砕く、常人相手なら一撃で命を奪うことすら可能だ。

「気でも狂ったか?レオーネ・ロンバルディーニ、私が直々に目を覚まさせてやろう」

そう言い放ち、私は天之尾羽張を抜き構える。

【籐堂院瑞穂:レオーネと相対】

94:宗方零 ◆BSFghFxWJY
08/05/27 01:32:51 0
「さあ見せてくれよ!お前の全力とやらを!」
神重が血から剣を作りだし、 宗方に向かって踏み込んでくる。
宗方も懐中電灯から生み出した光の刃を正眼に構え、神重へ打ち下ろした。
そして紅き剣と光の剣が交じりあい――

完全な暗闇の中に宗方は居た。

─今は 何時だ ここは どこだ 私は 神重はどうなった─
すると宗方の前方に、TV画面の空きチャンネルに合わせたような砂嵐が舞い
宗方に数十病前の過去の映像が映し出される
ガキィィィ!
―――勝負は一撃でついたようだ
光の刃は神重の剣を上回り、神重の腕を切り落としていた。
しかし、宗方には理解できない。
映像を見ると、明らかに神重の剣の速度が上回っていた。
にもかかわらず宗方は神重の剣を弾き、腕を切り落とした。

そして、何故私はこんなところに。

「力が足りない、数が足りない、お前には、そしてこの世には光が足りない─」
宗方は後ろを振り返る、そこには形のない影が居た。
影は明滅しながら宗方を覆い、囁く。
「愚か者め─神重は人格の切り替えで隙が出来ていたのだ、
お前が勝てたのは─僅かな幸運にすぎぬ」
影はさらに囁く。
「私はスペクター、亡霊、お前の能力そのもの、かつて死した能力者の思念、宗方、お前は今死んだ─」
「スペクターとは己の命を削り亡霊になる能力、それがこの能力の本質」
「お前は力の振るいかたを知らぬ、だから死んだ─己の命を使ったのだ─」
「お前に二つ光を与えよう、もっと多くの光を扱える能力を能力″明転〟スペクトラルを」
「そして、自ら光る事の出来る能力、″明滅〟スペクター、代償はお前の命だ─」
「「光を欲しくば死ね、そして最後には我らの列に加わるのだ─死した能力者達の列に─」

宗方は悟った。宗方が子供の頃に見たTVの発光現象、宗方が覚醒した理由。
それは、死んだ能力者の思念をデータ化し、それを放送していたのだ。

95:宗方零 ◆BSFghFxWJY
08/05/27 01:35:51 0
「我らはひとまずお前から去ろう、お前を現世に呼び戻す、
お前はあと2度死ね、機関を抹殺せよ、そして最後には真の死を、それがお前の定め」
「光あれ、機関と長束と城栄に呪いあれ─ククククククククク・・・・・・・・・・」

気付くと宗方の意識は、肉体に戻っていた。
「…やってくれるじゃねえか…」
神重は片方の腕で宗方を左腕で持ち上げていた。
神重はどこか満足そうな顔をしていた。
「一撃で力を使い果たしたとはいえ、俺の自慢の剣ごと切り落とすとは
 たいした野郎だお前は。」
「いいだろう。協力してやろうじゃねえか
 これからの予定を聞かせてもらおうか…」
「宗方は神重の腕をほどくと、姿勢を正して向き合う。
「まずは味方を探す、できるだけ多く。それと治療用の医薬品の調達が必要だ」
宗方は切り落とされた腕を視る。
「あんたみたいに便利な体の奴は相違ないだろうしな、
まあそれは近所の薬局にで揃えるとして─ともかく」

「よろしく頼むぞ」 
宗方はニヤリと笑い、神重の残ったほうの手のひらを堅く握る。
(亡霊と吸血鬼、なかなか良いコンビになりそうじゃないか?)
宗方はそう思いつつ、近所の薬局の住所を即座に思い出していた。
あの陽気な店主は戦いに巻き込まれたりしていないだろうか─と

【宗方零 神重との戦闘で能力覚醒】 
【広範囲の光源を使う能力″明転〟
命と引き替えに光源なしで戦える能力″明滅〟を得る】
【残り使用数あと2回】
【国東薬局の事を思い出し そこに向かう事を考える】
【能力値 3/6→2/6】

96: ◆7Q1qJNYWx.
08/05/27 07:06:11 0
>>83>>85
「ふはは、そんなに急ぐなよ!」
ツバサは嬉しそうに大鎌を肩に担ぐと文月の攻撃をかわした。

「ではでは、我が能力【冥府】ご披露いたそう!」
その刹那、地面がゆれだした。
文月は少しうろたえ、廻間は桜を避難させようとする。
地面が割れ、亡者が這い出てくる。

「さてさて、お前らの相手はこの亡者どもだ!」
亡者が数十体、二人に襲い掛かる。
まぁ、この亡者でそこまでいけるとは思わないが、
ツバサはそんなことを考えながら亡者と一緒に出てきた椅子に腰掛ける。

「おっとそうだった、そこのお嬢ちゃんを保護しないとな」
ツバサは指を鳴らし、桜の下の地面がわれ桜が落ちていったと思ったら
次の瞬間ツバサの隣りにもう一つ椅子が出てきて、その椅子に桜が腰掛けていた。

「さぁ亡者たちそこの少年をとらえろ!」
亡者はもう数体切られていたが、何度でも回復する。
何度かスピードに物を言わせてこちらに近づこうとするがそのたびに亡者に阻まれる。
そろそろ、亡者につかまる頃だろう。

【ツバサ:能力発動、こちらに近づくのは困難】


97:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/27 07:13:38 0
>>93
と、籐堂院瑞穂がロンバルディーニに即座に接近し、拳を叩き込んだ。
――いい動きだ。純粋な身体能力なら私が上だろうが、あの踏み込みは技術によるもの。
単なる力比べをするなら勝てるとは思う。しかし、戦闘となれば話は別だ。

「気でも狂ったか?レオーネ・ロンバルディーニ、私が直々に目を覚まさせてやろう」

言いながら、籐堂院瑞穂は刀を抜き放ち、構えを取る。
この場で優先すべきは彼女を食らうことか、それとも――いや、決まっている。
やりやすい相手から、というのはこの場合誰か。そして、今の私が優先すべきことは。
熱量操作。レオーネ・ロンバルディーニの腕の周囲に干渉する。
熱量で文字を描く。腕からの温度を感じ取れば、こう書かれていると分かるはずだ

【契約は守ります】

「ご無事ですか、煌神リンさん!」

同時に、籐堂院瑞穂の背後にいる彼らのところまで駆けつける。
攻撃はない、どうやら、彼らは戸惑っているようだ。

「私は、ある人に依頼されたんです。煌神リンさんを保護して欲しい、と。
 それで、こうして近くで見張っていたわけなんですが――申し訳ありません。
 結局、ミサイルに反応も出来ず、家からの脱出も手伝えませんでした」

嘘ではない。彼女の保護を依頼されたのは事実だ。
ミサイルの発射を事前に知らされていたわけではない、反応できなかったのも事実だ。
家からの脱出も――まあ、自力で脱出できてしまったのでは、手伝えなかった、それも事実だ。
更に、私は籐堂院瑞穂に向けて、言葉を発する。

「お久しぶりです、籐堂院瑞穂さん。といっても、貴方は覚えていないでしょうが。
 ――あなたの父、籐堂院神が作り上げた、反機関組織。私はかつて、そこで下っ端をやっていましてね。
 組織は既に壊滅してしまいましたが、いわゆる残党はいた、ということです」

そして少しずつ煌神リンに近寄り、彼女の肩に手を置いて話しかける。

「本当に申し訳ありません。自力で脱出できていたのは幸いです。
 ――相手は機関の幹部、ファーストナンバーです。どうやら消耗している様子ですし、ここは逃げてください」

私の言葉に安心したのか、それとも緊張の連続だったのか、一瞬、彼女の気が緩む。
その一瞬で彼女殴りつけ、抱え持つ。異能者相手では気絶には至らないだろうが、この場合は問題ない。
一撃にひるんだ隙にレオーネの後方に跳躍し、戦闘機の座席に放り込む。
……籐堂院瑞穂からの攻撃はない。先程も言ったが身体能力ならば私が上だ。
直線距離での速度、そのうえ跳躍してのものとなれば、彼女よりも私の方が速い。

「依頼は完了しましたよ、レオーネさん。
 ――とはいえ、持ち帰るにはまだ仕事をしなきゃいけないようですが」

熱量操作。煌神リンを投げ込んだ座席の周囲を高熱で覆う。
無理をすれば出てこれないこともないだろうが、その場合、能力の低下は免れまい。

「私は私の仕事をこなしたんですから、貴方の仕事ぶりも見せてもらいますよ」

まずは、二人の力を見たい。あるいは、私だけ残して撤退、というのも有り得るが。

【アルト:煌神リンの無事を確認、確保】
【成長した瑞穂と、レオーネの力に興味津々】
【小村のことを上野恭平だと思っている】

98:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/05/27 17:21:41 0
>>97
「ご無事ですか、煌神リンさん!」

先ほど逢った金髪の女性が私の背後に居る、煌神リンと言うらしい女性に駆け寄る。
阻止しようと思えば出来たが、宿をくれた池上ならともかく、私に後ろの奴らを守る義務はない。
第一、そのようなことをすれば私がやられるかもしれないのだ。

「私は、ある人に依頼されたんです。煌神リンさんを保護して欲しい、と。
 それで、こうして近くで見張っていたわけなんですが――申し訳ありません。
 結局、ミサイルに反応も出来ず、家からの脱出も手伝えませんでした」
「お久しぶりです、籐堂院瑞穂さん。といっても、貴方は覚えていないでしょうが。
 ――あなたの父、籐堂院神が作り上げた、反機関組織。私はかつて、そこで下っ端をやっていましてね。
 組織は既に壊滅してしまいましたが、いわゆる残党はいた、ということです」

知り合いか?
その割には先ほど逢ったときは何も声をかけてこなかった、私と師匠の名前を知っているとなるともしかすると『機関』の人間かもしれない。

「本当に申し訳ありません。自力で脱出できていたのは幸いです。
 ――相手は機関の幹部、ファーストナンバーです。どうやら消耗している様子ですし、ここは逃げてください」

しかも、レオーネの事を知っている、別に『機関』の人間でなくても知っている可能性は十分あるが、怪しいことには変わりない。
と、いきなり女性は煌神リンを殴り、既に体勢を立て直したレオーネの背後に跳躍する、速い、並みの人間の速度ではない、というか私よりも速いかもしれない。

「依頼は完了しましたよ、レオーネさん。
 ――とはいえ、持ち帰るにはまだ仕事をしなきゃいけないようですが」
「私は私の仕事をこなしたんですから、貴方の仕事ぶりも見せてもらいますよ」

やはり『機関』の人間だったようだな、だがこちらの戦いに干渉する気はないらしい、好都合だ。

「お前が敵だろうと私には関係ない、『機関』の関係者は殲滅する、それだけだ
こちらから行くぞ『剣神憑依』」

私は刀を高く掲げる、すると刀は仄かな光を発する、やがてその光は私の体の中に取り込まれる。
この技は、この天之尾羽張に封じてある神を私に憑依させ、身体能力の底上げをはかるものだ。
そして私は静かに目を閉じる、レオーネと戦う場合目を開けて戦うのは危険だ、以前の戦いで私はそれを学んだ。
身体能力が増加している今なら、能力無しのレオーネくらい目を閉じていても倒せるはずだ。

「お前の能力は封殺したぞ、レオーネ、では今度こそこの前の決着をつけよう」

私は駆け出し、レオーネに素早く斬りかかる。

【籐堂院瑞穂:目を閉じレオーネに斬りかかる】

99:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/27 19:34:31 0
>>97の訂正
×一撃にひるんだ隙にレオーネの後方に跳躍し、戦闘機の座席に放り込む。~煌神リンを投げ込んだ座席の周囲を高熱で覆う。
○一撃にひるんだ隙にレオーネの後方に跳躍し、その場に投げ捨てる。~煌神リンの周囲を高熱で覆う。

100:煌神 リン ◆7Q1qJNYWx.
08/05/27 20:31:18 0
>>97>>98
「っく・・・!」
不覚にも捕まってしまった。
私は自分の不覚をのろいながら戦いの行方を見守る。

あの機関の人間、どこかで見たことがあるような…

よく目を凝らしてみようとすると、女の人が言っていた言葉を思い出す。

レオーネ…レオーネおじ様…
そう、思い出した兄と何度か話していて、そのあといろいろあって、よく私と遊んでくれたレオーネおじ様だ・・

確か過去に…
いや今はいい、とりあえずここから抜け出すこを考えなければ。

瑞穂さんがレオーネおじ様に攻撃を仕掛ける。
しかも目をつぶってである、あれは流石に不味いんじゃないかと思った、

この高温、並みの人間なれでれなそうだでも幼い頃から自分の炎に燃やされないように訓練してきた私なら大丈夫そうだ。

しかし、機関についていけばお兄ちゃんに会えるかもしれない。
今は様子を見ることにしよう・・・

【煌神:出ようと思えば出れるが様子を見ることに。】

101:文月宗太 ◆XzQQgkPzlg
08/05/27 20:39:22 O
>>96

その剣は、とても剣とは呼べるものではなかった。
剣と言うにはあまりに大きく、重く、そして大袈裟過ぎた。

文月は決してその剣の刃を人間に向けることはない。
自分が人を殺めれば、記憶の中の少女は、きっと悲しむだろうから。
だが─
闇夜にどす黒い血飛沫が飛び散った。
大剣にあるまじき速さで振るわれた刃が、一度に数人の亡者をの胴をかっ捌いた。
そのまま動きを止めることなく、文月の身体は亡者達の群れの中へと沈む。
ほぼ時を同じくして吹き荒れる、竜巻の如き剣風。
不死であるはずの亡者を、ただの人間が一方的に蹂躙していく。
いかに不死であっても、胴から真っ二つに切り裂かれては、もはや壁の役目は果たさない。
文月の剣に流麗さはない。しかし、一振りごと確実に、無駄なく、亡者を切り裂き、包囲網を突き崩していく。
包囲網を抜けた文月が、ツバサへと肉迫する。
その目に宿るは、唯憎悪のみ。
おそらく、囚われの少女のことも見えてはいないだろう。


【ツバサに斬りかかろうとする】

102: ◆7Q1qJNYWx.
08/05/27 21:35:01 0
>>101
おっと、考え事をしていて、亡者に命令を出すのを忘れていた。
その間に少年が一人近づいてくるな、ふむ流石に亡者じゃ抑えきれないか。

「我、地獄の王。貴公、我が従者、ならば契約に従いここに貴公を召喚いたす。出でよ!【巣窟の蒼鬼】!」
俺が契約の言葉を口にすると俺の左から門が出てきて中からそう、まさに地獄にいるような鬼が出てきた。

『なんだ我が主、我がいくら二百六十七徒の中でも最弱だからといって人間の男相手はないだろう?』
鬼は言いながら男の剣を片手で止める。

『鬱陶しいわ!』鬼が叫び剣ごと男を投げる。
『まぁ、よかろう呼ばれたからには対処しよう』

「お?マジか?じゃぁ【我が命により刑を執行せよ】」

『御意!』
俺の命に従い鬼が男を棍棒で殴り飛ばす。

男は壁に叩きつけられ、壁は派手に壊れる。
男は吐血し倒れる。

鬼はその男に近づきなおも攻撃を仕掛ける。
あちゃ、あれ骨確実に数本折れてるな、多分複雑骨折だ。
さてもう一人は、おっと、その前に隣りの桜を安心させるのが先か、
「あぁ、大丈夫だよあの鬼は危害を加えないよ」
できるだけ、穏やかな声をだして落ち着ける。

【ツバサ:文月に攻撃、壁を派手に壊す】

103:文月宗太 ◆XzQQgkPzlg
08/05/27 21:58:47 O
>>102
「ち…きしょ…う。なんてパワーだ……」
剣を杖としてなんとか立ち上がるが、足腰に力が入らない。
文月を支えているのは、もう気力だけだった。
執念。それだけが、ただの人間である文月を異能者の域まで押し上げていた。
並みの異能者相手なら、勝つことも出来た。
事実、異能者と似たような能力を持つ人間を何人も下してきたのだ。
しかし、今回は相手が悪過ぎた。
今までの敵とは違う。
【本物】
そんな言葉がしっくりとくる。
(やべぇ…意識……が)
視界が定まらないのを自覚するよりも早く、文月はその場に倒れ込んだ。

104:神重智&敬 ◆6eLTPQTFGA
08/05/27 22:46:46 0
>>95
宗方は俺の腕を振りほどくと、改めて俺に向き合い―
「まずは味方を探す、できるだけ多く。それと治療用の医薬品の調達が必要だ」
味方…か。この街にどれほどの味方がいるだろうか?
そして宗方は俺の飛んだ腕を見て
「あんたみたいに便利な体の奴は相違ないだろうしな、
まあそれは近所の薬局にで揃えるとして─ともかく」
それはそうだ。他の人間が体を離したり結合したり再生できては困る。
コレは俺の能力…いや、智の能力なんだからよ。

「よろしく頼むぞ」 そう言い、俺の左腕と握手する。
握手したあと、俺は吹っ飛んだ右腕を結合する。今回は再生ではないのがミソだ。
普段は再生することで相手に恐怖を与えたりもするが、今はその必要が無い。
使える腕は再利用…というわけだ。

「さて…薬局に行くのもいいが…こんな時間にやってるのかな?
 今日はここで休むかそれとも街中をうろつくか…
 まぁあんたの判断に任せることにするよ」

そう言いながら俺は、別の能力の準備をはじめていた…

(何をするつもりだ…敬)
(見てのお楽しみって奴だよ、智)

【神重:街中をうろつくか、事務所で休むかを宗方に委ねる
    とある能力を発動させる準備中】

105:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/27 22:47:56 0
>>98
リンと一緒に居るのは山田権六と、何故か一緒に行動しているハーケン。
そして籐堂院 瑞穂――。またの名を『機械仕掛けの神(デウス エクス マキナ)』
まさかお前が生きていたとは……。まんまと騙されたという事か。
奴の踏み込みは一瞬だった。一瞬で私に近づくと、奴の拳が水月に吸い込まれていった。
綺麗に吹っ飛ぶと、人目も憚らずに激しく咽た。
多少胃液も逆流する。ハンカチを永瀬に渡したままなのを悔いた。

「はぁ…はぁ……馬鹿力め…!」

涎を腕で拭く。汚いな、もうこのスーツは着れない。

>「気でも狂ったか?レオーネ・ロンバルディーニ、私が直々に目を覚まさせてやろう」
どこまでも……どこまでも……何処までも私の邪魔をする気らしいな!!
久しぶりに頭に血が上る。リンに逃げられた時以来だ。

「この、下っ端のカスがあぁぁぁぁっ!!」

腕に違和感を感じる。何かこう、低音火傷をした時のような熱さだ。
見てみると、【約束は守ります】と書かれている。
アルト・ハーケン……。慇懃な女というのが最初の感想だったが、第二の感想は――。
やはり、慇懃な女だった。ともかく、リンの方はハーケンに任せよう。
私は立ち上がると、体の埃を払った。――薄汚い埃。私の傍に近寄らせたく無い。

心底腹立たしい。奴の存在が、奴の全てが……!
瑞穂とその父親の所為で、私と城栄の計画は1年遅れてしまった。
この思い上がった存在の所為で、我々の崇高な意思が、使命が滞ってしまった。

ハーケンはリンに近寄ると彼女を殴りつけた。
後方に着地したハーケンの腕に抱えられているリンを見る。
一撃で気絶したようだ。後は彼女を機関まで連れて行けば任務成功だ。

>「私は私の仕事をこなしたんですから、貴方の仕事ぶりも見せてもらいますよ」
言われる間でもない。あの女は後の憂いとなる。
ここで確実に仕留める。この命に代えても……!

>「お前の能力は封殺したぞ、レオーネ、では今度こそこの前の決着をつけよう」
決着はつけるべきだ、彼女の言う通り。
だが、目を瞑った程度で私の技が かわせるとは思わん事だ。

「『落とし穴』というのは埋めても埋めても、また空いてくる……
 限が無いよな。だが、それも――
 お前が墓の下に居れば何も問題は無いっ!」

瑞穂の剣が肩を深く抉った瞬間、私の視界はドロドロに解けた。
私だけではない。瑞穂も山田と池上もハーケンも、人も家も木々すらも解けていく。
あぁ、リン! そんな、お前まで……!!
私は解け往く自分の体を見渡しながら、枯れる事の無い笑い声を上げた。
やや在って、この世の全てが解けた……。

『……アリスはまだ夢の中だ』

106:梓川 博之 ◆acBW5xlTro
08/05/27 22:49:43 0
>>50>>56>>77
「……ん命は、変え……る………惨げ…は……い避、出来……だぁ……………んぁ?」
顎の痛みで、俺は目を覚ました。
近くには七重のみ。何があったんだっけ?

意識が覚醒するにつれ先程あったことを思い出した。
うん、あの綺麗に決まったアッパーカット。
…最近の女子高生は怖いなぁ……。

「……よお」
七重に右手を挙げて挨拶してみる。返事は聞かない。
そういえば随分腹減ってるな…。
そう思いながら居間に向かう。

いざ居間に来てみれば、そこには――メガネの男性に、長髪スーツの女性が居た。
二人の目線が頭髪に来ているのは気のせいじゃないだろう。残念ながら。慣れてるから分かる。
それにしても…このメガネの人、なんとなく親近感が湧いた。何とは言わないが、この人も大変そうだ。

そんな考えをしていた時に、誰かが台所から来る。
左目に眼帯、白衣。結構がっしりした体つきの男性であった。
その手のお盆には――やはり、『アレ』があった。
『アレ』は全員分有るようで、当然俺の目の前にも置かれた。
『アレ』を見、俺の思考は凍りついたかのようにフリーズ。
もう見たくも無い。

お分かりだと思うが、『アレ』とはそう、悲しきかな、あのカレーだった!
正直カレーと称していいものか判断に迷う。
「……え、これ食えと?」
ポカーンと開かれた俺の口からはそれぐらいしか発声出来なかった。
スプーンを握り締めたまま唖然とする。
って白衣の人食っちまった!
その後は言わずとも分かるだろう…台所に行ってしまわれた。
その後姿がモノのやばさを物語っている…。
こんなの食えるの七重ぐらいしか居ないだろうに。

ところが舌の狂った強者がもう一人居る!
親近感の湧いた、あの地味そうなメガネだぁぁあ!!
普通に食ってるよこいつ!
「…このカレーって、美味いけどぶっちゃけゲテモノだよな」
「旨いのかよ!?」
常人の舌じゃない。

そして俺は勿論食えなかった。食わなかった、ではなく食えなかった。
あのジャンクフードが食えるものか!
「………あ、あの―…俺、食欲無いんで……ご馳走様…」
一口も食ってないけどな。

飯も食えない俺は、台所に行った人がどうなっているのか見に行くことにしてみた。
その光景は、哀愁しか漂わなかった。
延々と「の」の字を書く男性。
なんだかわからないが、この人にも親近感を覚える…。
――俺は何も言わずに、ポンポンと肩を叩いてやった。

【梓川:国崎に同情し、肩を叩いてやる】

107:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/27 22:50:39 0
>>105
――夜は好きだ。私が産まれたのが夜だったから。
この住宅地は人通りが少ないのか、車の騒音も少ない。
満月の光が差し込む中、先程から聞こえるのは、目の前に居る三人の寝息だけである。
――いや、訂正しよう。四人に増えた。
私は腕に抱えた籐堂院 瑞穂をソファに持たれ掛けさせた。
割と大変だった。山田と池上を同じリビングに集める作業は男手であっても疲れる。

「馬鹿、寝ている場合か! ……テメェ、何をしやがった!?」

"剣"が声を荒げて食って掛かってくる。

「黙っていろ、舞台はもう始まっているのだ。
 それにしても、山田。お前はかなり汗臭い。ちゃんとシャワーを浴びているのか?
 良い機会だ、香水を付けて見ると良い」

山田は香水でも付けるべきだ。それがマナーだ。
そもそも香水という物はシャワーを浴びる習慣の無かった中世フランスで発明された物だ。
君にはお似合いだよ、と彼の額を突付いた。

「起きろ瑞穂! おい!」

"剣"は必死に持ち主の瑞穂を起こそうとしている。

「無理矢理起こそうとするな。目覚め方が悪ければ、最悪一生植物状態のままだぞ」

「くっそぉ……!!」

万事休すという奴だ。腕時計を見るもう直ぐか……。

「ん、もうそろそろテクスチャが剥がれる頃だな……。
 ――3、2、1……。アリスはまだ夢の中だ」

剣を持ちながら四人を見下ろす。もう舞台は終わった頃だ。

「驚いたか? なに、ちょっとした余興だよ。
 どうだ、気分は……。全員聞こえているんだろう? 私の声が。」

昏倒している人間に気分は如何だと言うのも可笑しな話ではあるが。

「今まで君達が見てきたのは、君達自身が望んだ幻想。
 私はその背中を少々押してやっただけだ
 肉体の方は心配無い。皆、可愛らしい寝息を立てているよ」

ここに居るのは、山田権六に池上燐介、リンに籐堂院 瑞穂だけだ。
私が乗ってきた車の中にハーケンが乗っている。勿論、熟睡中だ。
彼らがどんな夢を見たのか知らないが、多少興味は在る。
自分では覗く事が出来ないから……。

「種明かしをしてやろう、簡単な話だ。今、君達は心の迷宮の中に居る」

『精神構造迷宮化(不思議な夢のアリス)』。それがこの技の名前。
発動した場合、対象者は即座に昏倒し植物状態となる。そして仮想空間という迷宮の中に囚われる。
この技は他の二つと違い、発動条件に『視界に入れる』『声の届く範囲』などの条件が付かない。
本来は私の能力が全く効かない人間、つまり目や耳が不自由な人間に対して使用する技だ。
発動条件は"範囲内に入る"事。フルパワーで200m、ミニマムで80m。
基本的には単体対象だが、指向性のオン・オフが可能で、切った場合射程が延びる。
今回は指向性をカットしフルパワーで発動させたから、当然周囲の人間も巻き込んでしまった。
まぁ、余興が終わったので精神を手放してやったが……。
強力な反面、それに伴うリスクは桁違いに高い。今の私は精神力の消耗が著しい。

108:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/27 22:51:46 0
>>107
「初めにハーケン君。続いて近隣住宅の住民も含めた君達全員が技に掛かった――。
 …筈だったのだが、一人だけ私の存在に気付いて外に出てきた者が居た」

腕を見ると先程まで滴っていた血液は、既に止まり始めていた。
致命傷ではない、致命傷ではないが思ったよりも深いようだ。

「瑞穂、君だよ。殺気も気配も、異能者の波動も全て消していた筈なのに……。
 ちょっとショックだ。成長をしたと捉えるべきか」

瑞穂は私の腕を切りつけた後、能力に贖えず植物状態となった。
だが、剣の方は違った。"奴"は技に巻き込まれる事は無かった。
強靭な精神力を持つ者には成功しないのがこの技だ。
池上たちが戦闘によって精神を消耗していたのは幸いだった。

「まさか生きていたとはな……。死んだと報告を受けていたが……。
 大した役者だよ、君達親子は」

最初に奴の声を聞いた瞬間理解した――。籐堂院 神だ、と……。
憎き裏切り者の声なのだ、聞き間違える筈が無い。
どうやって籐堂院 神が剣に意思を移せたのか、それは解らない。
だが、我々異能者の存在もある意味SFなのだ。
物体に意思を移植するという奇跡も在るのだろう。
もっとも、目の前に証拠が在るのだ。信じざるを得ないが……。
瑞穂の前で屈むと、白磁の頬を撫でる。宛らアンティークのようだ。

「テメェ! 下衆な手で瑞穂に触るんじゃねぇ!!」

「大きくなった……」

そう呟くと、瑞穂のか細い喉を締め付け始めた。

「お前のお陰で私と城栄の計画は1年も停滞してしまった……!
 ここでお前を殺すのは容易いのだ…!!」

だが、私はそんな事はしない。今の最優先事項は煌神リンの確保だ。
瑞穂をソファに投げ付けると、深呼吸をして気を冷静に保つ。彼女を殺るのは今でなくとも良い。
先程から煩い籐堂院を持つと、柱に突き刺した。

「蹴り折られたくなければ、そこで黙って見ている事だ。
 ――諸君、ここからが本題だ。私は君達が今どんな状況に在るのか知らない。
 人それぞれ場所は違うだろう。だが、そこから抜け出るヒントなら知っている。
 "迷宮のゴール"に辿りつく事。それだけだ」

ゴールが何なのか、私にも解らない。一般的な旗の立ったゴールなのかも知れないし、
別の何かなのかも知れない。全ては彼らの心次第なのだ。

「山田。もしかしたら心の迷宮の中で、失った恋人に逢えるかも知れないぞ。
 今際の際に言えなかった言葉でも言ってやるんだな。
 もっとも、お前の記憶と幻想が創り出した妄想に過ぎないがな。
 ……煌神 リンの確保は成功。私の任務は成功した。
 後は、君達で好きにすると良い。また会おう……」

――後ろで娘に声を掛ける籐堂院神を残し、私は車へと戻った。

【レオーネ:現在地 車の中(精神状態は極度の疲労に陥っている)】
【戦ヶ原、池上、籐堂院は心の迷宮へ。アルトは車に戻った後に迷宮を強制クリア】

109:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/27 22:55:31 0
>>108の訂正
×アルトは車に戻った後に迷宮を強制クリア
○アルトは車に戻った後に迷宮を強制クリアさせた

110:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/27 23:29:19 0
>>85
(やれやれ…血の気の多い男だぜ…)

男は俺の忠告に耳を傾けていないようだ。
身の丈ほどもある大剣を構え、振り返る事も無くツバサへと斬りかかってゆく。
提案を無視された俺は、肩を竦めると双刀を構え様子を見る。

(敵に迂闊に近づくわけには行かない。ここはサシの勝負にさせておこう)

>>96
大剣という武器は、破壊力を徹底的に求めた武器だ。
そのため、剣とは呼ばれていながらもその刀身は叩き潰すためにある。
つまり、扱い方としては鈍器とほとんど似ているのだ。
そして、俺達と対峙しているツバサは相当の強者…もちろん、男の実力も相当のものだろうが…
ハッキリ言えば、ツバサの方が強いだろうな。
怒りに任せ、何の考えも無く突っ込んだ一撃など通用しないに決まってる。ヒラリ、とツバサは攻撃を避けた。

>「ではでは、我が能力【冥府】ご披露いたそう!」

(なんだ、この揺れ…敵は地殻操作能力者か?)

俺が敵の能力について思考を繰り返していると、揺れが収まった。
次の瞬間。

(…なん、だと?)

地が避け、裂け目から幾多もの亡者…つまり、ゾンビが這い出てきた。
数にしておよそ数十。そのゾンビが、俺たちを取り囲む。
ゾンビたちを呼び出したツバサは、いつの間にか現れていた椅子に腰掛けていた。

>「おっとそうだった、そこのお嬢ちゃんを保護しないとな」

ツバサが指をパチン、と鳴らした瞬間桜が地面の裂け目に落ちてゆく。
そして、落ちたと思ったら桜がツバサの隣に腰掛けていた。
ツバサの隣なら、ゾンビたちの攻撃に巻き込まれないという事か?

(それにしても数の暴力…しかも、敵は不死者。こりゃあ不味いな)

ゾンビというのは既に死んでいる。つまり、死ぬ心配がないのだ。
しかも意思が無い…腕の一本や二本を斬りおとしても、恐れず俺に立ち向かってくる事だろう。
その証拠として、すでに5体ほど斬ったものの斬ったそばからすぐに復活してくる。
ゾンビたちの操作者であるツバサに近づこうとしたが、ツバサの近くにいるゾンビに進行を阻止され失敗へと終わる。

(退魔の力を持たない俺の斬撃ではゾンビ達には通用しない…ならば!)

俺は、双刀を消し格闘戦での構えを取った。
そして、ゾンビを力の限り地面に叩き付ける。

「おぉぉぉうりゃあッ!」

ゾンビと言うのは、大抵肉体や骨が腐っている。
体が腐っている事は、耐久力が著しく下がっているという事だ。
叩きつけられたゾンビは肉体が弾け飛び、そして動きが止まる。

(やっぱここまで肉体を破壊されちゃあ動けないか…いけるな)

111:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/27 23:30:18 0
>>101>>103
俺が近くのゾンビを片っ端から叩き付け、再起不能にしてゆく。
そしてあらかた片付け終わる。どうやら、男の方も殲滅し終わったようだ。

「さて、と。これでゾンビ達は片付け終わった…ツバサ、俺たちと戦ってもらうぞ」

そして、俺が再び双刀を形成しツバサに対峙した…その時。
男がただツバサを見据え、剣を振りかざす。まぁ、それだけなら良かった。
しかし、男の直線上にはツバサと…桜がいた。
もしツバサが攻撃を避けたら、桜にその一撃が直撃してしまう!

「待て!攻撃を止め…」

その瞬間。
ツバサの前に人ならざる蒼い影が現れ、男の剣を片手で止める。
一つの鈍い音、そして爆音が生じる。

「召喚術…!」

ツバサを守るように立ちはだかるは、地獄の底から舞い上がったような蒼い鬼。
やはりそうだ。先ほどのゾンビたちもそうだが、この男…人外の物を召喚することが可能だ…
気付けば、男が鬼に吹き飛ばされ血反吐を吐き膝をついている。
剣を杖代わりにして立っているものの、あれではもう戦えないだろうな。

(あの勢いの大剣でもなんなく止められた。間違いなく、俺の一撃も止められる…
 物質ではなく空間を切る空間斬なら、止められはしないだろうが…当たるのか?あの、蒼い鬼に)

今日2度目の冷や汗が、額を零れ落ちる。
ルナを呼び出すにも……ダメだ、アレは肉体的負荷があまりにも大きすぎる。
確かに、呼び出せばあの鬼は跡形もなく粉砕できる…
しかし、呼び出すに1分もかかってしまう…この状況での1分は1時間に等しい。
呼び出している間に、俺も男と同じようにやられてしまうだろう。
…詰んだ…
……いや、諦めるわけにはいかない。勝つ要因が無いのなら、自ら作り出すまで!
この相手には空間斬しか通用しない…なら、それに賭けるまでだ!
たとえ…当たらなくてもだ!

【廻間:空間斬を使用。隙が大きい】

112:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/27 23:31:27 0
>>108
声が聞こえる。

「驚いたか? なに、ちょっとした余興だよ。
 どうだ、気分は……。全員聞こえているんだろう? 私の声が。」

あの男――レオーネ・ロンバルディーニの声だ。

「今まで君達が見てきたのは、君達自身が望んだ幻想。
 私はその背中を少々押してやっただけだ
 肉体の方は心配無い。皆、可愛らしい寝息を立てているよ」

なるほど。道理でうまく行き過ぎた。少しばかりいぶかしみもしたが、まあいいだろうと流していた。
ともかく、この声が聞こえているということは、目的は達成された、ということだろう。

「まったく、私が来る必要はなかったじゃないですか。
 こういう問答無用な幻覚系の能力に対する抵抗力、まだ足りませんね」

今後の課題として、後回しにしていたが――もっと早く取り組めばよかった。

「種明かしをしてやろう、簡単な話だ。今、君達は心の迷宮の中に居る」
「初めにハーケン君。続いて近隣住宅の住民も含めた君達全員が技に掛かった――。
 …筈だったのだが、一人だけ私の存在に気付いて外に出てきた者が居た」

最初に私を狙った…? 分からないな、そこにどんな意味があるのか。
わざわざ私を狙う意味……いや、違うか。狙ったとは言っていない。
あるいは、射程圏内の中の人間に無差別に効果を及ぼすタイプかもしれない。

「瑞穂、君だよ。殺気も気配も、異能者の波動も全て消していた筈なのに……。
 ちょっとショックだ。成長をしたと捉えるべきか」

へぇ、彼女は反応できたのか。それはいい。実にいい。
このレベルの相手に対してある程度反応できたというのなら――丁度いい。
今の私と釣り合うかどうかは、まあ直接戦わなければ分からないが。

「まさか生きていたとはな……。死んだと報告を受けていたが……。
 大した役者だよ、君達親子は」

知られたか。私としては自分の手で片付けたかったが、今の私には何もできない。
大抵の幻覚は、なんらかの条件を達成すれば脱出できるのだが。

「蹴り折られたくなければ、そこで黙って見ている事だ。
 ――諸君、ここからが本題だ。私は君達が今どんな状況に在るのか知らない。
 人それぞれ場所は違うだろう。だが、そこから抜け出るヒントなら知っている。
 "迷宮のゴール"に辿りつく事。それだけだ」

ゴール。それが条件か。人によって違うということは、つまり、

「対象の心理的要因によって打ち破られる、ということですね」

――なんだ、それなら簡単だ。現状、今この場を支配している男。
レオーネ・ロンバルディーニ。この夢の中のあの男を殴りつけ、融解させる。

113:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/27 23:32:05 0
>>112
――同時に、目が覚めた。私のいる場所は車内。
外を見る。隣には―ロンバルディーニがいる。
まったく、流石に冒頭の戦闘機のくだりは荒唐無稽が過ぎた。
その時点で少しは疑っても良かったろうに――私は、未熟だ。

「まったく、私を呼んだ意味がなかったじゃないですか。
 これなら最初から一人でやってくれればよかったのに。
 私には、彼らを襲うなとか忠告しておくだけにして」

あちらも上からの命令で迷惑していたのかもしれないが、こちらは無駄足だ、文句も言いたくなる。
後部座席を見ると、煌神リンが眠っている。その寝顔は、まあまあ愛らしい。
彼女も何らかの夢の中だろう。悪夢、というわけではないらしい。

「それで、彼らはあのままでいいんですか?
 後顧の憂いを断つ、という意味では、ここで倒した方がいいでしょう。
 ――あるいは、今後の成長に期待している、ということですか」

どちらにせよ、今はあまり意味のないことか。
不愉快な経験だったが、まあ、幻覚系の能力についていい勉強になったと思おう。
しかしまあ、このタイミングで夢から覚めたということは、どっちだろう。
先程のあれで正解だったのか、彼が自ら解除したのか。
しかし、やはり彼らでは勝てなかったか。直接戦闘タイプでなかった、というのは誤算だ。
だが、考えておくべきことではあった。目標の捕獲にはこのタイプの方が向いている。
顔を見ると、消耗しているようには見える。どの程度かは分からないが、さて。

「それで、これからどうするんです?
 彼女を護送するだけ、というのなら、私は降ろしてもらいたいのですが」

【アルト:覚醒】
【小村のことを上野恭平だと思っている】

114:宗方零 ◆BSFghFxWJY
08/05/27 23:41:50 0
神重は断ち切られた腕をおもむろに拾うと、切断面にピタリとつけて
即座に繋げる。
(恐ろしい男だな…彼を敵にしなくて本当に良かった)

「さて…薬局に行くのもいいが…こんな時間にやってるのかな?
 今日はここで休むかそれとも街中をうろつくか…
 まぁあんたの判断に任せることにするよ」

その通り、コレ以上の行動は死に繋がる。
宗方も神重もこの一夜で戦闘に巻き込まれすぎた、
おそらく今もこの街のどこかで戦闘が行われている筈だった。

「今日はひとまず休息を取ろう、あんたも私も能力を使いすぎた」

宗方はおもむろに、事務所の片隅から寝袋を引っ張り出す。
それから、事務所の隅から弾痕付きの小型のソファを引っ張り出す。
事務所襲撃時に唯一無事だったものだ。
シート部分を引くと、簡易式ベッドになり、そこにブランケットを被せる。

「弾痕が付いてるが、よければ使ってくれ。まさか棺桶で眠りたいとは・・・いや冗談だ」

宗方は寝袋のジッパーを開けると、滑り込んでごろりと横になる。

「とりあえず明日、近所の薬局でいろいろと揃える。それに・・・
治療品のある場所には必ず来るはずさ、異能者が・・・ではお休み」
(隠れたり闘ったり逃げたり説得じたりと・・・忙しい一日だったな)
宗方は眠りに落ちていった。
【宗方零 休息 神重の能力には気付いていない】

115:城栄 金剛 ◆u5ul7E0APg
08/05/28 00:35:20 0

深夜未明。
金剛は会議の合間にナガツカ本社ビル37階で一服していた。
その横では小男、桜庭左近が相変わらず忙しそうに定時報告をしている。
何時何分に何人死んだか、どこで何があったのか、この街で起こったすべての情報を1時間ごとに金剛の耳に入れなければならない。
この男は、この街のすべてを自分の手足のように常に把握していなければ気が済まないのだ。

「…よォーし、研究室に向かう。」

大容量の情報をすべて頭に叩き込んだ金剛は短く言うとエレベータの方向へ足を向けていた。
「は…、いえですが、まだプロダクションの経営会議が途中――…」
「俺の判断が必要な箇所にはもうすべて指摘を入れた。奴らがボンクラでねぇ限りあと10分後には俺の求める結論に辿り着いているだろうよ。
途中の議論については後ほど文書にまとめて提出しろ。」
歩きながら金剛は桜庭に言い捨てる。
「その10分の間に、俺は研究室に足を運ぶ。」
企業運営で分刻みのスケジュールをこなす金剛が、機関に気を回せるのは、人外じみた彼の政治的手腕によるところが大きい。
「総と…いえ、社長。」
「なんだ。」
「あの・・・社長は、いつ寝ておられるのですか?」
「週末だな。」
金剛の答えに桜庭が愕然としているうちに、エレベータは目的の階に到着した。

研究室。
そこはナガツカ本社ビル地上108階に位置し、内部の者でも知る者は一握りの秘密の研究所と言える場所だった。
壁の全面を巨大なスクリーンが覆い、全方位に設置された端末にはびっしりと機械のように作業する研究員たちが並んでいた。
「ひぇっひぇっひぇ、これはこれは。お越しになられるのでしたら前もってご連絡をいただけなければ困りますぞ。」
その中心に立つ白衣姿の老人が、傍若無人に入ってきた金剛に声をかける。
「すまねぇなァ博士。仕事の合間に顔見せに来ただけさ。」
口では老人に対して返答をしているものの、その視線はすでに別のものに釘づけになっていた。

その視線の先にあったものは―――…巨大なフラスコで培養されている…人間の『ミイラ』だった。

「・・・『お前』にな…。気分はどうだ?『炎魔』よ。」

『炎魔』と呼ばれたそのミイラは当然その問いには答えようがない。
そのミイラの正体は、鎌倉時代を生きた人類最初の異能者…湯瀬政康のなれの果てだった。
900年の時を経て、金剛にその身体を発掘されたのだ。
「現在復元率は32.2%…。まだエネルギーが足りておりませんな。」
白衣の老人はミイラを凝視する金剛の横から声をかける。
「…より多くの『生贄』が必要となりまする。」
「フン…、分かった。異能者狩りを強化させよう。なんでもいい。お前らはなんとしてでも『炎魔』の復元を一秒でも早く進めろ。」
「御意のままに…」

10分が経ち、金剛はその部屋を後にする。
会議室に戻るエレベータの中で、金剛は嬉しさのあまりふるえながら高らかに吼えた。
「ここまで長かった…。『炎魔』の復活!それさえ果たせば…俺はこの全宇宙を支配することさえも児戯に等しくなるだろう!!」

【城栄金剛:目的…『炎魔』の復活。】
【この街で起きたことはすべて金剛は知っている。】

116:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/05/28 01:22:47 0
>>108
「初めにハーケン君。続いて近隣住宅の住民も含めた君達全員が技に掛かった――。
 …筈だったのだが、一人だけ私の存在に気付いて外に出てきた者が居た」
「瑞穂、君だよ。殺気も気配も、異能者の波動も全て消していた筈なのに……。
 ちょっとショックだ。成長をしたと捉えるべきか」
「まさか生きていたとはな……。死んだと報告を受けていたが……。
 大した役者だよ、君達親子は」

やはり、この手で来たか、師匠の計算通りの展開だ、しかし戦闘機から全て幻術とはレオーネも面白いことをする人間だ。

「テメェ! 下衆な手で瑞穂に触るんじゃねぇ!!」
「大きくなった……」
「お前のお陰で私と城栄の計画は1年も停滞してしまった……!
 ここでお前を殺すのは容易いのだ…!!」
「蹴り折られたくなければ、そこで黙って見ている事だ。
 ――諸君、ここからが本題だ。私は君達が今どんな状況に在るのか知らない。
 人それぞれ場所は違うだろう。だが、そこから抜け出るヒントなら知っている。
 "迷宮のゴール"に辿りつく事。それだけだ」

師匠は実に人が悪い、自分でこうなるように仕向け、まんまとレオーネの罠にかかるふりをして逆に罠にかけるとはな。
あっちは師匠に任せ、私は私でこの迷宮のゴールとやらを見つけよう。
前方を見ると目の前は全て闇、その中に一人佇んでいる男がいた。

「師匠ですね?私の前に出てくるくらいだ、貴方だと思っていましたよ」

そう呟き、天之尾羽張を抜く、この迷宮はこの師匠もどきを倒せば抜けられるのか?
そんな事はどうでも良い、私は目の前の敵を斬るだけだ、相手も剣を抜き私と相対する。
いくら姿形は師匠に似ていても所詮は作り物、心置きなく叩き斬れる。

「では初太刀より奥義にて仕る、二の太刀要らずと言われた示現流と建御雷神の力の混合技」

天之尾羽張が雷を纏っていく、私は技術も何もなくただ力だけをこめ斬りかかる。

「神技・天裁雷之轟」

私の一撃は相手が構えた剣ごと全てを叩き斬った。


117:籐堂院神 ◆FleR8jlnN6
08/05/28 01:24:06 0
>>116
やれやれ、レオーネはやっと立ち去ったか。
しかし、馬鹿な奴だ、ここで瑞穂を仕留めていかないとはな、それに俺をここに残したまま行くとは。
俺には初めから分かっていた、レオーネがこの技を使ってくると事が。
一応俺は過去に幽玄の爺さんの右腕として暗殺部門で働いていた。
そのため、あの頃現役だったファーストナンバーとセカンドナンバーの能力者の能力はほとんど記憶している。
だから、わざわざ瑞穂に『剣神憑依』を使わせ、俺の一部を憑依させたのだ。
俺は刀に残っている意識を瑞穂に憑依させる、これで準備は整った、感謝してるぜレオーネ、これでまた暴れることが出来るんだからな。
もともと『剣神憑依』は瑞穂に俺を憑依させ、知識・身体能力・異能力を一時的に引き継がす技だ。
しかし、瑞穂には荷が重いのか俺の『私と私の世界』を使いこなす事は出来なかった。
しかも、憑依中は瑞穂の精神が生きているため、俺が制御権を奪うことも出来ない。
レオーネの精神を蝕む技のおかげで瑞穂の体の制御権は今体にある唯一の意識がある魂、つまり俺に移ったのだ。
俺は静かに立ち上がり、柱に刺さっている天之尾羽張を抜く。
その姿は籐堂院瑞穂だったが、放たれている覇気は長年戦場を勝ち抜いてきた強者の物だった。

「久々の体、動かしやすいな、流石は瑞穂だ」

俺は少し素振りをする、そういえば早くしないとレオーネ達に逃げられるかもな、急がなければ。

「来い『私と私の世界』」

すると、世界は漆黒に染まる、この結界は俺が指定した任意の距離を俺の世界として、現実世界から隔離したものだ、出ようと思えばすぐに出られるけどな。


118:七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI
08/05/28 01:24:07 0
>50 >56 >77 >106
七重の精神は、人見知りをするほど繊細にはできていないが、
ろくに面識もない者三人と食卓を囲むとなると、さすがに居心地の悪いものがある
割り方、話のできる国崎などは、カレーを一口食べたぎり、
台所に引っ込んだまま出てこようとしない
もっとも、たとい国崎が傍らにいたとしても、
七重の心持が軽くなるかどうかは定かではない

>「…このカレーって、美味いけどぶっちゃけゲテモノだよな」

というのは、国崎が連れてきた客人の一人、眼鏡をかけた男性の言葉である
対応して、ぎらりと閃いた七重の眼光は、眼鏡のレンズを貫通し、
男性の網膜を刺突すべくして直進した
しばしの沈黙が痛い

「分かる奴には分かる」

そう呟いた七重は、カレーを食べようともしない白黒青年に対し、ちらりと視線を投げかけた
そして再び、眼鏡の男性の方角へ目を向ける
少なくとも先程よりは、友好的なものが双眸の奥に在しているであろう
さても、もう一人の客人であるスーツの女性に至っては、
食事を相手にすることもなく早々に立ち上がり、店内を物色し始めた
それにつられるようにして、白黒青年も立ち上がり、ふらふらと台所へ姿を消した
各々方が気楽であると言えば聞こえは良いが、全く散々な食事会である

結局、残された分のカレーは七重が始末した
次いで、眼鏡の男性が食べ終わったのを見て、皿を没収し、
出来るだけ早く、出切るだけ綺麗に全ての食器を洗うと、
丁寧に水を切って棚に戻す。要領が良いと言えば、良い
思いがけずその横では、青年と国崎が仲良く肩を並べており、
哀愁じみた、何やら不穏な空気を発散させていた

居間に戻った七重は、台拭きで以ってテーブルを掃除すると、
億劫そうな表情にて大あくびを放った
何時の間にやら、スーツの女性も舞い戻っている
七重は、眠気に淀んだ目を動かし、彼女の瞳を垣間見ようとしてみたが、
二人の視軸は交錯することなく、揺らめいて反発するのみであった

発生した溜息は、薄暗いモヤとなって、
しばし居間の電灯をちらつかせると、空気に溶けるようにして霧散する
七重は翻って隣室へ入り込むと、襖から布団を引っ張り出して敷き、
すぐさまそこに潜り込むと、自意識を闇へ落とすべく努めた

白黒青年の用に足りるのは、店長たる国崎である
客人二人にしても、国崎についてきたのであって、自分に話があるわけではなかろう
そういう考えが、七重の念頭にあった
四人の話を妨げまいとして、早々に寝具へ退避したのである
空気を読んだと言うべきか、それは余りに、
コミュニケーションの拒絶を目的とした、ただそれだけの空しい行為であった

119:籐堂院神 ◆FleR8jlnN6
08/05/28 01:25:32 0
>>117
「俺の世界で動くことを俺は認めない」

よし、これでレオーネ達は動けなくなるはずだ。
外に出てみると、車が停まっている、間に合ったみたいだな。

「俺の世界に無生物は要らない」

人間以外の全ての物が消える、目の前には座るところをなくしたレオーネ達が無様に転がっている。

「俺の世界で能力を発動することを俺は認めない」

金髪の女がどんな能力だか知らないがこれで封じればいい。
俺は命令を上書きする、するとレオーネ達は動けるようになる。
驚いて俺を見る、すでに俺が籐堂院 神だということに気付いているようだ。

「よくも瑞穂の体に汚い手な、高くつくぜ?」

素早く接近し、レオーネを高く蹴り上げる、まるでボールのようだ、そして着地する前にもう一度蹴り、最後に殴り飛ばす。
今の俺の身体能力は並大抵の物じゃない、異能者どころか怪物レベルはあるだろう。
本気でやればいくら異能者だろうが即死する、だから少し手加減してやった、勿論気絶はしたはずだ、意識があるかないか分からないが俺はレオーネに話しかける。

「お前には死んで貰っちゃ困るんだ、『機関』の屑共に伝えとけ籐堂院 神が帰ってきたとな、あと幽玄の爺さんにもよろしくな」

「それとお前、お前は何もしてないがまた襲われると困るし、少し眠ってて貰うぞ?」

俺は金髪の女に殴りかかる、女はそれに反応し避けようとする。
なかなか反応がいいじゃないか、だがこの程度では俺の相手はつとまらない。

「俺の世界で俺の攻撃を避けることを俺は認めない」

すると女の体は止まり、俺の拳は女の腹にめり込む、すこし骨の折れる音がした。
そして体勢を崩したところで頭に蹴りをいれる、ジエンド。
レオーネ同様少しの間は目を覚まさないだろう、二人を元の車があった位置に戻す。
これで目覚めたときは車の中に居るだろう、そろそろ限界だな、久々に能力使ったせいで少し疲れたみたいだ。
赤髪の少女がぽかんとこちらを見ている、こいつはこいつで好きに行動するだろう、そう思った俺は少女に声をかけずに横を通り過ぎる。
さて池上の自宅に戻らせて貰おう、あいつ等も目が覚めたとき俺がまだ池上の自宅に居るとは思わないだろう。
俺は能力を解除し、池上宅に戻り、与えられた部屋で眠りについた。

【籐堂院瑞穂:池上宅で就寝 二日目(一日目)終了】


120:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/28 01:49:20 0
>>119
「俺の世界で能力を発動することを俺は認めない」

その声、この威圧感。――間違いない、あの男だ。

「よくも瑞穂の体に汚い手な、高くつくぜ?」

そのままロンバルディーニを蹴り上げる。
純粋な身体能力で言えば、あの二人の差はかなりのものだ。

「それとお前、お前は何もしてないがまた襲われると困るし、少し眠ってて貰うぞ?」

言いながら、今度は私に殴りかかる。冗談じゃない、私はまだ手を出していないでしょうに。
このぐらいの速度なら、避けるぐらいわけない――

「俺の世界で俺の攻撃を避けることを俺は認めない」

回避行動が停止する。否、停止ではなく消滅だ。それができなくなった。
―そうか、確かにそういう能力だった。問答無用の絶対命令。『私と私の世界』籐堂院神のその力。
憑依。その行為がどれほどのものかは分からない。だが、しかし――
しかし、甘い。骨が折れようが、無駄だ。同時に頭に蹴りを入れられる。無駄だ。
その程度の損傷や痛み、私にとってあまり意味がない。そもそも異能者相手には生ぬるい。
並みの異能者でも、少し気合を入れれば気絶せずに済むだろう。
――自分の体と娘の体を同一視しているのか。愚かしい。
だがしかし、奴はそれで安心したようで、去っていった。
その後に、全身の損傷を回復――余分に異能者を食べておいてよかった。

「甘い、としか言えませんね。――さて、籐堂院神はともかくとして」

背後を見やる。そこにいるのは、という少女。煌神リン。
ロンバルディーニが気絶してもなお、彼の能力の影響下にあるようだ。

「なら、簡単ですか。――ともかく、この場は撤退です」

現状の私では籐堂院神を倒せない。少なくとも、今は。

「さて、では――失礼しますよ、ロンバルディーニさん」

彼の体を持ち上げ、助手席に座らせ、シートベルトを締める。
そして私はハンドルを握り――車を走らせた。

「最低限の仕事はやり遂げたんです。それに、これで私がいる意味もあった」

私でなくては耐えられなかった、とは言わない。だが、彼では無理だったろう。
事実、彼はまだ気絶している――まったく、これだからあの男は好きになれないんだ。

「性質が気に入らない――ですが、それはもういいです。
 目的は達した――さて、どこまで走らせましょうか」

心当たりはない。――いや、携帯に履歴があったな。

「上野さんに頼んで、渡りを付けてもらいましょうか。
 今の私には、それぐらいしか手はありませんし」

まったく、あの時に聞いておけばよかった。
こんなザマでは、まだあの男は食らえないか。

【アルト:逃走中。機関との接触方法が分からず困っている】
【小村のことを上野恭平だと思っている】

121:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/28 05:42:33 0
>>120の「甘い、としか~以降を変更。

「甘い、としか言えませんね。大物であることは否定しませんが。
 ――ともかく、この場は撤退です」

現状の私では籐堂院神を倒せない。少なくとも、今は。

「さて、そうと決まればどうするか」

周囲を確認する。車が消えている。足が消えたか。自分の持ち物を確認――いや、待て。

「裸じゃないですか、これ!」

何故だか理解できない。大雑把に無生物をまとめて消した、ということだろうか。
いやいや、せめて服ぐら残しておくべきだろう。周囲を見る。
ロンバルディーニも煌神リンも、衣服は消えている。
――一応、煌神リンの状態を確認する。放心しているが、意識はあるようだ。

「…む、困りました。気絶している、というわけでもないですし」

これでは無理をしてでも捕獲せねばならない。最低限、仕事はちゃんとこなしたい。
しかし、現状で勝ち目があるか? あちらも消耗しているだろうが、実はまだちょっと痛い。
それに、確保できたとしても運ぶ方法がない。あの男が今帰ってくれば、手痛い、どころでは済まなくなる。
もう一度周囲を見る。やはり、着替えの代わりになるようなものはないようだ。

「せめて無機物を消すぐらいにしておいてもらいたかった。
 ――ぐだぐだ言っても始まりません。
 幸い、時間は深夜です。見咎められずに撤退できるでしょう」

ロンバルディーニを背負い、ともかく歩き出そうとして、ふと気付く。

「――ああ、そうだ。聞いておかないと」

ひとつ、考えが浮かぶ。煌神リンに対して言葉を投げかける。

「ここはひとつ、素直に機関まで来てくれませんか?
 素直について来てくれるなら、着替えを用意しますけど」

断られるだろう、とは思う。しかしまあ、何らかの反応はあるだろう。
反応次第では――案外、楽に終るかもしれないし。

【アルト:逃げたい。でも仕事はやり遂げたい。裸は恥ずかしい】
【小村のことを上野恭平だと思っている】


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