08/05/27 22:49:43 0
>>50>>56>>77
「……ん命は、変え……る………惨げ…は……い避、出来……だぁ……………んぁ?」
顎の痛みで、俺は目を覚ました。
近くには七重のみ。何があったんだっけ?
意識が覚醒するにつれ先程あったことを思い出した。
うん、あの綺麗に決まったアッパーカット。
…最近の女子高生は怖いなぁ……。
「……よお」
七重に右手を挙げて挨拶してみる。返事は聞かない。
そういえば随分腹減ってるな…。
そう思いながら居間に向かう。
いざ居間に来てみれば、そこには――メガネの男性に、長髪スーツの女性が居た。
二人の目線が頭髪に来ているのは気のせいじゃないだろう。残念ながら。慣れてるから分かる。
それにしても…このメガネの人、なんとなく親近感が湧いた。何とは言わないが、この人も大変そうだ。
そんな考えをしていた時に、誰かが台所から来る。
左目に眼帯、白衣。結構がっしりした体つきの男性であった。
その手のお盆には――やはり、『アレ』があった。
『アレ』は全員分有るようで、当然俺の目の前にも置かれた。
『アレ』を見、俺の思考は凍りついたかのようにフリーズ。
もう見たくも無い。
お分かりだと思うが、『アレ』とはそう、悲しきかな、あのカレーだった!
正直カレーと称していいものか判断に迷う。
「……え、これ食えと?」
ポカーンと開かれた俺の口からはそれぐらいしか発声出来なかった。
スプーンを握り締めたまま唖然とする。
って白衣の人食っちまった!
その後は言わずとも分かるだろう…台所に行ってしまわれた。
その後姿がモノのやばさを物語っている…。
こんなの食えるの七重ぐらいしか居ないだろうに。
ところが舌の狂った強者がもう一人居る!
親近感の湧いた、あの地味そうなメガネだぁぁあ!!
普通に食ってるよこいつ!
「…このカレーって、美味いけどぶっちゃけゲテモノだよな」
「旨いのかよ!?」
常人の舌じゃない。
そして俺は勿論食えなかった。食わなかった、ではなく食えなかった。
あのジャンクフードが食えるものか!
「………あ、あの―…俺、食欲無いんで……ご馳走様…」
一口も食ってないけどな。
飯も食えない俺は、台所に行った人がどうなっているのか見に行くことにしてみた。
その光景は、哀愁しか漂わなかった。
延々と「の」の字を書く男性。
なんだかわからないが、この人にも親近感を覚える…。
――俺は何も言わずに、ポンポンと肩を叩いてやった。
【梓川:国崎に同情し、肩を叩いてやる】