08/05/25 16:11:17 O
「すぐに殺しに行くからさ。」
こちらの目論見がバレ藤堂院さんと剣が立ち去った後も、この最後の言葉が頭の中をぐるぐる回っていた
「あはは…、危ない危ない…」
なんという皮肉か
自分を助け、自分に協力を申し込むつもりだった人の目標が自分の殺害とは
去り際の言葉から機関の者ではないと信じても、残念ながらもう自分は会うわけにはいかないだろう
もし、不用意に情報と共に身の上話なんかしてたらここで死んでいただろう
『死』 …つい先程感じた絶対的恐怖
しばらく経ち、藤堂院さんがいないことを悟ると 両手白くなるほど強く握りしめ近くの壁を殴った
「なんなんだよ…、なんなんだよお前はっ!
何で自分にこんな力を与える!
何で自分の日常を壊す!
何で自分が人に命を狙われる!
何で自分が人を殺さないといけない!
ヤハウェ…! ヤハウェ、ヤハウェ!!
答えろよっ! どうせ見てるんだろ!!!」
それは甘えなのかもしれない
その程度の事と、ほかの誰かに言わせればなんて事ないかもしれない
だが、つい数日前にこの世界に踏み込んだばかりの自分にはとっくに限界を超えていた
憤怒が、悲哀が、苦痛が、恐怖が、絶望が、ただ自分の魂を押し潰し
ひたすらに自らの運命を呪い
気がつくとあの門の前だった