08/05/27 22:47:56 0
>>98
リンと一緒に居るのは山田権六と、何故か一緒に行動しているハーケン。
そして籐堂院 瑞穂――。またの名を『機械仕掛けの神(デウス エクス マキナ)』
まさかお前が生きていたとは……。まんまと騙されたという事か。
奴の踏み込みは一瞬だった。一瞬で私に近づくと、奴の拳が水月に吸い込まれていった。
綺麗に吹っ飛ぶと、人目も憚らずに激しく咽た。
多少胃液も逆流する。ハンカチを永瀬に渡したままなのを悔いた。
「はぁ…はぁ……馬鹿力め…!」
涎を腕で拭く。汚いな、もうこのスーツは着れない。
>「気でも狂ったか?レオーネ・ロンバルディーニ、私が直々に目を覚まさせてやろう」
どこまでも……どこまでも……何処までも私の邪魔をする気らしいな!!
久しぶりに頭に血が上る。リンに逃げられた時以来だ。
「この、下っ端のカスがあぁぁぁぁっ!!」
腕に違和感を感じる。何かこう、低音火傷をした時のような熱さだ。
見てみると、【約束は守ります】と書かれている。
アルト・ハーケン……。慇懃な女というのが最初の感想だったが、第二の感想は――。
やはり、慇懃な女だった。ともかく、リンの方はハーケンに任せよう。
私は立ち上がると、体の埃を払った。――薄汚い埃。私の傍に近寄らせたく無い。
心底腹立たしい。奴の存在が、奴の全てが……!
瑞穂とその父親の所為で、私と城栄の計画は1年遅れてしまった。
この思い上がった存在の所為で、我々の崇高な意思が、使命が滞ってしまった。
ハーケンはリンに近寄ると彼女を殴りつけた。
後方に着地したハーケンの腕に抱えられているリンを見る。
一撃で気絶したようだ。後は彼女を機関まで連れて行けば任務成功だ。
>「私は私の仕事をこなしたんですから、貴方の仕事ぶりも見せてもらいますよ」
言われる間でもない。あの女は後の憂いとなる。
ここで確実に仕留める。この命に代えても……!
>「お前の能力は封殺したぞ、レオーネ、では今度こそこの前の決着をつけよう」
決着はつけるべきだ、彼女の言う通り。
だが、目を瞑った程度で私の技が かわせるとは思わん事だ。
「『落とし穴』というのは埋めても埋めても、また空いてくる……
限が無いよな。だが、それも――
お前が墓の下に居れば何も問題は無いっ!」
瑞穂の剣が肩を深く抉った瞬間、私の視界はドロドロに解けた。
私だけではない。瑞穂も山田と池上もハーケンも、人も家も木々すらも解けていく。
あぁ、リン! そんな、お前まで……!!
私は解け往く自分の体を見渡しながら、枯れる事の無い笑い声を上げた。
やや在って、この世の全てが解けた……。
『……アリスはまだ夢の中だ』