08/05/25 20:47:29 0
>>23-24
本部の中を歩くとSF小説に出てくる秘密基地に居るような感覚に陥る。
まぁ、実際の所 秘密基地である事には変わりはないが、そこまでSFはしていない。
――格納庫前に来ると整備員達が数機の戦闘機の整備に追われていた。
メンテナンスを受けているのは『F-15』と呼ばれるアメリカの傑作戦闘機だ。
No.11が高い金を払って裏ルートで仕入れてきた物だ。
実戦配備から二十年が過ぎた今日でも未だ現役であり、数多くの戦果を残している。
名機という物は、数多くの派生機を生み出すのが常であり、
このF-15Eは外見的にはF-15B、F-15Dとの違いは見受けられないが、
制式採用にあたり機体を再設計し素材にチタニウムを多用した軽量化と構造強化を図った機体だ。
見た所、武装は右主翼前縁のM61A1 20mm機関砲と両翼下の2か所のAIM-9『サイドワインダー』、
胴体下面の4か所のミサイルランチに計4発のAIM-7『スパロー』で構成されるようだ。
個人的にはスパローよりもクラスター爆弾の方が対地制圧能力が高くて良いと思うのだが……。
武装が付いているだけでも善しとするべきだろうか。
幹部たる者、戦闘機の操縦くらい出来て当然だ。
そういえば昔、機関に敵対する馬鹿な連中の排除をしている時に操縦した事が在る。
――思い出した。籐堂院 神(しん)、あの男の組織に攻撃をした時だ。
まだ私は30とそこそこで、あの頃まだNo.6に昇格したばかりだった……。
因みに髪も短かった。全くの余談だが……。
――籐堂院 神。機関の創り上げた異能者の中でも完璧な完成度を誇る傑作品。
例えるならば異能者の中のF-15という奴だ。
しかしながら、藤堂院は機関を裏切り、あろう事か敵対組織を設立してしまった。
組織への背任、そして敵対……。奴は自分で自分の『落とし穴』を掘った。
結果、奴とその後継者である藤堂院 瑞穂は死亡、求心力を失った組織は急速に結束を失う。
これを好機と見た機関は総攻撃を仕掛け、レジスタンスどもは一人残らず消え去った……。
だが、藤堂院がF-15であると例えるならば、後継・派生を視野に入れるべきであろう。
もし仮に藤堂院瑞穂が生きていたならば――。
鼻で軽く笑い、嫌な考えを打ち消した。
――私は小村を待っている間、暫し思い出に耽った。
【レオーネ(二日目/22時):現在地 機関アジト(格納庫前)】
【藤堂院親子と過去に因縁が在るが、瑞穂が生きている事は知らない】