08/05/25 15:35:37 0
>>15 前スレ>>272
俺の問いに対し、七重はカレーを一口食った!
「カレーだ」
いやこれは如何考えてもカレー、いや食べ物じゃありません本当に有難うございました。
と、口に出して反論も出来ないぐらい俺は弱っていた。
つか今普通にそれ食ったよな?この人の舌や胃はどうなってんだ!?
辺りの雰囲気が静まり、音が消える。
すると、女子高生はポツリポツリと話し始める。
――話を聞いた限りでは有益な情報は特に無く、新しい情報も『機関』の何名かのメンバーがこの戦いに入った事しか無かった。
それにしても洗脳…か。
それ専門の異能者でもいるのだろう。
だが、何故リスクを負ってまで洗脳をしたんだ?
この街の人間―いや、異能者を根絶やしにする為…違うな。
それだとこんな茶番を始めた意味が無い。
その前になんで強い異能者が残るような戦いを始めたんだ?
復讐?殺戮?選別?
意味が分からない。
…クソッ!『機関』の目的は一体何なんだ?
そうだ、目的を知らなくてはいけない。
どうやって知るか。
『機関』に取り入って……駄目だ。時間が掛かり過ぎる。
『機関』に裏切り者はいるだろうし、そいつから……没。同上。
『機関』の下っ端から脅して……一番手っ取り早いが、知ってるかどうか分からないな。そもそもどの程度の人数が入っているのかわからない。
ある程度の情報があるメンバーを屈服させて……出来るかどうか。やるとすれば心当たりは…あの、少女。
名前は聞いたかどうか忘れてしまったが、顔は覚えている。雰囲気も。
…無理っぽいな。出会える確立も低すぎる。
あ~~~~~どうする!?
32:梓川 博之 ◆rEy7LULhaw
08/05/25 15:36:39 0
「家まで送るか」
七重のこの一言で俺の脳は現実のほうに目を向けた。
あーすっかり忘れてた。
この子―桜だったか―、そういえばうちの高校の制服着てるんだな。
俺より年下っぽい廻間と同期らしいし…後輩か。
その桜ちゃんはまるで餓死したカラスかスズメを見るような目で七重を見ていた。
「送ってやれ」
視線に気付いたのか、七重が言い換えた。
「…桜ちゃんだったな。君、唯能(いのう)高校の生徒かい?
それなら俺の後輩に当たるし、俺が送ってあげようか…あ、いややっぱりやめとこう。
二人の仲を引き裂くようなことはしない方が良いしなぁ~なあ廻間君~?」
親切心を出そうと思ったが、さっき二人がキャッキャウフフしてたのを思い出した。そして腹が立った。
ということで仕返しにおじさんモード発☆動!俺、もうやけくそなんだぜ?
「間違っても襲うんじゃないぞ~?仮に了承を得たとしても野外で盛るなよ~?
あーっはははははははぐぁっ!?」
ドゴッ、と良い音がした。かなりの近距離。
…ああ、そうか。俺が殴られた音か…通りで顎が痛いわけだ。
誰が…誰が殴ったんだ?
意外ッ!それは桜ちゃん!
彼女のアッパーカットを食らって俺は意識を手放した…。
【梓川:桜のアッパーカットをくらい気絶?】
【5分くらいは起きないでしょう】
33:桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk
08/05/25 16:11:17 O
「すぐに殺しに行くからさ。」
こちらの目論見がバレ藤堂院さんと剣が立ち去った後も、この最後の言葉が頭の中をぐるぐる回っていた
「あはは…、危ない危ない…」
なんという皮肉か
自分を助け、自分に協力を申し込むつもりだった人の目標が自分の殺害とは
去り際の言葉から機関の者ではないと信じても、残念ながらもう自分は会うわけにはいかないだろう
もし、不用意に情報と共に身の上話なんかしてたらここで死んでいただろう
『死』 …つい先程感じた絶対的恐怖
しばらく経ち、藤堂院さんがいないことを悟ると 両手白くなるほど強く握りしめ近くの壁を殴った
「なんなんだよ…、なんなんだよお前はっ!
何で自分にこんな力を与える!
何で自分の日常を壊す!
何で自分が人に命を狙われる!
何で自分が人を殺さないといけない!
ヤハウェ…! ヤハウェ、ヤハウェ!!
答えろよっ! どうせ見てるんだろ!!!」
それは甘えなのかもしれない
その程度の事と、ほかの誰かに言わせればなんて事ないかもしれない
だが、つい数日前にこの世界に踏み込んだばかりの自分にはとっくに限界を超えていた
憤怒が、悲哀が、苦痛が、恐怖が、絶望が、ただ自分の魂を押し潰し
ひたすらに自らの運命を呪い
気がつくとあの門の前だった
34:桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk
08/05/25 16:14:49 O
>>33
気がつくとあの門の前だった
開きかけだったはずの門は今、完全に開いている
中は絵の具で塗りつぶしたような闇
しかし、全く躊躇もなく中に入った。 自身の心の中、 だからだろうか
中を歩むと円の形に7つの台座があった
そのうち6つにはそれぞれ違う色の宝石が鎮座していたがなぜか1つだけ何も置かれてない台座があった
『それこそが【罪】…
知恵の実を食べたが故に人が背負いし業』
またあの声が聞こえた
いや、今ならわかる
これは自分の声だ
自分自身の声とは、喋るとき頭蓋骨が反響するため他人の聞く声と自分の聞く声は違うと聞いたことがある
『それぞれ【強欲】【怠惰】【大食】【色欲】【傲慢】【憎悪】【嫉妬】と呼ばれ
そのうち我の【嫉妬】は救済した…』
声は淡々と それでいて力強く語る
それは神が人間に答えを与え、道を導いてるような声色だった
『我は人を、世界を、全てを、救済したい
それには… 我の力が必要だ』
「ふざけるな なんでお前なんかに協力しないといけない! なんで自分の中にいるんだ! さっさと出て殺されろよ!」
声がしたときから感じていた視線の雰囲気が変わった
怒り… ではない、『哀れみ』の目だ
『過去と運命は覆せない
たとえそれが神でもだ…
だからこそ過ちを正すため、我がいるのだ』
『安心されよ。我の罪を全て救済した曉に、我の器になってもらうだけだ…』
何が安心しろだ。器になれってどういう事だよ
「お前は…」
言いかけた瞬間、視界がぼやけた
目を擦ってみてもぼやけたままで段々全てが白くなってきた
「お、おい! なんだよこれっ!?」
『時間か…、我の答えは満足召されたか?」
『では、誠一郎によろしくな』
「おい、待て…っ」
次に目が覚めたときは自分はベッドの上で空は白くなりはじめ
三日目が始まろうとしていた
【桐北修貴:三日目朝 廃校内にて起床
体はまだ痛むがとりあえずは動ける】
35: ◆KmVFX58O0o
08/05/25 16:43:06 0
時間は深夜を迎え、賑やかだった町も幾分静かになった
街灯のみが闇夜を照らす中、その街灯が照らす道をだらだらと一人の男が歩いていた
整った顔立ちと、若干色褪せた染め上がった金髪。そして両耳にピアスを二個ずつ付けている
しかしそれほど特徴的な顔でもなく、せいぜい顔が良い男程度の印象しか残らないだろう
だがそれこそが男の強みである。人々の記憶に残らない顔の方が、仕事はずっとやりやすい
男はその事を自覚しており、また『機関』もそれこそがこの野蛮な男の唯一の長所だと認識している
ふと、男が立ち止まり、スーツの胸ポケットからかなり小型の携帯電話を取り出した
細長く白い指で携帯電話のボタンを押し、『機関』に電話を掛ける。数秒経つ
「あ、もしもし? 梶原っす。貳名市に着きました~。それでどうすりゃいいんすか?」
梶原と言う名のその男は、電話の向こうの相手の話を小さく頷きながら聞く
ときおりふ~んや、へぇ~と気の抜ける相槌を打つ様子は真面目には見えないが、梶原なりの話の聞き方なのだろう
「はいは~い。分かりました~。要は弱い奴をぶっ殺して強い奴だけを残せばいいんすね?
大丈夫ッすよ。自分ちゃんと区別は付きますんで。あ、はいは~い。失礼しま~す」
携帯の通話ボタンを切り、梶原は携帯電話を胸ポケットにしまう
しばらく経ち、梶原は電話の内容を頭の中で反芻し、やがてにやりと口元を歪ませた
何時もと同じ仕事だ。強い人間は死なない程度に痛めつけ、弱い人間は遠慮なく殺る
その過程で梶原が行う行為は最低とも取れる行為だ。男はともかく女子供にも手を掛ける事を容赦しない
また、容姿が自分好みの女性に対しては散々追い詰めた挙句、性的暴力を行う。しかも異能力者でも、そうでなくても、だ
しかしどんな下衆な事をしようと、梶原の行為は『機関』が権威をフルに使い揉み消してくれる
それが許されるのも梶原の実力を『機関』は高く評価しているからだ
36: ◆KmVFX58O0o
08/05/25 16:44:42 0
ふと、梶原の目にふらふらと千鳥足で歩くサラリーマンの姿が映った。相当酔っているらしく、足元がふらついている
梶原は不快感を感じながらも、そのサラリーマンから離れる様に歩く。が、サラリーマンは梶原の方へと歩いてくる
するとサラリーマンは突然、梶原の方へと無理やりよたれ掛かり、嘔吐した
「・・・あ?」
梶原は状況が理解できず、数秒思考が固まる。ふとズボンにサラリーマンの嘔吐した吐瀉物の匂いが鼻の奥を刺激する
先ほどのニヤケ顔から一転、梶原の表情は足元に倒れるサラリーマンに向かって激しい憎悪の炎を燃やした。目つきが明らかに鋭くなっている
と、梶原の左手からキラキラと眩い粒子が現れ、次の瞬間、バタフライナイフが梶原の左手に成形された
「…人のスーツ汚しといて、のうのうと寝てんじゃねーよ、ジジィ!!」
梶原は傍らのバタフライナイフを、寝ているサラリーマンに躊躇無く振り下ろした。一回、二回、三回
梶原のスーツを血飛沫が汚す。しかしそれにも構わず梶原はサラリーマンに対し、ナイフを振り下ろし続けた
血の水溜りがコンクリートの地面を濡らす。梶原は立ち上がり、息を整えると持っていたバタフライナイフを投げ捨てた
「はぁ…どっかでスーツ新調しないとな~…本部行くか」
もうすぐ朝日が昇ろうとする無人の町を、梶原はまた歩き出した
【NPC梶原琢磨登場。本部に向かう】
【プロフィールは避難所の>>755を参照してください】
37:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/25 16:54:38 0
>>15>>31
>「家まで送るか」
俺は、七重の言葉を聞いて時間を確かめていなかった事を思い出し外を見回した。
外は既にほとんど暗くなっている。この時間帯に、人気の少ない通りを桜一人で歩かせるのは心配だ。
「それじゃあ俺と七重…」
俺と七重のどっちかが送るか、と言いかけたところであることに気がついた。
さ…桜の目…小汚い野良犬でもみるかのように冷たい目だ。
残酷な目だ…「かわいそうだけど、明日の朝には保健所で駆除される運命なのね」って感じの!
そうなれば、答えは一つに絞られる。それは、俺が送るという事だ。
七重じゃあ桜が許可しないだろうし、あの男…そういや気付いたけど…この人も俺と同じ学校の制服着てるな…
顔からして、先輩だな。男じゃなくて、先輩って呼ぶべきか。
…それはまぁ、置いといて。とにかく先輩は客なのだ。客に手間をかけさせるわけにはいかないだろう。
だから俺が送るのだ。消去法って便利。
「…しょうがない、俺が送るよ」
頭をポリポリと掻きながら、呟く。
そうしたら、間も無く先輩が口を挟んできた。
>「…桜ちゃんだったな。君、唯能(いのう)高校の生徒かい?
それなら俺の後輩に当たるし、俺が送ってあげようか…あ、いややっぱりやめとこう。
二人の仲を引き裂くようなことはしない方が良いしなぁ~なあ廻間君~?」
何を言ってるんだこの人は。仲を引き裂くって、俺と桜はまだ何もしてないぞ。
…そりゃあ、さっき抱きつくようにもたれかかられたけど。あんなのノーカンだろ。そうに違いない。
俺が頭の中で反論してる間にも、先輩がたたみ掛けるように喋り捲る。
中には聞くに堪えない言葉も混じっていた。
…俺はふと、桜の様子を横目でちらりと伺ってみた。なんか桜の様子がおかしい。
なんかやたら覇気を出しているような…そして、おもむろに先輩に近づき…
SMAAAASH!!
アグレッシブスチューデントモード!
先輩の顎に、それはもう見事なアッパーカットがクリーンヒット。
アッパーカットを食らった先輩は、体がほん少し吹っ飛ぶ。
そして、畳に落下し気絶した。
「……あー、俺が家に送っても?」
「…え、あ…う、うん!お願い!」
息を荒くしながらも、桜が俺の問に答える。
それにしても、こんなに見事なアッパーカットを使えたのになんで捕まった?
俺は、そんなことを思いながら桜を家まで送ることにした。
【廻間:桜を家まで送ることにする】
【送ってる最中に他の人がからんでもOK】
38:葦川妃映 ◆oov3HbsEaA
08/05/25 19:36:32 0
全スレ>>291>>293
「じゃ、宜しくね。イケメン薬剤師の国崎さんに恋島さん」
もう一度小さくお礼を言ってカメラを恋島に返す。
そろそろ自分の出血が気になりはじめたので、ハンカチで傷口の上を縛る。
ずきずきとした痛みはさほど気にならないが、流血は見ていて気分が悪くなる。
>「……まあ、お前らがうちの店に来るのは、薬も売れそうだから別にいいけどな。
>言っておくと、俺は基本的に一般人だ。店にいる奴等にもそう接してる。
>だから、お前らの目的は判らねぇが、もしお前らが俺の正体をばらそうとしたり、
>俺が一般人に戻れなくなる様な話をしようとしたり、あいつ等をヤバ過ぎる事に
>巻き込もうとしたら―俺はお前らを追い出す。いいな?」
かっこつけ。
さっきの化け物ぶった言動と色々矛盾してるし、要領が悪い。
一番損するタイプの人間。
でもまあ、理屈に合わないことをするのが人間だしね。
「ありがとう。私はそれでいいわ」
「私も、ただ危険から身を守りたいだけなのよ。わざわざ危険を招く行動はしないつもりよ」
肯定と小さな微笑を向け、国崎の後ろについていく。
あたりはすっかりと闇に包まれ、人通りもほとんど無い。
殺伐としてしまいそうな雰囲気の風景だったけれども、私の心は軽かった。
未知は恐怖。だけれども、未知は遭遇した途端に既知へとなる。
冷静な思考と少しの安心感があれば、どんなこともきっと打破することができる。
そんな自信が私の背を押していた。
のだが─
恋島が携帯電話をチェックしているのにつられて自分も携帯電話を取り出す。
開幕を告げる数日前のメールを軽く読み直すつもりで出しただけだったのだが、新着メールが届いていた。
『差出人:善養寺─』
思わず携帯電話を閉じる。
そのまま何食わぬ顔でポケットに仕舞い国崎の後ろをついていく。
【国崎薬局へ】
39: ◆KmVFX58O0o
08/05/25 20:11:27 0
>>37
梶原は心の底から嫌悪感に満ちていた。仕事始めにこれである
未だにスーツにあのサラリーマンの吐瀉物の匂いが漂っている。それに汚れも
本部が遠いのも、梶原のイライラを増幅させていた
しかし夜遅いからか、梶原以外に歩いている人がいないのが幸いだった
おそらく今の梶原は、誰かが少しでも怪訝な表情を浮かべた途端、ブチンと切れてしまうからだ
それほどこの梶原という男は不安定かつ、危険な男である
寒々とした商店街を抜けると、住宅街に来たようだ
この先に本部がある。そう思うと梶原のイライラのゲージも少し下がってきた
ふと、梶原の頭に妙な予感がよぎった。と同時に仕事の予感がする
梶原は一度立ち止まり、周りを注意した。っと遠方に人の姿が見える
道路の端により、梶原はじっと目を細めた
40: ◆KmVFX58O0o
08/05/25 20:16:59 0
【>>39続きです】
どうやら二人居るようだ。少しだけその人物に近づいてみる
制服を着た少女と、短髪でどことなく目つきの悪い少年が寄り添うように歩いている
何故かは分からないが、少女は少年にくっ付いて離れない。よっぽど夜道が怖いのだろうか
梶原はゆっくりと、その二人に悟られぬように近づく。おそらくどちらかが異能力者だろう
そろそろあちら側にも見えるぐらいに近づいたきた。すると梶原は先ほどのサラリーマンのように少年に近づき
「いって。ちょっと肩当たったんすけど」
明らかにわざとらしく、梶原は少年の肩にぶつかってきた。だが目線は少女の方を向いている
「はぁ~…俺凄い傷ついたんだけど。ねぇねぇ、謝ってくれる?」
梶原のその様は明らかにチンピラのそれと同等である。一方少年はじっと耐えているようだ
少女は怯えたまま俯いている。梶原は少し考えた挙句、行動に出た
「それじゃお詫びに…ちょっと痛い目にあってもらおうか」
そう言いながら梶原はナイフを構えるような手つきで左手を少年の頬に当てる
すると左手から、光の粒子を発光させ次の瞬間、折りたたみナイフを成形させた
(さぁ…どっちが抵抗するかな。ま、女の方なら嬉しいんだがな)
少年の頬にナイフを当てて、梶原はそう思った
【桜を送る廻間に接触。異能力を使い、どちらが異能者か試す】
41:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/25 20:47:29 0
>>23-24
本部の中を歩くとSF小説に出てくる秘密基地に居るような感覚に陥る。
まぁ、実際の所 秘密基地である事には変わりはないが、そこまでSFはしていない。
――格納庫前に来ると整備員達が数機の戦闘機の整備に追われていた。
メンテナンスを受けているのは『F-15』と呼ばれるアメリカの傑作戦闘機だ。
No.11が高い金を払って裏ルートで仕入れてきた物だ。
実戦配備から二十年が過ぎた今日でも未だ現役であり、数多くの戦果を残している。
名機という物は、数多くの派生機を生み出すのが常であり、
このF-15Eは外見的にはF-15B、F-15Dとの違いは見受けられないが、
制式採用にあたり機体を再設計し素材にチタニウムを多用した軽量化と構造強化を図った機体だ。
見た所、武装は右主翼前縁のM61A1 20mm機関砲と両翼下の2か所のAIM-9『サイドワインダー』、
胴体下面の4か所のミサイルランチに計4発のAIM-7『スパロー』で構成されるようだ。
個人的にはスパローよりもクラスター爆弾の方が対地制圧能力が高くて良いと思うのだが……。
武装が付いているだけでも善しとするべきだろうか。
幹部たる者、戦闘機の操縦くらい出来て当然だ。
そういえば昔、機関に敵対する馬鹿な連中の排除をしている時に操縦した事が在る。
――思い出した。籐堂院 神(しん)、あの男の組織に攻撃をした時だ。
まだ私は30とそこそこで、あの頃まだNo.6に昇格したばかりだった……。
因みに髪も短かった。全くの余談だが……。
――籐堂院 神。機関の創り上げた異能者の中でも完璧な完成度を誇る傑作品。
例えるならば異能者の中のF-15という奴だ。
しかしながら、藤堂院は機関を裏切り、あろう事か敵対組織を設立してしまった。
組織への背任、そして敵対……。奴は自分で自分の『落とし穴』を掘った。
結果、奴とその後継者である藤堂院 瑞穂は死亡、求心力を失った組織は急速に結束を失う。
これを好機と見た機関は総攻撃を仕掛け、レジスタンスどもは一人残らず消え去った……。
だが、藤堂院がF-15であると例えるならば、後継・派生を視野に入れるべきであろう。
もし仮に藤堂院瑞穂が生きていたならば――。
鼻で軽く笑い、嫌な考えを打ち消した。
――私は小村を待っている間、暫し思い出に耽った。
【レオーネ(二日目/22時):現在地 機関アジト(格納庫前)】
【藤堂院親子と過去に因縁が在るが、瑞穂が生きている事は知らない】
42:小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U
08/05/25 20:59:18 0
彼女は私が前線基地の隊長を疑わなかった・・・
まあ、疑われないからいいのだが・・ホントは幹部なのに・・
>「ありませんね。機関に対する敵意など」
彼女はこちらの質問にNOと答えた
>「取引ですか…? 内容にもよりますよ。
> 私が得られるメリットと、デメリットを説明してくださいね。
> それと、ここの部屋代は後で返してもらいますから」
その後、言葉を続けた
最後の言葉は少しずしっときた
ちっ・・・覚えていたか・・
まあ、機連送も直っていることだ 誰かに持ってこさせればいい
「じゃ、説明しますよ まずこれはこの町の異能者のリストです」
小村はリストをひらひら揺らしながら言った
「これにはこの町の異能者の名前、人相、住所、異能力、強さのランクまでそれは明確に
書いてあります まあ、ところどころ抜け落ちているようですけど・・・・」
小村は少し不機嫌な顔になる
「で、貴女にはこのリストの者をランクの低い順に殺して頂きたい」
小村は備え付けの冷蔵庫からワインを取り出し、グラスに注ぐ
「あなたのメリットは・・当分の食事の心配はないですよ
雑魚がイヤになったら、上級の異能者を何人か食べてもらっても構わない」
小村はワインを注いだグラスを揺らしつつ
「デメリットは機関の言いなりになることですが・・・そこまでこき使うわけじゃありませんよ」
ワインを飲みほす
「ん~、やはりワインは赤が一番ですね・・・・で、どうします?」
小村はワインを飲みつつ返事を待つ――
43:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/25 21:11:12 0
>>42
私が答えると、彼は取引の内容について説明し始めた。
「じゃ、説明しますよ まずこれはこの町の異能者のリストです」
異能者のリスト…それを私に見せるということは、なるほど。
「これにはこの町の異能者の名前、人相、住所、異能力、強さのランクまでそれは明確に
書いてあります まあ、ところどころ抜け落ちているようですけど・・・・」
機関の力を持ってしても完全な状態にはならなかった、か。
あるいは調査した段階よりも更に先に進化していた、という可能性もあるか。
「で、貴女にはこのリストの者をランクの低い順に殺して頂きたい」
低ランクの者から殺す。なるほど、上位の者を食われる前にどうでもいい餌を与えるつもりか。
……しかし、どうにも思い通りの展開になってきた。
「あなたのメリットは・・当分の食事の心配はないですよ
雑魚がイヤになったら、上級の異能者を何人か食べてもらっても構わない」
上級の相手も食べていい? ……不可解だ。そこまでサービスする必要があるのかどうか。
あるいは、それだけ私を評価している、ということでもあるか。
「デメリットは機関の言いなりになることですが・・・そこまでこき使うわけじゃありませんよ」
それだけではない。勝手に上級の異能者を殺せば契約違反となり、私が狙われる。
とはいえ、既に目を付けられている状態だ。それほど変わるまい。
「ん~、やはりワインは赤が一番ですね・・・・で、どうします?」
この取引…私が得られるのは異能者の情報か。是非もない。
この条件なら考えていたよりも上等だ。私の答えは決まっている。
「喜んで受けましょう。いえいえ、私も組織に対立するのは避けたいところだったんです。
私も個人で集団に勝てるとは思っていませんからね。いつかは集団の力を手に入れたいと思っていたんですよ。
――ああ、そうそう。今回の仕事が終った後も、たまに仕事を回してくださいませんか?
お金とかいりませんから、お願いします。……まあ、できたらでいいですけどね」
言いつつも、リストを渡すように促す。無論、彼が断るはずもない。
「それでは契約成立ということで。――ああ、それと一つ言っておきます。
神重敬という男ですが、覚醒の兆候がありました。
そのうち、機関が目を付けるレベルまで成長するでしょう。
その時は、貴方自身を囮に使えば確実に捕獲できると思いますよ」
リストを受け取り、部屋を出る。…最後に振り返り、一言残す。
「それと、机の上に私の携帯番号とアドレスをメモした紙を置いておきました。
何か連絡することがありましたら、使ってくださいね」
【アルト:結託。組織の力が欲しいなーと思っているらしい】
44:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/25 21:23:58 0
俺は桜と会話しながら帰り道を歩いていた。
ただし、桜が俺に引っ付きながらだが。ハッキリ言って照れくさいし歩きにくい。
心なしか桜の顔が紅くなってて、嬉しそうなのは気のせいか?
(ああもう。なんでこんな事に)
心の中で、現状についての文句をこぼす。
その時、目の前から人影が一つ歩いてくるのに気がついた。
(あー、人に見られちまったじゃんか。これじゃあ公認のカップルだよ)
思わず目を瞑り、開いているほうの手を頭へと持っていく。
歩く方面やスピードは、桜に委ねた…その時。
>「いって。ちょっと肩当たったんすけど」
ドシン、という音と共に俺の肩に微量の衝撃が走る。
どうやら向かいから歩いてきた人にぶつかってしまったらしい。
とりあえず、謝らないとな。非は目を瞑っていた俺にあるのだから。
「あぁ、すいませ…」
俺は頭を下げ、謝罪の意を表そうとした…のだが。
>「はぁ~…俺凄い傷ついたんだけど。ねぇねぇ、謝ってくれる?」
…今謝ろうとしただろうが。
どうやらコイツは、人の答えを聞かないで自分の意見のみ推しとおすヤツらしい。
答えは聞いてないってか?
それと、何故桜のほうを見てんだ。ぶつかったのは俺だろうが。
お前が見てるせいで、桜が怯えているじゃないか。
>「それじゃお詫びに…ちょっと痛い目にあってもらおうか
……
……あぁ、そうか。この男が桜を見ていた理由が。
それは、俺を言ったとおりにナイフで痛い目にあわせてこの場からいなくなさせること。
それが不可能ならば、俺を殺す。
そして、居なくなったか死んだかのどっちかを達成すれば、桜を犯すと…
それすべてを理解したとき、心の中を漆黒の心が支配した。
45:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/25 21:25:22 0
「そうだな…痛い目にはあわないとな…」
先ほどの表情とは一片、眉一つ動かず肩を竦めながら答えた。
その表情は、氷を思わせるような詰めたい表情だったに違いない。
「 ま ぁ 痛 い 目 に あ う の は お 前 だ け ど な 」
威圧するようにゆっくりと呟いた後、音速とほぼ同等の蹴りを男の腹へブチ込む。
蹴りを入れられた男は、衝撃に耐えられず吹き飛んだ。
男が持っていたナイフも一緒に吹き飛び、それが頬に当たっていたため頬が切り裂かれ、血がこぼれる。
俺は、冷静に血を袖で拭った。
蹴り飛ばされた男も只者では無いのか綺麗に受身を取り衝撃を減らす。
その異能者であろう男は思うようにいかないことで怒っているのか、その端正な顔が歪んでいる。
「……」
そんなことは関係ないとばかりに、俺は無言で両手に刀を形成した。今は満月、作り出せる刀の中で最大限に大きく、鋭い。
そして、その最大限に大きく鋭い刀を振り下ろした。
刹那、男の両腕がドサリと崩れ落ちる。
別に男自身を斬ったわけではない。俺は男の腕のある空間を斬り裂いた。
結果として空間と腕が下へとずれ、肘との繋がりが無くなり支える物が無くなった腕が崩れ落ちたというわけだ。
「俺はな……刃物を持った相手に負けるわけにはいかねェんだよ……特に、お前のようなヤツには尚更な……」
俺の中に渦巻く、漆黒の心。
それは俺に仇名すものに対しては、どこまでも冷徹に……そして、残酷になれる心。
師匠から教わった教えは、敵に対する慈悲の心などいらないという事。そのため、俺はこの漆黒の心を身につけた。
この心は、どうしても戦わなくてはいけない時や、情に流されそうになった時……そして、怒りが心を支配したときに、自動的に発動する。
俺の心の中にはこの男に対する慈悲の心は無い。怒りが心の中を支配しているのに、ひどく落ち着いている。
言ってみれば炎なのに、ひどく冷たいという矛盾した感情があるだけ。
俺は斬りおとした腕へと歩き、それを男へと蹴り飛ばす。
「場違いだからとっとと帰れ。その腕は…世の中思うようにいかないという事が分かった勉強代だ。
綺麗に斬りおとしたから、すぐ腕のいい医者にかかれば元に戻るだろ。
だが、もし…これ以上やるってんなら、その首も勉強代として頂くぜ?
お前は、俺にどう足掻いても勝てないっていう事の勉強代としてな」
喉元に刀を突きつけ、蔑むように男を見つめ俺は呟いた。
後ろの桜には刺激が強すぎるだろうが…まぁ、いい。戦国時代なんかじゃ普通に行われてたんだ。
アクション映画かスプラッタ映画でも見たと思ってくれ。
【廻間:梶原の両腕を斬りおとす。反撃してくるようなら首も切り落とす】
それと、修正。
「この男が桜を見ていた理由が」の後に「なんとなく分かった」を付け加えてください。
46:七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI
08/05/25 21:45:47 0
>31-32 >37
うら若き三人の会話から、彼らは漏れなく同じ高校に在籍していることが分かる
高校。七重はその言葉を聞いて、陰惨としたものを心に感じた
喧しい三人の横で、彼だけが、冥暗の記憶を噛み潰していた
>「間違っても襲うんじゃないぞ~?仮に了承を得たとしても野外で盛るなよ~?
あーっはははははははぐぁっ!?」
白黒青年の高笑いを、桜の拳が打ち抜く
大人しそうな外見に寄らず、大振りのアッパーカットである
果たして彼女は格闘技経験者なのか
洗脳とやらの後遺症で、腕の筋肉がどうかしてしまっただけなのか
得にもならぬ推測をしながら、崩れ落ちる青年を、七重は受け止める
いっそここで彼女に立ち合いを申し込むか、と考えた七重だが、
まさかそんな非常識を行うわけにもいかないので、
失神したらしい青年を寝かせつつ、初々しい二人が薬局を出るのを見送った
押入れから毛布を引っ張り出して、それを青年にかける
そして手持ち無沙汰に、さてな、と頬を掻く七重
国崎が帰るまで、何をして過ごすべきか
考えるまでもなかった。鍛錬であろう
薄っぺらい黒地のシャツを脱ぎ捨てる
次いで体を覆う包帯を引きちぎり、ごみ箱に突っ込む
外気に晒された七重の肉体の傷は、短時間にかなりの回復を見せていた
彼自身の代謝による生命力に、異能者独特の治癒能力が加わった結果である
ところが七重は、体内でそんな革命が起きているとは露知らず、
また、それを不思議とも思わない
単純な人間は、何につけても幸せ者である
庭に躍り出る七重。瑞々しく冷えた風が快い
目を瞑れば、学生時代の悪夢も、少女の拳撃を見た時の興奮も、自然と薄れる
前後に足を開いた七重は、瞼の中の闇へ向かって相対した
彼方より手刀が迫り来る。空気の分かつ感触
七重はそれにやんわりと手を添え、真綿で包むかのごとく受け流す
ほぼ我流ながらも、それは確かに、中国武術における『化勁』と呼ばれる技術
普段のケンカ殺法ではない、『武術』の動きであった
途切れることのない攻撃を、七重は捌き続ける
化勁。化勁。化勁。時折、肘撃ちでの迎撃を混ぜる
そんな延々とした連撃の後、テレフォン気味のアッパーが入った
桜少女の放ったそれと、まったく同じものである
七重はそれを見逃さない。素早く体勢を立て直し、半歩退いてかわす
彼の鼻先には、びりびりと凄まじいまでの衝撃が広がった
天に突き上げられた相手の拳
飛び込むようにして、両手で以ってそれを捕らえると、
着地様、半ば強引に捻り下ろす
突っ張っていたものが、がくり、と外れる手応えがあった
開眼する七重。その体勢は、初めの構えから微動だにしていない
今の立ち合いは、単なるイメージトレーニングであったのだ
が、その身体は、加熱された汗と湯気に覆われていた
手首を振るうと、まとわりつく水滴が発散された
七重にとって、これはウォームアップ程度のものである
構えなおす。わずかの後、正拳の咆哮が夜に木霊した
47:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/25 22:03:35 0
>>28 >>41
>「そうえばさっき金剛に会ったんだが、
>リンとかその他二名その場にいるやつを封印したらしいぞ。」
ツバサの言葉を思い出す。封印された? 城栄に?
城栄の奴、『バルカナの逆理』を使ったのか。確かにあれは数時間能力を封印する技だ。
ツバサもツバサであっけらかんと言い放ったものだ。
――ツバサ・ライマース。機関の世襲幹部で、No.2を代々受け継ぐライマース家の跡取り。
本来、No.2はNo.1を補佐しなければ成らないが、今のツバサには難しいだろう。
現在城栄の補佐を担当しているのは、No.3の長束だ。
老獪というべき戦略眼によって数多の作戦を成功に導いてきた。
これからもそうだろう。私としては、ツバサには早く一人前に成長して欲しいのだが……。
無論、異能者としてではなく人間としてである。
リンの能力が封印された事は好機と見るべきだろう。
何の障害も無く彼女を捕獲する事が出来る。
しかし、私の心には……。
煌神 リンの能力回復を待って、完全な状態で決着をつけるべきなのだろうか?
……いや、甘さは死に繋がる。この世界では常識の事だ。
――煌神 リン。彼女は何処までも私を悩ませる。
48:池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU
08/05/25 22:06:10 0
>>27>>30
人影は自分の存在に俺達が気付いたと見るや、
「話を聞いた」と言いながら物陰から姿を現した。
同時に街灯の光に今度は人影の主自身が照らし出され、その正体が明らかとなった。
その正体は外国人風の女。それも若い。見た目から二十代前半と言ったところだろう。
それはそうと、この女が持ち歩いているのは……剣ではないのだろうか。
異能力を感じることは出来ないが、城栄の名を出したこの女自身の言動から
察するに、十中八九異能者であろう。
女は刀を抜き、「自宅はどこか?」と訊ねた。いや、これは脅しと言った方が正しい。
無視しても良かったが、それを理由にあの刀でバッサリといかれてはあまりに
馬鹿馬鹿しい。俺は正直に、「ここだ」と答えるのだった。
>「では、一晩だけ泊めて貰えないだろうか?別にベッドは使わないし、
>貴方に迷惑をかけるつもりもない、因みにこれはお願いだ、断ってくれてもいい」
と言いつつも、女は突き出した刀を引こうとはしない。
俺は女の脅迫にも平然として、繭一つ動かさずに口を開いた。
「……本当に俺を殺す気があるなら、自宅を聞き出した時点でグサリとやっていたはずだ」
俺は突き出された刀を右手の甲でゆっくりと払い除けた。
「あんたを泊めてやってもいい。だが、こちらの出した条件を呑んでくれるなら、
ベットだけと言わずもっと良い寝床を提供してやるがな」
俺は「何?」と言いたげな女の反応を待たずして、条件を出した。
「条件は簡単だ。
あんたが家に居る間、俺の家に異能者が攻めてきたら俺の代わりに闘うこと。これだけだ」
条件を呑んでくれれば一晩だけだが「番犬」が出来上がる。
仮に呑んでくれなくとも、一晩この女に宿を貸すだけで、未だ握られている
剣を納めてくれるなら安いものだ。どちらに転んでも今の俺にはマイナスにならない。
俺は目線を女から逸らし、代わって山田と煌神 リンに目を向けた。
「お前らはどうする? 物のついでだ、今なら泊めてやる」
俺は右手親指を突き出し、800坪ほどあろう土地の中に構える二階建ての家を指した。
長束の屋敷とまではいかないが、その家は世間の人間にとっては十分といえるほど
大きなものであった。
【池上 燐介:条件を呑むか呑まないかを籐堂院に問う。条件を呑まなくとも泊めるつもり。
戦場ヶ原とリンにも泊まるかと訊ねる】
49: ◆KmVFX58O0o
08/05/25 22:13:29 0
>>44-45
ナイフを少年の頬に付けながら、梶原はニヤケが止まらなかった
少年と同行している少女は、梶原の嗜虐心をモロに煽るような大人しい少女だからだ
梶原の心は脅している少年ではなく、少年と歩いている少女に対する性的欲求に傾いていた。と
>「そうだな…痛い目にはあわないとな…」
脅していた少年が、無感情な音色でボソッと答えた
(やっぱコイツか…だが楽勝だな)
背丈は変わらないものの、梶原にはその少年の言葉は少女に向けての強がりにしか聞こえない
また、今までの戦績から梶原には根拠の無い、自らの強さに対する絶対的な自信があった
ナイフを少年の頬から離し、一気に攻め―
その瞬間、梶原の体にまるで鈍器で腹を殴られた様な痛みが広がる。一瞬頭が真っ白になる
だが頭よりも先に体が反応していた。梶原は瞬時に後ろ受身をして少年の追撃を逃れる
(バカな、バカなバカなバカな! 俺が…俺が攻撃を読めなかっただと!?)
梶原は今の状況を否認する。というかしたくて堪らない
こんな自分より年下の男に負けるなんてと梶原のプライドがそれを許さないのだ
(あ、慌てるな…俺の油断が招いたんだ、よし、よしよしよし!)
膝立ちしながらも、梶原は反撃する為に体勢を立て直す。そして少年の方を向き―
「え?」
梶原は目を白黒させた。両腕の感覚が途切れ―自分の両腕が傍らで転がっていた
50:国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI
08/05/25 22:21:43 0
「はは……何が趣味は料理だ……どうせ俺の力なんてこんなモンだ……」
薬局にある生活空間。俺を除いた全員が居間にいる中で、
俺は台所の隅で、俯き、延々と床に『の』の字を書いていた。
事の起こりは一時間程前に遡る。
俺が恋島、葦川と一緒に家(薬局)に戻ると、そこには七重が筋トレをし、
見知らぬ男がぶっ倒れているという何やらカオスな空間が広がっていた。
その光景を見た瞬間俺の脳裏には「襲撃」という二文字が浮かび、急いで倒れている男の
脈を確認してから七重に、一体何があったのか、廻間はどうしたのかと問い詰めていた。
急かして聞いたので断片的な回答しか返らなかったが、その結果、この男が客の様な
ものであり、洗脳されていた女子高生のアッパーで沈んだ事、
廻間は洗脳の解けた女子高生を連れて帰ったという情報を得ることが出来た。
俺は、女子高生の洗脳解除が不十分で、暴れた際に男性にアッパーが当たり、気絶したのだろうと
解釈し、一先ず安心したので、とりあえず客である二人に晩飯のカレーでも奢り、
七重にも食べながら現在の状況を説明しようと、全員分のカレーを装い
(今思えば、目まぐるしい状況変化で嗅覚が働いていなかったのだろう)
テーブルに出した自分の分のソレを、一口食べ――台所へ直行した。
いままでたべたことのないあじだった
不味いとかそういうレベルじゃない。
そう、あえて表現するなら、「むごい」。
こんな物は人間の食べ物じゃない。戦場で食べた枯れた木の根や
名前も知らない虫?だってもう少しマシな味だった。
一通りむごさを体験した俺は、台所の水を飲みながら考える。
誰だ、こんなこの世の終わりみたいな料理を作りやがったのは……
……俺じゃねぇか。
そうして、俺のプライドは砕けた。
長年自炊してきて料理の腕は上達し、かなりの物だと思っていた。
材料も調合も完璧、至高のカレーになる筈だった。
だが、結局はこのザマだ。俺の生きた年月なんてこんな物だ
カレーの味とショックとの相乗効果で、俺の精神はどんどん下降していった。
→冒頭へ
【国崎:店にいる全員にカレーを出した後、
カレーとの精神対決に敗北。一時的に精神力がC→Fに変動。
台所に引き篭もったので居間の会話は聞こえない】
51: ◆KmVFX58O0o
08/05/25 22:39:53 0
【>>49の続きです】
余りにも一瞬の出来事に、梶原の頭は対応できない。だが―痛覚だけは梶原の思考よりも早い
言葉にならない激痛が、梶原を襲う。叫ぼうにも痛みの方が増しており声が出ない
少年はゆっくりと梶原に近づいていく
(どどどうする? い、嫌だ、死、死ぬ、俺はこのままじゃ、し、死ぬ!)
先程よりも意識が元に戻ったせいで、痛みと恐怖感がより鮮明になった
今まで死の窮地に立ったことが無く、常に弱者を思うようにいたぶってきた梶原にとって、今の状況は屈辱でしかない
だがここで今、梶原は確実に自らの『死』が近づく恐怖を実感していた
>「俺はな……刃物を持った相手に負けるわけにはいかねェんだよ……特に、お前のようなヤツには尚更な……」
少年がそう呟きながら、転がっている両腕を屈んでいる梶原へと蹴り飛ばす
目の前の両腕を見て、梶原の中の『死』のイメージが具体的になっていく
逃げようにも両足は地面にくっついたかのように動かない
すると少年の気配がぐっと、梶原に近づいた。その気配に怖じ気、梶原は思わず顔を上げる
>「場違いだからとっとと帰れ。その腕は…世の中思うようにいかないという事が分かった勉強代だ。
綺麗に斬りおとしたから、すぐ腕のいい医者にかかれば元に戻るだろ。
だが、もし…これ以上やるってんなら、その首も勉強代として頂くぜ?
お前は、俺にどう足掻いても勝てないっていう事の勉強代としてな」
少年が梶原の首筋に今まで見た事も無い大きな刃物を突きつけ、そう言い放った
ここで梶原に、たった一つ、助かる方法が浮かぶ。だがそれをやると確実に『機関』での地位が落ちてしまう
だが今ココで下手に抵抗すれば、確実に待っているのは『死』だ
(…嫌だ、俺は、俺は、死、死にたくないぃぃぃ!!)
「テ…手前ら!出てこい!!」
梶原がそう叫んだ瞬間、闇夜からまるで機動隊の如く武装した男達が複数現れた
「こ…このガキどもをぶっ殺せ!遠慮するんじゃねーぞ!」
少年は驚き、梶原に剣を構えたまま瞬時に後方に下がり少女を守るように剣を構えた
男達の中の一人が梶原をお姫様だっこをし、もう一人が転がっている両腕を回収する
その二人が闇夜に瞬く間に消える中、他の男達が少年と少女を囲んだ
【梶原:虐殺部隊を使い戦線離脱。虐殺部隊に廻間を任す】
52:戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg
08/05/25 22:46:35 O
戦場ヶ原が昔話を聞き終えると、池上は嫌味混じりの冷めた感想を漏らし、リンは何かを考えるように押し黙ってしまった。
こんな子供にする話ではなかったか…?
戦場ヶ原の脳裏をよぎる彼らしくない思案。
これからのことをどうするかに議題が移ろうとしたその時、池上の視線の先に新たな闖入者が現れた。
(あの時のカタナ女……?…いや、別人か。)
戦場ヶ原は昨夜の工事現場での死闘を思い出す。
それもそうだ。目の前に現れた闖入者は、長い髪をたなびかせ、立派な長物を携えた美女だったからだ。
しかし、彼女は戦場ヶ原が戦った女剣士よりもいくぶんか大人びて、落ち着いてこちらに話を持ち掛けてきた。
こちらが能力を封じられたことを知ってか、その態度は戦場ヶ原の目には傲顔に映った。
(こいつ……っ!)
女の態度に苛立った戦場ヶ原がつかみ掛かろうとするのを、傍らのリンが静かに諌めた。
能力が封じられた上に、その身体は池上と金剛によってボロボロにされているのだ。
今はいかなる戦闘も避けるべき。
その不動の結論が、彼をより苛立たせた。
池上と女の話を聞くに、どうやらその女に害意はなく、今晩泊まる宿がないため家に泊めて欲しいとのことだった。
「…ケッ、宿無しが。」
ふて腐れた子供のように戦場ヶ原は嫌味を漏らす。
それを聞いたのか、若干女がこちらを睨んだようにも見えた。
池上はその女の頼みを、彼女をボディガードとすることで承諾した。
なるほど、彼らしい合理的な結論だ。
さらに彼は、戦場ヶ原達まで泊めてくれると言う。
「…ふざけるな。たった今殺し合いをした敵の家になど上がれるかよ。」
戦場ヶ原は不機嫌そうに池上に言い捨てたものの、戦場ヶ原の住むアパートはここから徒歩で1時間はかかる。
こんな無防備な状態でそんな距離を移動することなど出来ないし、リンのこともまた心配であった。
「チッ…まぁ、リンの奴が泊まりたいと言うのなら話は別だがな。」
バツの悪そうに跡付けで言う戦場ヶ原の姿は、素直になれない男子中学生のようでちょっと滑稽だった。
53:煌神 リン ◆7Q1qJNYWx.
08/05/25 23:03:49 0
物陰から出てきた人物はいきなり池上さんを脅し始めた。
その前には天さんが切れかけるし
まぁ自分には関係ないが、それよりもこの女性が、持っている剣
異能を封印されていてもわかる、何かの力を持つ剣しかしその力がなんなのかわからなかった。
まぁまたまた自分たちをスルーして話が進むわけだが、一体何を話しているんだか、泊めろとか条件とか。
池上さんが条件を女性に出して、答えを聞く前に私たちのほうを向き私たちにも聞く。
正直どうしようかと思った、今は異能を封印されているわけなので今この状況で襲われてはどうにもならないだろう。
この人と一緒に泊まれば、この人を囮にする事もできるだろう。
…何か忘れている気がする、そうだ…異能が封印された?ちょっと待って…異能が…封印?
つまりそれってもしかして…
通常私の能力は使うたびに外見年齢が下がっていく。
こう、見えても私は高校生だ。高校にも一応通っている。唯能高校というが今はいいだろう。
しかしその能力は、今自分の中にいる【神】と自称するものから貰ったものだ。
でもそれは契約、契約が切れる、または一時中断でもすれば体が元に戻る…
つまりいま、私の体は…
「や、やば!天さん!池上さんあっち向いてください!」
無理やり天さんと池上さんをあちらに向けるとすぐに体に異変を感じる。
やっぱり…!そんな考えが頭をよぎる。
懐からすぐに、マント的な上着を出すと服を脱ぎ体にはおる
羽織ってちょうど、体が、元の姿に戻っていた…
髪の毛が伸びて、身長も伸びる。
「はぁ…もういいですよ」
声も少し変わっていたが、池上さんも天さんも姿が変わった私を見て驚いているようだった。
傍らでずっと見ていた女性は言うまでもなく驚いていたし。
「はぁ、できれば泊めてほしいです池上さん」
私は申し訳なさそうに頼んだ
【リンが元の姿に戻る】
【泊めてほしいと池上におねがいする、戦場ヶ原の話はまったく聞いていなかった】
54:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/25 23:34:46 0
刀を突きつけたまま、俺は返答を待つ。
しかし、返答一つで首を刎ねるか刎ねないか決まってしまう。
そう簡単に決められるわけはないだろう…
>「テ…手前ら!出てこい!!」
テメエら……?そうか、この男……味方を呼んだのか。
男の声に答えるように、複数の武装した人間が闇夜から現れ俺と桜を囲む。
武装した人間が出てきたのを確認すると、男は一人の武装した人間に抱えられすたこらと逃げ去った。
不味いな、桜は今俺がそばにいない。つまり、守るべき人間がそばにいないと言うことになる。
…こんな姿を見せたせいで俺に怯えているかもしれないが、今桜を守れるのは俺しかいない。
俺は、刀を構えたまま桜の元へと戻る。
思ったとおり、桜は俺に怯えている。先ほど俺を見ていた視線とは違うものが感じられた。
「……大丈夫」
俺は、右手の刀を解除し桜の頭の上にポンと手を乗せる。
桜は俺の行動が意外だったのか、キョトンとした顔をしていた。
「お前は、俺が守る。絶対にだ…指一本触れさせやしない」
少しの静寂の後、桜が無言で頷き了承の意を示した。
桜の中にある、俺に対する恐怖心が消えたかは確認する暇は無い。
俺は守るように右手で桜を抱き寄せる。
普段の俺なら絶対にしない行動だが、今の俺の心の中は漆黒の心が支配している。
そのため、今の俺は桜に対して性的な感情を感じる事は全くといっていいほどなかった。
(……さて、どうする?)
敵は複数、こちらは一人。
作戦内容は、桜を守るという防衛戦。先ほど俺が言ったとおり、桜に指一本触れさせるわけには行かない。
先ずは、この包囲網を突破するのが先か。この包囲網を突破すれば、後は俺のスピードを活かし個別撃破を行える。
しかし…俺一人、しかも桜を抱えたまま包囲網を突破できるのか?
味方が一人いれば、一人が桜を守り一人が敵を殲滅するという作戦をとれるんだけどな。
ぼやいても仕方ない、とにかくやるしかないか……!
【廻間:現れた虐殺部隊から桜を守り抜く。梶原は必然的に見逃す形になる】
55:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/25 23:35:44 0
しまった。安価を付け忘れた。
>>54は>>51宛てです。
56:恋島達哉 ◆KmVFX58O0o
08/05/26 00:00:07 0
>>50
どうにか変な奴が出てくることも無く、無事に国崎薬局とやらに着いた
もし立方体女子高生みたいな連中が出てきたら、俺は間違いなく死んでたね。ほっとした途端背中が痛む
薬局の名に相応しく、様々な薬が置かれていた。個人経営かは知らないが、これはすげーよ、国崎…さん。一応
けっこう店内が広いらしく、俺と葦川さんは国崎さんに奥の居間に来るよう言われた
俺としては買う物を買って薬局を出たかったが、どうも誘いを断ると悪い気がしたので、ほいほい乗る事にした
のだが…俺の目の前には国崎さんと立方体(省略)との戦いよりかはマシだが、幾分変な光景が広がっていた
畳に仰向けになって伸びてる…染めてるのか面白い髪の色の学生と、ガタイのいい男がこちらを気にせず黙々と筋トレをしている
国崎さんが倒れている学生の脈を調べたが、呆れたように立ち上がると、俺達に先に居間に行ってくれと伝えた
あちらにはあちらの事情があるのだろう。俺と葦川さんはその何とも言いがたい空間から抜け、居間に向かった
二人で待っていると、畳で伸びていた学生と、ガタイの良い男が居間にやってきた。学生の方は首を捻りながら苦い表情を浮かべた
なんでだろうか、俺は妙に学生にシンパシーを感じる。他人の気がしない
しばらくすると、国崎さんが大きなお盆に5人分の白い皿に盛り付けたカレーを運んできた
…なんだろう、耳鳴りがしないのに物凄い危険な気がする。いや、落ち着け。あんな状況からココまでやってきたんだ
脳みそがアドレナリンを放出させまくってるからどうでも良いことでも危険な気がするんだ
…こんな自問自答してる時点で落ち着いてないわな。俺は国崎さんに置かれた目の前のカレーを見つめ、スプーンを手に取った
「…頂きます」
俺は小さくご飯に感謝して、カレーを掬い口に運んだ
うん…うむ・・・ふーむ…
うん、普通に美味い。だが間違いない。これはゲテモノ料理の一種だ
だがこの程度、大学時代のジリ貧でティッシュ丼や野草のお好み焼きやソースだけご飯を食してきた俺には何ら問題は無い
けど俺の周辺の人達はやはり普通じゃいられなかったみたいだ。葦川さんはスプーンが止まっており、学生はカレーを見たまま固まっている
あの国崎さんですら、カレーを食べた後直行で居間から出て行った。あの国崎さんを引かせるとはどんだけー。俺は普通だけど
ふと、筋トレの時のように、黙々とカレーを食べているガタイの良い男が目に留まった。…俺なみに舌が狂ってるのだろうか
カレーのせいか場の空気がなんとなく重い雰囲気に包まれている。…はぁ。何だかなぁ
俺は何となく興味本位から、カレーを食しているガタイの良い男に話しかけてみた
「…このカレーって、美味いけどぶっちゃけゲテモノだよな」
…何だ、その鋭い日本刀みたいな眼光
【国崎薬局に到着。居間でカレーを食べながら、七重に話しかける】
57:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/05/26 00:19:59 0
>>30
「……本当に俺を殺す気があるなら、自宅を聞き出した時点でグサリとやっていたはずだ」
そう言い、青年は私の刀を右手で払いのける、実に冷静でつまらない反応だ。
「あんたを泊めてやってもいい。だが、こちらの出した条件を呑んでくれるなら、
ベッドだけと言わずもっと良い寝床を提供してやるがな」
この状況で条件を出してくるとは、この青年はよほど神経が図太いのか、それとも私が危害を加えるつもりがないことを分かっているのか。
突拍子もないことだったら少し制裁してやろう。
「条件は簡単だ。
あんたが家に居る間、俺の家に異能者が攻めてきたら俺の代わりに闘うこと。これだけだ」
私はこんな事言われなくとも元々その気だった、というか能力を失っているみたいなので助けてやろうと思ったから、そもそも話しかけたのである。
しかし、これでは残りの二人が少し危険だ、何とかして誘えないものか、などと考えていると
「お前らはどうする? 物のついでだ、今なら泊めてやる」
なんて空気の読める男だ、自分以外の人間に興味がないみたいな雰囲気だった青年がまさかこんな事を言うとは。
「…ふざけるな。たった今殺し合いをした敵の家になど上がれるかよ。」
着物を着た青年が不機嫌そうに言い捨てる、話の分からない奴だな、痛い目を見せてやろうか?
「チッ…まぁ、リンの奴が泊まりたいと言うのなら話は別だがな。」
先ほどからの言動からして、血も涙もない戦闘狂かと思ったがそうではないらしい、面白い青年だな。
「や、やば!天さん!池上さんあっち向いてください!」
唐突に少女が声を上げ、二人の青年の顔を彼方の方向に向け、マントのような物を羽織る。
すると、少女の体は急激に成長し、小学生から女子高生くらいの容姿になった。
「はぁ…もういいですよ」
「はぁ、できれば泊めてほしいです池上さん」
これがあの少女の能力か?
いや、違う能力は封印されているはず、とすれば封印されたから変化したと考える方が自然だ。
変身?それとも能力のコスト?分からない事だらけだが、今は池上と呼ばれた青年に返事をする方が先だろう。
「ハハハハハハハ、面白れぇ、実に面白い奴らだな、能力が使えない状態で俺達に条件を出してくる図太い奴に、人の事を家無しとか言うくせにロリコンの奴と
いきなり成長する女とは、よくここまで面白い奴らが集まれたな、ハハハハハハハ」
師匠はいつもいきなり喋り出す、面倒なことになるのだから、喋る前に確認を取って欲しい。
当然、場の雰囲気は凍った、少女は成長するし、刀が爆笑し出したのだ、普通は戸惑うだろうな。
しかし、桐北とは違い状況を勝手に理解してくれそうな面子なのであえて説明はしない。
「コホン・・・・・・その、池上でよろしいかな?その条件乗りますよ」
私は刀を素早く振り、池上の頬に小さな切り傷を作る。
避けられたら恥ずかしかったが、池上の能力は身体能力増加系の能力ではないようで、私の斬撃には反応出来なかったようだ
「この通り、使えないことは無いと思います、私は籐堂院瑞穂、一日ですが宜しく願います」
そう言い、小さくお辞儀をして刀を鞘にしまうと、私は池上に握手を求めた
58:文月 宗太 ◆XzQQgkPzlg
08/05/26 00:22:44 O
>>54
「…やれやれ。どうなってやがんだ?」
その光景を見るなり、文月は怪訝な表情を浮かべた。
自分が予想していた光景と、あまりにかけ離れていたからだ。
右目の疼きが教える、二つの異能者の気配。大方、異能者同士で争っているのだろう。
だがいざその場に駆け付けてみれば、異能者でも何でもない兵隊ばかりが大勢いて、異能者は一人しかいない。
どうやら異能者の少年は、大勢の兵隊から一人の少女を護ろうとしているようだ。
異能者の少年は機関の人間には見えない。少なくとも、復讐の対象ではないだろう。
ならば自分が関わる理由はない。
少年は少女を護れないだろうが。
そんなことは関係ない。そう自分に言い聞かせ、文月はその場を立ち去ろうとした。
『カッコいいじゃないですか、正義の味方なんて』
文月の脳裏を、今はもういない少女の笑顔が掠めて消えていった。
『私…ちゃんと笑えてます?』
記憶の中で笑う少女─天宮 絢音─を、文月は守れなかった。
あの時のことを思い出すだけで、無力感と喪失感が胸を埋め尽くし、憎悪と絶望が胸を焼く。
目の前の少年も、自分と同じ思いをすることになるのだろうか。
『だって、宗太さんは正義の味方ですから』
あの頃の自分と比べて、今の自分は余りに惨めに思えた。
だが─
(わかってるさ、絢音…) ─今の文月には戦う力があった。
その力は復讐の為だけに?
─否。
気が付けば、文月は走り出していた。
もう二度と、誰にもあんな思いをさせないために。
まるで竜巻かと思わせるような剣風が、数人の兵士を纏めて吹き飛ばした。
一体何が起こったのか、大勢の兵士達は理解出来なかった。
「この人数相手じゃ大変だろ。手を貸すぜ?」
文月は自分の身の丈程もある大剣を軽々構え直すと、少女に護ろうとしている少年に向かってそう言い放った。
59:五徳 静慎 ◆YUm3AOdOaA
08/05/26 00:44:22 0
「素晴しいッ!!」
とある廃墟の上で人影が叫ぶ
のっぺりとした白い仮面をつけており
そこから除く眸は混沌を実体化したように暗い
興奮したように人影は続ける
「『運命』というタイトルの劇の観客にされて数十年
あらすじを読む権利を与えられ十数年
その取捨選択が可能になってさらに数年
之ほどまでに多くのシナリオが渦巻く世界があっただろうか?」
仮面が落ちる
その下からは数十年の月日を経たとは思えない
女のような若々しい顔が現れる
「さあ見せてみろ、劇の結末をこの
『極限運命(アンリミテッド)』にッ!」
【五徳:なんか良く判らんが興奮『ハイ』ってやつになっている】
【いきなりフルヴォッコにしても良し、ごく普通に張っ倒しても良し、設定は避難所>>751】
60:宗方零 ◆BSFghFxWJY
08/05/26 02:57:58 0
あらすじ
『宗方零』年齢:30歳 職業:探偵 元警官
光を操る能力者 二つ名『″明滅〟スペクター』
宗方はある日突然機関の殺戮ゲームに巻き込まれた。
逃亡の果てに、機関の幹部「長束誠一郎」の屋敷に忍び込んだ。
長束の口から語られる真実、そこで能力者は組織に作られた存在だと言う事を知る。長束の企み、利用される池上と桐北。
宗方は長束の企みを破るべく、神重に協力を申し入れた─
「力が足りない」
「数が足りない」
聞こえてきた声は二つ。トーンが違う。.聞き間違えは無かった。
「…!?ここは…現実か。 宗方…だったな。私だ、神重だ」
どうやら二人の神重が宗方の呼びかけに答えてくれたらしい。
「私が言った意見。それは…数が足りないということ。
私と貴方が組んだところで、恐らく城栄に会うどころか…
途中で力尽きるのがオチだろう。だから数を揃える必要がある。
多ければ多いほどいいのだが…。」
なるほど、確かに宗方達だけでは組織の人間を倒すことなど不可能だろう。
数を揃えるというのは確かにその通りだ。
突然声のトーンが変わる、神重敬の声だ。
「俺が言った意見。それは…力が足りないということ。
智の言うことも一理あるが、所詮寄せ集め…数がいてもたかがしれる。
とにかく力があるやつを少数揃える、それが俺の意見だ。」
それもその通り、数を揃えても死人が増えるだけなら意味はない。
だが、今は二人の意見を得られただけで十分だった。
彼らは宗方に協力の意志を示している、それで十分。
「それと…」
─「それと」 やはり敬にはまだ何かあるようだ、そしてその答えは分かり切っていた。
「俺は…お前の正確な強さを見ていない。智が見たかもしれないが・・・。
この眼で見るまでは信じることができない。お前が強いか弱いか。
あんたと手合わせ願いたいもんだが…。」
やはりそうか。
だが望むところだ。そのために自ら逃げ道を塞いだのだから。
持てるチップを全て賭けて─BET開始だ。
61:宗方零 ◆BSFghFxWJY
08/05/26 02:58:48 0
「あんたの言うとおりだ、神重敬。」
「もしも私があんたに負けるようなら、あんた達の味方に値しないだろう」
宗方はそう言いながら紅茶を片づけた。
それが済むとベルトから細い懐中電灯を抜き、スイッチを入れる。
「その勝負、受けて立つ。」
電灯からは光の刃『ルクスブレード』が生み出され、宗方はそれを正眼に構える。
「お互いの持つ最高の一撃を互いに放つとしよう。それなら勝負は一瞬でつく─」
宗方は能力を全開にする。全身に光が集まり、部屋の全ての光源が消灯。部屋は闇となった。
そして宗方は光を身に纏い、白く眩い人型の光そのものとなり、神重と対峙する。
「私の二つ名は″明滅〟スペクター 光を操る能力!」
「私には墓に刻む言葉も─入る墓もない─」
「今、ここで、この瞬間決着をつけよう─来い神重! 最高の一撃でだ!」
【宗方零 神重敬と戦闘開始 神重の全力攻撃を促し 自らも全力で当たる構え】
【神重の全力攻撃と同時に合わせて宗方も攻撃する】
62:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/26 04:04:55 0
何度か弱目の異能者とやりあって、何人か食べた後のことだ――彼女を見かけたのは。
その少女を見た瞬間、私は記憶の底から一人の人間を思い起こした。
籐堂院 神、かつて機関に反抗する組織を作り上げた男だ。
昔、私はそこに所属していた時期があった。その時に見たのだ。
籐堂院 瑞穂、という少女を。彼女のことは良く知っている。
あの頃から考えると、大分大きくなったが――しかし、見間違えはしない。
「見つけた―見つけましたよ、瑞穂ちゃん。
貴方の命を奪い、その力を私の血肉とする日――ようやく来たようですね」
あの頃の私は末端の構成員でしかなかったし、あちらは私のことを知らないだろう。
だが、私はよく知っている。籐堂院 神が見つけ出し、育て上げた対機関用の切り札たる少女のことを。
機械仕掛けの神―――それが彼女、籐堂院 瑞穂だ。以前見たあの力を、ようやく私のモノとする時が来たのだ。
「運命を司る神が存在するのならば、これも僥倖ですか」
上野恭平から渡されたリストを確認する。……見当たらない。
それはつまり、このリストを作成した時点では機関に発見されなかったということだ。
「機関から、うまく隠れ通したというわけですね」
実に見事な手際だ。それでこそ籐堂院 神の遺作。
いつか食らおうと思っていたのに、死んだと聞いた時はそれこそ落胆したものだ。
しかし――あの娘が生きているとなれば話は別だ。
「あの男の遺作――食べがいがありそうですね。
私の手で、確実に、この場で食らい尽くす。――とはいえ、状況はそう簡単でもないですね」
よく見てみると、何事かもめているようだ。
瑞穂が刀を抜き、突きつけた――待て待て、それは待ってほしい。
この場で戦闘になったら私の考えが滅茶苦茶じゃないか。
しかし、その心配は杞憂だったようだ。どうやら、泊めて欲しいとか、そういう話らしい。
話し相手の男――リストを確認。上級の異能者、池上 燐介。そして他の二人についても確認。
戦場ヶ原 天。要注意人物――確か、以前は機関の幹部じゃなかったか?
それに、煌神 リン。話半分には聞いたことがある。機関の幹部となんらかの関係があり、かなりの重要人物だと。
――しかし、この状況はある意味好都合だ。私の聴覚なら、この距離からでも話し声が聞こえる。
「条件は簡単だ。
あんたが家に居る間、俺の家に異能者が攻めてきたら俺の代わりに闘うこと。これだけだ」
その条件を、瑞穂は受け入れた。…彼らは、なんらかの事情で力を満足に振るえない状態にあるのだろうか?
万全の状態の彼なら、瑞穂を相手にしても戦えそうなものなのだが。
「…これもまた、好都合ですね。
接触……してみましょうか」
手を上げて歩み寄る。まだ気付いてはいないようだが、しかし、
「申し訳ありませんが、私もお願いできますか?
どうやら、どこかで今夜をやり過ごす必要があるみたいでして」
声をかける。当然、事前に確認は済ませてある。
私の名はヴィオラ・ネイカー。二つ名は火焔演義(インスタントジャベリン)。
凶悪な異能者に狙われており、今夜だけでも宿を借りたい。
能力は即席の身体強化と高熱発生能力。身体強化レベルは実際のランクを下回る設定。
方針は友好的、なおかつある程度の戦闘思考を可能とするタイプ。
――仮想人格想定完了、駆動開始。
【アルト:池上達と接触】
【小村のことを上野恭平だと思っている】
63:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/26 16:58:06 0
>>58
この状況を打破するため、頭の中で様々な策を巡らす。
(……脚力を活かし、この連中を撒く…。
無理だな、片手だけで桜を抱えたでは速度と勢いに負け桜が落ちる危険性がある。
ならば、空間斬で敵の首を一斉に落とす……馬鹿か、俺は。
間近で首を飛ばすなんて、またあの恐怖心を植え付ける気か……)
しかし、思い浮かぶ策は全てが俺一人なら有効という策のみ…
桜を抱えたこの状況では、思い浮かぶ全ての策は決定打となりえない。
……抱えた桜は息を荒くしている。先ほどから体の震えが止まっていない。
恐らく、彼女自身も戦っているのだろう。俺がやられたら、自分も殺されるという迫り来る死への恐怖と。
(不味いな、いい策が思いつかない)
精神は焦りを感じていない。
だが、肉体はそうではないらしく俺の額から一筋の冷や汗が零れ落ちる。
そして、零れ落ちた冷や汗が地面についたのを合図にしたかのように、前方の武装した人間…
兵が、跳躍し襲いかかってきた。
(いい作戦なんて思いつかないなら、とりあえずこの一本で凌ぐ…いや、いい作戦なんてそれしかないだろうが!)
右半身と桜を後ろへと向け、左手に構えた刀一本で敵を凌ごうとした…その時。
─戦場に一つの疾風が吹きすさんだ。
64:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/26 17:03:14 0
「……!」
気付けば、己の身の丈はあろうという大剣を軽々と持ち上げる一人の男がそこに立っていた。
その体は筋骨隆々と鍛えられており戦うために、戦士として生まれたような体をしている。
そして、その男が立っていたその位置は俺と兵の境界線。
恐らく、この男が大剣で起こした旋風で、俺達に飛び掛ろうとした兵を吹き飛ばしたのだろう。
>「この人数相手じゃ大変だろ。手を貸すぜ?」
男は俺に顔を向け、ニヤリと笑いながら言い放った。
なんていいタイミングで現れる男なのだろう…
思わず「さっきから様子を見ていたんじゃないか?」と返しそうになってしまった。
しかし、今はそんなことを言っている場合ではない。
この男は、一目見ただけで俺達が劣勢と分かるこの状況で、わざわざ俺達に味方してくれるというのだ。
断る理由がどこにある!
「分かった、頼むよ。俺は後ろの敵を撃破し憂いを無くしてからこの女の子を守護する。
アンタは来た敵を叩いてくれ……徹底的にな」
男の笑みに返すように、俺も笑う。
「ねぇ、廻間くん……勝ってくれる……よね。
……私達、助かるよね?」
「お前は、俺が助けると言ったし俺は絶対に勝つ。その言葉に嘘は無いさ……頼もしい味方も、出来た事だしな。
これからは、もう黙ってな。舌噛むぞ」
恐怖に押しつぶされないように、必死な様子で桜が声を紡ぐ。
桜の問に、俺はキッパリと『助ける』と言い放ち、少しでも安心感を与えようとする。
涙を目に溜めているので、俺の答えに安心したのかは分からないが、俺から決して離れまいと桜が必死にしがみ付く。
…そして、大剣を構えた男。この男から滲み出る覇気は、並大抵の戦士のものじゃない。
敗因は、たったの一つも無い。
「それじゃあいくぞ!」
その瞬間、二つの疾風が爆ぜ兵士に立ち向かった。
【廻間:文月と共に兵士に立ち向かう。廻間は桜の守護を徹底して行う】
65: ◆7Q1qJNYWx.
08/05/26 17:25:01 0
>>54>>58>>64
俺は外道院とひと時はなして、外にやってきたわけだが。
何処に行くか迷うんだな、これが
とりあえずこの戦いの様子を見るために異能者の気を探ってみる。
無論、リンやレオーネに近づかないようにだ。
今から一番近い異能者は、ふむ・・・ただいま戦闘中のようだ。
ちょうどいいので行ってみるか…
しばらく異能者の気を探っていくと高校生くらいの男と女が囲まれていた。
あれは、きっと虐殺部隊だろうもう一人異能者がいるがその異能者は高校生のほうに味方するようだ。
はてさて、これは面白いちょうどいい機会だ…
俺は能力の一部を発動し、大鎌を出すとその一団に近づく。
少し近づいたところで、俄然興味が湧いてきた。
あの女子高生が着ている制服、唯能高校の制服だ確かリンもそこに通っていたはず。
ちょうどいいので、少し聞いてみようかリンの事を
そんな考えを頭に浮かべ、虐殺部隊に声をかける。
「なぁ、ちょっといいか?」
虐殺部隊の一人がこっちを向く
「なんだお前?見せ物じゃねぇんだ殺すぞ!」
まったく血の気の多い連中だ
「ふ~んそうか殺してみろよ俺はさ?そっちのやつに用があるんだよ」
三人を指差し、男に答える、なんか、空気が変わったな。
「ざけてんじゃねぇ!」
「おい!まて!その方は!」
男の仲間が、男を止めようとする。
何だ俺を知っているのか、きっとこの部隊の隊長といったところだろう。
「そうそう、やめとけって」
言ってから三人のほうに歩み寄り女のことを見る。
女は怯えたようだった、男が前に出てくる。
俺は慌てて訂正する。
「いやいや、すまん俺はまったく敵意はないよ。」
穏やかにニコニコ笑ったまま俺の知りたい事を聞く。
「お前、唯能高校の生徒だろ?お前らの学校に煌神リンっていないか?身長がちっちゃいやつ」
【ツバサ:桜にリンのことを尋ねる】
【今のところ敵意はないがもしかしたら、攻撃を仕掛けてくる可能性も】
66:池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU
08/05/26 18:34:25 0
>>52>>53>>57>>62
返事を聞くが、山田は煌神 リン次第ということだった。
その煌神 リンの返事はどうなのかと、俺は目を煌神 リンに向ける。
しかし、これまで静かな口調で話していた彼女が、急に大声をあげた。
俺は彼女の言葉に従って目を逸らす。
そして煌神 リンの許可が下り、再び彼女に目を向けた時、流石に俺は驚いた。
そこに居たのは先程までの少女ではなく、見知らぬ大人の女性であったからだ。
しかし女性の言動から、どうやらこの女性が煌神 リン本人であるようだった。
直接本人に確かめてみるまでもなく、少女への変態を可能にしていたものが
彼女自身の異能力であることは明白だ。であれば、城栄に異能力を封印されたことで
この姿に、つまり、元の姿に戻らざるを得なくなったと考えるべきだろう。
─だが、驚くべきことはこれだけでは終わらなかった。
突然、これまでに聞き覚えの無い第三者の声が周囲に鳴り響いたのだ。
新たな異能者か、とも一瞬思ったが、その声の発生場所を突き止めて、
そこで俺は再び驚かされた。なんと、外国人風の女が持っていた刀が喋っているのだ。
これも恐らく……いや、そうでなくては説明がつかない。
紛れも無くあの女の異能力だろう。
女は、こちらがそう理解することによって徐々に冷静な表情に戻っていくのを
見計らったように、俺の顔に向けて刀を一閃した─。
─避ける間もなく、俺は己の頬に小さな切り傷を出現させていた。
女は「驚くのは早い、私はこれだけの腕を持っているのだ」と言わんばかりの表情をしている。
俺は鼻で笑みを零し、いつの間にか手袋が嵌められていた右手を差し出し、握手に応えた。
「では、三人とも俺について─」
言いかけて、俺は止めていた。
いや、正しくは途中で誰かに割って入られ、全てを言い切ることができなかったのだ。
>「申し訳ありませんが、私もお願いできますか?
> どうやら、どこかで今夜をやり過ごす必要があるみたいでして」
割って入ってきたのは金髪の女だった。
銀髪の女に続いて、こんどは金。しかもこれまた外国人風だ。
友好的に振る舞おうとする金髪女に対し、俺は冷酷に即断した。
「知ったことか。失せろ」
話を聞き、どうやら大方の事は理解している様子からして、異能者であろう。
泊める代わりに『番犬』にしてくれと言ってくるつもりかもしれないが、
その役割も、あれだけの剣の腕を持つ籐堂院一人いれば十分のはず。
これ以上、素性の分からぬ者を家に置いても俺には何のメリットもない。
そして宿を持たぬ人間を誰でも救済してやる程、俺はお人好しでもないのだ。
「─行くぞ」
俺は金髪女に背を向け、三人について来るよう促した。
【池上 燐介:アルトの頼みを拒否し、背を向け自宅へと歩き始める】
67:戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg
08/05/26 19:08:06 O
>>66
女の背負う刀が喋り出したことに、戦場ヶ原はさほど驚きをしめさなかった。
昨晩闘ったカタナ使いの女も、意思を持つ刀を持っていたのだ。
そんな妖刀が他にもあったとて別に不思議ではない。
しかし、戦場ヶ原の驚きはまた違う所にあった。
「なっ………!??」
絶句。戦場ヶ原は馬鹿みたいに口を開けて、さっきまでリンがいた場所に佇む女を見つめていた。
赤く長い髪。金色の瞳。背中に背負う剣を見れば、その女がリン本人であることは推測出来た。
能力を封印されてこの姿になったということは、今までの姿が能力によって変態を遂げていたものであり、この姿が彼女本来の姿であるということだ。
(なんなんだ…コイツはっ!?)
ふと、彼女が恥ずかしそうにこちらを見ているのに気付いた。
姿形まで妙齢の女性となったリンの肢体を見て、戦場ヶ原は慌てて顔を逸らした。
(チッ……調子が狂うぜ…)
戦場ヶ原はそっぽを向きつつ、自分の着物の羽織りを脱ぎだし、大人のリンに放り投げた。
「…着てろ。見ちゃおれねぇ。」
さすがにその姿は女性経験のない戦場ヶ原には幾分か刺激の強いものであったのだろう。
池上に通されて、戦場ヶ原たち3人は彼の家に上がり込む。
大きな家だ。少なくとも戦場ヶ原の下宿先であるボロアパートに比べれば天と地ほどの立派な屋敷だった。
細かに整理された家財やシンプルで生活感の感じられない内装から、彼の人となりが感じられた。
「…フン、悪くねぇ。」
相変わらずの偉そうな態度で、我が家のように居間の中をウロウロするが、ソファの前に来た時、
戦場ヶ原の身体はまるで糸の切れたくぐつのようにどさりとソファに倒れこんだ。
次の瞬間にはもう、大きな寝息を立てて、彼は爆睡していた。
今日1日でいろんなことがあった。
闘いに疲れた戦士は、己の欲求に忠実にその身を癒そうと深い眠りについたのだ。
その姿は、さながら冬眠につく獣のようであり、ちょっとやそっとでは起きそうになかった。
【戦場ヶ原 天:就寝。2日目終了。】
【死体のように爆睡しているため、爆弾でも落ちてこない限り起きない】
68:文月宗太 ◆XzQQgkPzlg
08/05/26 19:25:38 O
>>65
「遅ぇ…!」
兵士が突き出した槍を造作もなくかわし、文月が剣を一閃させる。
それは相手を斬るための斬撃ではなかった。
刃ではなく剣の腹で、自分に、あるいは少年の方へ殺到する兵士をたたき伏せていく。
「一応峰打ちだがよ、打ち所が悪けりゃ、命の保証はねぇぜ?」
文月と目を合わせた兵士の一人が、恐怖を顔に張り付かせる。
本来なら一撃必殺意外は狙うべくもない大剣を、まるで普通の剣のようなスピードで振り回す文月の姿は、敵からすればさぞ恐ろしく見えることだろう。
衝撃がその兵士の脇腹を襲い、彼は意志とは関係なく吹き飛ばされた。 肋骨を粉砕され、大量の胃液が口からあふれ出す。
文月からすれば峰打ちであっても、兵士達からすれば即死も有り得る攻撃だった。
そのあまりの凄まじさに、兵士達は本能的に動きを止めていた。
言葉にならない恐怖が、兵士達全員に伝播するまで、さほど時間はかからなかった。
敵の士気が完全に萎えていることを悟った文月は、少年の方へと視線を移した。
69:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/26 19:48:09 0
応接室へ戻ると、既に外道院とツバサの姿は無く、もぬけの殻となっていた。
ツバサはともかく、外道院が外出するとはな……。
隠蔽用のカバーストーリーでも流した方が良さそうだ。
溜め息を吐いた時、不意に懐の『機連送』が『美しき青きドナウ』を奏でた。
慌てて取り出す。発信者は――。
「よぉ。調子はどうだ、色男?
こっちはもうスケジュールを全部終えたぜ」
太く威厳さえ感じさせる声の主は、我が友人城栄金剛その人であった。
奴が電話で連絡を取ってくるなど珍しい。
「確かに暇をしていた。……にしても、君が直接電話を入れるとはな。
何か良い事でも在ったか?」
はっはっはっ、と豪快に笑い飛ばす。間違いなく彼の興味を引く事が在ったのだ。
それもつい先程だ。となると、恐らく――。
「煌神リンとその協力者達が思いの他、使えるレベルだったのだろう?」
これしかない。奴の想定していたレベルにこそ届かなかったものの、
及第点くらいはクリアしていたのだろう。まるで新品の玩具を遊んでいる子供のようだ。
「解っちまったか。そりゃ長い付き合いだものな」
……少し悔しそうな顔をする城栄の顔が目に浮かんだ。
「それで……。久方ぶりに電話を掛けて来たのは、
その件だけという訳でもないだろう?」
「まぁな。……先程、小村禅夜から連絡が在った。
異能者と交戦、敗北。別の異能者に助けられたそうだ」
……あの小村を負かすとは。余程の手練だ。
小村とて形式だけとは言え、伊達に幹部の座を与えられている訳ではないし、
三年前のミスが無ければファーストナンバーの上位に食い込んでいたであろう人物だ。
私は目を細めた。
「ヤツにゃあ、端(はなっ)から期待なんぞしてねぇよ。
ありゃ、お飾りみてぇなモンだ」
小村が聞いたら泣きそうな暴言を私は黙って聞いていた。
「いいか、こっからが本題だ。さっき小村を助けた野郎が居るって言ったよな」
城栄の声のトーンが一気に2オクターブほど下がる。
これは"裏の顔"で居る時の彼の声だ。
「小村のヤツが、その野郎と取引したそうだ。
雑魚どもを"食う"事を黙認する代わりに、機関の手助けをしてくれるそうだ」
食う? 食事の事か? それとも……。
「その野郎は異能者を文字通り餌として食らう。
どうだ、面白い能力だろう?」
確かに。異能者の事を食べるとは。
私の知りうる限り前例が無い。この祭りを企画した城栄に感謝しなければ。
知識を得る事が出来たのだから。
70:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/26 19:59:40 0
>>69
「で、俺の考えとしてはだ。小村の代わりにそいつをお前のサポートに――」
「断る。知らない奴と組む気は無い」
後ろから刺されたのでは話にならない。私は城栄の言葉を遮った。
「まぁ、そう言うなよ。使えるか使えないかも判断して欲しい。俺たちの理想の為にな」
「……使えないと判断したら?」
「殺せ。そんなヤツは要らねぇ」
「……良いだろう」
結局彼の頼みを聞く事と成った。口車に乗ったというより、折れたと言った方が正しいだろう。
昔からそうだった。最初は彼の言い分を拒否するが、最後になって折れてしまう。
「それで人相は?」
「名前はアルト・ハーケン、眼鏡を掛けたスーツの女だ。お前のタイプだろ?
野郎はもう既に煌神リンの所に向っているかもな」
既に向っている、という事は事情を知らなければリンを食べてしまうかも知れないという事か。
「解った。こちらも急いで向う」
電話を切ろうとすると、城栄が慌てて引き止めた。何だ、まだ何か用件が在るのか?
「まぁ待てよ、色男。お前明日空いてるか?」
空いていないと言っても空けろで済ませる男だ。
ここは素直に空いていると言った方が良いだろう。
「明日、奴(やっこ)を食いに行くぞ。この前、良いヤツを見つけたんだ」
「冷奴(ひややっこ)くらい食べた事は在るぞ。
四角に切り取った豆腐にしょうゆを掛けて、薬味を上に――」
「馬鹿野郎、ちげぇよ!」
城栄が怒鳴り声を上げるが、それはあくまで仲間や友人に掛ける怒鳴り声で、
敵や失敗した部下に対するそれではないのは解る。
――違う? どうして? 奴とは冷奴の事を言うのではないのか?
私の辞書には載っていないぞ。
「いいかァ? 俺の言う奴ってのはな、芸者の事を言うんだよ」
初めて知った。今回の来日は学ぶ事が多い。
「お前、もしかして芸者と遊んだ事がねぇのか?
だったら尚更行くしかねぇよなぁ?」
「馬鹿な。機関一の色男と言われている私だ。
フン、良いだろう。芸者の一人や二人くらい落としてみせる!」
変な気合が体を巡る。ここで断るのはプライドが許さない。
気が付くと手でガッツポーズを取っていた。
先程の事は訂正しよう。……私は彼の口車に乗る事が多い。
「ま、用件は以上だぜ。……しくじるんじゃねぇぞ」
言いたい事を述べるとさっさと電話を切ってしまった。
相変わらずだ、と私は少し笑った。
最後の言葉は彼なりの友人への激励だろう。素直ではないのが城栄金剛という男だ。
――私は『機連送』をしまうと格納庫へと向った……。
【レオーネ:現在地 機関アジト】
【アルト・ハーケンの事を聞かされる】
71:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/26 20:12:47 0
>>69の訂正
×『美しき青きドナウ』
○『美しく青きドナウ』
72:神重智&敬 ◆6eLTPQTFGA
08/05/26 20:29:10 0
>>61
「あんたの言うとおりだ、神重敬。」
「もしも私があんたに負けるようなら、あんた達の味方に値しないだろう」
宗方はそう言いながら紅茶を片づけた。
そしてベルトから懐中電灯を抜き、懐中電灯…?
「その勝負、受けて立つ。」
野郎、舐めてやがるのか…?
だが次の瞬間、その言葉を撤回しなければならなくなった。
懐中電灯からは謎の刃が生み出され、それを構えた。
「お互いの持つ最高の一撃を互いに放つとしよう。それなら勝負は一瞬でつく─」
その瞬間、部屋の全ての電気が消え、宗方に光が集中する。
「私の二つ名は″明滅〟スペクター 光を操る能力!」
なるほど…納得だ。懐中電灯を取り出したのも。今光が全て消えたのも。
こいつの能力によって光がすべて吸収されたせいだ。面白い。
「私には墓に刻む言葉も─入る墓もない─」
「今、ここで、この瞬間決着をつけよう─来い神重! 最高の一撃でだ!」
俺に全力を促す…楽しませてくれそうじゃないか。
「いいぜ…乗ってやるよ!その勝負にな!」
勝負が楽しい。ゾクゾクする。
腕を水平に突き出し、一つの物質…紅い刀身の刀を作りだしたが―
「チッ…こんな時に…!このクズ能力が!」
刀はその形を成す前に壊れてしまった。
恐らく智の体を制御するにはまだ時間が足りないのだろう。
能力は刀の生成を拒否した。
「仕方ねえ…今の俺の全力を見せてやるよ!」
ナイフを取り出し、それを左腕に突き刺す
腕からは血が飛び、その血はひとつの剣を作り出す。
『血祭りの剣(ブラッドソード)』
さっきの男との戦いでも使ったこの剣…これで宗方の全力に応える。
「さあ見せてくれよ!お前の全力とやらを!」
右手に紅き剣を構え、宗方に言い放つ
向こうもそのつもりだと言わんばかりの顔で睨みあう。
そして紅き剣と光の剣が交じりあい――
73:神重智&敬 ◆6eLTPQTFGA
08/05/26 20:29:46 0
ガキィィィ!
―――勝負はあっさりと…本当に一撃でついた。
ドサッ
宗方の倒れる音だ。勝負はついた。普通ならば神重の勝ちだろう。
だが神重の顔にはしてやられた、という表情しか浮かんでいなかった。
何故なら―
ドサッ
今聞こえたもう一つの落下音。それは神重の右腕だ。
そう、剣が交じり合ったとき、宗方の剣は神重の剣を上回り
神重の腕ごと切り落としたのである。つまり…宗方は無傷なのだ。
「…やってくれるじゃねえか…」
その声に怒りはこもっていない。むしろ楽しげである。
そして倒れている宗方を左腕で持ち上げ…。
「一撃で力を使い果たしたとはいえ、俺の自慢の剣ごと切り落とすとは
たいした野郎だお前は。」
剣は決して脆くは無かった。それだけ宗方の剣が上回っていたのだろう。
敬は自分より能力が下回る相手は嬲って殺す…。だが互角…あるいはそれ以上のものに対しては
最高の敬意を払うのが礼儀だと自分なりのルールを持っている。
今回の宗方の一撃は…それに該当した。
「いいだろう。協力してやろうじゃねえか
これからの予定を聞かせてもらおうか…」
神重は予想以上の結果に満足気であった。
(やれやれ…どうなるかと思ったがひとまずは収まったな
だがおかしいな…いくらなんでも一撃で力を使い果たすとは思えないのだが…)
智は敬の暴走に心が休まらないのであった…。
【神重敬:宗方と戦闘後、協力することを決める
予想以上の強さに満足気】
74:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/26 20:39:20 0
>>68
俺は桜を抱え、敵を一人斬り伏せ包囲網から脱出する。
これでもう後ろに敵はいない。目の前の敵にだけ集中できる。
敵を斬り裂き、突き刺し、薙ぎ払い、蹴り飛ばす。
俺の目の前には、刀傷から血を噴出していているもの、蹴り飛ばされた事で壁にめり込み気絶するものなどが多数出ていた。
まさかこの間まで中学校に通っていた子供風情が、ここまでやるとは思ってもいなかったのだろう。
ある者は、焦りの表情を。ある者は、恐怖の表情をみせていた。
現在、俺に向かってくる兵士は一人としていなかった。
見れば、援軍に来てくれた男のほうもあらかた粉砕し終わったようだ。
男に対峙しているほぼ全ての者が膝をつき、嘔吐していた。
男が、視線をこちらに向けてきた。
その視線がどうやら敵にはもう戦う意思、つまり士気がほとんど枯渇している事を伝えている。
「……案外だらしないんだな」
ボソっと俺は呟く。この呟きが他人に聞こえたかどうかは定かではない。
…さて?この男達、どうする?
どうせ、こんな組織に身を置いているぐらいだ。ロクな価値はないだろう。
それに、生かしたところで俺や桜、この男を再び襲うかもしれない。
一人は腕を斬りおとして戦闘能力を除去し、その後メッセンジャーとして活用。
残りの兵士は皆殺しにでもするか?
しかし、こんな所で大量の殺人を行えば少なからず騒ぎが起きるだろう。間違いなく、懲役は食らうな。
ならば、纏めて縛り上げて池にでも放り込んでしまおうか。
……これだけ大人数の人間を縛り上げられるような縄がどこにある?
ああ面倒だ。
75:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/05/26 20:39:56 0
>>57
私は今、池上に案内された部屋のベッドに腰掛けている。
さっきからおかしな事だらけだ、赤髪の少女の事もあるが、金髪の女性の言動が私のとって最も不可解だった。
何故、あのタイミングで話しかけてきたのか、しかも自分も泊めろなどいくら相手が池上で無くとも断るだろう。
しかし、異能力者を野放しにしておいて良かったのだろうか?
という疑問が私の頭をよぎった、仕留めておいた方が良かったかもしれない。
なにかが起こる、私の中ではそんな予感がしていた。
「あの金髪の女はどこかおかしい、多分俺達の中の誰かを狙っている」
「師匠もそう思いますか、私もおかしいと思います
池上との約束を守るためにも、今日は寝ないで番をしていたほうがいいかもしれませんね」
そうして私はベッドから腰を上げ、部屋の窓から誰かが襲撃してきても分かるように外を伺いながら、やがて来るであろう戦闘に備えて軽く素振りをする事にした。
【籐堂院瑞穂:ひとまず現状維持 警戒態勢】
76:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/26 20:41:09 0
>>65
俺が頭の中で色々と兵士達の始末について考えていたが、なにやら場が騒がしい事に気がついた。
(何だ、何を騒いでいる)
>「そうそう、やめとけって」
この男……誰だ……
兵士達は、この男を知っているようだ。そして、この男に敵対する意思はないらしい。
ここから推測されるのは……この男が兵士達の仲間、もしくは上官ということだ。
桜が、俺の後ろに隠れる。その桜を庇うように、俺は前に出た。
>「いやいや、すまん俺はまったく敵意はないよ。」
本当か?…簡単には信用するわけにはいかないが、それじゃあ話しが続かない。
この場はとりあえず信じることにし、剣を下げた。
>「お前、唯能高校の生徒だろ?お前らの学校に煌神リンっていないか?身長がちっちゃいやつ」
煌神?
あぁ、そういえば違うクラスにいたな…珍しい苗字だったから覚えている。
まぁ、会話をしたことは無いが。
「リン…ちゃん?」
俺の背後に身を隠しながらも、桜が答える。
どうやら桜も知っているらしい。
「…知ってるよ。何度か一緒に遊んだ事があるから。
でも、最近行方不明になってて…貴方は、リンちゃんの事知ってるの?」
なんてこった。桜と煌神は友人の仲らしい。
聞けば、メールアドレスも交換しているとか。
しかし、最近は返事が無く学校にも着ていないとの事。
何かあったのか?……まさか、桜みたいに誘拐されたんじゃないだろうな……?
俺は、名前だけ知っている煌神について様々な想像を膨らませるのだった。
【廻間:煌神の行方について想像】
【桜:ツバサの問に対し、知っていると答える。廻間の後ろに隠れている】
77:葦川妃映 ◆oov3HbsEaA
08/05/26 21:06:18 0
【国崎薬局:居間】
目前にはカレーもといカレー(笑)。
おそらくは国崎が作った物であろうそれを口にしたときの
それぞれの反応の違いはなかなか興味深い物だった。
が、その愉快な出来事をを食事と捉えることは無理だった。
シュールなドッキリパーティーだったと考えたほうが幾分か建設的だと思う。
苦笑を保ったままスプーンをおいて席を立つ。
「国崎さん。貴方のお店で包帯買うわ。レジにお金入れておくから、宜しくね」
それだけ言うと、店の方へと降りる。
暗い店内の中を、包帯や救急セットを探して歩く。
時々躓きそうになったが、眼が慣れてくるとそれも無くなり、気がつけば物色を始めていた。
「包帯と救急セットはこれでいいとして─あ、これとこれもあると良いかも」
手に取ったのは強力な栄養ドリンクと、噴射式の殺虫剤。
別にこの騒動で使わなかったとしても、日常生活でつけば良い。
「備えあれば憂いなし」と「杞憂」のバランスを考えるとこんなものかな。
レジの中に千円札を三枚入れて、包帯を巻きながら
葬式ムードの居間へと戻ろうとしたら、ふとあくびがこぼれた。
台所に引きこもってしまった国崎も呼び戻して一度、本格的な方針を決めたいところだ。
きつめに巻かれた包帯が、気持ちを引き締めるとともにどこか安心感を与える。
選択肢は多数ある。ならば、望む答えもきっとある。
「と、言うわけで頑張りましょうか」
買った物を手に持ちながら、いざ居間へ。
【現在地:国崎薬局 応急処置完了】
78: ◆7Q1qJNYWx.
08/05/26 21:09:36 0
>>76
ふむ、俺の問いかけにこの女は知っていると答えた。
「ん、あぁ俺はあいつの兄貴だ」
俺が答えると女のほうは警戒を少し解いたようだ、だが大鎌を持っている自分に完全に心を開いてないようだった。
俺は女の傍らの男、多分異能者だろうに挨拶する。
「お初お目にかかる、機関がナンバーⅡ、ツバサ=ライマースだ」
機関のナンバーⅡ、その事実を聞いたところで男はあからさまに警戒を強めたようだった。
まぁ、確かに2番と聞いて警戒しない奴はいないだろう。
…なんか無駄に隣から殺気浴びさせてくるし。
「あぁ、警戒しないでくれ俺はただ妹の様子が気になっただけなんだぜ?」
とりあえずこの女に自己紹介と、リンについて教えてもらう事にした。
一通り教えてもらうと俺は虐殺部隊を追っ払う。
「さて、これで俺の目的は終了だが…ふぅむ・・・お前、俺と戦ってみないか?」
俺は、廻間に戦いを申し込んだ、あ、せっかく警戒がとけてきたのにまた警戒させてしまった。
「大丈夫だ、その女は巻き込まない機関の幹部にどれだけ通用するか試してみたくはないか?
もちろん二人でもいいぞ?そこの男とな…」
廻間は了承しその前に聞きたい事があるといった。
リンの行方についてだ、俺は正直にリンの異能について答えた。
「さて、これでいいだろう?さっさとはじめようぜ♪」
久し振りの戦闘だ、自然と機嫌がよくなる。
【ツバサ:廻間に戦いを申し込む】
【桜にリンとの関係を話す】
79:文月宗太 ◆XzQQgkPzlg
08/05/26 21:18:31 O
>>76
間違いない、能力者だ。現れた男を見て、文月はそう確信した。
その男は誰かを探しているらしい。
ならば、まず話を聞くべきだろう。
頭では理解できる。しかし、光を喪った右目の疼きが、文月の感情を加速させた。
人を探しているのは、自分も同じだ。
「おい…」
敵意を隠そうともせず、文月は現れた男に歩み寄っていく。
敵意はまだ殺意には到ってはいないが、いつ殺意に変わってもおかしくない。
「テメェ…機関の異能者か?」
そう言って、男を睨みつける文月の瞳。
そこには、攻撃的で自虐的などす黒い炎が渦巻いていた。
80: ◆7Q1qJNYWx.
08/05/26 21:24:03 0
>>67
リンは今、池上に案内された部屋のベットの上で考え事をしていた。
リンは一人で寝られないのだ、昔から兄が過保護だった事もあるが自分ひとりでは眠れないようになってしまっている。
いつもは、使用人にそばについてもいらうから問題ないが今はその使用人もいない。
そう言う事でりんは悩んでいた。
「どうしよう…さっき池上さんに服を貸してもらったけどメイド服だしこれ・・・」
まぁ、金持ちといっても女物の服まで用意してある筈もないから、しょうがない。
リンはあきらめて、居間にいく事にした。
居間では戦場ヶ原が、ソファで寝ていた。
静かに眠っている彼の顔を見て思わず笑みをこぼす。
よく見ればこのソファも結構広い、人二人が寝ても大丈夫なほど、リンは数分間悩んだがついに決心した。
「お、おじゃまします…」
顔を真っ赤にさせおずおずと戦場ヶ原の隣りにねっころがる。
顔を赤くしつつもリンは安らかに眠りに落ちていった。
【煌神:戦場ヶ原の隣りに寝る服装はメイド服。】
81:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/26 22:05:08 0
>>66
「知ったことか。失せろ」
私の言葉を聞くと、彼はすぐにそう返した。予想通りではある。
「─行くぞ」
そのまま去っていく彼らを、私は追いかけもせず、声をかけもせず見送った。
さて、これで確証が持てた。やはり、あの男は同情から他人を泊めるタイプではない。
一見すると冷血漢に見えて、根っこではお人好しなタイプである可能性も消えた。
となれば、籐堂院 瑞穂を泊める理由は言葉の通り。戦力が欲しいから、だ。
彼の力は機関の調査したリストで確認している。かなりの異能者だ。
そんな彼が、わざわざ他人に用心棒のような真似をさせるというのは変だ。
つまり、自分で戦うわけにはいかない状態だということだ。
「さて、誰かとの戦闘で負傷したのか。それとも能力の使いすぎか。
どちらにせよ好機です。今なら相手をするのは籐堂院 瑞穂だけになるでしょう。
――ん。あれ?」
携帯が鳴っている。登録されていない番号からの連絡。となると、
「はい、もしもし。こちらはアルト。あら、やっぱり上野さんですか」
予想通り、電話の相手は上野さんだった。
なんでも、煌神リンの確保の手伝いをするように、ということらしい。
それを私に伝えるように、上から命令されたとか。
煌神リン。機関の重要視する異能者。――その重要性を再確認する。
何故なら、彼女の確保を任された者が、機関の幹部。ファーストナンバーの一人。
Nо.6。レオーネ・ロンバルディーニ。それほどの大物が動くほどの相手か。
「え? いえいえ、リストには重要人物とありましたし、食べる気はありませんでした。
……酷いですね、本当ですよ? 覚醒の兆候がある、程度なら食べたかもしれませんが。
少なくとも、重要人物を無断で食べて、機関に敵対するような真似はしません。契約したでしょう?」
しつこく忠告を受ける。絶対に煌神リンを食べるな、ということだ。
――しかし、幹部。それもファーストナンバーと共同戦線か。
この目で、その力をじっくりと見せてもらいたいものだが。そんな余裕があるかどうか。
「…ともかく、合流しないといけませんからね。
合流場所については… えぇ、お願いします」
上野さんからの説明は終わった。まずは機関の幹部との合流が先決だろう。
しかし、実に面白い人だ。少し慌てていたように聞こえて、愉快な気分になった。
「身体の調子は十全。精神面も十全。つまるところ、すべてが十全。
……さて、参りましょうか。無理矢理にでも確保するというのなら、そこそこ得意です」
【アルト:レオーネと合流しようとする】
【小村のことを上野恭平だと思っている】
82:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/26 22:39:44 0
>>70
やはりF-15Eは良い機体だ。加速、操作性全て申し分ない。
耐Gスーツを着用していないが何も問題ない。
常人ならGに耐えかねてブラックアウトしてるだろうが、
機関の鍛え方は通常の軍隊の鍛え方とは違う。
出来なければ、待つのは解雇ではなく死なのだから……。
それに、私とて機関の幹部だ。
身体強化系の能力者に一歩及ばずともこれ位は出来る。
しかし、ここに来てようやく思い出す。肝心要の事を……。
――場所を聞いていなかった。
しまった、何たる失態! どうする!? 聞きに戻るか!?
そこで、また思い出す。『機連送』の存在を……。
片手で取り出すと、急いで本部に連絡を入れる。
「私だ。煌神リンが最後に目撃されたのは何処だ?」
平常心を保ちながら、冷静に問い掛ける。
これではカッコが付かないが、聞かなかった私が悪いのだ。
そんな私に親切丁寧に教えてくれた連絡員には、昇格という褒美を与えてやろう。
聞いてきた事に多少驚いていたようだが……。
涙のナイトフライトに成らずに済んだのは幸いだ。
ついで……という訳ではないが、
連絡員が小村から聞かされたハーケンの携帯電話の番号も教えられた。
スロットルを更に上げると、聞かされた場所へと方向を変えた。
機体を平行に保つと、『機連送』を使ってハーケンに連絡を入れる。
「君がハーケン? アルト・ハーケン君か?」
声の質からして十代後半から二十代前半といった所か。
慇懃な喋り方をした女だ、これが彼女への第一感想だった。
「間もなく近くで花火が上がる。何、場所は直ぐに判る。
君も参加するのだろう? デートには遅れないで来て欲しいものだ」
これだけ伝えれば十分だ。私は電話を切った。
全ての準備は整った。後は異能者の反応を頼りにするだけ。
――流石に戦闘機は早い。機関本部から物の数分で到着した。
速度と高度を下げて見てみるが、それらしい人影は見当たらない。
少々不機嫌な気分になっていると、不意に感覚が鋭くなる。
どうやら発信源は、他の住宅よりも豪奢な建物の中からのようだ。
協力者の家か、それとも潜伏先だろうか。
どちらにしろ、知った所で意味は無い。これから無くなるのだから……。
場所が判れば話は早い。
彼らは今、"最近、夜に飛行機が良く飛ぶようになった"と思っているだろうが、
残念ながら戦闘機だ。まあ、飛行機である事には代わりは無いが。
挨拶代わりに、建物に空対空ミサイル『スパロー』を発射する。
二階にリンが居ない事を祈りながら……。
爆音と共に物の見事に二階部分が吹き飛んだ。
さぁ、パーティーはこれからだ、リン。
【レオーネ:現在地池上家 上空】
【池上家は二階部分が綺麗に吹き飛ぶ】
83:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/26 23:04:58 0
>>78
男は機関のナンバー2、ツバサ=ライマースと名乗った。
……機関……機関か。
桜を洗脳し、七重を襲わせたあの機関か。普段の俺なら激昂しツバサに飛び掛かっていた事だろう。
しかし、今の俺は本当に落ち着いている。これも全て、漆黒の心のおかげだ。
俺は心の底から、この心の伝授してくれた師匠に感謝した。
>「あぁ、警戒しないでくれ俺はただ妹の様子が気になっただけなんだぜ?」
……兄、か。アニキは今、何処で何をしている事やら……
ツバサがリンの兄だと知るやいなや、桜が少しだけ……本当に少しだけだが、警戒を解く。
やはりリンの兄というより、自分を誘拐した組織の人間というのが大きいのだろう。
桜は自らの名前を名乗り、少しずつ……少しずつ、自分の知ってる限りのリンの事を喋り始めた。
もちろん自らを機関の人間だ名乗ってる人間を、そう簡単に信用するわけにはいかない。
しかし……この男からは敵意を感じない。今だけは、ほんの少しだけ信じておこう。
>「さて、これで俺の目的は終了だが…ふぅむ・・・お前、俺と戦ってみないか?
大丈夫だ、その女は巻き込まない機関の幹部にどれだけ通用するか試してみたくはないか?
もちろん二人でもいいぞ?そこの男とな…」
なるほどね、いわゆる模擬戦と言うわけか。
確かに自分の力が、機関にどこまで通用するか試してみたい。
しかも、この男は自らを幹部だと名乗っている。
先ほど名乗ったナンバーが本当なら…トップレベル、幹部の中でも指折りということになる。
そんな相手と戦えるチャンスなど、滅多に無い。この千載一遇のチャンス、逃すわけにはいかないか。
「……分かった。言ってるとおり、桜に手を出さないというのなら戦ってみよう。
俺自身も、自分の腕がどれほど通用するか試してみたい」
俺はツバサにそう返すと、援軍に来た男に向き直りこうつげた。
もちろん、自らの未熟さは分かっている。
しかし、スピードだけなら誰にも負けない自信がある。
そこを利用し、敵の虚をつけば勝機は見えてくるかもしれない。
「さて、俺はツバサと戦ってみるけどどうするんだい?
言うとおり、2対1のハンディキャップを仕掛けるか?それとも、一人ずつぶつかるか?」
相変わらずの漆黒の心状態の故、冷たい瞳を男に向けて提案を持ちかけた。
【廻間:ツバサの提案に了承の意を示し、文月にどうするのか問う。桜は戦闘時には距離をとります】
84:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/26 23:14:58 0
>>82
と、上野さんとの連絡が終った途端にまた電話が。しかもまた登録されていない番号から、
ともかく出てみると、いきなり声が聞こえた。
「君がハーケン? アルト・ハーケン君か?」
機関の人間か。あるいは――この声の主がレオーネ・ロンバルディーニか。
「ええ、私がアルト・ハーケンです。
…偶然、捕獲対象のすぐ傍まで来ていましてね。
今すぐにでも行動は可能ですよ?」
「間もなく近くで花火が上がる。何、場所は直ぐに判る。
君も参加するのだろう? デートには遅れないで来て欲しいものだ」
その一言を伝え終わると同時に電話は切れた。
「花火… 爆弾か何かでしょうか。あるいは――」
音が聞こえた。飛行機の飛ぶ音。このタイミングで、ということは、つまり、
「随分と思い切った真似をしますね。
…隠蔽できるのならばいいんですけれど、ね」
いや、そんなレベルの話か? 戦闘機による強襲。花火という言葉から連想すれば――
空を見上げる。そこに見えたのは、今まさに発射された、ミサイル。
それは池上 燐介の家の、二階に直撃した。って、ちょっと待ちなさい、
「バ――――バカですか貴方はっ!
あんな様子では中にいる目標が無事かどうか…! しかも、隠蔽工作が可能なレベルではありません!!
…仕方ありません、ともかく今は生存者の確認をしなければ。救助活動も考慮せねばいけませんね、これは」
思い切った真似、どころの話ではない。これだけの爆発。これだけの規模。
いかに機関の力大きくとも、隠蔽できるレベルではない。
だが、まあ、その気になれば可能かもしれない。どこぞのテロリストの仕業に仕立て上げる、とか。
かなり苦しいが、悪の組織の暗躍だとかよりは現実味があるだろう。
「機関のNо.6――能力はともかく、性格に難がありすぎる…!
これでは協力する、どころの話ではありませんよ!!」
駆け出す。らしくもなく神様に祈りたくなる。死なないでくださいよ、籐堂院瑞穂に煌神リン。
ちゃんと生き延びてもらわないと、私が困るんですから!
【アルト:ミサイルの着弾を確認。池上邸に突撃し、生存者を確認する】
【小村のことを上野恭平だと思っている】
85:文月宗太 ◆XzQQgkPzlg
08/05/26 23:17:30 O
「…機関の幹部とはな!今夜はツいてるやがるぜ……」
何がそんなに嬉しいのだろうか。
先程までの文月とは明らかに違う。怒りと歓喜が入り混じった言葉。
少年からの問いかけも、聞こえていないのかもしれない。
文月は少年の方を振り向きもせず、ツバサと名乗った男へと斬りかかった。
86:五徳 静慎 ◆YUm3AOdOaA
08/05/26 23:43:50 0
「美しい花火だ・・・」
ミサイル着弾の瞬間を見てつぶやく
「あれをやった者はさぞかし素晴しい『驚喜』、いや『狂喜』か?
いずれにしろ『喜劇』を見せてくれそうだ。
ぜひともその返り血で描かれたサインがほしいものだ。」
池上邸に足を進めようとして立ち止まる
「しかしこんな事を実行できるのは『機関』だけだろうが・・・・
いくらなんでも無茶苦茶だな・・・?
無人兵器でも暴走させたか?」
言って再び歩みを進める
【五徳:ミサイルに興味を持ち池上邸に接近あと2,3分くらいで到着しそうなあたり】
87:池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU
08/05/26 23:45:42 0
割と広い庭の所々には多くの草木が植えられている。敷地の隅には鯉でも飼っていそうな
池が見受けられ、その反対側には二台の高級車がガレージの下に停められている。
俺は見慣れた風景に目を奪られることなく、庭の真ん中を自宅の玄関目指して歩いていく。
玄関を開け、後ろからついて来た三人を自宅に招き入れる。
玄関の正面から除かせる廊下には埃一つ落ちていないのが窺え、
内装は派手な飾りつけも無く、ただそこには清潔感だけが漂っていた。
この三人は大方予想していたことなのか、特に驚きは見せていない。
俺は籐堂院を二階の両親が使っていた寝室に案内した。
その寝室のベッドは一人が使うには広いダブルベッド。ドアを開けた隣の部屋にはバスや
トイレが備え付けられており、冷蔵庫までもが設置されているので、不自由はしないだろう。
彼女が条件を呑んだことで、俺は約束通り良い寝床を提供したのだ。
山田や煌神 リンには、「一階なら俺の部屋以外、どこを使ってもいい」と言っておいたが、
彼らは空き部屋となっているいくつかの部屋を使おうとはせず、居間で寝転んでいた。
煌神 リンは寝る前に着替えがしたかったらしく、俺に女物の服を寄越すように申し出た
ので、以前に俺の家で働いていたお手伝いが使っていた服を渡してやった。
別にそれが俺の趣味だったわけではなく、この家には女が着れそうな服は
その服しか無かったというのが実情だ。
俺は自分の部屋へ入ると、ボロボロになった服を脱ぎ、
タンスから取り出した新しい服に着替え、机の椅子に腰をかけた。
そして俺はそこから自分の部屋の窓に目を向けた。
カーテンをしていないため、部屋の電気が窓を通して自宅の庭を映している。
─水が抜かれ、鯉どころか虫も住んでいなそうな石と岩だけの池。
真っ白な埃を被ったままの車が置いてあるガレージ、枝や草の葉が伸びきった
庭に植えられた草木─。
彼ら三人は夜中であったので気付かなかったのかもしれないが、
実のところ綺麗に掃除されているのは自宅の中だけであり、庭は全くの放置状態なのだ。
俺は一人で暮らしてはいるものの、両親はまだ存命中である。
ただ二人とも実業家というやつで、常に世界各地を飛び回っている人種だ。
そのせいで俺は幼い頃より、両親に代わって雇われたお手伝いに世話をされて来た。
それまでは庭も綺麗に手入れがされていたが、俺が両親に頼んで本当に一人で生活
させてもらうようになってから、庭が綺麗に手入れされることはなくなった。
一人でも定期的に掃除はしているが、何分広い。つまり庭にまでは手が行き届かず、
こうして自宅の中だけが清潔に保たれるという現象が生まれたわけだ。
そういえば……あの高級車を送ってきたのは両親だった。
俺が二十歳の時に、成人の祝いとかいうやつで……。
まぁ、大学は市内にあるし、買い物に遠出することもないのでほとんど使っていないが。
もっとも自分達が送った車が使われていないということすら、二人は知るまい。
前に会ったのは確か……三年程前になるからな……。
88:若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts
08/05/26 23:47:05 O
>>29
「金というものはあるところにはあるものでござるな」
御剣は屋敷の広さに呆れていた。機関のシナゴークとして使われていたことは聞いていたが客間だけで40部屋あるとは思いもしてなかった。
御剣が自嘲的に笑いながら通路の向こうに気配を感じていた。
「お客様、当屋敷にお越しいただきありがとうございます。ご案内はわたくし葛野美弥子が承らせていただきます」
美弥子は大鎌を取り出すといきなりふりおろした。御剣が身を屈めると大鎌はほんの少し前まで首のあった場所を通過した。
「いやいや、どういたしましてでござる。貴殿の寝間着姿なかなか艶っぽうござる」
同時に二本の苦無が飛んだ。苦無は美弥子の急所を正確に狙っていたが大鎌にひとふりで弾かれた。
「申し訳ございません。お客様の急な来訪で身支度が整いませんでした」
ふたりはお互いの実力を厄介な相手だと十分に把握した。感情を昂らせることなく冷静に人を殺せるその筋の人間であるのだと。そう、人を殺すことを日常として扱える種の人間だと。
「御主人様は只今お休みになられております。僭越ながらメイドのわたくしが御主人様に成り代わりあなた様を冥界にお見送りさせていただきます」
大鎌がうなった。暗闇に風をきる音だけが聞こえる。一撃、二撃、三撃―美弥子の攻撃を御剣は全てかわした。
「メイドに冥土送りとは冗談にもならぬでござる」
御剣は彼女が予想以上に厄介な相手だと認知した。彼女の攻撃には起こりがなかったからだ。
目の動き筋肉の緊張息づかいかすかな兆候でも見逃さない自信はあったが彼女はごく自然な状態から攻撃に移ることができる非常に厄介な相手だ。
「本気を出すでござる。ミツルギ忍法暗闇の術」
御剣の身体から闇の光が現れ周囲をさらなる暗闇に落としこんだ。