【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ3at CHARANETA2
【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ3 - 暇つぶし2ch139:戦場ヶ原 天 ◆u5ul7E0APg
08/05/28 23:22:01 0
>>107-108
長い―とても長い夢を見ていた気がする。

戦場ヶ原は窓から差し込む眩い朝日に目を覚ました。
上体を起こし、彼は暫しの間寝惚ける頭を揺らして記憶を整理する。
夢の内容はこうだ。
彼が池上邸で眠りについているところに、突如襲うすさまじい爆音と衝撃。
驚いた彼は目を醒まし、籐堂院やリンとともに外に出る。
そこには機関の人間と思しき二人組の外人がいて、そこから記憶が飛び、
彼の目の前には死んだはずの滴が立っていた。
彼が滴に手を触れようとしたその時、彼女は何かを口走り…、
そこで夢から覚めた。

「やれやれ…疲れてんのかね、俺も。」

奇怪な夢を見た自分の精神構造に呆れながら、彼はのっそりと起き出す。
自分の体に目を移すと、昨日受けた致命傷のほとんどが回復していた。
能力が封印されたとて、その人外じみた治癒機能までは封印されなかったようだ。
7時間近く睡眠をとった戦場ヶ原の体は、冬眠を終えた獣のように闘気に満ち満ちていた。

ふと、自分に向けられた視線に気づく。
そこには能力を封印され大人の身体になったリンの姿があった。
あどけない顔の面影そのままに、妙齢の女性の持つ未発達な色気が漂うその姿は、より戦場ヶ原の思い描く天音 滴のそれとだぶるところがあった。
数秒その姿に見とれていた戦場ヶ原であったが、すぐに顔を逸らし、そっけない態度で言葉を発した。

「…リン。ここを出るぞ。」

言うなり彼はソファから立ち上がり、行動の支度を始めた。

「能力が封印された今、一か所にずっといるのはマズい。…それにここはあの氷野郎の家だ。
奴が必ずしも無害とはとても言えねぇからな。」

そう言いながら彼は部屋の中をうろつき回り、折角だから少しでも足しにしようと金目のものを物色していた。抜け目のない男だ。
「・・・お。」
タンスの中から上等な浴衣を見つけた。ボロキレのような着物をいつまでも着てるわけにもいかない。
見つけるなりその着物を破り去って池上の上等な布地の藍色の浴衣を身にまとった。
なぜ江戸時代の浪人のような格好ばかりなのかと言えば、それは完全に彼自身の趣味だった。

久しぶりに質のいい服に着替えて若干上機嫌な戦場ヶ原であったが、あくまでその感情を外に出すことはなく、
いつもの仏頂面でリンを伴って外へ出た。
午前7時。街が動き出す少し前の時間帯だ。
戦場ヶ原は2~3歩歩いて池上の豪邸の威容を今一度仰ぐように振り返ると、池上がいるであろう部屋へ向けて、大声で別れの挨拶をした。

「池上燐介ェ!!!俺たちは貴様の言った通り好きにやらせてもらうッ!!
だがなァ!俺たちの邪魔をすることになったら、今度は容赦なく叩き潰してやるからなァ!!!」

あれだけ惨敗したというのにこの強気な態度は、もはや死ぬまで治らないだろう。
しかしそれだけ、戦場ヶ原は嬉しかったのだ。『強敵』との出会いが。彼は池上に敗北したが、3年前の金剛に惨敗した時のような無力感や絶望感はない。
むしろもっともっと強くなって、池上や金剛を超えるだけの力を手に入れる――。そんな前向きな感情が、今の戦場ヶ原を支配していた。

「おい!朝っぱらからうっせーぞ!!」
戦場ヶ原の非常識な大音量の咆哮に、池上の家から斜向かいの家の窓から中年男が顔を出して怒鳴る。
戦場ヶ原がそれに対して鋭く睨みつけると、男は驚き怯えて引っ込んでしまった。
能力はない。だがその眼光から溢れ出る殺気は、失われることなく戦場ヶ原の身を濃く包んでいた。

「あばよ!!」

高らかに池上に対して別れを告げると、戦場ヶ原はリンを伴って宛てもなく歩きだした。

【戦場ヶ原:池上・籐堂院と離脱。リンと同行。現在位置は池上邸付近。】


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