【版権あり】召喚戦士達の戦い【TRPG】at CHARANETA2
【版権あり】召喚戦士達の戦い【TRPG】 - 暇つぶし2ch71:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/17 23:53:20 0
>68
ウサコに警告され、視線を石へと移す。
確かに見ただけでもそのパワーを感じることができる。
「ふうむ。しかしいくらパワーがあっても所詮は道具。使う者さえいなければ・・・。」
警告の言葉と石を見比べ、ウサコの意図を把握しながら応えた。
城の警備兵も魔術師もこの混乱の中であの石を召喚以外に使用できる事はないだろう。
異界から召喚された者達は論外といっても言い。
だが、異界から召喚された者たちが自分達を抑え、隙を作るとなる事だけに注意すればいいと結論付けた。

>70
双方からの勧誘に考えるのが面倒くさくなったのか、フェルがコインを取り出す。
その様子を見ながらムーミン大佐はくっく、と押し殺すように笑い声を漏らした。
そして結果は・・・裏。
フェルは決断し、ムーミン大佐に向かい一撃を浴びせようと加速する。
対するムーミン大佐は微動だにしない。
「判っていたよ、そうすることは。
君と私は同種だからね。血と闘争を好み、常人ならば躊躇する最後の一線でブレーキよりもアクセルを踏む種だ。
そうそう、異界の物の怪では呼びにくかろうに。自己紹介がまだだったね。私の名前はムーミン大佐!」
自己紹介を終えたところでムーミン大佐の顔面をフェルの拳が捉えた。

めり込む拳、舞い上がるパイプタバコ、そして吹き飛ぶムーミン大佐。
床に叩きつけられ石畳を砕き壁まで転がるが、土煙でその姿は見えない。
もっとも、土煙がなくともその姿は見えなかっただろうが・・・その身体は壁にめり込んではいないのだから。

「いいパンチだ!しかと味わった。しかしまだ若い!」
土煙の中、先ほど立っていた場所とさほど変わらぬ場所からぬっと手が出てくる。
そして落ちてくるパイプタバコを受け止め、そこでようやく全身が露になった。
頬にくっきりと拳の跡が残り、全身に打ち身・擦り傷がある。
パイプタバコを咥えようとし、一旦動作を止め、口の中の血を吐き出した。
確かにフェルの拳をまともに受け吹き飛んだ証拠だ。にも拘らずムーミン大佐はここに立っている。

「私の部下に悪戯好きな者がいてね。紹介しよう。ジャック・オ・ランタンだ。仲良くしてやってくれたまえ。」
ステッキで示しながら言葉を綴る。
その示されたフェルの足元には、ランカムの足元で爆発した物と同じ黒い塊がいくつも転がっていた。
良く見るとそれは黒い南瓜。「ケケケケ」という耳障りな笑い声と共に一斉に爆発。フェルを包み込んだ。

「この程度でどうこうなるとは思っていないがね、私も仕事がある。」
言葉通り、これでフェルがどうなると思ってはいなかった。
ランカムに使った時のように、完全なる不意打ちではない。
覇気を纏ったフェルを見てそれは判っている。ただ、数瞬の足止めにさえなればいいのだ。

>69
そうしてポップへと向きかえる。
「幼いな。善悪で語るその単純さがある意味羨ましい。だが戦場には千の正義という名の狂気だけがあるのだよ?」
そう言うや否や、爆発で吹き飛んできた兵士の首根っこを掴む。
「ほら、君の守るべき人だ。」
「う・・・うあわああ!助けてくれええ!」
そのままポップへと投げつけた。
と同時に、ムーミン大佐も投げられた兵士の後を追うように加速する。
「先程の魔法は素晴らしかった。が、随分と効果範囲が広いようじゃないか。
優秀で優しい君にはこんな戦い方が有効ではないかな?」
悲鳴を上げながらポップに投げつけられた兵士の背後にぴったりくっつくようにムーミン大佐は間合いを詰めるのだ。

そして兵士越しにポップへと手刀を繰り出す。
間近に迫った兵士の腹を突き破り現れた手刀がポップへと迫る。

72:東條ルミナ ◆Yw2bVAsGtA
08/01/18 01:59:17 O
【名前】東條ルミナ
【性別】女
【種族】人間
【年齢】24
【容姿】髪:水色のストレートロング、瞳:青、服装:ジーパン、Tシャツ、革ジャン、
     その他:巨乳、右目に火傷の痕
【特技】推理、喧嘩、魔術
【持ち物・装備】煙草、ライター、魔銃、特製ガントレット
【キャラ紹介】
異世界の都市「東京」にて探偵業を営む魔術師
探偵としてはそこそこの腕前なのだが、気性の荒さから「暴力探偵」「蒼髪鬼」と恐れられている。
実は、某スケベ仙人に憧れ、今でも「○め○め波」の会得を目標としている。

73:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/18 02:19:57 O
「うぁっ!!」
唐突な爆発。紅蓮の炎が身を灼く。
鎧を身につけていた事が幸いし致命傷は避けたが、爆発の衝撃が身体を蝕む。
「新手…モンスター!?」
ランカムは霞む目で、ムーミン大佐の姿を認める。
言葉を話し、正装に身を包んだ姿は、
ランカムが魔都で見てきた“魔”の者達とはまた違う。
更に、原理はわからないが先程の爆発を操る力…。
知能の高さは、獣のそれではない。
「戦争…? 異世界だって…?」
にわかには信じ難い言葉。だが一つ、わかる事がある。
…何もわからぬまま、死ぬ訳にはいかない。
震える手で袋から取り出した回復薬・キュアルートを一気にあおる。

明瞭になった視界でウサコを油断無く見据える。
「“魔”の者か。…ならば、その魔を浄化するのは、聖印騎士団の役目ッ!」
毅然と言い放つと、腰のレイピアを抜き払う。
だが、言葉とは裏腹に、表情に余裕は無い。
コイン・トスでこちらについた男…相当に腕が立つようだが、
相手もまだ全ての力を見せてはいないようだ。
正面から戦っては、万に一つも勝ち目が無い。

ランカムが手を出せずにいる横で、ポップがウサコの魔法を弾き、見栄を切る。
最初は頼りない男と見えたが、この状況に折れない、強い意志がある。
「少年に遅れを取っては、騎士の名折れだな」
ランカムはポップの横顔に、名高い騎士達にも劣らない凛々しさを見た気がした。

と、フェルに向けられた爆発が不意に室内を赤く染める。
「来るかッ!」
ムーミン大佐は流れるような動作で、ポップに迫る。
「このまま、好きにさせるかッ!」
横合いから突き出したレイピアが、ポップに迫るムーミン大佐の手刀を捉える。

74:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/18 03:06:51 0
>69>70>73
「なるほど、挑むというのかー。この魔王ウサコに!
 そこの爺どもと違い、腰抜けでないところだけは褒めてやろう」
ウサコは今度は右手を前にかざし、バレーボールほどの黒い球体を作り出した。
先ほども見せた、重力の弾丸を発射する攻撃魔法『ヴォーテックス』だ。
「だが、魔王に挑む事が正気の沙汰でないことを、すぐに身をもって知ることになるだろー。
 私の『ヴォーテックス』で、まとめて消し去ってやろう」
目の前でこれを喰らった兵士の凄惨な有様を見るに、これが直撃したら相当なダメージになることは想像に難くない。

だが本来、ヴォーテックスそのものはそれほど強力な攻撃魔法ではない。
威力も命中精度も攻撃範囲もリブレイドには及ばず、間違っても集団をまとめて吹き飛ばせるような魔法ではない。
だが、魔王ウサコの超絶魔力によって、本来あるべき威力を超えた、まったく別の魔法と化している。
「今のはメラゾーマではない。メラだ」という、某大魔王の言葉が思い起こされる。

だが、本来ならば滅多なことでは防がれない筈のリブレイドを防いだポップの魔法と、フェルの徒手空拳の強烈な一撃を目の当たりにしたウサコは、驕った考えを改めている。
いくら自分の魔力が強大であっても、普通に『ヴォーテックス』を撃つだけでは、この二人には通用すまいと。
「お前たちの力は第八世界のウィザードどもに勝るとも劣らないだろー。
 だが、これならどうだろー」
ウサコの右手から、まだ発射されていない目の前の重力弾に向けて、力のオーラを流し込んでいる。
オーラに包まれた重力弾は、みるみるうちにその大きさを増してゆく。
そう、自らの生命力をも魔法の破壊力につぎ込んでいるのだ。
「こいつを受ければ跡も残らないだろー。たとえ避けても、後ろの爺どもが粉々になるだけだろー。
 そこの龍使い(ナイトウィザードにおける気を操る格闘家達のこと)はともかく、魔術師の小僧は受けざるをえないだろー。あっはっは」
ウサコの高笑いと共に、まとめて敵を薙ぎ払うようなサイズの巨大化な黒い球体が放たれた。
先ほど兵士を挽肉にした重力弾よりも、遥かに強力な魔法攻撃である。

75:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/01/18 15:39:54 0
>>70
フェルはどちらに付くかをコインで決めた。
結果的にはこちらの味方になったようだが、微妙に複雑な心境のポップだった。
同じ確率で敵になっていたかもしれないのだ。
「なんか釈然としねえな~。ま、いっか」
どうせこの一戦限りの共闘だし、敵なのか味方なのか良く分からない存在には慣れている。
ポップの仲間には元々は敵だった者も多いのだ。

そして戦いが始まる。
まずはフェルの拳がムーミン大佐を捉え、吹き飛ばした。
「おお、やるじゃねえか!」
歓声を上げるポップ。捻くれた態度は伊達ではないらしい。
しかし、ムーミン大佐は何事もなかったかのように元の場所に立っていた。
そしてフェルの足元に転がるカボチャ状の爆弾。直後、爆風が包む。
「あんちゃん!」
駆け寄ろうとしたポップを、彼に向けられた殺気が止めた。
ムーミン大佐だ。

>>71
>「幼いな。善悪で語るその単純さがある意味羨ましい。だが戦場には千の正義という名の狂気だけがあるのだよ?」
「うるせぇ!」
ポップは一喝した。
「平和に暮らしてる人達と、それを脅かす奴らがいるんなら、てめえらが悪いに決まってんだろが!
 狂気が正義なんて馬鹿げた話を受け入れてたまるかよ!」
ムーミン大佐の言うとおり、ポップの正義は幼かった。
それは彼自身の年齢的な幼さはもちろんだが、
彼の経験してきた戦場―正義を自覚する防衛者と悪を自覚する侵略者との戦い―に起因するところが大きい。
しかし、正義とは得てして幼ければ幼い程に真に近く、強く、そして揺るぎ無い。
だがそれと共に、同じだけ真に揺るぎ無い弱さも内包していた。
ポップは兵士を投げつけられる事で、ただそれだけで、
ムーミン大佐の思惑通りに行動選択の自由を完全に失ってしまったのだから。

>>73
間合いを詰め、兵士の体ごしに手刀を繰り出される。
ポップには防ぐ手段も回避する手段も残されていなかった。
(やべええぇっ!)
しかし、その攻撃はギリギリのところで止まった。ランカムが防いでくれたのだ。
「サ、サンキュ!助かったぜ!」
だがまだ助かってはいなかった。ポップはウサコが莫大なエネルギーをヴォーテックスに溜め込んでいることに気付く。
あの大きさでは自分だけが避けるわけにはいかない。ポップは歯噛みする。

76:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/01/18 15:41:11 0
>>74
「レイピアの兄ちゃん!ちょっとこいつを足止めしておいてくれ!」
ポップはムーミン大佐をランカスに任せ、ウサコの前に立ち塞がった。
(ちぃ、どうすっかな)
見る見るうちに大きくなっていく、凄まじいエネルギーの塊。あれを迎撃できる呪文が果たしてあるのだろうか。

最初に思い浮かんだのは、絶対無敵の究極攻撃呪文、極大消滅呪文(メドローア)だ。
炎と氷の正反対のエネルギーを等しく混じらせる事で、万物を無条件に消滅させる無のエネルギーが生まれる呪文。
しかし、ポップはこれを本能的に候補から除外した。
自分でも何故かは分からないが、この本能の選択が正しかったことは後ほど知る事になる。
極大閃熱呪文(ベギラゴン)や極大爆裂呪文(イオナズン)ならどうか?
いや、あのエネルギーの前では全くお話にならないだろう。
先ほど使った重力呪文(ベタン)も、あの規模の魔法にはまるで効果はあるまい。
そうなると、ここは五指爆炎弾(フィンガーフレアボムズ)を使うしかないかもしれない。
五指から同時に五発の最大火炎呪文(メラゾーマ)を放つこの技なら、破壊力はイオナズンをゆうに超える。
禁呪まがいのため術者の生命を削る危険はあるが、今はそんな事も言っていられない。
(いや、やっぱり駄目だ。俺のメラゾーマなんかあれの前じゃメラも同然、5発あっても大して効きやしねえ)
あれを相殺できる威力の呪文はやはり存在しないのだろうか。人間には不可能なのだろうか?
しかし、そこでポップは思い浮かぶ。
(俺のメラゾーマがメラも同然…そうだ、あれなら!)

あれなら、間違いなく押し負けることはない。しかし、使えるのかどうかが問題だ。
五指爆炎弾(フィンガーフレアボムズ)も充分な離れ業だったが、これはそれすら遥かに超える。
そもそも『奴』だから可能だったのであり、人間に出せる出力の魔法ではないからだ。
だが、可能不可能を気にしている段ではない。やるしかないのだ。

高笑いとともに、ウサコがヴォーテックスを放った。
ポップは魔力を一気に爆発させるように高める。
(もっとだ!足りねえ、もっともっと集中しろ!)
迫り来る重力弾。そのプレッシャーを感じながら、ポップは出せる限界の力を右手に集める。
出来るはずだ。死闘の中で何度も見て、急所に指を突っ込んで解体するまでに知り尽くしたあの技は!

「だらあぁーっ!」
ポップは右手の魔力を一気に解放した。そこに現れたのは、炎に包まれた大きな不死鳥。
「で、できた!よっしゃあ、いっけえぇーっ!」
ポップは重力弾に向けて不死鳥を放つ!
「カイザーフェニックス!」
彼の世界の大魔王の得意呪文が、この世界の魔王の得意呪文に戦いを挑む。

77:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/18 20:04:02 0
>73>75
狙い違わずポップは反撃することも、防御することもできずにいた。
もはや回避することもできない必殺の間合い。
しかし、その攻撃は意外な形で防がれることとなる。
「これはこれは・・・驚いたね。」
ムーミン大佐は二つの意味を込めて簡単の言葉を吐いた。
一つは完全なる不意打ち攻撃を喰らって、もう回復してきたこと。
そして、もう一つは細い刀身のレイピアで手刀を防いだことだった。

兵士の腹を突き破り迫る手刀はレイピアで手首を貫かれ止っていた。
ランカムがムーミン大佐の手刀を串刺しにしている隙に、ポップがウサコへと立ちはだかる。
意外な横槍に小さく舌打ちすると、貫かれていたムーミン大佐の手刀が歪み、形を失っていく。

ここで考えてほしい。
ムーミン大佐の体型を。
柔らかな曲線を持つフォルム。
大きな頭部にずんぐりむっくりの三頭身。
そこから伸びる手足はあまりにも短い。
帽子を被ることはできても、頭頂部やお尻には決して手が届かないであろう。
そんな短いリーチで大の大人の兵士を突き破ってその向こうのポップに致命傷を与えるほどの長さがあるだろうか?
いいや、あるはずがない。
ならばこの伸びている手刀は何か?
それは妖気を纏って凶刃と化した物に他ならないのだ。
つまり、妖気さえ収めれば実態としての手刀は保たれなくなる。
「その判断力、そしてレイピアの扱い。驚嘆に値する。
敬意を表して・・・薄汚い花火だが受け取ってくれたまえ。」
兵士の背中から手を抜きつつ、ランカムに笑いかけ跳躍。
直後、兵士の体内に残されたジャック・オ・ランタンが爆発して兵士はランカムの目の前で四散するのだった。
爆発によるダメージというよりも、目くらましの意味が強い行動だった。

そしてムーミン大佐はというと、ウサコの援護にポップを追う、というわけではなかった。
着地した場所は部屋の中央に置かれた正八面体の石の上。
「やれやれ、これだから子供に過ぎた力は困るのだ。
ここが地下と言う事もわかっていないとはな。」
ウサコの超ヴォーテックスに対し、ポップがカイザーフェニックスを放ったのを見て呆れたように首を振った。

元々ウサコが超魔法を完成させるまでの前衛だ。
本来なら一人二人殺しておきたかったところだが、役割は十分果たしたと判断。
そして今、次なる仕事へと取り掛かる。
「煙界妖壁陣!」
パイプタバコを大きく吸い、煙を吐き出した。
それはただの煙ではない。
妖力を持ち、あらゆる衝撃から守る結界陣なのだ。

如何に広かろうが所詮は地下空間。
二つの超魔法がぶつかれば無事ではすまないだろう。
強大な余波から魔法陣の石を守るために結界を敷いたのだ。

78:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/18 22:09:34 0
>>71
俺の息がすでに近くまでかかっているというのに目の前の異界の物の怪は
まだ余裕といった雰囲気で俺に自己紹介を始める…くだらん。
余裕を見せるものほど己を過信し死ぬ!俺はそのようなことはない!!
「ふん、呼びにくかろうが構わん!なぜなら貴様は俺のこの一撃が屠るからだッ!!
 名前など覚える間もなく滅ぼしてやるッ!!」
そして俺の拳は奴にめり込む。衝撃は体を伝わり吹き飛び床に叩きつけられる。
手応えはあった!俺のこの拳は完全にあの物の怪に直撃した!
おそらくもはや立てもしまい……フッ…いくら異界の者といってもこの程度…
「いいパンチだ!しかと味わった。しかしまだ若い!」
「なに!?」
そして先ほど奴がいたとこにまた奴はいた……莫迦なッ!!
確かに傷はある。まともに受けたのは分かる。しかし、なぜこの短時間で眼前にこいつは居る!?
「私の部下に悪戯好きな者がいてね。紹介しよう。ジャック・オ・ランタンだ。仲良くしてやってくれたまえ。」
そして奴はステッキを使い何かを綴るといくつもの黒い南瓜が俺の足元に転がっている。
「なんだこれは!?」
そう言った時だった。この黒い塊が俺を嘲笑ったあと次々と塊から光りが漏れ爆発したのは…
「ぬおおっ!!」
普通の人間なら致死量の爆発が俺を包む!!

>>71>>73-76
「ク…クククク……ハァーッハッハッハッハ!!
 面白い!こんな戦いがあるのならば異界というのも悪くはない!!」
無論俺は無傷といっていい状態だった。纏っている覇気は結構な量を
持っていかれたが特に目立った外傷はない。覇気とは防御膜の役目もする。
しかし、あの動物の女の術を喰らったらこんな量の覇気などたちまち消し飛ぶだろう。

だが、そんなことはどうでもいい。どうだったいい!
不死鳥もヴォーテックスも今は俺の興味をそそらない。
そう…久しぶりに俺に攻撃をあてたあの化け物…ムーミン大佐!!



79:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/18 22:11:49 0
>>77
「煙界妖壁陣!」
ムーミン大佐は魔方陣の石を覆うように結界を張る。
どうやらあれは異界の者達を呼び寄せるための媒介のようなものか。
俺は逃げようとしていた兵士の首を掴む。
「な、何をするんだ!」
「決まってる。あの結界に貴様を投げ込んでどういう性質かを解き明かす!
 貴様のようなカスでも役に立てるんだ!俺に感謝するがいい!」
そして俺は兵士をほうり投げる。結界に触れた瞬間兵士がまるで消し炭のように黒ずみ倒れる。
「ほう。なるほど……そういう効果も持つわけか…余計面白くなってきた!!」
そして俺は限界の限界まで覇気を絞りだす!今まで以上の覇気をッ!!
「さあ………俺の覇気に応え真価を発揮しろ龍覇轟撃拳!!」
俺の体力と精神力を極限まで使い果たした覇気はもはや俺の周りだけにはとどまらず
地面を抉りはじめている……そしてその覇気を俺は片手に集めていく……
「ぐっ!うぅぉぉおおおおおッ!!」
覇気が集められている腕から血飛沫が上がる…そう。
今からやる技はまだ俺が完全には会得できていない技!
「でえりゃああああああッ!!」
そして一機に覇気が収縮し……腕から龍が現れる!!龍は天井を…そして床を削り取りながら暴れ周る!
「キシャアアアアアアッ!!!」
そう、これは幻などではない!覇気ではあるが確かに龍だ!
自らの意思すら持つ!覇気を練り龍を具現化させる……そう、これこそ奥義!轟覇龍槍撃!!!
「蝕む……たとえそれが神であろうと!!いくぞ!!!」
龍は結界に凄い勢いでぶつかっていく……龍のぶつかる力と結界の反発する力…
そのぶつかり合いの衝撃で脆くなっている天井に亀裂が入っていく……
「でえええええええぇぇぇぇぇいッ!!」

―――轟 覇 龍 槍 撃 !!―――

かたや不死鳥とヴォーテックス…そしてこの強大な結界と龍…
二つの凄まじい力のうねりに魔方陣の石の光りが最高潮に達した!




80:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/18 22:33:59 O
レイピアを通して伝わった手刀の衝撃が、手首を軋ませる。
--止めたッ!
相手がこちらを警戒していなかった故の、偶然に近かった。
だが状況は、ランカムが次の一手を考える暇を与えない。

貫いたムーミン大佐の手刀は、形を変えレイピアの戒めを逃れる。
「ダメージはないのか…」
現実離れした光景に、ひきつった苦笑を浮かべる。
「不死身の怪物なんて、おとぎ話の中だけにしてくれ…」

瞬間、爆散した兵士の血肉が降りかかる。死体を煙幕に利用したのだ。
ポップの危機を感じたランカムは、とっさに
ムーミン大佐とポップの間を塞ぐように転がる。
「……そちらが狙いかッ!」
顔を挙げた時、ムーミン大佐は、ポップ達とは逆方向に間合いを離していた。
その先には--魔法陣。召喚の石は今再び、光を増している。

フェルの技が、ムーミン大佐の結界に食らいつく。
ウサコとポップの術の激突まで、あと数瞬も無い。
「う--」
脚が、ズキリと痛んだ。爆散した兵士の鎧の欠片が刺さったらしい。
周囲の衛兵も、多くが負傷しているようだ。そして老魔術師--。
「!!」
--ここで老魔術師に死なれては、帰る手段もわからなくなる。
ランカムは老魔術師の服を掴み、もつれ込むように地に伏し、衝撃に備えた。

81:東條ルミナ ◇Yw2bVAsGtAの代理投稿
08/01/19 01:15:32 0
「あんたがこの石を守るってこたぁ…つまり、それだけの価値があるってことでいいんだよなぁ」
ムーミン大佐の背後、正確に言えば石に寄り掛かる形でその女はそこにいた。
「…でさ、悪りぃんだけど火貸してくれねぇかな」
ポケットから煙草を一本取り出し、ムーミン大佐に向ける。

この女の名前は東條ルミナ、「東京」と呼ばれる異世界の都市で探偵をやっている魔術師である。
もちろん、彼女もここにいる皆と同じく召喚された者の一人のようだ。
ただ、彼女は他の召喚者とは違い、好戦的な態度をとり、ウサコと目の前にいるムーミン大佐に戦いを挑む真似は
せずに、召喚儀式の媒体になったと思われる、この石を調べていた。

「…まぁ…確かにコレはそれだけの価値があるものだけどな」
他世界に干渉し、尚且つ、そこの住人を自分らの世界に連れてくる芸当をこなしたのは伊達ではなく。
この石の魔力量は凄まじく、底が見えない。そして、その膨大な魔力を制御するための魔術回路の量も凄まじい。
これさえあれば、どんな魔術だって容易に発動させることが可能であろう。
そう、世界を崩壊させるような禁忌すら…

「どうした?…喫煙家にしちゃ案外ケチだな」
なかなか火を貸してくれないので、ルミナは煙草を引っ込める。

82:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/19 02:04:26 0
>76
火の鳥と重力弾は暫く拮抗した後、重力弾の魔力が火の鳥に呑まれた。
確かに威力は増強されているが、超絶魔力分は見掛け倒しだったらしい。
「なんだってー、私のヴォーテックスに打ち勝っただとー。
 くっ……ダークバリアー!」
自分の身に襲い掛かる火の鳥に、ウサコは闇の障壁を張って受け止めた。
ここまで来てもやはり台詞が棒読みなので、本当に慌てているかは察しかねる。
闇の障壁は火の鳥の凄まじい威力に悲鳴をあげており、ヒビが入っている。
辛うじて受け止めているという状態だ。
それでも完全に威力を打ち消した訳ではないようで、あちこちに火傷を負っている。ダメージは確かにある。

火の鳥を障壁で受け止めながら、ウサコは笑みを浮かべて言った。
「だが、お前たちは今の『ヴォーテックス』が私の本気だと思っている。そうだろー?」
この攻撃さえ凌げば自分の勝ちだと言わんばかりだ。半分やせ我慢だが。
「お前たちは知らないだろうが、今の『ヴォーテックス』よりも、さっきの『リブレイド』の方が、攻撃魔法としては強力だろー。
 故に、次の攻撃こそが全力全開だろー。今度こそ防げないだろー」
『リブレイド』は攻撃範囲も破壊力も命中精度も、『ヴォーテックス』を上回る攻撃魔法だ。
『ヴォーテックス』と同じく、『リブレイド』もウサコの超絶魔力によって強化されうる。
そして、ウサコの魔法の破壊力を増強するのは、自らの生命力だけではない。
彼女の『大いなる怒り』のエネルギーは、あらゆる攻撃の威力を爆発的に上昇させるのだ。
ただ、『リブレイド』は『ヴォーテックス』に比べて詠唱時間が長く、しかも至近距離の対象に撃てば自分まで巻き込まれる危険があることが欠点だ。

「たぁー」
ついに火の鳥を打ち払ってかき消して、ウサコはリブレイドの詠唱に入った。
呪文詠唱の間は完全に隙だらけだ。防壁を張ることも、相手の攻撃を避けることもできない。彼女は天地魔闘みたいな真似はできない。
だが、ウサコは聖印による苦痛耐性があり、重症を負っても問題なく動く。
どのような攻撃を喰らおうが、生きて立ってさえいれば、ウサコのリブレイドの詠唱は完了し、魔法は発動するのだ。
ウサコの口が呪文を紡ぐたびに、彼女の右手に全てのパワーが集中してゆく。言葉どおり、全力全開だ。
魔術師達は固唾を呑んで、戦いの様相を見守っている。

83:名無しになりきれ
08/01/19 02:07:58 O
>>82
ダークバリアwww
ダークバリアwww
ダークバリアwww
ダークバリアwww
ダークバリアwww
ダークバリアwww

84:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/01/19 02:36:06 0
>>82
カイザーフェニックスは超ヴォーテックスに打ち勝ち、ウサコ本体にまで襲い掛かった。
さすがは大魔王の呪文である。
「へっ、悪党の技で格好悪りぃがよ、威力は折り紙つきでぇ!」
相殺分と障壁による防御で倒すまでには至らなかったが、多少のダメージは与えたようだ。

しかし、ウサコはまだ今以上の攻撃があることを示唆する。
今度はさっきの光線魔法を強化すると宣言したのだ。
いかに強力なカイザーフェニックスといえど、無数の光線全てをカバーすることはできない。

「そうかよ!でも今度はさっきみてえに溜めの時間はやんねえぜ!」
そう、さっきはムーミン大佐に翻弄されていたためにみすみすチャージの時間を許してしまったのだ。
今度はそうはいかない。
「こっちの方が早ええぜ!極大閃熱呪文(ベギラゴン)―っ!」
ポップは呪文を唱える。
しかし、それは発動しなかった。それどころか急激に力が抜けていく。
ついに膝をついてしまった。
「あ…あれ?」
ポップはすぐに気付く。カイザーフェニックスにより、人間の限界を超えた魔力を引き出した反動だ。
いくら大魔道士でも人間なのだ。大魔王の呪文出力をタダで引き出せるはずもない。
しばらくはまともに呪文は使えまい。少なくとも、この戦闘中は。
「や、やべぇ!誰か、あいつの呪文を阻止してくれぇっ!」
ポップは叫ぶ。

85: ◆svDXdcR9Gw
08/01/19 03:34:05 0
>81
「気をつけてくだされ!そやつは邪悪なるトロル族です!」
老魔術師が叫んで警戒を促した。
元ネタの北欧神話ではともかくとして、トールキン系列の話やら一般のRPGやらでは、確かにトロル族はオーク族に並ぶ邪悪な人型生物の代表例みたいなものである。
トーベ=ヤンソンのムーミン・トロールが邪悪なトロル族のカテゴリに入っているかどうかは不明だ。

石のような物体は静かに沈黙を守っている。
だが、内側には、確かに魔王ウサコが求めつつも警戒するのも納得できるほどのエネルギーを秘めている。
これは、今立っている場所とは全く別の世界のエネルギーだ。
恐らく、この石のような物体もまた、異世界から来たことは間違いない。
ともすれば、この石は異世界とこの世界を繋ぐ絆だと言える。
それ故に、召喚魔法の儀式で重要な役割を果たしているのだろう。
また、寄りかかると、かすかに鼓動のようなものを感じる。

86:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/19 15:58:06 0
「……なに!?この奥義でも駄目なのか!?」
勝てると思っていた…我が拳が負けるはずはないと…
しかし俺はどうやら自惚れていたようだ……
ここしばらくの戦いは常に圧勝であったがためなのだろうか?
いや、それは関係ない、ただ実力差があったからなのだろう…
俺の轟覇龍槍撃は勢いを見せたもあっけなく結界に飲み込まれていった…
「…くくく…なるほど、上には上がいる…我が王の仰った通りというわけだ…」
そして俺は倒れこむ。先ほどの轟覇龍槍撃を使うために俺の全ての覇気を使った…
覇気とは精神力であり生命力、大量に失うことは死すら意味する…もはや俺には蚊ほどの力も残されてなどいない。
いや、残されていても無理だろう。龍を出した利き腕の健はズタボロのようだ、どちらにせよ指すら動かない。
戦えるような状態じゃない…

「ムーミン大佐…貴様の……いや、貴殿の勝ちだ。
 この俺の最大の攻撃は貴殿の結界にすら無力だった…」
そう、それはすなわちどうあっても俺はあのムーミン大佐には勝てないことになる。
俺の全身全霊の一撃をもっても打ち破れぬ結界を余裕の表情で張る…すでに勝敗は決定している。 
「完敗だ……ふっ……まだまだ俺も未熟だったというわけだ。」

>>84
「や、やべぇ!誰か、あいつの呪文を阻止してくれぇっ!」
冷静になった今考えると俺の轟覇龍槍撃はあいつの呪文を打ち消すのにとっておいた方が良かったかもしれない、
いや、無理だ……どうやら俺の想像以上の強者が多く居たらしい。
「ふっ…まさかこんな場所で朽ち果てるとはな……」
すでに俺は生還を諦めた、弱者はいつの世も無様に死んでいくのみ。
そして俺にその番が回ってきたというわけだ……

87:ツインテール
08/01/19 19:37:45 O
相談募集中(はあと)

88:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/19 20:07:11 0
>79>81
煙に包まれた結界の中でムーミン大佐は石の解析に全力を尽くしていた。
正確に言えば解析ではない。使用法である。
「すまないがお嬢さん。今、取り込み中でね。」
急ぎすぎていたせいか、結界内にルミナがいることにまったく気づいていなかった。
声をかけられて初めてその存在に気づく。
タバコの火を求められるが今はそれどころではない。
結界の外でフェルが極限まで力を貯めている事が判ったからだ。
敵意の感じられないルミナに注意を払うより、フェルへの対抗手段を持つことが先決。

超ヴォーテックスとカイザーフェニックスの激突の【余波】から守るだけなら結界で事足りるだろう。
だが、フェルがこれから放とうとしている攻撃を防ぎ切れそうもない。
対抗するために、石の膨大な魔力を使用して結界を強めようというわけだ。

しかし石の使用法がわかるよりも前にフェルの轟覇龍槍撃が放たれた。
覇気を練り具現化された龍。
その暴れまわる姿を一目見てムーミン大佐は悟った。
   無 理 !
暴れ狂う竜のパワーはムーミン大佐のパワーを遥かに超越している。
ぶつかり合って止められる代物ではない。
「・・・が!だからといって手がないわけではないぞ!」
荒れ狂う龍は目標を結界に定め突進してくる。
そして激突の瞬間、煙界妖壁陣がまるで竜巻のように回転を始めた。

無限にも思えるような数秒間。
火花を散らす激しい衝突の末、煙界妖壁陣は打ち破られた。
そして露になったムーミン大佐に龍は喰らいつき、そのまま天井を突き破っていく。
口からはムーミン大佐の血が零れていた。
残されたのは石とルミナのみ。

カイザーフェニックスと超ヴォーテックス、そして荒れ狂う龍と煙界妖壁陣の激突で起こる魔力の奔流。
あまりの強大な奔流に地下室全体が悲鳴を上げるように軋んでいる。
その音に混じりフェルは聞いたであろう。
小さなベルの音を。
そして首筋にトンと当てられるムーミン大佐のステッキ。
「種明かしをするとだね、我が部下ティンカー・ベルの能力だよ。
彼女の持つ小さなベルの音が届く範囲に限り、瞬間移動ができる。」
フェルの背後にはムーミン大佐が立っていた。
最初の攻撃を受けたにも関わらず殆ど立ち位置を変えずに戻れたのもこの力のおかげだった。

「一点集中といえば聞こえがいいが、私に言わせれば隙だらけになるに過ぎない。
君は格闘のプロであるかもしれないが、戦闘に関しては素人同然だ。」
力を使い果たしたフェルの首を刈るのはたやすいことだった。
だがステッキを当てるだけで、ダメージを与えようとはしない。
その理由はムーミン大佐の口から語られることになる。
「君は戦士だ。死など恐れはしまい。敗北も戦った結果とあれば受け入れられよう。
・・・だから、君には屈辱を与えようじゃないか!君は私に【生かされる】のだよ!」
残酷な言葉と共にステッキを振り、フェルの首に『13』の文字を刻み付ける。
擦り傷程度だが、死より、敗北より、何ものよりも耐えがたい屈辱の刻印を。

89:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/19 20:07:23 0

「くははははっ!このまま朽ちるもよし、刻印を消しにくるもよし。好きにするがいい。
だが覚えておきたまえ。私と戦うことは安楽なる死すら許されぬということを!」
邪悪な笑い声と共にムーミン大佐は身を翻し、石の元へと戻る。
それを待っていたかのように石は不可視の力により上昇を始める。

石の上に立つムーミン大佐の右腕はなく、ただ血が流れ続けたいた。
龍が結界に激突した瞬間、煙を高速回転させ僅かにその軌道をずらす。
更に己の右腕を囮にして龍の軌道を完全に逸らすことに成功したのだった。
「お嬢さん、すまなかったね。
これからシガータイムだが、できれば一緒に来て肩を貸してもらえるとありがたいのだがね。
代わりに火は貸そうじゃないか。」
上昇する石の上でふらふらとなりながらルミナに声をかける。
余裕を持った姿を保っていたが、その実最初の一撃と龍に食いちぎられた右腕の傷のため、実際には限界に近かった。

辺りを見回せば魔力の大奔流で皆地に伏せ、無防備とはいえウサコの邪魔をする者もいないだろう。
それ以前にもはやこの地下室は持たない。
その前にフェルの龍があけた穴から石を回収し脱出するのだ。
「石は確保した。先に行っているよ。」
ムーミン大佐はウサコに一言かけて上昇を続ける。

90:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/19 21:33:53 0
『ゴスッ!』
という嫌な音と共に少年、上条当麻は石からかなり離れた
所にある石畳に、頭から落下した。

「ぐおおお!!な、何なんですか一体!?」
上条は強打した頭を押さえ、ぶるぶると震えながら周囲の様子を確認する。
周囲にいるのは、数人の見知らぬの服装をした人々と、三沢塾で見たローマ聖教
の騎士団が着るような服を着た幾人かの人々。
そして、何故か獣耳っ娘。
(……どこだよ、ここは。学園都市……じゃないよな?
 なんで俺はこんな所に……つーか、ウサミミ?)
混乱しつつも様々な事を考えていた上条は、しかし
砂埃の向こうに『ソレ』を見て固まった。
「な……んだよ、これ」
それは、何かをを奪おうとしている人外でもなければ、
膨大なエネルギーを蓄積している獣耳少女でもない。

上条当麻の視線の先にあるのは、石畳に倒れている多くの人々。
彼等は血を流し、息も絶え絶えといった様子の者が殆どだ。

傷つき倒れている人々、それに害意を向けている魔術師であろう少女。
今ここを訪れたばかりの上条当麻には、何が起きているのかも
何故彼等が戦っているのか、その理由も解らない。

ただ、やらなければならない事は解った。
――あの人達を助ける。
そう考えた瞬間、混乱で固まっていた上条の体は動いていた。

恐らくだが、あの少女は目の前の彼等や倒れている人達を攻撃するつもりだ。
上条当麻は魔術師では無いので、あの攻撃がどれ程の威力かは解らない。
だが、状況から目の前の少女が振るうのは異能の力であり、
それが想像も付かない程膨大なエネルギーである事は理解出来る。

身体能力が平均的なの高校生並の上条では、当たれば消し飛んでしまうかも知れない。
それに、倒れている人々の方が悪人という可能性もある。だが、
(それが、どうした!)
上条当麻は、右の拳を握り締め、
膨大なエネルギーを溜めつつあるウサコに向かって疾走する。
例えどちらが悪であろうと、相手の命を奪って目的を達成するという
やり方が正しいなんていうことは、絶対にない。

イマジンブレイカー
『幻想殺し』上条当麻の右手に宿る唯一の能力。
触れるだけで魔術や超能力、たとえ『神様のシステム』であろうと、
それが『異能』であれば問答無用で消し去る力。

「テメェが何をしたいのかは知らねえ!けど、あそこにいる
 誰かを犠牲にするつもりでソレをしようとしてるなら、
 そのふざけた幻想は絶対に食い止める!!」

ウサコに正面から走りこんだ上条は、そう吼えると、
収束しているエネルギー体に、その右手、『幻想殺し』を叩き込んだ。

91:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/20 01:12:46 O
瓦礫の山から、体を起こし状況を確認する。
鎧を着ていた事から傷は浅いが、出血で意識が朦朧とする。
床は塵と破片にまみれ、天井にはムーミン大佐が激突した穴。
室内は辛うじて形を保っているような状態だ。

--女性?
ランカムの視線は一瞬、彼の世界には無い、水色の髪に繋ぎ止められる。
ムーミン大佐は彼女に、勧誘の言葉をかける。
「ま、待てッ…! “魔”の者の誘いなど…!」
不意の痛みに、言葉は中途半端に途切れた。
「う…!」
足に刺さった金属片を除き、回復薬・キュアルートに手を伸ばす。
最初に一個を使用したため、残りは二個しかない。
ふと、手が止まる。

ウサコの新たな詠唱は、佳境に入っている。
魔法言語のわからないランカムにも、確かに
肌に刺さるような“魔”の疼きが感じとれた。
対して、抗戦していたポップとフェルは、戦闘力を失っている。
…手の中のキュアルートを見る。

--私だけなら、逃げられる?
幸いにも出口は近く。回復すれば魔法の発動に乗じて、逃げる事も……。
「…神よ…!」
迷いを振り払うように、握った回復薬・キュアルートをフェルに投じる。
回復量は、決して大きくない。だが、彼が逃げる位の力にはなるだろう。

果たして、神への祈りが通じたのか。救い手は唐突に訪れた。
降ってきた少年が、ウサコに向けて拳を振る。
そこで、ランカムの意識は途切れた。
気を失う寸前、ランカムは妙な幻聴を聞いた。
--相談募集中? …な、なんの事だ?
そして今度こそ、ランカムは気絶した。

92:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/20 03:03:19 0
>89
「おおー、でかしたぞムーミン」
リブレイドが放たれる直前の光球を掌の上にかざしながら、石のような物体をまんまと強奪したムーミンの手腕を褒め称えた。
「その『石のような物体』を大魔王様に献上すれば、悔しいが手柄はお前のものだろー。
 わたしはこいつ等を始末してから後を追うだろー」
ウサコはポップ達に向き直った。
完全に油断している。余裕の表情さえ見せている。

>84>86
傷付き、倒れ付す戦士達を見るや、ウサコは勝ち誇ったような、残酷な笑みを浮かべた。
「勝負あったな。
 その程度の力でわれわれに挑もうとは片腹痛いわー。
 少し、頭冷やそうか」
無慈悲にも『リブレイド』を放ち、全てに決着をつけようとした、そのときだった。

93:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/20 03:08:32 0
>90
上条の突然の出現が、逆転のチャンスをもたらした。
「む、新手だろー。だが関係ない!」
どのような相手が立ち向かって来ようが構うものか、怒りのオーラが込められた『リブレイド』が発動すれば、全ては同じ事だ。
ウサコはそう考えていた。しかし……
今まさに『リブレイド』が発動しようとしていたそのとき、相手はウサコ本人ではなく、今まさに放たれようとしている『リブレイド』のエネルギーの塊に触れた。
「はわ、何を……」
彼の右手が手の前で収束していた『天』属性の魔法エネルギーの塊に触れると、魔法の発動は完全にキャンセルされてしまった。

「なんだってー!」
彼女の表情に、明らかな驚愕と焦りの色が見え始めた。
無意識のうちに後ずさってすらいるほどだ。
自分の全力全開の攻撃が、修練を積んだ戦士や魔術師にも見えないただの学生に、こうも容易く防がれるとは、信じられなかったのだろう。
そうでなくても、ここまで寄られた状態で『リブレイド』を撃てば、自分もその破壊力の餌食になる。
いや、目の前の相手の能力からして、『ヴォーテックス』ですら撃たせてもらえるかどうかはわからない。
ウサコにはまだ魔力が満ち溢れているが、魔法は封じられたも同然と言って良い状態だった。

だが、ウサコは未だに諦めていない。
「私が魔法しか能の無いアホの子でないことを知るが良いだろー。
 ダブルインパクトォー。ふぁー」
ウサコは空間転移で距離を離し、上条に向かってダッシュし、勢いをつけて右の拳で殴りかかった。
主に魔法で戦うウサコには、空手や中国拳法のような格闘技の技術は一切無い。ただ力任せに殴るだけである。
その拳には、先ほどのリブレイドと同じように大いなる怒りのエネルギーが込められていた。
しかし、魔法攻撃に比べると、明らかに威力も命中精度も見劣りする。
有体に言えば、全く大したことはなかった。

94:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/20 19:01:01 0
>>88-89
「さあ、この一撃に俺の全てをかけた!!もし破られるようであったら
 俺はお前とは肩を並べられるほど強くない!!勝負だ!!」
言葉ではそう言ったが俺には確信とも言える自信があった。
まだ未熟とはいえこの技が破られることなど満に一つもない!
そして激突、その衝撃の激しさはこの龍を操る腕まで伝わってくる。
「ぐっ……確かに強い結界だな、だが…だが打ち破るッ!!」
そして確かに俺の龍は結界を穿ちそのままムーミン大佐に喰らいき。
そのまま上へと登り天井を突き破る!確信した!俺の勝利だ!!
「……ははは…久しぶりだった、こんな血沸き肉踊る戦いは…」
そして俺は倒れる…全ての力を使い果たしたのだ、まだ俺の実力では
この技を使ったあとで動き回るのは不可能、ましてや先ほどまで戦っていた。
もはや指先一つ動かすような気力はない……その時、ベルの音がし後ろに気配を感じる。

「……な、なにッ!?」
そう…ムーミン大佐の気配…何故だ!!轟覇龍槍撃は完璧に奴に喰らいついた!
俺に失敗らしい失敗などなかったはず…そしてすぐに少し前を思いだす。
そう、初めて俺が拳をムーミン大佐に与えたときも奴は吹っ飛んだにも関わらず俺の前に居た!?
「どういうからくりだ!?」
「種明かしをするとだね、我が部下ティンカー・ベルの能力だよ。
 彼女の持つ小さなベルの音が届く範囲に限り、瞬間移動ができる。」
なるほど…それで俺の龍から逃れたというわけか………
「一点集中といえば聞こえがいいが、私に言わせれば隙だらけになるに過ぎない。
 君は格闘のプロであるかもしれないが、戦闘に関しては素人同然だ。」
なるほど…そうなのかもしれん……ムーミン大佐のいう戦闘とやらは俺の全く知らないものだ。
どうやら俺はまだまだ未熟だったようだ…上には上が居るという言葉を忘れていた…

「フッ……弱肉強食…弱き者は強き者の生贄。さあ、早く俺を殺せ。
 弱い者は生きている資格さえない!今すぐに俺の首を刎ねろ…」
俺の世界の掟…敗北した弱き者は死ぬのみ…勝利した強き者こそが先に進める権利を持つ。
曲げられぬ絶対の真理…いつもと違うのはただ勝者と敗者が入れ替わった事のみ…真理は真理だ。
しかし、死を覚悟する俺にムーミン大佐はただステッキを当てるのみ…そして言った。
「君は戦士だ。死など恐れはしまい。敗北も戦った結果とあれば受け入れられよう。
 ・・・だから、君には屈辱を与えようじゃないか!君は私に【生かされる】のだよ!」
そしてステッキを振り俺の首に何かを刻み付ける……
「ふざけるなッ!!俺を殺せ!今すぐに!!生き恥など俺は御免だ!!」
俺を見下した目!くそッ!!くそッ!!!俺は奴に生かされるのか!?



95:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/20 19:03:37 0
「くははははっ!このまま朽ちるもよし、刻印を消しにくるもよし。好きにするがいい。
 だが覚えておきたまえ。私と戦うことは安楽なる死すら許されぬということを!」
敗者の烙印…それを刻まれるなどッ!俺は今までに味わったことのない屈辱を覚えた!
「き、貴様ぁ!!……この俺を……この俺を生かしたことを後悔させてやる!!
 いいか!覚えておけ!次会ったら貴様を粉々に粉砕してやるッ!!覚悟しろ!!!」
大声で吼える俺を冷ややかに見つめムーミン大佐は石を奪い上えと向かっていった。
指一本動かない己が身を俺は呪う……なんという無様な姿だ……
そして更に問題がある…この状態ではいつ崩れるか分からないここから脱出などできない。
敵に情けをもらってまで得た命が生き埋めなど笑い話にもならん!
どうすればいいかと考える俺の体に何かが当たる割れる……その時、俺の体が急に楽になる。
覇気を使えるほどには回復してはいないがそれでも動くには十分だ。

「なぜ…そういえば何かが当たった…これか…!?」
俺の足元にある割れた小瓶のようなもの…これがおそらく俺の体を回復させたに違いない。
周りを見ますと同じ小瓶を持ち倒れている男を見つける。
「おいお前、なぜ他人を助けた!俺に施しなど……」
呼ぶが返事がない、どうやら気絶しているようだ…
「…自らを治すことをせずに俺を治すとはな。お前のような奴が真っ先に死んでいく…
 愚かな男だ…だが、そんな男に借りができるのは俺は御免だッ!」
金属を纏っている男の重量はかなり重いが脱がしている時間もない。
俺はそのまま男を背中に抱え出口に向かって歩いていく…しかし、その途中であのフェニックスを放った男が膝をついているのを見つける。
さっきまでは戦いに夢中で全く周りが見えていなかった。どうやらかなり深刻な状態になってるようだ。
「チッ……借りるぞ!」
俺は先ほど俺を回復させた小瓶をあの魔導師らしき男に投げる。
「おい、ここはもうすぐ崩れる…死にたくないなら出るんだな。お前もだ!」
新しく来て魔王とやらと戦っている男にも叫ぶ。
「チッ……本来なら放っておくというのにどうしたんだ俺は……」

96:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/01/21 00:58:46 0
>>93
ポップの呼び掛けに応えてか、新たなる戦士が現れ、ウサコの魔法をかき消してくれた。
「おお!助かったぜ!」
しかしウサコは魔法しか能のないアホの子ではないらしい。
後方に瞬間移動し、距離を取る。おそらく助走して肉弾戦を挑むのだろう。

>>95
そのとき、何かが投げつけられる。見ると、どうやら回復薬のようだった。
投げたのはフェルのようだ。
>「おい、ここはもうすぐ崩れる…死にたくないなら出るんだな。お前もだ!」
そう言い、ランカムを背負って出口に向かっていく。よく見れば二人とも随分負傷しているようだ。
ムーミン大佐が逃げていったのは見ていたが、察するに二人が勝ったというわけではなかったらしい。
「サ、サンキュ!ありがたく使わせてもらうぜ!」
回復薬は大した効果ではなかったが、逃げる体力としては充分だ。
当麻がウサコを引き付けている間にここを逃げ出せば、自分は助かる。

(すまねえ、頑張ってくれよな)
ポップは出口の方に振り返り、走って逃げ出そうとした。
少女のようでも魔王は魔王、肉弾戦でもどれだけ恐ろしいかは分からない。
屈強の戦士には見えない当麻では、何か接近戦用の能力がない限りは勝ち目は薄いだろう。
だが、ポップはこんな所でこんな分の悪い戦いに付き合って死ぬわけにはいかない。
元の世界では、散々苦労して平和の時を手にしたのだ。そしてようやく意中の女性に告白するところだった。
それなのに、異世界だか何だか知らないが、こんな所で死んでたまるか。
この地下室も最早いつ崩れるか分からない。
この場は逃げて、この世界は見捨てて、自分が元の世界に帰る方法だけを何とか探そう。
こんな世界がどうなろうと、知ったことか。

「なんて言ったらもう二度とあいつらに顔向けできねえじゃねえかよおぉーっ!」
ポップは絶叫し、敵の方に振り向きブラックロッドを構えた。
この場にダイがいたら、マァムがいたら、ヒュンケルがいたら、レオナ姫がいたら。
元の世界の仲間達なら、きっと誰もこの死地を捨てはしなかっただろうから。

「俺だってなあ、魔法だけしか能のないアホの子じゃねえんだよ!」
ポップの武器ブラックロッドは、伸縮自在の杖だ。
地面について伸ばすことで緊急回避に用いたり、先端の形状もある程度自由に変化させたりもできる。
魔法力を攻撃力に変換する効果もあるのだが、あいにく充分な打撃力を生み出すほどの魔力は残っていない。

ポップはブラックロッドをアーム状に変形させ、走り出したウサコの足首目掛けて伸ばした。
「スッ転びやがれっ!」

97:名無しになりきれ
08/01/21 01:17:29 O
>>95
そのとき、何かが投げつけられる。見ると、どうやら爆薬のようだった。
投げたのはフェルのようだ。
>「おい、ここはもうすぐ崩れる…死ね!」
そう言い、ランカムを串刺しにして出口に向かっていく。よく見れば二人とも随分負傷しているようだ。
ムーミン大佐が逃げていったのは見ていたが、察するに二人が勝ったというわけではなかったらしい。
「サ、サンキュ!ありがたく逝かせてもらうぜ!」
爆薬は大した効果ではなかったが、死ぬには充分だ。

98:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/21 02:40:00 0
>>93
>彼の右手が手の前で収束していた『天』属性の魔法エネルギーの塊に触れると、
>魔法の発動は完全にキャンセルされてしまった。

(……っ、セーフか)
エネルギーの塊を消し去り、ウサコの前に堂々と、余裕すら
見せつつ立ち塞がる上条だったが、その内心では冷たいものを感じていた。
上条当麻の持つ『幻想殺し(イマジンブレイカー)』の効力は右手首から先のみ。
仮にあの攻撃が全方位から襲い掛かる様な物であったならば、
上条は、それらを全て打ち消すことは出来ず、倒れていた事だろう。
そして、この敵がそれを出来ない保障は無いのだ。

(このままじゃ不味い、考えろ……ステイルの野郎も、『魔女狩りの王』
 みたいな高レベルの魔術には媒体を使っていた、だったらこれだけ馬鹿げた
 大きさの魔術を使うコイツも、何か媒体があるはずだ、
 まともにやり合おうってなら、まずそいつを破壊しないと相手にならない!)

ウサコとの距離を測りつつ、上条はそう考察したが、ここは異世界で、
更にウサコは魔術師ではないのだから、上条の世界の魔術師の規則が当てはまる筈は無い。
今回、その考察はかなり的を外れていた。
彼は今までに天使や聖人といった類の相手を敵に回した事はあるが、
魔王という類の異能に遭遇した事はなかったのも原因の一端だろう。
あるいは、実物が混ざっているにせよ、ウサコが天使の様に異能で構成されているのならば、
幻想殺しは触れるだけで、ウサコの破壊を行えたのかもしれないのだが、
結果として上条は、そのチャンスを逃す事となってしまった。

>>95
>「おい、ここはもうすぐ崩れる…死にたくないなら出るんだな。お前もだ!」
> 新しく来て魔王とやらと戦っている男にも叫ぶ。
先ほどまで負傷していた男に声をかけられ、上条は無事だったという
安心と共に、建物の崩壊という危機感を覚えた。
「……分かった、アンタは先に行っていてくれ!それから、出来ればその人たちを頼む!」
振り向かずに告げる、この場を動けば、目の前の少女が標的を変えるという可能性も
有るからだ。

99:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/21 02:40:34 0
>>93
>「私が魔法しか能の無いアホの子でないことを知るが良いだろー。
>ダブルインパクトォー。ふぁー」
>ウサコは空間転移で距離を離し、上条に向かってダッシュし、
>勢いをつけて右の拳で殴りかかった。

(!? こいつ、テレポートも出来るのか!!)
思考していた上条は驚愕しつつも、瞬間移動と加速により放たれた
ウサコの拳を、しかし後ろに飛び、体を捻ることでかろうじで交わした。
ウサコの拳端が肩を霞め、それだけで上条の皮膚が焼けるような熱を感じる。
上条当麻が喧嘩で勝てるのは一対一、一対二ならあやうくて、一対三以上なら迷わず逃げる。
今回上条がウサコの攻撃を交わせたのは、単にウサコが喧嘩慣れた動きでは無かったからに
過ぎない。学園都市最強のLv5『一方通行』と戦ったときと同じ原理だ。
幾ら早くても、動きが見えれば攻撃を避けるのはそう難しくは無い。
だが、体の横を通り過ぎたその拳圧にはゾッとするものがあったのも確かだった。
(くそっ、なんて威力だよ!あの一方通行(アクセラレータ)みたいに
 本体が貧弱って訳でもなさそうだし、長期戦は不味いか……!)
視界の端には、逃げおおせる人たちの姿が確認出来る。
平静を装っているが、しかし、上条当麻には現状、短期でこの相手を倒す方法は
思い浮かんでいない。このまま交わし続けるにしてもいずれ限界は来るだろう。

(……落ち着け、俺の手札を整理しろ。恐らくだけど、あいつは幻想殺しの
 正体に気付いてない。それに、さっきの様子だとあのエネルギー体は結構な
 大技だった筈だ……なら!)

「ククク……ハハハハハ――!!!!」

ウサコの攻撃を交わした上条は、突如、狂ったように、愉快そうに笑い出した。
そして、口の端を凶悪に歪めながら右拳を握り締め、ウサコの方へ向きなおし
、俯きながら、告げる。

「おいおい、なんだよその攻撃は。テメェ、それは冗談でやってるのか?
 まさかその程度の攻撃で、俺の幻想殺しを潰せるとか思ってたんじゃねえだろうなァ!? 」

バキリ、右拳が音を鳴らす。
その上条の姿は、底知れない凶悪な強者。上条当麻は、全霊で圧倒的な強者を『演じて』いた。

そう、上条当麻が考えた策、それは『ハッタリ』だった。

上条の勝利は、目の前の相手を倒すことではない。戦いを避け、怪我人を人を助ける事だ。
そしてその為には、目の前の獣耳少女に分が悪いと思わせ、退却させる事が
最短にして、最良の選択だと判断したのだ。
俯いて歪めた唇だけ見せているのは、表情から悟られる要因を減らす為。
無論、余裕なんて言う物は無い。震えずに振舞えるのは、上条当麻という少年が
これまでいくつもの、自分より遥かに強力な敵を前にした死線を潜り抜けて来たからだろう。

「さっきは魔法だ……どうする?次は右腕を喰い千切るか?」

だが、やはり正直分の悪い賭けである事は否めない。
相手が、未知とはいえ自分一人だけを相手に引いてくれるとは限らない。
魔王という強大な存在感を前に、精神は急速に消耗していく。

それでも上条当麻は、ウサコの前に立ちふさがり続ける。

>>96
>「スッ転びやがれっ!」
その時、視界の端から何かがウサコに向かって伸びていくのが見えた。

100:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/21 03:17:10 0
>95
拳を放ちながら横目で見ていたが、敢えて彼を見送った。
立ち向かわないものは、いつでも殺せるものと油断しているのだ。
それよりも厄介なのは、目の前に居る、得体の知れぬ能力を持った少年だった。

>99
かわされた!目の前の相手に最も有効だと思っていた攻撃だっただけに、ウサコは焦った。
「むむむ、確かにお前の力は認めてやろう。
 お前の魔法無効化能力も、私の魔法とは相性が悪いだろー」
ウサコは科学の常識の外側に居る『非常識』だ。
『幻想殺し』。その言葉は、ウサコに激しいプレッシャーを与えた。
もし相手の能力が、単なる魔法無効化ではなく、『常識』の外側のモノ全てに効果を発揮するとしたら?
ウサコは思わず身震いし、たじろいた。
それでも闘志は消えてはいないようだが、かなり怯えの色が見える。

「だが、お前の能力は手で触れなければ効果は無いのだろー?
 だったら……こうするまでだろー」
『ヴォーテックス』の詠唱時間は、全ての攻撃呪文の中でも特に短い。
適切な距離をとれば、呪文の詠唱を完成させることができるかも知れない。
少し厳しいが、相手の反射神経を超える速度で打ち出せるなら、この敵を仕留められよう。
そう考えて、すぐに空間転移で距離を離そうとしたが……

>96
ウサコは空間転移ができるとはいえ、非常に反応が鈍い。
回避能力はスライムやゾンビよりも低い(※)という、信じられない運動音痴である。
『リブレイド』はおろか、重装備でフラついているような戦士の大振りな攻撃ですら避けられない。
しかも、先のダークバリアーは魔法攻撃にしか効力を発揮しない防御魔法だ。
つまり、ウサコは肉弾戦ではほぼノーガードという訳ことになる。

「はわっ」
そのため、このように、足払いなんかには簡単に引っかかる。空間転移を行う前に転んでしまった。
ウサコは仰向けに倒れ、背中を思い切り強く打った。
先ほど、カイザーフェニックスで多少ダメージを負ったうえ、『ヴォーテックス』を撃つときに生命力を消耗している。
見た目はそれほどでもないが、実はかなり消耗している。
また、今の一撃でも足にもかなりダメージを負ったのか、さっと飛び起きることができないでいる。
千載一遇の好機に見える。

101:名無しになりきれ
08/01/21 19:17:36 0
そこでほちゃんがウサコの首を飛ばす!!

102:名無しになりきれ
08/01/21 20:18:34 O
という夢を見たのだった

103:名無しになりきれ
08/01/21 20:57:21 0
ここでほっちゃんの反撃だ!

104:名無しになりきれ
08/01/21 23:48:28 0
これ置いておくは
つ【RPG銃】

105:東條ルミナ ◆Yw2bVAsGtA
08/01/22 01:32:10 0
「………」
ムーミン大佐の誘いを受け、ルミナは沈黙しながら暫し考え込んだ。
正直言うと、元の世界に戻れるならどっち側につこうが問題は無い。
しかし、この石が元の世界へと戻る鍵であるならば、この石は死守すべき代物である。
だが、この段階でこの目の前にいるムーミン大佐を叩き落し、石を死守するべきか?
それは不可能に近い…先ほどの戦いを見てかぎりでは、ムーミン大佐の実力は相当のものだ。
全力で向かっていっても勝てる可能性が見えない。もし、勝ったとしても満身創意の身でウサコをどうにか出来る自信が無い。

>「ま、待てッ…! “魔”の者の誘いなど…!」
鎧姿の男がこちらに声をかけるが、ルミナは沈黙を続ける。
いや、ルミナもそのことについては重々理解している。

考えが定まったのか、ルミナは先ほど引っ込めた煙草を加えると、浮遊する石に飛び乗った。
「………口説き文句としちゃ物足りねぇが…まぁ良しとするかな」
そう言ってルミナは左手をムーミンに差し出す。

自分の命と石を優先するならば、この方法が一番いい。
とにかく今は虚に虚を重ねてもいいから、この石の近くにいることを優先するべきだ。

106:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/22 18:36:05 O
>>100
>「だが、お前の能力は手で触れなければ効果は無いのだろー?
> だったら……こうするまでだろー」
(―!? やっぱり駄目か!!)
尚攻撃の意思を放棄せず、更に『幻想殺し』に対して、予想であろうが
真実に近い解答と対策を出したウサコに対し、上条の生存本能が警告を鳴らす。
背中に嫌な汗が伝い、この場所から逃げろと伝えてくる。

だが、上条は逃げ出さない。

仮に今上条が此処から逃げ出せば、生き残る可能性はそれなりだろう。
運がよければ、無傷で逃げ切れるかもしれない。
しかし、その時は上条以外の、他の誰かが犠牲になるのだ。
上条当麻という少年は、そんな「幸運」を望んでいない。

「テメエが何を勘違いしてるかは知らないけどな、『手で触れないと駄目』なんて、誰が言った?」

再度、ウサコの推測を混乱させる為にハッタリを言い、
恐怖を意思で捻じ伏せ、意を決し、来るであろう攻撃に対し上条が身構えた瞬間

>「はわっ」
ウサコが、転んだ。

「……は?」
突然の事に上条が呆けた声を上げながらも、ウサコの足元を見るとそこにはアーム状の何かがあった。
どうやら、そのアームがウサコを転倒させた様だ。

そして、そのアームの先には、上条と同年代程の少年の姿が見えた。

この状況で相手をじっくり眺める余裕は無い筈だ。だが、上条は一瞬、その少年と交差した気がした。

>また、今の一撃でも足にもかなりダメージを負ったのか、
>さっと飛び起きることができないでいる。
>千載一遇の好機に見える。
相手の獣耳少女は、先の少年の足払いで足を負傷した様に見える。
それを見た上条は、先の助けてくれた少年や、逃げ出している最中の兵士達に向けて、怒鳴る様な大声で言う。

「怪我してる人達を、頼む!」

そう言うと上条は、地を蹴り、ウサコのいる方向へ再び疾走する。
あの少年が作ってくれた隙を、無駄にしたくはなかった。

ウサコとの距離を詰め、倒れているウサコに対し『幻想殺し』の右掌を向けた上条は告げる。

「アンタの負けだ、降参しろ」

107:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/22 19:29:37 0
>105
石に乗り左手を差し出すルミナにムーミン大佐は笑みを浮かべる。
「賢明な判断感謝するよ。さすがにこれ以上は赤字になりそうなのでね。」
やわらかくルミナの手を握った。
パイプから立ち上る紫煙がルミナの咥えたタバコの先端に絡みつき、火をつける。

>90>92
>「その『石のような物体』を大魔王様に献上すれば、悔しいが手柄はお前のものだろー。
> わたしはこいつ等を始末してから後を追うだろー」
「はははは。臨時ボーナスを期待したいところだね。」
ウサコと一言二言交わしそのまま石と共に上昇していく。
天井付近まで上昇した時、当麻の幻想殺しが炸裂した。

それまで、下の様子を何気に見ていたムーミン大佐の目が見開いた。
「見たかね?今のを・・・!」
思わず隣のルミナに尋ねずにはいられぬ光景。
放たれる直前の超リブレイドが消されてしまったのだ。
そこにまったく魔力の流れはない。
この流れがないことこそ、ムーミン大佐を驚愕させた事だった。
相手のエネルギーを消滅させる手段は難しくはあるが可能だ。
大別すると、拡散させるか、吸収するか、だ。
しかし、当麻が行った行為はどちらでもない。
唐突にエネルギーが消滅してしまったのだから。

恐るべき能力に戦慄を覚えながらも、助けにはいることはなかった。
なぜならば、それでもウサコの勝利を疑っていないからだ。
魔法を無力化させられたとて、それだけで勝てるほどウサコは甘い相手ではない。
それに、もはや地下室は崩壊寸前。
ウサコには空間転移があるので崩壊しても問題ないだろうが、相手はそうも行くまい、という事もある。

戦いの結末を見ずに、石はフェルの龍が穿った縦穴を上昇していく。
「やれやれ、彼の技はパワーはあるが、いかんせん大味なのが欠点だな。」
縦穴を上昇し始めてしばらくすると、上のほうから大きな岩が落ちてくる。
それに向かい、ムーミン大佐はステッキを振るう。
するとステッキは鞭のように伸び、岩を削り粉砕した。

降ってくる瓦礫や岩を打ち砕きながら上昇を続け、ついに地上に出ることに成功した。
「ご苦労、サンドマン。」
地上に出ると、ステッキは見る間に縮み元に戻っていく。
間近で見ていたルミナには判っただろう。
縮む時に見えた独特な模様なものと音から、ステッキ自体が伸びていたのではない、と。
ステッキは磁気を帯びており、そこに砂鉄を這わせ鋭く振ることによってあらゆるものを削り取る鉄の鞭としていたことを。
そして、もし誘いを断っていたらそれは自分に向けられていただろう事も。

108:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/22 19:29:42 0
地上に出ると、上空には巨大な竜が舞っていた。
竜といっても、骨だけのスケルトンドラゴンであるが・・・
肋骨の部分に石ごとムーミン大佐とルミナを収容し、飛び立っていく。
「さて、ゆっくりとシガーを楽しもうじゃないか。なかなかの眺めだろう?
別に味方になってくれなくても結構なのだよ?敵対さえしなければ、ね。」
ムーミン大佐はくつろぎながら煙をくゆらせ、ルミナに語る。

この世界の者達は別世界から一定以上の力を持つ者を助っ人として召喚している。
【誰を】召喚するのではなく、【一定の力を持つ者を】召喚しているのだ。
相手の都合や意思は一切関係なく。
手当たりしだい召喚しているので、それぞれがどんな世界からやってくるかまで彼らも把握していないのだ。
それは元の世界に変える手段がないも同然だった。
「しかし、召喚媒体となったこの石にはそれぞれの世界の座標が記憶されているかもしれない。
私が君を誘ったのは、あの状況で石の分析を最優先にしたその見識を見込んでなのだよ。
解析に協力することは君が元の世界に戻る近道になるだろうさ。」
そう、ムーミン大佐から言えば、他者との関係は三つしかない。
敵・味方・無関係、だ。
敵でさえなければ手を出す理由はない。
無関係ならば元の世界に戻してしまえばいい。その為に協力はしてもらうが・・・

そういいながらムーミン大佐は思い浮かべる。
元の世界に戻るためのもう一つの鍵。
異世界を繋ぐ術を持つ者。
魔王軍が追っているダークエルフの存在を。

109: ◆/Q.vnlAVN.
08/01/22 22:23:02 0
>>96>>106
上条当麻が右掌をウサコに向けたその時だった。
突如部屋の中に一匹の白い鷲が通常のものより少し大きめな宝箱を持って入ってきた。
そしてその鷲は大魔道士ポップの前に宝箱を落とすと、
なんと上条当麻の後頭部に蹴りを一発くらわせると遠くへと飛んでいった。
ポップの前に置かれた宝箱には一言『この世界を守る勇者様へ』と掘られている。

110:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/22 23:21:24 O
--夢を見ていた。
それは、この世界に呼び出される前の事。

私…聖印騎士ランカムは、法王庁直属の聖印騎士団に属する騎士である。
神を信じ…、法王庁を信じ…、目に見える世界だけを信じてきた。
…だが、それは“事件”を境に揺らぎ始めた。
我々、聖印騎士団は、カルト教団の根城となった廃都市へと、足を踏み入れた。
--簡単な仕事だと思った。

仲間が、何も無い空間から生じた炎に焼かれ、一握りの灰になった。
仲間が、爛れた皮膚から骨の覗く死体に、生きたまま臓腑を引きずり出された。
そこで見た物は、世界の理を歪曲する“魔法”
あらゆる既知の生物を越えた“モンスター”
仲間は次々に減っていった。
そして私は行軍の途中、仲間達とはぐれ、この世界に呼び出された。

--どこか遠くで、誰かが囁いた気がした。
≪殺せ≫
--誰だ?

「ほ…ほっちゃ……んん?」
間抜けな声を挙げ、私は意識を取り戻した。
気を失っていた時間は、短かったようだ。
何か夢を見ていたような気もするが、思い出せない。
段々と思考が明瞭になってくると、自分が誰かの背中にいる事に気がついた。
「す、すみません…」
彼は…そうだ。気絶する間際、回復薬を渡した男だ。
彼も万全ではないのに、自分を気遣ってくれたのだろう。
細身とは言え、全身鎧はかなりの重量の筈。
助けるはずの相手の足手纏いとなっていれば、世話はない。

「私はもう、歩けます。…私はランカム、あなたは? 現状は…」
少しふらついたが、心配をかけまいと気を張り、しっかりと立ってみせる。

111:大魔道士ポップ ◇bTJ1y4hkoYの代理投稿
08/01/23 00:09:55 0
>>106
狙い通り、ブラックロッドでウサコを転ばせることができた。
「よっしゃあ!」
その時、上条が一瞬こちらを見る。
ポップは親指を立てる。見えたかどうかは分からないが、意思は伝わったような気がした。
>「怪我してる人達を、頼む!」
「おっしゃあああ!」
どこにそんな元気があったのやら、ポップは急にしゃきんと立ち上がって走り出した。
仲間がいれば、ポップはどこまでも頑張れるのだ。
部屋を駆け回り、手当たり次第に魔術師達を引っ掴んでは引き摺り、一箇所に集めていく。
視界の端にはウサコを追い詰める上条の姿が見えた。

ウサコは上条に任せるとして、ポップは本格的に逃げ出す方法を考えねばならなかった。
全員を連れて逃げ出す方法があるとすれば一つ、瞬間移動呪文(ルーラ)だけだ。
これは術者と周囲の仲間を光で包み、高速で飛行して目的地に向かう呪文である。
空を飛んでいくため本来地下では使えないのだが、ここでは幸いにもフェルの龍が空けた大穴があった。
「おーい、兄ちゃん達!今からじゃ多分地上まで間に合わねえ、こっちに集まってくれ!俺に考えがある!」
ランカムとフェルにも声を掛ける。

ただ、この作戦にも二つ問題がある。
もう空っぽに近い魔法力が地上まで足りるかどうかと、上昇中に降って来る瓦礫や落石をかわせるかどうかだ。
しかし他に方法がない以上、その辺りは何とか頑張るしかない。
「げっ!」
その時ポップの足が止まった。
もっと重大な、致命的な問題があることに気付いたのだ。
ルーラは一度行った事のある場所を思い浮かべてから発動する呪文だ。
しかしポップはまだこの世界のどこにも行ったことがない。ルーラを唱えてもここに戻ってくるしかないのだ。

おそらく、もう急いでも地上まで全員は連れ出せない。
万事休すか。
ポップの脳裏に絶望が過ぎりかけたその時だった。

>>109
どこからともなく現れた白い翼。
純白の鷲だ。
「な、なんだぁ?」
鷲は大きめの宝箱を携えていた。それをポップの前に落とす。
そして何故か上条を蹴飛ばし、またどこかへ飛び去っていった。
ポップは少し呆然と見送ってから、正面の宝箱に目を落とす。
>『この世界を守る勇者様へ』
見るからに期待が沸いてくる文句だ。これはきっとこの世界の神が勇者を助けるために寄越した秘宝に違いない。
そうならば間違いなくこの現状を打破できるはずだ。
絶望に塗りつぶされかけていた心を、一気に希望が彩る。
「神様仏様天使様!サンキューな!代わりに世界はきっと守ってやるぜえっ!」
ポップは勢いよく宝箱の蓋を開いた。

112:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/23 02:49:03 0
>106
「降伏だって?冗談じゃない。
 そんなことしたら、今この場で殺されてしまうかも知れない。
 大魔王様は恐ろしい御方だろー」
第八世界を狙う魔王の多くは、本来は裏界に封印されている。
地上に現われるのは劣化コピーとも言うべき移し身だ。
だが、その移し身が倒されると、本体の力も大きく削がれることになる。
その場では滅びこそしないが、裏界では常に権力争いが絶えず、よほど強大な魔王でない限りは下克上もよくあるので、事実上致命的である。
「それに、それで私を追い詰めたつもりなら、勘違いもいいとこだろー。
 私の能力を見なかった訳ではないだろー?」
この魔王は空間転移を行うことができる。今この体勢からでも。

>109
そこに、何か鷹のようなものも近付いてきている。
この鷹の動き次第では、逃亡のチャンスくらいはあるかもしれないと考えている。
例えば襲いかかるとか。
だが、逃げた後は?そんな事は考えてはいない。
「さらばだ。また会う日もあるだろー」

113:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/23 21:11:23 0
>>112
>「降伏だって?冗談じゃない。
>そんなことしたら、今この場で殺されてしまうかも知れない。
>大魔王様は恐ろしい御方だろー」

「だい、まおう?」
ウサコに掌を突きつけたまま、上条は怪訝な声を出す。
上条のいた世界において、魔王という物はゲームやオカルトな昔話の産物で
現実的な物ではない。少なからずそのオカルト側に関わってきて、天使や
吸血鬼といったものの存在の端くらいには触れた事のある上条だが、やはり
その存在は認知していなかった。
(魔王っつうと、あの神話とかに出てくる奴だよな?
 なら、やっぱりこいつは魔術側の人間って事なのか?けど、魔術師は
 教会を信仰してる奴らなんじゃあ……)
疑問への思索と推測を重ねながらも、上条は全集中力をウサコに向けている。

>「それに、それで私を追い詰めたつもりなら、勘違いもいいとこだろー。
>私の能力を見なかった訳ではないだろー?」
(こいつ、長距離移動も出来るのか!?)
次のウサコの台詞に、上条は小さく舌打ちをする。先の使い方からウサコのテレポートは
短距離移動の能力なのかと思っていたが、それは大きく外れた推測だった様だ。
そして理解する。この状況を維持していても、建物が崩れれば上条は
巻き込まれて終わりだという事を。

114:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/23 21:12:48 0
ここで上条に取ることの出来る選択肢は二つ。
一つ目は、このままの体制で瓦礫に押しつぶされる事。
二つ目は、幻想殺しで霊装を破壊し、ウサコを無力化して此処から脱出する事。

一つ目は却下。ここで上条が死んでも、ウサコは脱出し他の人たちに襲いかかれる。
可能性は消えない。そうなってしまえば、上条の行為は無駄死にに等しい。
二つ目、ウサコを倒す事も出来(上条はウサコが霊装で魔術を用いていると思っている)、無事
脱出する可能性もある手段だ。これは最良の策と言えるだろう。だが

(馬鹿か俺は!ここでコイツを犠牲にしたら、意味無いだろうが!!)

上条は、自分の中に浮かびかけた答えを即座に打ち消す。
確かに最も確実な手段だ。だが、それをすれば、恐らくウサコは瓦礫の下敷きになり、
重量と圧力の犠牲になってしまうだろう。
上条には、誰かを犠牲にする事で誰かを助けるという発想は無い。
ましてや、ウサコが何故こんな事をしているのか解らないならば尚更だ。
願うのは、誰も倒れる事のないハッピーエンド。
だから、上条は三つ目の選択肢を選んだ。
そして、ウサコに告げる

「来い!アンタを逃がす気はねえけど、見殺しにするつもりもない!」

上条の選択、それは、ウサコの霊装を破壊し、彼女を担いで此処から脱出する事。
上条が幻想殺しで礼装を破壊、或いはウサコに触れていれば、ウサコはテレポートを封じられ、
ここから脱出して逃げた人々を襲う事も、魔術で上条を攻撃する事も不可能になるだろう。
可能性の低い選択肢だが、それは決して不可能では無い筈だ。
そう考え、上条が幻想殺しではない左手をウサコに伸ばすと

>>109
「んなっ!!?」
突如、上条の後頭部に衝撃が加わり、上条は前のめりに倒れてしまった。
ウサコの挙動へ精神を集中させていた為、上条は鷲の接近に全く気付けなかったのだ。
「~~!? な、なんだよ今の……は……?」
そこまで言って、倒れた上条は妙な胸騒ぎを覚え、自分の状況を確認する。

Q1.『さっきまで上条はどこに立っていた?』
A.【倒れているウサコの目の前】

Q2.『そこで後ろから打撃を受ければどうなる?』
A.【倒れて、押し倒す様な姿勢に見える】

Q3.『左手にある感触は?』
A.【柔らかい】

冷や汗が流れ、体がブルブル震える。上条の生存本能が、先程とは別の種類で、
かなり慣れ親しんでしまっているソレが、警鐘を鳴らしまくっている。

「ふ、不幸だ……」

上条は、無意識に口癖であるその言葉を漏らしていた。

115:リーベル ◇fbsB0QAAho
08/01/23 21:47:22 0

魔王軍に攻め入られたオロッパス、その戦の光景を一望できる場所に
一つの影があった。神々の時代、闇を信奉し暗黒の使徒となった
黒き妖精、ダークエルフであった。まるで絵画から飛び出して来たかのような
神秘的な美しさはその存在の儚さをも表しているよう。
真紅の瞳には憂いと悲哀が浮かび、戦で失われる命の多さに目を背けがちだ。

リーベルは長らく魔王軍に追われている。その追っ手は回を重ねる毎に
質が高まり、数が増え、執拗になり、一人で捌くのも限界に近かった。
今までは自分に関わる事で人が犠牲になったり、情が移ってそれを利用されたり
するのを恐れて逃げ回っていたが、捕まってしまったら今より更に酷い事が起きる。
最悪なのは儀式魔法の知識だけを抜き取られて殺されてしまうこと……
少なくとも、現状では自分の死はそれだけで済まないのだ。どうあっても死ねない。

>107-108
思えば、トロルと言うことでつい昔を思い出して
気を許したのが間違いだった。うっかり口を滑らせてしまった時の
あのトロル……ムーミンと名乗った、奴の表情は今も忘れられない。
不安は的中し、次の日には魔王軍が私の知識と力を狙ってやってきた。
あの日のあの場にはムーミン以外にも何人かいたし、奴が言ったのでは
ないのかも知れないし、いまさら言った所で、またいくら奴を呪おうがそれで私の
迂闊さが帳消しになるわけではないのだから……気は進まないが、戦うしかない。
そう、不毛にして不当な命の奪い合いをしなければならない……

「……フッ、フフフ……戦が嫌い、か。だから私は裏切り者と呼ばれる。
 命は、殺し合うために生まれてくるのじゃないのにね……んっ、これは……
 いるわ、あそこに。まだ戦ってる……今行けば、まだ間に合う。」
戦場の喧騒に消されかかってたわずかな音に気づき、
急ぎ光の精霊ウィル・オ・ウィスプを召喚する。
「私の姿を隠してくれる?そう、少しの間で構わないの……ありがとう。」
ウィスプの力を借りて姿を隠し、崖を駆け下りて城へと向かう。
風の精霊シルフの力で、先程から戦場を飛び交う様々な『声』を拾っていた。
地上へと通じる大穴が開いたことで地下からも『声』が聞こえるようになったのだ。
地下の声はまだ生存者がいて戦っていることを教えてくれるものだった。
そこに絞って集めた音から、かなりの実力者同士の戦いらしいとも――。
一縷の望みと多くの不安を胸に、リーベルは不可視状態で戦場を駆ける。

116:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/23 22:30:52 0
>>110-111
「す、すみません」
どうやら俺の背負っている男が目を覚ましたらしい。
男は俺の背中から降りるとふらついてはいるものの立つ。
「私はもう、歩けます。…私はランカム、あなたは? 現状は…」
「……フェル・エクスティム。現状?見れば分かるだろう。
 ここから逃げないと生き埋めになるぞ。」
そう言った瞬間、出口が崩れ落ちる!最悪の事態だ!
チッ、黙って俺に背負われていれば下らん時間など取らなかったものを!
クッ、仕方が無い。違う出口を探すしかないか…
「おーい、兄ちゃん達!今からじゃ多分地上まで間に合わねえ、こっちに集まってくれ!俺に考えがある!」
バンダナの男が叫ぶ。どうやらここから出る方法とやらがあるらしい。
まあ、どのみち八方塞だ。この際少しでも可能性があるのならばそれに掛けるしかあるまい。
「………チッ、行くぞ…あいつに良い考えがあるらしい。」
そうだ、今はあいつの考えに乗るしかない。だが…屈辱だ!!
今日というこの日は屈辱の連続だ!他人に頼っている時点で俺は既に弱者。
さっき薬を俺に投げられたことも、こうして逃げる方法を違う奴に頼るのも…全て俺が弱いからに起因している!!
俺がもっと圧倒的に強かったらそもそもムーミン大佐に無様に負け、しかも情けを受けることもなかった!
「くそっ!!なぜ俺はこんなに弱い!!くそぉっ!!」

自らへの怒りに震えながらバンダナのとこまで行くと鷲が宝箱を持って飛んでくる。
落とした宝箱には『この世界を守る勇者様へ』と書いてある。
「これがお前のいうここから出ることができるものなのか!?」
>「神様仏様天使様!サンキューな!代わりに世界はきっと守ってやるぜえっ!」
そう言ってバンダナは宝箱を勢いよく開ける、
何が入っていても今の俺達はそれにすがるしかあるまい……
「だが覚えていろ…ここを出たら強くなってやる。首を洗って待っているがいいムーミン大佐!!」


117:パラシエル ◆/Q.vnlAVN.
08/01/24 00:41:28 0
>111
ポップが宝箱を勢いよく開けるとそこにはただ暗闇が広がっていた。
闇、闇、闇、真っ黒な闇。
そして2、3秒間を開けてから、闇から一つか細い綺麗な声がポップに問いかけた。

「貴様が勇者か?」

その問いの答える間も与えず次の瞬間ぬっと暗闇から二本の白い手首が出て宝箱の縁を掴む。
細く貧弱でとても戦闘に使えそうにないその手に力がぐっと入ると次の瞬間無表情な子供の顔がぬっと出てきた。
そして次の瞬間宝箱の中からぴょんっと飛び出てくる。
見た目13くらいのその美少年と言っても過言ではないその子供は、黒いワンピースを着ており着地ど同時にふわりと揺れた。

「ふう・・・実に窮屈な宝箱であった。」

そう一言言うとその少年は軽くスカートを叩いた。
見た感じではこの状況を打開できるような感じはない、無論雰囲気も大物めいた感じでもなければ、
殺気もやる気の有無も何も感じない。
ただひたすら無の状態のその少年はぐるんとポップを見、鼻を二、三回ひくつかせた。

「ずいぶんと小便臭い餓鬼だな僕様の名はパラシエルこの世の宝を司る天使様だ。
天界の神から命令があったものでなわざわざ下等生物共を守りに異世界からやってきた糞餓鬼共のサポートに来てやった。」

ポップを見つめながら、暴言混じりに早口でしかも息継ぎほぼ無しで自己紹介をし終える。
少年は天使を名乗るが少年には翼もなにもない。
パラシエルはポップの近くに居る負傷者に目をやった。

「さて、文句質問等は今の状況を打開してからにしよう。
話は宝箱の中で聞かせて貰った。だからやる事はわかっている。」

パラシエルはまたもや早口で言うと今度は目を閉じ指笛を吹いた。
すると先ほどパラシエルを運んできた鷲が再度Uターンして戻ってきた。
今度は見事にウサコと上条を避けきり、パラシエルの前に止まる。
するとぐんぐんと大きくなり、人二人分を乗せられる大きさになると次の瞬間負傷者達を頭から次々と飲み込んでいった。

「安心しろ。この鷲は僕様の優秀な翼。少しばかるこの荷物共を胃の中で治療してやるだけだ。
まあ代償として魔力は根こそぎ吸われるだろうがそれくらいどうって事もないだろう。」

そう言うとパラシエルは鷲に乗りポップの手を掴んだ。

「ほれ、とっとと行くぞ。間違っても振り落とされるなよ、餓鬼。」

そして青い空を目指し白い鷲を発射させる。

118:名無しになりきれ
08/01/24 00:42:28 0
.

119:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/24 01:07:09 0
>113-114
「……魔王に情けをかけるウィザードなんて、初めてだろー」
何とも言いがたい表情を見せた。
普通、魔王の不倶戴天の敵たるウィザードはこちらに情けをかけないし、魔王もまた敵に情けはかけない。
そのとき、上条の手がウサコの胸に触れた。薄い。揉むほどは無い。
「な、何をするー。そういうことは大魔王様にやった方が良いだろー。
 大魔王様の方がふかふかふかで気持ちいいぞー」
胸を揉まれたウサコの反応は、一切の色気が無い。
そう、ウサコは魔王の中でも特に色気に欠ける部類に入る。
恐らく、ファミ通文庫から出ている『赤い月の巫女』でボスキャラを務めた、あの魔王アスモデート(男、イケメン)よりも色気が無い。

「あっ」
そうこうしているうちに、影がさし、辺りが少し暗くなった。
仰向けに倒されているウサコには見えている。
大きな瓦礫が、すぐそこまで迫っている!
「私は一足先におさらばだろー。他人の胸を気安く触りよった罰を嘆いて死ぬがよい」
ふっとウサコが消失した。

120:大魔王城の様子 ◆svDXdcR9Gw
08/01/24 02:21:53 0
密偵がオロッパス方面の戦況の報告をするために、大魔王の居城にやってきたのは、
ウサコが空間転移で行方をくらました直後だった。
大魔王の玉座の間は、大理石の床に赤い絨毯が敷かれているように見える。
「大魔王様はお休みになられている。要件は私が取り次ごう」
密偵に応対したのは、大魔王の直属の部下と思しき、インコに似た怪鳥だった。
その場には、魔王軍の将軍や、食客と思しき者達も集まっており、密偵の報告に静かに耳を傾けている。

玉座の周囲にはカーテンがかけられており、そこには大魔王のシルエットが映っていた。
しかし、それはきわめて奇妙な形のシルエットで、その姿を想像することは難しい。

大魔王の姿を直接見た者は、ごく限られた者だけだと言われている。
此処に集まっている者達でも、実際に姿を見た者は少ない。

「報告いたします。
 オロッパス城地下にて、ムーミン大佐が『石のような物体』の確保に成功したとのこと」
密偵がまず報告したのは、ムーミン大佐の活躍についてだった。
側近達は『石のような物体』の重要性をよく理解しているようで、歓声をあげる者も居た。
「なるほど、それは吉報だ。して、ウサコの方は?」
「は、それが……この映像をご覧ください」
密偵は投影魔術で密かに撮影していたのだろう。戦いの一部始終を収めた映像を見せた。
『大魔王様の方がふかふかで気持ちいいぞー』
ウサコが上条に胸を揉まれて、そんな事を言っている辺りで、密偵は映像を切った。

「このように、ウサコは大魔王様に関する貴重な情報を敵方に流しただけでなく、
 そのまま行方をくらましております!」
魔王軍の幹部達の間にどよめきが走った。
手触りがふかふかで気持ちいいことも、『大魔王様に関する貴重な情報』らしい。
将軍達は、ウサコが謎めいた主君に関する情報を握っていたことに、驚きを隠せない様子だった。
実のところ、此処に集まった大魔王の配下の将軍達の中でも、大魔王の姿を直接見た者は少ないのだ。

121:大魔王城の様子 ◆svDXdcR9Gw
08/01/24 02:52:54 0
「……漏れた情報がこの程度だったのは不幸中の幸いか」
裏界の魔王達は、第八世界ファー・ジ・アースに侵入すると、その力を大きく減じられる。
故に、力よりもむしろ、様々な策謀を巡らせて世界を破滅させようとする。
狡猾な性格が多いのはそのためで、裏切ることは多々あるどころか、最初から裏切る心算で接触してくることも多い。
その素性をよく知っていれば、信用しないのが普通である。

「ウサコの裏切りは確かに大きな損失だ。
 しかし『石のような物体』が手に入ったのは、それを補って余りある利益だ」
怪鳥は暫く押し黙ったあと、これからのことについて話した。
「もはやオロッパスの城などは落ちたも同然。今はアヨガン国の対処を考えねばならぬ」
アヨガン国は、オロッパスの南西に位置し、海に面しており、魔王城に最も近い位置で徹底抗戦を続けている。
国としての規模でこそオロッパスと同程度だが、兵の精強さではアヨガンの方が遥かに上である。
更に、この国には大魔王が唯一恐れる封魔の宝玉があるという。
魔王軍にとって、目の上のコブと言って差し支えない。

魔王軍の将軍達は、どのようにしてアヨガン国を攻め滅ぼすかについて話し合っている。
『石のような物体』が手に入ったことは、将軍達の士気を大いに盛り上げたようで、
『石』の力を利用し、その勢いに乗じて一気に攻めるべきだという意見が多かった。
明日にでも出撃するぞ、などと張り切っている者も居る。

122:大魔道士ポップ ◇bTJ1y4hkoYの代理投稿
08/01/24 20:09:49 0
>>116
呼び掛けに応え、ランカムを背負ったフェイがやって来た。
宝箱を見て言う。
>「これがお前のいうここから出ることができるものなのか!?」
「へへっ、これこそ神様がこの大勇者ポップ様に寄越してくれた秘密兵器よ!そら御開帳ぉ!」
得意気に調子のいい台詞を吐き、箱を開ける。

>>117
しかし、宝箱の中には、ただ闇が広がっていた。
「あれ?」
話が違うぞ神様の助けなんじゃねえのかよ、と思いかけた時、中から声が聞こえてきた。
>「貴様が勇者か?」
そして応える間もなく中から手が伸び、そしてその手の主である子供が中から這い出してきた。
「なあっ…」
美少年ではあるが、それだけだ。とても頼れそうには見えない。
むしろ一緒に生き埋めになりそうだ。

>「ずいぶんと小便臭い餓鬼だな僕様の名はパラシエルこの世の宝を司る天使様だ。
>天界の神から命令があったものでなわざわざ下等生物共を守りに異世界からやってきた糞餓鬼共のサポートに来てやった。」
「お、おい!小便臭いとはなんでぇ!お前の方がよっぽど餓鬼じゃねーか!」
とりあえず悪口には条件反射で反応してしまうポップだった。
「しかも宝を守る天使って何だよ!こんな修羅場じゃ全然役に立たねえよ!もっとマシな天使を寄越してくれってんだよ!
 大体お前、本当に天使なのか?天使って羽とか生えてたりするもんじゃないのかよ?」

>「さて、文句質問等は今の状況を打開してからにしよう。
>話は宝箱の中で聞かせて貰った。だからやる事はわかっている。」
ポップの文句質問等は軽くあしらわれてしまった。
パラシエルはさっきの鷲を呼び寄せ、巨大化させ、負傷者達を飲み込ませていく。
ポップは少し不安になった。
「お、おい…」
>「安心しろ。この鷲は僕様の優秀な翼。少しばかるこの荷物共を胃の中で治療してやるだけだ。
>まあ代償として魔力は根こそぎ吸われるだろうがそれくらいどうって事もないだろう。」
そう言うとパラシエルは鷲に乗りポップの手を掴んだ。
>「ほれ、とっとと行くぞ。間違っても振り落とされるなよ、餓鬼。」
そして地上に向けて鷲を飛び立たせる。

>>119
「ちょ、ちょっと待ってくれ!もう一人いるんだ!」
そう、まだ上条がウサコを取り押さえていたのだ。
ポップが目をやると、ウサコは既に消えていた。倒したのか逃げられたのかは分からない。
しかし、そこに瓦礫が落下している事だけは分かった。
「爆裂呪文(イオ)っ!」
ポップはすかさず球状の魔法弾を放った。それは瓦礫にぶつかると爆発し、四散させていく。
そしてポップは上条に向けてブラックロッドを伸ばした。
「脱出するぞ!捕まれーっ!」

123:東條ルミナ ◇Yw2bVAsGtAの代理投稿
08/01/24 20:10:34 0
「あぁ……見たよ」
真剣な目つきをして、ルミナはそう返す。
とはいえ、ルミナはムーミン程この能力に戦慄を感じてはいなかった。

元の世界にいた頃、勉強してだか、風の噂で聞いたか細かく覚えてはいなかったが
万物の死の線が見える魔眼を持つ者がいるらしく、その者に線をなぞられただけでもその物は死を迎えるそうだ。
「まぁ…少々やっかいな能力だが…付け入る隙はあんだろ?」
その死の能力がある者にもそれなりに弱点はあるのだ…不透明な部分さえ判れば、対抗する策も、封ずる策もあるはずだ。
もう一度、一服するとルミナは黒く微笑いを浮かべた。

「……あぁ確かにそうだな…それに周りが見えてねぇ…下手したら全滅してたんじゃねぇのか?」
ルミナから見たら、結界を破るだけにあの技は大きすぎる。
それに、ただでさえいつ崩壊してもおかしくない状況下であんな技をだしたら、一気に崩落するかもしれない。
たった一時の勝利の快感の為に自分の命を犠牲にする戦い方は愚者としかいえない。
「まぁ…私にゃ関係ねぇけどな」

そのとき、ルミナの視野が暗くなった。
地層が脆くなっているのか、それとも地上にいる何者かが落としたのか判らないが頭上からは大きな岩が落ちてくる。
その間、詠唱し腰についている魔銃を抜き、岩に打ち込むことが出来るだろうか?
ルミナが考えている一瞬、ムーミン大佐のステッキが岩を粉砕する。
その後、ステッキは地上に出るまで上から降ってくる岩を砕きつづけた。

地上に出るとムーミン大佐はステッキを収めた。
「ッ!!!…………なるほど…なぁ」
一瞬、険しく表情を見せた後、ルミナは大きくため息をつく
今まで色んな客を見てきたが、ここまで掴めない者は初めてであり、
魔術師としてもルミナと同等、それ以上の実力者だと改めて実感したからだ。

巨龍に収容された後、ルミナは適当な場所に腰を下ろし煙草をふかす。
「……まるで、RPGの登場人物になった気分だよ…ホント」
空から見下ろす景色はまさしくそうだった。
険しい山、深い森、石造りの街に城…「東京」とは一回転半違う世界に来てしまったことを再認識してしまう。

一通り、ムーミンの話を聞き終えると…ルミナは先ほど返答しなかった質問の答えを言った。
「利害が一致している以上、私もあんたと同じような考えさ…だが、まぁ……雇いたいってんなら話は別だがな」
クスクスと笑いながらルミナはムーミンにそう言った。
「…ところで、これからどこにいくつもりだ?…宿屋につれこんで大人の話し合いってんならまた別の話になんぜ」

124:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/24 21:14:55 0
>123
大魔王の城へ向かうスケルトンドラゴンの中で、ルミナとこれからのことについて話していた。
元々意に拠らずに呼び出されたのだ。
石のようなものの解析に協力し、元の世界に戻ることを希望すると思っていた。
が、ルミナからは意外な申し出がなされる。
「ふふふふ、実に魅惑的な話だ。ぜひとも大人の話し合いといきたいところだが・・・」
笑みを浮かべたムーミン大佐だが、すぐにブルブルと震えて首を振る。
「だが、やめておこう。
そのようなことをすれば『彼女』に廃人になるまで追い込みをかけられて殺されるだろうからね。」
力ない笑みとともに肩をすくめて見せた。

『彼女』が誰とは言わなかったが、それはウサコでも、大魔王でもない。
実はムーミン大佐、これでいて妻帯者なのだ。
そして妻は現在妊娠5ヶ月。あと31ヶ月もすれば第一子が誕生することになる。
ムーミン大佐を怯えさせたのは、兇禍と呼ばれる生きながらにして伝説となった暗殺者。
後にムーミンママと呼ばれる妻であった。

「私も雇われている身でね。採用不採用の権限はないが、口添えくらいはさせてもらうよ。
ご同輩となれば力強い。」
気を取り直して応えるムーミン大佐の右腕からは、新緑の芽が生えてきている。
妖精ドライアード。植物の生命力をもって再生を司るのだ。


####大魔王の城####

夕日が全てを赤く染め上げる頃、大魔王の城に到着した。
石のようなものを城のものに引き渡し、玉座の間へと向かう。
「既に報告は密偵方から届いているとは思うが、期間の挨拶と紹介をするので着いてきたまえよ。
本格的に雇われるのであれば交渉は自分でやってくれ。望む報酬はそれぞれ違うだろうからね。」
玉座の間に向かいながらルミナへ告げる。
そう、まったくの異世界からやってきたのだ。価値観も何もかも違う。

ムーミン大佐の場合は、報酬は自動的に決まっている。それは世界を構成する力。
本来妖精は決まった世界を持たない流浪の民なのだ。
あらゆる世界を渡り歩き、その世界にある強き願望を叶える。
時として靴を作ったり、時として哀れな少女のマッチに幻を見せたり。
それと同様に、ムーミン大佐は己の能力をフルに生かすことのできる戦闘を生業としている、だけの話だ。

妖精は決して気まぐれで仕事をするのではない。
呼ばれた世界の力をその報酬として得るのだ。
そして世界を持たぬ妖精は得た世界を構成する力を使い、世界の狭間に自分達の住処を作り維持する。
ムーミン大佐も同様に、いや、それ以上の目的があった。
あらゆる世界と接する谷間に自分の世界を作る、という。
その為に多くの世界を駆け、世界を構成する力を集めているのだ。

「一つ注意して欲しいのは、敵対意思表示は示さないことだ。
皆が皆私のように紳士ではないのでね。
下手に力があると戦いたいと言い出すものがでてくるかもしれん。」
最後に警告をしておく。
最近仲間になったあの男。闘いに渇いているその姿を思い浮かべながら。
とはいえ、あまり心配してはいない。
きっとフェルの事を話せば喜ぶだろうから、と。

玉座の間につく頃にはムーミン大佐の右腕には立派な木が生えており、一つ実をつけている。
これが熟れれば中から再生された右腕が出てくるのだ。
少し右腕の樹を見て、ムーミン大佐はゆっくりと玉座の間の扉を開く。

125:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/24 21:44:53 O
「確かに、危険な状況のようですね」
互いに名を交わし合った矢先、崩れた天井が完全に出口を塞いでしまった。
背を向けたフェルは、苛立ちを隠さずに悪態をつく。
不器用だが、根は悪い男ではないのだろう。
「怪我人は任せて下さい」

瓦礫に身体を挟まれた者達を助け起こしながら
ポップに目を移すと、彼はなにやら宝箱を掲げ大見得を切っている様子だった。
しばらく見守る内に宝箱の蓋は開けられ、中から一人の少年が出てくる。
少年はポップを勇者と呼び、自らを天使パラシエルであると名乗る。
「“魔王”の次は“勇者”と来たか…」
--ならば騎士の役目は、その勇者達を守る事か。
彼の言動に面食らいつつも、どこかこの状況を
自然と受け入れかけている自分に、一つ苦笑した。
魔王が実在するのならば、勇者も実在するのだろう。
それは、小さな希望であった。

さて、ある程度の事には驚かないつもりでいたのだが、
流石に巨大鷲の口に入るなどは、想定外の事である。
巨大鷲が負傷者達を飲み込んでいく様子は、
ファンタジーを通り越してシュールである。
「世界は広い物だ」

そして、本格的な崩壊が始まった。
「…生き埋めは御免だな」
もたついていた負傷者を、半ば投げ入れるように鷲の口に放り込む。
上条は、ポップが懸命に救おうとしている。
--彼を信じよう。
そして自らも鷲の口に入る寸前、召喚石のあった場所を振り返る。

私が気絶した後、あの青い髪の女性は、どうなったのか…。
誰に聞くまでもなく、想像はついている。
名も知らない人間だが、自らの手が届く範囲で、
また一人“魔”の軍門に下ったのかと思うと、心が重くなった。
--神よ、私は無力だ。
《力が欲しいだろう》
意識の底で、雑音が聞こえた。

126:赤屍 ◆jdLx9J.tuQ
08/01/24 22:54:40 O
玉座の間に黒い帽子とスーツに身を包んだ人間の男の姿があった。
そう、彼こそが史上最低にして最悪の運び屋、赤屍蔵人。
彼もまた、召喚されし者の一人。
しかし彼は今魔王軍側に着いている。
それは何故か?理由は簡単。魔王軍側に着けば、沢山の強者と闘えると聞いたから。
彼にとっては金や名誉なんて無価値に等しい。
強者との闘いが最高の報酬であり、喜びなのだ。
このバトルマニアを呼び出したまでは良いが、敵に回してしまった召喚者たちはさぞ後悔しているだろう。
さて、前置きはこの位にしておいて、彼は今、とてつもなく退屈していた。
ウサコ達がオロッパスの城に行くと言った時、付いて来るかと聞かれたが彼は断った。
行ったとしても強者と闘える気がしなかったからだ。
しかしオロッパスの城では赤屍の相手に相応しい強者達が続々と召喚されていた。
「付いて行けば良かったかもしれませんね…。」
退屈そうに佇んでいると密偵の報告が始まり、ムーミン大佐の活躍とウサコの裏切りを知る。
それでも赤屍は何の反応も示さなかった。
それよりも密偵が映し出した戦いの一部始終の方が興味深かったらしい。
「やはり失敗でしたか…。」

127:赤屍 ◆jdLx9J.tuQ
08/01/24 22:56:42 O
周りの幹部や将軍達は大魔王の情報流出にどよめいている。
が、『石のような物体』を確保した事により将軍達の士気は上がったようだ。

>>124盛り上がっている玉座の間で一人浮いたように黙りこくっているとゆっくりと扉が開いた。
扉を開いたのはムーミン大佐だ。そしてルミナの姿もあった。
「おや、今お帰りですかムーミンさん?…その腕……相手はなかなかの強者のようですね。」
ムーミン大佐の腕を心配そうに見ながらも嬉しそうな表情を隠せないようだ。
「どうやら随分活躍したみたいじゃありませんか。この通り、皆さん大変盛り上がってますよ…。
ところで…」
そこまで言って一旦言葉を切り、ルミナに視線を移す。
「そちらの女性はどなたです?新しいお仲間ですか…?」

128:パラシエル ◆/Q.vnlAVN.
08/01/24 23:36:29 0
>>117の後半を訂正
パラシエルはまたもや早口で言うと今度は目を閉じ指笛を吹いた。
すると先ほどパラシエルを運んできた鷲が再度Uターンして戻ってきた。
今度は見事にウサコと上条を避けきり、パラシエルの前に止まる。
するとぐんぐんと大きくなり、人三人分を乗せられる大きさになると次の瞬間負傷者達を頭から次々と飲み込んでいった。

「安心しろ。この鷲は僕様の優秀な翼。少しばかるこの荷物共を胃の中で治療してやるだけだ。
まあ代償として魔力は根こそぎ吸われるだろうがそれくらいどうって事もないだろう。」

そう言うとパラシエルは鷲に乗りポップとフェルの手を掴んだ。

「ほれ、とっとと行くぞ。間違っても振り落とされるなよ、餓鬼共。」

そして青い空を目指し白い鷲を発射させる。

129:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/25 00:30:38 0
>>119
>「な、何をするー。そういうことは大魔王様にやった方が良いだろー。
 大魔王様の方がふかふかふかで気持ちいいぞー」

「ま、待て!待ってください!状況を冷静に考えろ、これは……そう、事故!不可抗力だ!!
 いや、ふかふかとか関係ないしRPGのラスボスっぽいのにセクハラする趣味も無いから!
 つーか上条さんにはいきなり女性の胸にタッチする趣味はありませんよ!?ゴメンナサイ!」

記憶には無いが、体が覚えている過去の様々な経験から来るのであろう何かによって
固まっていた上条は、ウサコの台詞を聞いてからハッとし、飛びのくように左手を離す。
そして、全身から汗をダラダラと流しながら、挙動不審なボディーランゲージをも用いて
全身で事故である事を訴える。
反応に一切の色気がないウサコと、逆に全身全霊で弁明しながら慌てている上条、
端から見れば随分と滑稽な眺めだろう。

>大きな瓦礫が、すぐそこまで迫っている!
>「私は一足先におさらばだろー。他人の胸を気安く触りよった罰を嘆いて死ぬがよい」
「……は?」
慌てていた上条が、ウサコの言葉に反応し後ろ振り向くと
天井から崩れ落ちたのだろう、真上から巨大な瓦礫が上条に迫ってきていた。
「な――!?」
上条が慌てて視線をウサコに戻すと、既にウサコの姿は無かった。
だが、今はウサコを逃がして閉まった事を気にする余裕は無い。
上条は歯を食いしばり、飛び跳ねるように瓦礫の落下地点から遠ざかるよう走り出す。
上条の右手に宿る『幻想殺し』は、それ異能の力ならどんなものであろうが消去できるが、
銃弾や斬撃といった普通の物理法則で起きる現象には何の効果も無い。
巨大な瓦礫などに潰されれば一巻の終わりなのだ。
全身の筋肉を限界まで酷使し疾走する上条、
しかし、瓦礫の重力落下速度は上条の足を容易に上回っていた。
(畜生っ!間に合わねえ!!)
上条がそう思った時

>>122

>「爆裂呪文(イオ)っ!」
声と共に、突如瓦礫が爆砕した。

「ぐっ!?」
突然の爆発の余波で、数m程吹き飛ぶ上条。
体を石畳にしたたかに打ち付けるが、瓦礫に潰された感覚は無い。
「ゲホッ!ゴホッ! ……助かっ……たのか?」
そう言って、打ちつけた箇所を摩りながら起き上がる。

そして見た。
粉塵が何かの羽ばたきの様な物で晴れたそこには、瓦礫では無く、
巨大な鳥に乗った、先程上条を助けてくれた少年の姿があった。

>「脱出するぞ!捕まれーっ!」
目まぐるしい情報の変化に脳の処理が追いつかなくなりつつあった上条は、
だが、少年の言葉を聞き、思考を回復し、様々あった疑問を吹き飛ばす。
今必要な事は、目の前の少年を信じる事だと感じ取った。

そして上条は、延ばされた杖を左手で――掴み取った。

130:大魔道士ポップ ◇bTJ1y4hkoY
08/01/25 19:30:12 0
上条がロッドを掴むと、ポップはロッドを縮めて引っ張りあげる。
(うお、重てえっ!)
魔法に関しては一流でも腕力はてんで大した事のないポップに、人間一人分の体重を支えるのは辛い。
必死に体とロッドを支え、何とか上条を鷲の上に引き上げた。
「ぷは!ぜぇ~ぜぇ~、大丈夫か?そんじゃ、ちょっくら上まで頼むぜ天使さんよ」

131:パラシエル ◆/Q.vnlAVN.
08/01/26 00:05:04 0
>>122>>125
聖騎士ランカムとその他の戦士達を鷲の胃の中にいれ飛び立った矢先、
ポップはいきなり叫んだ。

>「ちょ、ちょっと待ってくれ!もう一人いるんだ!」

パラシエルはポップの目線の先を見た。
するとそこには先ほど運悪く鷲に蹴られていたツンツン頭の男が居た。
どうやらポップはその男を助けるらしい。
宝箱を開けた勇者に従えというのがパラシエルに課された使命である。
パラシエルはポップに従った。

「とっととすませろ、死ぬぞ。」

そう一言言うと天使は鷲にブレーキを掛けると二、三回鼻を動かした。
そして先ほどまで居た人間達の臭いをその一瞬で覚える。
例えその場に居なくても臭いという物はいた場所に残る物なのだ。
嗅いで少しも立たないうちに自分の鼻にパイプ煙草のわずかな臭いと別の煙草の強い苦い香りとともに、
どろりと甘いあめ玉のような臭いを感じ取った。
しかもそれは今までパラシエルが滅多に嗅いだことの無いようなとろけそうな甘い甘い香りである。
パラシエルの目に一瞬生気が戻り輝く。


132:パラシエル ◆/Q.vnlAVN.
08/01/26 00:06:49 0
>>129>>130>>115
そんな時に鷲に少しの重みがかかりまた上へと動き出した。
どうやらポップの杖に上条が捕まったらしい。
パラシエルの目はまた元の半分死んだような目になる。

>「ぷは!ぜぇ~ぜぇ~、大丈夫か?そんじゃ、ちょっくら上まで頼むぜ天使さんよ」

ポップが上条を引き上げ終わったのを横目で見ると、パラシエルはため息をついた。

「全く・・・重量オーバーぎりぎりだ。
万が一翼が折れたら貴様等を殴り倒す。ウェザード(鷲の名前)!急げ!」

そう言うと鷲のスピードがぐんぐん上がり、
可憐に落ちてくる瓦礫を避けながら一変に地上へ出た。
が、鷲は地上に出たとたん地面に落ちた。
どうやら重量オーバーぎりぎりで走ってたのがわるかったらしい。
パラシエルは鷲から落ち、地面に叩きつけられた。
鷲の中から数人治療中だった人間が飛び出る。

「・・・・もう二度と人間は乗せん。・・・む?」

パラシエルはまたもや鼻をひくつかせた。

「誰か来るな。しかも相当癖のある臭いの奴が。」

そう言うとパラシエルは起き上がり臭いの元を見つめる。

133:オロッパス城周辺の近況 ◆svDXdcR9Gw
08/01/26 14:39:51 0
オロッパス城の近辺に、オロッパスの友軍と思しき兵士の一団がやってきていた。
その旗を見るに、どうやらアヨガンという国の兵士のようだ、ということがわかる。
「何ということだ!
 救援を求めに来たというのに、こちらも敵の奇襲に遭っているとは!
 この有様では、むしろ、こちらから救援物資を送らなければならないくらいだろう」
彼等は、破壊されて見る影も無くなったオロッパス城を見て唖然としていた。

オロッパスの大地には怪我人、死人、瓦礫といったものばかりが転がっており、
まともな建物や生存者を探すのにも苦労する有様であった。
死人にしても、死体が残っている者は、まだ弔ってもらえる分だけは幸いだったと言えるかも知れない。
魔王軍の暴虐な振る舞いと恐るべき力により、それほどの悲惨に見舞われているのだ。
「誰か、誰か生きている者は居らぬか!」
兵士達は大声で呼びかけている。
中には呼びかけに応じる負傷兵や、幸運にも一命を取り留めた一般人も居り、各人、傷の手当てを受けていた。

「しかし、酷い有様だ。
 オロッパスは決して寡兵ではなかったというのに……
 一体、どのような敵が襲ってきたというのだ?」
隊長と思しき男は辺りを一瞥し、この惨状の原因を分析していた。
魔王軍の本隊と長年戦い続けているアヨガン国の兵士達が見るに、
自分達でも未だに戦ったことのないほどの強敵が現われたのは間違いなかったのだろう。
隊長の顔面が蒼白になった。
「むむ、これはゆゆしき事態。
 ここの先ほどの襲撃のときよりも強靭な軍を組織して向かわれては、われわれでも対応できまい。
 いち早く報告に帰らねば……」

134:紅竜 ◆DuEaAnn9RQ
08/01/26 18:10:37 O
>>133
「とうっ!」
オロッパス城の周りを視察していた隊長の前に、紅竜は三回転ほどしながら落ちてきて華麗に着地した。
城の残った壁の上から、登場のタイミングを見計らっていたのだ。

「おおう。やはりアヨガンの兵士どもが、のこのこ出てきおったか。
他の奴らが帰った後も、残っていたかいがあったというものよ」
魔王軍から攻められる事を知っているはずのアヨガン軍は
必ず情報を手に入れるために、オロッパスに援軍を出すだろう。
そう考えた紅竜は、仲間が引き上げた後も待ち伏せの為に残っていたのだ。
予想より敵の到着が速かったが、待つ必要がないぶん好都合といえる。

「貴様等が帰って報告できる事など、何一つないわ。
なぜなら‥‥貴様等全員ここで死ぬのだからな!!喰らえぃ!紅竜天才波!」
問答無用とばかりに、兵士達に向かって魔力弾を放つ!

135:リーベル ◇fbsB0QAAho
08/01/26 19:43:23 O
城まであと少しの距離まで近づいたところで大きな揺れを感じた。
まさか……と、風の精霊シルフと土の精霊ノームを呼んだ。
シルフには音を、ノームには地下の様子を伝わせるために。

ノーム曰く、人間が掘った地下の空間は完全に埋まってしまったらしい。
隙間と言える物もほとんどないほどみっちりだと言う……間に合わなかった?
しかしシルフによって届けられた音は、地下にいた生存者が無事だと
言う事と大きな鳥のような物が羽ばたいている事を伝えていた。
誰かがロック鳥でも呼んだのだろうか?
「どちらにせよ無事なのは確かと言うことかしら……
 魔王軍も退いたようだし、姿隠しは解いてしまいましょう。」
生存者に会うため、姿隠しを解いて瓦礫の中を歩いていく。
その歩調は聊か急ぎ歩きで、心の安定を欠いている事を伝えていた。

>131-132
果たして、その目に飛び込んできたのは奇妙な光景だった。
巨大な白鷲とその周囲に見慣れぬ装いをした負傷者が何人か。
先ほどの羽ばたきはこの鷲のものだろう。そして、この凄惨極まりない
戦場にはまったくもって不釣合いな格好をした少年が、まるで自分が
来るのが分かっていたかのようにこちらを見つめていた。
振り落とされたのか、打ち身が何箇所かあるようだが一番軽傷に見える。
リーベルは少年を気にかけながらも、重傷を負った者へと近づき、とりあえず
フェルとランカムに宿る名も無き生命の精霊を活性化させ傷を塞がせた。

>133
その時、遠くから大声が聞こえてきた。
視線を向けると、そこにはアヨガン国旗を掲げた兵士の一団がいた。
アヨガンと言えば、長らく魔王軍本隊と戦い続けている国だ。
そのアヨガンの兵士がここに来たと言うことは、オロッパスに
援軍でも求めに来たのだろう……アヨガンには魔王の恐れる
封魔の宝玉があり、アヨガンの陥落は人の敗北を意味すると言えよう。
フェルとランカムの傷はもう少し大人しくしていれば完全に塞がるので、
彼らの事は周囲の人々に任せる事にした。
「もし……アヨガンへ行くのでしたら、ご同行させて頂けますか?」


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