08/05/25 11:18:10 0
>>14
「…これが俺と奴―城栄金剛との因縁だ。奴の目的も能力も結局未だに分からねぇ。
ただ、『ヤハウェ』とかいう種類の人間から『何か』を集めている…。
そして更に大きな目的のために動いている。
無駄な行動は一切しない。目的のためなら手段を選ばない。
それだけは言える。・・・奴は、そういう男だ。」
実際聞いてみると大した話ではなかった、ただの昔話だ。
私は陰謀とか機密とかそんな感じの事を期待していた。
しかし、話を聞いたところ、この三人は『機関』の敵だという可能性が高い。
「ここを金剛が通ったのか、三人がかりでも倒せないなんて、あの若輩も成長したもんだな」
「城栄金剛と知り合いですか?」
「俺が『機関』を入って五年くらい後に『機関』に来た奴だ、今はNo.1らしいが、昔は俺が鍛えてやったん事もあったんだぜ?」
師匠が自慢げにそう語る、あまり自慢出来ることでもないだろうに。
「まぁ、奴が如何に強大でも、奴を始末するという俺の気に変わりはない。
何時間かすれば封印も解けるようだし、これからも俺は勝手にやらせてもらう。
お前も……いや、お前らも後は勝手にするんだな」
なんとも協調性のかけらもない人だ、これならまだ桐北の方がましだな。
「殺伐としていますね、普通ここは皆で力を合わせて金剛を倒そう、ってなるべき所でしょう」
「封印か・・・・・・瑞穂、多分あいつらは金剛に異能力を封印されている、これはおいしい展開だ」
確かに、もし三人が能力を使えないなら、私が一人勝ち出来る、しかし、相手は敵ではないようだし、こんな所で敵を作りたくはない。
私があれこれ考えている内に三人の視線は私に向いていた、気がつくと体を乗り出していたみたいだ、やれやれ我ながら馬鹿らしい。
「すみません、話聞かせて貰いましたよ、安心して下さい、私は敵じゃありませんから」
両手を挙げながら近づいていく、着物を着ている赤髪の青年に、赤髪の少女に、灰色の長い髪を持った青年、個性的な面子が揃っているようだ。
やはり、異能力を封印されているのは本当らしい、私が出てきても敵意を見せるどころか、少し怯んでいる感じがする。
「私は戦いに来た訳じゃありません、本当の所は力を合わせて金剛を倒さないか?とでも言いたいのですが、貴方達はみるからに協調性がなさそうだ」
三人をざっと見渡す、赤髪の少女に限ってはそんなことなさそうだが、後の二人は無愛想で「俺は俺でやる」みたいなオーラが出ている。
「話は変わりますが、もう真夜中です。
そろそろ私も寝たいのですが寝る場所がさっき燃やされてしまいまして、誰か近くに自宅がある方はいませんか?」
私の言葉で意図が伝わったのか、皆黙り込んでしまった、流石に見ず知らずの人物を自宅に泊めるのは嫌だろうな、そこで私は天之尾羽張を取り出す。
「言わないなら強引に聞くまでですが、ここで殺り合いますか?貴方達が能力を使えれば私など三人がかりで倒せるでしょうが、今はそうもいかないですよね?」
三人とも何故知っていると言わんばかりの表情だ、実に面白い。
少しの沈黙の後、灰色の長髪の青年が後ろの家を指さし
「ここが俺の自宅だ」
と一言、出来るだけ戦いは避けたいみたいだ、この状態では賢明な判断だな。
「では、一晩だけ泊めて貰えないだろうか?別にベッドは使わないし、貴方に迷惑をかけるつもりもない、因みにこれはお願いだ、断ってくれてもいい」
私は満面の笑みで天之尾羽張を青年に突きつけ、そう問いかける。
【籐堂院瑞穂:池上の家に一晩泊めてくれるよう頼む】