08/05/24 00:05:03 0
【天麩羅】其の壱
名前:
二つ名:URLリンク(pha22.net) ←で↑のキャラ名を入力
年齢:
身長:
体重:
種族:
職業:
性別:
能力:(一応二つ名にこじつけた能力設定を)
容姿:
趣味:
好きなもの:
嫌いなもの:
キャラ解説:
S→別格 A→人外 B→逸脱 C→得意 D→普通 E→不得意 F→皆無
U→変動 N→機能未保有 ……の九段階まで。
・本体
筋 力:
耐久力:
俊敏性:
技 術:
知 力:
精神力:
成長性:
・能力
範 囲:
破壊力:
操作性:
応用性:
持続性:
成長性:
リスク :
3:ERO ◆Yea504LehI
08/05/24 00:05:29 0
0
|::::::: /⌒\
|:::::::( 个 )
|:::::::| |::::::::::::
|:::::::| |:::::::::::::::ああ、私に見つかったのが運のツキだ
_ |:::::::( ・∀・)::::::::::::::::::::ご愁傷様
◎ー) .|:::: / \:::::::::::::::::::::
| | (⌒) (⌒二 )::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
~~~ /⌒ヽ( ̄、 ヽ___
/ Lヽ \ノ___
゙ー――(__)---
4:池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU
08/05/24 00:05:41 0
【天麩羅】其の弐
・現在までの参加キャラ一覧
池上 燐介 :二つ名「氷雪昇華(スリーピングエクソダス)」 詳細:避難所140
戦場ヶ原 天:二つ名「歪んだ重力(インセインオーバードライブ)」 詳細:避難所672
若宮 こよみ:二つ名「硝煙禁忌(ガトリングチルドレン)」 詳細:避難所142
七重 凌司 :二つ名「戦闘中枢(アトミックバーサーカー)」 詳細:避難所144
桐北 修貴 :二つ名「轟雷工作室(ライトニングファクトリー)」 詳細:避難所145
廻間 統時 :二つ名「月下十字(ギルティサーベル)」 詳細:避難所146
国崎シロウ :二つ名「贄(ウロボロス)」 詳細:避難所147
神重 智 :二つ名「重力連鎖(デスペレイトオーバーフロー)」 詳細:避難所488.641
永瀬 翠 :二つ名「増殖立体(フラクタルキューブ)」 詳細:避難所642
梓川 博之 :二つ名「陰翳幻覚(エレクトリックシャドウ)」 詳細:避難所643
煌神 リン :二つ名「火炎歌劇(クリムゾンラビリンス)」 詳細:避難所644
小村禅夜 :二つ名「絶滅魔神(ナパームカーニバル)」 詳細:避難所645
宗方 零 :二つ名「明滅(スペクター)」 詳細:避難所646
恋島達哉 :二つ名「蠢く少年(ウィアードライオット)」 詳細:避難所647
葦川妃映 :二つ名「神経幽閉(ネガティブニューロン)」 詳細:避難所311
レオーネ :二つ名「歪んだ迷宮(プラスチックパラドックス)」 詳細:避難所648
アルト :二つ名「臨界融解(フュージョン)」 詳細:避難所469
籐堂院 瑞穂:二つ名「吊られた剣士(デッドリーディスペアー)」 詳細:避難所530
【機関の説明】
・機関(組織)は総合商社や慈善団体、暗殺集団などいろいろな側面を持つ
・機関には異能力者以外もいる
・機関の異能力者は番号(NO.)で序列があらわされる
・一桁番号(ファーストナンバー)は特別な幹部
・世襲幹部が五人いる
・本スレで名前のでた幹部は城栄金剛(No.1)と北村幽玄(番号不明)
・長束誠一郎は機関の幹部だった
・現在の機関のトップと長束誠一郎は揉めている
・機関は人工異能力者を増産している
5:池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU
08/05/24 00:06:36 0
テンプレは以上。
6:ERO ◆Yea504LehI
08/05/24 00:08:27 0
>>4
0
|::::::: /⌒\
|:::::::( 个 )
|:::::::| |::::::::::::
|:::::::| |::::::::::::よくぞそこまで中2設定を作りこんだ
_ |:::::::( ・∀・)::::::::::::::::::::ほめてつかわす
◎ー) .|:::: / \:::::::::::::::::::::だが、ここまでだな
| | (⌒) (⌒二 )::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
~~~ /⌒ヽ( ̄、 ヽ___
/ Lヽ \ノ___
゙ー――(__)---
7:ERO ◆Yea504LehI
08/05/24 00:09:48 0
>>5
0
|::::::: /⌒\
|:::::::( 个 )
|:::::::| |::::::::::::
|:::::::| |::::::::::::::天プレとはなんだ?油は必要か?
_ |:::::::( ・∀・)::::::::::::::::::::私は舞茸と海老と蓮根が好きだ
◎ー) .|:::: / \:::::::::::::::::::::
| | (⌒) (⌒二 )::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
~~~ /⌒ヽ( ̄、 ヽ___
/ Lヽ \ノ___
゙ー――(__)---
8:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/24 07:31:09 0
>>298
「まあ、戦いへの概念は人それぞれ
純粋に戦いを望む者、誰かを守るために戦う者、自分のなかに在る何かの為に戦う者・・・」
私の場合はどうだろう。私の目的は一つで、食事はその為の手段でしかない。
しかし、その目的というのは――
「ま、貴女の目的は食事・・・みたいですけどね」
……彼も、私のことをそう考えるのか。少しばかり不愉快だ。
まあいい。ともかく名前だ。彼は私の問いにこう答えた。
「いいでしょう、私の名は上野 恭平(うえの きょうへい) お察しの通り機関の人間です
役職は前線基地の隊長ですよ」
上野恭平、やはり機関の人間か。へぇ、前線基地の隊長か。実験の観察、把握には丁度いいぐらいのランクかな。
しかしこの規模の実験は、私が知る限り前例がない。思ったよりも小規模なのか、ここの実験?
「で、次はこっちから質問です まず、貴女は機関に敵意をもっていますか?」
敵意? 妙な質問だ。やっぱりいつの間にか機関の構成員を食べていたのか。
しかし敵意か――答えは、簡単だ。
「ありませんね。機関に対する敵意など」
そもそも私はこれまで、一度だって、誰かに、何かに敵意を持ったことはない。
個人的に、嫌な人だと思うとか、気に入らないと思うことはある。
だが、それは敵意ではない。敵対する意思ではないからだ。
嫌な人だから、気に入らないからどうこうしてしまおう、と思ったことはない。
もっとも、これは食事を敵対と言わなかった場合なのだけれど。
しかし、こんな質問をするということは、彼は、
「そして、もし無いのなら゛取引゛・・・しませんか?」
彼は上着から紙を取り出した。それが何かは分からないが、しかし。
「取引ですか…? 内容にもよりますよ。
私が得られるメリットと、デメリットを説明してくださいね。
それと、ここの部屋代は後で返してもらいますから」
最後の一言は、ちょっとしたお茶目という奴だ。
うろたえている顔が気に入った、というのもある。
【アルト:誰に対しても敵意はない。食欲はある】
9:桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk
08/05/24 09:30:52 O
前スレのあらすじ
永束誠一郎に吉報とは言えない真実を突きつけられた修貴
落ち込む暇もなく襲いかかる機関の敵に内なるヤハウェが目覚め始め、道端で寝る
一方 こちらも異能者に襲われ 住んでた家を破壊された藤堂院 瑞穂は道端で妙にボロボロな人物を見つけ……
「お前さっき"また"と言ったな?それは以前、俺たちのような異能力者に襲われたということか?」
不本意ながら自分の行動を見て笑ってる藤堂院さんとは別の声が部屋に響いた
自分は驚きと恐怖で身を強ばらせた
助けられたとはいえ、度重なる異能者との戦いの後に
見知らぬ人物に見知らぬ場所に連れられ 姿が見えない第3者が現れたのだ
臆病になっても仕方あるまい
「驚かしてすまないな、今喋ったのはこの剣だ。君のような異能者が居るんだ。喋る剣が居てもおかしくないだろう?」
「俺は天之尾羽張。それより今お前が知りうる限りの情報を教えろ、お前に拒否権がない事はこの状況を見ればわかるよな?」
…あぁ、また上目線からの脅し しかも今度は剣に
喋る剣はおかしいですよ 簡単に割り切れますか? いきなりソー○ィアンですか?
てか何でこの人は 自分が異能者だってわかったんだ?
屋敷以前ならともかく[探査]を使ったあの時には人は居なかったはず…
さらに高まった緊張が相手に伝わったのだろう。 藤堂院さんはさらに声色を優しくして話しかけた
「そんなに警戒しないでくれ。師匠も私も使われなければ君にはただの棒だ。もし君が何か知っているなら教えてほしい。私もついさっき襲われ、家を失ったはかりなのだ」
「君は怪我をしている、もし今度襲われたら間違いなく殺されるだろう。だから君の傷が癒えるまで私が敵から守ってあげよう」
10:桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk
08/05/24 09:36:51 O
>>9
棒とはどういう意味かは分かりかねたが要は安心しろと言いたいのだろう。
…今言った事が本当なら、の話だが
自分はあまりこの人物を信用していない。出会いが余りに突拍子がないし自分を既に異能者と見抜いてるのが怪しい
ここまできたらどんな些細なことでも疑わないといけない
取引を持ちかけてきたが余りにも美味しすぎるし
何より…、剣の素振りを始めだした
さっきの剣の脅しは本気だったんだな
必要な情報を得たらサクッと、だんまりでもズバッといく練習と言ったところか
?
「…あれ、ってか外国の方?」
しばらくして剣を床に刺し(威圧のためだろうか…)
簡素なイスに座ったその顔は銀の瞳とプラチナブロンドのまごうことなき外国人であった
こういう時、外国人だとわかった瞬間萎縮するのは日本人特有というかなんというか…
名前や今までスラスラ日本語を喋ってたため、藤堂院さんは日本人だとばっかり思ってた自分は何故かすっかり狼狽してしまい
「ぇ、あ いや大丈夫ですよ OKOK!
傷じゃなくて筋肉痛ってだけで…
あ、えと are you…
じゃない! 普通に喋れただろうが!」
しばらく一人でパニクった後…
自分がいかにアホらしい事してるかに気づいて、数回咳払いした後
「失礼しました… え~っと、それって情報への見返りの交渉って事でいいですか?
でしたら一つ条件があります
……何か服持ってきてください。こんな格好いつまでもしたくないですし…」
最もらしい逃げる口実を吐いた
これで彼女(と剣)がここから一旦離れたら体を無理矢理にでも動かして逃げるつもりだ
幸い外には森とか隠れる場所はいっぱいあるし…、まぁ 服が欲しいのは真実だが
【桐北修貴:藤堂院瑞穂をあまり信用せず交渉で外に行くよう促す
その場を離れたら無理にでも逃げるつもり】
11: ◆P1wJYx92Ts
08/05/24 12:37:49 O
時は二十数年前にさかのぼる。
世間は学生服を着た猫がブームになり総理大臣が選挙期間中に心筋梗塞で倒れる事件がおきたがまだ五歳の誠一郎少年には関係なかった。
誠一郎が習い事から帰ると屋敷の中が騒がしかった。
「父上、この騒ぎは何事ですか?」
誠一郎は父親の長束公誠に尋ねた。
「誠一郎、お前は部屋に戻ってなさい」
「わかりました、父上」
誠一郎は黙って父親の言葉にしたがった。状況を一瞬みただけでおおよその見当がついたからだ
父の足元には反抗する気力さえ失うほど打ちのめされた少年がたおれていた。そして少年をくみふせているのは傷だらけの家人たちであった。
家人とはいえそれなりの武術を使いこなしなかには異能力を持つものもいる。それを相手に互角の闘いをした少年は異能力者であるに違いない。誠一郎はそう結論づけた。
それにしてもあの知性も品性も感じられない粗暴な生き物を父はどこが気に入ったのかがわからなかった。
父が機関が生ぬるい現状維持を戒めあえて異分子を入れようとするのは想像がつく。だが、あれは度が過ぎた異分子だ。
これは誠一郎があれを軽蔑しているからではない。軽蔑すらしてないからだった。誰も野良犬が暴れても犬を軽蔑しないように。そう、誠一郎にとってあれは軽蔑に値しない生き物だった。
次の日、あれの名前が城栄金剛だということを知った。
12:天之尾羽張 ◆FleR8jlnN6
08/05/24 14:04:28 0
俺は、子供の頃、『機関』に目をつけられたせいで両親と兄妹と友達と自分の世界を殺され、人体改造をされた。
そこで俺が手に入れた能力は「私と私の世界」、対異能力者戦では無類の強さを誇る能力だった。
『機関』は俺を『完全体』と呼びこき使った、しかし、俺の能力が『機関』の敵にだけ使われると思ったら大間違いだ、俺はその能力を使い『機関』から逃げ出した。
そして俺は、その能力と改造を受けた自分の身体能力と『機関』への憎しみを基盤に『機関』に対するレジスタンス集団を立ち上げた。
何年もかけて『機関』を憎むものを全世界から集めた、それは『機関』と戦うのに十分な数だった。
だが、一つだけ足りないものがあった、俺の能力にあう能力を持つものが居なかった。
俺の能力は確かに強いが、無差別なため仲間が出来た今は使ってもあまり意味を為さない。
人員で劣る組織と『機関』との戦いは次第に俺の組織の劣勢になっていった。
組織も俺だよりになり、俺が死んだら崩れるような脆い組織になっていた。
そして、俺はついに『機関』との戦いに終止符を打つ『機械仕掛けの神』を見つけた、それが瑞穂だった。
俺は一旦戦線から退き、瑞穂を育てていった。
初めは、戦場暮らしだった瑞穂を育てるのは大変だった、起こすときに叩き伏せられ、飯は自分で作ったものしか食べない。
しかし、段々と瑞穂は俺に懐いてきた、俺と共に『機関』と戦ってくれる様になった。
瑞穂は能力こそ持っていないが、剣術の腕は素晴らしく、俺のいい相棒になってくれた。
俺達は、『機関』の妨害、殺害などで何度も邪魔をしてきた、『神の使徒』と呼ばれ、崇められたときもあった。
しかし、瑞穂は俺の相棒でもあったが弱点でもあった。
ついに『機関』のファーストナンバー達が俺達を狙うようになった、『機関』のファーストナンバー達は執拗に瑞穂を狙った。
身体能力の高いファーストナンバーは瑞穂でもそう簡単には殺せなかった。
そして、ついに俺は瑞穂を庇って死んだ、と思いきや、瑞穂の能力が開眼し、その能力で刀に取り込まれた。
俺が居なくなった組織は自然にバラバラになり、そこを『機関』に叩かれ壊滅した。
俺を仕留めたと思った『機関』はそれきり俺達を襲うことはなかった。
だが、これでは意味がなかった、俺と瑞穂は二人合わせて『機械仕掛けの神』なのだ、片方が欠けてればただの異能力者だ。
数年が経ち俺達は機関が俺達を狙わないのをいいことに情報収集をしながら反撃の機会を待っていた。
まだ、俺達は狙われないはずだった・・・・・・
13:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/05/24 14:22:04 0
>>274
「ぇ、あ いや大丈夫ですよ OKOK!
傷じゃなくて筋肉痛ってだけで…
あ、えと are you…
じゃない! 普通に喋れただろうが!」
何を慌ててあるのか分からないが、桐北は急に英語を交ぜてきた、私が外人だと言うことが分かり日本語じゃまずいと思ったのだろうか?
少し咳払いした後、今度は普通の日本語で話し出した。
「失礼しました… え~っと、それって情報への見返りの交渉って事でいいですか?
でしたら一つ条件があります
……何か服持ってきてください。こんな格好いつまでもしたくないですし…」
明らかに視線が外に向いている、逃げたいのか、やれやれ警戒は解けずじまいか。
ここで脅してもいいが、どうしてもそういう気分にはなれなかった。
私はそこら中にある薬品や包帯を片っ端から持ち、ちょうどそこにあった大きなバッグに入れた。
「共に戦えれば心強いと思ったが、君が私を信用しないならしょうがない。
ここで私達は失礼する、それと筋肉痛ならよくマッサージをして、よく寝ることだな、またすぐに運動すると壊すぞ」
私はバッグを担ぎ、天之尾羽張をついでに入れようとする、するといきなり
「お前が知ってるかは分からないが、この戦いは『機関』が仕組んだものだ、だからこの戦いを終わらすには『機関』のトップと幹部を何人か殺さなければならない」
「たった二人じゃ無理だろ?だから、俺達は『機関』の目的から潰す事にしている、『機関』の目的はヤハウェという能力者、あり得ないとは思うが、もし見つけたら教えてくれねぇかな?治療費としては安いもんだろ?」
「すぐに殺しに行くからさ」
師匠は怒りと憎しみをこめた声色で言う、この時の師匠の声はあまり好きではない。
桐北は何か複雑そうな表情をしている、何者かも分からない刀にこのような突拍子もないことを言われたのだ、当然か。
「何のことか分からなかったら気にしないでくれ、もし次に戦場であったらその時は共に戦えたら嬉しいな」
優しく微笑みそう言うと、天之尾羽張をバッグに入れ、私は踵を返して廃校から出る。
しかし、家のない私は行くあてもなく街を彷徨うことになる。
14:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/05/24 14:23:52 0
>>13
「どうしましょうか?何処かで野宿とかできないでしょうか?」
「そうだなぁ・・・・・・というか、お前はなんで廃校から出てきたんだ?あそこならベッドもあるし野宿には適しているだろ」
それはもっともだが、私が居ると桐北は逃げるだろうから、少し安静にしてあげたかったのだ。
夜の街を少しの間歩いていると先の曲がり角から話し声が聞こえてくる。
少し覗いてみると、人が三人いて、皆座り込んで一人が何かを話しているみたいだ。
「瑞穂、少し立ち聞きさせて貰おうぜ、こんな夜中に話してるんだ、なんか面白そうじゃないか」
「やめましょうよ、立ち聞きなんて趣味の悪い、早く野宿出来るところを探しますよ」
踵を返そうとしたその時私の耳に不穏な単語が聞こえてきた。
『機関』『城栄金剛』『ヤハウェ』
まさかこんな場所でこのような言葉が聞けるとは、『機関』の人物か、それとも敵対している人物か、分からないが聞く価値は十分にある。
「決定だ、ちょっとばかし聞いていくぞ」
「そうですね、何かいい話が聞けそうです」
小声で言い、私は相手に見えないよう体を隠し、その話に耳を傾ける。
もしも気付かれたら分が悪いがとても重要な事が聞けそうなチャンスだ、逃す手はない。
【籐堂院瑞穂:戦場ヶ原の話を盗み聞き ばれるかばれないかはお好きにどうぞ】
15:七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI
08/05/24 16:44:05 0
前スレ >245-246 >272 >296-297
顔を朱に染めた廻間と、桜と呼ばれた少女
二人が仲良くまぐわうのを横目として、
脛の痛みに眉を引き攣らせながら、身を起こす七重である
鍛えられているとは言え、骨身への不意打ちは、尋常の苦痛ではない
さてもその傍ら、カレーに手を付けた白黒青年が、
総身の毛を逆立てて、呻きもがく
しばらくはそうしていたが、突然に彼の右手が離れて宙を飛び、
水の入ったコップを掴むと、己の本体の方へ引き寄せた
そして無事、青年は清浄なる水の恩恵を受けて、口の中の穢れを祓い鎮めた
その光景を見て、先の瓶を落としたタネを、七重はようやく察知した
>「な、七重…だったよな……アンタ、味覚の殺人兵器でも作ってるのか…?
寧ろ異能力、いや胃能力だ…これは…」
青年の問いかけに対し、七重は己に配分したカレーを一口いただくと、
真顔にて「カレーだ」と返答する
ここだけはどうしても譲らないつもりらしい
しかし、これが本当にただのカレーならば、二人も被害者がでる道理は無いはずである
場の雰囲気が少しく静まった後、
桜少女は、己の身に起きた事の顛末を話し始めた
要は下校中に誘拐されて、その後は何がなにやらよくわからない、という、
どうにも曖昧として頼りない内容であった
しかし、その話の中にあった『機関』という単語だけは、七重の興味を惹いた
とはいっても、話下手の七重のことであるから、
特に疑問を発することもなく、黙するのみであった
さて。日も大分落ちてきた、というよりは殆んど夜になりかけている
いたいけな女学生が一人で歩くには、少々危険な時間帯であろう
もっとも桜少女においては、既に危険すぎるほど危険な目に遭っている
そこで七重は気を利かせて、
「家まで送るか」
とは声をかけたが、言われた方の桜少女は、
小汚い七重の風貌を気に召さなかったらしく、
車に轢かれたドブネズミを見るような視線を投げかけた
「送ってやれ」
しばしの空白の後、七重はそう廻間に言いつけた
16:神重 智&敬 ◆6eLTPQTFGA
08/05/24 18:23:22 0
前スレ>>287
――謎の部屋にて
「ここは…?私は…どうなったんだ…」
智の目が覚める。周りは見たことの無いような西洋の雰囲気を思わせるような部屋だ。
そして西洋の雰囲気には不釣合いな巨大スクリーン
「やっと起きたか。兄弟。」
不意の声に驚いて辺りを見渡す。そこには―私がいた。
とはいえ、眼鏡を外し髪を逆立てているから一瞬自分とはわからなかった…。
「お前は…お前が…もう一人の私というわけか。」
「その通り、やっとあえたなぁ…。」
男は…いや、敬は言う。
「ここはどこだ?」
「俺とお前の精神世界。いうならば心の中だな。
俺はずっとこの中にいたんだよ。長束の話を聞くまでずっと寝ていたがな。」
「……。だったら、外の…いや現実の私の体はどうなっている。」
気になっていたことを聞く。すると敬は笑いながら言う。
「心配すんじゃねえよ。お前の意識がなくなった時から俺が制御して
今は…宗方だったか?あいつの家だか事務所だかにいるよ」
聞いて私は安心と同時に宗方のことを思い出した。
探偵で、私に協力を求めてきた男―その男の事務所にいるというのだ。
「だったら私が目覚めた今、体の制御権を返してもらおうか―敬」
その名を呼ぶことに少し抵抗を感じたが、それがもう一人の私の名前だ。
だが……。
「おいおい冗談言うなよ、俺はお前のためを思って体を制御してるんだ。
こいつの出方が分かるまで返すわけにはいかねえ。」
「なっ…!」
「まあ安心しな。外の様子はこれで分かる。」
そういって巨大スクリーンを指差す。そこには…確かに現実の物と思われる部屋と…
宗方が移っていた。
「じゃあ、俺は奴と交渉する。何かあったらまた来てやるよ。
それに外の音も聞こえるし俺との会話もできる。
しばらくそこにいな。」
そう言って、敬は消えてしまった。
「どうしろというのだ…私に…」
現実世界―
「アールグレイだ、茶菓子はないが飲んでくれ」
伯爵紅茶とも言われる紅茶を勧められて、俺はそれを飲むことにした。
「昔関わってたある事件で・・・あんたと同じ特性を持った人間を見たことが…ある」
…どうやら、演技は失敗に終わったようだ。まぁ当然といえば当然か…。
「あんたとは初対面だな、神重敬さん。二重人格者で能力者というのは初めてだが」
ふん…元々俺たちは一つの能力しかもっていない…。
「″先生〟のほうの神重は元気か?元気なら二人揃って聞いてくれ」
(だとよ…神重先生)
(………)
長束誠一郎は桐北と池上を争わせ、どちらかが生き残ることを期待している事。
そしてそれがゲームの目的ではないか?という事。
だが、宗方はその試みを潰してゲームを強制終了させるつもりがあり、
それに長束が許せない事─話の内容はこうだった。
「だから協力を申し出た、先生のほうの神重に」
(お前がメールを送ってたのは、これだったわけか?)
(そうだ、悪いか?)
(別に…。)
17:神重 智&敬 ◆6eLTPQTFGA
08/05/24 18:26:45 0
「ここまでが″先生〟もう一人の神重に伝えたことだ」
「だが私は改めて″あんた〟 神重敬に、いや″あんたたち〟に協力を申し入れたい─」
(おいおい、どうする?俺たちは協力を申し込まれてるぜ)
(私は協力するつもりだ。当然だろう)
(そう簡単に決めんなよ。大事だぜ?こーいうことは)
「この戦いを起こした機関の高位能力者、城栄金剛を倒したい」
宗方は言う。それがどれだけ難しいことかは本人も分かっているだろう。
(馬鹿な…!?それがどれだけ実現が難しいか分からないのか…?)
(いいじゃねえか…高位能力者…ゾクゾクするね)
(お前もお前だ。今私達に不足している物がわからないのか!?)
(俺をあんまり馬鹿にするなよ…それくらいわかってるさ。それは―)
「闘争への招待状だ、あんた─神重敬を味方にするにはそれしかないだろう?」
「改めて言う。頼む、協力してくれ。」
「足りない…。」
不審げな顔をして宗方はこちらに目を向ける。
「今の俺たちに足りないもの…。それは―
「力が足りない」
「数が足りない」
!?
これは敬にも驚かざるを得なかった、智の声が自分の声とリンクして
現実世界に同時に放たれたのだから。
宗方は、同時に聞こえたため、何を言ったかわからないようだ…。
仕方ない…制御権を一時的に渡すか…。
「…!?ここは…現実か。
宗方…だったな。私だ、神重だ」
声のトーンの違いに気づいたかどうかは分からないが、智は続ける
「私が言った意見。それは…数が足りないということ。
私と貴方が組んだところで、恐らく城栄に会うどころか…
途中で力尽きるのがオチだろう。だから数を揃える必要がある。
多ければ多いほどいいのだが…。」
言い終わったところで制御権が敬に移る。
「俺が言った意見。それは…力が足りないということ。
智の言うことも一理あるが、所詮寄せ集め…数がいてもたかがしれる。
とにかく力があるやつを少数揃える、それが俺の意見だ。」
「それと…」
まだ何かあるのかとでも言いたげな宗方に、敬は言う
「俺は…お前の正確な強さを見ていない。智が見たかもしれないが・・・。
この眼で見るまでは信じることができない。お前が強いか弱いか。
あんたと手合わせ願いたいもんだが…。」
(敬…一体何をするつもりだ!?)
(言葉の通りだ…戦って、見極める。弱い奴と組む意味はないからな。)
(………)
(出方次第によっちゃ交渉決裂ってのもあるかもしれねえだろ?)
(好きにしろ…)
【神重:智の意識回復。体の支配権は未だ敬
敬が宗方に手合わせを申し入れる、 受けるかどうかはお任せします】
18:永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s
08/05/24 21:38:14 O
―目を開けて数秒、翠の視界はまた白く塗りつぶされていた。
だが、別に潰れたままと言うわけでも、ここが死後の世界というわけでも無いらしい。
白い壁に白い天井、白いナース服。そしてそれらに反射する蛍光灯の光が、純白の世界の正体だった。ここは…病院だ。
「あら…漸くお目覚め?」
翠の気配を認め、看護師が振り返る。
焦げ茶の髪を束ねた、20才前後の女性だ。
胸のネームプレートには『香坂』とある。
「……織重(オリエ)ちゃ…」
「喋るな。まだ終わって無いの」
織重と呼ばれた看護師は、手にした長い棒を翠に向ける。
薙刀…否、巨大なメスである。
「痛むよ」
言うが早いか、織重は手にした大メスを、横たわる翠に一気に降り下ろした。
再び鳩尾に激痛が走る。
だが、翠の体には傷一つ付かない。むしろ、先程から感じていた、息をする度の痛みが一瞬で消えた。
「…すっごーい、流石は『切断再帰』の織重ちゃん!やっぱ"二桁"は違うよねぇー」
「三つやめて。その二つ名と、語尾の伸ばし。あとちゃん付け」
「えぇー、良いじゃん何でー?同じシナゴーグで育った仲じゃないですかぁー」
織重はそれには答えずに、再び翠に背を向ける。
「アタシの事よりあんた、NO.6に感謝しなね?助かったの、殆どあの人のお陰なんだから」
「え…おじさまの?」
「手、見てみな」
そう言われて初めて、自分の左手が固く握られているのに気が付く。
上に掲げ、開いてみると、何かがパサリと顔に落ちて来た。
「…ハンカチ?」
しわくちゃになってはいるが、それはまさしくレオーネのハンカチであった。
端に縫われた彼のイニシャルが、それを物語っている。
「凄い剣幕だったんだってさ、あんたを運ばせる時。それで本部もビビっちゃって、急遽アタシが呼ばれたってわけ」
「…うん、分かった。ありがとー」
ハンカチの皺を広げ、眺める。
「ありがとー、おじさま」
広げた布地から、香水が仄かに香った。
19:永瀬 翠 ◆8jReFpEj4s
08/05/24 21:47:06 O
夜の帳は既に落ち、街は静けさに包まれていた。
冷たい空気が、翠の傷付いた肺を突き刺す。
まだ完全には治っていないらしい。激しく動けば、今度こそ確実に死ぬ、と織重にきつく言われた。
そしてもう一つ、『フツーの女子高生気取るなら、機連送くらいマメにチェックしな』とも。
「あはは、痛いとこ突かれちゃったなぁー。ま、もっともなんですけどねぇー…」
機関からのメールは2通来ていた。
一つは何の不思議も無いただの通達。実験体の補充を急かす内容だった。
そしてもう一つ、件名に『緊急連絡』と記されているそのメールを、翠は何気なく開いた。
『―緊急連絡―
上層部の指令によって、本日AM4:00よりNO.50―99、及び虐殺部隊第一から三隊を貮名市に投入
同市にて一般異能者に扮し任務に当たっている構成員は注意されたし』
それは、本格的な『狩り』の報せだった。
「いよいよ本気になって来た、って事ですかぁー?
復活した途端にこれだもんな、休む暇ないよぉー」
愚痴を言いつつ、その顔はまたもや明るくなる。
大きく深呼吸する。胸を刺す痛みも、今は興奮を押さえるのに丁度良い。
「さぁ、行っちゃいますか!!」
意気揚々と駆け出…そうとして、翠は織重の言葉を思い出し、穏やかに歩き出した…。
香坂織重は迷っていた。
あの事を永瀬翠に伝えるべきか、伝えぬべきかの狭間で。
確かに、彼女はもう一人前の刺客だ。分別もついているし、大体あんな幼い頃の事を覚えているかも疑問だ。
だが、もし覚えていたとしたら…?
そう思うと、織重はどうしようも無く怖くなる。
『塚原ひかるの所在が分かった』と、彼女に伝える事が怖くなる。
それを知ったら、翠はどうするだろうか。
織重の脳裏に、何時かの声が蘇る。
『ひかるちゃんが…ウソついたよぉ…。』
『約束したのに…どっかにいっちゃったよぉ…。』
『何で…なんで…?』
『……翠、ぜったい許さないから』
「言えないわよ…。あの娘昔っからああなんだからさ、何するか…」
織重は一人、深く深く溜め息をついた。
【機関傘下の病院にて復活。再び行動開始。後遺症により激しく動けない体になる】
【現在時刻:二日目深夜2:00頃】
20:戦場ヶ原の回想
08/05/24 22:11:05 0
「…行ってくる。」
「うん、行ってらっしゃい、ゴンちゃん。気をつけてね。」
朝。金剛に新たな任務の依頼を受けた山田は、滴に見送られ『家』を後にする。滴は彼がどんな仕事をしているのか、どこに行くのか、まったく知らされていない。
だが、彼女はそれを知ってはいけないことだと、自分が知ったところで彼のためになることは何一つないと理解した上で、敢えて彼に訊くこともせずに今日も笑顔で彼を見送る。
そんな彼女の笑顔は、毎日死地に赴く山田に希望を抱かせてくれる。この笑顔のために、俺は死ねない――。そんな思いにさせてくれた。
数時間後、山田は部下たちとともにスラム街近くのダウンタウンを疾駆していた。
「旦那、今日の任務の、『ヤハウェケース№2を確保せよ』ってなんなんすかね?標的は人間らしいっすけど、なんのためにそんなことわざわざ…」
「…うるせぇぞ。俺たちはんなこと知らなくたっていいんだよ。黙って働け。」
無駄口を叩く部下を山田は諌める。今日の目的はそう、『ヤハウェケース№2』と呼ばれる人物の拉致、もしくは抹消である。
標的が何であろうと山田ら末端の戦闘員には何の関係もない。ただ淡々と与えられた仕事をこなせば、相応の報酬が与えられる。それがプロだ。
・・・だがそんな山田も、今日ばかりは『上』の連中のいつもとは違う様子に多少の違和感を感じていた。
(虐殺部隊全隊投入に加えてセカンドナンバー級の幹部も投入されている。・・・それに何よりも―。)
山田が振り返ると、はるか後方に黒塗りのリムジンがわがもの顔で山田たちについてきているのが見えた。
(金剛サン――最高責任者自らが出張ってくるほどの標的とは、いったい何だ・・・?)
山田は任務内容に一抹の疑念を抱きながらも、淡々と目的地へと向かった。
その疑念が、現実のものとなることを知らずに――…
「おい・・・・、これはどういうことだ。」
目的地に到着した山田が漏らした言葉には、理解出来ない怒りが静かに込められていた。
『ヤハウェケース2の反応を補足。作戦行動に移ってください。』
オペレータの声が無機質に響く。山田が戸惑うのも当然だ。目的地と呼ばれたその場所は、彼の『帰るべき場所』――スラムの孤児キャンプだったからだ。
「いやァー、まったく俺様は運がいい!」
金剛の上機嫌な声が山田の背後から高らかに響く。
「俺のプロジェクトに必要不可欠な素材がこんな近くに転がっているなんてなァ!」
金剛が嬉しそうに語るその傍で、山田はただ茫然と自分の帰る場所を見つめていた。
「『ヤハウェケース№2』・・・天音 滴。こいつの『コード』が今日の目的だ。捕縛出来ないなら殺しちまっても構わん!」
滴の名前が出て、山田は堪え切れずに金剛に掴みかかる。
「これは…これはどういうことだッ!!金剛サンっ!!!」
しかし、その手は金剛に届く前に側近のSPによって阻まれた。
「滴は・・・俺の『家族』だッ!!あんたは約束したはずだ!!俺が機関を裏切らない限り、家族の安全を保障するとッ!!」
「あァ…確かにそれを条件にお前と契約を交わした…。だがな。」
金剛が合図すると、虐殺部隊や機関の黒スーツたちがそのみすぼらしいテントの集合体にどんどん群がっていく。
「!!…おい貴様らァッ!!やめろ!!」
山田が自分の部下たちを止めようと彼らに掴みかかろうとした――その時だ。
ド ン ッ
耳をつんざく轟音とともに吹き飛ぶ機関の兵隊たち。その中心は光に包まれている。
「!!?」状況が呑み込めない山田は、その光景にただ茫然とするしかなかった。その背後から、金剛の静かな声が山田に問いかけた。
「『あれ』は――本当にお前の『家族』なのか?」
光の中心が姿を現した。まばゆい光に包まれたその姿には、山田がよく見慣れた優しい笑顔があった。
「・・・滴・・・・?」
21:戦場ヶ原の回想 ◆u5ul7E0APg
08/05/24 22:11:34 0
『ヤハウェケース№2天音滴、クラス2の覚醒を確認。戦闘員は、レヴェル7の戦闘態勢配備につけ。』
オペレータの無機質な声が戦闘員たちの耳に届くと、閑散とした孤児キャンプは一転、凄惨な戦場と化した。
「天音 滴。コードネーム『災骸嗜虐(ネクロフィリア)』。なるほど…こいつァ想像以上だ。」
金剛は感心した口調で呟いた。山田には理解が及ばなかった。
自分の愛する女性を殺せと言われたかと思えば、その女性が異能力を覚醒させて機関の戦闘員たちをゴミのように蹴散らしてゆく。
「あれがあの女の本当の姿よ。山田ァ!お前はあの女のことを、どれだけ知ってるってんだ?」
「・・・・・・。」
「家族だ絆だと口で言ったとて!相手に遠慮して本当のことも言えず、訊くことも出来なかったんじゃあねェのか!?」
「・・・・・・ッ!!」
「んなもんはなァ!『家族』とは言わねェんだよ!!」
金剛の口から出た正論に、山田は一言も反論することができなかった。
その通りだ。彼は彼女のことを何も知らない。どこから来たのか、なぜここにいるのか。スラムの中で出会い、一緒にいるうちに情が移ったにすぎないのだから。
―俺は、滴のことを何も知らない・…。
山田がそうしているうちに、金剛は動き出す。
右手の手袋を外し、能力を発動させると、彼の周りに光で書かれた数式が浮かび上がる。
数式はみるみるうちに広がり、滴の身体をすっぽりと包んでしまった。
「・・・お前には、俺の崇高なる計画の礎となってもらうぜ…!」
金剛の能力に包まれた滴の体からはみるみるうちに能力が消えてゆき、その意識すらも奪い去ってしまう。
「!!」
我に帰った山田はその光景を見るなり、無意識に駆け出していた。
「やめろ…。やめろぉぉぉおおおおおおお!!!!」
しかし金剛はそんな山田の悲痛の叫びも聞こえないかのように、眼の前の作業を淡々と進めていく。
「おおおおおおおお!!!」
『地核招来』―山田はその二つ名の由来となる能力を発現させた。左手に生み出した黒球を地面に叩き込み、岩盤を叩き割って金剛へ攻撃したのだ。
「・・・・。」
だが岩盤は金剛のもとへ届く前に、融けるように『分解』され、まるでコンピュータのプログラムコードのような『数式』となって金剛の身体の周りを舞う。
「・・・『フラームスの歪関数』」
金剛がぽつりとつぶやくと、彼の纏う数式が一瞬にして山田を包むまでにひろがり、彼の体に刻みつけられていく。
「がッ…がはぁあああああッ!!!?」
次の瞬間、山田の能力が歪曲され、彼自身に襲いかかっていた。
山田が自らの能力に苛まれている目の前で、金剛は躊躇うことなくその左手で眼の前の滴の身体を――貫いた。
「!!!!」
「フンッ!!」
金剛がその手を勢いよく引くと、彼女の体からまた別の『数式』が形となって『引きずり出された』。
用の済んだ彼女の肉体はゴミのように打ち捨てられ、山田はすぐさま彼女のもとに駆け寄った。
山田に抱きかかえられた彼女は、まだかすかに残る意識を振り絞り、声にもならない声で、山田に最期の言葉を贈った。
「・・・・ご・・・・・め・・・・・ん・・・・・・・・ね・・・・・・。」
直後。彼女の顔から表情が消えた。あの華のような美しい笑顔を、彼女はもう見せてはくれない。
山田は泣いた。
そして嗚咽にまみれた声で、金剛に叫んでいた。
「なぜだ・・・・。なぜなんだ・・・・・、金剛サンッ!!!」
ことを済ませ、満足げな笑みを浮かべていた金剛は、山田に対し、まるで興味もなさげに言い捨てた。
「…すべてはお前が『弱い』からだよ。山田権六。」
「意志を通したいのなら力を示せ。俺を斃してみせろ!!
…いいか山田権六。この世界はな・・・『闘い』なんだよッ!!
結果が全てを物語る!強い者の道理が通り、弱い者はただ虐げられる!!
この女を殺したくない…そう思う資格は、お前には無いんだよ。なぜならお前は…弱いからだ。」
金剛は言い切ると、無造作に右手を赤髪の男に向け、手を開いた。その瞬間。
山田の記憶は、ここで途切れた。
22:戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg
08/05/24 22:27:08 0
>>21-22
昔話が終わったころには、すでに時計は深夜0時を指していた。
池上とリンに向けて自分の過去を語り終えた戦場ヶ原は一息つき、説明を付け加えた。
「…これが俺と奴―城栄金剛との因縁だ。奴の目的も能力も結局未だに分からねぇ。
ただ、『ヤハウェ』とかいう種類の人間から『何か』を集めている…。
そして更に大きな目的のために動いている。
無駄な行動は一切しない。目的のためなら手段を選ばない。
それだけは言える。・・・奴は、そういう男だ。」
奴のことを思い出せば、たった今あの男に言われた一言が胸に突き刺さる。
(それからえーと・・・山田・・・権六だっけか)
金剛は自分のことなど忘れていた。あれほどの凄惨な光景を自分に植え付けながらも…!
そうした悔しさが、戦場ヶ原の行き場のない怒りを燃え上がらせる。
だが、自分の体に刻みつけられた金剛の呪印のような数式の数々が、その復讐が無意味であることを戦場ヶ原に悟らせようとしているようにさえ見えた。
【戦場ヶ原:池上・リン・(籐堂院)に対して過去を語り終える。】
【籐堂院の存在には気付いていない。】
23:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/24 23:39:26 0
機関の貳名市地区本部へ到着すると、何やら構成員達が慌しく動いている。
私の姿を見つけて応対した者に話を聞くと、私をこの街へ招待した友人――
即ち、No.1が幹部のセカンドナンバーと虐殺部隊の投入を決定したという。
彼はどうも、街の異能者の数を半分まで絞り込みたい考えのようだ。
それも今から一日以内に。……溜め息が出た。
奴とは機関に入った時からの親友だが、どうも行動派過ぎる。
思った事を直ぐに実行する傾向が在った。……まぁ、それが彼の良い所でも在るのだが。
……同時に嫌な奴がこの街へお忍びでやって来ている事も聞いた。
この施設に居るようだが……。私は足早に応接室へと向った。
応接室前に着くと、中から嫌な感覚が滲み漏れてくる。
間違いない、あの女だ。私はドアノブを掴むと勢い良く扉を開けた。
中には観葉植物と豪奢なソファが置いてあり、そのソファの上で女が寛いでいた。
日本の巫女が着る羽織の下に赤いネクタイを締め、袴は腿の部分で途切れた妖艶な――。
いや、訂正しよう。妖艶というより奇抜といった格好の服装をしている。
加えて、薄い紫の口紅と目の下の隈は、見る者に不健康な印象を与える。
こんな外見を見間違える筈も無い、この女は――。
「No.5……!」
――『No.5』 外道院 柚鬼(ゆき)
この女は私でさえ胸糞悪くなる下衆だ。
まず、彼女は幹部の中でも世襲幹部と呼ばれる機関の要職を担うポストに在る。
要職というのは組織内粛清を目的とした部隊の統轄だ。
そもそも、外道院家は以前は高名な巫女の家柄だそうだが、
大昔に権力闘争で敗れ、千年近くも日陰者として細々と受け継がれてきた。
その間に憎悪を溜め込み、表に返り咲くという目的が薄らいで行き、今では完全に闇の住人と成り果てたらしい。
外道院自体も下衆だが、臣下である部隊の連中も下衆揃いだ。
一般人を巻き込み、略奪や強姦は当たり前。連中は別段気にも留めない。
外道院も9歳になる少年を犯して殺害した後、局部を切り取って親元へ送りつけた事も在る。
人間、外見に騙されてはいけないと言う良い例である。
ともかく、そんな性質であるから彼女は配下諸共機関の中では嫌われ者だ。
私も出来る事なら話しかけたくない。
24:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/24 23:40:20 0
「なんじゃ、誰かと思えばロンバルディー二か」
流石に無反応という訳にもいかない。外道院に軽く会釈をした。
以前聞いた話だが、彼女の言葉は大昔に日本の貴族が使っていた言葉らしい。
道理で異国の者には聞き取り辛い話し方だ。
「ナンバーで呼べと言われているだろう、No.5」
言葉を返すと、外道院は"おやまぁ。それは失礼"と薄ら笑いを浮かべて謝った。
ソファに座り 彼女の前で足を組む。
「それにしても若くて羨ましいのぅ。肌も綺麗で美しい……。
妾(わらわ)など、……ほら、目元に小じわが――」
そう言って目を指差して強調するが、如何しても皺ではなく目元の隈に目が行ってしまう。
「世辞は良い。君が何故ここに?
No.1に呼ばれたのか?」
「そうじゃ。…という事は、No.6もあのメールを受取ったという事か」
彼女の問いに無言で肯くと、外道院は溜め息をついた。
「祭りというからに、大層盛大な祭りかと思いきや……。
これでは祇園の祭りには遠く及ばんのう。
どれ。妾が遊びがてらに、盛り上げてやるとするかのう」
この女が遊ぶというのなら能力を使う筈だ。
外道院は人間性も最悪だが、能力も最悪なのだ。
彼女の能力は半径二キロの生物を腐らせる能力――。
この女の事だ、一般人を巻き込む事を躊躇せずに発動させるだろう。
「私はこれから煌神リンを確保しに行く。
君が何をしようと勝手だ、好きにするといい。
……だが、邪魔だけはするな」
煌神リンをこの女の手に渡す事だけは避けたい。
仮にリンを外道院が見つけたと成ると、間違いなくこの女はリンを殺す。
それも、ただ殺すのではなく時間を掛けて嬲りながら、
心の片隅まで彼女を破壊し尽くすだろう。
それだけは防がなければならない。
――私は頭を抱え、友人の城栄を軽く恨んだ。
【レオーネ:現在地 機関アジト】
【機関関係者に『No.5』外道院 柚鬼(NPC)が貳名市入りした事が知らされる】
25:池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU
08/05/25 00:28:12 0
前スレ292,294>>20>>21
『・・・奴は…奴は人間じゃねぇ…!!』
この言葉から、山田の話は始まった。
『機関』に所属していた頃は『天音 滴』という女性を愛していたこと。
当時はNo.2と呼ばれていた『城栄 金剛』の部下であったこと。
そして城栄 金剛に最愛の女性を奪われたこと……。
話の終わりを、山田はこう締めくくった。
>「…これが俺と奴―城栄金剛との因縁だ。奴の目的も能力も結局未だに分からねぇ。
> ただ、『ヤハウェ』とかいう種類の人間から『何か』を集めている…。
> そして更に大きな目的のために動いている。
> 無駄な行動は一切しない。目的のためなら手段を選ばない。
> それだけは言える。・・・奴は、そういう男だ。」
この話が事実であれば、山田が『最強』という肩書きに拘っていた理由も、
城栄 金剛に拘っていた理由もつじつまが合う。
しかし、やはり俺が気になっていたのは城栄 金剛のことだった。
(『ヤハウェ』と称される異能者から『何』かを集めているという話だが……)
しばらく頭でいくつかの推測を立ててみたところで、俺は考えるのを止めた。
結局のところ、俺も山田と同様まだ城栄についてのことは何も知らないのと同然なのだ。
ここで必死に頭を捻って推論を並べても、何の意味も無い。
それに奴の目的がどうあれ、こちらの目的には何の変更もないのだから。
山田は、恐らく過去を回帰したことで再びその時の怒りを蘇らせたのであろう、
唇を強くかみ締めていた。
俺はそんな山田に向かって、平然として言い放った。
「三年越しの復讐、叶わず─か。結果として見れば、この三年は正に無駄な日々だったわけだな。
しかし気を落とすことはない。お前が思っていた以上に、あの男が化物だったということなのだろう。
……先程も、恐らくあの男は実力の半分も……いや、三割も出しておるまい」
俺達の能力を封印した力、それは紛れも無く奴自身の異能力によるものだ。
しかし俺達を圧倒したあの力は、奴自身の純粋な身体的能力のみであると言っていい。
実力の三割……というのも俺の勝手な希望的観測であるのかもしれない。
つまり結局のところ、奴の実力には全く計り知れないのだ。
26:池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU
08/05/25 00:32:53 0
が……こんな絶望感がいつ心を支配してもおかしくはない雰囲気が漂う中、
俺の心は意外と冷静を保っていた。表情からは、何か余裕すら感じ取れる。
俺は腰を下ろしていた場所から立ち上がり、再び山田に言った。
「まぁ、奴が如何に強大でも、奴を始末するという俺の気に変わりはない。
何時間かすれば封印も解けるようだし、これからも俺は勝手にやらせてもらう。
お前も……いや、お前らも後は勝手にするんだな」
視線を山田と煌神 リンに交互に持っていき、
ひとしきり二人を眺めると、くるりと向きを変えて自宅へと視線を合わせた。
─だがその視線の端で、俺は角の街灯に照らし出された人影に気付くのだった。
「……また深夜の客か」
ぽつりと呟いた俺の言葉に、二人も人影に気付いたようだった。
ただの通行人であれば問題は無いだろう。仮に異能者であっても、
こちらは異能力が使えないので、敵意を見せなければ誤魔化すこともできるかもしれない。
しかし……相手が俺と同じく『異能力自体』を察知する力を持っているとすれば……。
俺は人影に視線を向け続ける二人に目をやった。
やはり二人も、あの人影が異能者のものであったら……
という事態を嫌でも想定しているようだった。
「……とりあえず、こちらから攻撃は仕掛けないに一票。……お前らは?」
俺は、敢えて二人に意見を求めるよう呟いた。
【池上 燐介:籐堂院瑞穂の存在に気付く】
27:煌神 リン ◆7Q1qJNYWx.
08/05/25 05:35:06 0
「リン…お前は―優しいな。」
戦場ヶ原の手が、リンの髪を撫でる。
リンはただ泣く事しかできない。
しかしリンに関係なく話は進む、それは三年前の話
まだ戦場ヶ原が、機関にいた頃の話。
「機関…やっぱりお兄ちゃんはそこに…」
リンは独り言を呟いた、
リンの兄は、昔小さい頃生き別れた。
詳しい事は、よくわからないがリンの兄はおまえの為だとかいっていた。
しかし二人には聞こえていなかっただろう。
池上が何かをいっているが、あまり耳に入っていなかった。
最後の言葉以外は、深夜の客、それはきっと敵のことだ。
自分から攻撃してもしょうがない、だけだが相手が機関の人間だった場合話し合いも通じない。
だからと言ってこんな体で、攻撃を仕掛けてもしょうがない。
「私も攻撃を仕掛けないに一票です」
【煌神:籐堂院瑞穂の存在に気付き攻撃しないに一票】
28: ◆7Q1qJNYWx.
08/05/25 06:05:04 0
>>24
「ん~あっれ~レオ―ネじゃん、どうしたんだ?」
レオ―ネが金剛をうらんでいるとき、真っ赤に燃えるような赤髪の男が、応接室に入ってくる。
「ははっ、なんかここ機関の幹部だらけだな。」
この男の名前はツバサ=ライマースだ、この男は何を隠そう機関のナンバー2
だが…この男に貫禄もあったものではない。
「おう、なんじゃおぬしも来ておったのか。」
外道院もこの男の来訪は知らなかったようだ。
「まぁねん~俺は任務じゃねぇけど。」
そう言ってから、レオ-ネに話し掛ける。
「じゃ、レオーネ頑張ってこいよ~リンのところ行くんだろ?」
ツバサは、昔からの親友がカブトムシを採りに行くときのような感覚で言う、
レオーネなら殺さないだろうし、ましてや、外道院のように強姦の心配もない。
この男は、自分の興味範囲外のことはどう出もいい男だ、だから外道院とも普通に話ができる。
実際、外道院が、何処で強姦しようが、その部下が何をしようが知った事じゃない。
だが、この男は過保護なのだ、もし外道院が能力を発動し、一般人を巻き込んでもなんとも思わない、
しかし、自分の妹がそこにいるなら話は別だ、きっと切れるむしろ殺してしまうかもしれない。
それだけこの男は、妹に過保護なのだ。
「そうえばさっき金剛に会ったんだが、リンとかその他二名その場にいるやつを封印したらしいぞ。」
ツバサは先ほどおこった事をレオーネに説明する。
「ってことがあったわけ、無論金剛に切れたがな」
当然と付け加えるツバサ、仮にもナンバー1に対してその態度は普通はありえない。
【機関関係者には幹部以外ツバサ=ライマースが貳名市入りした事が伝わってない】
29:若宮こよみ ◆P1wJYx92Ts
08/05/25 10:39:49 O
>>11
長束誠一郎には他の異能者と決定的に違うところがある。それは異能力を持ったことを祝福されて育ったことであった。
誠一郎は異能者であることで疎まれたり異能者であることをひたすら隠す経験は皆無であった。彼はそれらが不要な環境で育てられた。
確かに誠一郎を嫌っている長束一族もいるがそれは誠一郎が異能者であることで長束家の次期当主と機関のNo.3の座が確約されたことへの妬みであって異能者であることを疎んだわけではない。
トゥルルルルルル-
誠一郎の眠りを電話の呼び出し音が妨げた。こんな時間に電話をしてくるのはよほど緊急な要件かよほど非常識な人間かのどちらかだ。
誠一郎は受話器をとると残念なことにそれが後者であることに気付いた。
「やっほーっ。誠ちゃん、元気っ?」
「こんな時間に何の用だ。廷玉」
「あらっ誠ちゃん最近ご機嫌ナナメ?」
「お前の声を聞いてからな。用がないなら切るぞ」
「つれないなぁ、せっかくいい話したげようと思ったのにぃ」
電話の相手は誠一郎と対等に喋っており誠一郎もそれを受け入れている彼が能力を認めない限り許されないことである。
「早く本題に入れバカ者」
「ひどいわ、あの頃はあんなに愛しあったのに…」
「切るぞ」
「冗談よ。うちの腐れおんながそっち行ったから」
「No.5が直接動いたのか」
誠一郎は彼女と彼女の部下の非道さを思い浮かべ城栄金剛の深意を推測した。
「部隊ごと動いてるから明日あたりすごいことになりそうね。まとめて潰しちゃってよ」
「実の姉に酷い言い様だな」
「あの腐れおんな好きじゃないのよ。芝居がかった話し方なんかヘドがでるわ。あともうひとつ言いたいことあるの」
「なんだ」
「誠ちゃん、ア・イ・シ・テ・ル」
ガチャ
誠一郎は受話器を置くと屋敷の違和感に気付いた。
「たまにはあいつも役にたつな」
せまりくる暗闇に誠一郎は闘いを予感した。
30:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/05/25 11:18:10 0
>>14
「…これが俺と奴―城栄金剛との因縁だ。奴の目的も能力も結局未だに分からねぇ。
ただ、『ヤハウェ』とかいう種類の人間から『何か』を集めている…。
そして更に大きな目的のために動いている。
無駄な行動は一切しない。目的のためなら手段を選ばない。
それだけは言える。・・・奴は、そういう男だ。」
実際聞いてみると大した話ではなかった、ただの昔話だ。
私は陰謀とか機密とかそんな感じの事を期待していた。
しかし、話を聞いたところ、この三人は『機関』の敵だという可能性が高い。
「ここを金剛が通ったのか、三人がかりでも倒せないなんて、あの若輩も成長したもんだな」
「城栄金剛と知り合いですか?」
「俺が『機関』を入って五年くらい後に『機関』に来た奴だ、今はNo.1らしいが、昔は俺が鍛えてやったん事もあったんだぜ?」
師匠が自慢げにそう語る、あまり自慢出来ることでもないだろうに。
「まぁ、奴が如何に強大でも、奴を始末するという俺の気に変わりはない。
何時間かすれば封印も解けるようだし、これからも俺は勝手にやらせてもらう。
お前も……いや、お前らも後は勝手にするんだな」
なんとも協調性のかけらもない人だ、これならまだ桐北の方がましだな。
「殺伐としていますね、普通ここは皆で力を合わせて金剛を倒そう、ってなるべき所でしょう」
「封印か・・・・・・瑞穂、多分あいつらは金剛に異能力を封印されている、これはおいしい展開だ」
確かに、もし三人が能力を使えないなら、私が一人勝ち出来る、しかし、相手は敵ではないようだし、こんな所で敵を作りたくはない。
私があれこれ考えている内に三人の視線は私に向いていた、気がつくと体を乗り出していたみたいだ、やれやれ我ながら馬鹿らしい。
「すみません、話聞かせて貰いましたよ、安心して下さい、私は敵じゃありませんから」
両手を挙げながら近づいていく、着物を着ている赤髪の青年に、赤髪の少女に、灰色の長い髪を持った青年、個性的な面子が揃っているようだ。
やはり、異能力を封印されているのは本当らしい、私が出てきても敵意を見せるどころか、少し怯んでいる感じがする。
「私は戦いに来た訳じゃありません、本当の所は力を合わせて金剛を倒さないか?とでも言いたいのですが、貴方達はみるからに協調性がなさそうだ」
三人をざっと見渡す、赤髪の少女に限ってはそんなことなさそうだが、後の二人は無愛想で「俺は俺でやる」みたいなオーラが出ている。
「話は変わりますが、もう真夜中です。
そろそろ私も寝たいのですが寝る場所がさっき燃やされてしまいまして、誰か近くに自宅がある方はいませんか?」
私の言葉で意図が伝わったのか、皆黙り込んでしまった、流石に見ず知らずの人物を自宅に泊めるのは嫌だろうな、そこで私は天之尾羽張を取り出す。
「言わないなら強引に聞くまでですが、ここで殺り合いますか?貴方達が能力を使えれば私など三人がかりで倒せるでしょうが、今はそうもいかないですよね?」
三人とも何故知っていると言わんばかりの表情だ、実に面白い。
少しの沈黙の後、灰色の長髪の青年が後ろの家を指さし
「ここが俺の自宅だ」
と一言、出来るだけ戦いは避けたいみたいだ、この状態では賢明な判断だな。
「では、一晩だけ泊めて貰えないだろうか?別にベッドは使わないし、貴方に迷惑をかけるつもりもない、因みにこれはお願いだ、断ってくれてもいい」
私は満面の笑みで天之尾羽張を青年に突きつけ、そう問いかける。
【籐堂院瑞穂:池上の家に一晩泊めてくれるよう頼む】
31:梓川 博之 ◆rEy7LULhaw
08/05/25 15:35:37 0
>>15 前スレ>>272
俺の問いに対し、七重はカレーを一口食った!
「カレーだ」
いやこれは如何考えてもカレー、いや食べ物じゃありません本当に有難うございました。
と、口に出して反論も出来ないぐらい俺は弱っていた。
つか今普通にそれ食ったよな?この人の舌や胃はどうなってんだ!?
辺りの雰囲気が静まり、音が消える。
すると、女子高生はポツリポツリと話し始める。
――話を聞いた限りでは有益な情報は特に無く、新しい情報も『機関』の何名かのメンバーがこの戦いに入った事しか無かった。
それにしても洗脳…か。
それ専門の異能者でもいるのだろう。
だが、何故リスクを負ってまで洗脳をしたんだ?
この街の人間―いや、異能者を根絶やしにする為…違うな。
それだとこんな茶番を始めた意味が無い。
その前になんで強い異能者が残るような戦いを始めたんだ?
復讐?殺戮?選別?
意味が分からない。
…クソッ!『機関』の目的は一体何なんだ?
そうだ、目的を知らなくてはいけない。
どうやって知るか。
『機関』に取り入って……駄目だ。時間が掛かり過ぎる。
『機関』に裏切り者はいるだろうし、そいつから……没。同上。
『機関』の下っ端から脅して……一番手っ取り早いが、知ってるかどうか分からないな。そもそもどの程度の人数が入っているのかわからない。
ある程度の情報があるメンバーを屈服させて……出来るかどうか。やるとすれば心当たりは…あの、少女。
名前は聞いたかどうか忘れてしまったが、顔は覚えている。雰囲気も。
…無理っぽいな。出会える確立も低すぎる。
あ~~~~~どうする!?
32:梓川 博之 ◆rEy7LULhaw
08/05/25 15:36:39 0
「家まで送るか」
七重のこの一言で俺の脳は現実のほうに目を向けた。
あーすっかり忘れてた。
この子―桜だったか―、そういえばうちの高校の制服着てるんだな。
俺より年下っぽい廻間と同期らしいし…後輩か。
その桜ちゃんはまるで餓死したカラスかスズメを見るような目で七重を見ていた。
「送ってやれ」
視線に気付いたのか、七重が言い換えた。
「…桜ちゃんだったな。君、唯能(いのう)高校の生徒かい?
それなら俺の後輩に当たるし、俺が送ってあげようか…あ、いややっぱりやめとこう。
二人の仲を引き裂くようなことはしない方が良いしなぁ~なあ廻間君~?」
親切心を出そうと思ったが、さっき二人がキャッキャウフフしてたのを思い出した。そして腹が立った。
ということで仕返しにおじさんモード発☆動!俺、もうやけくそなんだぜ?
「間違っても襲うんじゃないぞ~?仮に了承を得たとしても野外で盛るなよ~?
あーっはははははははぐぁっ!?」
ドゴッ、と良い音がした。かなりの近距離。
…ああ、そうか。俺が殴られた音か…通りで顎が痛いわけだ。
誰が…誰が殴ったんだ?
意外ッ!それは桜ちゃん!
彼女のアッパーカットを食らって俺は意識を手放した…。
【梓川:桜のアッパーカットをくらい気絶?】
【5分くらいは起きないでしょう】
33:桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk
08/05/25 16:11:17 O
「すぐに殺しに行くからさ。」
こちらの目論見がバレ藤堂院さんと剣が立ち去った後も、この最後の言葉が頭の中をぐるぐる回っていた
「あはは…、危ない危ない…」
なんという皮肉か
自分を助け、自分に協力を申し込むつもりだった人の目標が自分の殺害とは
去り際の言葉から機関の者ではないと信じても、残念ながらもう自分は会うわけにはいかないだろう
もし、不用意に情報と共に身の上話なんかしてたらここで死んでいただろう
『死』 …つい先程感じた絶対的恐怖
しばらく経ち、藤堂院さんがいないことを悟ると 両手白くなるほど強く握りしめ近くの壁を殴った
「なんなんだよ…、なんなんだよお前はっ!
何で自分にこんな力を与える!
何で自分の日常を壊す!
何で自分が人に命を狙われる!
何で自分が人を殺さないといけない!
ヤハウェ…! ヤハウェ、ヤハウェ!!
答えろよっ! どうせ見てるんだろ!!!」
それは甘えなのかもしれない
その程度の事と、ほかの誰かに言わせればなんて事ないかもしれない
だが、つい数日前にこの世界に踏み込んだばかりの自分にはとっくに限界を超えていた
憤怒が、悲哀が、苦痛が、恐怖が、絶望が、ただ自分の魂を押し潰し
ひたすらに自らの運命を呪い
気がつくとあの門の前だった
34:桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk
08/05/25 16:14:49 O
>>33
気がつくとあの門の前だった
開きかけだったはずの門は今、完全に開いている
中は絵の具で塗りつぶしたような闇
しかし、全く躊躇もなく中に入った。 自身の心の中、 だからだろうか
中を歩むと円の形に7つの台座があった
そのうち6つにはそれぞれ違う色の宝石が鎮座していたがなぜか1つだけ何も置かれてない台座があった
『それこそが【罪】…
知恵の実を食べたが故に人が背負いし業』
またあの声が聞こえた
いや、今ならわかる
これは自分の声だ
自分自身の声とは、喋るとき頭蓋骨が反響するため他人の聞く声と自分の聞く声は違うと聞いたことがある
『それぞれ【強欲】【怠惰】【大食】【色欲】【傲慢】【憎悪】【嫉妬】と呼ばれ
そのうち我の【嫉妬】は救済した…』
声は淡々と それでいて力強く語る
それは神が人間に答えを与え、道を導いてるような声色だった
『我は人を、世界を、全てを、救済したい
それには… 我の力が必要だ』
「ふざけるな なんでお前なんかに協力しないといけない! なんで自分の中にいるんだ! さっさと出て殺されろよ!」
声がしたときから感じていた視線の雰囲気が変わった
怒り… ではない、『哀れみ』の目だ
『過去と運命は覆せない
たとえそれが神でもだ…
だからこそ過ちを正すため、我がいるのだ』
『安心されよ。我の罪を全て救済した曉に、我の器になってもらうだけだ…』
何が安心しろだ。器になれってどういう事だよ
「お前は…」
言いかけた瞬間、視界がぼやけた
目を擦ってみてもぼやけたままで段々全てが白くなってきた
「お、おい! なんだよこれっ!?」
『時間か…、我の答えは満足召されたか?」
『では、誠一郎によろしくな』
「おい、待て…っ」
次に目が覚めたときは自分はベッドの上で空は白くなりはじめ
三日目が始まろうとしていた
【桐北修貴:三日目朝 廃校内にて起床
体はまだ痛むがとりあえずは動ける】
35: ◆KmVFX58O0o
08/05/25 16:43:06 0
時間は深夜を迎え、賑やかだった町も幾分静かになった
街灯のみが闇夜を照らす中、その街灯が照らす道をだらだらと一人の男が歩いていた
整った顔立ちと、若干色褪せた染め上がった金髪。そして両耳にピアスを二個ずつ付けている
しかしそれほど特徴的な顔でもなく、せいぜい顔が良い男程度の印象しか残らないだろう
だがそれこそが男の強みである。人々の記憶に残らない顔の方が、仕事はずっとやりやすい
男はその事を自覚しており、また『機関』もそれこそがこの野蛮な男の唯一の長所だと認識している
ふと、男が立ち止まり、スーツの胸ポケットからかなり小型の携帯電話を取り出した
細長く白い指で携帯電話のボタンを押し、『機関』に電話を掛ける。数秒経つ
「あ、もしもし? 梶原っす。貳名市に着きました~。それでどうすりゃいいんすか?」
梶原と言う名のその男は、電話の向こうの相手の話を小さく頷きながら聞く
ときおりふ~んや、へぇ~と気の抜ける相槌を打つ様子は真面目には見えないが、梶原なりの話の聞き方なのだろう
「はいは~い。分かりました~。要は弱い奴をぶっ殺して強い奴だけを残せばいいんすね?
大丈夫ッすよ。自分ちゃんと区別は付きますんで。あ、はいは~い。失礼しま~す」
携帯の通話ボタンを切り、梶原は携帯電話を胸ポケットにしまう
しばらく経ち、梶原は電話の内容を頭の中で反芻し、やがてにやりと口元を歪ませた
何時もと同じ仕事だ。強い人間は死なない程度に痛めつけ、弱い人間は遠慮なく殺る
その過程で梶原が行う行為は最低とも取れる行為だ。男はともかく女子供にも手を掛ける事を容赦しない
また、容姿が自分好みの女性に対しては散々追い詰めた挙句、性的暴力を行う。しかも異能力者でも、そうでなくても、だ
しかしどんな下衆な事をしようと、梶原の行為は『機関』が権威をフルに使い揉み消してくれる
それが許されるのも梶原の実力を『機関』は高く評価しているからだ
36: ◆KmVFX58O0o
08/05/25 16:44:42 0
ふと、梶原の目にふらふらと千鳥足で歩くサラリーマンの姿が映った。相当酔っているらしく、足元がふらついている
梶原は不快感を感じながらも、そのサラリーマンから離れる様に歩く。が、サラリーマンは梶原の方へと歩いてくる
するとサラリーマンは突然、梶原の方へと無理やりよたれ掛かり、嘔吐した
「・・・あ?」
梶原は状況が理解できず、数秒思考が固まる。ふとズボンにサラリーマンの嘔吐した吐瀉物の匂いが鼻の奥を刺激する
先ほどのニヤケ顔から一転、梶原の表情は足元に倒れるサラリーマンに向かって激しい憎悪の炎を燃やした。目つきが明らかに鋭くなっている
と、梶原の左手からキラキラと眩い粒子が現れ、次の瞬間、バタフライナイフが梶原の左手に成形された
「…人のスーツ汚しといて、のうのうと寝てんじゃねーよ、ジジィ!!」
梶原は傍らのバタフライナイフを、寝ているサラリーマンに躊躇無く振り下ろした。一回、二回、三回
梶原のスーツを血飛沫が汚す。しかしそれにも構わず梶原はサラリーマンに対し、ナイフを振り下ろし続けた
血の水溜りがコンクリートの地面を濡らす。梶原は立ち上がり、息を整えると持っていたバタフライナイフを投げ捨てた
「はぁ…どっかでスーツ新調しないとな~…本部行くか」
もうすぐ朝日が昇ろうとする無人の町を、梶原はまた歩き出した
【NPC梶原琢磨登場。本部に向かう】
【プロフィールは避難所の>>755を参照してください】
37:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/25 16:54:38 0
>>15>>31
>「家まで送るか」
俺は、七重の言葉を聞いて時間を確かめていなかった事を思い出し外を見回した。
外は既にほとんど暗くなっている。この時間帯に、人気の少ない通りを桜一人で歩かせるのは心配だ。
「それじゃあ俺と七重…」
俺と七重のどっちかが送るか、と言いかけたところであることに気がついた。
さ…桜の目…小汚い野良犬でもみるかのように冷たい目だ。
残酷な目だ…「かわいそうだけど、明日の朝には保健所で駆除される運命なのね」って感じの!
そうなれば、答えは一つに絞られる。それは、俺が送るという事だ。
七重じゃあ桜が許可しないだろうし、あの男…そういや気付いたけど…この人も俺と同じ学校の制服着てるな…
顔からして、先輩だな。男じゃなくて、先輩って呼ぶべきか。
…それはまぁ、置いといて。とにかく先輩は客なのだ。客に手間をかけさせるわけにはいかないだろう。
だから俺が送るのだ。消去法って便利。
「…しょうがない、俺が送るよ」
頭をポリポリと掻きながら、呟く。
そうしたら、間も無く先輩が口を挟んできた。
>「…桜ちゃんだったな。君、唯能(いのう)高校の生徒かい?
それなら俺の後輩に当たるし、俺が送ってあげようか…あ、いややっぱりやめとこう。
二人の仲を引き裂くようなことはしない方が良いしなぁ~なあ廻間君~?」
何を言ってるんだこの人は。仲を引き裂くって、俺と桜はまだ何もしてないぞ。
…そりゃあ、さっき抱きつくようにもたれかかられたけど。あんなのノーカンだろ。そうに違いない。
俺が頭の中で反論してる間にも、先輩がたたみ掛けるように喋り捲る。
中には聞くに堪えない言葉も混じっていた。
…俺はふと、桜の様子を横目でちらりと伺ってみた。なんか桜の様子がおかしい。
なんかやたら覇気を出しているような…そして、おもむろに先輩に近づき…
SMAAAASH!!
アグレッシブスチューデントモード!
先輩の顎に、それはもう見事なアッパーカットがクリーンヒット。
アッパーカットを食らった先輩は、体がほん少し吹っ飛ぶ。
そして、畳に落下し気絶した。
「……あー、俺が家に送っても?」
「…え、あ…う、うん!お願い!」
息を荒くしながらも、桜が俺の問に答える。
それにしても、こんなに見事なアッパーカットを使えたのになんで捕まった?
俺は、そんなことを思いながら桜を家まで送ることにした。
【廻間:桜を家まで送ることにする】
【送ってる最中に他の人がからんでもOK】
38:葦川妃映 ◆oov3HbsEaA
08/05/25 19:36:32 0
全スレ>>291>>293
「じゃ、宜しくね。イケメン薬剤師の国崎さんに恋島さん」
もう一度小さくお礼を言ってカメラを恋島に返す。
そろそろ自分の出血が気になりはじめたので、ハンカチで傷口の上を縛る。
ずきずきとした痛みはさほど気にならないが、流血は見ていて気分が悪くなる。
>「……まあ、お前らがうちの店に来るのは、薬も売れそうだから別にいいけどな。
>言っておくと、俺は基本的に一般人だ。店にいる奴等にもそう接してる。
>だから、お前らの目的は判らねぇが、もしお前らが俺の正体をばらそうとしたり、
>俺が一般人に戻れなくなる様な話をしようとしたり、あいつ等をヤバ過ぎる事に
>巻き込もうとしたら―俺はお前らを追い出す。いいな?」
かっこつけ。
さっきの化け物ぶった言動と色々矛盾してるし、要領が悪い。
一番損するタイプの人間。
でもまあ、理屈に合わないことをするのが人間だしね。
「ありがとう。私はそれでいいわ」
「私も、ただ危険から身を守りたいだけなのよ。わざわざ危険を招く行動はしないつもりよ」
肯定と小さな微笑を向け、国崎の後ろについていく。
あたりはすっかりと闇に包まれ、人通りもほとんど無い。
殺伐としてしまいそうな雰囲気の風景だったけれども、私の心は軽かった。
未知は恐怖。だけれども、未知は遭遇した途端に既知へとなる。
冷静な思考と少しの安心感があれば、どんなこともきっと打破することができる。
そんな自信が私の背を押していた。
のだが─
恋島が携帯電話をチェックしているのにつられて自分も携帯電話を取り出す。
開幕を告げる数日前のメールを軽く読み直すつもりで出しただけだったのだが、新着メールが届いていた。
『差出人:善養寺─』
思わず携帯電話を閉じる。
そのまま何食わぬ顔でポケットに仕舞い国崎の後ろをついていく。
【国崎薬局へ】
39: ◆KmVFX58O0o
08/05/25 20:11:27 0
>>37
梶原は心の底から嫌悪感に満ちていた。仕事始めにこれである
未だにスーツにあのサラリーマンの吐瀉物の匂いが漂っている。それに汚れも
本部が遠いのも、梶原のイライラを増幅させていた
しかし夜遅いからか、梶原以外に歩いている人がいないのが幸いだった
おそらく今の梶原は、誰かが少しでも怪訝な表情を浮かべた途端、ブチンと切れてしまうからだ
それほどこの梶原という男は不安定かつ、危険な男である
寒々とした商店街を抜けると、住宅街に来たようだ
この先に本部がある。そう思うと梶原のイライラのゲージも少し下がってきた
ふと、梶原の頭に妙な予感がよぎった。と同時に仕事の予感がする
梶原は一度立ち止まり、周りを注意した。っと遠方に人の姿が見える
道路の端により、梶原はじっと目を細めた
40: ◆KmVFX58O0o
08/05/25 20:16:59 0
【>>39続きです】
どうやら二人居るようだ。少しだけその人物に近づいてみる
制服を着た少女と、短髪でどことなく目つきの悪い少年が寄り添うように歩いている
何故かは分からないが、少女は少年にくっ付いて離れない。よっぽど夜道が怖いのだろうか
梶原はゆっくりと、その二人に悟られぬように近づく。おそらくどちらかが異能力者だろう
そろそろあちら側にも見えるぐらいに近づいたきた。すると梶原は先ほどのサラリーマンのように少年に近づき
「いって。ちょっと肩当たったんすけど」
明らかにわざとらしく、梶原は少年の肩にぶつかってきた。だが目線は少女の方を向いている
「はぁ~…俺凄い傷ついたんだけど。ねぇねぇ、謝ってくれる?」
梶原のその様は明らかにチンピラのそれと同等である。一方少年はじっと耐えているようだ
少女は怯えたまま俯いている。梶原は少し考えた挙句、行動に出た
「それじゃお詫びに…ちょっと痛い目にあってもらおうか」
そう言いながら梶原はナイフを構えるような手つきで左手を少年の頬に当てる
すると左手から、光の粒子を発光させ次の瞬間、折りたたみナイフを成形させた
(さぁ…どっちが抵抗するかな。ま、女の方なら嬉しいんだがな)
少年の頬にナイフを当てて、梶原はそう思った
【桜を送る廻間に接触。異能力を使い、どちらが異能者か試す】
41:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/25 20:47:29 0
>>23-24
本部の中を歩くとSF小説に出てくる秘密基地に居るような感覚に陥る。
まぁ、実際の所 秘密基地である事には変わりはないが、そこまでSFはしていない。
――格納庫前に来ると整備員達が数機の戦闘機の整備に追われていた。
メンテナンスを受けているのは『F-15』と呼ばれるアメリカの傑作戦闘機だ。
No.11が高い金を払って裏ルートで仕入れてきた物だ。
実戦配備から二十年が過ぎた今日でも未だ現役であり、数多くの戦果を残している。
名機という物は、数多くの派生機を生み出すのが常であり、
このF-15Eは外見的にはF-15B、F-15Dとの違いは見受けられないが、
制式採用にあたり機体を再設計し素材にチタニウムを多用した軽量化と構造強化を図った機体だ。
見た所、武装は右主翼前縁のM61A1 20mm機関砲と両翼下の2か所のAIM-9『サイドワインダー』、
胴体下面の4か所のミサイルランチに計4発のAIM-7『スパロー』で構成されるようだ。
個人的にはスパローよりもクラスター爆弾の方が対地制圧能力が高くて良いと思うのだが……。
武装が付いているだけでも善しとするべきだろうか。
幹部たる者、戦闘機の操縦くらい出来て当然だ。
そういえば昔、機関に敵対する馬鹿な連中の排除をしている時に操縦した事が在る。
――思い出した。籐堂院 神(しん)、あの男の組織に攻撃をした時だ。
まだ私は30とそこそこで、あの頃まだNo.6に昇格したばかりだった……。
因みに髪も短かった。全くの余談だが……。
――籐堂院 神。機関の創り上げた異能者の中でも完璧な完成度を誇る傑作品。
例えるならば異能者の中のF-15という奴だ。
しかしながら、藤堂院は機関を裏切り、あろう事か敵対組織を設立してしまった。
組織への背任、そして敵対……。奴は自分で自分の『落とし穴』を掘った。
結果、奴とその後継者である藤堂院 瑞穂は死亡、求心力を失った組織は急速に結束を失う。
これを好機と見た機関は総攻撃を仕掛け、レジスタンスどもは一人残らず消え去った……。
だが、藤堂院がF-15であると例えるならば、後継・派生を視野に入れるべきであろう。
もし仮に藤堂院瑞穂が生きていたならば――。
鼻で軽く笑い、嫌な考えを打ち消した。
――私は小村を待っている間、暫し思い出に耽った。
【レオーネ(二日目/22時):現在地 機関アジト(格納庫前)】
【藤堂院親子と過去に因縁が在るが、瑞穂が生きている事は知らない】
42:小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U
08/05/25 20:59:18 0
彼女は私が前線基地の隊長を疑わなかった・・・
まあ、疑われないからいいのだが・・ホントは幹部なのに・・
>「ありませんね。機関に対する敵意など」
彼女はこちらの質問にNOと答えた
>「取引ですか…? 内容にもよりますよ。
> 私が得られるメリットと、デメリットを説明してくださいね。
> それと、ここの部屋代は後で返してもらいますから」
その後、言葉を続けた
最後の言葉は少しずしっときた
ちっ・・・覚えていたか・・
まあ、機連送も直っていることだ 誰かに持ってこさせればいい
「じゃ、説明しますよ まずこれはこの町の異能者のリストです」
小村はリストをひらひら揺らしながら言った
「これにはこの町の異能者の名前、人相、住所、異能力、強さのランクまでそれは明確に
書いてあります まあ、ところどころ抜け落ちているようですけど・・・・」
小村は少し不機嫌な顔になる
「で、貴女にはこのリストの者をランクの低い順に殺して頂きたい」
小村は備え付けの冷蔵庫からワインを取り出し、グラスに注ぐ
「あなたのメリットは・・当分の食事の心配はないですよ
雑魚がイヤになったら、上級の異能者を何人か食べてもらっても構わない」
小村はワインを注いだグラスを揺らしつつ
「デメリットは機関の言いなりになることですが・・・そこまでこき使うわけじゃありませんよ」
ワインを飲みほす
「ん~、やはりワインは赤が一番ですね・・・・で、どうします?」
小村はワインを飲みつつ返事を待つ――
43:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/25 21:11:12 0
>>42
私が答えると、彼は取引の内容について説明し始めた。
「じゃ、説明しますよ まずこれはこの町の異能者のリストです」
異能者のリスト…それを私に見せるということは、なるほど。
「これにはこの町の異能者の名前、人相、住所、異能力、強さのランクまでそれは明確に
書いてあります まあ、ところどころ抜け落ちているようですけど・・・・」
機関の力を持ってしても完全な状態にはならなかった、か。
あるいは調査した段階よりも更に先に進化していた、という可能性もあるか。
「で、貴女にはこのリストの者をランクの低い順に殺して頂きたい」
低ランクの者から殺す。なるほど、上位の者を食われる前にどうでもいい餌を与えるつもりか。
……しかし、どうにも思い通りの展開になってきた。
「あなたのメリットは・・当分の食事の心配はないですよ
雑魚がイヤになったら、上級の異能者を何人か食べてもらっても構わない」
上級の相手も食べていい? ……不可解だ。そこまでサービスする必要があるのかどうか。
あるいは、それだけ私を評価している、ということでもあるか。
「デメリットは機関の言いなりになることですが・・・そこまでこき使うわけじゃありませんよ」
それだけではない。勝手に上級の異能者を殺せば契約違反となり、私が狙われる。
とはいえ、既に目を付けられている状態だ。それほど変わるまい。
「ん~、やはりワインは赤が一番ですね・・・・で、どうします?」
この取引…私が得られるのは異能者の情報か。是非もない。
この条件なら考えていたよりも上等だ。私の答えは決まっている。
「喜んで受けましょう。いえいえ、私も組織に対立するのは避けたいところだったんです。
私も個人で集団に勝てるとは思っていませんからね。いつかは集団の力を手に入れたいと思っていたんですよ。
――ああ、そうそう。今回の仕事が終った後も、たまに仕事を回してくださいませんか?
お金とかいりませんから、お願いします。……まあ、できたらでいいですけどね」
言いつつも、リストを渡すように促す。無論、彼が断るはずもない。
「それでは契約成立ということで。――ああ、それと一つ言っておきます。
神重敬という男ですが、覚醒の兆候がありました。
そのうち、機関が目を付けるレベルまで成長するでしょう。
その時は、貴方自身を囮に使えば確実に捕獲できると思いますよ」
リストを受け取り、部屋を出る。…最後に振り返り、一言残す。
「それと、机の上に私の携帯番号とアドレスをメモした紙を置いておきました。
何か連絡することがありましたら、使ってくださいね」
【アルト:結託。組織の力が欲しいなーと思っているらしい】
44:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/25 21:23:58 0
俺は桜と会話しながら帰り道を歩いていた。
ただし、桜が俺に引っ付きながらだが。ハッキリ言って照れくさいし歩きにくい。
心なしか桜の顔が紅くなってて、嬉しそうなのは気のせいか?
(ああもう。なんでこんな事に)
心の中で、現状についての文句をこぼす。
その時、目の前から人影が一つ歩いてくるのに気がついた。
(あー、人に見られちまったじゃんか。これじゃあ公認のカップルだよ)
思わず目を瞑り、開いているほうの手を頭へと持っていく。
歩く方面やスピードは、桜に委ねた…その時。
>「いって。ちょっと肩当たったんすけど」
ドシン、という音と共に俺の肩に微量の衝撃が走る。
どうやら向かいから歩いてきた人にぶつかってしまったらしい。
とりあえず、謝らないとな。非は目を瞑っていた俺にあるのだから。
「あぁ、すいませ…」
俺は頭を下げ、謝罪の意を表そうとした…のだが。
>「はぁ~…俺凄い傷ついたんだけど。ねぇねぇ、謝ってくれる?」
…今謝ろうとしただろうが。
どうやらコイツは、人の答えを聞かないで自分の意見のみ推しとおすヤツらしい。
答えは聞いてないってか?
それと、何故桜のほうを見てんだ。ぶつかったのは俺だろうが。
お前が見てるせいで、桜が怯えているじゃないか。
>「それじゃお詫びに…ちょっと痛い目にあってもらおうか
……
……あぁ、そうか。この男が桜を見ていた理由が。
それは、俺を言ったとおりにナイフで痛い目にあわせてこの場からいなくなさせること。
それが不可能ならば、俺を殺す。
そして、居なくなったか死んだかのどっちかを達成すれば、桜を犯すと…
それすべてを理解したとき、心の中を漆黒の心が支配した。
45:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/25 21:25:22 0
「そうだな…痛い目にはあわないとな…」
先ほどの表情とは一片、眉一つ動かず肩を竦めながら答えた。
その表情は、氷を思わせるような詰めたい表情だったに違いない。
「 ま ぁ 痛 い 目 に あ う の は お 前 だ け ど な 」
威圧するようにゆっくりと呟いた後、音速とほぼ同等の蹴りを男の腹へブチ込む。
蹴りを入れられた男は、衝撃に耐えられず吹き飛んだ。
男が持っていたナイフも一緒に吹き飛び、それが頬に当たっていたため頬が切り裂かれ、血がこぼれる。
俺は、冷静に血を袖で拭った。
蹴り飛ばされた男も只者では無いのか綺麗に受身を取り衝撃を減らす。
その異能者であろう男は思うようにいかないことで怒っているのか、その端正な顔が歪んでいる。
「……」
そんなことは関係ないとばかりに、俺は無言で両手に刀を形成した。今は満月、作り出せる刀の中で最大限に大きく、鋭い。
そして、その最大限に大きく鋭い刀を振り下ろした。
刹那、男の両腕がドサリと崩れ落ちる。
別に男自身を斬ったわけではない。俺は男の腕のある空間を斬り裂いた。
結果として空間と腕が下へとずれ、肘との繋がりが無くなり支える物が無くなった腕が崩れ落ちたというわけだ。
「俺はな……刃物を持った相手に負けるわけにはいかねェんだよ……特に、お前のようなヤツには尚更な……」
俺の中に渦巻く、漆黒の心。
それは俺に仇名すものに対しては、どこまでも冷徹に……そして、残酷になれる心。
師匠から教わった教えは、敵に対する慈悲の心などいらないという事。そのため、俺はこの漆黒の心を身につけた。
この心は、どうしても戦わなくてはいけない時や、情に流されそうになった時……そして、怒りが心を支配したときに、自動的に発動する。
俺の心の中にはこの男に対する慈悲の心は無い。怒りが心の中を支配しているのに、ひどく落ち着いている。
言ってみれば炎なのに、ひどく冷たいという矛盾した感情があるだけ。
俺は斬りおとした腕へと歩き、それを男へと蹴り飛ばす。
「場違いだからとっとと帰れ。その腕は…世の中思うようにいかないという事が分かった勉強代だ。
綺麗に斬りおとしたから、すぐ腕のいい医者にかかれば元に戻るだろ。
だが、もし…これ以上やるってんなら、その首も勉強代として頂くぜ?
お前は、俺にどう足掻いても勝てないっていう事の勉強代としてな」
喉元に刀を突きつけ、蔑むように男を見つめ俺は呟いた。
後ろの桜には刺激が強すぎるだろうが…まぁ、いい。戦国時代なんかじゃ普通に行われてたんだ。
アクション映画かスプラッタ映画でも見たと思ってくれ。
【廻間:梶原の両腕を斬りおとす。反撃してくるようなら首も切り落とす】
それと、修正。
「この男が桜を見ていた理由が」の後に「なんとなく分かった」を付け加えてください。
46:七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI
08/05/25 21:45:47 0
>31-32 >37
うら若き三人の会話から、彼らは漏れなく同じ高校に在籍していることが分かる
高校。七重はその言葉を聞いて、陰惨としたものを心に感じた
喧しい三人の横で、彼だけが、冥暗の記憶を噛み潰していた
>「間違っても襲うんじゃないぞ~?仮に了承を得たとしても野外で盛るなよ~?
あーっはははははははぐぁっ!?」
白黒青年の高笑いを、桜の拳が打ち抜く
大人しそうな外見に寄らず、大振りのアッパーカットである
果たして彼女は格闘技経験者なのか
洗脳とやらの後遺症で、腕の筋肉がどうかしてしまっただけなのか
得にもならぬ推測をしながら、崩れ落ちる青年を、七重は受け止める
いっそここで彼女に立ち合いを申し込むか、と考えた七重だが、
まさかそんな非常識を行うわけにもいかないので、
失神したらしい青年を寝かせつつ、初々しい二人が薬局を出るのを見送った
押入れから毛布を引っ張り出して、それを青年にかける
そして手持ち無沙汰に、さてな、と頬を掻く七重
国崎が帰るまで、何をして過ごすべきか
考えるまでもなかった。鍛錬であろう
薄っぺらい黒地のシャツを脱ぎ捨てる
次いで体を覆う包帯を引きちぎり、ごみ箱に突っ込む
外気に晒された七重の肉体の傷は、短時間にかなりの回復を見せていた
彼自身の代謝による生命力に、異能者独特の治癒能力が加わった結果である
ところが七重は、体内でそんな革命が起きているとは露知らず、
また、それを不思議とも思わない
単純な人間は、何につけても幸せ者である
庭に躍り出る七重。瑞々しく冷えた風が快い
目を瞑れば、学生時代の悪夢も、少女の拳撃を見た時の興奮も、自然と薄れる
前後に足を開いた七重は、瞼の中の闇へ向かって相対した
彼方より手刀が迫り来る。空気の分かつ感触
七重はそれにやんわりと手を添え、真綿で包むかのごとく受け流す
ほぼ我流ながらも、それは確かに、中国武術における『化勁』と呼ばれる技術
普段のケンカ殺法ではない、『武術』の動きであった
途切れることのない攻撃を、七重は捌き続ける
化勁。化勁。化勁。時折、肘撃ちでの迎撃を混ぜる
そんな延々とした連撃の後、テレフォン気味のアッパーが入った
桜少女の放ったそれと、まったく同じものである
七重はそれを見逃さない。素早く体勢を立て直し、半歩退いてかわす
彼の鼻先には、びりびりと凄まじいまでの衝撃が広がった
天に突き上げられた相手の拳
飛び込むようにして、両手で以ってそれを捕らえると、
着地様、半ば強引に捻り下ろす
突っ張っていたものが、がくり、と外れる手応えがあった
開眼する七重。その体勢は、初めの構えから微動だにしていない
今の立ち合いは、単なるイメージトレーニングであったのだ
が、その身体は、加熱された汗と湯気に覆われていた
手首を振るうと、まとわりつく水滴が発散された
七重にとって、これはウォームアップ程度のものである
構えなおす。わずかの後、正拳の咆哮が夜に木霊した
47:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/25 22:03:35 0
>>28 >>41
>「そうえばさっき金剛に会ったんだが、
>リンとかその他二名その場にいるやつを封印したらしいぞ。」
ツバサの言葉を思い出す。封印された? 城栄に?
城栄の奴、『バルカナの逆理』を使ったのか。確かにあれは数時間能力を封印する技だ。
ツバサもツバサであっけらかんと言い放ったものだ。
――ツバサ・ライマース。機関の世襲幹部で、No.2を代々受け継ぐライマース家の跡取り。
本来、No.2はNo.1を補佐しなければ成らないが、今のツバサには難しいだろう。
現在城栄の補佐を担当しているのは、No.3の長束だ。
老獪というべき戦略眼によって数多の作戦を成功に導いてきた。
これからもそうだろう。私としては、ツバサには早く一人前に成長して欲しいのだが……。
無論、異能者としてではなく人間としてである。
リンの能力が封印された事は好機と見るべきだろう。
何の障害も無く彼女を捕獲する事が出来る。
しかし、私の心には……。
煌神 リンの能力回復を待って、完全な状態で決着をつけるべきなのだろうか?
……いや、甘さは死に繋がる。この世界では常識の事だ。
――煌神 リン。彼女は何処までも私を悩ませる。
48:池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU
08/05/25 22:06:10 0
>>27>>30
人影は自分の存在に俺達が気付いたと見るや、
「話を聞いた」と言いながら物陰から姿を現した。
同時に街灯の光に今度は人影の主自身が照らし出され、その正体が明らかとなった。
その正体は外国人風の女。それも若い。見た目から二十代前半と言ったところだろう。
それはそうと、この女が持ち歩いているのは……剣ではないのだろうか。
異能力を感じることは出来ないが、城栄の名を出したこの女自身の言動から
察するに、十中八九異能者であろう。
女は刀を抜き、「自宅はどこか?」と訊ねた。いや、これは脅しと言った方が正しい。
無視しても良かったが、それを理由にあの刀でバッサリといかれてはあまりに
馬鹿馬鹿しい。俺は正直に、「ここだ」と答えるのだった。
>「では、一晩だけ泊めて貰えないだろうか?別にベッドは使わないし、
>貴方に迷惑をかけるつもりもない、因みにこれはお願いだ、断ってくれてもいい」
と言いつつも、女は突き出した刀を引こうとはしない。
俺は女の脅迫にも平然として、繭一つ動かさずに口を開いた。
「……本当に俺を殺す気があるなら、自宅を聞き出した時点でグサリとやっていたはずだ」
俺は突き出された刀を右手の甲でゆっくりと払い除けた。
「あんたを泊めてやってもいい。だが、こちらの出した条件を呑んでくれるなら、
ベットだけと言わずもっと良い寝床を提供してやるがな」
俺は「何?」と言いたげな女の反応を待たずして、条件を出した。
「条件は簡単だ。
あんたが家に居る間、俺の家に異能者が攻めてきたら俺の代わりに闘うこと。これだけだ」
条件を呑んでくれれば一晩だけだが「番犬」が出来上がる。
仮に呑んでくれなくとも、一晩この女に宿を貸すだけで、未だ握られている
剣を納めてくれるなら安いものだ。どちらに転んでも今の俺にはマイナスにならない。
俺は目線を女から逸らし、代わって山田と煌神 リンに目を向けた。
「お前らはどうする? 物のついでだ、今なら泊めてやる」
俺は右手親指を突き出し、800坪ほどあろう土地の中に構える二階建ての家を指した。
長束の屋敷とまではいかないが、その家は世間の人間にとっては十分といえるほど
大きなものであった。
【池上 燐介:条件を呑むか呑まないかを籐堂院に問う。条件を呑まなくとも泊めるつもり。
戦場ヶ原とリンにも泊まるかと訊ねる】
49: ◆KmVFX58O0o
08/05/25 22:13:29 0
>>44-45
ナイフを少年の頬に付けながら、梶原はニヤケが止まらなかった
少年と同行している少女は、梶原の嗜虐心をモロに煽るような大人しい少女だからだ
梶原の心は脅している少年ではなく、少年と歩いている少女に対する性的欲求に傾いていた。と
>「そうだな…痛い目にはあわないとな…」
脅していた少年が、無感情な音色でボソッと答えた
(やっぱコイツか…だが楽勝だな)
背丈は変わらないものの、梶原にはその少年の言葉は少女に向けての強がりにしか聞こえない
また、今までの戦績から梶原には根拠の無い、自らの強さに対する絶対的な自信があった
ナイフを少年の頬から離し、一気に攻め―
その瞬間、梶原の体にまるで鈍器で腹を殴られた様な痛みが広がる。一瞬頭が真っ白になる
だが頭よりも先に体が反応していた。梶原は瞬時に後ろ受身をして少年の追撃を逃れる
(バカな、バカなバカなバカな! 俺が…俺が攻撃を読めなかっただと!?)
梶原は今の状況を否認する。というかしたくて堪らない
こんな自分より年下の男に負けるなんてと梶原のプライドがそれを許さないのだ
(あ、慌てるな…俺の油断が招いたんだ、よし、よしよしよし!)
膝立ちしながらも、梶原は反撃する為に体勢を立て直す。そして少年の方を向き―
「え?」
梶原は目を白黒させた。両腕の感覚が途切れ―自分の両腕が傍らで転がっていた
50:国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI
08/05/25 22:21:43 0
「はは……何が趣味は料理だ……どうせ俺の力なんてこんなモンだ……」
薬局にある生活空間。俺を除いた全員が居間にいる中で、
俺は台所の隅で、俯き、延々と床に『の』の字を書いていた。
事の起こりは一時間程前に遡る。
俺が恋島、葦川と一緒に家(薬局)に戻ると、そこには七重が筋トレをし、
見知らぬ男がぶっ倒れているという何やらカオスな空間が広がっていた。
その光景を見た瞬間俺の脳裏には「襲撃」という二文字が浮かび、急いで倒れている男の
脈を確認してから七重に、一体何があったのか、廻間はどうしたのかと問い詰めていた。
急かして聞いたので断片的な回答しか返らなかったが、その結果、この男が客の様な
ものであり、洗脳されていた女子高生のアッパーで沈んだ事、
廻間は洗脳の解けた女子高生を連れて帰ったという情報を得ることが出来た。
俺は、女子高生の洗脳解除が不十分で、暴れた際に男性にアッパーが当たり、気絶したのだろうと
解釈し、一先ず安心したので、とりあえず客である二人に晩飯のカレーでも奢り、
七重にも食べながら現在の状況を説明しようと、全員分のカレーを装い
(今思えば、目まぐるしい状況変化で嗅覚が働いていなかったのだろう)
テーブルに出した自分の分のソレを、一口食べ――台所へ直行した。
いままでたべたことのないあじだった
不味いとかそういうレベルじゃない。
そう、あえて表現するなら、「むごい」。
こんな物は人間の食べ物じゃない。戦場で食べた枯れた木の根や
名前も知らない虫?だってもう少しマシな味だった。
一通りむごさを体験した俺は、台所の水を飲みながら考える。
誰だ、こんなこの世の終わりみたいな料理を作りやがったのは……
……俺じゃねぇか。
そうして、俺のプライドは砕けた。
長年自炊してきて料理の腕は上達し、かなりの物だと思っていた。
材料も調合も完璧、至高のカレーになる筈だった。
だが、結局はこのザマだ。俺の生きた年月なんてこんな物だ
カレーの味とショックとの相乗効果で、俺の精神はどんどん下降していった。
→冒頭へ
【国崎:店にいる全員にカレーを出した後、
カレーとの精神対決に敗北。一時的に精神力がC→Fに変動。
台所に引き篭もったので居間の会話は聞こえない】
51: ◆KmVFX58O0o
08/05/25 22:39:53 0
【>>49の続きです】
余りにも一瞬の出来事に、梶原の頭は対応できない。だが―痛覚だけは梶原の思考よりも早い
言葉にならない激痛が、梶原を襲う。叫ぼうにも痛みの方が増しており声が出ない
少年はゆっくりと梶原に近づいていく
(どどどうする? い、嫌だ、死、死ぬ、俺はこのままじゃ、し、死ぬ!)
先程よりも意識が元に戻ったせいで、痛みと恐怖感がより鮮明になった
今まで死の窮地に立ったことが無く、常に弱者を思うようにいたぶってきた梶原にとって、今の状況は屈辱でしかない
だがここで今、梶原は確実に自らの『死』が近づく恐怖を実感していた
>「俺はな……刃物を持った相手に負けるわけにはいかねェんだよ……特に、お前のようなヤツには尚更な……」
少年がそう呟きながら、転がっている両腕を屈んでいる梶原へと蹴り飛ばす
目の前の両腕を見て、梶原の中の『死』のイメージが具体的になっていく
逃げようにも両足は地面にくっついたかのように動かない
すると少年の気配がぐっと、梶原に近づいた。その気配に怖じ気、梶原は思わず顔を上げる
>「場違いだからとっとと帰れ。その腕は…世の中思うようにいかないという事が分かった勉強代だ。
綺麗に斬りおとしたから、すぐ腕のいい医者にかかれば元に戻るだろ。
だが、もし…これ以上やるってんなら、その首も勉強代として頂くぜ?
お前は、俺にどう足掻いても勝てないっていう事の勉強代としてな」
少年が梶原の首筋に今まで見た事も無い大きな刃物を突きつけ、そう言い放った
ここで梶原に、たった一つ、助かる方法が浮かぶ。だがそれをやると確実に『機関』での地位が落ちてしまう
だが今ココで下手に抵抗すれば、確実に待っているのは『死』だ
(…嫌だ、俺は、俺は、死、死にたくないぃぃぃ!!)
「テ…手前ら!出てこい!!」
梶原がそう叫んだ瞬間、闇夜からまるで機動隊の如く武装した男達が複数現れた
「こ…このガキどもをぶっ殺せ!遠慮するんじゃねーぞ!」
少年は驚き、梶原に剣を構えたまま瞬時に後方に下がり少女を守るように剣を構えた
男達の中の一人が梶原をお姫様だっこをし、もう一人が転がっている両腕を回収する
その二人が闇夜に瞬く間に消える中、他の男達が少年と少女を囲んだ
【梶原:虐殺部隊を使い戦線離脱。虐殺部隊に廻間を任す】
52:戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg
08/05/25 22:46:35 O
戦場ヶ原が昔話を聞き終えると、池上は嫌味混じりの冷めた感想を漏らし、リンは何かを考えるように押し黙ってしまった。
こんな子供にする話ではなかったか…?
戦場ヶ原の脳裏をよぎる彼らしくない思案。
これからのことをどうするかに議題が移ろうとしたその時、池上の視線の先に新たな闖入者が現れた。
(あの時のカタナ女……?…いや、別人か。)
戦場ヶ原は昨夜の工事現場での死闘を思い出す。
それもそうだ。目の前に現れた闖入者は、長い髪をたなびかせ、立派な長物を携えた美女だったからだ。
しかし、彼女は戦場ヶ原が戦った女剣士よりもいくぶんか大人びて、落ち着いてこちらに話を持ち掛けてきた。
こちらが能力を封じられたことを知ってか、その態度は戦場ヶ原の目には傲顔に映った。
(こいつ……っ!)
女の態度に苛立った戦場ヶ原がつかみ掛かろうとするのを、傍らのリンが静かに諌めた。
能力が封じられた上に、その身体は池上と金剛によってボロボロにされているのだ。
今はいかなる戦闘も避けるべき。
その不動の結論が、彼をより苛立たせた。
池上と女の話を聞くに、どうやらその女に害意はなく、今晩泊まる宿がないため家に泊めて欲しいとのことだった。
「…ケッ、宿無しが。」
ふて腐れた子供のように戦場ヶ原は嫌味を漏らす。
それを聞いたのか、若干女がこちらを睨んだようにも見えた。
池上はその女の頼みを、彼女をボディガードとすることで承諾した。
なるほど、彼らしい合理的な結論だ。
さらに彼は、戦場ヶ原達まで泊めてくれると言う。
「…ふざけるな。たった今殺し合いをした敵の家になど上がれるかよ。」
戦場ヶ原は不機嫌そうに池上に言い捨てたものの、戦場ヶ原の住むアパートはここから徒歩で1時間はかかる。
こんな無防備な状態でそんな距離を移動することなど出来ないし、リンのこともまた心配であった。
「チッ…まぁ、リンの奴が泊まりたいと言うのなら話は別だがな。」
バツの悪そうに跡付けで言う戦場ヶ原の姿は、素直になれない男子中学生のようでちょっと滑稽だった。
53:煌神 リン ◆7Q1qJNYWx.
08/05/25 23:03:49 0
物陰から出てきた人物はいきなり池上さんを脅し始めた。
その前には天さんが切れかけるし
まぁ自分には関係ないが、それよりもこの女性が、持っている剣
異能を封印されていてもわかる、何かの力を持つ剣しかしその力がなんなのかわからなかった。
まぁまたまた自分たちをスルーして話が進むわけだが、一体何を話しているんだか、泊めろとか条件とか。
池上さんが条件を女性に出して、答えを聞く前に私たちのほうを向き私たちにも聞く。
正直どうしようかと思った、今は異能を封印されているわけなので今この状況で襲われてはどうにもならないだろう。
この人と一緒に泊まれば、この人を囮にする事もできるだろう。
…何か忘れている気がする、そうだ…異能が封印された?ちょっと待って…異能が…封印?
つまりそれってもしかして…
通常私の能力は使うたびに外見年齢が下がっていく。
こう、見えても私は高校生だ。高校にも一応通っている。唯能高校というが今はいいだろう。
しかしその能力は、今自分の中にいる【神】と自称するものから貰ったものだ。
でもそれは契約、契約が切れる、または一時中断でもすれば体が元に戻る…
つまりいま、私の体は…
「や、やば!天さん!池上さんあっち向いてください!」
無理やり天さんと池上さんをあちらに向けるとすぐに体に異変を感じる。
やっぱり…!そんな考えが頭をよぎる。
懐からすぐに、マント的な上着を出すと服を脱ぎ体にはおる
羽織ってちょうど、体が、元の姿に戻っていた…
髪の毛が伸びて、身長も伸びる。
「はぁ…もういいですよ」
声も少し変わっていたが、池上さんも天さんも姿が変わった私を見て驚いているようだった。
傍らでずっと見ていた女性は言うまでもなく驚いていたし。
「はぁ、できれば泊めてほしいです池上さん」
私は申し訳なさそうに頼んだ
【リンが元の姿に戻る】
【泊めてほしいと池上におねがいする、戦場ヶ原の話はまったく聞いていなかった】
54:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/25 23:34:46 0
刀を突きつけたまま、俺は返答を待つ。
しかし、返答一つで首を刎ねるか刎ねないか決まってしまう。
そう簡単に決められるわけはないだろう…
>「テ…手前ら!出てこい!!」
テメエら……?そうか、この男……味方を呼んだのか。
男の声に答えるように、複数の武装した人間が闇夜から現れ俺と桜を囲む。
武装した人間が出てきたのを確認すると、男は一人の武装した人間に抱えられすたこらと逃げ去った。
不味いな、桜は今俺がそばにいない。つまり、守るべき人間がそばにいないと言うことになる。
…こんな姿を見せたせいで俺に怯えているかもしれないが、今桜を守れるのは俺しかいない。
俺は、刀を構えたまま桜の元へと戻る。
思ったとおり、桜は俺に怯えている。先ほど俺を見ていた視線とは違うものが感じられた。
「……大丈夫」
俺は、右手の刀を解除し桜の頭の上にポンと手を乗せる。
桜は俺の行動が意外だったのか、キョトンとした顔をしていた。
「お前は、俺が守る。絶対にだ…指一本触れさせやしない」
少しの静寂の後、桜が無言で頷き了承の意を示した。
桜の中にある、俺に対する恐怖心が消えたかは確認する暇は無い。
俺は守るように右手で桜を抱き寄せる。
普段の俺なら絶対にしない行動だが、今の俺の心の中は漆黒の心が支配している。
そのため、今の俺は桜に対して性的な感情を感じる事は全くといっていいほどなかった。
(……さて、どうする?)
敵は複数、こちらは一人。
作戦内容は、桜を守るという防衛戦。先ほど俺が言ったとおり、桜に指一本触れさせるわけには行かない。
先ずは、この包囲網を突破するのが先か。この包囲網を突破すれば、後は俺のスピードを活かし個別撃破を行える。
しかし…俺一人、しかも桜を抱えたまま包囲網を突破できるのか?
味方が一人いれば、一人が桜を守り一人が敵を殲滅するという作戦をとれるんだけどな。
ぼやいても仕方ない、とにかくやるしかないか……!
【廻間:現れた虐殺部隊から桜を守り抜く。梶原は必然的に見逃す形になる】
55:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/25 23:35:44 0
しまった。安価を付け忘れた。
>>54は>>51宛てです。
56:恋島達哉 ◆KmVFX58O0o
08/05/26 00:00:07 0
>>50
どうにか変な奴が出てくることも無く、無事に国崎薬局とやらに着いた
もし立方体女子高生みたいな連中が出てきたら、俺は間違いなく死んでたね。ほっとした途端背中が痛む
薬局の名に相応しく、様々な薬が置かれていた。個人経営かは知らないが、これはすげーよ、国崎…さん。一応
けっこう店内が広いらしく、俺と葦川さんは国崎さんに奥の居間に来るよう言われた
俺としては買う物を買って薬局を出たかったが、どうも誘いを断ると悪い気がしたので、ほいほい乗る事にした
のだが…俺の目の前には国崎さんと立方体(省略)との戦いよりかはマシだが、幾分変な光景が広がっていた
畳に仰向けになって伸びてる…染めてるのか面白い髪の色の学生と、ガタイのいい男がこちらを気にせず黙々と筋トレをしている
国崎さんが倒れている学生の脈を調べたが、呆れたように立ち上がると、俺達に先に居間に行ってくれと伝えた
あちらにはあちらの事情があるのだろう。俺と葦川さんはその何とも言いがたい空間から抜け、居間に向かった
二人で待っていると、畳で伸びていた学生と、ガタイの良い男が居間にやってきた。学生の方は首を捻りながら苦い表情を浮かべた
なんでだろうか、俺は妙に学生にシンパシーを感じる。他人の気がしない
しばらくすると、国崎さんが大きなお盆に5人分の白い皿に盛り付けたカレーを運んできた
…なんだろう、耳鳴りがしないのに物凄い危険な気がする。いや、落ち着け。あんな状況からココまでやってきたんだ
脳みそがアドレナリンを放出させまくってるからどうでも良いことでも危険な気がするんだ
…こんな自問自答してる時点で落ち着いてないわな。俺は国崎さんに置かれた目の前のカレーを見つめ、スプーンを手に取った
「…頂きます」
俺は小さくご飯に感謝して、カレーを掬い口に運んだ
うん…うむ・・・ふーむ…
うん、普通に美味い。だが間違いない。これはゲテモノ料理の一種だ
だがこの程度、大学時代のジリ貧でティッシュ丼や野草のお好み焼きやソースだけご飯を食してきた俺には何ら問題は無い
けど俺の周辺の人達はやはり普通じゃいられなかったみたいだ。葦川さんはスプーンが止まっており、学生はカレーを見たまま固まっている
あの国崎さんですら、カレーを食べた後直行で居間から出て行った。あの国崎さんを引かせるとはどんだけー。俺は普通だけど
ふと、筋トレの時のように、黙々とカレーを食べているガタイの良い男が目に留まった。…俺なみに舌が狂ってるのだろうか
カレーのせいか場の空気がなんとなく重い雰囲気に包まれている。…はぁ。何だかなぁ
俺は何となく興味本位から、カレーを食しているガタイの良い男に話しかけてみた
「…このカレーって、美味いけどぶっちゃけゲテモノだよな」
…何だ、その鋭い日本刀みたいな眼光
【国崎薬局に到着。居間でカレーを食べながら、七重に話しかける】
57:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/05/26 00:19:59 0
>>30
「……本当に俺を殺す気があるなら、自宅を聞き出した時点でグサリとやっていたはずだ」
そう言い、青年は私の刀を右手で払いのける、実に冷静でつまらない反応だ。
「あんたを泊めてやってもいい。だが、こちらの出した条件を呑んでくれるなら、
ベッドだけと言わずもっと良い寝床を提供してやるがな」
この状況で条件を出してくるとは、この青年はよほど神経が図太いのか、それとも私が危害を加えるつもりがないことを分かっているのか。
突拍子もないことだったら少し制裁してやろう。
「条件は簡単だ。
あんたが家に居る間、俺の家に異能者が攻めてきたら俺の代わりに闘うこと。これだけだ」
私はこんな事言われなくとも元々その気だった、というか能力を失っているみたいなので助けてやろうと思ったから、そもそも話しかけたのである。
しかし、これでは残りの二人が少し危険だ、何とかして誘えないものか、などと考えていると
「お前らはどうする? 物のついでだ、今なら泊めてやる」
なんて空気の読める男だ、自分以外の人間に興味がないみたいな雰囲気だった青年がまさかこんな事を言うとは。
「…ふざけるな。たった今殺し合いをした敵の家になど上がれるかよ。」
着物を着た青年が不機嫌そうに言い捨てる、話の分からない奴だな、痛い目を見せてやろうか?
「チッ…まぁ、リンの奴が泊まりたいと言うのなら話は別だがな。」
先ほどからの言動からして、血も涙もない戦闘狂かと思ったがそうではないらしい、面白い青年だな。
「や、やば!天さん!池上さんあっち向いてください!」
唐突に少女が声を上げ、二人の青年の顔を彼方の方向に向け、マントのような物を羽織る。
すると、少女の体は急激に成長し、小学生から女子高生くらいの容姿になった。
「はぁ…もういいですよ」
「はぁ、できれば泊めてほしいです池上さん」
これがあの少女の能力か?
いや、違う能力は封印されているはず、とすれば封印されたから変化したと考える方が自然だ。
変身?それとも能力のコスト?分からない事だらけだが、今は池上と呼ばれた青年に返事をする方が先だろう。
「ハハハハハハハ、面白れぇ、実に面白い奴らだな、能力が使えない状態で俺達に条件を出してくる図太い奴に、人の事を家無しとか言うくせにロリコンの奴と
いきなり成長する女とは、よくここまで面白い奴らが集まれたな、ハハハハハハハ」
師匠はいつもいきなり喋り出す、面倒なことになるのだから、喋る前に確認を取って欲しい。
当然、場の雰囲気は凍った、少女は成長するし、刀が爆笑し出したのだ、普通は戸惑うだろうな。
しかし、桐北とは違い状況を勝手に理解してくれそうな面子なのであえて説明はしない。
「コホン・・・・・・その、池上でよろしいかな?その条件乗りますよ」
私は刀を素早く振り、池上の頬に小さな切り傷を作る。
避けられたら恥ずかしかったが、池上の能力は身体能力増加系の能力ではないようで、私の斬撃には反応出来なかったようだ
「この通り、使えないことは無いと思います、私は籐堂院瑞穂、一日ですが宜しく願います」
そう言い、小さくお辞儀をして刀を鞘にしまうと、私は池上に握手を求めた