【版権あり】召喚戦士達の戦い【TRPG】at CHARANETA2
【版権あり】召喚戦士達の戦い【TRPG】 - 暇つぶし2ch5:名無しになりきれ
08/01/15 03:06:33 0

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   川
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6:刹那
08/01/15 03:08:42 O
俺が召喚獣だ

7:名無しになりきれ
08/01/15 03:09:08 0
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8:名無しになりきれ
08/01/15 03:09:47 0
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9:プロローグ ◆svDXdcR9Gw
08/01/15 03:10:26 0
邪悪なる大魔王は突如として異界より現われ、武力によって世界を蹂躙し始めた。
だが、この世界には広く言い伝えられている事がある。
すなわち、異界から災厄が訪れたとき、それに立ち向かう勇者もまた異界から現れるという。
この言い伝えを信じる魔術師達は召喚魔法の儀式を行い、異界の戦士を呼び出そうとした。
術により、勇敢で正義感溢れる英雄が現われることもあれば、新たな災厄とも言うべき輩が召喚されたこともあった。

ただ一つ言えることは、大魔王は未だ健在であり、世界の危機は未だに去っていないということ。
大魔王とその軍勢は、今なお世界の平和を脅かしているのだ。

10:名無しになりきれ
08/01/15 03:11:11 0
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08/01/15 03:11:52 0
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08/01/15 03:12:28 0
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08/01/15 03:15:52 0
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08/01/15 03:18:04 0
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08/01/15 03:19:26 0
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08/01/15 03:21:07 0
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08/01/15 03:22:52 0
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30:プロローグ ◆svDXdcR9Gw
08/01/15 03:30:46 0
大陸の北の端にあるオロッパスの城でも、王の信頼の篤い魔術師の主導によって、大規模な召喚魔法の儀式が行われていた。
城の地下室の床には丸い魔法陣が描かれ、陣の中心に正八面体の石のような物体を据えて、その周りを魔術師達が囲んでいた。
術師達のリーダーと思しき老人が、感慨深げに語りだした。
「この国で大規模な召喚魔法の儀式ができるような施設は、もはや限られている。
 悪くすれば、これがわたしの生涯最後の召喚魔法になるやも知れぬ。
 今回の召喚で、魔王の野望を打ち砕く勇者が現われることを切に願う」
老魔術師は手を合わせて、呪文を唱え、強く祈った。
彼の弟子であろう若い術師達もまた、儀式魔法の触媒となる、正八面体の石のような物体に祈りを捧げている。
老魔術師の祈りに反応して、石のような物体はオレンジ色の淡い光を放ち、床に刻まれた魔法陣が光輝く。
だが、魔術師達の祈りに異世界の何者かが応えて、姿を現す様子はまだ無い。


魔術師達が儀式を暫く続けていると、轟音と共に城が大きな揺れに襲われた。
城の外がたいへん騒がしい。どうやら敵襲のようである。
兵士達の雄叫びと、魔王の手下の怪物の恐ろしげな咆哮、魔法による爆発の音などが、交じり合って聞こえる。
「魔王め。やはりこちらの動きを察知して、先手を打ってきおったか。
 皆の者、守りを固めろ!魔術師達を守るのだ!」
魔術師達の護衛兵のリーダーと思しき男が号令をかけた。
魔王軍には、空間転移で一気に国の急所に突っ込んでくるような輩だって居る。
そのため、暗殺された要人は数知れない。
兵士達はそれを痛いほどよく知っているので、いつもよりも厳重な警戒を布いている。
早速戦いの狼煙が上がった。

31:名無しになりきれ
08/01/15 03:41:20 O
早速荒らしとるのう
まぁ折角得た力、使わなきゃ損だものね

32:名無しになりきれ
08/01/15 12:33:05 O
応援させてもらうぞ
まだ参加は様子見だけど

33:名無しになりきれ
08/01/15 13:19:34 O
俺も参加予定
首尾よく参加者が集まればね

34:名無しになりきれ
08/01/15 13:25:22 O
結局みんな他人任せなんだな
自分では作ろうと考えてもいない

35:名無しになりきれ
08/01/15 13:42:40 O
正直あの民度の低い避難所から出てきた企画ってだけで荒れる事が確定してるし

36:名無しになりきれ
08/01/15 14:58:27 0
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08/01/15 15:00:15 0
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08/01/15 15:00:52 0
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39:名無しになりきれ
08/01/15 15:01:28 0
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40:名無しになりきれ
08/01/15 15:01:56 0
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08/01/15 15:02:30 0
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08/01/15 15:03:22 0
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08/01/15 15:03:42 0
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08/01/15 15:04:23 0
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08/01/15 15:04:52 0
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08/01/15 15:05:21 0
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08/01/15 15:05:42 0
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48:名無しになりきれ
08/01/15 15:06:29 0
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08/01/15 15:06:52 0
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50:名無しになりきれ
08/01/15 15:07:22 0
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51:名無しになりきれ
08/01/15 15:07:47 0
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52:名無しになりきれ
08/01/15 15:08:09 0
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53:名無しになりきれ
08/01/15 15:08:57 0
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54:名無しになりきれ
08/01/15 15:09:56 0
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55:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/01/15 20:57:25 0
一番乗り!参加希望させてもらうぜ。


【名前】 大魔道士ポップ
【性別】 男
【種族】 人間
【年齢】 15歳
【容姿】 格好良くはない
【特技】 数々の攻撃呪文
【持ち物・装備】 ブラックロッド、法術で編まれた服、黄色いバンダナ
【キャラ紹介】
大魔道士。元の世界では勇者パーティの一員として大魔王に立ち向かい、世界に平和を取り戻した。
それから数ヶ月、それなりに平和な時を過ごしていたが、ある日突然こちらの世界に召喚されてしまった。
臆病者のヘタレだが、勇者と旅をするうちに勇敢な若者へと成長していった。でもヘタレ。
ある極大消滅呪文が最大の必殺技だが、召喚の影響か現在は使えなくなっている。

56: ◆svDXdcR9Gw
08/01/15 23:23:45 0
儀式が行われている部屋の近くを警戒していた兵士達が、空間が歪みを目撃した。
「これは、術が成功したのか……いや、違う!」
魔術師達を見守る護衛兵達に動揺が走る。
これは明らかな敵の気配だ。
闇の中から1人の少女が姿を現した。
彼女は邪悪なオーラを纏っている。人ならざる物の怪の気配がする。
兵士達は、直感的にこの少女が敵だと認識した。

兵士達の直感は間違っていなかった。
すぐさま、真っ黒な球体が弾丸のように飛び、1人の兵士を吹き飛ばした。
「魔術師達は我が国の命綱!ここは通さんぞ!」
兵達は、目の前のただならぬ気配を纏う少女に果敢に立ち向かった。
そのとき、少女が前に手をかざすと、彼女の掌から光線が照射された。
「うわーだめだー」
でも駄目だった。精鋭兵達は光線で薙ぎ払われてしまった。

>55(召喚されるシーン。ところでダイの大冒険のポップだよね?)
悲鳴を聞いた魔術師達に、絶望の表情が浮かんだ。
「うわーだめだー」。この手の悲鳴を聞くのは何度目だろうか?
魔術師達が諦めかけたそのときだった。
石のような物体が、一際強い光を放ち始めた。
「おお、この土壇場で……」
魔術師達は、光の向こうに人影を見た。
召喚魔法が成功したのだ!多分。

57:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/16 00:01:17 0
【名前】フェル・エクスティム
【性別】男
【種族】人間(?)
【年齢】24歳
【容姿】切れ目でツンツン頭、細マッチョ。
【特技】龍覇轟撃拳(詳しくは【龍覇】で) どこでも寝られる。

【持ち物・装備】体を動かしやすいように作られたコートを羽織り
           他の装備も布にしては非常に耐久力に優れる
           炎とか防ぐのは無理。斬撃などももちろん防げない。
           ただ少し殴られた時の衝撃を和らげるだけである。
【キャラ紹介】
闘拳士、元の世界は非常に混沌としており力こそが全てであり凡ての世界。
彼の世界はもはや平和や安息、安穏などは存在しない。
日夜如何なるところで戦いが繰り広げられ多くの人間が戦いの果てに消えていく。
弱者は生きる資格さえない、そういう世界である。
彼自身は龍覇轟撃拳という流派を伝承された1人であり。覇道を目指す者に将を任せられている一人である。
なおフェル・エクスティムは非常に好戦的で強さだけを求め、弱き者は死ぬのが当たり前という考えを持っている。

ちなみに彼の世界にも魔法というものがあるが、拳で戦う拳士からは臆病者と見下されがちであり、
剣などの武器を使うのは最も恥じるべき行為の一つである。
あくまでも自らの拳や覇気、精神力による魔法などで戦うことが恥じる事なき神聖な戦いだと思われている。

【流派】
「龍覇轟撃拳」
フェル・エクスティムの学んだ拳。数多くある流派の中でも上位の13の流派の一つ。     
重く鋭い一撃を繰り出すその姿は見るものに龍が轟く様を彷彿させることからこの名が名づけられた
真に極めし者の一撃は幻影や錯覚でなく真の龍が垣間見えるというがその域まで達したものは少ない。

それとどの流派であっても技を使うとき、戦う時は覇気という自らの精神力(MPみたいなもの)と体力(HPみたいなもの)を使う。
ちなみに覇気の大きさは肉眼で見えるオーラのようなもの(覇気)に比例する。
ちなみにオーラの色(覇気の色)は人によって千差万別であるが、一番多いのは無色であり。
色を持っているものは何かに秀でているものである。ちなみにフェル・エクスティムは深い青であり誇りと相手を砕く決意を感じさせるものとなっている。
例えば右腕にかなりの量のオーラのようなもの(覇気)が出ていた場合その右手の一撃は岩をも砕くだろう。
ちなみにフェル・エクスティムは相当の使い手のため並の拳士の覇気とは比べ物にならない。
全身に纏うことも可能である。

58:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/01/16 00:03:51 0
大魔王が没して数ヶ月。
ポップは平穏な日々を過ごしていた。

魔王軍との最終決戦ののち行方不明になった勇者。
相変わらず振り向いてくれない片思いの女性。
魔王軍との死闘に疲弊した世界に復興は進んでいるものの、ポップの身の回りに特に変化はない。
しかし、それも今日まで。ポップの生活は、これから変わろうとしていた。
「今日こそ、今日こそ…!この微妙な関係を終わらせてやるぜ!」
そう、ポップは、片思いの女性についに正式に告白することに決めたのだっだ。
正式にというのは、すでに彼女は自分の気持ちを知っているからである。
しかし、返事は依然保留中。このままでは何年経っても返事をもらえる気配がない。
我慢の限界を迎えたポップは、ついに自ら動くことに決めたのだ。

「大丈夫だ、大丈夫だ…大丈夫に決まってる…」
バラの花束を手にブツブツ言いながら廊下を歩き、彼女の部屋の前に辿り着いたポップ。
ノックをして、ぎこちない声で自分だと告げると、入っていいと返事が返ってきた。
(覚悟を決めろ!行けポップ!勢いで押すんだ!)
ポップは一度深呼吸をして、目を思い切り瞑って覚悟を決め、そのままドアを勢い良く開けた。
「マアム!お前が好きだ!俺と付き合ってくれ!」
しかし、向こうからは一言の言葉すら返ってこない。
まずかったか?いや。さすがにおかしいと思い、おそるおそる目を開ける。

そこは戦場だった。

>>56(出展書き忘れちまった、すまねえ。それであってる。)
「あれ?」
まずは自分の目を疑った。
そこにいたのは愛する女性ではなく、期待に顔を輝かせたオッサン達。
慌てて差し出していたバラの花束を後ろに隠す。
あたりには傷付いた兵士達が転がっており、どうにも修羅場の雰囲気だ。
「な、何だここは?何が起こったんだ??」
ポップはキョドキョドと辺りを見回しながら、誰にともなく訊ねる。

59:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/16 00:11:00 O
「フェンドスーッ!」
仲間の名を呼びながら、鬱蒼とした森を歩く騎士が一人。
「グリッソム様ーッ!」
もう、どれだけ歩いただろう?
声だけが、深い森に虚しく響きわたる。
「はぁ……」
最悪だ。こんな森の中ではぐれるなんて……。
ランカムは深く溜息をつき、近くの木に背を預けた。
その時、辺りが光に包まれた。
「な、なんだ…?」

【名前】聖印騎士ランカム
【性別】男
【種族】人間
【年齢】青年
【容姿】全身鎧。赤い前掛けを着用。
【特技】なし
【持ち物・装備】
レイピア…聖印騎士団の標準装備。細身の刺突剣。
キュアルート(3個)…体力を回復させる薬草の根。
【キャラ紹介】
「ベイグラントストーリー」に登場。
世界観は中世風ファンタジーだが、魔法文化は過去に滅び、
一般人にとっては、御伽話の世界の物となっている。
一部の権力機関の上層のみ、失われた“魔”を操る術を所有・隠匿している。

「聖印騎士団クリムゾンブレイド」…法王庁直属の精鋭騎士団。
指揮官らは“魔”に精通しているが、下役はその存在を知らされていない。
その為、魔都探索行では魔物との遭遇に混乱。大きな被害を出している。
ランカムは作中、森で仲間達とはぐれた所を召喚された。

60:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/16 00:36:52 O
【名前】 上条当麻
【性別】 男
【種族】 人間
【年齢】 高校一年生
【容姿】 黒のツンツンヘアーの少年
【特技】 料理
【持ち物・装備】男子校生の着るTシャツとズボン、携帯電話、財布
【キャラ紹介】
゙超能力開発" をカリキュラムに組み込んだ教育機関「学園都市」の学生寮に住む少年。
能力判定では無能力者(レベル0)として認定されているが、その右手には
あらゆる魔術、超能力問わず、あらゆる超常現象、『神様のシステム』でさえ打ち消す『幻想殺し』(イマジンブレイカー)が宿る。
幻想殺しが自分にやってくる運気の力すら打ち消すのか、とにかく災難に巻き込まれやすい
不幸体質であるのに加え、困っている人を放っておけないという行動原理のおかげで、
彼に降り懸かる不幸は、偶然でなく必然の域にまで達している。

61: ◆svDXdcR9Gw
08/01/16 01:41:24 0
>58
老魔術師は言った。随分慌てているようである。
「今は時間がありません。
 簡潔に言えば、われわれは魔王に立ち向かうため、異世界の勇者の助力を得ようと、召喚魔法の儀式を行っていたのです。
 ――ですが、この城も長くはもたないでしょう」
老人が話している間にも、建物は小刻みに揺れ、爆発音や悲鳴が聞こえてくる。
魔術師達も応戦しているが、戦況は芳しくない。
襲撃者によって破壊された扉の近くには、土煙が立ち込めている。
ついに喉元まで喰いつかれた感がある。敵はすぐそこに迫っている。

「今更そんな貧弱そうな奴を呼んでも無駄だろー」
棒読みの、間延びした少女の声が聞こえた。
煙の向こうから現われた少女は、兎の耳を模った帽子を被っている。
「これだけ大規模な儀式をやって、その石の力まで使って、こんなのしか召喚できないとは。
 まあどのみち、お前達はもう駄目だろー」
少女はポップを見遣って、馬鹿にしたように吐き捨てた。
そして、もう用は無いとばかりに、ポップと魔術師達に光線を放った。
この魔法はリブレイドという。
ちゃんと光速で飛ぶ破壊光線を無数に放つこの魔法攻撃を避けるのは至難である。

62: ◆svDXdcR9Gw
08/01/16 02:32:47 0
ウサコが今まさに破壊光線を撃とうとしたそのとき、石のような物体が放つ輝きが更に強まった。
幾つもの人影が光の向こうからやってくるのが、ウサコには見えた。
召喚されたのは、彼だけではなかったらしい。
「む、やはりその石の力は凄まじい。早いとこ始末せねば」


【名前】ウサコ
【性別】女
【種族】侵魔
【年齢】?
【容姿】ショートカットのボーイッシュな美少女。ウサギの耳を模った黒い帽子を被っている。
【特技】冥/天属性の魔法、空間転移
【持ち物・装備】服、帽子
【キャラ紹介】
ナイトウィザードシナリオ集『オーバーナイト』収録のシナリオ『石コロの勇者』に出てくる異次元魔王。
フザけた名前だが、その元ネタはソロモンの72の悪魔の1人『ウァサゴ』で、ウサギは一切関係ない。
陰謀家気取りで、台詞は概ね棒読み。
wikipediaのナイトウィザード関連の項目には『ウサミミを模った帽子を被った少女』と書いてあるが、イラストの彼女はどう見てもウサミミではない。
時間と空間を操る能力を持つとされ、過去に戻って歴史を変えようとしたこともあった。
主に空間転移で距離をとりながらリブレイド(破壊光線)やヴォーテックス(闇の魔力の弾)といった魔法で攻撃する戦法をとる。
こいつこそが、世を騒がせる魔王だと思われているが……

63:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/16 14:28:36 O
「うだーっ!!ちくしょうなんなんだよ今日は!!不幸過ぎますよーっ!!?」

「待ちやがれコラァ!!」
「テメェ、絶対ぶっ殺してやっからな!!」

「うるせぇIQ80(サル並)野郎!そこまで言われて待つ奴なんていねぇよ!!」

『学園都市』。東京西部に存在する人口230万人程の巨大都市、その裏路地を、上条当麻は全力疾走していた。
彼の背後20m程の距離には数人の、どう見ても善良な学生ではない方々。
彼等は、それぞれ手にナイフや鉄パイプの様な物を持って、怒りに顔を歪めながら上条を追走している。

そう、端的に言えば、上条当麻は追われているのだった。

事の始まりは今から30分程前。
帰宅した学生寮で居候中の腹ぺこシスターに冷蔵庫の中身を侵略された事を確認した上条が、
頭を抱えつつ近くのコンビニへ食材補充に行くと、制服を来た少女が武装無能力者集団(スキルアウト)に囲まれていた事から始まる。
少女を助ける為に、上条はスキルアウトを挑発して囮となった。そこまでは、上条当麻にとってはまあよくある事だ。
しかし、今回相手にしたスキルアウトは何故か無駄に高い根性を発揮し、
いつもなら振り切っているであろう距離を走っても未だ追走を諦めない為、上条は今だに走り続けているのであった。

「ったく、その根性をもっと別のベクトルに向けろっつーの!」
上条は走りながら後ろ振り返り、付いて来ている数人のスキルアウトを確認して悪態を付く。

――ところで、上条当麻は『不幸』な少年である。
仮にこの時、彼が振り向かなければ、あるいはもう少しだけ足元に注意していれば、それに気付けたのだろう。
コンクリートで作られた地面、そこに現れた妙な魔法陣。その中央に踏み込んだ上条当麻は、
硝子の砕ける様な音とともに、落とし穴にでも落ちたかの様に、

学園都市から、消えた。

64:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/16 17:07:57 O
「こ、ここは…?」
気づいた時には、辺りの森は消え失せ、ランカムは石畳の上に立ち尽くしていた。
眼前には奇妙な帽子の女、周囲には数人の、負傷した衛兵達。
内装の造りから、何処かの城の一室だという事だけは理解できる。
「これも、邪教徒どもの“幻覚”なのか…?」
理解を越えた状況に警戒し、腰に吊されたレイピアの柄に手をかける。
自然、背筋に緊張が走る。まやかしとは違う。
目の前の女から発せられる気配…幻覚などではない、本物の殺気だ。
「わ、私は聖印騎士ランカム! お前は何者だッ!
 邪教の者なら、容赦はせんぞッ!」
沸き上がる怖れを抑えつけ、柄に手をかけたまま少女に問いかける。
落ち着いてみれば、隣の若い男も周囲の者とは異質な服装をしている。
彼もまた、私と同じく状況を把握しかねているようだ。
背後の魔法陣の石が、光を増した気がした。

65:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/16 18:08:27 0
激しい雷雲の中で俺はとある男と拳を交えていた。そう、勇猛で相当な強者であるアルティスという男と。
戦いはすでにかなり前から初まっており、互いに消耗している。
「ほう、この私にこうまで戦えるようになっているとは…強くなったなフェル」
「黙れ!俺は貴様のそういう見下した態度が前々から気に喰わなかったんだ!
 その俺の全てを見透かしたような気になっているその目もだ!!」
そうだ、俺は子供の頃からこいつが嫌いだった。まるで俺の全てを理解しているような
顔をするこの男が!!今でも昔はこの男の弟だったと思うと反吐が出そうになる。
だから俺はこの男の下を去った。そして俺はひたすら技を磨き、我が王と出会いこの男の敵国の将へとなった。
そうだ。どこかで俺はこの日を待ち望んでいた。いまこそ俺の足元にこいつを跪かせてやる!!
「……私は別にお前のことを見下しているつもりなどない。誤解だ。」
「フンッ、問答無用だ!いくぞッ!!」
俺は限界以上の覇気を出す。そして我が兄であるアルティスも俺の本気を知ってか体全体から紅い覇気が溢れる。
一瞬の沈黙、それを破ったのは俺!地を蹴り一機に距離をつめる!
「でええりゃあッ!!うおおおおっ」
そして打つ、打つ!打つ!!打つ打つ打つ打つ!!!!
ひたすらに凄まじい攻撃を放ち続ける!素早くそれでいて重い拳。
振るう度にまるで大地が轟くかのような衝撃!
そう、これが俺の拳!龍覇轟撃拳だ!!勝てるものは我が王以外いるはずもない!!
「っぐう!!ぐはっ!!」
アルティスが膝をつく。そうだ、これぞ俺の欲していた光景だ!
「フッ……本当に強くなったな…この私よりも……私の負けだ。認めよう。
 …さあ、負けたものには死あるのみ…止めをさすがいい。」
「言われずともそのつもりだ。さらばだ我が兄アルティスよ!!」
そう言い覇気を溜めた右腕をアルティスに振り下ろそうとした時。
凄まじい眩しい光が目を眩ませる!!地に立ってないような不思議な感覚が俺を駆け巡る。




そして、俺の眼を眩ませていた光りが弱くなっていくのと
同時に先ほどいた雷雲の草原ではない、どこかの城の一室が広がっていく。
「……なに?なぜ俺はここに……」
俺の目の前には知らない人間ばかり。それも武器などというものを持つ
卑怯者ばかりが目に入ってくる。
「ふざけるな!ここはどこだ!おいそこの女!!なぜ俺はここにいる答えろ!
 それとも貴様が俺をこんなところへ遣したのか!?」
とりあえず頭に動物の耳をつけているふざけた女に叫ぶ!

66:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/16 22:54:45 0
【名前】 ムーミン大佐
【性別】 雄
【種族】 トロル
【年齢】 28
【容姿】 二足歩行のカバ。
【特技】 妖精召喚
【持ち物・装備】シルクハット、パイプタバコ、ステッキ
【キャラ紹介】
ムーミンパパの若かりし姿。
戦闘妖精部隊【オーケストラ】の隊長。
シルクハットは母船オーケストラ号であり、さまざまな戦闘妖精を収めている。
必要に応じてシルクハットから部下の能力を召喚し使用。
また、自身も妖力を用いての戦闘をする。

67:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/16 22:54:51 0
>64
戦闘の混乱の中、次々に召喚される異界の者達。
ランカムが名乗りを上げながら気勢を上げる。
その足元に転がる拳大の黒い物体。
直後、爆発が起こった。
「邪教?傲慢な言葉だ。」
広がる爆炎と共にウサコの横に現れたのは二足歩行のカバだった。
いや、カバではなく、妖精トロル。
シルクハットにパイプタバコ、そしてステッキを片手に佇むムーミン大佐。

>65
「応えてやるよ。
お前さんをここに連れてきたのは後ろにいる貧相なじい様さ。
この世界は今戦争中でね。
助っ人として手当たり次第に強い奴を呼び寄せているのさ。」
攻撃したランカムには目もくれずにムーミン大佐はフェルの疑問に答える。
ふーと煙を吐き出しながら更に続ける。
「私も違う場所で同じように呼び出されたわけだがね、連中の頭はお花畑だったようだ。
呼び寄せた者は弱きを助ける正義の味方か、無条件に従う奴隷程度にに思っていたようでね。
交渉の結果、私はこちら側についた、というわけだ。」
飛び交う攻撃魔法を最小限の動きだけで躱しながらにやりと笑い一歩踏み出す。
まるでフェルの醸し出す闘気を味わうように。
「さて、私がこうして話しているのは・・・見たところ、君は『こちら側』のように思えてね。
こちらに来るかね?それとも・・・私と戦うかね?」
妖気を迸らせながら更に一歩踏み込んだ。


68:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/17 00:26:29 0
>64
「お逃げくだされ、魔術師殿……その者は……ぐはっ!」
重症を負いつつも何かを伝えようとした兵士の背に、止めの闇の魔力弾――ヴォーテックスが叩き込まれた。
そして、ヴォーテックスを放ったウサコは眼を細め、ランカムの問いに答えた。
「問うならば答えよう。私はウサコ。26の軍を率いる魔王だろー」
ウサコは自己紹介した。相も変わらず、間の抜けた、棒読みの口調で、「だろー」という変な語尾まで付けて。
だが、魔王という単語を聞いた魔術師達、および兵士は狼狽した。
「ま、魔王だと……」
「魔王自らが攻め込んでくるとは、なんという……」
まさか、自分達の宿敵たる魔王が、自らこの場に攻めてくるとは、思いもしなかったのだろう。
兵士達および魔術師達の絶望の表情が、より色濃くなった。
負傷兵や歳若い未熟な魔術師などは、もう駄目だとばかりに逃げ出す算段をしている。

>67
「おっと、そいつらは大したことなくても、その石のようなものには気を付けた方がいいだろー。
 それのパワーは計り知れないだろー」
ウサコはムーミンパパに警戒を促した。
ウサコの注意は、新たに召喚された者達よりも、むしろ召喚魔法の儀式の触媒となった、あの石のような物体に向いている。
そして、彼女は可能ならば、この石のような物体を極力傷付けずに、自らのものにしようと目論んでいる。

>65
攻撃の手を止め、魔王ウサコは語りだした。
「そいつの言うとおり、お前を呼んだのはそいつらだろー。
 そいつらは、自分達だけではこの魔王ウサコとは戦えぬというから、お前達みたいなのを異世界から召喚しているのだ。
 自分達の力で苦難を何とかしようという気概も無いとは、なんという腑抜けだろー」
ウサコは眼を細めて微笑み、更に言葉を続ける。
ムーミンパパの問いに、更に念を押すような言葉だった。
「お前は強さこそが唯一の真理と考えているだろー。そんな顔をしている。
 お前の後ろに居る連中は、異世界の戦士に頼らなければロクに戦争もできない弱者だろー。
 お前にとって、そいつらに価値はあるのか?」

69:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/01/17 01:10:25 0
>>61
「んなああぁっ?」
ポップは鼻水を垂らしながら絶叫する。
異世界だとか召喚だとか、いきなり訳が分からない。荒唐無稽すぎる。
しかし、その言葉を信じる信じないの選択の自由は残されていないようだ。
どのみちここは攻め込まれており、人が殺されており、修羅場である。

>「今更そんな貧弱そうな奴を呼んでも無駄だろー」
>「これだけ大規模な儀式をやって、その石の力まで使って、こんなのしか召喚できないとは。
> まあどのみち、お前達はもう駄目だろー」
そんな中、ウサミミをつけた少女がポップを馬鹿にしたように言う。
「あんだとてめぇっ!」
コケにされ、条件反射のように威勢を張る。
そのまま何か言い返そうとしたが、すぐに嫌な勘が働き、ほぼ無意識のうちにポップは呪文を唱えていた。
「重力呪文(ベタン)!」
それは敵の放ったリプレイドと同時だった。
ポップ達の正面に重力フィールドが発生し、直後に放たれた無数の破壊光線の軌道を下に逸らす。
「あ、危ねえ…!」
最悪の直感のお陰で助かった。この速さと数、撃たれてからでは回避も相殺もまるで間に合わなかっただろう。
滝のような冷や汗をかきながら、ポップはウサコを睨みつける。
この敵は危険すぎる。

>>68
そしてどうやら、自分の他にも召喚されたらしい混乱した男たちがいるようだ。
爆発とともに、今度はモンスターのような風貌の新手が現れる。
その話を聞くに、彼も自分たちと同じように召喚されたが、人間でなく魔物の側についたらしい。
さらに、ポップが睨みつけている少女は自らを魔王と名乗った。

>「お前は強さこそが唯一の真理と考えているだろー。そんな顔をしている。
> お前の後ろに居る連中は、異世界の戦士に頼らなければロクに戦争もできない弱者だろー。
> お前にとって、そいつらに価値はあるのか?」
「うるせえっ!」
ポップは召喚されたらしい男とウサコ達の会話に割り込み怒鳴る。
「てめえら、このカバ男とウサギ女!さっきから黙って聞いてりゃ好き放題言いやがって!
 こいつらだって、自分たちの世界を守りてえけど自分の力じゃ足りねえから俺たちを呼んだんだろうが!
 なんだか分かんねえけどな、こいつらはこいつらなりに一生懸命てめえらに対抗しようとしてんだよ!
 こいつらが価値もねえ弱者かどうかは俺たちを倒してから判断しやがれってんだ!」
怒りに任せて喋るうちに、ポップは自分のやるべき事を自分の言葉に気付かされた気がした。
魔王の軍勢によって人間たちが虐げられている。ならば、異世界も何も関係ない。
自分は勇者のパーティの一員だったのだから。

「おい、切れ目のあんちゃん!こんな奴らのいう事に耳を貸すな!
俺たち皆で力を合わせて、こんな連中バシっとやっつけてやろうぜ!」
幸か不幸か、目の前にいるのは魔王。いきなりラスボスだ。
こいつさえ倒せばすぐに終わりのはずだとポップは踏んでいた。

70:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/17 22:37:12 0
>>67
「応えてやるよ。お前さんをここに連れてきたのは後ろにいる貧相なじい様さ。
この世界は今戦争中でね。助っ人として手当たり次第に強い奴を呼び寄せているのさ。」
俺の叫びに反応したのは女ではなく物の怪の類だった。
俺をここに呼び出したのは後ろのジジイだと!?
俺は振り向くとそこには神官のような格好をした慌てふためくジジイの姿がある。
「余計な真似をしてくれたな糞ジジイ!!」
俺の怒号の声にビクつくジジイ、俺はこんなカスのような奴に呼ばれたというのか!?
沸々と怒りが沸き上がってくるのと比例し俺の覇気も無意識のうちに高まってくる。
「私も違う場所で同じように呼び出されたわけだがね、連中の頭はお花畑だったようだ。
 呼び寄せた者は弱きを助ける正義の味方か、無条件に従う奴隷程度にに思っていたようでね。
 交渉の結果、私はこちら側についた、というわけだ。」
「なに?ということは貴様も元が違う世界が住人ということか?
 フンッ、道理で貴様は人間とは違うわけだ。」
すると目の前に物の怪はニヤリと口元をゆがめ飛び交う魔術を避けながら
こちらに近づいてくる。身のこなしから俺の後ろのカスや武器を持ってる卑怯者どもとはデキが違うわけだ。
後ろのカスへの怒りはだんだんとこの眼前の違う世界の生物に対する興味に変わっていく。
どんな技を使う?俺の拳は通用するのか?こいつは強いのか?
試してみたい。俺の拳は異界の闘士とも渡り合えるものなのか…!!

「さて、私がこうして話しているのは・・・見たところ、君は『こちら側』のように思えてね。
 こちらに来るかね?それとも・・・私と戦うかね?」
戦いたい!!俺は拳士だ!ただひたすら強さを求め拳を振るってきた!
修羅へなるために師すらも打ち倒し!一切の情を捨ててきた!戦いこそが俺の血を熱くさせる!
しかし、元の世界に戻りたい気持ちもある。こいつと戦うということは結果的に後ろのカスに力を貸すということだ。
俺が望んでなくてもこいつ等と敵対する限りはな。ならばこいつ等と手を組み元の世界に戻る方法を探すほうが…
そうだ、少なくとも俺を呼び出したという後ろのカスに任せるよりもこいつらに任せたほうが元の世界に戻れる確率は高い!
「そいつの言うとおり、お前を呼んだのはそいつらだろー。
 そいつらは、自分達だけではこの魔王ウサコとは戦えぬというから、お前達みたいなのを異世界から召喚しているのだ。
 自分達の力で苦難を何とかしようという気概も無いとは、なんという腑抜けだろー」
どうするべきか迷っているとき、動物の耳の女が喋り始める。
その言葉は俺の考えとすべて同じと言ってよかった…動物の耳の女は更に続ける。
「お前は強さこそが唯一の真理と考えているだろー。そんな顔をしている。
 お前の後ろに居る連中は、異世界の戦士に頼らなければロクに戦争もできない弱者だろー。
 お前にとって、そいつらに価値はあるのか?」
そう言われ俺は後ろを…辺りを見回す。
この状況にどうすればいいか錯乱している者達……あまつさえ武器を放り出し逃げ支度をする新兵。
「確かにな…守る価値など少しもない。」

その時、俺と同じように異界から召喚された男が怒声を浴びせる。
「てめえら、このカバ男とウサギ女!さっきから黙って聞いてりゃ好き放題言いやがって!
 こいつらだって、自分たちの世界を守りてえけど自分の力じゃ足りねえから俺たちを呼んだんだろうが!
 なんだか分かんねえけどな、こいつらはこいつらなりに一生懸命てめえらに対抗しようとしてんだよ!
 こいつらが価値もねえ弱者かどうかは俺たちを倒してから判断しやがれってんだ!」
俺の心は正直どちらでもよくなっていた、どのみち俺は後ろにいるカスのような人間は守らん。
いや、だれも守らん!自らで自らを守れないような弱者は滅びるがいい!!
「おい、切れ目のあんちゃん!こんな奴らのいう事に耳を貸すな!
俺たち皆で力を合わせて、こんな連中バシっとやっつけてやろうぜ!」
そろそろ話に嫌気が差してきた俺はコインを取り出し上へと投げる!
「分かった。もう面倒だ!このコインが表なら異界の物の怪…貴様の側につく
 コインが裏なら……黄色いバンダナをつけている人間…貴様の側につく!」
そして……コインが落ちる……コインは………裏!!
「いいだろう…おい黄色いバンダナの人間……俺は貴様の側につく!!」
そして溜めていた覇気を爆発させ一機に天上まで達するかという覇気が全身を覆う。
「おい、異界の物の怪…試してやる!!この俺の龍覇轟撃拳でなぁッ!!」
そして俺は眼前の異界の物の怪に一撃を浴びせようと加速した!!

71:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/17 23:53:20 0
>68
ウサコに警告され、視線を石へと移す。
確かに見ただけでもそのパワーを感じることができる。
「ふうむ。しかしいくらパワーがあっても所詮は道具。使う者さえいなければ・・・。」
警告の言葉と石を見比べ、ウサコの意図を把握しながら応えた。
城の警備兵も魔術師もこの混乱の中であの石を召喚以外に使用できる事はないだろう。
異界から召喚された者達は論外といっても言い。
だが、異界から召喚された者たちが自分達を抑え、隙を作るとなる事だけに注意すればいいと結論付けた。

>70
双方からの勧誘に考えるのが面倒くさくなったのか、フェルがコインを取り出す。
その様子を見ながらムーミン大佐はくっく、と押し殺すように笑い声を漏らした。
そして結果は・・・裏。
フェルは決断し、ムーミン大佐に向かい一撃を浴びせようと加速する。
対するムーミン大佐は微動だにしない。
「判っていたよ、そうすることは。
君と私は同種だからね。血と闘争を好み、常人ならば躊躇する最後の一線でブレーキよりもアクセルを踏む種だ。
そうそう、異界の物の怪では呼びにくかろうに。自己紹介がまだだったね。私の名前はムーミン大佐!」
自己紹介を終えたところでムーミン大佐の顔面をフェルの拳が捉えた。

めり込む拳、舞い上がるパイプタバコ、そして吹き飛ぶムーミン大佐。
床に叩きつけられ石畳を砕き壁まで転がるが、土煙でその姿は見えない。
もっとも、土煙がなくともその姿は見えなかっただろうが・・・その身体は壁にめり込んではいないのだから。

「いいパンチだ!しかと味わった。しかしまだ若い!」
土煙の中、先ほど立っていた場所とさほど変わらぬ場所からぬっと手が出てくる。
そして落ちてくるパイプタバコを受け止め、そこでようやく全身が露になった。
頬にくっきりと拳の跡が残り、全身に打ち身・擦り傷がある。
パイプタバコを咥えようとし、一旦動作を止め、口の中の血を吐き出した。
確かにフェルの拳をまともに受け吹き飛んだ証拠だ。にも拘らずムーミン大佐はここに立っている。

「私の部下に悪戯好きな者がいてね。紹介しよう。ジャック・オ・ランタンだ。仲良くしてやってくれたまえ。」
ステッキで示しながら言葉を綴る。
その示されたフェルの足元には、ランカムの足元で爆発した物と同じ黒い塊がいくつも転がっていた。
良く見るとそれは黒い南瓜。「ケケケケ」という耳障りな笑い声と共に一斉に爆発。フェルを包み込んだ。

「この程度でどうこうなるとは思っていないがね、私も仕事がある。」
言葉通り、これでフェルがどうなると思ってはいなかった。
ランカムに使った時のように、完全なる不意打ちではない。
覇気を纏ったフェルを見てそれは判っている。ただ、数瞬の足止めにさえなればいいのだ。

>69
そうしてポップへと向きかえる。
「幼いな。善悪で語るその単純さがある意味羨ましい。だが戦場には千の正義という名の狂気だけがあるのだよ?」
そう言うや否や、爆発で吹き飛んできた兵士の首根っこを掴む。
「ほら、君の守るべき人だ。」
「う・・・うあわああ!助けてくれええ!」
そのままポップへと投げつけた。
と同時に、ムーミン大佐も投げられた兵士の後を追うように加速する。
「先程の魔法は素晴らしかった。が、随分と効果範囲が広いようじゃないか。
優秀で優しい君にはこんな戦い方が有効ではないかな?」
悲鳴を上げながらポップに投げつけられた兵士の背後にぴったりくっつくようにムーミン大佐は間合いを詰めるのだ。

そして兵士越しにポップへと手刀を繰り出す。
間近に迫った兵士の腹を突き破り現れた手刀がポップへと迫る。

72:東條ルミナ ◆Yw2bVAsGtA
08/01/18 01:59:17 O
【名前】東條ルミナ
【性別】女
【種族】人間
【年齢】24
【容姿】髪:水色のストレートロング、瞳:青、服装:ジーパン、Tシャツ、革ジャン、
     その他:巨乳、右目に火傷の痕
【特技】推理、喧嘩、魔術
【持ち物・装備】煙草、ライター、魔銃、特製ガントレット
【キャラ紹介】
異世界の都市「東京」にて探偵業を営む魔術師
探偵としてはそこそこの腕前なのだが、気性の荒さから「暴力探偵」「蒼髪鬼」と恐れられている。
実は、某スケベ仙人に憧れ、今でも「○め○め波」の会得を目標としている。

73:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/18 02:19:57 O
「うぁっ!!」
唐突な爆発。紅蓮の炎が身を灼く。
鎧を身につけていた事が幸いし致命傷は避けたが、爆発の衝撃が身体を蝕む。
「新手…モンスター!?」
ランカムは霞む目で、ムーミン大佐の姿を認める。
言葉を話し、正装に身を包んだ姿は、
ランカムが魔都で見てきた“魔”の者達とはまた違う。
更に、原理はわからないが先程の爆発を操る力…。
知能の高さは、獣のそれではない。
「戦争…? 異世界だって…?」
にわかには信じ難い言葉。だが一つ、わかる事がある。
…何もわからぬまま、死ぬ訳にはいかない。
震える手で袋から取り出した回復薬・キュアルートを一気にあおる。

明瞭になった視界でウサコを油断無く見据える。
「“魔”の者か。…ならば、その魔を浄化するのは、聖印騎士団の役目ッ!」
毅然と言い放つと、腰のレイピアを抜き払う。
だが、言葉とは裏腹に、表情に余裕は無い。
コイン・トスでこちらについた男…相当に腕が立つようだが、
相手もまだ全ての力を見せてはいないようだ。
正面から戦っては、万に一つも勝ち目が無い。

ランカムが手を出せずにいる横で、ポップがウサコの魔法を弾き、見栄を切る。
最初は頼りない男と見えたが、この状況に折れない、強い意志がある。
「少年に遅れを取っては、騎士の名折れだな」
ランカムはポップの横顔に、名高い騎士達にも劣らない凛々しさを見た気がした。

と、フェルに向けられた爆発が不意に室内を赤く染める。
「来るかッ!」
ムーミン大佐は流れるような動作で、ポップに迫る。
「このまま、好きにさせるかッ!」
横合いから突き出したレイピアが、ポップに迫るムーミン大佐の手刀を捉える。

74:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/18 03:06:51 0
>69>70>73
「なるほど、挑むというのかー。この魔王ウサコに!
 そこの爺どもと違い、腰抜けでないところだけは褒めてやろう」
ウサコは今度は右手を前にかざし、バレーボールほどの黒い球体を作り出した。
先ほども見せた、重力の弾丸を発射する攻撃魔法『ヴォーテックス』だ。
「だが、魔王に挑む事が正気の沙汰でないことを、すぐに身をもって知ることになるだろー。
 私の『ヴォーテックス』で、まとめて消し去ってやろう」
目の前でこれを喰らった兵士の凄惨な有様を見るに、これが直撃したら相当なダメージになることは想像に難くない。

だが本来、ヴォーテックスそのものはそれほど強力な攻撃魔法ではない。
威力も命中精度も攻撃範囲もリブレイドには及ばず、間違っても集団をまとめて吹き飛ばせるような魔法ではない。
だが、魔王ウサコの超絶魔力によって、本来あるべき威力を超えた、まったく別の魔法と化している。
「今のはメラゾーマではない。メラだ」という、某大魔王の言葉が思い起こされる。

だが、本来ならば滅多なことでは防がれない筈のリブレイドを防いだポップの魔法と、フェルの徒手空拳の強烈な一撃を目の当たりにしたウサコは、驕った考えを改めている。
いくら自分の魔力が強大であっても、普通に『ヴォーテックス』を撃つだけでは、この二人には通用すまいと。
「お前たちの力は第八世界のウィザードどもに勝るとも劣らないだろー。
 だが、これならどうだろー」
ウサコの右手から、まだ発射されていない目の前の重力弾に向けて、力のオーラを流し込んでいる。
オーラに包まれた重力弾は、みるみるうちにその大きさを増してゆく。
そう、自らの生命力をも魔法の破壊力につぎ込んでいるのだ。
「こいつを受ければ跡も残らないだろー。たとえ避けても、後ろの爺どもが粉々になるだけだろー。
 そこの龍使い(ナイトウィザードにおける気を操る格闘家達のこと)はともかく、魔術師の小僧は受けざるをえないだろー。あっはっは」
ウサコの高笑いと共に、まとめて敵を薙ぎ払うようなサイズの巨大化な黒い球体が放たれた。
先ほど兵士を挽肉にした重力弾よりも、遥かに強力な魔法攻撃である。

75:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/01/18 15:39:54 0
>>70
フェルはどちらに付くかをコインで決めた。
結果的にはこちらの味方になったようだが、微妙に複雑な心境のポップだった。
同じ確率で敵になっていたかもしれないのだ。
「なんか釈然としねえな~。ま、いっか」
どうせこの一戦限りの共闘だし、敵なのか味方なのか良く分からない存在には慣れている。
ポップの仲間には元々は敵だった者も多いのだ。

そして戦いが始まる。
まずはフェルの拳がムーミン大佐を捉え、吹き飛ばした。
「おお、やるじゃねえか!」
歓声を上げるポップ。捻くれた態度は伊達ではないらしい。
しかし、ムーミン大佐は何事もなかったかのように元の場所に立っていた。
そしてフェルの足元に転がるカボチャ状の爆弾。直後、爆風が包む。
「あんちゃん!」
駆け寄ろうとしたポップを、彼に向けられた殺気が止めた。
ムーミン大佐だ。

>>71
>「幼いな。善悪で語るその単純さがある意味羨ましい。だが戦場には千の正義という名の狂気だけがあるのだよ?」
「うるせぇ!」
ポップは一喝した。
「平和に暮らしてる人達と、それを脅かす奴らがいるんなら、てめえらが悪いに決まってんだろが!
 狂気が正義なんて馬鹿げた話を受け入れてたまるかよ!」
ムーミン大佐の言うとおり、ポップの正義は幼かった。
それは彼自身の年齢的な幼さはもちろんだが、
彼の経験してきた戦場―正義を自覚する防衛者と悪を自覚する侵略者との戦い―に起因するところが大きい。
しかし、正義とは得てして幼ければ幼い程に真に近く、強く、そして揺るぎ無い。
だがそれと共に、同じだけ真に揺るぎ無い弱さも内包していた。
ポップは兵士を投げつけられる事で、ただそれだけで、
ムーミン大佐の思惑通りに行動選択の自由を完全に失ってしまったのだから。

>>73
間合いを詰め、兵士の体ごしに手刀を繰り出される。
ポップには防ぐ手段も回避する手段も残されていなかった。
(やべええぇっ!)
しかし、その攻撃はギリギリのところで止まった。ランカムが防いでくれたのだ。
「サ、サンキュ!助かったぜ!」
だがまだ助かってはいなかった。ポップはウサコが莫大なエネルギーをヴォーテックスに溜め込んでいることに気付く。
あの大きさでは自分だけが避けるわけにはいかない。ポップは歯噛みする。

76:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/01/18 15:41:11 0
>>74
「レイピアの兄ちゃん!ちょっとこいつを足止めしておいてくれ!」
ポップはムーミン大佐をランカスに任せ、ウサコの前に立ち塞がった。
(ちぃ、どうすっかな)
見る見るうちに大きくなっていく、凄まじいエネルギーの塊。あれを迎撃できる呪文が果たしてあるのだろうか。

最初に思い浮かんだのは、絶対無敵の究極攻撃呪文、極大消滅呪文(メドローア)だ。
炎と氷の正反対のエネルギーを等しく混じらせる事で、万物を無条件に消滅させる無のエネルギーが生まれる呪文。
しかし、ポップはこれを本能的に候補から除外した。
自分でも何故かは分からないが、この本能の選択が正しかったことは後ほど知る事になる。
極大閃熱呪文(ベギラゴン)や極大爆裂呪文(イオナズン)ならどうか?
いや、あのエネルギーの前では全くお話にならないだろう。
先ほど使った重力呪文(ベタン)も、あの規模の魔法にはまるで効果はあるまい。
そうなると、ここは五指爆炎弾(フィンガーフレアボムズ)を使うしかないかもしれない。
五指から同時に五発の最大火炎呪文(メラゾーマ)を放つこの技なら、破壊力はイオナズンをゆうに超える。
禁呪まがいのため術者の生命を削る危険はあるが、今はそんな事も言っていられない。
(いや、やっぱり駄目だ。俺のメラゾーマなんかあれの前じゃメラも同然、5発あっても大して効きやしねえ)
あれを相殺できる威力の呪文はやはり存在しないのだろうか。人間には不可能なのだろうか?
しかし、そこでポップは思い浮かぶ。
(俺のメラゾーマがメラも同然…そうだ、あれなら!)

あれなら、間違いなく押し負けることはない。しかし、使えるのかどうかが問題だ。
五指爆炎弾(フィンガーフレアボムズ)も充分な離れ業だったが、これはそれすら遥かに超える。
そもそも『奴』だから可能だったのであり、人間に出せる出力の魔法ではないからだ。
だが、可能不可能を気にしている段ではない。やるしかないのだ。

高笑いとともに、ウサコがヴォーテックスを放った。
ポップは魔力を一気に爆発させるように高める。
(もっとだ!足りねえ、もっともっと集中しろ!)
迫り来る重力弾。そのプレッシャーを感じながら、ポップは出せる限界の力を右手に集める。
出来るはずだ。死闘の中で何度も見て、急所に指を突っ込んで解体するまでに知り尽くしたあの技は!

「だらあぁーっ!」
ポップは右手の魔力を一気に解放した。そこに現れたのは、炎に包まれた大きな不死鳥。
「で、できた!よっしゃあ、いっけえぇーっ!」
ポップは重力弾に向けて不死鳥を放つ!
「カイザーフェニックス!」
彼の世界の大魔王の得意呪文が、この世界の魔王の得意呪文に戦いを挑む。

77:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/18 20:04:02 0
>73>75
狙い違わずポップは反撃することも、防御することもできずにいた。
もはや回避することもできない必殺の間合い。
しかし、その攻撃は意外な形で防がれることとなる。
「これはこれは・・・驚いたね。」
ムーミン大佐は二つの意味を込めて簡単の言葉を吐いた。
一つは完全なる不意打ち攻撃を喰らって、もう回復してきたこと。
そして、もう一つは細い刀身のレイピアで手刀を防いだことだった。

兵士の腹を突き破り迫る手刀はレイピアで手首を貫かれ止っていた。
ランカムがムーミン大佐の手刀を串刺しにしている隙に、ポップがウサコへと立ちはだかる。
意外な横槍に小さく舌打ちすると、貫かれていたムーミン大佐の手刀が歪み、形を失っていく。

ここで考えてほしい。
ムーミン大佐の体型を。
柔らかな曲線を持つフォルム。
大きな頭部にずんぐりむっくりの三頭身。
そこから伸びる手足はあまりにも短い。
帽子を被ることはできても、頭頂部やお尻には決して手が届かないであろう。
そんな短いリーチで大の大人の兵士を突き破ってその向こうのポップに致命傷を与えるほどの長さがあるだろうか?
いいや、あるはずがない。
ならばこの伸びている手刀は何か?
それは妖気を纏って凶刃と化した物に他ならないのだ。
つまり、妖気さえ収めれば実態としての手刀は保たれなくなる。
「その判断力、そしてレイピアの扱い。驚嘆に値する。
敬意を表して・・・薄汚い花火だが受け取ってくれたまえ。」
兵士の背中から手を抜きつつ、ランカムに笑いかけ跳躍。
直後、兵士の体内に残されたジャック・オ・ランタンが爆発して兵士はランカムの目の前で四散するのだった。
爆発によるダメージというよりも、目くらましの意味が強い行動だった。

そしてムーミン大佐はというと、ウサコの援護にポップを追う、というわけではなかった。
着地した場所は部屋の中央に置かれた正八面体の石の上。
「やれやれ、これだから子供に過ぎた力は困るのだ。
ここが地下と言う事もわかっていないとはな。」
ウサコの超ヴォーテックスに対し、ポップがカイザーフェニックスを放ったのを見て呆れたように首を振った。

元々ウサコが超魔法を完成させるまでの前衛だ。
本来なら一人二人殺しておきたかったところだが、役割は十分果たしたと判断。
そして今、次なる仕事へと取り掛かる。
「煙界妖壁陣!」
パイプタバコを大きく吸い、煙を吐き出した。
それはただの煙ではない。
妖力を持ち、あらゆる衝撃から守る結界陣なのだ。

如何に広かろうが所詮は地下空間。
二つの超魔法がぶつかれば無事ではすまないだろう。
強大な余波から魔法陣の石を守るために結界を敷いたのだ。

78:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/18 22:09:34 0
>>71
俺の息がすでに近くまでかかっているというのに目の前の異界の物の怪は
まだ余裕といった雰囲気で俺に自己紹介を始める…くだらん。
余裕を見せるものほど己を過信し死ぬ!俺はそのようなことはない!!
「ふん、呼びにくかろうが構わん!なぜなら貴様は俺のこの一撃が屠るからだッ!!
 名前など覚える間もなく滅ぼしてやるッ!!」
そして俺の拳は奴にめり込む。衝撃は体を伝わり吹き飛び床に叩きつけられる。
手応えはあった!俺のこの拳は完全にあの物の怪に直撃した!
おそらくもはや立てもしまい……フッ…いくら異界の者といってもこの程度…
「いいパンチだ!しかと味わった。しかしまだ若い!」
「なに!?」
そして先ほど奴がいたとこにまた奴はいた……莫迦なッ!!
確かに傷はある。まともに受けたのは分かる。しかし、なぜこの短時間で眼前にこいつは居る!?
「私の部下に悪戯好きな者がいてね。紹介しよう。ジャック・オ・ランタンだ。仲良くしてやってくれたまえ。」
そして奴はステッキを使い何かを綴るといくつもの黒い南瓜が俺の足元に転がっている。
「なんだこれは!?」
そう言った時だった。この黒い塊が俺を嘲笑ったあと次々と塊から光りが漏れ爆発したのは…
「ぬおおっ!!」
普通の人間なら致死量の爆発が俺を包む!!

>>71>>73-76
「ク…クククク……ハァーッハッハッハッハ!!
 面白い!こんな戦いがあるのならば異界というのも悪くはない!!」
無論俺は無傷といっていい状態だった。纏っている覇気は結構な量を
持っていかれたが特に目立った外傷はない。覇気とは防御膜の役目もする。
しかし、あの動物の女の術を喰らったらこんな量の覇気などたちまち消し飛ぶだろう。

だが、そんなことはどうでもいい。どうだったいい!
不死鳥もヴォーテックスも今は俺の興味をそそらない。
そう…久しぶりに俺に攻撃をあてたあの化け物…ムーミン大佐!!



79:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/18 22:11:49 0
>>77
「煙界妖壁陣!」
ムーミン大佐は魔方陣の石を覆うように結界を張る。
どうやらあれは異界の者達を呼び寄せるための媒介のようなものか。
俺は逃げようとしていた兵士の首を掴む。
「な、何をするんだ!」
「決まってる。あの結界に貴様を投げ込んでどういう性質かを解き明かす!
 貴様のようなカスでも役に立てるんだ!俺に感謝するがいい!」
そして俺は兵士をほうり投げる。結界に触れた瞬間兵士がまるで消し炭のように黒ずみ倒れる。
「ほう。なるほど……そういう効果も持つわけか…余計面白くなってきた!!」
そして俺は限界の限界まで覇気を絞りだす!今まで以上の覇気をッ!!
「さあ………俺の覇気に応え真価を発揮しろ龍覇轟撃拳!!」
俺の体力と精神力を極限まで使い果たした覇気はもはや俺の周りだけにはとどまらず
地面を抉りはじめている……そしてその覇気を俺は片手に集めていく……
「ぐっ!うぅぉぉおおおおおッ!!」
覇気が集められている腕から血飛沫が上がる…そう。
今からやる技はまだ俺が完全には会得できていない技!
「でえりゃああああああッ!!」
そして一機に覇気が収縮し……腕から龍が現れる!!龍は天井を…そして床を削り取りながら暴れ周る!
「キシャアアアアアアッ!!!」
そう、これは幻などではない!覇気ではあるが確かに龍だ!
自らの意思すら持つ!覇気を練り龍を具現化させる……そう、これこそ奥義!轟覇龍槍撃!!!
「蝕む……たとえそれが神であろうと!!いくぞ!!!」
龍は結界に凄い勢いでぶつかっていく……龍のぶつかる力と結界の反発する力…
そのぶつかり合いの衝撃で脆くなっている天井に亀裂が入っていく……
「でえええええええぇぇぇぇぇいッ!!」

―――轟 覇 龍 槍 撃 !!―――

かたや不死鳥とヴォーテックス…そしてこの強大な結界と龍…
二つの凄まじい力のうねりに魔方陣の石の光りが最高潮に達した!




80:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/18 22:33:59 O
レイピアを通して伝わった手刀の衝撃が、手首を軋ませる。
--止めたッ!
相手がこちらを警戒していなかった故の、偶然に近かった。
だが状況は、ランカムが次の一手を考える暇を与えない。

貫いたムーミン大佐の手刀は、形を変えレイピアの戒めを逃れる。
「ダメージはないのか…」
現実離れした光景に、ひきつった苦笑を浮かべる。
「不死身の怪物なんて、おとぎ話の中だけにしてくれ…」

瞬間、爆散した兵士の血肉が降りかかる。死体を煙幕に利用したのだ。
ポップの危機を感じたランカムは、とっさに
ムーミン大佐とポップの間を塞ぐように転がる。
「……そちらが狙いかッ!」
顔を挙げた時、ムーミン大佐は、ポップ達とは逆方向に間合いを離していた。
その先には--魔法陣。召喚の石は今再び、光を増している。

フェルの技が、ムーミン大佐の結界に食らいつく。
ウサコとポップの術の激突まで、あと数瞬も無い。
「う--」
脚が、ズキリと痛んだ。爆散した兵士の鎧の欠片が刺さったらしい。
周囲の衛兵も、多くが負傷しているようだ。そして老魔術師--。
「!!」
--ここで老魔術師に死なれては、帰る手段もわからなくなる。
ランカムは老魔術師の服を掴み、もつれ込むように地に伏し、衝撃に備えた。

81:東條ルミナ ◇Yw2bVAsGtAの代理投稿
08/01/19 01:15:32 0
「あんたがこの石を守るってこたぁ…つまり、それだけの価値があるってことでいいんだよなぁ」
ムーミン大佐の背後、正確に言えば石に寄り掛かる形でその女はそこにいた。
「…でさ、悪りぃんだけど火貸してくれねぇかな」
ポケットから煙草を一本取り出し、ムーミン大佐に向ける。

この女の名前は東條ルミナ、「東京」と呼ばれる異世界の都市で探偵をやっている魔術師である。
もちろん、彼女もここにいる皆と同じく召喚された者の一人のようだ。
ただ、彼女は他の召喚者とは違い、好戦的な態度をとり、ウサコと目の前にいるムーミン大佐に戦いを挑む真似は
せずに、召喚儀式の媒体になったと思われる、この石を調べていた。

「…まぁ…確かにコレはそれだけの価値があるものだけどな」
他世界に干渉し、尚且つ、そこの住人を自分らの世界に連れてくる芸当をこなしたのは伊達ではなく。
この石の魔力量は凄まじく、底が見えない。そして、その膨大な魔力を制御するための魔術回路の量も凄まじい。
これさえあれば、どんな魔術だって容易に発動させることが可能であろう。
そう、世界を崩壊させるような禁忌すら…

「どうした?…喫煙家にしちゃ案外ケチだな」
なかなか火を貸してくれないので、ルミナは煙草を引っ込める。

82:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/19 02:04:26 0
>76
火の鳥と重力弾は暫く拮抗した後、重力弾の魔力が火の鳥に呑まれた。
確かに威力は増強されているが、超絶魔力分は見掛け倒しだったらしい。
「なんだってー、私のヴォーテックスに打ち勝っただとー。
 くっ……ダークバリアー!」
自分の身に襲い掛かる火の鳥に、ウサコは闇の障壁を張って受け止めた。
ここまで来てもやはり台詞が棒読みなので、本当に慌てているかは察しかねる。
闇の障壁は火の鳥の凄まじい威力に悲鳴をあげており、ヒビが入っている。
辛うじて受け止めているという状態だ。
それでも完全に威力を打ち消した訳ではないようで、あちこちに火傷を負っている。ダメージは確かにある。

火の鳥を障壁で受け止めながら、ウサコは笑みを浮かべて言った。
「だが、お前たちは今の『ヴォーテックス』が私の本気だと思っている。そうだろー?」
この攻撃さえ凌げば自分の勝ちだと言わんばかりだ。半分やせ我慢だが。
「お前たちは知らないだろうが、今の『ヴォーテックス』よりも、さっきの『リブレイド』の方が、攻撃魔法としては強力だろー。
 故に、次の攻撃こそが全力全開だろー。今度こそ防げないだろー」
『リブレイド』は攻撃範囲も破壊力も命中精度も、『ヴォーテックス』を上回る攻撃魔法だ。
『ヴォーテックス』と同じく、『リブレイド』もウサコの超絶魔力によって強化されうる。
そして、ウサコの魔法の破壊力を増強するのは、自らの生命力だけではない。
彼女の『大いなる怒り』のエネルギーは、あらゆる攻撃の威力を爆発的に上昇させるのだ。
ただ、『リブレイド』は『ヴォーテックス』に比べて詠唱時間が長く、しかも至近距離の対象に撃てば自分まで巻き込まれる危険があることが欠点だ。

「たぁー」
ついに火の鳥を打ち払ってかき消して、ウサコはリブレイドの詠唱に入った。
呪文詠唱の間は完全に隙だらけだ。防壁を張ることも、相手の攻撃を避けることもできない。彼女は天地魔闘みたいな真似はできない。
だが、ウサコは聖印による苦痛耐性があり、重症を負っても問題なく動く。
どのような攻撃を喰らおうが、生きて立ってさえいれば、ウサコのリブレイドの詠唱は完了し、魔法は発動するのだ。
ウサコの口が呪文を紡ぐたびに、彼女の右手に全てのパワーが集中してゆく。言葉どおり、全力全開だ。
魔術師達は固唾を呑んで、戦いの様相を見守っている。

83:名無しになりきれ
08/01/19 02:07:58 O
>>82
ダークバリアwww
ダークバリアwww
ダークバリアwww
ダークバリアwww
ダークバリアwww
ダークバリアwww

84:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/01/19 02:36:06 0
>>82
カイザーフェニックスは超ヴォーテックスに打ち勝ち、ウサコ本体にまで襲い掛かった。
さすがは大魔王の呪文である。
「へっ、悪党の技で格好悪りぃがよ、威力は折り紙つきでぇ!」
相殺分と障壁による防御で倒すまでには至らなかったが、多少のダメージは与えたようだ。

しかし、ウサコはまだ今以上の攻撃があることを示唆する。
今度はさっきの光線魔法を強化すると宣言したのだ。
いかに強力なカイザーフェニックスといえど、無数の光線全てをカバーすることはできない。

「そうかよ!でも今度はさっきみてえに溜めの時間はやんねえぜ!」
そう、さっきはムーミン大佐に翻弄されていたためにみすみすチャージの時間を許してしまったのだ。
今度はそうはいかない。
「こっちの方が早ええぜ!極大閃熱呪文(ベギラゴン)―っ!」
ポップは呪文を唱える。
しかし、それは発動しなかった。それどころか急激に力が抜けていく。
ついに膝をついてしまった。
「あ…あれ?」
ポップはすぐに気付く。カイザーフェニックスにより、人間の限界を超えた魔力を引き出した反動だ。
いくら大魔道士でも人間なのだ。大魔王の呪文出力をタダで引き出せるはずもない。
しばらくはまともに呪文は使えまい。少なくとも、この戦闘中は。
「や、やべぇ!誰か、あいつの呪文を阻止してくれぇっ!」
ポップは叫ぶ。

85: ◆svDXdcR9Gw
08/01/19 03:34:05 0
>81
「気をつけてくだされ!そやつは邪悪なるトロル族です!」
老魔術師が叫んで警戒を促した。
元ネタの北欧神話ではともかくとして、トールキン系列の話やら一般のRPGやらでは、確かにトロル族はオーク族に並ぶ邪悪な人型生物の代表例みたいなものである。
トーベ=ヤンソンのムーミン・トロールが邪悪なトロル族のカテゴリに入っているかどうかは不明だ。

石のような物体は静かに沈黙を守っている。
だが、内側には、確かに魔王ウサコが求めつつも警戒するのも納得できるほどのエネルギーを秘めている。
これは、今立っている場所とは全く別の世界のエネルギーだ。
恐らく、この石のような物体もまた、異世界から来たことは間違いない。
ともすれば、この石は異世界とこの世界を繋ぐ絆だと言える。
それ故に、召喚魔法の儀式で重要な役割を果たしているのだろう。
また、寄りかかると、かすかに鼓動のようなものを感じる。

86:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/19 15:58:06 0
「……なに!?この奥義でも駄目なのか!?」
勝てると思っていた…我が拳が負けるはずはないと…
しかし俺はどうやら自惚れていたようだ……
ここしばらくの戦いは常に圧勝であったがためなのだろうか?
いや、それは関係ない、ただ実力差があったからなのだろう…
俺の轟覇龍槍撃は勢いを見せたもあっけなく結界に飲み込まれていった…
「…くくく…なるほど、上には上がいる…我が王の仰った通りというわけだ…」
そして俺は倒れこむ。先ほどの轟覇龍槍撃を使うために俺の全ての覇気を使った…
覇気とは精神力であり生命力、大量に失うことは死すら意味する…もはや俺には蚊ほどの力も残されてなどいない。
いや、残されていても無理だろう。龍を出した利き腕の健はズタボロのようだ、どちらにせよ指すら動かない。
戦えるような状態じゃない…

「ムーミン大佐…貴様の……いや、貴殿の勝ちだ。
 この俺の最大の攻撃は貴殿の結界にすら無力だった…」
そう、それはすなわちどうあっても俺はあのムーミン大佐には勝てないことになる。
俺の全身全霊の一撃をもっても打ち破れぬ結界を余裕の表情で張る…すでに勝敗は決定している。 
「完敗だ……ふっ……まだまだ俺も未熟だったというわけだ。」

>>84
「や、やべぇ!誰か、あいつの呪文を阻止してくれぇっ!」
冷静になった今考えると俺の轟覇龍槍撃はあいつの呪文を打ち消すのにとっておいた方が良かったかもしれない、
いや、無理だ……どうやら俺の想像以上の強者が多く居たらしい。
「ふっ…まさかこんな場所で朽ち果てるとはな……」
すでに俺は生還を諦めた、弱者はいつの世も無様に死んでいくのみ。
そして俺にその番が回ってきたというわけだ……

87:ツインテール
08/01/19 19:37:45 O
相談募集中(はあと)

88:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/19 20:07:11 0
>79>81
煙に包まれた結界の中でムーミン大佐は石の解析に全力を尽くしていた。
正確に言えば解析ではない。使用法である。
「すまないがお嬢さん。今、取り込み中でね。」
急ぎすぎていたせいか、結界内にルミナがいることにまったく気づいていなかった。
声をかけられて初めてその存在に気づく。
タバコの火を求められるが今はそれどころではない。
結界の外でフェルが極限まで力を貯めている事が判ったからだ。
敵意の感じられないルミナに注意を払うより、フェルへの対抗手段を持つことが先決。

超ヴォーテックスとカイザーフェニックスの激突の【余波】から守るだけなら結界で事足りるだろう。
だが、フェルがこれから放とうとしている攻撃を防ぎ切れそうもない。
対抗するために、石の膨大な魔力を使用して結界を強めようというわけだ。

しかし石の使用法がわかるよりも前にフェルの轟覇龍槍撃が放たれた。
覇気を練り具現化された龍。
その暴れまわる姿を一目見てムーミン大佐は悟った。
   無 理 !
暴れ狂う竜のパワーはムーミン大佐のパワーを遥かに超越している。
ぶつかり合って止められる代物ではない。
「・・・が!だからといって手がないわけではないぞ!」
荒れ狂う龍は目標を結界に定め突進してくる。
そして激突の瞬間、煙界妖壁陣がまるで竜巻のように回転を始めた。

無限にも思えるような数秒間。
火花を散らす激しい衝突の末、煙界妖壁陣は打ち破られた。
そして露になったムーミン大佐に龍は喰らいつき、そのまま天井を突き破っていく。
口からはムーミン大佐の血が零れていた。
残されたのは石とルミナのみ。

カイザーフェニックスと超ヴォーテックス、そして荒れ狂う龍と煙界妖壁陣の激突で起こる魔力の奔流。
あまりの強大な奔流に地下室全体が悲鳴を上げるように軋んでいる。
その音に混じりフェルは聞いたであろう。
小さなベルの音を。
そして首筋にトンと当てられるムーミン大佐のステッキ。
「種明かしをするとだね、我が部下ティンカー・ベルの能力だよ。
彼女の持つ小さなベルの音が届く範囲に限り、瞬間移動ができる。」
フェルの背後にはムーミン大佐が立っていた。
最初の攻撃を受けたにも関わらず殆ど立ち位置を変えずに戻れたのもこの力のおかげだった。

「一点集中といえば聞こえがいいが、私に言わせれば隙だらけになるに過ぎない。
君は格闘のプロであるかもしれないが、戦闘に関しては素人同然だ。」
力を使い果たしたフェルの首を刈るのはたやすいことだった。
だがステッキを当てるだけで、ダメージを与えようとはしない。
その理由はムーミン大佐の口から語られることになる。
「君は戦士だ。死など恐れはしまい。敗北も戦った結果とあれば受け入れられよう。
・・・だから、君には屈辱を与えようじゃないか!君は私に【生かされる】のだよ!」
残酷な言葉と共にステッキを振り、フェルの首に『13』の文字を刻み付ける。
擦り傷程度だが、死より、敗北より、何ものよりも耐えがたい屈辱の刻印を。

89:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/19 20:07:23 0

「くははははっ!このまま朽ちるもよし、刻印を消しにくるもよし。好きにするがいい。
だが覚えておきたまえ。私と戦うことは安楽なる死すら許されぬということを!」
邪悪な笑い声と共にムーミン大佐は身を翻し、石の元へと戻る。
それを待っていたかのように石は不可視の力により上昇を始める。

石の上に立つムーミン大佐の右腕はなく、ただ血が流れ続けたいた。
龍が結界に激突した瞬間、煙を高速回転させ僅かにその軌道をずらす。
更に己の右腕を囮にして龍の軌道を完全に逸らすことに成功したのだった。
「お嬢さん、すまなかったね。
これからシガータイムだが、できれば一緒に来て肩を貸してもらえるとありがたいのだがね。
代わりに火は貸そうじゃないか。」
上昇する石の上でふらふらとなりながらルミナに声をかける。
余裕を持った姿を保っていたが、その実最初の一撃と龍に食いちぎられた右腕の傷のため、実際には限界に近かった。

辺りを見回せば魔力の大奔流で皆地に伏せ、無防備とはいえウサコの邪魔をする者もいないだろう。
それ以前にもはやこの地下室は持たない。
その前にフェルの龍があけた穴から石を回収し脱出するのだ。
「石は確保した。先に行っているよ。」
ムーミン大佐はウサコに一言かけて上昇を続ける。

90:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/19 21:33:53 0
『ゴスッ!』
という嫌な音と共に少年、上条当麻は石からかなり離れた
所にある石畳に、頭から落下した。

「ぐおおお!!な、何なんですか一体!?」
上条は強打した頭を押さえ、ぶるぶると震えながら周囲の様子を確認する。
周囲にいるのは、数人の見知らぬの服装をした人々と、三沢塾で見たローマ聖教
の騎士団が着るような服を着た幾人かの人々。
そして、何故か獣耳っ娘。
(……どこだよ、ここは。学園都市……じゃないよな?
 なんで俺はこんな所に……つーか、ウサミミ?)
混乱しつつも様々な事を考えていた上条は、しかし
砂埃の向こうに『ソレ』を見て固まった。
「な……んだよ、これ」
それは、何かをを奪おうとしている人外でもなければ、
膨大なエネルギーを蓄積している獣耳少女でもない。

上条当麻の視線の先にあるのは、石畳に倒れている多くの人々。
彼等は血を流し、息も絶え絶えといった様子の者が殆どだ。

傷つき倒れている人々、それに害意を向けている魔術師であろう少女。
今ここを訪れたばかりの上条当麻には、何が起きているのかも
何故彼等が戦っているのか、その理由も解らない。

ただ、やらなければならない事は解った。
――あの人達を助ける。
そう考えた瞬間、混乱で固まっていた上条の体は動いていた。

恐らくだが、あの少女は目の前の彼等や倒れている人達を攻撃するつもりだ。
上条当麻は魔術師では無いので、あの攻撃がどれ程の威力かは解らない。
だが、状況から目の前の少女が振るうのは異能の力であり、
それが想像も付かない程膨大なエネルギーである事は理解出来る。

身体能力が平均的なの高校生並の上条では、当たれば消し飛んでしまうかも知れない。
それに、倒れている人々の方が悪人という可能性もある。だが、
(それが、どうした!)
上条当麻は、右の拳を握り締め、
膨大なエネルギーを溜めつつあるウサコに向かって疾走する。
例えどちらが悪であろうと、相手の命を奪って目的を達成するという
やり方が正しいなんていうことは、絶対にない。

イマジンブレイカー
『幻想殺し』上条当麻の右手に宿る唯一の能力。
触れるだけで魔術や超能力、たとえ『神様のシステム』であろうと、
それが『異能』であれば問答無用で消し去る力。

「テメェが何をしたいのかは知らねえ!けど、あそこにいる
 誰かを犠牲にするつもりでソレをしようとしてるなら、
 そのふざけた幻想は絶対に食い止める!!」

ウサコに正面から走りこんだ上条は、そう吼えると、
収束しているエネルギー体に、その右手、『幻想殺し』を叩き込んだ。

91:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/20 01:12:46 O
瓦礫の山から、体を起こし状況を確認する。
鎧を着ていた事から傷は浅いが、出血で意識が朦朧とする。
床は塵と破片にまみれ、天井にはムーミン大佐が激突した穴。
室内は辛うじて形を保っているような状態だ。

--女性?
ランカムの視線は一瞬、彼の世界には無い、水色の髪に繋ぎ止められる。
ムーミン大佐は彼女に、勧誘の言葉をかける。
「ま、待てッ…! “魔”の者の誘いなど…!」
不意の痛みに、言葉は中途半端に途切れた。
「う…!」
足に刺さった金属片を除き、回復薬・キュアルートに手を伸ばす。
最初に一個を使用したため、残りは二個しかない。
ふと、手が止まる。

ウサコの新たな詠唱は、佳境に入っている。
魔法言語のわからないランカムにも、確かに
肌に刺さるような“魔”の疼きが感じとれた。
対して、抗戦していたポップとフェルは、戦闘力を失っている。
…手の中のキュアルートを見る。

--私だけなら、逃げられる?
幸いにも出口は近く。回復すれば魔法の発動に乗じて、逃げる事も……。
「…神よ…!」
迷いを振り払うように、握った回復薬・キュアルートをフェルに投じる。
回復量は、決して大きくない。だが、彼が逃げる位の力にはなるだろう。

果たして、神への祈りが通じたのか。救い手は唐突に訪れた。
降ってきた少年が、ウサコに向けて拳を振る。
そこで、ランカムの意識は途切れた。
気を失う寸前、ランカムは妙な幻聴を聞いた。
--相談募集中? …な、なんの事だ?
そして今度こそ、ランカムは気絶した。

92:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/20 03:03:19 0
>89
「おおー、でかしたぞムーミン」
リブレイドが放たれる直前の光球を掌の上にかざしながら、石のような物体をまんまと強奪したムーミンの手腕を褒め称えた。
「その『石のような物体』を大魔王様に献上すれば、悔しいが手柄はお前のものだろー。
 わたしはこいつ等を始末してから後を追うだろー」
ウサコはポップ達に向き直った。
完全に油断している。余裕の表情さえ見せている。

>84>86
傷付き、倒れ付す戦士達を見るや、ウサコは勝ち誇ったような、残酷な笑みを浮かべた。
「勝負あったな。
 その程度の力でわれわれに挑もうとは片腹痛いわー。
 少し、頭冷やそうか」
無慈悲にも『リブレイド』を放ち、全てに決着をつけようとした、そのときだった。

93:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/20 03:08:32 0
>90
上条の突然の出現が、逆転のチャンスをもたらした。
「む、新手だろー。だが関係ない!」
どのような相手が立ち向かって来ようが構うものか、怒りのオーラが込められた『リブレイド』が発動すれば、全ては同じ事だ。
ウサコはそう考えていた。しかし……
今まさに『リブレイド』が発動しようとしていたそのとき、相手はウサコ本人ではなく、今まさに放たれようとしている『リブレイド』のエネルギーの塊に触れた。
「はわ、何を……」
彼の右手が手の前で収束していた『天』属性の魔法エネルギーの塊に触れると、魔法の発動は完全にキャンセルされてしまった。

「なんだってー!」
彼女の表情に、明らかな驚愕と焦りの色が見え始めた。
無意識のうちに後ずさってすらいるほどだ。
自分の全力全開の攻撃が、修練を積んだ戦士や魔術師にも見えないただの学生に、こうも容易く防がれるとは、信じられなかったのだろう。
そうでなくても、ここまで寄られた状態で『リブレイド』を撃てば、自分もその破壊力の餌食になる。
いや、目の前の相手の能力からして、『ヴォーテックス』ですら撃たせてもらえるかどうかはわからない。
ウサコにはまだ魔力が満ち溢れているが、魔法は封じられたも同然と言って良い状態だった。

だが、ウサコは未だに諦めていない。
「私が魔法しか能の無いアホの子でないことを知るが良いだろー。
 ダブルインパクトォー。ふぁー」
ウサコは空間転移で距離を離し、上条に向かってダッシュし、勢いをつけて右の拳で殴りかかった。
主に魔法で戦うウサコには、空手や中国拳法のような格闘技の技術は一切無い。ただ力任せに殴るだけである。
その拳には、先ほどのリブレイドと同じように大いなる怒りのエネルギーが込められていた。
しかし、魔法攻撃に比べると、明らかに威力も命中精度も見劣りする。
有体に言えば、全く大したことはなかった。

94:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/20 19:01:01 0
>>88-89
「さあ、この一撃に俺の全てをかけた!!もし破られるようであったら
 俺はお前とは肩を並べられるほど強くない!!勝負だ!!」
言葉ではそう言ったが俺には確信とも言える自信があった。
まだ未熟とはいえこの技が破られることなど満に一つもない!
そして激突、その衝撃の激しさはこの龍を操る腕まで伝わってくる。
「ぐっ……確かに強い結界だな、だが…だが打ち破るッ!!」
そして確かに俺の龍は結界を穿ちそのままムーミン大佐に喰らいき。
そのまま上へと登り天井を突き破る!確信した!俺の勝利だ!!
「……ははは…久しぶりだった、こんな血沸き肉踊る戦いは…」
そして俺は倒れる…全ての力を使い果たしたのだ、まだ俺の実力では
この技を使ったあとで動き回るのは不可能、ましてや先ほどまで戦っていた。
もはや指先一つ動かすような気力はない……その時、ベルの音がし後ろに気配を感じる。

「……な、なにッ!?」
そう…ムーミン大佐の気配…何故だ!!轟覇龍槍撃は完璧に奴に喰らいついた!
俺に失敗らしい失敗などなかったはず…そしてすぐに少し前を思いだす。
そう、初めて俺が拳をムーミン大佐に与えたときも奴は吹っ飛んだにも関わらず俺の前に居た!?
「どういうからくりだ!?」
「種明かしをするとだね、我が部下ティンカー・ベルの能力だよ。
 彼女の持つ小さなベルの音が届く範囲に限り、瞬間移動ができる。」
なるほど…それで俺の龍から逃れたというわけか………
「一点集中といえば聞こえがいいが、私に言わせれば隙だらけになるに過ぎない。
 君は格闘のプロであるかもしれないが、戦闘に関しては素人同然だ。」
なるほど…そうなのかもしれん……ムーミン大佐のいう戦闘とやらは俺の全く知らないものだ。
どうやら俺はまだまだ未熟だったようだ…上には上が居るという言葉を忘れていた…

「フッ……弱肉強食…弱き者は強き者の生贄。さあ、早く俺を殺せ。
 弱い者は生きている資格さえない!今すぐに俺の首を刎ねろ…」
俺の世界の掟…敗北した弱き者は死ぬのみ…勝利した強き者こそが先に進める権利を持つ。
曲げられぬ絶対の真理…いつもと違うのはただ勝者と敗者が入れ替わった事のみ…真理は真理だ。
しかし、死を覚悟する俺にムーミン大佐はただステッキを当てるのみ…そして言った。
「君は戦士だ。死など恐れはしまい。敗北も戦った結果とあれば受け入れられよう。
 ・・・だから、君には屈辱を与えようじゃないか!君は私に【生かされる】のだよ!」
そしてステッキを振り俺の首に何かを刻み付ける……
「ふざけるなッ!!俺を殺せ!今すぐに!!生き恥など俺は御免だ!!」
俺を見下した目!くそッ!!くそッ!!!俺は奴に生かされるのか!?



95:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/20 19:03:37 0
「くははははっ!このまま朽ちるもよし、刻印を消しにくるもよし。好きにするがいい。
 だが覚えておきたまえ。私と戦うことは安楽なる死すら許されぬということを!」
敗者の烙印…それを刻まれるなどッ!俺は今までに味わったことのない屈辱を覚えた!
「き、貴様ぁ!!……この俺を……この俺を生かしたことを後悔させてやる!!
 いいか!覚えておけ!次会ったら貴様を粉々に粉砕してやるッ!!覚悟しろ!!!」
大声で吼える俺を冷ややかに見つめムーミン大佐は石を奪い上えと向かっていった。
指一本動かない己が身を俺は呪う……なんという無様な姿だ……
そして更に問題がある…この状態ではいつ崩れるか分からないここから脱出などできない。
敵に情けをもらってまで得た命が生き埋めなど笑い話にもならん!
どうすればいいかと考える俺の体に何かが当たる割れる……その時、俺の体が急に楽になる。
覇気を使えるほどには回復してはいないがそれでも動くには十分だ。

「なぜ…そういえば何かが当たった…これか…!?」
俺の足元にある割れた小瓶のようなもの…これがおそらく俺の体を回復させたに違いない。
周りを見ますと同じ小瓶を持ち倒れている男を見つける。
「おいお前、なぜ他人を助けた!俺に施しなど……」
呼ぶが返事がない、どうやら気絶しているようだ…
「…自らを治すことをせずに俺を治すとはな。お前のような奴が真っ先に死んでいく…
 愚かな男だ…だが、そんな男に借りができるのは俺は御免だッ!」
金属を纏っている男の重量はかなり重いが脱がしている時間もない。
俺はそのまま男を背中に抱え出口に向かって歩いていく…しかし、その途中であのフェニックスを放った男が膝をついているのを見つける。
さっきまでは戦いに夢中で全く周りが見えていなかった。どうやらかなり深刻な状態になってるようだ。
「チッ……借りるぞ!」
俺は先ほど俺を回復させた小瓶をあの魔導師らしき男に投げる。
「おい、ここはもうすぐ崩れる…死にたくないなら出るんだな。お前もだ!」
新しく来て魔王とやらと戦っている男にも叫ぶ。
「チッ……本来なら放っておくというのにどうしたんだ俺は……」

96:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/01/21 00:58:46 0
>>93
ポップの呼び掛けに応えてか、新たなる戦士が現れ、ウサコの魔法をかき消してくれた。
「おお!助かったぜ!」
しかしウサコは魔法しか能のないアホの子ではないらしい。
後方に瞬間移動し、距離を取る。おそらく助走して肉弾戦を挑むのだろう。

>>95
そのとき、何かが投げつけられる。見ると、どうやら回復薬のようだった。
投げたのはフェルのようだ。
>「おい、ここはもうすぐ崩れる…死にたくないなら出るんだな。お前もだ!」
そう言い、ランカムを背負って出口に向かっていく。よく見れば二人とも随分負傷しているようだ。
ムーミン大佐が逃げていったのは見ていたが、察するに二人が勝ったというわけではなかったらしい。
「サ、サンキュ!ありがたく使わせてもらうぜ!」
回復薬は大した効果ではなかったが、逃げる体力としては充分だ。
当麻がウサコを引き付けている間にここを逃げ出せば、自分は助かる。

(すまねえ、頑張ってくれよな)
ポップは出口の方に振り返り、走って逃げ出そうとした。
少女のようでも魔王は魔王、肉弾戦でもどれだけ恐ろしいかは分からない。
屈強の戦士には見えない当麻では、何か接近戦用の能力がない限りは勝ち目は薄いだろう。
だが、ポップはこんな所でこんな分の悪い戦いに付き合って死ぬわけにはいかない。
元の世界では、散々苦労して平和の時を手にしたのだ。そしてようやく意中の女性に告白するところだった。
それなのに、異世界だか何だか知らないが、こんな所で死んでたまるか。
この地下室も最早いつ崩れるか分からない。
この場は逃げて、この世界は見捨てて、自分が元の世界に帰る方法だけを何とか探そう。
こんな世界がどうなろうと、知ったことか。

「なんて言ったらもう二度とあいつらに顔向けできねえじゃねえかよおぉーっ!」
ポップは絶叫し、敵の方に振り向きブラックロッドを構えた。
この場にダイがいたら、マァムがいたら、ヒュンケルがいたら、レオナ姫がいたら。
元の世界の仲間達なら、きっと誰もこの死地を捨てはしなかっただろうから。

「俺だってなあ、魔法だけしか能のないアホの子じゃねえんだよ!」
ポップの武器ブラックロッドは、伸縮自在の杖だ。
地面について伸ばすことで緊急回避に用いたり、先端の形状もある程度自由に変化させたりもできる。
魔法力を攻撃力に変換する効果もあるのだが、あいにく充分な打撃力を生み出すほどの魔力は残っていない。

ポップはブラックロッドをアーム状に変形させ、走り出したウサコの足首目掛けて伸ばした。
「スッ転びやがれっ!」

97:名無しになりきれ
08/01/21 01:17:29 O
>>95
そのとき、何かが投げつけられる。見ると、どうやら爆薬のようだった。
投げたのはフェルのようだ。
>「おい、ここはもうすぐ崩れる…死ね!」
そう言い、ランカムを串刺しにして出口に向かっていく。よく見れば二人とも随分負傷しているようだ。
ムーミン大佐が逃げていったのは見ていたが、察するに二人が勝ったというわけではなかったらしい。
「サ、サンキュ!ありがたく逝かせてもらうぜ!」
爆薬は大した効果ではなかったが、死ぬには充分だ。

98:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/21 02:40:00 0
>>93
>彼の右手が手の前で収束していた『天』属性の魔法エネルギーの塊に触れると、
>魔法の発動は完全にキャンセルされてしまった。

(……っ、セーフか)
エネルギーの塊を消し去り、ウサコの前に堂々と、余裕すら
見せつつ立ち塞がる上条だったが、その内心では冷たいものを感じていた。
上条当麻の持つ『幻想殺し(イマジンブレイカー)』の効力は右手首から先のみ。
仮にあの攻撃が全方位から襲い掛かる様な物であったならば、
上条は、それらを全て打ち消すことは出来ず、倒れていた事だろう。
そして、この敵がそれを出来ない保障は無いのだ。

(このままじゃ不味い、考えろ……ステイルの野郎も、『魔女狩りの王』
 みたいな高レベルの魔術には媒体を使っていた、だったらこれだけ馬鹿げた
 大きさの魔術を使うコイツも、何か媒体があるはずだ、
 まともにやり合おうってなら、まずそいつを破壊しないと相手にならない!)

ウサコとの距離を測りつつ、上条はそう考察したが、ここは異世界で、
更にウサコは魔術師ではないのだから、上条の世界の魔術師の規則が当てはまる筈は無い。
今回、その考察はかなり的を外れていた。
彼は今までに天使や聖人といった類の相手を敵に回した事はあるが、
魔王という類の異能に遭遇した事はなかったのも原因の一端だろう。
あるいは、実物が混ざっているにせよ、ウサコが天使の様に異能で構成されているのならば、
幻想殺しは触れるだけで、ウサコの破壊を行えたのかもしれないのだが、
結果として上条は、そのチャンスを逃す事となってしまった。

>>95
>「おい、ここはもうすぐ崩れる…死にたくないなら出るんだな。お前もだ!」
> 新しく来て魔王とやらと戦っている男にも叫ぶ。
先ほどまで負傷していた男に声をかけられ、上条は無事だったという
安心と共に、建物の崩壊という危機感を覚えた。
「……分かった、アンタは先に行っていてくれ!それから、出来ればその人たちを頼む!」
振り向かずに告げる、この場を動けば、目の前の少女が標的を変えるという可能性も
有るからだ。

99:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/21 02:40:34 0
>>93
>「私が魔法しか能の無いアホの子でないことを知るが良いだろー。
>ダブルインパクトォー。ふぁー」
>ウサコは空間転移で距離を離し、上条に向かってダッシュし、
>勢いをつけて右の拳で殴りかかった。

(!? こいつ、テレポートも出来るのか!!)
思考していた上条は驚愕しつつも、瞬間移動と加速により放たれた
ウサコの拳を、しかし後ろに飛び、体を捻ることでかろうじで交わした。
ウサコの拳端が肩を霞め、それだけで上条の皮膚が焼けるような熱を感じる。
上条当麻が喧嘩で勝てるのは一対一、一対二ならあやうくて、一対三以上なら迷わず逃げる。
今回上条がウサコの攻撃を交わせたのは、単にウサコが喧嘩慣れた動きでは無かったからに
過ぎない。学園都市最強のLv5『一方通行』と戦ったときと同じ原理だ。
幾ら早くても、動きが見えれば攻撃を避けるのはそう難しくは無い。
だが、体の横を通り過ぎたその拳圧にはゾッとするものがあったのも確かだった。
(くそっ、なんて威力だよ!あの一方通行(アクセラレータ)みたいに
 本体が貧弱って訳でもなさそうだし、長期戦は不味いか……!)
視界の端には、逃げおおせる人たちの姿が確認出来る。
平静を装っているが、しかし、上条当麻には現状、短期でこの相手を倒す方法は
思い浮かんでいない。このまま交わし続けるにしてもいずれ限界は来るだろう。

(……落ち着け、俺の手札を整理しろ。恐らくだけど、あいつは幻想殺しの
 正体に気付いてない。それに、さっきの様子だとあのエネルギー体は結構な
 大技だった筈だ……なら!)

「ククク……ハハハハハ――!!!!」

ウサコの攻撃を交わした上条は、突如、狂ったように、愉快そうに笑い出した。
そして、口の端を凶悪に歪めながら右拳を握り締め、ウサコの方へ向きなおし
、俯きながら、告げる。

「おいおい、なんだよその攻撃は。テメェ、それは冗談でやってるのか?
 まさかその程度の攻撃で、俺の幻想殺しを潰せるとか思ってたんじゃねえだろうなァ!? 」

バキリ、右拳が音を鳴らす。
その上条の姿は、底知れない凶悪な強者。上条当麻は、全霊で圧倒的な強者を『演じて』いた。

そう、上条当麻が考えた策、それは『ハッタリ』だった。

上条の勝利は、目の前の相手を倒すことではない。戦いを避け、怪我人を人を助ける事だ。
そしてその為には、目の前の獣耳少女に分が悪いと思わせ、退却させる事が
最短にして、最良の選択だと判断したのだ。
俯いて歪めた唇だけ見せているのは、表情から悟られる要因を減らす為。
無論、余裕なんて言う物は無い。震えずに振舞えるのは、上条当麻という少年が
これまでいくつもの、自分より遥かに強力な敵を前にした死線を潜り抜けて来たからだろう。

「さっきは魔法だ……どうする?次は右腕を喰い千切るか?」

だが、やはり正直分の悪い賭けである事は否めない。
相手が、未知とはいえ自分一人だけを相手に引いてくれるとは限らない。
魔王という強大な存在感を前に、精神は急速に消耗していく。

それでも上条当麻は、ウサコの前に立ちふさがり続ける。

>>96
>「スッ転びやがれっ!」
その時、視界の端から何かがウサコに向かって伸びていくのが見えた。

100:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/21 03:17:10 0
>95
拳を放ちながら横目で見ていたが、敢えて彼を見送った。
立ち向かわないものは、いつでも殺せるものと油断しているのだ。
それよりも厄介なのは、目の前に居る、得体の知れぬ能力を持った少年だった。

>99
かわされた!目の前の相手に最も有効だと思っていた攻撃だっただけに、ウサコは焦った。
「むむむ、確かにお前の力は認めてやろう。
 お前の魔法無効化能力も、私の魔法とは相性が悪いだろー」
ウサコは科学の常識の外側に居る『非常識』だ。
『幻想殺し』。その言葉は、ウサコに激しいプレッシャーを与えた。
もし相手の能力が、単なる魔法無効化ではなく、『常識』の外側のモノ全てに効果を発揮するとしたら?
ウサコは思わず身震いし、たじろいた。
それでも闘志は消えてはいないようだが、かなり怯えの色が見える。

「だが、お前の能力は手で触れなければ効果は無いのだろー?
 だったら……こうするまでだろー」
『ヴォーテックス』の詠唱時間は、全ての攻撃呪文の中でも特に短い。
適切な距離をとれば、呪文の詠唱を完成させることができるかも知れない。
少し厳しいが、相手の反射神経を超える速度で打ち出せるなら、この敵を仕留められよう。
そう考えて、すぐに空間転移で距離を離そうとしたが……

>96
ウサコは空間転移ができるとはいえ、非常に反応が鈍い。
回避能力はスライムやゾンビよりも低い(※)という、信じられない運動音痴である。
『リブレイド』はおろか、重装備でフラついているような戦士の大振りな攻撃ですら避けられない。
しかも、先のダークバリアーは魔法攻撃にしか効力を発揮しない防御魔法だ。
つまり、ウサコは肉弾戦ではほぼノーガードという訳ことになる。

「はわっ」
そのため、このように、足払いなんかには簡単に引っかかる。空間転移を行う前に転んでしまった。
ウサコは仰向けに倒れ、背中を思い切り強く打った。
先ほど、カイザーフェニックスで多少ダメージを負ったうえ、『ヴォーテックス』を撃つときに生命力を消耗している。
見た目はそれほどでもないが、実はかなり消耗している。
また、今の一撃でも足にもかなりダメージを負ったのか、さっと飛び起きることができないでいる。
千載一遇の好機に見える。

101:名無しになりきれ
08/01/21 19:17:36 0
そこでほちゃんがウサコの首を飛ばす!!

102:名無しになりきれ
08/01/21 20:18:34 O
という夢を見たのだった

103:名無しになりきれ
08/01/21 20:57:21 0
ここでほっちゃんの反撃だ!

104:名無しになりきれ
08/01/21 23:48:28 0
これ置いておくは
つ【RPG銃】

105:東條ルミナ ◆Yw2bVAsGtA
08/01/22 01:32:10 0
「………」
ムーミン大佐の誘いを受け、ルミナは沈黙しながら暫し考え込んだ。
正直言うと、元の世界に戻れるならどっち側につこうが問題は無い。
しかし、この石が元の世界へと戻る鍵であるならば、この石は死守すべき代物である。
だが、この段階でこの目の前にいるムーミン大佐を叩き落し、石を死守するべきか?
それは不可能に近い…先ほどの戦いを見てかぎりでは、ムーミン大佐の実力は相当のものだ。
全力で向かっていっても勝てる可能性が見えない。もし、勝ったとしても満身創意の身でウサコをどうにか出来る自信が無い。

>「ま、待てッ…! “魔”の者の誘いなど…!」
鎧姿の男がこちらに声をかけるが、ルミナは沈黙を続ける。
いや、ルミナもそのことについては重々理解している。

考えが定まったのか、ルミナは先ほど引っ込めた煙草を加えると、浮遊する石に飛び乗った。
「………口説き文句としちゃ物足りねぇが…まぁ良しとするかな」
そう言ってルミナは左手をムーミンに差し出す。

自分の命と石を優先するならば、この方法が一番いい。
とにかく今は虚に虚を重ねてもいいから、この石の近くにいることを優先するべきだ。

106:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/22 18:36:05 O
>>100
>「だが、お前の能力は手で触れなければ効果は無いのだろー?
> だったら……こうするまでだろー」
(―!? やっぱり駄目か!!)
尚攻撃の意思を放棄せず、更に『幻想殺し』に対して、予想であろうが
真実に近い解答と対策を出したウサコに対し、上条の生存本能が警告を鳴らす。
背中に嫌な汗が伝い、この場所から逃げろと伝えてくる。

だが、上条は逃げ出さない。

仮に今上条が此処から逃げ出せば、生き残る可能性はそれなりだろう。
運がよければ、無傷で逃げ切れるかもしれない。
しかし、その時は上条以外の、他の誰かが犠牲になるのだ。
上条当麻という少年は、そんな「幸運」を望んでいない。

「テメエが何を勘違いしてるかは知らないけどな、『手で触れないと駄目』なんて、誰が言った?」

再度、ウサコの推測を混乱させる為にハッタリを言い、
恐怖を意思で捻じ伏せ、意を決し、来るであろう攻撃に対し上条が身構えた瞬間

>「はわっ」
ウサコが、転んだ。

「……は?」
突然の事に上条が呆けた声を上げながらも、ウサコの足元を見るとそこにはアーム状の何かがあった。
どうやら、そのアームがウサコを転倒させた様だ。

そして、そのアームの先には、上条と同年代程の少年の姿が見えた。

この状況で相手をじっくり眺める余裕は無い筈だ。だが、上条は一瞬、その少年と交差した気がした。

>また、今の一撃でも足にもかなりダメージを負ったのか、
>さっと飛び起きることができないでいる。
>千載一遇の好機に見える。
相手の獣耳少女は、先の少年の足払いで足を負傷した様に見える。
それを見た上条は、先の助けてくれた少年や、逃げ出している最中の兵士達に向けて、怒鳴る様な大声で言う。

「怪我してる人達を、頼む!」

そう言うと上条は、地を蹴り、ウサコのいる方向へ再び疾走する。
あの少年が作ってくれた隙を、無駄にしたくはなかった。

ウサコとの距離を詰め、倒れているウサコに対し『幻想殺し』の右掌を向けた上条は告げる。

「アンタの負けだ、降参しろ」

107:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/22 19:29:37 0
>105
石に乗り左手を差し出すルミナにムーミン大佐は笑みを浮かべる。
「賢明な判断感謝するよ。さすがにこれ以上は赤字になりそうなのでね。」
やわらかくルミナの手を握った。
パイプから立ち上る紫煙がルミナの咥えたタバコの先端に絡みつき、火をつける。

>90>92
>「その『石のような物体』を大魔王様に献上すれば、悔しいが手柄はお前のものだろー。
> わたしはこいつ等を始末してから後を追うだろー」
「はははは。臨時ボーナスを期待したいところだね。」
ウサコと一言二言交わしそのまま石と共に上昇していく。
天井付近まで上昇した時、当麻の幻想殺しが炸裂した。

それまで、下の様子を何気に見ていたムーミン大佐の目が見開いた。
「見たかね?今のを・・・!」
思わず隣のルミナに尋ねずにはいられぬ光景。
放たれる直前の超リブレイドが消されてしまったのだ。
そこにまったく魔力の流れはない。
この流れがないことこそ、ムーミン大佐を驚愕させた事だった。
相手のエネルギーを消滅させる手段は難しくはあるが可能だ。
大別すると、拡散させるか、吸収するか、だ。
しかし、当麻が行った行為はどちらでもない。
唐突にエネルギーが消滅してしまったのだから。

恐るべき能力に戦慄を覚えながらも、助けにはいることはなかった。
なぜならば、それでもウサコの勝利を疑っていないからだ。
魔法を無力化させられたとて、それだけで勝てるほどウサコは甘い相手ではない。
それに、もはや地下室は崩壊寸前。
ウサコには空間転移があるので崩壊しても問題ないだろうが、相手はそうも行くまい、という事もある。

戦いの結末を見ずに、石はフェルの龍が穿った縦穴を上昇していく。
「やれやれ、彼の技はパワーはあるが、いかんせん大味なのが欠点だな。」
縦穴を上昇し始めてしばらくすると、上のほうから大きな岩が落ちてくる。
それに向かい、ムーミン大佐はステッキを振るう。
するとステッキは鞭のように伸び、岩を削り粉砕した。

降ってくる瓦礫や岩を打ち砕きながら上昇を続け、ついに地上に出ることに成功した。
「ご苦労、サンドマン。」
地上に出ると、ステッキは見る間に縮み元に戻っていく。
間近で見ていたルミナには判っただろう。
縮む時に見えた独特な模様なものと音から、ステッキ自体が伸びていたのではない、と。
ステッキは磁気を帯びており、そこに砂鉄を這わせ鋭く振ることによってあらゆるものを削り取る鉄の鞭としていたことを。
そして、もし誘いを断っていたらそれは自分に向けられていただろう事も。

108:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/22 19:29:42 0
地上に出ると、上空には巨大な竜が舞っていた。
竜といっても、骨だけのスケルトンドラゴンであるが・・・
肋骨の部分に石ごとムーミン大佐とルミナを収容し、飛び立っていく。
「さて、ゆっくりとシガーを楽しもうじゃないか。なかなかの眺めだろう?
別に味方になってくれなくても結構なのだよ?敵対さえしなければ、ね。」
ムーミン大佐はくつろぎながら煙をくゆらせ、ルミナに語る。

この世界の者達は別世界から一定以上の力を持つ者を助っ人として召喚している。
【誰を】召喚するのではなく、【一定の力を持つ者を】召喚しているのだ。
相手の都合や意思は一切関係なく。
手当たりしだい召喚しているので、それぞれがどんな世界からやってくるかまで彼らも把握していないのだ。
それは元の世界に変える手段がないも同然だった。
「しかし、召喚媒体となったこの石にはそれぞれの世界の座標が記憶されているかもしれない。
私が君を誘ったのは、あの状況で石の分析を最優先にしたその見識を見込んでなのだよ。
解析に協力することは君が元の世界に戻る近道になるだろうさ。」
そう、ムーミン大佐から言えば、他者との関係は三つしかない。
敵・味方・無関係、だ。
敵でさえなければ手を出す理由はない。
無関係ならば元の世界に戻してしまえばいい。その為に協力はしてもらうが・・・

そういいながらムーミン大佐は思い浮かべる。
元の世界に戻るためのもう一つの鍵。
異世界を繋ぐ術を持つ者。
魔王軍が追っているダークエルフの存在を。

109: ◆/Q.vnlAVN.
08/01/22 22:23:02 0
>>96>>106
上条当麻が右掌をウサコに向けたその時だった。
突如部屋の中に一匹の白い鷲が通常のものより少し大きめな宝箱を持って入ってきた。
そしてその鷲は大魔道士ポップの前に宝箱を落とすと、
なんと上条当麻の後頭部に蹴りを一発くらわせると遠くへと飛んでいった。
ポップの前に置かれた宝箱には一言『この世界を守る勇者様へ』と掘られている。

110:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/22 23:21:24 O
--夢を見ていた。
それは、この世界に呼び出される前の事。

私…聖印騎士ランカムは、法王庁直属の聖印騎士団に属する騎士である。
神を信じ…、法王庁を信じ…、目に見える世界だけを信じてきた。
…だが、それは“事件”を境に揺らぎ始めた。
我々、聖印騎士団は、カルト教団の根城となった廃都市へと、足を踏み入れた。
--簡単な仕事だと思った。

仲間が、何も無い空間から生じた炎に焼かれ、一握りの灰になった。
仲間が、爛れた皮膚から骨の覗く死体に、生きたまま臓腑を引きずり出された。
そこで見た物は、世界の理を歪曲する“魔法”
あらゆる既知の生物を越えた“モンスター”
仲間は次々に減っていった。
そして私は行軍の途中、仲間達とはぐれ、この世界に呼び出された。

--どこか遠くで、誰かが囁いた気がした。
≪殺せ≫
--誰だ?

「ほ…ほっちゃ……んん?」
間抜けな声を挙げ、私は意識を取り戻した。
気を失っていた時間は、短かったようだ。
何か夢を見ていたような気もするが、思い出せない。
段々と思考が明瞭になってくると、自分が誰かの背中にいる事に気がついた。
「す、すみません…」
彼は…そうだ。気絶する間際、回復薬を渡した男だ。
彼も万全ではないのに、自分を気遣ってくれたのだろう。
細身とは言え、全身鎧はかなりの重量の筈。
助けるはずの相手の足手纏いとなっていれば、世話はない。

「私はもう、歩けます。…私はランカム、あなたは? 現状は…」
少しふらついたが、心配をかけまいと気を張り、しっかりと立ってみせる。

111:大魔道士ポップ ◇bTJ1y4hkoYの代理投稿
08/01/23 00:09:55 0
>>106
狙い通り、ブラックロッドでウサコを転ばせることができた。
「よっしゃあ!」
その時、上条が一瞬こちらを見る。
ポップは親指を立てる。見えたかどうかは分からないが、意思は伝わったような気がした。
>「怪我してる人達を、頼む!」
「おっしゃあああ!」
どこにそんな元気があったのやら、ポップは急にしゃきんと立ち上がって走り出した。
仲間がいれば、ポップはどこまでも頑張れるのだ。
部屋を駆け回り、手当たり次第に魔術師達を引っ掴んでは引き摺り、一箇所に集めていく。
視界の端にはウサコを追い詰める上条の姿が見えた。

ウサコは上条に任せるとして、ポップは本格的に逃げ出す方法を考えねばならなかった。
全員を連れて逃げ出す方法があるとすれば一つ、瞬間移動呪文(ルーラ)だけだ。
これは術者と周囲の仲間を光で包み、高速で飛行して目的地に向かう呪文である。
空を飛んでいくため本来地下では使えないのだが、ここでは幸いにもフェルの龍が空けた大穴があった。
「おーい、兄ちゃん達!今からじゃ多分地上まで間に合わねえ、こっちに集まってくれ!俺に考えがある!」
ランカムとフェルにも声を掛ける。

ただ、この作戦にも二つ問題がある。
もう空っぽに近い魔法力が地上まで足りるかどうかと、上昇中に降って来る瓦礫や落石をかわせるかどうかだ。
しかし他に方法がない以上、その辺りは何とか頑張るしかない。
「げっ!」
その時ポップの足が止まった。
もっと重大な、致命的な問題があることに気付いたのだ。
ルーラは一度行った事のある場所を思い浮かべてから発動する呪文だ。
しかしポップはまだこの世界のどこにも行ったことがない。ルーラを唱えてもここに戻ってくるしかないのだ。

おそらく、もう急いでも地上まで全員は連れ出せない。
万事休すか。
ポップの脳裏に絶望が過ぎりかけたその時だった。

>>109
どこからともなく現れた白い翼。
純白の鷲だ。
「な、なんだぁ?」
鷲は大きめの宝箱を携えていた。それをポップの前に落とす。
そして何故か上条を蹴飛ばし、またどこかへ飛び去っていった。
ポップは少し呆然と見送ってから、正面の宝箱に目を落とす。
>『この世界を守る勇者様へ』
見るからに期待が沸いてくる文句だ。これはきっとこの世界の神が勇者を助けるために寄越した秘宝に違いない。
そうならば間違いなくこの現状を打破できるはずだ。
絶望に塗りつぶされかけていた心を、一気に希望が彩る。
「神様仏様天使様!サンキューな!代わりに世界はきっと守ってやるぜえっ!」
ポップは勢いよく宝箱の蓋を開いた。


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