08/05/31 00:48:29 0
>>159,155,144
>「美味しかったわ。じゃ、お先にお休み」
>「すみません、やっぱ悪いですよ。泊めて頂けるだけ十分ありがたいです。お気持ちだけ」
と言いつつ横になった二人は、やがて寝息を立て始めた。
随分と寝つきがいいのは、今日あんな事があったからだろう。
睡眠は、身体が疲れたときだけでなく、精神の疲労でも要求される。
ましてやその両方ともなれば、言わずもがなだ。
俺はそんな彼等の様子に少し表情を緩め、コップに入れた二杯目の酒を一気に煽ってから、
押入れから毛布を二枚取り出して、それを寝ている二人の上にかけてやった。
そうして、この場で起きているであろう最後の一人の方に目を向ける。
>「――国崎さん、だよな?ちょっと二人で話したい事があるんだが…」
男は、目を合わせるととそのように話しかけてきた。
この状況での質問だ。内容の予測は幾つか立てられるが、例えその予測が当たったとしても、
俺は、俺の意思。即ち、出来うる限り一般人であろうとする考えを折るつもりは無い。
「そいつは別に構わねぇが、なるべく早く済ませろよ?
この店、明日も通常営業だからな。夜更かしで閉店とあっちゃ社会人失格だ」
軽い調子でそう返してから、三杯目の酒が入ったコップを右手に持つ。
そしてそのまま庭に面した縁側に移動し、男にもそこに座るよう促した。
縁側は風が流れており、幾分中より涼しかった。
自分で設置したいくつもの監視装置や罠の存在は気になるものの、それも十分に隠蔽してあるので
そこまで風雅を壊してはいない……と思う。
俺は、男の行動を目で追うでもなく、すっかり暗くなった庭と浮かぶ満月に視線を向けながら問う。
「……で、何の様だ? 匿名希望のボウズ。ちなみに性の悩みなら聞かねぇぞ」
【国崎:質問に対応。酔いは0】
161:小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U
08/05/31 01:08:11 0
―――チュンチュン
目が覚めるとホテルの窓からスズメが朝を告げていた
「・・・・ん?・・寝てしましたか」
小村は椅子に座ったまま寝ていた、空になったグラスが目覚めとともに床に落ちた
「やはり体力不足でしょうか、それとも酒癖が悪いのか・・」
自分のこめかみに親指を当てて、昨夜のことを思い出そうとした
確かアルトにリストを渡したあと、アルトにレオと手を組めと指示を出し
金剛の野郎にレオへの伝言を頼んだのだ
・・・・あの野郎とはあまり話したくなかったがこれも『あの時』の条件の一つだった
グゥ~~――
小村の腹が鳴る そういえば昨日はワインしか飲んでない
しかし機関ではいろいろな技術を身につけた
その気になれば130時間ぐらいは飲まず食わずでも平気だった
が、食欲は三大意欲の一つだ 欲しく思うのは人として仕方が無い
「さて、ここも出ましょうか」
一般人にこの場所がバレているのだ 長居は無用だ
問題は・・・
「金・・・ですか」
どうするか・・そう思いつつ小村は自前のアタッシュケースを持って部屋を出る
フロントに行くと例のホテルマンがこっちを睨み近づく
そういえば昨夜は働いてる途中で抜け出したからか
その説教だろうか そう思っていたが・・
「あ、あなた大丈夫ですか?いや、昨日は驚きました だってあなたが
ビルの崩壊に巻き込まれたといって背負われてきのですもの」
・・・・どうやら根はやさしい人間のようだ
「なら、ホテルd・・」
「でも宿泊費は払ってもらいますよ」
あ、そう
仕方が無い、この手は使いたくなかったが
「わかっています 確かこれぐらいでしたか」
小村はエネルギーでお札を作り出す・・・まあ一定時間で消えてしまうから後で
必ずバレるのだが・・・それを、万札の束をホテルマンの手に乗せる
「え!!・・・・いや・・・こんなに・・・」
「釣りはいりませんよ まあ私がこのホテルにかけた迷惑代にでもとっておいてください」
小村は去っていく その後ホテルマンが驚愕の声をあげたのは言うまでもない
162:小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U
08/05/31 01:08:58 0
小村は駐車場に止めていた車に乗り込む
「さて・・・・どこにいくとするか・・」
ぼ~っと考え出す
「あ・・・・そういえば 機連送をチェックしてませんね」
機連送を見るとメールには幹部が数名市入りをした事と虐殺部隊が投入された事を知らせがあった
「・・・・おかしい」
小村は即そう思った
機関は世界規模の組織だその人員も半端ないそしてそれらを掌握、指示、把握するのが幹部だ
その幹部をこんな、日本の田舎町にこうも何人も幹部を集めるとは・・・おかしい
よほど大事なことか・・・それとも何かべつの・・
「まあいい、今度金剛に出会ったときにでも尋ねますか まあ、教えてもらえないでしょうが」
そういい機連送をしまう
・・・・そうだ
小村は何か思い立ち、車を走らせた
キッ――
車を止め、小村が歩き出すしばらくするとまだ立てたばかりであろうテントが見える
テントの裏側から表側に回る
「それで、何味がいいですか? 醤油と味噌と豚骨と、あとは塩ぐらいしかありませんが」
「私は塩が好きですね」
アルトの問いに勝手に答えた
アルトはこちらを振り向くその顔は驚いているのかいないのか・・・
「私も分けていただけないでしょうか実は朝ごはんがまだでして、ん」
小村は顔を横に向ける、そこには下は裸であろう毛布を被ったレオがいた
「・・・・あ~、もしやお楽しみ後でしたか?これは邪魔してすみませんね
私はこのまま去りましょうか?ねえ、レオさん」
【3日目の朝突入】
【アルト、レオーネに接触】
【変な勘違いをしてる(分かってしている)】
163: ◆P1wJYx92Ts
08/05/31 01:26:36 O
>>92
眉間に向かう音、美弥子は頭を数センチさげかわそうとした。
「違うっ!」
まず身体が反応した。何に反応したかは自分でもわからないとにかくそれは危険と感じた瞬間に美弥子は床を蹴っていた。
「なかなか勘のよいご婦人でござる」
この男はかなりタチの悪い性格だと改めて認識した。彼の放っていた指弾は二種類、音を出す弾と出さない弾。
音を頼りに回避を続けさせ頃合いをみて音の影に無音を放つ。聴覚に意識を集中していてはまともに無音をくらいかねない。厄介な男だ。
美弥子に余裕はなくなった。右足には鉄の弾が食い込んでいる。傷は浅いが踏ん張りがきかない。
「ならばっ!」
美弥子は御剣に悟られぬよう新たな武器を取りだそうとした。
「何かしたでござるか」
美弥子の能力は途中でかき消えた。能力は発動しているがこの世界への干渉ができない。
中和能力―
異能力者の天敵、中和能力者。異能力者と言っても能力を使えなければ普通の人間と同じである。いや、異能力に頼りきっているものは並み以下の人間にすらなる。
「お屋敷を傷つけるのは気が進みませんが…大地斬!」
美弥子は上半身と左足の力で大鎌を床に叩きつけた。
床の大理石が砕けその破片が御剣を襲った。反撃を予測していなかった御剣はそれをまともに食らった。
164:戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg
08/05/31 01:51:05 0
>>140
堂々と池上の家を出たものの、行くあてもなく戦場ヶ原はしばし同じ場所をぐるぐる歩く。
1区画を3周ほどしたところで、戦場ヶ原が行き場所に悩んでいることを悟ったリンは、ぽつりと要求を口にした。
「行くところが決まっていないなら、私お風呂に行きたいんだけど…」
戦場ヶ原は少女のおねだりを見て納得する。
ガス代水道代が足りず、3日に一遍風呂に入っている自分はともかくとして、確かにこんな女の子にまで自分と
同じ状態にさせるのはさすがの彼も気が引けた。
路銀に余裕はなかったが、風呂屋に寄るぐらいの見栄を張るだけの資金はあった。
「…仕方ねぇ。あそこの風呂屋にでも行くぞ。」
戦場ヶ原が指さした方向には、昔ながらの煙突作りの『美府温泉』と書かれた銭湯がずんとたたずんでいた。
休憩所がありそこで食事や仮眠もとれる、近頃温泉を人工的に掘り出して客足を集めているいわゆるスーパー銭湯というやつだ。
さすがに一般人がわらわらといる風呂屋で襲撃はないだろう、そういった彼なりの思惑もあった。
能力が使えない今、向こう側も自分たちを捕捉するのは難しいはずだ。
気を隠すなら森の中、という具合だ。
【戦場ヶ原:リンを連れて、国崎薬局近くの大型風呂屋『美府(ビップ)温泉』へ入る。】
165:七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI
08/05/31 02:17:35 0
>133
ガタイに似合わず、就寝時の七重は非常に静かである
ややともすると、生娘の寝息とも聞き紛うほどだ
これは少年時に受けた躾が功を奏しているためであり、
もし彼が普通の家庭で育っていたとすれば、
夜中に騒音を巻き散らす機械に成ったことは間違いない
もっとも、いびきを全くかかなくなった代わりに、
寝相が著しく発達したことには、閉口せざるを得ない
静寂に沈く寝室には、僅かな音もよく響く
先ほどから七重の頭上には、小さな真紅がはたはたと舞っていた
その羽音は、室内で柔らかく弾けて、心地良い空気を醸造させている
しばし回旋していた紅は、緩やかに滑空を始め、
七重の首筋へと近づいていった
ぱっ、と布団が跳ね除けられた
舞い上がる白布の下では、七重が片膝をつき、右腕を掲げている
紅い浮遊物は、動揺したかのように、その場で戸惑う
鋭く振るわれた影が、窓から刺す月光を切る
巻き起こる風。その背後で、布団が軽く吹き飛ばされて着地した
七重の拳は、畳を貫く寸前で止められており、衝撃が轟くことは全くなかった
真紅は片翼を千切られ、おそらくはかつての侵入経路であろう、
小さな窓の隙間から逃げ出して行った
しかして、一瞬の嵐の後、再び静けさだけが残る
睡眠状態から放たれた、全く無自覚の拳撃
その発動は、覚醒時におけるそれに対し、あらゆる面で一線を画す
無意識下における、ひいては、無欲からの攻撃と言うのは、武人の目指す極地なのだ
一体どんな、どのような拳で。否、果たして拳の形を保っているのか
期待とも、戦慄ともつかない感情を抱きながら、七重は己の右手と見えた
拳の究極形。のはずである。しかしそれは、何の変哲もない、普通の正拳であった
若輩の七重は、まだまだ達人の域には達せられないらしい
うなだれつつも、七重は布団を引っ被って、今一度眠りに就いた
結局、窓が隙間を空けていることに気付かなかったのは、残念の至りである
【神重から放たれた蝙蝠を撃退】
【二日目終了】
166:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/31 07:07:52 0
>>162
どの味にするかを訪ねた途端、
「私は塩が好きですね」
背後から、どこかで聞いた声がした。
「私も分けていただけないでしょうか実は朝ごはんがまだでして、ん」
振り向いてみると、そこにいたのは上野恭平さんだった。
しかし、その表情は――
「・・・・あ~、もしやお楽しみ後でしたか?これは邪魔してすみませんね
私はこのまま去りましょうか?ねえ、レオさん」
明らかに楽しんでいる。だがまあ、気持ちは分かる。
こんな状況を見たら、からかわずにはいられないだろう。
しかし、
「失礼なことを仰らないでくれませんか。
ロンバルディーニさんは私の趣味じゃない、どころか嫌いな分類の人間です。
乙女心が傷つきました。――とか、いえる歳じゃあないんですけどね」
ともかく塩味か。ロンバルディーニからのリクエストがない以上、先にそっちだ。
えぇと… どこにやったっけかな。ああ、あった。
「それでは少し待ってくださいね。――コーヒーも用意してありますので、どうぞ」
紙コップにそそいで差し出す。しかしまあ、合流する手間が省けてよかった。
【アルト:インスタント朝食】
【小村のことを上野恭平だと思っている】
167:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/05/31 10:42:29 0
>>162 >>166
テントを出るとハーケンが何やら自炊の準備をしている所だった。
ハーケンが居るという事は、このテントは彼女の物か。
となれば、彼女が私をここまで連れてきたのだろう。
道理で、私と一緒に『私と私の世界』をくらった筈の彼女が、衣服を身に着けている訳だ。
作っている物はインスタント食品のようだ、原理は不明だが火を使わず湯を沸かしている。
これも彼女の能力の一環だろうか、便利な物だ。
>「それで、何味がいいですか? 醤油と味噌と豚骨と、あとは塩ぐらいしかありませんが」
しかし、インスタントとはな……。あの化学製品を食べるつもりか?
かと言って、空腹なのは確かだ。だが、化学製品を食べる気は毛頭無い。
彼女の手には出来上がった味噌味のインスタント麺が握られている。
空腹なので、普段見向きをしないような食べ物に目が行ってしまう。
…いや、待て待て。落ち着け、深呼吸だ。
食欲と理性のせめぎ合いをしていると、車のブレーキ音が聞こえた。
足音は真っ直ぐこちらへ向ってきている。…敵か?
今の私は迷宮化の影響でまともに戦えん。だが、敵であるならばやるしかない。
>「・・・・あ~、もしやお楽しみ後でしたか?これは邪魔してすみませんね
> 私はこのまま去りましょうか?ねえ、レオさん」
横を向くと、小村禅夜がニヤニヤしてこちらを見ていた。
……コイツ、解っていてやっているな。私の小村に対する評価が少し下がった。
>「失礼なことを仰らないでくれませんか。
> ロンバルディーニさんは私の趣味じゃない、どころか嫌いな分類の人間です。
> 乙女心が傷つきました。――とか、いえる歳じゃあないんですけどね」
売り言葉に買い言葉とはまさにこの事だ。小村もそうだがハーケンも"イイ性格"をしている。
まぁ、私にはどうでも良い事だが。
手のジェスチャーで食事を断ると、ハーケンに問いかけた。
「……君が私をここまで? 重くは無かったのか?
礼を言おう。すまなかった。
…出来れば包帯を貰えると嬉しいのだが」
女手で一つで80kg近い自分を運んで来た事は素直に賞賛に値するし、礼も言うべきでもあろう。
「――それにしても良い所にきた。
すまないが、機連送を貸してくれないか」
横の小村に話しかける。彼ならば『機連送』を持っているであろう。
まずは機関に連絡を入れる事が先決だ。
城栄の事だ、私がリンの確保に失敗した事はもう既に知っていると思うし、次の手を打っている筈だ。
あの一件については心配ない。問題は籐堂院親子が生きているという事だ。
その事を城栄に報告しなければ……。腕の治療はその後で良い。
>「それでは少し待ってくださいね。――コーヒーも用意してありますので、どうぞ」
「私もコーヒーを頂けないだろうか?」
コーヒーが在るなら先に言って欲しい物だ。
――朝の肌寒さが余計にコーヒーを恋しくさせた。
【レオーネ:現在三日目 朝】
【右腕が折れている。アルトの朝食を断った】
168:文月宗太 ◆XzQQgkPzlg
08/05/31 11:04:36 O
雪が降っていた。
「絢音、絢音……絢音!」
少年が、地に倒れ伏した少女の身体を揺さぶり続けている。
少女の身体のどこにも外傷はなく、安らかな顔で静かに息をしていた。
しかし、少女は動かない。まるで死んでいるかのように。
少年は何故少女がそんな状態になってしまったのかを知っていたし、いくら揺すっても、もう無駄だということも分かっていた。
それでも少年は、無駄な努力を止める気配はない。
悔しかった。自分に戦う力があれば、少女を救うことが出来たかもしれない。
傍にいながら、悩みに気付いていながら何もしてやれなかった自分には、泣く権利すらない。
少年に出来るのは、少女に死を選ばせたあの男を恨むことだけだった。
「矢…多……」
呪詛のように、ぽつりと呟く。それは呼び慣れた、クラスメートの名前。
「矢多ああぁぁぁ!!」
そこで文月はようやく目を覚ました。
自分の部屋に敷かれた布団の上に、彼は横たわっていた。
着ていた服は丁寧たたまれ、枕元に置いてある。愛用の大剣─神威─も、一挙動で手に取れる位置に置かれていた。
上半身を起こしたところで、文月は奇妙な違和感を覚えた。
「……ん?なんでだ?」昨夜、自分は怪我をしたはずだ。しかし、今の自分はどこにも怪我をしていない。
と言うより、どうやって自分の部屋まで帰って来たんだろうか?
一体どういうことだ?考え込もうとしたその時。「目を覚ましたようだな」
障子を開けて、如月が部屋へと入ってきた。
「おう、千歳か。なんで俺、自分の部屋にいるんだ?」
「倒れていた所を、私が助けてやったんだ。あまり世話をかけさせるな…全く……」
「ああ、すまねぇな。それと、なんで怪我が治ってるんだ?まさかお前……」
「いや、私はまだそこまで力を使えるワケではない」
如月の異能者としての力は、ある異能者から託されたもので、その異能者は風を操るのみならず、他者の傷を癒やす力を持っていた。
だが如月はまだそこまでの力を使うことは出来ず、風を操るのが精一杯であった。
「うーん…じゃあ一体誰が…?」
「理事長だ……」
如月が呟いた。その顔には何か複雑なものが潜んでいるようにも見える。「そうか。理事長が治してくれたのか」
如月とは対称的に、妙に嬉しそうな顔をする文月。
その時、如月の心に何かが去来した。それが何なのかは、本人にも分からなかったが。
「…理事長が待っているぞ」
自分の心の揺らぎを隠すように、抑揚のない声で如月は文月に告げると、部屋を後にした。
去っていく如月の背中を見て、何も感じないほど鈍感ではない文月だが、何故か声を掛けるのは躊躇われた。
【これからの流れで、どこに行くか決めます】
169:煌神 リン ◆7Q1qJNYWx.
08/05/31 14:30:44 0
「銭湯?それにしても変な名前ですね~」
戦場ヶ原が指した銭湯を見ながら呟く、何にしても久し振りの風呂だから喜んでいた。
戦場ヶ原がすたすたと歩いていく。
それをリンは慌てて追いかけた。
『それにしても大丈夫なのか?お前一人で髪洗えたっけ?』
裏がいちいち痛い所をついてくるそうなのだ、リンはお嬢様育ちでいつもお風呂は使用人任せだ。
「あなたにしてもらいますから」
裏に変わって髪を洗えばいい。
「へ~銭湯ってこんな風になってるんですか~」
『これはスーパー銭湯だぞ?』
どっちでも一緒ですと答えて戦場ヶ原に話し掛ける。
「これはどうやってはいるんですか?」
【戦場ヶ原とともにスーパー銭湯の中に入る、はじめてきたようだ】
170:煌神 リン ◆7Q1qJNYWx.
08/05/31 14:32:19 0
安価付け忘れ
>>164に
171:梓川 博之 ◆acBW5xlTro
08/05/31 17:36:51 0
>>159>>160
「そいつは別に構わねぇが、なるべく早く済ませろよ?
この店、明日も通常営業だからな。夜更かしで閉店とあっちゃ社会人失格だ」
「そこまで長く話すつもりは全く無いさ…多分、な」
俺はそう答え、国崎に促されるままに縁側に座る。
それなりに綺麗な景色だ。
満月と草木の平凡で何処にでもある静かな庭。
…所々にある機械みたいなのとかが気になるけど。
「……で、何の様だ? 匿名希望のボウズ。ちなみに性の悩みなら聞かねぇぞ」
別に匿名希望って訳じゃないんだがなぁ。
「そんな悩み初対面同然の奴に話す奴が何処に居るんだか…。
俺だったらそんなのソウルメイト以上の奴以外は話したり語らないぜ?
…話が逸れたけど、じゃ、とりあえず――アンタも七重同様、異能者だろ?」
俺は国崎にビシッと人差し指を向ける。
「理由なら結構有るぜ。
まさか、あんな発言しといてしらばっくれる訳無いよな?『此処の方が安全』って発言さ。
別に家に居ようが居まいが危険だっつーのに何で『此処は安全』って言い切れるんだ?
核シェルターやら戦闘機やらがあるなら話は別だが、此処にあるとは到底考えられない。
…そうくれば、アンタが異能者だとしか考えようが無い。これでQ.E.D(証明終了)だ」
…よしっ!決まったッ!
決まったぜ、俺ッ…!
「まあ、その辺の話はいいんだけどなぁー」
そう、国崎が異能者か否かは正直如何でもいい。
「此処からが本題だ。
俺が一番聞きたいことは、この戦いとその裏にある組織――『機関』についての情報さ。
知ってる限り全部話してもらう」
俺をこんな事に巻き込みやがって…流石に機関の全員は無理だし、上の奴らだけでもシメる!
あれ、これ二回目か?
―そうだ、保険として言っておくか。
「あと言っておくが俺には嘘は通じないぜ。そういう能力だからな」
【梓川:国崎に情報を請求&ハッタリをかける】
172:国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI
08/05/31 20:50:48 0
>>171
>…そうくれば、アンタが異能者だとしか考えようが無い。これでQ.E.D(証明終了)だ」
(……あー、ちょっとばかし情報漏らしすぎたか。このボウズ、頭は回るみたいだな)
正直俺は、この少年をただのアホの子だと思っていた。だが、中々どうして。
表情こそ無表情を造っているが、内心で俺は、目の前の少年に対する評価を改め、感嘆していた。
この少年は、少ない台詞にある情報から俺が異能者である事実を嗅ぎ当て、
更に今、俺から情報を引き出す為の要求を始めている。
それを実行できる胆力と発想力という『武器』を少年は持っているのだ。
(だが、まだまだ青い)
確かに少年の言った事は間違いなく事実だ。
だが、事実を真実にするには材料が不足しすぎている。
特に最後の一文は悪手極まりない。何故なら、
『嘘が通じるという事を暴露してしまっている』からだ。
経験から言って、補助系の能力者は例えば姿を見せずに絡め手として能力を使えば、
凶悪で厄介極まりない存在だ。だが、彼らの殆どは直接戦闘に持ち込んで
しまえば、意外なほど脆いのである。
だからこそだ。だからこそ、自分の能力の弱点も知っている筈の彼等が、
未知の能力者の前に、しかもコレだけ至近に入る事があるだろうか。
それも、俺の領地、相手から見れば敵陣の待っ只中に。
―答えは、否。
つまり、少年の言葉は『フェイク』。
偽称を不可能とする能力だと言うなら、少年は俺の間合いに入るべきでは無かったのだ。
そして、嘘を突き通してきた年季なら俺が遥かに上回る。ならば、そこに負ける要素は無い。
「……あのな、異能者だの何だの、お前さん頭大丈夫か?」
俺は、少年の方に呆れ半分、何かを堪えているの半分な表情を造り、
自身を持って問を行った少年の方へ向ける。
「いいか? 俺がここが安全だって言ったのは、この店に俺と七重の奴がいるからだ。
あんまし言いふらす事でも無いんだが、俺は格闘技が趣味で、七重は何かの武道を習ってる。
詳しくは知らねぇが、多分相当な腕だ。 そんなプロ級の大人が二人に、一般人が数人。
そんだけ集まってりゃ、暴漢だろうと手が出せないって意味で「安全だ」って言ったんだよ。
それを、異能とか機関とか……プッ……ハハハハ!!
いや、悪ぃな。まあ、ガキの頃は誰でもそんな妄想するもんだ。頑張れよ少年」
そう言って少年の肩をニヤニヤしつつバンバン叩いてから、俺はコップを持って立ち上がり
少年の横を通って、自室へ向かう。その去り際に一度だけ振り向き、少年に告げる。
「……まあ、仮にお前さんの言う事が事実だったとしても、その『機関』とやらの情報を
探したいなら、此処はハズレだ。そんな妙なモンと関わりのある人間が、何十年も
この町に住んでる筈ねぇだろ?
探しものなら、図書館か学校辺りでも当たったほうが効率的だと思うがな」
【国崎:ハッタリだとアテを付けシラを切り、自室の方へ。引き止められなければそのまま睡眠】
173:アルト ◆lJnztBYxY2
08/05/31 21:32:17 0
>>167
ロンバルディーニは食事を断ると、私に問いかけてきた。
「……君が私をここまで? 重くは無かったのか?
礼を言おう。すまなかった。
…出来れば包帯を貰えると嬉しいのだが」
お礼なんてものが必要とは思えないが。
しかし包帯か、普段は持ち歩いていないし、私は使わないし。
「残念ですけど、私は包帯って使いませんから。
…まあ、その辺はあの人にでも頼んだらどうでしょう?」
すると、彼は上野さんとなにやら話を始めた。
ともかく、彼が食べないなら後は塩味だ。さっそく作り始めようとすると、
「私もコーヒーを頂けないだろうか?」
コーヒーなら欲しい、ということらしい。やはり毛布一枚では寒いのか。
まあいい、ともかくコップに注いで差し出す。
「では、少しお待ちくださいね。すぐにできますから」
ともかく塩味だ、塩味。確か塩味は残り一つだったはずだ。
丁度いい、と言えるかもしれないが。――しかし、いい飲みっぷりだ。
そんなに寒かったのか、コーヒーを飲む顔の幸せっぷりが半端じゃない。
「まあ、そのコーヒーもインスタントなんですがね」
【アルト:インスタント朝食】
【小村のことを上野恭平だと思っている】
174:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/05/31 22:31:52 0
窓から射す柔らかい陽光が、布団で寝ていた俺を目覚めさせる。
俺は体を起こし、行動を開始した。
まずは四肢に異状が無いか確認。
確認したところ、体にまだほんの少しダルさが残っているが行動に支障は全くない。
顔を洗い、歯を磨き、私服に着替える。コンビニに朝飯を買いに行くためだ。
携帯を手に取り、メールが来てないか確認
新着は4件。
1つ目は友人から。他愛も無い世間話だったので、適当に返事を返した。
2つ目は桜。家まで送ってくれたことについて感謝のメール。
それと、守ってくれた事のお礼もかねてどこかに行こうという事も書かれていた。
いきなり言われても困るので、来週と返事を返した。
3つ目はアニキだな。どうやら、俺の口座に生活費として50万を振り込んでくれたようだ。
アニキにはいつも世話になっている・・・今回もありがたく受け取っておこう。
4つ目は…あの戦いの期間延長についてか。3日間から1週間に変更したらしい。
…正直、この期間延長はすごくありがたかった。今日は出来るだけ自分から戦いを仕掛けたくなかったから。
そんな事を思っていると、俺の腹が音を立てた。体が早くメシを食わせろといっている。
靴を履き、現金の入っている財布をポケットに入れ扉を開けてコンビニに向かった。
>>153
なんとなーくダラダラとコンビニに向かっていると、目の前で何やら騒ぎが起こっている。
(あー……?何が起こってんだ……)
一人の銀髪の外国人らしき女をちゃらちゃらした男三人が囲んでいる。
どうやら、ナンパしているようだ。女はかなり困った様子を見せている。
朝っぱらからお盛んなことだな…それと、理由の無いイライラが俺を襲ってきた。
漆黒の心を発動するまでではないが、かなり激しいイライラだ。
そして、女の存在を確認した途端に体がうずく。
これが意味する事は……女は異能者ってことか。
イライラを確認するためと、女を異能者と確認するために
俺はその辺の石を拾い大げさに振りかぶって石を男に投げつけた。
石は見事なまでに男達にクリーンヒット。もちろん相当な手加減をしたので、気絶するほどではない。
「いってぇ!」
「ど、どうした!?」
石が当たった男が頭を抑え、うずくまる。
一人が仲間を心配するようにしゃがんだ。
「テメェ、なにしてやがんだ」
余った一人が威圧するように、俺を睨みつける。
「いやー、別にィ」
しかし、それを意に介さずノーモーションのアッパー。
「ぶげ!」という変な声を上げながら、俺をにらみ付けた男はほんの少し宙に浮き気絶した。
そして、その男をドブに投げ捨てる。ドブ自体は大した深さではないので溺死する心配はあるまい。
余った二人の男はドブにけり込んだ。
「お前らにゃ下水道がお似合いだよ」
男達は何か叫びながら、流されていった。
肩を竦め、大きなため息をつく。
そして俺は振り返り、外国人らしき女に問いかけた。
「大丈夫だったか?」
【廻間:籐堂院を不良から助け、会話する】
175:小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U
08/05/31 22:47:19 0
>>167 >>173
「・・・・あ~、もしやお楽しみ後でしたか?これは邪魔してすみませんね
私はこのまま去りましょうか?ねえ、レオーネさん」
ちょっとしたからかいだった
レオーネはこっちを不快そうな顔で睨む
レオーネとはあまり面識はなかったが周りからの評判や噂で大体どんな人間かは知っていた
やはりこういう冗談は好きではないようだ
一方アルトは
「失礼なことを仰らないでくれませんか。
ロンバルディーニさんは私の趣味じゃない、どころか嫌いな分類の人間です。
乙女心が傷つきました。――とか、いえる歳じゃあないんですけどね」
そこまでいうか
でもレオーネを見るとなんとも思ってなさそうだった
レオーネはアルトに運んでもらった礼をいい、こちらを向く
「――それにしても良い所にきた。
すまないが、機連送を貸してくれないか」
何かの理由で無くしたのであろう
「いいですけど、あなたの機連送はどうしたのです」
そう言いつつ自分のオンボロの機連送を通話以外の機能をロックした状態で、レオーネに渡す
「機連送は機関の情報が入っているのですよ
もし無くしたのなら探し出さなければいけませんよ」
レオーネはアルトにコーヒーを頼みみつつ、機連送を掴む
小村もコーヒーを受け取る
それにしてもインスタントのラーメンは断って、同じくインスタントのコーヒーは貰うとは
よほどのコーヒー好きか、ただ単に食欲が無いのか
・・・・・コーヒーを飲んだ後の表情で前者だと分かった
その頃アルトはせっせと湯を沸かして小村の分のラーメンを作っていた
こんな急な来客にも文句も言わず朝食を作ってくれるとは結構世話好きなのだろうか?
ともかく小村はコーヒーを飲みつつ、レオーネの電話が終わるのを待った
情報交換はその後だ
【レオーネの電話が終わったら、昨夜何があったか聞くつもり】
176:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/06/01 02:18:17 0
いきなり現れた男は石を不良達に投げつけ、こちらに乱入してくると三人の不良をいとも容易く倒していった。
「大丈夫だったか?」
男がそう問いかけてくる、なかなか鮮やかな手並みだ、それにこの男は多分異能力者だ。
なぜなら私を見てくる男の眼は、ついさっきまで不良に絡まれていた女性に向ける眼ではなかった。
私を疑っている、又は探っている、そんな眼だった。
私が異能力者であることを何かの能力か直感で気付いた、だから少し探りを入れているという所だろう。
「どうもありがとう、とても助かった」
そうは言ったものの、せっかく私が騒動を起こさないように事を納める方法を考えていたのに、この男が来て派手に不良を倒したせいで騒ぎになってしまった。
これはやりすぎだ、普通にやめろとか声をかけるだけにして欲しかった、それなら騒ぎを起こさずに何とか切り抜けられたはずなのに・・・・・・
ふと周りを見渡すと通行人が私たちを見ている、この状況で私の容姿は目立ちすぎる、早々に立ち去らなければ。
だがせっかく異能力者らしき人物にあったのだ、ここでおさらばは虚しすぎる。
この男がこの戦い又は『機関』について、情報を欲しがっている異能力者だという前提で少し試してみるか。
ついさっきの態度からすると『機関』の刺客という線も薄そうだ、違うとは言い切れないがこの男からは殺気が感じられない。
私は男の横を通り過ぎる際、小さくこう言った。
「もし君がこの戦い又は『機関』について情報が欲しいなら、私についてこい」
そうして私は後ろを振り返らずに歩き出す、行き先は廃工場にしよう、あそこなら誰にも見つかる事無く動けるはずだ。
何故このような事をするかというと『機関』に狙われる身になった以上は仲間とまではいかなくとも協力者程度は欲しいからだ。
それには強さがあり、度胸があり、尚かつある程度の協調性が無くてはいけない。
いままであった異能力者は度胸がないとか協調性がないような奴らだった。
よってこれは度胸の試験なのである、これでついてこないような自分の能力に自信のない普通の能力者だったら、そんな奴こちらからお断りだ。
数分経って私は廃工場につくと後ろを振り返る、さあ君はどう出るかな?
【籐堂院瑞穂:廻間を試している 場所は廃工場】
177:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/06/01 12:32:37 0
>>176
>「どうもありがとう、とても助かった」
それは良かった。「いらぬ手出しを…」なんて言われたら、正直かなりへこんでいたところだ。
だが、なんだか目が笑っていないような気がする。
やりすぎだ、とか場の状態を考えろとか、そんな感じの目。
まあ確かに、場の状況を考えろというのは全面的に俺に非がある。
この場にいるのは、俺達だけではないからだ。一般の通行人も、ここを通っている。
しかし、やりすぎだって言うのは反論したい。
ああいう男達は、口で言っても聞かないのだ。自分が正しい、悪いのはいつも他人という考えを持っているからだ。
だったら、力ずくでこの場から排除するしかない。だから、俺はドブに蹴り込んだ。それだけだ。
まあとりあえず、場の空気を読まずに男達を成敗した事を謝ろうと思った、その時…
>「もし君がこの戦い又は『機関』について情報が欲しいなら、私についてこい」
俺が本題について切り出そうとしたその前に、女がいきなり話の核心をついて来る。
…これは罠か?機関の幹部であるツバサと戦った以上、俺の顔は機関に知られているだろう。
もし、罠だとしたら不味いな。
そんじょそこらの人間が束になってきても俺には勝てないが
異能力者が襲ってきたら、剣を使えない以上俺はよくても相当の苦戦を強いられる。
しかし…この女が機関に敵対する存在と言うならば、話は別だ。
もしそうなら、俺は機関に関する情報を手に入れる事が出来る。
その上、上手くいけば能力者であろうこの女とも同盟を組む事も可能だ。
…チップの大きい賭けだな…面白い、乗ってやろうじゃあないか。
「わかったよ、ついていこうじゃあないか」
俺は賭けに乗る事に決定し、女の後をゆっくりとついていくことにした。
腹が朝飯を求めて鳴っているが、それは後回しだ。
【廻間:籐堂院を追い、廃工場へと向かう】
178:梓川 博之 ◆acBW5xlTro
08/06/01 17:01:27 0
>>172
完璧、俺の答えに間違いは無い!
そう思った矢先。
「……あのな、異能者だの何だの、お前さん頭大丈夫か?」
……は?
多分、今俺は豆鉄砲を食らったような顔をしていることだろう。
「いいか? 俺がここが安全だって言ったのは、この店に俺と七重の奴がいるからだ。
あんまし言いふらす事でも無いんだが、俺は格闘技が趣味で、七重は何かの武道を習ってる。
詳しくは知らねぇが、多分相当な腕だ。 そんなプロ級の大人が二人に、一般人が数人。
そんだけ集まってりゃ、暴漢だろうと手が出せないって意味で「安全だ」って言ったんだよ。
それを、異能とか機関とか……プッ……ハハハハ!!
いや、悪ぃな。まあ、ガキの頃は誰でもそんな妄想するもんだ。頑張れよ少年」
なっ、なんだってぇぇぇ!?
勝った、いや狩ったと思っていた。が、思わぬ落とし穴があった…マジかよ…。
国崎はニヤニヤと笑いながら俺の肩を叩く。
嘘だろ……ん?いや待て。
ある疑問が浮上してきた。思考が回復してくる。
――ああ、おかしいのはこれか。
完璧に疑問に行き着いたところで、自室に向かっていた国崎が声を掛ける。
「……まあ、仮にお前さんの言う事が事実だったとしても、その『機関』とやらの情報を
探したいなら、此処はハズレだ。そんな妙なモンと関わりのある人間が、何十年も
この町に住んでる筈ねぇだろ?
探しものなら、図書館か学校辺りでも当たったほうが効率的だと思うがな」
そして、自室に向かう。
だが、そうはさせないぜ。
「―――おいおい、質問はこれだけと思ってたのかよ?」
俺は庭を向きながら、背中越しに国崎を呼び止める。
この質問の答えで国崎が異能者か否か、完璧に分かる。
「俺に嘘は効かないって言ったろ?
じゃあ聞くけど、この街でゲリラみたいな奴らが暴れまくってるって何で知ってるんだ?
自分の目で見たのか?人づてに聞いたのか?そこら辺教えてもらうぜ…国崎!」
【梓川:国崎を呼びとめ、再び質問】
179:戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg
08/06/02 00:41:46 0
>>169
和風の木目が安らぎを感じさせる広々としたロビーは、朝風呂につかろうとやってきた地元の中年夫婦や親子で多少の賑わいを見せていた。
戦場ヶ原がフロントで二人分の料金を支払っていると、後ろに立つ赤毛の少女は物珍しそうにキョロキョロと辺りを見回しながら彼に問いかけてきた。
「これはどうやって入るんですか?」
この様子ではどうやら銭湯に入るのすら初めての経験らしかった。
アパートの風呂が使えない時にこの場所までわざわざ歩いて通っていた戦場ヶ原にしてみれば、その問いかけは異星人の言葉に相当する。
(どこのお嬢様だよ…こいつは。)
半ば呆れながらも戦場ヶ原は、ふと自分はこの少女のことを何も知らないことに気が付く。
時代錯誤な剣を背負っていたり、能力が解けた瞬間大人の体になったり、小村との戦いの中では意外な二面性も見せた。この少女には謎が多すぎる。
(…また怯えてんのかもしれねぇな…)
かつて滴を金剛によって奪われた時に彼に言われた言葉が胸を突く。
彼は他人に無干渉なように見えて、その裏では人に深く関わることに何か恐怖に似たものを抱いているのかもしれない。
(…まぁいい。そのうち聞いてみるか。)
「馬鹿野郎。俺と一緒に風呂に入るつもりか。お前は向こうだよ。オラ、とっとと行きやがれ。」
女湯と書かれた暖簾を指さしながら、戦場ヶ原はぶっきらぼうに少女のぶんのタオルをリンに向けて投げつけた。
リンがタオルを物珍しそうに眺めているうちに、戦場ヶ原はさっさと男湯の暖簾をくぐっていた。
時間は午前8時。
金剛に能力を封印されてから9時間が経過しようとしていたが、戦場ヶ原の能力はいまだ復活の兆しを見せていない。
(フン・・・ちょうどいい休息の時間だ。)
戦場ヶ原は、幾多の闘いの修羅場の中で刻みつけられてきた傷だらけの肉体をぶらさげ、大浴場のドアを開けていた。
【戦場ヶ原:入浴。リンとは一時的に別行動。】
【現在位置:国崎薬局付近の銭湯「美府温泉」】
180:国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI
08/06/02 00:46:41 0
>>178
>「俺に嘘は効かないって言ったろ?
>じゃあ聞くけど、この街でゲリラみたいな奴らが暴れまくってるって何で知ってるんだ?
>自分の目で見たのか?人づてに聞いたのか?そこら辺教えてもらうぜ…国崎!」
ミスがミスなのかを疑う事が出来るのか。それに着眼点も見事だ。
やはり、一筋縄じゃいかないな。
……けれど、やはり経験が不足している。
能力がフェイクなのは判断済みだし、その情報では、俺のフェイクは照らし切れない。
「断る」
俺は、ドアを開けた姿勢のまま少年の問に即座にそう答えた。
上半身の半分だけを少年の方へ向けると、先と同様に少し呆けた感じの
少年の様子が見て取れる。俺はそんな少年に少し険のある表情を見せて言葉を繋ぐ。
「……あのなボウズ、お前さん何か勘違いしてないか?
そもそも俺には、名前も知らない奴の質問に答えなきゃいけない義務は無いんだ。
その上、その相手が訳のわからん疑いを俺にかけて糾弾体勢で掛かってきた。
そんな状況で、質問に答えたいと思う奴がいると思うか?」
卑怯なのだろうが、この質問にはこういう逃げ方だってあるのだ。
それに、他にも様々なごまかしの一手は存在する。
俺は、少年に対しやれやれという態度を見せつつ話を続ける。
「……はぁ。けどまあ、相談に乗るって言ったからな、話してやる。
まず最初に、俺が言ってるのはゲリラじゃ無くて暴徒だ。ここ重要だぞ。
で、回答だが、『見て聞いた』になるな。
七重と道を歩いてたら、女子高生に鉄バット持った男が襲い掛かってて、
そいつを殴って止めたのが『見た』。
そんでもって、近所のバアサン達の噂話が『聞いた』、だ。
ちなみにこの眼帯は女子高生助ける時の名誉の負傷だ。 ……これで満足か?」
苦笑いでコツコツと眼帯を叩きつつそう言う。
そう、この質問は、どちらか一方だけで答えてはいけないのだ。
例えば、襲い掛かってきた暴徒を倒したと言えば、何故一般人の俺が襲われたのかと見られる。
逆に、話を聞いたとなれば、機関が情報を漏らす事などありえない点から追求される。
だから、俺はどちらの回答にも答え、どちらの回答にも霞をかけた。
一方は、襲われていたのは女子高生だという、半事実で。
もう一方は、噂という捉え所も止め処もない情報源で。
「さて、質問タイムはここで打ち止めだ。流石に明日に響くからな。
お前さんも早く寝とけよ」
【国崎:質問タイムを切り上げ、部屋に戻る。就寝】
181:煌神 リン ◆7Q1qJNYWx.
08/06/02 21:39:29 0
>>179
「馬鹿野郎。俺と一緒に風呂に入るつもりか。お前は向こうだよ。オラ、とっとと行きやがれ。」
そう言ってタオルを投げられた。
リンがそのタオルを物珍しげに見ている間に戦場ヶ原はもう男湯に入っていってしまった。
「ふぅ・・」
溜息をつきながら自分は女湯の方へ向かう。
女湯の脱衣所に入り服をゆっくり脱ぐ、能力封印前の幼児体系ではなく
歳にしては若干胸の小さいスレンダーな体が顕わになる。
脱衣所から出てシャワーの前に座ると裏に変わる、裏はただ淡々と髪を洗いお湯につかる。
「ふぅ、それにしても二日も風呂に入ってないとは案外こたえる…」
そんな独り言を呟きつつ肩にお湯をかける。
しばらく浸かったあと湯船から出て、体を洗い脱衣所に出る。
脱衣所で服を着てある事を思いつく。
「そうだ…このまま外に出てやろう、まだあいつは私のことを知らないしな」
『何をする気!?』
お前は黙ってろと裏はリンを意識下にうずめる、これで当分出てくることはないだろう。
うきうきしながら裏は脱衣所を出てフロントに出ていった。
【服装は変わらずメイド服のまま裏に変わる】
182:レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6
08/06/02 22:31:21 0
>>173 >>175
インスタントだが、コーヒーはコーヒーだ。挽いた物と比べると大きく劣るが……。
やはり朝に飲むコーヒーは素晴らしい物が在る。
>「機連送は機関の情報が入っているのですよ
>もし無くしたのなら探し出さなければいけませんよ」
「……いや。探す必要は無い」
コーヒーを飲み干し小村に向けて苦笑すると、隣の区画まで離れた。
二人には聞いて欲しくないからだ。在る程度進み、二人の気配が消えたのを確認すると、
左手で友人の機連送の番号を押していく。右腕が使えないのがこれほどまでに痛いとはな……。
やはり、両利きになる訓練を受けるべきか。そんな事を考えていると、電話は直ぐに繋がった。
「No.1、No.6だ。多少問題が発生した。持っていた機連送が"壊れた"ので、
今 小村の機連送を借りて掛けている」
「モーニングコールなら間に合っている……」
やや眠そうな声で城栄は唸った。元々低い声が一段と低くなっている気がする。
「失敗した事か…? あれなら既に別の者を向わせた。
誰かさんと違って期待通りの成果を残してくれる事だろうよ」
思った通り、城栄は私が煌神 リン捕獲に失敗した事を知っていた。
それだけではなく、次の刺客を差し向けていたのだ。流石というべきか……。
「……知っていたか。すまない、期待に沿う事が出来なかったようだ。
悪いニュースはもう一つ在る」
「……言ってみろ」
小鳥の囀りが辺りを覆い、太陽の光が眩しい。久しぶりに見る朝焼けは、右腕の痛みを忘れさせてくれた。
「……籐堂院瑞穂が生きていた」
「何ィ……っ!?」
流石にこれは想像していなかったようで、受話器越しでも崩れた表情が判るほどの驚愕の声を上げた。
「ついでに言うと、父親の籐堂院神も"生きている"」
――バキッ!
刹那、破壊音が聞こえ電話は途切れた。……勿体無い事をする奴だ。
これで城栄の新しい番号を一から登録し直さなくてはならない。
まぁ、私も新しく作るのだ。ついでと思えば良いか。
数秒後、機連送へ城栄から電話が入った。
「すまねェ、折っちまった。で、おい。そりゃあ本当に奴だったのか?」
「確認したが間違いない。娘の方は多少昔と変わったが、
父親の方は娘の剣に精神をコピーしており、憑依する事も出来るようだ。
迷宮もクリアした。奴らは最早異能者というカテゴリーを大きく逸脱している。
――奴(やっこ)どころの騒ぎではなくなったぞ」
このままでは以前の二の舞だ。それでは意味が無いのだ。
何としてでも"障害"は取り除かなくては……。
「クッソオォォォォォッ!!」
城栄の咆哮すると、周りの小鳥達が一斉に飛び立っていった……。
私は、以前テレビ番組でサバンナの特集をした際に見たライオンも、このような咆哮だった事をふと思い出した。
――報告を終えた後、城栄から現在の情報を聞いた。
外道院が動き始めた事、煌神 リンの次の刺客に兄のツバサが派遣された事……。
一通り情報交換を済ますと電話を切った。
【レオーネ:現在地 アルトのテント近辺】
【城栄に籐堂院親子が生きている事を伝え、アルトと小村の元へ戻る】
183:池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU
08/06/03 23:28:40 0
─異能力を解放すると、確かに能力は発動する。
しかし、俺の右手から発せられる凍気はあまりにも弱々しい。
作り出せる氷もあまりにも小さなものだ。
籐堂院がこの家を出てから俺は何度も能力を発動させているが、
先程から同じ結果を繰り返すばかり。
腕時計に目を向けると、朝食を摂ってから二時間ほどが経とうとしていた。
時が経ち、確かに封印の効力は弱まってきているようだが、
完全に異能力が戻るまでにはもうしばらくの時間を要するようだ。
(こんなことなら、俺に異能力が戻るまで籐堂院に留まってもらうべきだったかな)
そうは思っても、もはや後の祭りである現実に変わりはない。
それに所詮これは俺の勝手な都合であり、籐堂院には何の関係もないことなのだ。
そもそも奴にしてみれば、一晩夜露を凌ぐ事が目的で俺に近付いたのだから、
例えこちらが何かしらの条件を提示したとしても、これ以上余計な危険を覚悟して
まで引き受けてくれたとは考えにくい。
昨晩、異能者が襲って来たのは事実。
それが機関の刺客であったのかどうかは定かではないが、
どちらにせよ機関は俺の所在などとっくに掴んでいるはずだ。
外では異能者達が戦闘を繰り広げており出歩くのは危険だろうが、
結局の所、どこに居ても危険なのだろう。
俺は一つ溜息をつくと、腰を上げて自宅を後にした。
「やれやれ……封印が解除されるまではと思っていたが、結局同じことなら仕方あるまい」
俺は胸ポケットに仕舞ったリストの紙を取り出し、広げ見た。
場所を記した文字が、ずらりと羅列されている。
俺は一番上の行に目を止めしばらく眺めると、再び胸ポケットに紙を仕舞いこんだ。
「……場所くらいは事前に確認しておいても良かろう」
その行に記されていた場所は、街中のとあるビル。
俺はそこに向かうべく、ゆっくりと歩き出した。
【池上 燐介:現在、異能力は封印前の1/10程しか発揮できない】
【現在地:自宅→街中へ】
184:梓川 博之 ◆acBW5xlTro
08/06/04 21:23:51 0
>>180
今度こそ、今度こそ大丈夫だ!
「断る」
―あり?
「……あのなボウズ、お前さん何か勘違いしてないか?
そもそも俺には、名前も知らない奴の質問に答えなきゃいけない義務は無いんだ。
その上、その相手が訳のわからん疑いを俺にかけて糾弾体勢で掛かってきた。
そんな状況で、質問に答えたいと思う奴がいると思うか?」
いや名前聞かれりゃ答えたんだけどなぁ。
その点はアンタのミスだろ?
…つか嘘を見破ろうとするのは普通だろうに。
「……はぁ。けどまあ、相談に乗るって言ったからな、話してやる。
まず最初に、俺が言ってるのはゲリラじゃ無くて暴徒だ。ここ重要だぞ。
で、回答だが、『見て聞いた』になるな。
七重と道を歩いてたら、女子高生に鉄バット持った男が襲い掛かってて、
そいつを殴って止めたのが『見た』。
そんでもって、近所のバアサン達の噂話が『聞いた』、だ。
ちなみにこの眼帯は女子高生助ける時の名誉の負傷だ。 ……これで満足か?」
「………………」
俺は何も答えない。いや、答えられない。
普通にアリバイ十分にあったァー!
他に、他におかしい部分も見当たらない。
「さて、質問タイムはここで打ち止めだ。流石に明日に響くからな。
お前さんも早く寝とけよ」
そう言って国崎は自室に入っていった。
……俺は暫く放心状態で動けなかった。
幾ら考えてもあの言い方は異能者の筈だというのに!
国崎は違うと抜かしやがった!
畜生…俺が甘かった。
一般人と異能者の区別くらい出来ないといけないな…クソッ!
反省はこれまでにして。
「……兎に角眠い…」
今日はいつもより(頭の回転が)早く回っております状態だったしなあ…。
エネルギーを使ったのも当然だろう。
寝室に行き、ふらふらとしながら布団に入る。
「――ん?そう言えば…」
国崎は一度も『異能者じゃない』とか『違う』とか言ってなかったな…。
そんなことを思い出しながら俺の瞼は閉じられた。
【梓川:就寝。国崎のことは一般人だと思いながらもやっぱり異能者ではないかと疑ってもいる】
185:恋島達哉 ◆KmVFX58O0o
08/06/04 21:33:59 0
―ここは、どこだ? 俺は何で―
目の前で、激しく炎上するワゴン車―俺はそのワゴン車の前で立ち尽くしていた
ワゴン車から俺に助けを呼ぶ声がする。―親父とお袋だ
そして、炎で焼かれる二人を助けることも出来ず、しゃがんで呆然としている―ガキの頃の俺
状況が理解できず、俺は頭を抱えた。これは、何だ? またあの日の記憶が―
だがそんな事を考える間もなく、俺の目の前の景色は瞬時に変化した
コンクリートで作られた息が詰まりそうな閉鎖的な大部屋―そこらに転がる、大量のガキの死体
何かの映画か? 昔見た悪趣味な映画の場面でもフラッシュバックしてるのか? 俺は記憶を辿ろうと頭を整理―
突然、部屋中に響く銃声音。俺は思わずその銃声音のなった方を見る
ガキがガキを撃ち殺していた。それも正確に頭をぶち抜いていた
すると撃ち殺した方のガキが、俺の方を向いた
…真顔でガキが俺に銃口を向けながら、何かを呟いた
明らかに命の危険だってのに、俺の目はそのガキの口元から離れない
「―ダセ。――イダセ」
え?
「思い出せ」
「うわぁぁぁぁ!」
思わず声を立てて飛び起きた。はぁ…はぁ…酷い。酷すぎる夢だ
にしても…ガキの頃の事故にあった夢は気分が冴えない時に見るが、その次の悪趣味な夢は何だ?
幾分か変な夢を見た事はあるが、あそこまで気持ち悪いのは初めてだ。見るならもう少し楽しい夢が良いぜ
只でさえ現実離れしてる現実に向き合ってるんだから。掌が汗でぬるぬるする
ふと声を出してしまったことが恥ずかしくなり周囲に目を向ける。よかった、俺以外に誰も起きてないみたいだ
あの別室で寝ているガタイの良い男は起きたのだろうか。なんとなく格闘家っぽいから、今頃走り込みにでも行ってるのかもしれない
起き上がり、屈伸運動をして体を慣らす。そういや国崎さんが毛布を掛けてくれたようだ
丁寧に畳んだは良いが、何処にしまうかは分からん。取りあえず置いておき、傍らに置いたメガネを掛ける
カメラとメモ帳、それと携帯その他諸々が入ったバックを確認した後、財布から一万円を出し、メモ帳のページを切り取る
皆が寝てるのを起こしちゃ悪いから、伝言と金だけ置いて薬局から出ていこう。宙を見つめながら考え、思いついた文を一気に走り書きする
先日は手当てはおろか御自宅に泊めて頂き、本当に有難うございます
自分は仕事の関係で早めに出なければならないので、静かに失礼させていただきます
ので医療品代とその他諸々の代金を置いておきます。では
敬語の使い方があれだし、走り書きなので字が汚いが直すのがめんどい
一万円と伝言を書いたメモをボールペンのクリップ部分に挟み、テーブルに置いた
バックを担いで居間から店のほうへと向かう
棚から包帯や絆創膏、固形栄養食品等を買いあさり、閉じてある戸に手を掛けた
さ、気分一転…はまだ気分が乗らないが、やる事はやらないとな…
俺は重い足を無理やり歩かせて、ひとまず今後の家代わりになるザ・近未来に向かおうと…
…ん?あれ、開かないぞ?
…まぁそうだよな。普通、夜になったら戸締りするよね。特にこんな危ない町なら
昨日の酒にしても何やってんだろうな、俺
自然に気味の悪い間抜けな笑いが口元からこぼれる。店側から居間に戻ってメモ諸々を挟んだボールペンをバックに戻し、座り込む
他の人が起きるまで待ってみるか…いや、国崎さんが起きたら戸を開けてもらおう
ふっと気が抜けた途端、腹の音が鳴った
【起床。医療品を買い、国崎が起きるのを待つ】
【三日目開始】
186:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/06/04 22:13:26 0
やはり、ついてきたか。
相手はよほど己の力に自信がある、又は此方の情報がどうしても欲しい人物ということ、もしくはただの愚者か。
何にせよこの少年に度胸があることは分かった、それが本物の勇気であるかそれとも蛮勇かを今から見極めなければならない。
私は天之尾羽張をバッグから出すと、相手に一礼してから抜き、構える。
私は融通が利く相手と戦う時には出来るだけ敬意を払うようにしている、これから命のやりとりをするのに礼なしでは失礼だと言うのが私の持論だ。
「よく来てくれた、情報を教えるとは言ったが、君もただで教えて貰えるとは思ってないだろう?
等価交換だ、私は君に情報を与えるから、その代わりに君は私を楽しませてくれ」
唐突に刀を出されても全く怯まない、それどころか少し挑んでくる感じがある。
合格だ、まだ若いというのに何度か戦った経験もあるみたいだな。
さて、この少年がどれくらい私を楽しませてくれるのか今から楽しみだ。
「では行くぞ」
私はそう言い、自分の間合いに入るまで少年に肉薄する。
戦いになった以上私は手加減しない、たとえ相手が女子供であろうともだ。
相手が全力を出してくるなら自分も全力を出して応える事こそが戦いにおいての最大の礼儀だと考えている。
そして私は真正面から天之尾羽張で少年を袈裟に斬る、この程度の攻撃は避けてくれよ。
【籐堂院瑞穂:廻間と戦闘開始】
187:桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk
08/06/04 22:42:11 O
>>34
あんな夢を見て、朝の挨拶をしてくれたのは横の人体模型ぐらい
二日連続で寝覚めは最悪だった。
体は節々が痛み、歩くにもややびっこを引く必要があるがまぁだいぶ楽にはなった。
少なくとも昨夜みたいに動くだけで悶えることはないだろう
なにはともあれ移動しなくては
夜が明け、改めて見るとここは昨日お世話になった廃校だとわかる
どこだがわからない場所よりかはマシだが人体模型とこのまま一緒に昼寝するほど根性曲がっちゃいない
学校は…、今日も休むとしてこれからどうするか…
ひとまず着替えかな。いつ警察呼ばれてもおかしくないし…
あと風呂。
そういやここと家の間に銭湯あったよな…
よしそうするか。なぁに金なら……
「………………バックがない」
…ヘイヘイヘイヘイ、落ち着け 落ち着くんだ
昨日寝たときはあったよな? うん、確かにゴミ捨て場で寝るとき盗られちゃマズいから抱えて寝たんだよな?
で、起きたらここと… って事はあの人がどっか途中で…
……………いや待て
>天之尾羽張をバックに入れ、私は踵を返して廃校を出る。
>天之尾羽張をバックに入れ
>バックに入れ
「なんだってーーーーー!!!?」
故意なのか否かはしらんが藤堂院さんに…
バックを盗られた!?
慌てて服のポケットをまさぐるが出てきたのは鍵と携帯と小銭のみ
財布と30万が一瞬にして消えてしまった…
「アハ、アハハハハ……」
体中に脱力感が襲いかかってきた
財布はともかくあんな大金を使わずに他人に、しかも二度と会ってはいけない人に渡すとは…
「自分のアホーーーーーー!」
校庭のど真ん中まで歩いて力一杯叫んでみたが返ってくるのはカラスの鳴き声とこちらに向かってくる蝙蝠だけ
山に帰るつもりなのだろうがやけに低空飛行なのが気になる
気になるどころじゃなくなってきた 低すぎる このままじゃ自分にぶつかるぞ
ていうかどんどん数が増えてません? 妙に赤黒くありません!?
「ひょっとしてまた異能者ですかー!?」
自分の叫びに『YES!YES!YES!YES!YES!』と答えるようにあっと言う間に蝙蝠の大群は自分を取り囲み襲いかかってきた
首に、足に、腕に噛みついて血を吸われてる
たたき落とすと気持ち悪い音をたて簡単に潰せるがこのままだと…
「や、やめっ! うまくないから! ドロドロ血で美味くないから…ーー!!」
188:宗方零さんの代理です
08/06/04 23:53:28 0
ブラインドから朝の日差しが差し込んでいた。
宗方は目覚めると、事務所でシャワーを浴び、身繕いをした。
神重は・・・動いたような気がしたが起きているのか寝ているのかは不明だった。
そういえば昨日の夜から何も食っていない。
冷蔵庫はあったが、事務所を襲撃されたときに中身ごと廃物処理されていた。
とりあえず治療品の確保のため救急箱を開ける。
中身は
マキロン×1
絆創膏×1
期限切れの湿布薬×1
ダージリン
セイロン
アールグレイ
オレンジペコー
白桃茶
烏龍
抹茶の小型缶 計×6
葛根湯×1
なんだこれは─
宗方は気を取り直して、薬箱の中の紅茶を淹れる。
朝はダージリンに限る。
宗方は神重を起こすことにした。
「起きてるか?起きてるなら聞いてくれ、とりあえず支度して薬局に行こう」
【宗方零 神重を起こし 薬局へと向かう事にする】
189:七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI
08/06/05 00:46:04 0
七重の朝は早い。大抵は日の出の刻ころに起きる
これもやはり躾のためであるが、
彼自身、そういう微妙なところで己を律しているのだ
多分に漏れず、今日も辺りが薄暗いうちに起床した
国崎の薬局に宿る者たちは、まだ目を覚ます気配を見せない
七重は、畳んだ布団を押入れに突っ込むと、身支度を整え始めた
とはいっても、適当に顔を洗い、てぐしで髪を撫で付ける程度のものである
七重の頭髪の暑苦しさは、少々の手入れでは拭えない
本人もそれを気にしている
それならばいっそ散髪すれば良さそうなものだが、
なるたけ床屋代を浮かすべく、伸ばしっぱなしにしているのだと言う
更には、立ち合いの際、相手に視線を悟られなくて有利だとも思っている
たかが不精も、ここまで来ると半ば意地のようなものである
それはともかく、他人の家の洗面所で勝手に洗顔したり何かするのは、
さすがに図々しすぎるようだ
さても、七重はそれから居間に回って、30分もかけてストレッチをした後、
棚に置かれていたメモ用紙とボールペンを奪取して、何やら書き始めた
しばし、ペンの走るさらさらという音が流れる
走ってくる。すぐ戻る
多分
文語においても妙に寡黙なのは、七重流の真骨頂と評すところか
それにしても、行書にしてなかなか達筆であるが、
「多分」だけは妙にこぢんまりとしていて、全体の均衡を欠いていた
メモをテーブルに置いた七重は、
かつて自分が寝ていた部屋の窓が開いているのを見つけて、
そこから密かに脱出した
外に出てから窓を閉める際、柔らかな風が吹き込んで、
メモ用紙をテーブルの下へと滑り込ませてしまった
こういった取るに足らぬ事象が、後に混乱を引き起こすことは往々にしてあるが、
果たしてどうなるであろうか
190:七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI
08/06/05 00:50:54 0
薬局を出た七重は、靴も履かずに、河川敷を駆けていた
足裏を鍛える為、あえて裸足でいるのである
鋭い小石に刺激されて、土踏まず辺りは血がにじんでいるが、
彼はその程度の事、全く気にとめようともしない
熱をまとってひた走る七重に対しては、
早朝に漂う冷えた空気も、自然と道を開けるようである
果たしてどのくらい走り続けたのか、
いつの間にやら太陽は東空に姿を現し、黄金の光線を放って、
川の流れに輝きをもたらしていた
七重の視界の端では、ぴしぴしと朝の光が弾ている
大気もそこそこに温まってきたようだ
そうして疾走するうちに、七重は河川敷を抜けて、街中に入った
良い加減に腹も減って、薬局へ帰ろうという算段だ
しかし先ほどまでと違って、どうも足運びが頼りない
少々迷い気味の体である。ガリガリと頭を掻きつつ、溜息をついた
次第に人目が多くなり、その半分ほどは、
ホームレス的風貌の七重に注がれつつある
ひしひしと、排斥する視線が押し寄せる
朝から小汚い男が裸足で走っているとなれば、あまり印象は良くなかろう
さすがの七重も、容赦のない蔑みの意識に焦らされる
七重がどうにかして薬局への道を探し出そうとするところに、一つの問題が持ち上がった
生理現象。要は尿意である。こればかりはどうしようもない
ところで、ふと見上げた先に『貳名駅』と書かれたプレートを見つけ、
七重は己の運命に幸運が残されていることを悟った
その後は、疾風怒濤の勢いで事が進んだ
結果、七重はどことなく朗らかな表情で、駅のトイレから出てくることとなった
事態は無事に収束したようである
駅内の壁にかけられた時計は、八時を過ぎたことを示していた
七重はもう、二時間以上も走り続けていたこととなる
すぐ戻る、どころの話ではない
今度こそ薬局に帰るべく、七重はまたうろうろとし始めた
ふと、何処かで遠雷が鳴り響く。晴天に不相応な轟音が、空気を揺らした
【一番に起床し、薬局を出る。8:10頃、貳名駅へ至る】
191:戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg
08/06/05 01:26:02 0
>>181
広々とした大浴場。
湯気に包まれながら心身を癒すことの出来る至高の場所だ。
戦場ヶ原が眼をとじ、ゆるりと湯の感触を愉しんでいると、その隣に静かに近づく影が一つ。
「…山田権六だな?」
深い湯気で姿を把握することは出来ないが、その声に殺意がこめられているのが分かる。
その殺意は、『機関』の人間が持っているそれと同じだ。
湯船の中での敵襲――…
普通の異能者ならば、ここで死闘を覚悟するところであろう。
だが、戦場ヶ原は目を閉じたまま、その声の主をたしなめた。
「…人がゆっくりしてるところを、邪魔すんじゃねぇよ。猿。」
「へっへー、バレた?やっぱ山田の旦那にゃかなわないねェ。」
声の主は一転して軽い口調に早変わり。
そう、この『機関』の人間とは、『機関』に残った戦場ヶ原の旧友、猿飛栄吉その人だったのだ。
彼は機関の構成員として内部の情報を戦場ヶ原に提供しているのだ。
「今、俺が気付かなかったらマジで殺す気だったろ。」
「へへー、ま、そんな程度の旦那だったらもっと早くに見限って殺してるっての。」
物騒な会話だが、それさえもこの二人の間では日常会話だった。
そのあと、猿飛は得た情報をつらつらと戦場ヶ原に伝えていく。
幹部の動向。異能者たちの動き。城栄金剛の行方――…
戦場ヶ原はそれを目を閉じて黙って聞いていた。
「物語はいよいよ佳境に!ってね。今度は城栄の親分に張り付いてみよっかなーとも思ってっからさぁ
情報にゃ期待しといてくれよ。」
「おいおい、それは危ないんじゃねぇのか?」
さらっと大きなリスクを負おうとしている親友を、戦場ヶ原はたしなめる。
「気にすんなって。俺と旦那の中っしょ?・・・それくらいあんたの力を信用してるってことさ。
あんたなら城栄の野郎の野望も打ち砕ける。…その力になれるんだ。このくらい屁の河童ってもんさ。」
「猿・・・。」
親友の命を賭した行動に、戦場ヶ原は深く感謝の意を表した。
「んじゃ、随時メールで報告すっから、しっかりケータイ持っといてくれよ?さいならーっと」
言うなり猿飛は湯気の中に靄となって消えた。
諜報部隊のもとエースだ。忍法のひとつやふたつくらい心得ていても不思議ではなかった。
「さて・・・俺も出るか。」
情報入手という、ここへ来た理由のひとつを終え、戦場ヶ原は火照った体を覚ますため脱衣所に入った。
暖簾をくぐりロビーに出ると、相変わらず目立つ格好をしたリンが、なぜか不敵な笑みを浮かべて仁王立ちしていた。
「早かったな。朝飯でも食うか?」
戦場ヶ原はそんなリンの変化にも気付かずさらりと言い捨て、さっさと食堂の方へ歩いていた。
【戦場ヶ原:現在位置:銭湯『美府温泉』】
192:煌神 リン ◆7Q1qJNYWx.
08/06/05 05:34:36 0
>>191
戦場ヶ原が風呂から出てきた。
「早かったな。朝飯でも食うか?」
「おう、く・・・」
(いかん、いかんえ~と)
裏は急いでリンの言葉遣いを真似しようとする。
その間も戦場ヶ原は前を歩いている。
「う、うん食べます。」
なんとか真似できたようだったがもう戦場ヶ原は食堂に向かって歩いている最中だった。
食堂に着くとメニューを一応確認する。
うん、普通だ種類も一応豊富なようだし
「戦場ヶ原は何を食べるの?」
わざと戦場ヶ原の腕にだきつき自分の控えめな胸を押し付ける。
(さてどうでるかな?)
裏は不敵に笑顔のまま考えていた。
戦場ヶ原の事だ、このままスルーという事もありえる。
その時はキスでもしてやろう。
【美府温泉の食堂にて戦場ヶ原を誘惑中】
193:文月の中の人です ◆XzQQgkPzlg
08/06/05 11:44:46 O
>>190
天宮香澄が落雷を遠くに聞いたのは、貳名駅に着いてすぐのことだった。
晴天に不相応な落雷と、無数に感じる異能者の気配。先に着いているであろう仲間達─如月と理事長─のことを思うと、この街に来て早くも不安になってきた。
「…大丈夫かしら?あの二人」
通勤や通学でごった返す朝の人波の中を歩きながらため息を一つ吐き出す。
すぐにでも如月と連絡を取りたいところだが、携帯電話のバッテリー切れを起こしており使い物にならなかった。
念話を使おうかとも考えたが、こんな不安だらけの街では誰に盗聴されるか分かったものではない。
仲間と連絡が取れない。それはこの異能者だらけの街で、孤立することを意味する。しかも、今彼女がいるのは、右も左も分からない初めて来る街でもある。 しかし、そんな状況にも関わらず香澄の表情はどこか楽しげであった。
如月達のことを思うと、不安になりそうになるが、理事長がいれば、確実に文月と合流出来るだろう。あの三人が揃っていれば、ひとまずは安心だ。
ならば何も心配することはない。自分のペースで気ままに文月を捜せばいい。 そう思うと、自然に足取りも軽くなる。
(あら?この気配は…)
改札口を出たところで、香澄は文月と似た異能者の気配を感じた。
辺りを見渡すと、人混みの中に気配の主を見付けることが出来た。
異能者なら、同じ異能者である文月のことを知っているかもしれない。
文月と似た気配の持ち主なら、悪人ということもないだろう。
「ちょっといいですか?」 香澄は躊躇することなくホームレス然としたその男に話し掛けた。
【香澄、七重に話し掛ける】
194:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/06/05 14:32:16 0
>>186
辿り着いた先は、近年不況の波に飲まれ廃業へと追い込まれた工場だった。
女が俺に振り返り礼をした。俺も返すように礼をする。
そして、女が一本の刀を抜き構える。
あの刀…見た事は無いが、きっと相当の業物に違いない。
「よく来てくれた、情報を教えるとは言ったが、君もただで教えて貰えるとは思ってないだろう?
等価交換だ、私は君に情報を与えるから、その代わりに君は私を楽しませてくれ」
なるほど…情報が欲しかったら、女の満足がいくような戦いをしろって事だな。
しかし、少し不味いな。女には得物があるが、俺には無い。
格闘戦もこなせるものの、やはり刀相手ではキツイものがある。
「おっと」
そんなことを思っていたら女が俺に飛び掛り、袈裟斬りを仕掛けてきた
俺はバックステップで女の袈裟斬りを避ける。
俺が袈裟斬りを避けた後も女は突き、切り上げ、薙ぎ払いなど様々な攻撃を仕掛けてきた。
しかし、避けているのはいいがこのままでは反撃の仕様が無い。
それに、確固たる証拠は無いが鬼神炎球を撃っても、弾かれるかかき消されてしまうだろう。
(なにか無いか…)
攻撃を避け続けながら、あたりを見回す。
すると、数本の鉄パイプが転がっているのが目に入った。
(あれなら、剣の軌道を逸らす事ぐらいは出来るな)
俺は右手をかざし、鬼神炎球を女に打ち込む。
女はほんの少し驚いた様子を見せながらも、冷静に対処し火球を消し飛ばした。
だけど、それでいい。その隙に、俺は鉄パイプの元へと走り右手と左手に一本ずつ持ち、構えた。
(よし、これでなんとかなる)
もちろん、鉄パイプ如きで受け止められるとは思っていない。
しかし、さっき言ったとおり剣を逸らす事なら出来る。
縦から攻撃が来るなら、横に逸らす。
横から攻撃が来るなら、縦に逸らす。
突きならば、叩き落す。
つまり、刀の刃が無い部分に打撃を加え、その方向に攻撃を逸らすのだ。
自分からの攻撃は蹴り、頭突き、体当たり、その辺に転がっているものを投げつける、鬼神炎球…
そして、攻撃を逸らした後の反撃だけとなるが仕方ない。
俺は鉄パイプを構え、女の攻撃を待った。
【廻間:鉄パイプを拾い、それを得物にする。
月下十字が発動できないので、受身の戦いとなる】
195:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/06/05 20:20:38 0
少年は後ろに跳び、いとも容易く私の攻撃を避ける。
私は少年にさらなる追撃をかけるため接近し、何度も斬りかかる。
それも全て避けられる、なかなか動きは素早いようだ。
私の攻撃を避けた少年の眼がそこらに転がっていた鉄パイプに向けられる、拾うつもりか?
私はそれを許さず、すかさず阻止しようと動く。
すると少年はそれを見越したように右手の掌をかざし、こちらに火の玉を撃ってくる。
しかし、如何せん威力が弱いようで私が刀を横薙ぎすると火の玉は消え去った。
その一瞬の隙に少年は鉄パイプの元に駆け寄り、右手に一本左手に一本ずつ持ち構える。
二刀流とは面白い、私も試したことはあるが二本の刀をうまく振るうのが難しく断念した記憶がある。
これは今まで攻撃していて分かったことだがこの少年の武器は速さだろう。
その速さを遅くしてまで鉄パイプを持つ、ということはよほど剣技に自信があるのだろうか?
二刀流は長所もあるが短所もある、それは持っているものにかかる力が一刀流より弱くなることだ。
確かに普通の相手なら片手持ちでも何とかなる。
しかし、私の筋力は異常に強い、私が両手持ちしている刀を片手持ちの鉄パイプでどうにか出来るはずがないのだ。
尚かつ、持っているものは無駄に長く扱い辛い鉄パイプだ、こちらからの攻撃も当たりやすくなるだろう。
もしかすると、鉄パイプがないと発動しない能力という可能性もある、さっきの火の玉は元々の能力にしては弱すぎる。
私は刀を体に垂直に構え、突きを繰り出す。
少年は刀を叩き落とそうと右手の鉄パイプで打ってくる、当然私の刀はその程度ではびくともしない。
驚いた少年は避けようとするが反応は少し遅れ、刀が少年の肩に浅い切り傷をつくる。
私は避けた少年に向かってさらなる追撃を仕掛ける。
力のこもった私の攻撃に少年は両手の鉄パイプで防ぐので精一杯で反撃は出来ないようだ。
その状態が少し続いた後、このままではまずいと思ったのか、少年は私の横に回り鉄パイプを振り上げる。
私はすぐに反応し刀で袈裟に斬るが、私の攻撃は左手の鉄パイプでうまく受け流されてしまった。
まずいと思った時にはすでに遅く、大きく隙が出来た私の腹に少年は右手の鉄パイプを叩き込む。
腹に鋭い痛みが走る、だがこの程度ではまだ倒れない。
鉄パイプを叩き込んだ時に出来た一瞬の隙に私は少年の右手を捕らえ、刀で少年の心臓を狙い突く。
少年は避けようとするが右手を捕らえられているせいで避けきれず、脇腹に刀が刺さる。
そして私は少年の右手を離し、少年を蹴り飛ばす、少年は面白いようによく飛び廃材置き場に突っ込んだ。
「私が鉄パイプの一撃で倒れると思ったら大間違いだ
それとこれはアドバイスだが、君はせっかく速さがあるのだからそれを無くすような事はしない方が良い
あと君みたいな戦い方なら剣や刀を持った方が良い、威力がないと速さが無駄になるからな」
私はふらふらと起き上がった少年に向けて言う。
これまでか、このまま続けても手負いの状態では先ほどより動きも鈍るだろう。
「ここでやめればとどめはささないがどうする?まだ続けるのか?」
【籐堂院瑞穂:廻間と戦闘中 廻間に傷を負わせる】
196:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/06/05 21:53:09 0
>>195
(なんなんだよコイツ!?滅茶苦茶攻撃が重たいぞ!!)
その外見からは判断できない攻撃の重さに、俺は焦りを隠しきれない。
刀を逸らした左手の鉄パイプがひん曲がる。
(おいおい…マジかよ…)
鉄パイプがひん曲がった事で、ただでさえ小さい俺の攻撃力がさらに減少した。
しかし、せっかく拾ったのだ。そう簡単にポイポイと捨てるわけにもいかないだろう。
(ッ!)
女が、渾身の力を込めた突きを繰り出した。
突きを叩き落そうと、右手の鉄パイプを振るい刀に直撃させる。
しかし、体重と速度と重さが加わった絶妙な突きを鉄パイプ如きで叩き落せるわけが無い。
案の定女の突きは逸れることなく俺に襲い掛かる
慌てて避けようとするものの、避けきれずに肩に傷を負う。
(冗談じゃねえぞ…このままじゃジリ貧だっつうの…)
息が荒くなり、冷や汗が流れる。
とにかく、この状況を打破しないといけない。
絶えず襲い掛かってくる攻撃を避け、叩き落し、受け流し、速度を生かして
上手い具合に女に隙を作り、その腹に鉄右手にパイプを叩き込む。
しかし、鉄パイプが直撃したにもかかわらず女は大したダメージを受けた様子は無い。
女の手に俺の右手をつかまれた。俺の胸に刀が襲い掛かる。
(不味い!)
必死に避けようとするものの、右手がつかまれているせいでそれは叶わない。
腹部に鋭く熱い痛みが走る。どうやらあの刀で刺されたようだ。
そして、右手を離され蹴り飛ばれる。
「がふっ!」
俺は思わずうめき声を上げ、激しい音をたてながら廃材置き場に突っ込んだ。
197:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/06/05 21:54:05 0
「…はー…やっぱダメか。能力的にも身体的にも夜型の俺じゃあ勝てないな」
蹴り飛ばされた俺は、廃材の上で横になりながらため息をつきボソッと呟く。
傷がかなり痛む。血も流れ出ている。先ずは血を止めないと。
とりあえず、漆黒の心を解放してこの傷の痛みを押さえ込もう。
精神的にかなり疲れるんだが…仕方、ないよな。
心を、黒く塗りつぶし目から光が失われる。痛みを精神力で押さえ込む。
(しかし、どうしたもんかな。こう日中にばっか戦って負け続けたら洒落にならないぞ。
どうにかして、日中でも刀を作り出せるようにしないとな。その辺の刀じゃ信用できないし…)
無いものねだりをしてもしょうがない。
やれやれと呟き頭を振るい考えを消し去る。
俺は廃材から身を起こし立ち上がる。
しかし、いきなり血を流しすぎたせいか体がふらついてしょうがない。
(不味いな。血が少なすぎる)
恐らく、女の目に写っている俺の顔は青ざめているに違いない。
これ以上血を失うわけにも行かない。
幸いにも、女もこれ以上俺が降参を認めれば刀を納めるようだ。
ここは大人しく負けを認めよう。
「これ以上戦っても、互いに何の利益も無い。悔しいがここでやめるとしよう」
肩を竦めた後、両手を挙げ降参の意を示し女の問に答えた。
「先ずは傷の治療を行いたいんだ。負けも認めた事だし、その刀を納めてくれないか?」
相変わらず刀を突きつけている女に、無表情で言い放った。
ルナを呼び出せば、術による回復も可能だろうが月が出ていない今では不可能だ。
そのため、ここは
腹から血を流しているというのに、感情の無い今の俺の姿はどう映っているのだろう?
【廻間:降参、漆黒の心発動。 輸血か傷の治療を行いたい】
198:神重智&敬 ◆6eLTPQTFGA
08/06/05 22:18:42 0
>>143 >>165 >>187 >>188
「起きてるか?起きてるなら聞いてくれ、とりあえず支度して薬局に行こう」
この言葉で眼が覚めたようだ。どうやら神重は朝に弱いらしい。
智も敬もである。
「ごきげんよう。起きていきなりなんだとは思うがシャワーを借りたいんだが」
血を操るといっても血の臭いをプンプンさせながら朝の街を歩くのはさすがに危険と思ったのだろう。
勿論宗方がシャワーの使用を認めてくれるかどうかは分からないが…。
返事を待つ間に、彼は昨日放った蝙蝠との記憶を共有しはじめた
随分沢山の記憶があるが、その中で気になったのは2つだ…。
――
少し油っぽい髪を持つ男に蝙蝠達が襲い掛かるが
次の瞬間にはその紅い翼をもぎ取られ、逃走した
ここで記憶が途切れたところから、消滅したのだろう。
――
もう一人は見た目は若い男…女か?
こちらには大量の蝙蝠が向かったため、多少の犠牲は出たものの
血液の確保に成功。しかし対象が囮で逃走したため鮮血は得られず
――
どちらも血を得るのには相応しい人物だった…が
それほどの成果を得ることはできていない。次の獲物を探さなければ―
と考えたときに脳裏に新しいイメージが届く…ということは今現在襲っているということ。
そのイメージは…神重智の生徒 桐北だった。
(…桐北にも蝙蝠を向かわせたのか)
今までのイメージは全て智にも見えている。蝙蝠が何の目的で動いてるのかはわかるだろう。
(お前の教え子だったか?俺は知らないからな…)
正確には桐北という人物は知っているが、智の知り合いだということは知らないのだろう。
(今すぐ蝙蝠を引かせろ、あんな奴でも私の教え子だからな)
(そう怒るなって、智が言うなら従うしかないだろう)
そう言って敬は遠く離れた蝙蝠達に合図を送る。
桐北にまとわり付いていた蝙蝠達は攻撃を止め
数匹を残して別の獲物を探しにどこかへ飛んでいった。
(何故すべての蝙蝠を退かせない?)
(いや…少しからかってやろうと思ってな)
敬の悪い癖でもある、実力を認める前には少し舐めた態度をとるのがこれである
「おいおい…先生の言うことはよく聞くもんだぜぇ…」
声に修正をかけて、神重という人物とは悟られないような声を発する
といっても、先生 などといった時点でバレバレかもしれないのだが…
「少しだが血をいただいたからな…この血は有効的に使わせてもらおう
血液提供を感謝する…クク…」
無理矢理襲っておいて提供もクソもあったものではないが
敬なりのジョークなのだろう
「では…生きていたらまた会おう。次は敵かな?味方かな?
楽しみにしていてくれたまえ。ハッハッハ」
目の前にいたなら殴りかかりたくなるような台詞を残して蝙蝠は消滅した。
そのあとに残るは桐北と…
――戦いから逃げることができると思うなよ――
という声が残ったのであった。
「さて、シャワールームを…使ってもよかったのかな?」
少し精神を飛ばしていたため、宗方が返事をしていたとしたら
二度聞くというはたから見ると随分間抜けな光景をしながら神重は再度質問した。
【神重:三日目開始。智&敬ともに起床。桐北から蝙蝠を退かせメッセージを残す
宗方にシャワー使用可かどうか二度問う】
199:国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI
08/06/05 22:34:09 0
(……夢、か)
目を覚ました時には、寝巻きにしている浴衣は
汗でぐっしょりと濡れていた。
窓を見れば日光は既に差し込んでおり、今が朝だという事を知らせている。
(胸糞悪い夢だな……)
俺が昔の夢を見るのは良くある事だが、今回見た夢はそれと少し違っていた。
といっても大筋は同じであり、違ったのは、その登場人物――死んでいった人々の顔が
ここ数日で俺と関わりを持った奴等になっていたという事だ。
「ったく、短い間に人と会いすぎたか?」
俺は夢を忘れる様に軽く眉間を押さえて、布団から起き上がった。
とりあえず、洗面所で顔だけ洗ってから、
俺は浴衣を着たまま台所に行き、手早く人数分の朝食を
作る。(尚、これを作る際にカレーのトラウマによる数分の葛藤があったのだが、
それはここでは記述しない)
そして、ソレを乗せた盆を持って宿泊者数人が居る居間の方へ向かった。
「よう、恋島か。随分早いな」
居間に行くと、恋島が既に起きており、所在無さ気に座っていた。
俺は食卓の上に人数分のご飯茶碗と、目玉焼き、温め直した味噌汁を置きながらまだ寝ている
他の奴等の様子を確認していたのだが、その途中で机の上に置かれたメモに気付いた。
>走ってくる。すぐ戻る
> 多分
「ったく、あいつは……まあいいか」
異能者達だって基本は人間だ。朝から行動を開始するとは思えない。
だから、この時間帯なら走ろうが何しようが別に問題は無いだろう。多分。
そう考え、俺は恋島の方に声をかける。
「恋島、俺は店開ける準備してくるから、先に朝飯食ってるよう起きた奴に
伝えといてくれ。……ああ、そうだ。この店出て寝床に戻るなら、朝早いほうがいいぞ。
朝は割りと安全だからな。 出るときは入り口の横の裏口を使えばいい」
俺は、シャッターが閉じられ薄暗い店部分へ入るとすぐに、
レジカウンターの方へ向かった。そうして、そこから玄関にある隠しカメラの映像を確認する。
「……んん?」
そこには普段無い物が止まっていた。
俺はソレを見て、その正体を確認すると若干げんなりとした気分になった。
「おいおい、ここ駐禁だぞ……」
そこにあったのは一台の車両だった。
大抵の場合、駐車禁止の場所に駐車する奴はマナーが悪く、下手をすれば
注意した側に絡んできて揉め事になったりするのだ。それが俺に苦い表情をさせる。
……しかし、だからといって注意しないわけにもいかないのが個人経営の辛い所だ。
俺は、一度ため息を付いてからシャッターを半分ほど開き、その隙間から外に出た。
そうして、車の窓を一度ノックした瞬間、一つの人影を視認した。
血を流し倒れている人物の姿にデジャヴを感じながら、俺は急いで店内に薬を取りに戻った。
【国崎:起床、料理を運んだ後、玄関で倒れている人物に気付く】
200:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/06/05 23:11:41 0
ええと、誤字発見。
最後からの2行目の「そのため、ここは」を消してください。
201:梓川 博之 ◆acBW5xlTro
08/06/05 23:18:40 0
>>185>>189>>199
「――…ん、あ……此処は?」
むくりと起き上がり、周りを見る。
見慣れない部屋。
……ああ、そっか。此処は薬局か。
近くには女性、もう一人は…布団が畳んである。もう起きたのか。
そこら辺に放り投げたコート、それに学ラン―と言っても上だけだが―を着、布団を畳む。
1分後。
なんとか畳めたが……ぐちゃりとしている。
あのメガネの人の布団と比べると…………もう目も当てられない。
「…………俺、酷ぇなぁ……ハァ…」
なんかブルーになってきた。畜生。
居間に出てくると、メガネの人が朝食を食ってた。
国崎と七重は居ないな?
「おーっ、早起きだなーっ……」
…名前が出てこない。さっきも思いついてなかったし。
ってこの人の名前知らねぇよ俺!
え、ええっーと…こういうときは…。
「…すんません、名前教えてくれないか?アンタを呼ぶときに困るし…。
あ、俺は梓川。きへんと辛いで梓、それと普通の川で梓川。アンタの名前は?」
【梓川:恋島に自己紹介し、名前を聞く】
202:恋島達哉 ◆KmVFX58O0o
08/06/06 00:00:13 0
間抜けなくしゃみで眠気がすっ飛ぶ。でもまずいな…風邪を引いたかもしれん
風邪を移しちゃ国崎さんや他の方々に色んな意味でダメージを与える事になる。やはりここは早急に…
む、台所から食欲をそそる良き香りが。っとネギを切る音か…
なんだか懐かしいなぁ…お袋がよく…あれ、なんか思い出せない。まぁいいか
次第に何ともいえぬ朝の香り、味噌汁の匂いが今に近づいてきた。やばい、また誘惑に負ける
お盆にはいかにも朝食といった料理が置いてあり、視覚と嗅覚を激しく刺激する
国崎さんはテーブルにお盆を載せ、手際よく料理を置きながら、俺に話しかけてきた
>「よう、恋島か。随分早いな」
けっこう時間経ってると思います。八時回ってますし
ふと国崎さんの視線がテーブル下に向いた。どうやら誰かがメモを置いたらしい
俺より先客・・・あのガタイの良い男だろうか。マジで走りこみにいったのだろうか
すこし興味が沸くが、実際1対1になったらどんな会話をしたら良いんだろうな。カレーか、カレーの話か
何だろう、少々頭が変な方向に回転している。おそらく脳みそに栄養が廻ってないからだろうな
・・・ホント、国崎さんには感謝しきれないな。テーブルに寄り、朝食を頂こうと
>「恋島、俺は店開ける準備してくるから、先に朝飯食ってるよう起きた奴に
伝えといてくれ。……ああ、そうだ。この店出て寝床に戻るなら、朝早いほうがいいぞ。
朝は割りと安全だからな。 出るときは入り口の横の裏口を使えばいい」
そう言って国崎さんは今から出て行った。うーむ…困ったな
・・・先に頂いてもいいのだろうか。国崎さんが来るまで待っていた方が良いのかなぁ
しかし飯を冷ましちゃなんか悪い気がするな。よし、頂こう。せっかくだからな!
さっそく箸を取り、目玉焼きを口に運ぶ。玉子の柔らかさと風味がもうアレだ、たまらん
にしても昼食代と朝食代と医療費と宿泊費で軽く1万超えてるんじゃないか…?そんな危惧がふと頭によぎる
だがしかし、俺はその考えをひとまず置いといて、目の前の朝食に集中した。あぁ、やばい、旨い
>「おーっ、早起きだなーっ……」
背後から何となく気だるさとか鬱とかを含んだ若い声がした。葦川さん…じゃなくて、学生か
頭をぼりぼりと掻きながら、学生は俺を一瞥した。・・・よくよく見れば見るほど俺に似てるな
なんつうか失礼だが垢抜けそうで垢抜けられない所とか。そういやこの子はどういう経緯でこの薬局に居るんだろう
国崎さんの態度からするに、ガタイのいい男と同じように国崎さんと親交関係があるのかもしれない
っと、学生が眠そうな目で俺と目を合わせると、二言を発した
>「…すんません、名前教えてくれないか?アンタを呼ぶときに困るし…。
あ、俺は梓川。きへんと辛いで梓、それと普通の川で梓川。アンタの名前は?」
・・・結構フランクだね~。お兄さんビックリだ。まぁ最近の子は物怖じしないって言うしね
まぁそれならそれで気軽いな。なんとなく緊張状態から抜け出せてるし、俺も学生・・・いや、梓川君にフランクな感じで返事を返す
「梓川君・・・ねぇ。俺は恋人の恋に八景島の島で恋島。下は…別にいいか
それより飯食おうぜ。冷めちまう」
【梓川に自己紹介を返す。朝食を食べるよう薦める】
203:恋島達哉 ◆KmVFX58O0o
08/06/06 00:04:17 0
【安価付け忘れですorz】
>>202は
>>189>>199>>201当てに
204:籐堂院瑞穂 ◆FleR8jlnN6
08/06/06 00:07:19 0
>>197
少年は呆気なく降参してきた。
自分の能力も見せずに降参とは、私は相当馬鹿にされているのか?
多分能力を発動できない状況にあったという所だろう
「これ以上戦っても、互いに何の利益も無い。悔しいがここでやめるとしよう」
「先ずは傷の治療を行いたいんだ。負けも認めた事だし、その刀を納めてくれないか?」
少年の言うことはもっともだ、私はもとより命を奪うつもりはない。
戦うことが目的だったので、相手が降参した今はもう刀を納めるべきだ。
そう言う少年には表情が無かった、痛いとか何らかの感情があるべきなのにその顔には表情がなかった。
不気味な奴だ、勝った気が全然しない。
「分かった、私が負わせた傷だ、私が治療しよう」
私は刀を鞘に収めるとバッグから包帯と消毒液を取り出す。
そして傷口に消毒液をかけ包帯を巻くという実に簡単な応急処置をした。
異能力者なのでこのくらいの処置をすれば自然に治るはずだ。
桐北は痛がっていたが、この少年は眉一つ動かさない。
「よし、終わりだ
そういえば、情報を教える約束だったな
まず、この戦いは『機関』という組織によって行われている
『機関』というのは表裏共に多彩な顔を持つ非常に大きな規模の組織だ」
そして私は少年に『機関』には幹部がいること、トップは城栄金剛だという事、この街にはすでにNo.6のレオーネがいる事、『機関』はヤハウェと呼ばれる能力者と狙っている事を伝えた。
その間も師匠はずっと黙っていた、珍しいこともあるのだな。
いつもならそろそろ話し出して相手を警戒させるはずなのに。
「そして本題はこれからだ、君には是非この戦いを乗り切るために協力して欲しい
別に常に一緒に居るわけではない、連絡を取り合いお互いが危険な時は駆けつける
ただそれだけだ、簡単だろう?」
この少年はまだ能力を発動していない、それであの強さだから発動すれば相当なものになると踏んで、私は協力を願い出た。
そして、携帯を取り出そうとバッグを漁る、ない。
そういえば、自分で壊したのだった・・・・・・
バッグを漁るのを諦めようとしたその時、分厚い封筒が眼にとまった。
中を見てみるとなんと30万も入っていた。
誰のだ?このバッグを拾ったのは廃校の保健室、とすると・・・・・・まさか、桐北のか?
そういえば、ゴミ捨て場に倒れていた時こんなバッグを持っていたような・・・・・・
まあ良い、またどこかで逢ったらその時に返そう。
そんなことより今はこの少年との交渉が大切だ。
「君にとっても悪いものではないと思うが、どうかな?
別に深く考えなくても良い、そこまで強制力のあるものでもないから
忙しくない時に連絡が来た時来てくれればいいのだ」
【籐堂院瑞穂:廻間に協力を提案】
205:五徳 静慎 ◆YUm3AOdOaA
08/06/06 17:46:29 0
>>199
足音
目を覚ましたきっかけはそれだった
誰かが私に気づいたらしく俺を見た後薬局の奥へと去って行く
「ぉお、助かった。だが出来れば声をかけてほしかった。」
独り言をつぶやきながら店の中へと這いずって行く
ブツッと音がしたので振り向くと
コートの中に隠した暗器や弾丸等が音を立ててぶち撒けられている
怪しまれるか?しかし周囲に人は居ない
だが確証も持てない。
仕方なく重たい体を引きずって整理する
今考えたらこの動きのほうが怪しいような・・・
【五徳:目覚め、弾丸整理中、しかし思う様に体は動かずすこぶる怪しい】
206:葦川妃映@代理
08/06/06 20:53:58 0
話し声と朝食の匂いで自然に眼が覚める。
何か夢を見たような気もするけどあまり記憶に残っていない。
起きがけ特有の頭痛を感じながら出て行く国崎をぼんやりと見送って、小さくあくびをする。
肌にべたつくシャツが妙に気持ち悪い。
気になり始めると我慢でき無くなり、二人が自己紹介をし合っている横をとおって居間を出る。
ボサボの髪を手でときながら廊下を歩き、洗面所を見つける。
「まあ、大丈夫よね」
まだ頭がぼんやりする。
躊躇無く洗面所に入ると、服を脱いでそのままシャワーへ。
お腹減ったなー。昨日食べれなかったし。
痛いなー。ああ、結構深く斬られちゃったんだね。
自然と包帯を避けながら、軽く頭と身体を洗う。
熱めのシャワーが寝ぼけ頭にスイッチを入れていく。
そろそろ身の振り方と方針をしっかりと決めていきたいところ。
まずは死なないことを優先に、危ない橋は避けていこうか。
大分生気を取り戻したところでシャワーを出る。
出て気がつく。
着替えが無い。
・・・…
…・・・着たきりすずめ?
【葦川:洗面所で葛藤中】
207:善養寺せつな@代理
08/06/06 21:01:10 0
>>190
午前八時十分。
「それ」は、十分遅れでやってきた。
キキッ、とブレーキ音を鳴らして駅の北側ロータリーに止まった白い軽自動車。
異変が起きているにもかかわらず律儀に生活している人々をあざ笑うかのように斜めに停車する。
すかさず鳴り響くクラクション。
だが、次の瞬間には別のアクシデントが人々の注意を退いた。
道を歩いていた三人が突然倒れ、まっすぐに走っていた車が駅に突っ込む。
鳴り響いていたクラクションが鳴り止んだときには、周囲に立っている人間はいなかった。
「ホーム(距離軽自動車からの南に50m)に一人(NPC)、バスターミナル(軽自動車から南西に200m)に一人(NPC)、駅南(軽自動車から南に300m)に一人(=七重)」
軽快にキーボードをたたきシステムを作動させる。
位置、人数を特定。全員、遠からず近からずの良い位置にいる。
「希望……未来……もらう」
【善養寺:貳名駅北側の軽自動車の中】
【8:10から能力を発動】
【周囲1kmの異能者の位置を把握(国崎薬局にはぎりぎり届いていない)】
【NPCはただのフラグですのでお好きなように……】
208:戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg
08/06/06 21:35:00 O
>>192
「戦場ヶ原は何を食べるの?」
リンは急に甘えた口調で戦場ヶ原に擦り寄ってくる。
女に免疫のない戦場ヶ原は反射的に身をたじろがせたが、それはリンの言動に対して照れと同時に別の一抹の疑念を感じたせいだった。
(『戦場ヶ原』…?)
確かに今この少女は自分のことをこう呼んだ。
今までこの少女は自分のことを「天さん」と呼んでいたはずだ。
それに急に誘惑するような視線で戦場ヶ原に媚びてくる。
短い付き合いだが、この少女は割とドライだが無垢で純粋な心の持ち主だったはずだ。
そんな彼女の行動に対する『違和感』が、疑念となって戦場ヶ原の中に渦巻いていた。
戦場ヶ原はリンを冷たく突き飛ばした。
「誰だ、貴様は。」
その疑念が、2~3段飛ばされて彼の口から放たれた。
風呂に入っている間に何者かに操られたのか、もしくは贋物がなり代わっているのかもしれない。
いずれもこの街では十分に有り得る話だ。
どちらにせよ、今ここにいる少女は、『リン』ではない――…
そんな確固たる確信が、彼の中にはあった。
アテが外れたような邪悪な表情を浮かべる少女に向けて、戦場ヶ原は殺気の篭った眼差しを放っていた。
【戦場ヶ原:変貌したリンに疑念を抱き、敵視する。】
209:廻間 統時 ◆7VdkilIYF.
08/06/06 22:23:35 0
>>204
「ん……随分簡単な治療なんだな」
女が俺に行った治療は、消毒薬をふりかけその上に包帯を巻くと言う簡単な治療だった。
あんまりと言えばあんまりだが、突然の怪我だったので仕方ない。
>「よし、終わりだ
そういえば、情報を教える約束だったな
まず、この戦いは『機関』という組織によって行われている
『機関』というのは表裏共に多彩な顔を持つ非常に大きな規模の組織だ」
女の口から出た情報は、俺を納得させるには十分な証拠が揃っていた。
一つ目は、機関という組織が存在し、非常に規模の大きい組織だという事。
規模が大きいとは感じていたが、表裏共に多彩な顔を持つという事はあらゆる面で力を持っているのだろう……
二つ目の情報は機関がこのバトルロイヤルを行っているという事。
これは俺の推測どおりだったし、深くは考えなかった。
三つ目の情報である、機関には幹部がいるという事。
これも、深くは考えなかった。機関の幹部と名乗っていたツバサとであったからだ。
四つ目の情報は、城栄金剛という存在について……
聞けば、見かけこそ人間だがその力は人間などとはとてもいえない物らしい。
もし敵対する事があれば、決して一人では戦ってはいけないだろうな。
この女と協力しても勝てるかどうかは、分からない。
五つ目の情報。機関の幹部、ナンバー6のレオーネがこの街に潜伏している。
…ナンバー6という事は、ツバサよりも弱いという事か?
いや、それは考えないほうがよさそうだ。下手に強い弱いなどと考えてはいけないからな。
…六つ目の情報、ヤハウェは名前だけならルナから聞いている。
系統こそ違うものの、同じ存在との事だ。
ただし、このルナから聞いた情報は非常に曖昧なもので、間違っている可能性も捨てきれない。
しかし、そんな存在を何故狙う?神にでもなるつもりか?ハッ、馬鹿馬鹿しい。
>「そして本題はこれからだ、君には是非この戦いを乗り切るために協力して欲しい
別に常に一緒に居るわけではない、連絡を取り合いお互いが危険な時は駆けつける
ただそれだけだ、簡単だろう?」
願っても無い頼みが、女の口から飛び出る。
これほどの力を持った存在が味方となれば、これからの戦いはグンと楽になるに違いない。
>「君にとっても悪いものではないと思うが、どうかな?
別に深く考えなくても良い、そこまで強制力のあるものでもないから
忙しくない時に連絡が来た時来てくれればいいのだ」
「わかった。その要求、呑もう」
俺のスピードと、この女のパワーを組み合わせれば…どんな強敵にだって勝てる、そんな気がする。
「これが、俺の連絡先だ。もし分からなくなったら、平日の日中に唯能高校の1-4まで来てくれ。
出席番号は21番、名前は廻間統時だ」
携帯電話の電話番号とメールアドレスが書かれた紙を女に差し出す。
「それと、これは俺からの情報だ。
機関のナンバ-2である、ツバサと言う男がこの街に入り込んでいる。俺はその男と戦った。
どうやら、煌神リンという存在が目的らしい」
出来るだけ鮮明に昨晩のことを思い出す。
そしてツバサの能力、その時に援軍にいた男の事、ツバサの目的がリンであろうことを伝えた。
【廻間:傷は治療完了。血が少ない。籐堂院瑞穂にツバサのことを伝える】
210:煌神 リン ◆7Q1qJNYWx.
08/06/06 22:37:43 0
>>208
「あ~あ・・流石にわかっちゃうか…」
自分では結構にているつもりだったのだがわかってしまったならば仕方ない。
「何だわかったのか、じゃしょうがないな」
戦場ヶ原がびしびしと殺気を放ってくる。
「ご名答、確かにリンじゃないな。でもそんなに突き飛ばす事は無いだろうにうん・・私の名前は…まぁ、そんなことは良いか」
確かに心は変わっても体はリンのままだ。
だから突き飛ばす事は無いと思った。
「あ~あそんなことをするのか…リンがどうなってもいいのかな?」
少しからかうつもりで言う。
「あいつ今ごろ何してっかな~?うん最初のところは見たんだ。初めてだったんだな痛い痛いって泣き叫んでたよ。
そのうち気持ちよくなってきたのかおねだりしたんだ雌犬みたいにくぅんくぅんとな、はは傑作だ。」
そう面白がって笑う無論、嘘だリンはまだ全然平気だ処女だって守っている。
ここでどうでるかでリンへのからかいの度合いを測るとしようか。
【戦場ヶ原を挑発し試す】
211:小村 禅夜
08/06/07 00:02:49 0
>>182
機連送を渡した後
「……いや。探す必要は無い」
そういい、レオーネは人けの無いほうに消えていく
昨夜の作戦報告を聞かれないためだろう
レオーネが見えなくなった後
(へえ・・・一般人には聞かれたくないようなことが起きましたか)
そう思い、さりげなく襟に隠しているコードレスイヤホンを耳にはめる
アルトには気付かれてはいないだろう
そして③のボタンを押す これで機連送の話は聞ける
少しでも昨夜の情報は知っておきたいですしね
「No.1、No.6だ。多少問題が発生した。持っていた機連送が"壊れた"ので、
今 小村の機連送を借りて掛けている」
No.1・・・金剛か
「モーニングコールなら間に合っている……」
それにしてもレオーネも金剛に直接報告、更にこの会話・・・この二人は一体――
「失敗した事か…? あれなら既に別の者を向わせた。
誰かさんと違って期待通りの成果を残してくれる事だろうよ」
・・・・失敗か、まぁ片腕は使えず身に着けているものが無かったんだ当然といえば当然だ
ここでコーヒーを一口飲む
「……知っていたか。すまない、期待に沿う事が出来なかったようだ。
悪いニュースはもう一つ在る」
悪いニュース・・・
「……籐堂院瑞穂が生きていた」
「何ィ……っ!?」
な・・・・!?
「ゴホッ!!ゴホッ!!」
のどを詰まらせた アルトが心配そうにこちらを見るが手で大丈夫だと教える
籐堂院・・・その名前は機関に深く名を残している
機関に対する反組織はいくつもあるが籐堂院が率いる組織は当時一番凄まじかった
しかし奴は昔親と一緒に死んだはず・・・
「ついでに言うと、父親の籐堂院神も"生きている"」
――バキッ!!
通話が切れた・・・・すぐキレるやつだ
「確認したが間違いない。娘の方は多少昔と変わったが、
父親の方は娘の剣に精神をコピーしており、憑依する事も出来るようだ。
迷宮もクリアした。奴らは最早異能者というカテゴリーを大きく逸脱している。
――奴(やっこ)どころの騒ぎではなくなったぞ」
レオーネの迷宮をクリアだと・・・あれは機関でも数名しか破れない難関
そうとうな精神力だな
212:小村 禅夜
08/06/07 00:03:26 0
その後はレオーネと金剛は簡単な情報交換を済ませ電話を切る
小村もそれを確認し、イヤホンを襟に戻す
レオーネが戻ってくるのを見つけ機連送を受けとり、
「報告は終わりましたか?なら今度はこっちに昨夜何があったか教えて欲しいですね
もともと私が出向くはずの任務・・・結果を聞いても別にいいでしょう?」
アルトの作っているラーメンはそろそろ出来上がりそうだった――
【レオーネに情報を要求】
213:七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI
08/06/07 01:40:24 0
>193 >207
空模様は、なんとも言えず嫌らしい
灰色の群雲がうねって押し寄せてきている
無暗に人の不安を煽り、せせら笑うかのようである
七重はまだ駅から出ていなかった
あるいは、出られなかったと言うべきか
朝の人ごみに揉まれて、うじうじまごまごしているのだった
>「ちょっといいですか?」
悪戦苦闘している七重に、背後から声がかけられた
この文句、単なる会話の起点ではなく、
時として他人への注意、または警告を促すものとして使われる
七重もまた、そのような意味に捉えて、
駅員か何かにしょっぴかれると思い、にわかに逃げ出そうとした
が、振り返って見ればなんのことはない、柔和な表情を湛えた一般女性である
立ち止まり、女性に向き直った七重は、なんとなく自分の早計を恥じると共に、
どんな返答をすべきか、ちょっと考える
一拍子置いて、七重はもごもごと口を利いた
「俺は急いでるんで・・・ 良くないです」
急いでいるのは事実だが、ひどく冷淡な対応である
ともかくそれだけ言い放って、さっと踵を返した途端、
七重はがくりと膝を折って、その場に倒れこんでしまった
傍目には、七重が何らかにつまづいて、一人で転んだかのように見えるだろう
しかし、武道に生き、行住坐臥臨戦を掲げる彼に限って、
屋外で軽々しく転ぶなど、あり得ない、許されないことなのだ
どうにか立ち直り、体勢を整えつつ、七重は辺りを見回した
死屍累々とまではいかないが、それに極めて近い光景である
先程まで無秩序に通行していた人々は、みな地に伏せっており、
誰もが身体を動かす気力を発することもなく、
中には息も絶え々えといった者もいる
彼らは己の身の異変に切迫せられて、枯れ声にて、おぞましい合唱をするのである
拡散するうめき声は、助けを求める念仏の如く響いた
七重は事態を瞬時に理解した。周りの人々も、自分と同じ異変に遭っている
己の身内に発生した、急激な脱力感を、ここにいる全員が被っている
幸いにして、自分にはその影響が心なしか緩やかであるのか、身体を動かすことはできる
原因は、何らかのウィルスか、もしくは化学物質か、あるいは放射能の類なのか
しかし、やはり第一候補として考えられるのは、『異能者』なのだ
解決法としては、見つけ出して叩きのめす、というのが有効であろう
七重に声をかけてきた女性も、謎の惰力に見舞われているらしく、
壁に身をもたせて、肩で息をしている。やはり尋常でない
「・・・今は動くな。俺が何とかしてくる」
と、七重は彼女に声をかけ、振り返ることなく、異能の発生源を求めて歩き出した
本当は、言葉を発するのにも体力を使う状態だが、休んでいるわけにもいかない
倒れこんでいる人々を跳び越して、七重は駆けた
【香澄と接触するが、すぐに離れ、発生した異能力の源を捜索】
【善養寺の存在には全く気付かない】
214:アルト ◆lJnztBYxY2
08/06/07 09:33:21 0
>>211
ラーメンを作っている間、ロンバルディーニはどこかへ行っていたようだ。
多分、機関への報告だろう。私には聞かれたくない、ということか。
頑張れば会話を拾うこともできなくはないだろうが、するつもりはない。
任務の失敗、追撃か、又は他の追っ手を差し向けたかは、彼が戻ってくれば分かるだろう。
後は、あの親子についてだが――まあ、どうせ上役が驚いたりする程度だろう。
それよりも、今は上野さんの分のラーメンを作ることだ。
――なんか疲れてるみたいだったし、具は豪華にしておこうかな。
確か、ちょっと前に買ったハムがあったはずだ。それとネギは――まあ、軽く焦げ目をつけておくか。
あとは――これで終わりか。む… なんか、上野さんが咳き込んでる。
大丈夫かと見てみたが、どうやら心配はいらないようだ。本人がそういう風にしているし。
ならまあ、いいだろう。塩ラーメンもそろそろ完成だ。
――と、完成と同時にロンバルディーニが戻ってきた。報告は終ったようだ。
上野さんは通信機――機連送というらしい――を受け取り、彼に尋ねる。
「報告は終わりましたか?なら今度はこっちに昨夜何があったか教えて欲しいですね
もともと私が出向くはずの任務・・・結果を聞いても別にいいでしょう?」
「結果は失敗ですよ、上野さん。……あ、これが貴方の分のラーメンです。具は豪華ですよ?」
言いながらもラーメンを渡す。本当に具は豪華だ。
無論、インスタントのラーメンにしては、なのだが。
「失敗の原因はですね――どうも、厄介な相手が出てきましてね。
籐堂院神――とある反機関組織の創始者にして、籐堂院瑞穂の父親。
機関の人間ならば、ご存知ですよね。年齢から考えても、知っているはずですし。
――あの外道、生きてやがった」
今更ながらに思い出す。あの男は――籐堂院神は、文字通り異能者というカテゴリーを超越している。
その能力を使い、人の体を――自らの娘として育てた少女をも道具とし、そのくせ人格者を気取る男。
機械仕掛けの神、籐堂院瑞穂という器と、籐堂院神という概念。
それらが一つになれば、文字通りの神となり得る存在だろう。
そして、その神の目的がなんなのか――例えばそれは、かつて自らを害した機関への復讐心か。
あるいは、娘を守る為に戦っている気にでもなっているのだろうか。
娘を大事に扱いながらも、機関との戦いから逃げ出すことを考えない。
瑞穂本人が納得しているのは分かっている。だが、そう育てたのは誰なのか。
あの少女は籐堂院神の一部であり、籐堂院神の武器でもある。
そう成ったのは、やはり――あの男の手によるものなのだ。
本人も自覚していない、悪意のない道具の作り方――以前と変わらないその方向性。
…いや、思考がずれている。今はそんなことを考える必要はないのだから。
「それで、ロンバルディーニさん。今後はどうするのですか?
追撃か、それとも他の誰かを向かわせたのか。
そしてその場合、今後はどのような行動を取るのか。
――貴方は、彼女に少しばかり執着していらっしゃったようでしたが」
【アルト:ロンバルディーニに質問】
【小村のことを上野恭平だと思っている】
215:天宮香澄 ◆XzQQgkPzlg
08/06/07 13:56:02 O
>>213
「相当イかれてるわね……こんなとこでこういう類の能力を使うなんて」
壁にもたれ掛かっている香澄の表情は歪んでいた。
だが、それは必ずしも苦痛に耐えかねてのことではない。
確かに常人には耐え難い苦痛であったが、彼女からしてみれば、大袈裟に辛そうな顔をするようなものではなかった。
「許せないわ…こんなに多くの人を……」
地に伏して枯れたうめき声にて助けを求める人々を見渡した香澄は、下唇を噛んだ。
この事態を巻き起こした張本人に対する怒りこそ、香澄の表情を歪めている理由であった。
その怒りには、目の前で苦しむ人々に対して何もすることが出来ない自分に対しての怒りも含まれていた。
(…理事長がいてくれたら、すぐに楽にしてあげられるのに)
そんなことを考えながら、香澄は壁から離れ歩き出す。
さっきの男を追いかけたい気持ちもあったが、今からでは追いつけないだろう。
それに─
「これをやらかしたヤツは、すぐ近くにいるわ」
─自分のすぐ近くに、この騒ぎの元凶の気配を感じている以上、それを放っておくわけにはいかなかった。
機械ではない香澄には、具体的な距離は分からない。
それでも、これだけ近くにいれば発見するのは容易なことであった。
駅の北側ロータリーまで辿り着いた香澄は、気配の主の姿を求めて視線を走らせる。
「あれ…ね」
香澄が睨み付けている先には、一台の白い軽自動車が止まっていた。
【香澄、善養寺の軽自動車を発見する】