【版権あり】召喚戦士達の戦い【TRPG】at CHARANETA2
【版権あり】召喚戦士達の戦い【TRPG】 - 暇つぶし2ch327:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/02/26 21:02:48 0
>323
玉座の間から出ると、紅竜が駆けつけてきた。
>「おおう!たった今お前の妖気が膨れ上がったように感じたのだが、
>もしや敵の召喚戦士が乗り込んできたのではあるまいな!?」
その事にムーミン大佐は一瞬きょとんとし、クスクスと笑いをこぼした。

「はっはっは、即座に駆けつけるとは。紅竜さんの忠誠心には感服しますぞ。
ちょっとした余興だったのだがね、少々過ぎたようだ。」
いつもと変らぬ様子で紅竜に応える。
変化は見られない。
「心配をかけて申し訳なかった。戻ってパーティーを楽しんでくれたまえ。
私は一仕事ある。
Dr.ジャッカルが骨を追ってくれた分、仕上げ位はしておきたいのでね。」
紅竜の肩をポンポンと叩き、笑いかけるが、目は笑っていなかった。
その瞳は「これから捉えたリーベルを虜にしにいくので下僕アンテナの用意を。」と語っている。
だがその瞳は一瞬。
ムーミン大佐はすっと紅竜の横を通り過ぎ、リーベルの捕らわれている部屋に向かう。

途中、食事を運ぶ兵士を見つけ、その運搬を代わる。
赤屍の要望を察してか、豪華の食事がカートに乗せられている。
よく冷やしたワインまで入っている気の使いように小さく口笛を吹いてしまった。
豪華な食事とともに、リーベルの部屋へとムーミン大佐は近づいていく。

328:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/02/26 22:25:00 0
>>322>>324
「分かった、任しとけ!いっちょランカムをバシッと正気に戻してやろうぜ!」
その言葉に微笑で返す…お互いに疲れ果てている。
上条に限っては動くことも辛いような状態であり…俺も覇気が使えない。
…だが不思議だ……今までここまで俺の何かを動かすような闘いはなかった
「フェル、なんとかランカムの動きを少しだけ止めててくれ。そしたら俺がとっておきの呪文で隙を作る。」
「…任せろ。俺が何とかしてみせる!」
今一度拳をしっかりと握る…二度と砕けぬように……強く…堅く!
そしてランカムも剣を抜く……そうだ。今は俺しか止められん。
ポップと上条の二人とランカムの間に体を入れ続けなければ……

「私が神の“代理人”としてあなたがたの罪を赦しましょう」
速い!ランカムはここまで速く跳躍などできなかったはず!!
確かにあいつの剣の腕前は買うが基礎としての体力や運動能力は高いにしても…
そこは人間…しかし今目の前のランカムの動きは…覇気などで強化していないというのに
…やはりこいつは……ランカムではない!!

そしてランカムの突きがポップの頭上へと迫る!
俺は考えるよりも先に動き、ポップを突き飛ばしていた。
「ぐうぅッ!!あがぁぁッ!!!」
ランカムの剣が俺の胸を貫く……覇気など出していない体は
用意に刃を通し脈動するように血が溢れ出す……これでもなんとか頭上の直撃は避けれた。
「ラ…ランカム……お前は神の心などを騙って人を裁くような奴ではないはずだ…!!」
俺は自分を貫いている剣を抜かずに逆にランカムとの距離をつめる。
剣は更に俺を貫き激痛が走る……しかし俺はここで引く訳にはいかない!!
「お前は少し前に俺に闘う方法を…教えてほしいと言ったな……」
更に距離をつめる…すでにランカムの剣の柄部分まで俺は自分の体を押し込んでいた…
「きっと、お前は…力がほしかったんだろう。だが…お前は気付いていなかった!!」
そして俺はランカムの肩を強く掴む。おそらく今ここで剣を横になぎ払われたら俺は真っ二つ…
だが!たとえこの剣が俺の胴体を切り裂いてもこの腕だけは離すわけにはいかない…!!
「お前はすでに俺には持ち得ない力を持っていた!!
 そして…それを俺に教えてくれたッ!!お前は弱くなどない!!」
その瞬間、わずかにランカムの動きが止まり、剣に込められた力が緩んだ。
「ぐっ……ポップ!!今のうちにさっきいった…取っておきをやってみろぉ!!」

329:リーベル ◆fbsB0QAAho
08/02/26 23:25:43 0
>309-310、>327
>「私を楽しませてくれたお礼、ただ、それだけです。」
ただそれだけの理由でここまでするとは……
赤屍という男の事を多少は理解したつもりだったが、その予想を
はるかに超えていたようだ。内心呆れてしまったがそれを顔には出さず
純粋に心遣いに対して礼を言う。
「そうですか……感謝します。」
頭を下げると、ジャラリと鎖が耳障りな音を立てた。

>「どうぞ、好きなだけ食べて下さい。その篭に入っている果物も置いて行きますので…。
> …正直、貴女の言う通り私にとっては嬉しい限りですよ。
> 貴女以上の手練と戦える機会なんてあまりありませんので…。」
自分など大した手練ではないのだが、先の死闘の際に超えた限界など
とっくに超えて一つ先或いは二つ先の限界も既に超えた、化け物と形容する以外に
言葉で表せないような強者達と戦った事も何度かあるようだ。
それでいて今目に前にいる……今更ながら自分の見立てが余りにも都合よく
下方修正を掛けていた事を思い知らされる。
「……そうですか。あなたには、他に楽しみと言えるものはないのでしょうか……?」
そこまで突き抜けた存在との開港は初めてなリーベルにはとても興味深い事柄である。
答えが得られるとは思ってない、ただつい思いついた事を口に出してしまうだけだ。

>「食事については定期的に持って来るように伝えておきます…。
> 味はあまり良くないと思いますが、ご了承下さい。
> それでは、私はそろそろ失礼します…。」
先ほどの言葉の意味を勘違いしたのか、定期的に食事を持ってこさせると約束して
赤屍は退室した。真面目なのか天然なのか、掴み所のない赤屍はリーベルの好奇心を
大いに擽る存在だった。絶望的な状況下にも拘らず、笑い声が漏れる。
「クスクス……おかしい人ですね。
 でも……困りましたね。あのままでは果物は食べられないわ……。」
一頻り笑った後で問題に気づいた。今の自分には
皮付きの果物に齧り付くだけの顎の力もなく、皮を剥く刃物もなく、
歩く為の腱は切られたまま、篭の置いてあるテーブルまではどうしても歩かないといけない。
……数分考えて存外あっさりと諦めた。無理なものは無理!
「……そう言えば、赤屍さんは運び屋を営んでいる……
 そして、彼の望みは強者との戦い…………」
数分考えて、リーベルの頭の中で一つの案が浮かび上がり骨格が出来上がった。
同時に浮かび上がる問題点を念入りに潰して肉付けをしていく。
期待は出来ないが何事も駄目元、分の悪い賭けだが試してみる価値はある、と
結論付けた。その為には……もう一度赤屍に会わなければならない。
この稚拙な企みは、前提として赤屍がいなければ始まりもしないのだから。

>豪華な食事とともに、リーベルの部屋へとムーミン大佐は近づいていく。
そんな企みを考えているとは露知らず、ムーミン大佐が部屋へと近づいてくる。
幸いにして、聴覚だけは聊かの損害も受けていなかったようで、廊下に響く靴音から
その足音の主がムーミン大佐のものだと瞬時に気づいた。一番厄介な相手が
このタイミングで……いや、大佐の性格や言動を考慮するとむしろ遅すぎるぐらいだ。
気付かれる訳にはいかないと、平静を装う事にする。同時に、力を取り戻せていないか
精神を集中させるが……やはり駄目。赤屍の毒は抜けている筈、ならばやはり
肉体と精神の状態が平時にも届いていないからか……

330:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/02/27 00:11:39 0
>>324
>「さあ、“神”に赦しを請うのです。今ならまだ間に合う」
>「私が神の“代理人”としてあなたがたの罪を赦しましょう」
ランカムが言い終えた途端、その姿が消えた。
「なっ?」
いや、消えたかと思うほどに速かったのだ。
気付いた時には、ランカムは天井を蹴りポップの頭上から剣を突き立てんと迫っているところだった。
(死っ……)
速すぎて思考すら追いつかない。しかし剣が当たるより先に横から衝撃が走った。
その衝撃に弾かれ、ポップは床を転がって壁にぶつかった。
「あつっ!」

>>328
>「ぐうぅッ!!あがぁぁッ!!!」
一瞬目を回しかけたポップだが、耳に入った絶叫に気を持ち顔を上げる。
そこにあったのは、さっきまで自分がいた位置で、ランカムの刃に胸を貫かれたフェルの姿だった。
「フェ、フェル!そんな、嘘だろ!?何やってんだよ!!」
目の前の全ての光景が、ポップには信じられなかった。
あのフェルが、自分を庇って凶刃を受けるなんて。いや、それどころではない。
あれは致命傷ではないだろうか?
しかしフェルは怯むこともなく、ランカムの正義の心に訴えかけながら、逆に前進して行くではないか。
自らの体が両断されかねないというのに、それすら厭わず。
ポップの両目から大粒の涙がこぼれる。

「ちくしょう、ちくしょお!俺のばっきゃろーっ!!」
ポップは天を仰いで絶叫し、それから決死にも似た表情で場を見据えた。
フェルが命を賭して守ってくれた勝機、決して無駄にはできない。
>「ぐっ……ポップ!!今のうちにさっきいった…取っておきをやってみろぉ!!」
「まかせろ!フェル、お前は絶対に死なせねえからな!」
握り締めていた試験管を、ポップはランカムの足元に思い切り投げつけた。
試験管は派手に割れ、エーテルを僅かに含んだその破片がランカムの周囲に散らばる。

「とっときだ、くらいやがれ!破邪呪文(マホカトール)!」
詠唱と共に、エーテルを含んだガラス片のうち5つが光輝き、五芒星の頂点となって魔方陣を描いた。

マホカトール。それは魔方陣の内側の悪しき力を打ち消し、外側からの侵入も拒む破邪の呪文である。
ただしそれは絶対効果ではなく、強い魔の力の前ではその影響を軽減するだけで終わったり、
さらに強大な魔の前ではあまり効果のない場合もある。動きを止めるほど効くかどうかは一種の賭けだ。
しかし、フェルの魂の声にランカムの正義の心が揺さぶられているのなら。
破邪の呪文は、ランカムの魂が魔の力を押し返す助けとしてより強力な効果を発揮することだろう。
「上条-っ!今だああっ!」

331:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/02/27 20:35:34 O
魂の奥。ランカムは闇の底に居た。
--ここは…一体、どこなんだ…?
そうだ。自分は仲間の安否を確かめる為に、城へ向かっていたはずだ。

--暗くて…よく…わからない…。
手足の感覚が無い。立っているのか、座っているのかすら解らない。
これが、地獄と言う物なのだろうか。

--…そこにいるのは、フェル……?
ふと、懐かしい気配を感じる。彼といたのは、今では酷く昔のような気がする。

--待ってください……身体が、思うように動かないんです。
感覚の無い手を、動かそうとする。その手に肉を裂く感触が伝わってくる。
--フェルッ!!!

現実世界、剣がポップを庇ったフェルの胸を深く貫いていた。
「無駄な事を…。愚かな“ランカム”は死にました」
だが、本来ならそのまま心臓を貫いていただろう刺突は、微かに狙いを逸れていた。
“魔”が、その小さな違和感に気付く事は無い。

「弱い人間だから“神”にすがる。人は、支配される事を望んでいるのですよ」
ランカムの肉体を借りた“魔”が、ランカムを侮辱する。
「ゴミクズのような人生しか歩まないような輩に、“救済”など必要ない」
なおも呼びかけるフェルを嘲笑うように、語調を荒げる。
「必要なのは“選別”ですよ。共通の“価値観”、剃刀の刃一枚入る隙もない完璧な“法”…」

「…我々が愚かな人間に、“神”を与えてやろうと言うのです」
だがフェルは、ランカムへの呼びかけをやめない。
自分の身を犠牲にして、なおも前進しようとする。
「お、おやめなさいッ!」
魂を根底から揺るがされるような気迫に、“魔”がたじろぐ。

フェルがランカムの肩を掴む。その手から、熱い思いが伝わってくる。
「…我々が責められる理由は、何もないッ!」
それを振り払うように、腕に渾身の力を込めようとした。
このままあと数センチ手を動かせば、フェルの心臓を貫き、フェルの命は失われる。

だが、その手が動かない。まるでそれ以上動く事を、手が拒んでいるようだった。
足下で砕けた試験管が、魔法陣を描き出す。
「……フェ…ル…」
その一瞬後、マホカトールの閃光が玄室を光に染めあげた。
《何故だッ! 何故お前たちは戦える? 人間とは、脆弱な存在ではなかったか!》
狼狽と怒りに錯乱した意識が、拡散を始める。

“魔”がランカムの魂と拮抗し、一時的に主を失った全身が、石のように硬直する。

332:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/02/28 01:34:18 0
>>328
ランカムが槍を突き出す。
空気を穿つ人外の速度と膂力。それを用いて放たれた一撃は、
銀の軌跡としてポップへ襲い掛かり――しかし、彼を貫く事は無かった。

>「ぐうぅッ!!あがぁぁッ!!!」
「フェル!!?」
ランカムの放つ槍が貫いた先、そこにいた人物はフェルだった。
彼はポップを庇い、自らの体でその凶刃を受けたのだ。

フェルは槍に貫かれながら、夥しい量の血を流しながら、
その命を削りながら、それでも前に進んでいく。
一歩、また一歩。ランカムの心へ呼びかけながら。

おそらくは仲間として 友として
フェル・エクスティムはランカムへ進む。

>>330
>「とっときだ、くらいやがれ!破邪呪文(マホカトール)!」
フェルが作り出した好機、それ無駄にしない為に、
ポップが涙を流しながら魔術を放った。
ガラス片が散り、五芒星がランカムを包み込む。

>「上条-っ!今だああっ!」
そのポップの咆哮、それを起点に上条はランカムへ向かい疾走した。
未だに全身は痛む、怪我をした脇腹が無理に動き回ったせいで熱い。
だが、フェルとポップが作り出してくれたこのチャンス、
絶対に逃してはいけない。
待つしかない状態の中、強く噛み締めた下唇からは、血が流れていた。

駆ける。上条がこのままランカムに接近しても迎撃されるだけだっただろう。
だが、フェルとポップ、彼らの意思が、ランカムの動きを止めてくれていた。
だから、出来る。

>>331
>《何故だッ! 何故お前たちは戦える? 人間とは、脆弱な存在ではなかったか!》

「うるせぇ、引っ込んでろ最弱!ここにいる全員が、
 ランカムって人間を大切に思ってんだ!だから――」

上条は硬直したランカム懐へ潜り込む。その距離は零になり

「とっとと、目ェ覚ましやがれえぇェェ――ッッ!!!!!」

咆哮と共に、幻想を殺す拳が放たれた。

333:紅竜 ◆DuEaAnn9RQ
08/02/28 16:48:59 O
>>327
>「はっはっは、即座に駆けつけるとは。紅竜さんの忠誠心には感服しますぞ。
>ちょっとした余興だったのだがね、少々過ぎたようだ。」
「おおう。やはり余興だったのか。
知っていたが、念には念を入れようと思ってな。ふははははははは!」
笑いながら紅竜が見る限り、ムーミン大佐に変わりは無いようだった。
これから赤屍絡みの一仕事をする、と言って紅竜の肩を叩く仕草にも。
だがその目を見て、紅竜もムーミン大佐の意図を知る。
悪の天才として悪巧みにも自信があるのだ。
「では私はパーティー会場に戻るとするかな。
せっかくの宴は楽しまんといかん」

ムーミン大佐と別れ、紅竜は自室に戻った。
部屋の中には、この世界に飛ばされてから新しく開発した機材や器具が、所狭しと並べられている。
真ん中の巨大な水槽の中では、データ解析中のストロングポチ3号が静かに眠っていた。
紅竜が魔法石を元に開発した人工知能は、ポチが普通の大トカゲである事を水晶球に表示している。
「おおう‥‥ドラゴンを触るだけでトカゲに変える能力か‥‥
天才である私が手に入れる価値のある力よ」
上条の持つ幻想殺しの力を解明する作業は、まだ始まったばかりなのだ。

人工知能に別の指示を与えた紅竜は、下僕アンテナを持って再びパーティー会場に戻った。
「おおう。そろそろお前たちも退屈してきたのではないか?
今から赤屍が捕まえてきたリーベルとやらを尋問しに行くのだが、見に来てはどうだ?」
会場にいる赤屍とルミナに話しかける。
自分の作ったアイテムの効果を見せて、自慢したかったのだ。

334:東條ルミナ ◆Yw2bVAsGtA
08/02/28 19:53:49 O
「………」
今まで何度か修羅場はくぐったことはあったが、こんな悪寒を感じることはなかった。
赤屍との初対面時の比では無い。考える余裕すらない。
軽度のパニックに陥っているルミナに赤屍が耳打つ

赤屍の目的を聞いた後、ルミナは一呼吸すると、直ぐ様立ち上がり、近くにあったアルコール度数が高そうな酒を一気に飲み干す。
「……うぇあ…ゴフゴフ……そうか…できりゃそのリストに載ってないことを祈るよ…ところで、奴……紅竜に何か感じなかったか?」冷静になった所で、赤屍にそう訪ねる。
「探偵の勘っつーかなんつーか、何となくだが、奴は嘘をついている筈だ
 証拠は今のところ全くねぇがな…あぁそれとな」

「…いややめとく、ちょっとばかし飲み過ぎてな。部屋で寝てるよ」
姿を現した紅竜の誘いを蹴り、ルミナ若干よろけながら宴会場を後にした。

335:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/02/28 21:33:39 0
>329
*コンコン*
リーベルの捕らわれている部屋のドアからノックの音が響く。
そしてドアは、返事を待つ事無く開かれた。
ドアの向こうにいるのは、豪華な食事ののったカートを押すムーミン大佐。
「やあ、リーベル。」
にこやかに声をかけ、親しげに呼び捨てで呼ばれると、かつてのことを思い出すだろう。

以前リーベルはムーミン大佐とは気を許す関係だった。
勿論それはムーミン大佐の策略であり、芝居の上で踊らされての事。
つい口を滑らせた以降、追われる日々を送る事になる。

リーベルにとっては苦い思い出だろうが、ムーミン大佐はまるで気にしていないようだ。
「君の力は戦力面より、戦略・戦術面でこそ生きるものだ。
なのにDrジャッカルとまともに戦うのだから、君にしては随分と無謀な事をしたものだ。」
肩を竦めながら差し出される一粒の種。
二人の間に種についての説明は要らなかった。
ドライアードの種。
体内に入り、回復の力を振るうのだ。
「安心したまえ。小細工はしない。
折角五体満足でいるのだ。できれば同僚となりたいのでね。」
二人っきりで部屋の中。
たとえリーベルの魔力と体力が回復しても、魔力封じの鎖がある。

種を渡すと、ムーミン大佐はワインを抜き匂いをかぎ、「うむ、上物だ。」と満足気に二つのグラスに注いでいく。
「こうやって落ち着いて話すのはどれくらいぶりだろうかね。
再開に乾杯しようじゃないか。」
そして、グラスをリーベルに差し出すのであった。

336:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/02/28 22:55:54 O
上条の拳が、王墓に音高く響いた。全身が熱くなる。
その一撃に込められた思いは、魂までも届くようだった。

ランカムは再び、魂の世界にいた。

--私は…何を見ているのだ?
“魔”が消え去る、最後の瞬間。
その時になって、ランカムに秘められた力が発現したのだ。

次元を越えて垣間見た光景は、自分がいた世界の事だった。
「やはり、団長は亡くなられたのですね」
どこか納得したように、寂しげに笑う。予感していた通りだった。

もし、この戦いが終わって元の世界に帰ったとしても、
敬愛する騎士団長は、もうこの世にはいないのだ。

後ろを振り返る。
闇が広がっている。そこに、騎士団長がいた。
…理想を持ち、騎士団中の尊敬を集める人だった。
若くして騎士団の一部隊長となった直属の上司がいた。
…神経質だが、仲間を思いやる人だった。
気のいい仲間がいた。自分と同期の騎士。
…士官学校の頃から、共に夢を語り合った。
「“魔”よ--」

彼らはもう、この世にはいない。
ここには居られない。帰らねばならない。
今、守りたい“仲間”がいるのだ。
そして今度は振り返らずに、光に歩き出す。
「--去れ」
光が溢れた。

霧状の“魔”が、ランカムの身体から飛び去ってゆく。
それと同時に、全身の力が抜ける。

「上条…殿……ポップ殿……………フェルッ!!」
自分も倒れそうになりながら、慌ててフェルを支える。
「すみません……皆さん…すみません…」
涙で言葉が続かない。

応急にフェルを止血しながら、仲間達の状態を考える。
ポップは今日一日で、相当の魔力を使っていたはずだ。
上条にしても、その疲労は並大抵ではないだろう。

そこで、黒狐の姿を思い浮かべる。
--正式に仲間に加わって貰えるよう、頼もう。
治癒の力を扱える彼女の存在は大きい。

一方、上条は魔法では治療できない。
--リーベルの残した霊薬は、幾つあっただろうか。

次に目についたのが、パラシエルだった。
何事も無かったかのように、寝息を立てている。
--そう言えば、彼の鷲にも治癒能力があったな。
その鷲が、宝玉を胃袋に収めているとは、その時思いもよらなかったが。

急に、城の外が騒がしくなる。勝鬨をあげているのだ。
…勝ったのだ。徐々に、その実感が沸き上がってきた。

337:赤屍 ◆jdLx9J.tuQ
08/02/28 23:30:38 O
>>334>「……うぇあ…ゴフゴフ……そうか…できりゃそのリストに載ってないことを祈るよ…ところで、奴……紅竜に何か感じなかったか?」
「ご心配無く…今のところルミナさんの首を頂く気はありませんので。
…紅竜さん…ですか?いえ、私は特に。」
>「探偵の勘っつーかなんつーか、何となくだが、奴は嘘をついている筈だ
 証拠は今のところ全くねぇがな…あぁそれとな」
「……私は別に構いませんよ…。
彼が私の邪魔さえしなければ、何を企んでいようが関係ありません。
私の妨害にならない限り彼に必要以上に干渉する気もありません。」

>333会話をしている赤屍とルミナに紅竜がリーベルの尋問に付き添わないかと誘ってくる。
ルミナは飲み過ぎた為部屋で寝てると断った。
「……お付き合いましょう。このまま此処に居ても退屈ですしね。」

338:リーベル ◆fbsB0QAAho
08/02/28 23:52:00 0
>335
>「やあ、リーベル。」
果たして、ノックへの返事を待たずに開かれたドアの向こうには
リーベルの耳が捉えた足音の主、ムーミン大佐がいた。
その気安い調子で名を呼ばれるのはいつ以来だったか……
若さゆえの過ち、そう過去の自分を断じたリーベルはもうその件は
気にしていないつもりだったのだが……改めて古傷を抉られると
顔にこそ出なかったがやはり不快だった。

>「君の力は戦力面より、戦略・戦術面でこそ生きるものだ。
> なのにDrジャッカルとまともに戦うのだから、君にしては随分と無謀な事をしたものだ。」
「そうね、誰かさんと違って小細工の通用する相手ばかり選ばなかったもの。」
かつての様ににこやかに、気安い調子で返答するが言葉の端々に刺々しさが見え隠れする。
発せられた言葉は、大佐への皮肉とも自身への自嘲とも取れる内容だった。

>「安心したまえ。小細工はしない。
> 折角五体満足でいるのだ。できれば同僚となりたいのでね。」
「その言葉を信じろと?私に人の親切を疑うように仕込んだのはあなたでしょう?
 前にも言った筈よ……お断りだって。人を騙す事に何の迷いも呵責も感じない、
 あなたの様な者とは、特にね。」
力がない上に鎖が重いために種を突っ返す事は出来なかったが、
改めて魔王軍に下る意思がない事を表明する。大魔王の目的は依然として知れない、
しかし目の前の存在はその奥底に凶悪な本性を眠らせている。
もし知識を渡してしまえば、それは必ず全ての世界に災いを撒き散らす。
自分のミスでそんな事になるのは耐えられないし、折れてしまったら
自分を信じてくれた全ての仲間への冒涜に繋がるのだ。
孤独な戦いを続けていたリーベルにとって、この世界で出会った仲間達は
何よりも大切なもの。そして恐れるのは死ではなく、憎悪或いは侮蔑からの別離なのだ……

>「こうやって落ち着いて話すのはどれくらいぶりだろうかね。
> 再会に乾杯しようじゃないか。」
ジャラリ、とわざと耳障りな音を鳴らせて肩をすくめる。
「ええ、ぜひとも乾杯したいわ。
 ……この状態で出来ればの話だけれどね。」
赤屍も同じケアレスミスを犯しているのだが、対応と感情には雲泥の差があった。
もっとも、赤屍はその事に気づく前に出て行ってしまったが。

339:名無しになりきれ
08/03/01 08:20:25 0
> リーベル


空気嫁

340:名無しになりきれ
08/03/01 09:10:01 O
空気嫁とまでは言わないけど中の人のミスをまんまキャラのミスにしてしまうのは気遣いが欠けてる
キャラらしからぬミスはフォローしてあげる優しさがほしかった
リーベルも自分の立場なら中の人のミスをいちいち突っ突かれるのは気分がよくないだろうに

341:黒狐 ◆lXU3SERRZI
08/03/01 14:19:05 0
閃光の走りぬけた地下王墓の入り口で、黒狐は立ち尽くしていた。
味方しかいない筈の場所なのにほぼ全員満身創痍。
何かトラブルがあったのは間違いないが・・・。

「もう少し早めに来るべきでしたか・・・。」
そう言いながら一人一人の傷口を検分する。
「仕方ないですね、これを使うと多少疲れますが。」

黒狐が胸元のペンダントに手をかざすと、漆黒のペンダントから蒼い光が溢れ出す。
その光はまるで霞のようにその場にいる召喚戦士達を包み込む。

「《ガイア》よ、この場に立つもの全てに等しく恩恵を与えたまえ。
 ・・・・・・《ネルガル》、《イドゥン》。」
蒼い光は奔流となってその場に立つもの全ての傷を癒してゆく。
ただ、上条のみがその光をはじいているのだが。

やがて、蒼の光が収まる頃には上条を除く全員の傷、そして魔力が回復していた。
「回復はさせましたが、傷を負った自分の精神までは回復しませんから
 とりあえず今日は皆さん安静にすることですね。神の加護も万能ではありませんし。」
さらに黒狐はよっこらしょ、と何もない空間からデイパックを取り出した。
中には以前ポップにも渡した試験管のようなものがぎっちりと詰め込まれている。

「上条さんは魔法が効かないようですので、ちょっと沁みますけど我慢してくださいね。」
そうまくしたてて座り込むと、上条が抵抗するより早く頭を膝の上に乗せて全身の傷口に
試験管の中身を浴びせてゆく。傷口が白煙をあげてふさがってゆくが、かなり沁みるのだった。

342:紅竜 ◆DuEaAnn9RQ
08/03/01 16:04:37 O
>>334>>337
>「…いややめとく、ちょっとばかし飲み過ぎてな。部屋で寝てるよ」
>「……お付き合いましょう。このまま此処に居ても退屈ですしね。」
紅竜の誘いにルミナは部屋で寝ていることを選び、赤屍は付いてくる事を選ぶ。
説得工作は1人ずつばらばらに行う方が効果的なのだから、これは紅竜にとっても嬉しいことだ。

「赤屍よ。召喚戦士たちの戦い、お前も楽しめているようだな。
だがもうすぐ強敵との戦いも我らの勝利に終わる。
優秀なる悪の陣営の定めとはいえ、辛いものよ」
リーベルの捕らわれている部屋に向かう途中、紅竜は赤屍に話しかける。
赤屍が強敵との戦いを願っている事はわかっていた。
一度は大魔王に戦いを挑もうとしたほどの男が、戦いの終了を受け入れられるのか?
そんなはずはないと紅竜には思える。
目の前に戦いを置いてやれば、ある程度この危険な男を制御できるはずだ。

「ところで、じつは私はこの後、さらなる強敵と戦う予定があるのだ。
もしお前がよければ、その強敵との戦いに加わって欲しいと思ったのだが‥‥
もしその気があるのなら、ぜひDr.ジャッカルの力を私に貸してもらいたい。どうだ?」
話ながら紅竜は、手元の盗聴監視装置をのぞき込む。
緑色の光は、魔法や誰かによる盗聴が一切無いことを示していた。
それでも念のため、大魔王という言葉は出さないようにしているのだが。

343:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/03/01 21:36:35 0
>338
あくまでも反抗的な態度のリーベルにムーミン大佐は小さく息をつき肩を竦める。
「やれやれ、随分と嫌われてしまったね。
もっと早くご機嫌伺いにこればよかったかな?
私も宮仕えの身でね、色々仕事があったのだよ。」
リーベルの言葉の糸をを知りながら話をはぐらかす様に冗談を交えて応える。
だが、それでもリーベルの態度は変わらない。
ワイングラスを二つ片手に持ちながら、リーベルのすぐ前まで歩み寄る。

「鎖が重い?種を飲めば力はすぐに戻るのだが、飲まないのかね?
何なら・・・口移しで飲ませてやろうか!?」
最初は穏やかに語っているが、徐々に言葉は強く、凶暴性が滲み出てくる。
リーベルの顎を掴み強引に上を向かせる。
が・・・すぐに手を離し三歩離れる。
「・・・ふっ・・・やめておこう。私とてまだ殺されたくないのでね。」
身震いをするムーミン大佐の考える事はやはり妻の事だった。
下手な事をして後で知れれば命は無いのだから。

小さく息をつき、呼吸を落ちつかせると、また元の笑顔でリーベルに語りかける。
「まあいいさ。すぐに気が変わるだろう。
ぜひとも君とはご同輩になりたいので、ね。」
そう、焦る事は無いのだ。
もうすぐ来る紅竜に任せればいい。
ムーミン大佐はその到着を待ち、グラスを傾ける。

344:アヨガン国の様子 ◆svDXdcR9Gw
08/03/02 02:18:29 0
王家の墓で争いをしていると聞きつけた兵士達が集まってきた。
召喚戦士同士の争いを、何とも言いがたい表情で見ている者も居る。
「まったく、行く先の不安なことだ。
 現状、大魔王軍では内輪揉めをしている様子も無いというのに、こちらが仲間割れをおこしてどうする?
 ただでさえ兵力で劣るのに、これでは付け込む隙まで与えかねん」
鎧も戦場で大いに目立つ立派な鎧を着込んだ男はそのような発言をした。
彼は数名の従者を引き連れている。将軍だと思われる。
「国王がお呼びだ。食事と寝る場所を用意するが故、是非にとのことだ」
将軍らしき男は短くそういい残して、踵を返した。
態度から察するに、どうも召喚戦士に良い印象を持っていない人物のようではある。
しかし、国王自身からは高く評価されているようだ。

召喚戦士達が食事等を済ませた後に通された会議室は、驚くほど質素なものだった。
よほど近しい人物としか話し合いをしないのだろうか?
「古の兵法家は言う」
国王は突然、そのように話を切り出した。
「戦えるときに戦え。それが駄目なら守れるうちに守れ。
 守れぬようなら逃げられるうちに逃げ、それでも駄目なら降伏せよと。
 その後、降伏もできぬ輩は死ね、と続く訳だが……」
王は椅子から立ち上がり、言葉を続ける。
宝玉を奪われたことを知ってなお、その瞳の奥の闘志は、いささかも失われていない。
「戦力的に見て、われわれはまだ戦うことができるが、もはや守ることはできない。
 『封魔の宝玉』が敵の手に落ちた以上、戦略的に守る価値があるものは無い。
 無論、戦う力を持たぬ民を守らねばならぬのは、言うまでも無いがな」

「申し上げます」
初老の家臣が提言した。
「敵に奪われた宝玉は、パラシエルが用意したダミーかと」
そう言って取り出したのは綺麗な丸い玉。
それは間違いなくあの封魔の宝玉に相違なかった。
「むむむ。だが、向こうもすぐに気付くだろう。
 あのとき奪われたものが本物であれば、こちらがなんとしても宝玉を奪いに来ると考えて、罠を仕掛ける迎え撃つだろうが……
 だが、どちらにしても、これ以上、無闇に防衛戦を続けて兵を疲弊させるのは、得策ではない。
 攻めに回らなければ魔王は倒せぬ。事態が解決しない。
 私はそう思うが、お前たちはどう思う?」
国王は召喚戦士たちに意見を求めた。

345:東條ルミナ ◆Yw2bVAsGtA
08/03/02 02:47:21 O
自室へと戻る最中、ルミナは考えに耽っていた。
その足取りは先ほどの千鳥足が嘘だったかのようにしっかりとしている。
その通り、あの千鳥足はあの場から消える為の演技で、まだルミナはそこまで酔っていなかったのだ。
「………」
ルミナの魔術はこの世界の魔法よりも優れている点もあるがそれ以上に劣っている点も多い。
例えば、空間移動ならば、この世界の魔法使い、またはそれに近い魔法使いならば、どんなに離れた場所でも直ぐに行けるが
ルミナの場合、半径100m無いぐらいの範囲内の何処かに移動出来る程度が限界
始点、終点を確定させれば場所に関してなら融通は聞くかもしれないが
空間移動でそこまで苦労するのだから、平行世界への移動なんて無理難題もいいところだ。
石を調べればどうにかなると思ったが、それも大きな壁にぶつかって困っている。
そんな折りに、捕虜になった召喚魔法に詳しいリーベルの存在は貴重である。
予定ならば、今頃、目の前で話をしているつもりだったがそうもいかない。

警戒している人間の前で、そんな話をしてみろ。後悔するに決まっている。
紅竜の誘いを蹴ったのはそういう理由があったからだ。

346:東條ルミナ ◆Yw2bVAsGtA
08/03/02 10:13:42 O
「……だが、このままじゃ」
帰る為のヒントが奪われるのは必至だ。
だからこそ、こうして策を練っているのだが中々いい案が思い付かない。
いっそ、紅竜は謀反を~と魔王にいうか?
いや、こんな一言でどうにかなるなら、探偵という仕事がどんなに楽か。
とにかく、目立った証拠が無い限り密告は不可能。
「………そうか…待たなくてもいいのか」
何か思い付いたのか、ルミナは周囲を見回し、人気の無いことを確認すると詠唱を始める。
「………"サーフェイス・オフ"発動」
詠唱を終えると、ルミナの姿がボヤけるように消え、紅竜の姿が露になる。
一目見た相手に一定時間変身する魔術を使いルミナは紅竜に化けたのだ。
「…さてと、忙しくなるな」
軽く準備運動をしたあと、来た道を叫びながら走る。慌てているようにしなければ誤魔化せることは出来ない。

「大変だぁぁ!」
宴会場の扉を勢いよく開ける。
呆気にとられる兵士を見回した後、近くにいる兵士に向かって
「おいッ貴様!さっきここに私が来なかったか?
 愚か者!それは敵の召喚戦士だ!先ほどの異変で何もないと思ったか!敵は私の姿でこの城の中にいる」

347:キキ ◆xpIzi22gbg
08/03/02 11:11:19 O
「貴様らは先ほど逃げた私を追え!私は大魔王様の元へ行く!」
そう言い残し、宴会場を後にし、直ぐ様人気の無い場所に隠れる。
「"解除"」
紅竜の姿を解き、ルミナの姿に戻り、物陰から兵士が来るのを待つ。
「…さて、鬼ごっこの始まりだ。」
追ってきた兵士に魔弾を撃ち込み、紅竜の姿に変える。
いつの間にか追われているなんて本人らは奇妙な気分だろう。
「………さてと…行くか」
タバコを一服し、リーベルの部屋に向かった。


最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch