【版権あり】召喚戦士達の戦い【TRPG】at CHARANETA2
【版権あり】召喚戦士達の戦い【TRPG】 - 暇つぶし2ch100:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/21 03:17:10 0
>95
拳を放ちながら横目で見ていたが、敢えて彼を見送った。
立ち向かわないものは、いつでも殺せるものと油断しているのだ。
それよりも厄介なのは、目の前に居る、得体の知れぬ能力を持った少年だった。

>99
かわされた!目の前の相手に最も有効だと思っていた攻撃だっただけに、ウサコは焦った。
「むむむ、確かにお前の力は認めてやろう。
 お前の魔法無効化能力も、私の魔法とは相性が悪いだろー」
ウサコは科学の常識の外側に居る『非常識』だ。
『幻想殺し』。その言葉は、ウサコに激しいプレッシャーを与えた。
もし相手の能力が、単なる魔法無効化ではなく、『常識』の外側のモノ全てに効果を発揮するとしたら?
ウサコは思わず身震いし、たじろいた。
それでも闘志は消えてはいないようだが、かなり怯えの色が見える。

「だが、お前の能力は手で触れなければ効果は無いのだろー?
 だったら……こうするまでだろー」
『ヴォーテックス』の詠唱時間は、全ての攻撃呪文の中でも特に短い。
適切な距離をとれば、呪文の詠唱を完成させることができるかも知れない。
少し厳しいが、相手の反射神経を超える速度で打ち出せるなら、この敵を仕留められよう。
そう考えて、すぐに空間転移で距離を離そうとしたが……

>96
ウサコは空間転移ができるとはいえ、非常に反応が鈍い。
回避能力はスライムやゾンビよりも低い(※)という、信じられない運動音痴である。
『リブレイド』はおろか、重装備でフラついているような戦士の大振りな攻撃ですら避けられない。
しかも、先のダークバリアーは魔法攻撃にしか効力を発揮しない防御魔法だ。
つまり、ウサコは肉弾戦ではほぼノーガードという訳ことになる。

「はわっ」
そのため、このように、足払いなんかには簡単に引っかかる。空間転移を行う前に転んでしまった。
ウサコは仰向けに倒れ、背中を思い切り強く打った。
先ほど、カイザーフェニックスで多少ダメージを負ったうえ、『ヴォーテックス』を撃つときに生命力を消耗している。
見た目はそれほどでもないが、実はかなり消耗している。
また、今の一撃でも足にもかなりダメージを負ったのか、さっと飛び起きることができないでいる。
千載一遇の好機に見える。

101:名無しになりきれ
08/01/21 19:17:36 0
そこでほちゃんがウサコの首を飛ばす!!

102:名無しになりきれ
08/01/21 20:18:34 O
という夢を見たのだった

103:名無しになりきれ
08/01/21 20:57:21 0
ここでほっちゃんの反撃だ!

104:名無しになりきれ
08/01/21 23:48:28 0
これ置いておくは
つ【RPG銃】

105:東條ルミナ ◆Yw2bVAsGtA
08/01/22 01:32:10 0
「………」
ムーミン大佐の誘いを受け、ルミナは沈黙しながら暫し考え込んだ。
正直言うと、元の世界に戻れるならどっち側につこうが問題は無い。
しかし、この石が元の世界へと戻る鍵であるならば、この石は死守すべき代物である。
だが、この段階でこの目の前にいるムーミン大佐を叩き落し、石を死守するべきか?
それは不可能に近い…先ほどの戦いを見てかぎりでは、ムーミン大佐の実力は相当のものだ。
全力で向かっていっても勝てる可能性が見えない。もし、勝ったとしても満身創意の身でウサコをどうにか出来る自信が無い。

>「ま、待てッ…! “魔”の者の誘いなど…!」
鎧姿の男がこちらに声をかけるが、ルミナは沈黙を続ける。
いや、ルミナもそのことについては重々理解している。

考えが定まったのか、ルミナは先ほど引っ込めた煙草を加えると、浮遊する石に飛び乗った。
「………口説き文句としちゃ物足りねぇが…まぁ良しとするかな」
そう言ってルミナは左手をムーミンに差し出す。

自分の命と石を優先するならば、この方法が一番いい。
とにかく今は虚に虚を重ねてもいいから、この石の近くにいることを優先するべきだ。

106:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/22 18:36:05 O
>>100
>「だが、お前の能力は手で触れなければ効果は無いのだろー?
> だったら……こうするまでだろー」
(―!? やっぱり駄目か!!)
尚攻撃の意思を放棄せず、更に『幻想殺し』に対して、予想であろうが
真実に近い解答と対策を出したウサコに対し、上条の生存本能が警告を鳴らす。
背中に嫌な汗が伝い、この場所から逃げろと伝えてくる。

だが、上条は逃げ出さない。

仮に今上条が此処から逃げ出せば、生き残る可能性はそれなりだろう。
運がよければ、無傷で逃げ切れるかもしれない。
しかし、その時は上条以外の、他の誰かが犠牲になるのだ。
上条当麻という少年は、そんな「幸運」を望んでいない。

「テメエが何を勘違いしてるかは知らないけどな、『手で触れないと駄目』なんて、誰が言った?」

再度、ウサコの推測を混乱させる為にハッタリを言い、
恐怖を意思で捻じ伏せ、意を決し、来るであろう攻撃に対し上条が身構えた瞬間

>「はわっ」
ウサコが、転んだ。

「……は?」
突然の事に上条が呆けた声を上げながらも、ウサコの足元を見るとそこにはアーム状の何かがあった。
どうやら、そのアームがウサコを転倒させた様だ。

そして、そのアームの先には、上条と同年代程の少年の姿が見えた。

この状況で相手をじっくり眺める余裕は無い筈だ。だが、上条は一瞬、その少年と交差した気がした。

>また、今の一撃でも足にもかなりダメージを負ったのか、
>さっと飛び起きることができないでいる。
>千載一遇の好機に見える。
相手の獣耳少女は、先の少年の足払いで足を負傷した様に見える。
それを見た上条は、先の助けてくれた少年や、逃げ出している最中の兵士達に向けて、怒鳴る様な大声で言う。

「怪我してる人達を、頼む!」

そう言うと上条は、地を蹴り、ウサコのいる方向へ再び疾走する。
あの少年が作ってくれた隙を、無駄にしたくはなかった。

ウサコとの距離を詰め、倒れているウサコに対し『幻想殺し』の右掌を向けた上条は告げる。

「アンタの負けだ、降参しろ」

107:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/22 19:29:37 0
>105
石に乗り左手を差し出すルミナにムーミン大佐は笑みを浮かべる。
「賢明な判断感謝するよ。さすがにこれ以上は赤字になりそうなのでね。」
やわらかくルミナの手を握った。
パイプから立ち上る紫煙がルミナの咥えたタバコの先端に絡みつき、火をつける。

>90>92
>「その『石のような物体』を大魔王様に献上すれば、悔しいが手柄はお前のものだろー。
> わたしはこいつ等を始末してから後を追うだろー」
「はははは。臨時ボーナスを期待したいところだね。」
ウサコと一言二言交わしそのまま石と共に上昇していく。
天井付近まで上昇した時、当麻の幻想殺しが炸裂した。

それまで、下の様子を何気に見ていたムーミン大佐の目が見開いた。
「見たかね?今のを・・・!」
思わず隣のルミナに尋ねずにはいられぬ光景。
放たれる直前の超リブレイドが消されてしまったのだ。
そこにまったく魔力の流れはない。
この流れがないことこそ、ムーミン大佐を驚愕させた事だった。
相手のエネルギーを消滅させる手段は難しくはあるが可能だ。
大別すると、拡散させるか、吸収するか、だ。
しかし、当麻が行った行為はどちらでもない。
唐突にエネルギーが消滅してしまったのだから。

恐るべき能力に戦慄を覚えながらも、助けにはいることはなかった。
なぜならば、それでもウサコの勝利を疑っていないからだ。
魔法を無力化させられたとて、それだけで勝てるほどウサコは甘い相手ではない。
それに、もはや地下室は崩壊寸前。
ウサコには空間転移があるので崩壊しても問題ないだろうが、相手はそうも行くまい、という事もある。

戦いの結末を見ずに、石はフェルの龍が穿った縦穴を上昇していく。
「やれやれ、彼の技はパワーはあるが、いかんせん大味なのが欠点だな。」
縦穴を上昇し始めてしばらくすると、上のほうから大きな岩が落ちてくる。
それに向かい、ムーミン大佐はステッキを振るう。
するとステッキは鞭のように伸び、岩を削り粉砕した。

降ってくる瓦礫や岩を打ち砕きながら上昇を続け、ついに地上に出ることに成功した。
「ご苦労、サンドマン。」
地上に出ると、ステッキは見る間に縮み元に戻っていく。
間近で見ていたルミナには判っただろう。
縮む時に見えた独特な模様なものと音から、ステッキ自体が伸びていたのではない、と。
ステッキは磁気を帯びており、そこに砂鉄を這わせ鋭く振ることによってあらゆるものを削り取る鉄の鞭としていたことを。
そして、もし誘いを断っていたらそれは自分に向けられていただろう事も。

108:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/22 19:29:42 0
地上に出ると、上空には巨大な竜が舞っていた。
竜といっても、骨だけのスケルトンドラゴンであるが・・・
肋骨の部分に石ごとムーミン大佐とルミナを収容し、飛び立っていく。
「さて、ゆっくりとシガーを楽しもうじゃないか。なかなかの眺めだろう?
別に味方になってくれなくても結構なのだよ?敵対さえしなければ、ね。」
ムーミン大佐はくつろぎながら煙をくゆらせ、ルミナに語る。

この世界の者達は別世界から一定以上の力を持つ者を助っ人として召喚している。
【誰を】召喚するのではなく、【一定の力を持つ者を】召喚しているのだ。
相手の都合や意思は一切関係なく。
手当たりしだい召喚しているので、それぞれがどんな世界からやってくるかまで彼らも把握していないのだ。
それは元の世界に変える手段がないも同然だった。
「しかし、召喚媒体となったこの石にはそれぞれの世界の座標が記憶されているかもしれない。
私が君を誘ったのは、あの状況で石の分析を最優先にしたその見識を見込んでなのだよ。
解析に協力することは君が元の世界に戻る近道になるだろうさ。」
そう、ムーミン大佐から言えば、他者との関係は三つしかない。
敵・味方・無関係、だ。
敵でさえなければ手を出す理由はない。
無関係ならば元の世界に戻してしまえばいい。その為に協力はしてもらうが・・・

そういいながらムーミン大佐は思い浮かべる。
元の世界に戻るためのもう一つの鍵。
異世界を繋ぐ術を持つ者。
魔王軍が追っているダークエルフの存在を。

109: ◆/Q.vnlAVN.
08/01/22 22:23:02 0
>>96>>106
上条当麻が右掌をウサコに向けたその時だった。
突如部屋の中に一匹の白い鷲が通常のものより少し大きめな宝箱を持って入ってきた。
そしてその鷲は大魔道士ポップの前に宝箱を落とすと、
なんと上条当麻の後頭部に蹴りを一発くらわせると遠くへと飛んでいった。
ポップの前に置かれた宝箱には一言『この世界を守る勇者様へ』と掘られている。

110:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/22 23:21:24 O
--夢を見ていた。
それは、この世界に呼び出される前の事。

私…聖印騎士ランカムは、法王庁直属の聖印騎士団に属する騎士である。
神を信じ…、法王庁を信じ…、目に見える世界だけを信じてきた。
…だが、それは“事件”を境に揺らぎ始めた。
我々、聖印騎士団は、カルト教団の根城となった廃都市へと、足を踏み入れた。
--簡単な仕事だと思った。

仲間が、何も無い空間から生じた炎に焼かれ、一握りの灰になった。
仲間が、爛れた皮膚から骨の覗く死体に、生きたまま臓腑を引きずり出された。
そこで見た物は、世界の理を歪曲する“魔法”
あらゆる既知の生物を越えた“モンスター”
仲間は次々に減っていった。
そして私は行軍の途中、仲間達とはぐれ、この世界に呼び出された。

--どこか遠くで、誰かが囁いた気がした。
≪殺せ≫
--誰だ?

「ほ…ほっちゃ……んん?」
間抜けな声を挙げ、私は意識を取り戻した。
気を失っていた時間は、短かったようだ。
何か夢を見ていたような気もするが、思い出せない。
段々と思考が明瞭になってくると、自分が誰かの背中にいる事に気がついた。
「す、すみません…」
彼は…そうだ。気絶する間際、回復薬を渡した男だ。
彼も万全ではないのに、自分を気遣ってくれたのだろう。
細身とは言え、全身鎧はかなりの重量の筈。
助けるはずの相手の足手纏いとなっていれば、世話はない。

「私はもう、歩けます。…私はランカム、あなたは? 現状は…」
少しふらついたが、心配をかけまいと気を張り、しっかりと立ってみせる。

111:大魔道士ポップ ◇bTJ1y4hkoYの代理投稿
08/01/23 00:09:55 0
>>106
狙い通り、ブラックロッドでウサコを転ばせることができた。
「よっしゃあ!」
その時、上条が一瞬こちらを見る。
ポップは親指を立てる。見えたかどうかは分からないが、意思は伝わったような気がした。
>「怪我してる人達を、頼む!」
「おっしゃあああ!」
どこにそんな元気があったのやら、ポップは急にしゃきんと立ち上がって走り出した。
仲間がいれば、ポップはどこまでも頑張れるのだ。
部屋を駆け回り、手当たり次第に魔術師達を引っ掴んでは引き摺り、一箇所に集めていく。
視界の端にはウサコを追い詰める上条の姿が見えた。

ウサコは上条に任せるとして、ポップは本格的に逃げ出す方法を考えねばならなかった。
全員を連れて逃げ出す方法があるとすれば一つ、瞬間移動呪文(ルーラ)だけだ。
これは術者と周囲の仲間を光で包み、高速で飛行して目的地に向かう呪文である。
空を飛んでいくため本来地下では使えないのだが、ここでは幸いにもフェルの龍が空けた大穴があった。
「おーい、兄ちゃん達!今からじゃ多分地上まで間に合わねえ、こっちに集まってくれ!俺に考えがある!」
ランカムとフェルにも声を掛ける。

ただ、この作戦にも二つ問題がある。
もう空っぽに近い魔法力が地上まで足りるかどうかと、上昇中に降って来る瓦礫や落石をかわせるかどうかだ。
しかし他に方法がない以上、その辺りは何とか頑張るしかない。
「げっ!」
その時ポップの足が止まった。
もっと重大な、致命的な問題があることに気付いたのだ。
ルーラは一度行った事のある場所を思い浮かべてから発動する呪文だ。
しかしポップはまだこの世界のどこにも行ったことがない。ルーラを唱えてもここに戻ってくるしかないのだ。

おそらく、もう急いでも地上まで全員は連れ出せない。
万事休すか。
ポップの脳裏に絶望が過ぎりかけたその時だった。

>>109
どこからともなく現れた白い翼。
純白の鷲だ。
「な、なんだぁ?」
鷲は大きめの宝箱を携えていた。それをポップの前に落とす。
そして何故か上条を蹴飛ばし、またどこかへ飛び去っていった。
ポップは少し呆然と見送ってから、正面の宝箱に目を落とす。
>『この世界を守る勇者様へ』
見るからに期待が沸いてくる文句だ。これはきっとこの世界の神が勇者を助けるために寄越した秘宝に違いない。
そうならば間違いなくこの現状を打破できるはずだ。
絶望に塗りつぶされかけていた心を、一気に希望が彩る。
「神様仏様天使様!サンキューな!代わりに世界はきっと守ってやるぜえっ!」
ポップは勢いよく宝箱の蓋を開いた。

112:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/23 02:49:03 0
>106
「降伏だって?冗談じゃない。
 そんなことしたら、今この場で殺されてしまうかも知れない。
 大魔王様は恐ろしい御方だろー」
第八世界を狙う魔王の多くは、本来は裏界に封印されている。
地上に現われるのは劣化コピーとも言うべき移し身だ。
だが、その移し身が倒されると、本体の力も大きく削がれることになる。
その場では滅びこそしないが、裏界では常に権力争いが絶えず、よほど強大な魔王でない限りは下克上もよくあるので、事実上致命的である。
「それに、それで私を追い詰めたつもりなら、勘違いもいいとこだろー。
 私の能力を見なかった訳ではないだろー?」
この魔王は空間転移を行うことができる。今この体勢からでも。

>109
そこに、何か鷹のようなものも近付いてきている。
この鷹の動き次第では、逃亡のチャンスくらいはあるかもしれないと考えている。
例えば襲いかかるとか。
だが、逃げた後は?そんな事は考えてはいない。
「さらばだ。また会う日もあるだろー」

113:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/23 21:11:23 0
>>112
>「降伏だって?冗談じゃない。
>そんなことしたら、今この場で殺されてしまうかも知れない。
>大魔王様は恐ろしい御方だろー」

「だい、まおう?」
ウサコに掌を突きつけたまま、上条は怪訝な声を出す。
上条のいた世界において、魔王という物はゲームやオカルトな昔話の産物で
現実的な物ではない。少なからずそのオカルト側に関わってきて、天使や
吸血鬼といったものの存在の端くらいには触れた事のある上条だが、やはり
その存在は認知していなかった。
(魔王っつうと、あの神話とかに出てくる奴だよな?
 なら、やっぱりこいつは魔術側の人間って事なのか?けど、魔術師は
 教会を信仰してる奴らなんじゃあ……)
疑問への思索と推測を重ねながらも、上条は全集中力をウサコに向けている。

>「それに、それで私を追い詰めたつもりなら、勘違いもいいとこだろー。
>私の能力を見なかった訳ではないだろー?」
(こいつ、長距離移動も出来るのか!?)
次のウサコの台詞に、上条は小さく舌打ちをする。先の使い方からウサコのテレポートは
短距離移動の能力なのかと思っていたが、それは大きく外れた推測だった様だ。
そして理解する。この状況を維持していても、建物が崩れれば上条は
巻き込まれて終わりだという事を。

114:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/23 21:12:48 0
ここで上条に取ることの出来る選択肢は二つ。
一つ目は、このままの体制で瓦礫に押しつぶされる事。
二つ目は、幻想殺しで霊装を破壊し、ウサコを無力化して此処から脱出する事。

一つ目は却下。ここで上条が死んでも、ウサコは脱出し他の人たちに襲いかかれる。
可能性は消えない。そうなってしまえば、上条の行為は無駄死にに等しい。
二つ目、ウサコを倒す事も出来(上条はウサコが霊装で魔術を用いていると思っている)、無事
脱出する可能性もある手段だ。これは最良の策と言えるだろう。だが

(馬鹿か俺は!ここでコイツを犠牲にしたら、意味無いだろうが!!)

上条は、自分の中に浮かびかけた答えを即座に打ち消す。
確かに最も確実な手段だ。だが、それをすれば、恐らくウサコは瓦礫の下敷きになり、
重量と圧力の犠牲になってしまうだろう。
上条には、誰かを犠牲にする事で誰かを助けるという発想は無い。
ましてや、ウサコが何故こんな事をしているのか解らないならば尚更だ。
願うのは、誰も倒れる事のないハッピーエンド。
だから、上条は三つ目の選択肢を選んだ。
そして、ウサコに告げる

「来い!アンタを逃がす気はねえけど、見殺しにするつもりもない!」

上条の選択、それは、ウサコの霊装を破壊し、彼女を担いで此処から脱出する事。
上条が幻想殺しで礼装を破壊、或いはウサコに触れていれば、ウサコはテレポートを封じられ、
ここから脱出して逃げた人々を襲う事も、魔術で上条を攻撃する事も不可能になるだろう。
可能性の低い選択肢だが、それは決して不可能では無い筈だ。
そう考え、上条が幻想殺しではない左手をウサコに伸ばすと

>>109
「んなっ!!?」
突如、上条の後頭部に衝撃が加わり、上条は前のめりに倒れてしまった。
ウサコの挙動へ精神を集中させていた為、上条は鷲の接近に全く気付けなかったのだ。
「~~!? な、なんだよ今の……は……?」
そこまで言って、倒れた上条は妙な胸騒ぎを覚え、自分の状況を確認する。

Q1.『さっきまで上条はどこに立っていた?』
A.【倒れているウサコの目の前】

Q2.『そこで後ろから打撃を受ければどうなる?』
A.【倒れて、押し倒す様な姿勢に見える】

Q3.『左手にある感触は?』
A.【柔らかい】

冷や汗が流れ、体がブルブル震える。上条の生存本能が、先程とは別の種類で、
かなり慣れ親しんでしまっているソレが、警鐘を鳴らしまくっている。

「ふ、不幸だ……」

上条は、無意識に口癖であるその言葉を漏らしていた。

115:リーベル ◇fbsB0QAAho
08/01/23 21:47:22 0

魔王軍に攻め入られたオロッパス、その戦の光景を一望できる場所に
一つの影があった。神々の時代、闇を信奉し暗黒の使徒となった
黒き妖精、ダークエルフであった。まるで絵画から飛び出して来たかのような
神秘的な美しさはその存在の儚さをも表しているよう。
真紅の瞳には憂いと悲哀が浮かび、戦で失われる命の多さに目を背けがちだ。

リーベルは長らく魔王軍に追われている。その追っ手は回を重ねる毎に
質が高まり、数が増え、執拗になり、一人で捌くのも限界に近かった。
今までは自分に関わる事で人が犠牲になったり、情が移ってそれを利用されたり
するのを恐れて逃げ回っていたが、捕まってしまったら今より更に酷い事が起きる。
最悪なのは儀式魔法の知識だけを抜き取られて殺されてしまうこと……
少なくとも、現状では自分の死はそれだけで済まないのだ。どうあっても死ねない。

>107-108
思えば、トロルと言うことでつい昔を思い出して
気を許したのが間違いだった。うっかり口を滑らせてしまった時の
あのトロル……ムーミンと名乗った、奴の表情は今も忘れられない。
不安は的中し、次の日には魔王軍が私の知識と力を狙ってやってきた。
あの日のあの場にはムーミン以外にも何人かいたし、奴が言ったのでは
ないのかも知れないし、いまさら言った所で、またいくら奴を呪おうがそれで私の
迂闊さが帳消しになるわけではないのだから……気は進まないが、戦うしかない。
そう、不毛にして不当な命の奪い合いをしなければならない……

「……フッ、フフフ……戦が嫌い、か。だから私は裏切り者と呼ばれる。
 命は、殺し合うために生まれてくるのじゃないのにね……んっ、これは……
 いるわ、あそこに。まだ戦ってる……今行けば、まだ間に合う。」
戦場の喧騒に消されかかってたわずかな音に気づき、
急ぎ光の精霊ウィル・オ・ウィスプを召喚する。
「私の姿を隠してくれる?そう、少しの間で構わないの……ありがとう。」
ウィスプの力を借りて姿を隠し、崖を駆け下りて城へと向かう。
風の精霊シルフの力で、先程から戦場を飛び交う様々な『声』を拾っていた。
地上へと通じる大穴が開いたことで地下からも『声』が聞こえるようになったのだ。
地下の声はまだ生存者がいて戦っていることを教えてくれるものだった。
そこに絞って集めた音から、かなりの実力者同士の戦いらしいとも――。
一縷の望みと多くの不安を胸に、リーベルは不可視状態で戦場を駆ける。

116:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/23 22:30:52 0
>>110-111
「す、すみません」
どうやら俺の背負っている男が目を覚ましたらしい。
男は俺の背中から降りるとふらついてはいるものの立つ。
「私はもう、歩けます。…私はランカム、あなたは? 現状は…」
「……フェル・エクスティム。現状?見れば分かるだろう。
 ここから逃げないと生き埋めになるぞ。」
そう言った瞬間、出口が崩れ落ちる!最悪の事態だ!
チッ、黙って俺に背負われていれば下らん時間など取らなかったものを!
クッ、仕方が無い。違う出口を探すしかないか…
「おーい、兄ちゃん達!今からじゃ多分地上まで間に合わねえ、こっちに集まってくれ!俺に考えがある!」
バンダナの男が叫ぶ。どうやらここから出る方法とやらがあるらしい。
まあ、どのみち八方塞だ。この際少しでも可能性があるのならばそれに掛けるしかあるまい。
「………チッ、行くぞ…あいつに良い考えがあるらしい。」
そうだ、今はあいつの考えに乗るしかない。だが…屈辱だ!!
今日というこの日は屈辱の連続だ!他人に頼っている時点で俺は既に弱者。
さっき薬を俺に投げられたことも、こうして逃げる方法を違う奴に頼るのも…全て俺が弱いからに起因している!!
俺がもっと圧倒的に強かったらそもそもムーミン大佐に無様に負け、しかも情けを受けることもなかった!
「くそっ!!なぜ俺はこんなに弱い!!くそぉっ!!」

自らへの怒りに震えながらバンダナのとこまで行くと鷲が宝箱を持って飛んでくる。
落とした宝箱には『この世界を守る勇者様へ』と書いてある。
「これがお前のいうここから出ることができるものなのか!?」
>「神様仏様天使様!サンキューな!代わりに世界はきっと守ってやるぜえっ!」
そう言ってバンダナは宝箱を勢いよく開ける、
何が入っていても今の俺達はそれにすがるしかあるまい……
「だが覚えていろ…ここを出たら強くなってやる。首を洗って待っているがいいムーミン大佐!!」


117:パラシエル ◆/Q.vnlAVN.
08/01/24 00:41:28 0
>111
ポップが宝箱を勢いよく開けるとそこにはただ暗闇が広がっていた。
闇、闇、闇、真っ黒な闇。
そして2、3秒間を開けてから、闇から一つか細い綺麗な声がポップに問いかけた。

「貴様が勇者か?」

その問いの答える間も与えず次の瞬間ぬっと暗闇から二本の白い手首が出て宝箱の縁を掴む。
細く貧弱でとても戦闘に使えそうにないその手に力がぐっと入ると次の瞬間無表情な子供の顔がぬっと出てきた。
そして次の瞬間宝箱の中からぴょんっと飛び出てくる。
見た目13くらいのその美少年と言っても過言ではないその子供は、黒いワンピースを着ており着地ど同時にふわりと揺れた。

「ふう・・・実に窮屈な宝箱であった。」

そう一言言うとその少年は軽くスカートを叩いた。
見た感じではこの状況を打開できるような感じはない、無論雰囲気も大物めいた感じでもなければ、
殺気もやる気の有無も何も感じない。
ただひたすら無の状態のその少年はぐるんとポップを見、鼻を二、三回ひくつかせた。

「ずいぶんと小便臭い餓鬼だな僕様の名はパラシエルこの世の宝を司る天使様だ。
天界の神から命令があったものでなわざわざ下等生物共を守りに異世界からやってきた糞餓鬼共のサポートに来てやった。」

ポップを見つめながら、暴言混じりに早口でしかも息継ぎほぼ無しで自己紹介をし終える。
少年は天使を名乗るが少年には翼もなにもない。
パラシエルはポップの近くに居る負傷者に目をやった。

「さて、文句質問等は今の状況を打開してからにしよう。
話は宝箱の中で聞かせて貰った。だからやる事はわかっている。」

パラシエルはまたもや早口で言うと今度は目を閉じ指笛を吹いた。
すると先ほどパラシエルを運んできた鷲が再度Uターンして戻ってきた。
今度は見事にウサコと上条を避けきり、パラシエルの前に止まる。
するとぐんぐんと大きくなり、人二人分を乗せられる大きさになると次の瞬間負傷者達を頭から次々と飲み込んでいった。

「安心しろ。この鷲は僕様の優秀な翼。少しばかるこの荷物共を胃の中で治療してやるだけだ。
まあ代償として魔力は根こそぎ吸われるだろうがそれくらいどうって事もないだろう。」

そう言うとパラシエルは鷲に乗りポップの手を掴んだ。

「ほれ、とっとと行くぞ。間違っても振り落とされるなよ、餓鬼。」

そして青い空を目指し白い鷲を発射させる。

118:名無しになりきれ
08/01/24 00:42:28 0
.

119:異次元魔王ウサコ ◆svDXdcR9Gw
08/01/24 01:07:09 0
>113-114
「……魔王に情けをかけるウィザードなんて、初めてだろー」
何とも言いがたい表情を見せた。
普通、魔王の不倶戴天の敵たるウィザードはこちらに情けをかけないし、魔王もまた敵に情けはかけない。
そのとき、上条の手がウサコの胸に触れた。薄い。揉むほどは無い。
「な、何をするー。そういうことは大魔王様にやった方が良いだろー。
 大魔王様の方がふかふかふかで気持ちいいぞー」
胸を揉まれたウサコの反応は、一切の色気が無い。
そう、ウサコは魔王の中でも特に色気に欠ける部類に入る。
恐らく、ファミ通文庫から出ている『赤い月の巫女』でボスキャラを務めた、あの魔王アスモデート(男、イケメン)よりも色気が無い。

「あっ」
そうこうしているうちに、影がさし、辺りが少し暗くなった。
仰向けに倒されているウサコには見えている。
大きな瓦礫が、すぐそこまで迫っている!
「私は一足先におさらばだろー。他人の胸を気安く触りよった罰を嘆いて死ぬがよい」
ふっとウサコが消失した。

120:大魔王城の様子 ◆svDXdcR9Gw
08/01/24 02:21:53 0
密偵がオロッパス方面の戦況の報告をするために、大魔王の居城にやってきたのは、
ウサコが空間転移で行方をくらました直後だった。
大魔王の玉座の間は、大理石の床に赤い絨毯が敷かれているように見える。
「大魔王様はお休みになられている。要件は私が取り次ごう」
密偵に応対したのは、大魔王の直属の部下と思しき、インコに似た怪鳥だった。
その場には、魔王軍の将軍や、食客と思しき者達も集まっており、密偵の報告に静かに耳を傾けている。

玉座の周囲にはカーテンがかけられており、そこには大魔王のシルエットが映っていた。
しかし、それはきわめて奇妙な形のシルエットで、その姿を想像することは難しい。

大魔王の姿を直接見た者は、ごく限られた者だけだと言われている。
此処に集まっている者達でも、実際に姿を見た者は少ない。

「報告いたします。
 オロッパス城地下にて、ムーミン大佐が『石のような物体』の確保に成功したとのこと」
密偵がまず報告したのは、ムーミン大佐の活躍についてだった。
側近達は『石のような物体』の重要性をよく理解しているようで、歓声をあげる者も居た。
「なるほど、それは吉報だ。して、ウサコの方は?」
「は、それが……この映像をご覧ください」
密偵は投影魔術で密かに撮影していたのだろう。戦いの一部始終を収めた映像を見せた。
『大魔王様の方がふかふかで気持ちいいぞー』
ウサコが上条に胸を揉まれて、そんな事を言っている辺りで、密偵は映像を切った。

「このように、ウサコは大魔王様に関する貴重な情報を敵方に流しただけでなく、
 そのまま行方をくらましております!」
魔王軍の幹部達の間にどよめきが走った。
手触りがふかふかで気持ちいいことも、『大魔王様に関する貴重な情報』らしい。
将軍達は、ウサコが謎めいた主君に関する情報を握っていたことに、驚きを隠せない様子だった。
実のところ、此処に集まった大魔王の配下の将軍達の中でも、大魔王の姿を直接見た者は少ないのだ。

121:大魔王城の様子 ◆svDXdcR9Gw
08/01/24 02:52:54 0
「……漏れた情報がこの程度だったのは不幸中の幸いか」
裏界の魔王達は、第八世界ファー・ジ・アースに侵入すると、その力を大きく減じられる。
故に、力よりもむしろ、様々な策謀を巡らせて世界を破滅させようとする。
狡猾な性格が多いのはそのためで、裏切ることは多々あるどころか、最初から裏切る心算で接触してくることも多い。
その素性をよく知っていれば、信用しないのが普通である。

「ウサコの裏切りは確かに大きな損失だ。
 しかし『石のような物体』が手に入ったのは、それを補って余りある利益だ」
怪鳥は暫く押し黙ったあと、これからのことについて話した。
「もはやオロッパスの城などは落ちたも同然。今はアヨガン国の対処を考えねばならぬ」
アヨガン国は、オロッパスの南西に位置し、海に面しており、魔王城に最も近い位置で徹底抗戦を続けている。
国としての規模でこそオロッパスと同程度だが、兵の精強さではアヨガンの方が遥かに上である。
更に、この国には大魔王が唯一恐れる封魔の宝玉があるという。
魔王軍にとって、目の上のコブと言って差し支えない。

魔王軍の将軍達は、どのようにしてアヨガン国を攻め滅ぼすかについて話し合っている。
『石のような物体』が手に入ったことは、将軍達の士気を大いに盛り上げたようで、
『石』の力を利用し、その勢いに乗じて一気に攻めるべきだという意見が多かった。
明日にでも出撃するぞ、などと張り切っている者も居る。

122:大魔道士ポップ ◇bTJ1y4hkoYの代理投稿
08/01/24 20:09:49 0
>>116
呼び掛けに応え、ランカムを背負ったフェイがやって来た。
宝箱を見て言う。
>「これがお前のいうここから出ることができるものなのか!?」
「へへっ、これこそ神様がこの大勇者ポップ様に寄越してくれた秘密兵器よ!そら御開帳ぉ!」
得意気に調子のいい台詞を吐き、箱を開ける。

>>117
しかし、宝箱の中には、ただ闇が広がっていた。
「あれ?」
話が違うぞ神様の助けなんじゃねえのかよ、と思いかけた時、中から声が聞こえてきた。
>「貴様が勇者か?」
そして応える間もなく中から手が伸び、そしてその手の主である子供が中から這い出してきた。
「なあっ…」
美少年ではあるが、それだけだ。とても頼れそうには見えない。
むしろ一緒に生き埋めになりそうだ。

>「ずいぶんと小便臭い餓鬼だな僕様の名はパラシエルこの世の宝を司る天使様だ。
>天界の神から命令があったものでなわざわざ下等生物共を守りに異世界からやってきた糞餓鬼共のサポートに来てやった。」
「お、おい!小便臭いとはなんでぇ!お前の方がよっぽど餓鬼じゃねーか!」
とりあえず悪口には条件反射で反応してしまうポップだった。
「しかも宝を守る天使って何だよ!こんな修羅場じゃ全然役に立たねえよ!もっとマシな天使を寄越してくれってんだよ!
 大体お前、本当に天使なのか?天使って羽とか生えてたりするもんじゃないのかよ?」

>「さて、文句質問等は今の状況を打開してからにしよう。
>話は宝箱の中で聞かせて貰った。だからやる事はわかっている。」
ポップの文句質問等は軽くあしらわれてしまった。
パラシエルはさっきの鷲を呼び寄せ、巨大化させ、負傷者達を飲み込ませていく。
ポップは少し不安になった。
「お、おい…」
>「安心しろ。この鷲は僕様の優秀な翼。少しばかるこの荷物共を胃の中で治療してやるだけだ。
>まあ代償として魔力は根こそぎ吸われるだろうがそれくらいどうって事もないだろう。」
そう言うとパラシエルは鷲に乗りポップの手を掴んだ。
>「ほれ、とっとと行くぞ。間違っても振り落とされるなよ、餓鬼。」
そして地上に向けて鷲を飛び立たせる。

>>119
「ちょ、ちょっと待ってくれ!もう一人いるんだ!」
そう、まだ上条がウサコを取り押さえていたのだ。
ポップが目をやると、ウサコは既に消えていた。倒したのか逃げられたのかは分からない。
しかし、そこに瓦礫が落下している事だけは分かった。
「爆裂呪文(イオ)っ!」
ポップはすかさず球状の魔法弾を放った。それは瓦礫にぶつかると爆発し、四散させていく。
そしてポップは上条に向けてブラックロッドを伸ばした。
「脱出するぞ!捕まれーっ!」

123:東條ルミナ ◇Yw2bVAsGtAの代理投稿
08/01/24 20:10:34 0
「あぁ……見たよ」
真剣な目つきをして、ルミナはそう返す。
とはいえ、ルミナはムーミン程この能力に戦慄を感じてはいなかった。

元の世界にいた頃、勉強してだか、風の噂で聞いたか細かく覚えてはいなかったが
万物の死の線が見える魔眼を持つ者がいるらしく、その者に線をなぞられただけでもその物は死を迎えるそうだ。
「まぁ…少々やっかいな能力だが…付け入る隙はあんだろ?」
その死の能力がある者にもそれなりに弱点はあるのだ…不透明な部分さえ判れば、対抗する策も、封ずる策もあるはずだ。
もう一度、一服するとルミナは黒く微笑いを浮かべた。

「……あぁ確かにそうだな…それに周りが見えてねぇ…下手したら全滅してたんじゃねぇのか?」
ルミナから見たら、結界を破るだけにあの技は大きすぎる。
それに、ただでさえいつ崩壊してもおかしくない状況下であんな技をだしたら、一気に崩落するかもしれない。
たった一時の勝利の快感の為に自分の命を犠牲にする戦い方は愚者としかいえない。
「まぁ…私にゃ関係ねぇけどな」

そのとき、ルミナの視野が暗くなった。
地層が脆くなっているのか、それとも地上にいる何者かが落としたのか判らないが頭上からは大きな岩が落ちてくる。
その間、詠唱し腰についている魔銃を抜き、岩に打ち込むことが出来るだろうか?
ルミナが考えている一瞬、ムーミン大佐のステッキが岩を粉砕する。
その後、ステッキは地上に出るまで上から降ってくる岩を砕きつづけた。

地上に出るとムーミン大佐はステッキを収めた。
「ッ!!!…………なるほど…なぁ」
一瞬、険しく表情を見せた後、ルミナは大きくため息をつく
今まで色んな客を見てきたが、ここまで掴めない者は初めてであり、
魔術師としてもルミナと同等、それ以上の実力者だと改めて実感したからだ。

巨龍に収容された後、ルミナは適当な場所に腰を下ろし煙草をふかす。
「……まるで、RPGの登場人物になった気分だよ…ホント」
空から見下ろす景色はまさしくそうだった。
険しい山、深い森、石造りの街に城…「東京」とは一回転半違う世界に来てしまったことを再認識してしまう。

一通り、ムーミンの話を聞き終えると…ルミナは先ほど返答しなかった質問の答えを言った。
「利害が一致している以上、私もあんたと同じような考えさ…だが、まぁ……雇いたいってんなら話は別だがな」
クスクスと笑いながらルミナはムーミンにそう言った。
「…ところで、これからどこにいくつもりだ?…宿屋につれこんで大人の話し合いってんならまた別の話になんぜ」

124:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/24 21:14:55 0
>123
大魔王の城へ向かうスケルトンドラゴンの中で、ルミナとこれからのことについて話していた。
元々意に拠らずに呼び出されたのだ。
石のようなものの解析に協力し、元の世界に戻ることを希望すると思っていた。
が、ルミナからは意外な申し出がなされる。
「ふふふふ、実に魅惑的な話だ。ぜひとも大人の話し合いといきたいところだが・・・」
笑みを浮かべたムーミン大佐だが、すぐにブルブルと震えて首を振る。
「だが、やめておこう。
そのようなことをすれば『彼女』に廃人になるまで追い込みをかけられて殺されるだろうからね。」
力ない笑みとともに肩をすくめて見せた。

『彼女』が誰とは言わなかったが、それはウサコでも、大魔王でもない。
実はムーミン大佐、これでいて妻帯者なのだ。
そして妻は現在妊娠5ヶ月。あと31ヶ月もすれば第一子が誕生することになる。
ムーミン大佐を怯えさせたのは、兇禍と呼ばれる生きながらにして伝説となった暗殺者。
後にムーミンママと呼ばれる妻であった。

「私も雇われている身でね。採用不採用の権限はないが、口添えくらいはさせてもらうよ。
ご同輩となれば力強い。」
気を取り直して応えるムーミン大佐の右腕からは、新緑の芽が生えてきている。
妖精ドライアード。植物の生命力をもって再生を司るのだ。


####大魔王の城####

夕日が全てを赤く染め上げる頃、大魔王の城に到着した。
石のようなものを城のものに引き渡し、玉座の間へと向かう。
「既に報告は密偵方から届いているとは思うが、期間の挨拶と紹介をするので着いてきたまえよ。
本格的に雇われるのであれば交渉は自分でやってくれ。望む報酬はそれぞれ違うだろうからね。」
玉座の間に向かいながらルミナへ告げる。
そう、まったくの異世界からやってきたのだ。価値観も何もかも違う。

ムーミン大佐の場合は、報酬は自動的に決まっている。それは世界を構成する力。
本来妖精は決まった世界を持たない流浪の民なのだ。
あらゆる世界を渡り歩き、その世界にある強き願望を叶える。
時として靴を作ったり、時として哀れな少女のマッチに幻を見せたり。
それと同様に、ムーミン大佐は己の能力をフルに生かすことのできる戦闘を生業としている、だけの話だ。

妖精は決して気まぐれで仕事をするのではない。
呼ばれた世界の力をその報酬として得るのだ。
そして世界を持たぬ妖精は得た世界を構成する力を使い、世界の狭間に自分達の住処を作り維持する。
ムーミン大佐も同様に、いや、それ以上の目的があった。
あらゆる世界と接する谷間に自分の世界を作る、という。
その為に多くの世界を駆け、世界を構成する力を集めているのだ。

「一つ注意して欲しいのは、敵対意思表示は示さないことだ。
皆が皆私のように紳士ではないのでね。
下手に力があると戦いたいと言い出すものがでてくるかもしれん。」
最後に警告をしておく。
最近仲間になったあの男。闘いに渇いているその姿を思い浮かべながら。
とはいえ、あまり心配してはいない。
きっとフェルの事を話せば喜ぶだろうから、と。

玉座の間につく頃にはムーミン大佐の右腕には立派な木が生えており、一つ実をつけている。
これが熟れれば中から再生された右腕が出てくるのだ。
少し右腕の樹を見て、ムーミン大佐はゆっくりと玉座の間の扉を開く。

125:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/24 21:44:53 O
「確かに、危険な状況のようですね」
互いに名を交わし合った矢先、崩れた天井が完全に出口を塞いでしまった。
背を向けたフェルは、苛立ちを隠さずに悪態をつく。
不器用だが、根は悪い男ではないのだろう。
「怪我人は任せて下さい」

瓦礫に身体を挟まれた者達を助け起こしながら
ポップに目を移すと、彼はなにやら宝箱を掲げ大見得を切っている様子だった。
しばらく見守る内に宝箱の蓋は開けられ、中から一人の少年が出てくる。
少年はポップを勇者と呼び、自らを天使パラシエルであると名乗る。
「“魔王”の次は“勇者”と来たか…」
--ならば騎士の役目は、その勇者達を守る事か。
彼の言動に面食らいつつも、どこかこの状況を
自然と受け入れかけている自分に、一つ苦笑した。
魔王が実在するのならば、勇者も実在するのだろう。
それは、小さな希望であった。

さて、ある程度の事には驚かないつもりでいたのだが、
流石に巨大鷲の口に入るなどは、想定外の事である。
巨大鷲が負傷者達を飲み込んでいく様子は、
ファンタジーを通り越してシュールである。
「世界は広い物だ」

そして、本格的な崩壊が始まった。
「…生き埋めは御免だな」
もたついていた負傷者を、半ば投げ入れるように鷲の口に放り込む。
上条は、ポップが懸命に救おうとしている。
--彼を信じよう。
そして自らも鷲の口に入る寸前、召喚石のあった場所を振り返る。

私が気絶した後、あの青い髪の女性は、どうなったのか…。
誰に聞くまでもなく、想像はついている。
名も知らない人間だが、自らの手が届く範囲で、
また一人“魔”の軍門に下ったのかと思うと、心が重くなった。
--神よ、私は無力だ。
《力が欲しいだろう》
意識の底で、雑音が聞こえた。

126:赤屍 ◆jdLx9J.tuQ
08/01/24 22:54:40 O
玉座の間に黒い帽子とスーツに身を包んだ人間の男の姿があった。
そう、彼こそが史上最低にして最悪の運び屋、赤屍蔵人。
彼もまた、召喚されし者の一人。
しかし彼は今魔王軍側に着いている。
それは何故か?理由は簡単。魔王軍側に着けば、沢山の強者と闘えると聞いたから。
彼にとっては金や名誉なんて無価値に等しい。
強者との闘いが最高の報酬であり、喜びなのだ。
このバトルマニアを呼び出したまでは良いが、敵に回してしまった召喚者たちはさぞ後悔しているだろう。
さて、前置きはこの位にしておいて、彼は今、とてつもなく退屈していた。
ウサコ達がオロッパスの城に行くと言った時、付いて来るかと聞かれたが彼は断った。
行ったとしても強者と闘える気がしなかったからだ。
しかしオロッパスの城では赤屍の相手に相応しい強者達が続々と召喚されていた。
「付いて行けば良かったかもしれませんね…。」
退屈そうに佇んでいると密偵の報告が始まり、ムーミン大佐の活躍とウサコの裏切りを知る。
それでも赤屍は何の反応も示さなかった。
それよりも密偵が映し出した戦いの一部始終の方が興味深かったらしい。
「やはり失敗でしたか…。」

127:赤屍 ◆jdLx9J.tuQ
08/01/24 22:56:42 O
周りの幹部や将軍達は大魔王の情報流出にどよめいている。
が、『石のような物体』を確保した事により将軍達の士気は上がったようだ。

>>124盛り上がっている玉座の間で一人浮いたように黙りこくっているとゆっくりと扉が開いた。
扉を開いたのはムーミン大佐だ。そしてルミナの姿もあった。
「おや、今お帰りですかムーミンさん?…その腕……相手はなかなかの強者のようですね。」
ムーミン大佐の腕を心配そうに見ながらも嬉しそうな表情を隠せないようだ。
「どうやら随分活躍したみたいじゃありませんか。この通り、皆さん大変盛り上がってますよ…。
ところで…」
そこまで言って一旦言葉を切り、ルミナに視線を移す。
「そちらの女性はどなたです?新しいお仲間ですか…?」

128:パラシエル ◆/Q.vnlAVN.
08/01/24 23:36:29 0
>>117の後半を訂正
パラシエルはまたもや早口で言うと今度は目を閉じ指笛を吹いた。
すると先ほどパラシエルを運んできた鷲が再度Uターンして戻ってきた。
今度は見事にウサコと上条を避けきり、パラシエルの前に止まる。
するとぐんぐんと大きくなり、人三人分を乗せられる大きさになると次の瞬間負傷者達を頭から次々と飲み込んでいった。

「安心しろ。この鷲は僕様の優秀な翼。少しばかるこの荷物共を胃の中で治療してやるだけだ。
まあ代償として魔力は根こそぎ吸われるだろうがそれくらいどうって事もないだろう。」

そう言うとパラシエルは鷲に乗りポップとフェルの手を掴んだ。

「ほれ、とっとと行くぞ。間違っても振り落とされるなよ、餓鬼共。」

そして青い空を目指し白い鷲を発射させる。

129:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/25 00:30:38 0
>>119
>「な、何をするー。そういうことは大魔王様にやった方が良いだろー。
 大魔王様の方がふかふかふかで気持ちいいぞー」

「ま、待て!待ってください!状況を冷静に考えろ、これは……そう、事故!不可抗力だ!!
 いや、ふかふかとか関係ないしRPGのラスボスっぽいのにセクハラする趣味も無いから!
 つーか上条さんにはいきなり女性の胸にタッチする趣味はありませんよ!?ゴメンナサイ!」

記憶には無いが、体が覚えている過去の様々な経験から来るのであろう何かによって
固まっていた上条は、ウサコの台詞を聞いてからハッとし、飛びのくように左手を離す。
そして、全身から汗をダラダラと流しながら、挙動不審なボディーランゲージをも用いて
全身で事故である事を訴える。
反応に一切の色気がないウサコと、逆に全身全霊で弁明しながら慌てている上条、
端から見れば随分と滑稽な眺めだろう。

>大きな瓦礫が、すぐそこまで迫っている!
>「私は一足先におさらばだろー。他人の胸を気安く触りよった罰を嘆いて死ぬがよい」
「……は?」
慌てていた上条が、ウサコの言葉に反応し後ろ振り向くと
天井から崩れ落ちたのだろう、真上から巨大な瓦礫が上条に迫ってきていた。
「な――!?」
上条が慌てて視線をウサコに戻すと、既にウサコの姿は無かった。
だが、今はウサコを逃がして閉まった事を気にする余裕は無い。
上条は歯を食いしばり、飛び跳ねるように瓦礫の落下地点から遠ざかるよう走り出す。
上条の右手に宿る『幻想殺し』は、それ異能の力ならどんなものであろうが消去できるが、
銃弾や斬撃といった普通の物理法則で起きる現象には何の効果も無い。
巨大な瓦礫などに潰されれば一巻の終わりなのだ。
全身の筋肉を限界まで酷使し疾走する上条、
しかし、瓦礫の重力落下速度は上条の足を容易に上回っていた。
(畜生っ!間に合わねえ!!)
上条がそう思った時

>>122

>「爆裂呪文(イオ)っ!」
声と共に、突如瓦礫が爆砕した。

「ぐっ!?」
突然の爆発の余波で、数m程吹き飛ぶ上条。
体を石畳にしたたかに打ち付けるが、瓦礫に潰された感覚は無い。
「ゲホッ!ゴホッ! ……助かっ……たのか?」
そう言って、打ちつけた箇所を摩りながら起き上がる。

そして見た。
粉塵が何かの羽ばたきの様な物で晴れたそこには、瓦礫では無く、
巨大な鳥に乗った、先程上条を助けてくれた少年の姿があった。

>「脱出するぞ!捕まれーっ!」
目まぐるしい情報の変化に脳の処理が追いつかなくなりつつあった上条は、
だが、少年の言葉を聞き、思考を回復し、様々あった疑問を吹き飛ばす。
今必要な事は、目の前の少年を信じる事だと感じ取った。

そして上条は、延ばされた杖を左手で――掴み取った。

130:大魔道士ポップ ◇bTJ1y4hkoY
08/01/25 19:30:12 0
上条がロッドを掴むと、ポップはロッドを縮めて引っ張りあげる。
(うお、重てえっ!)
魔法に関しては一流でも腕力はてんで大した事のないポップに、人間一人分の体重を支えるのは辛い。
必死に体とロッドを支え、何とか上条を鷲の上に引き上げた。
「ぷは!ぜぇ~ぜぇ~、大丈夫か?そんじゃ、ちょっくら上まで頼むぜ天使さんよ」

131:パラシエル ◆/Q.vnlAVN.
08/01/26 00:05:04 0
>>122>>125
聖騎士ランカムとその他の戦士達を鷲の胃の中にいれ飛び立った矢先、
ポップはいきなり叫んだ。

>「ちょ、ちょっと待ってくれ!もう一人いるんだ!」

パラシエルはポップの目線の先を見た。
するとそこには先ほど運悪く鷲に蹴られていたツンツン頭の男が居た。
どうやらポップはその男を助けるらしい。
宝箱を開けた勇者に従えというのがパラシエルに課された使命である。
パラシエルはポップに従った。

「とっととすませろ、死ぬぞ。」

そう一言言うと天使は鷲にブレーキを掛けると二、三回鼻を動かした。
そして先ほどまで居た人間達の臭いをその一瞬で覚える。
例えその場に居なくても臭いという物はいた場所に残る物なのだ。
嗅いで少しも立たないうちに自分の鼻にパイプ煙草のわずかな臭いと別の煙草の強い苦い香りとともに、
どろりと甘いあめ玉のような臭いを感じ取った。
しかもそれは今までパラシエルが滅多に嗅いだことの無いようなとろけそうな甘い甘い香りである。
パラシエルの目に一瞬生気が戻り輝く。


132:パラシエル ◆/Q.vnlAVN.
08/01/26 00:06:49 0
>>129>>130>>115
そんな時に鷲に少しの重みがかかりまた上へと動き出した。
どうやらポップの杖に上条が捕まったらしい。
パラシエルの目はまた元の半分死んだような目になる。

>「ぷは!ぜぇ~ぜぇ~、大丈夫か?そんじゃ、ちょっくら上まで頼むぜ天使さんよ」

ポップが上条を引き上げ終わったのを横目で見ると、パラシエルはため息をついた。

「全く・・・重量オーバーぎりぎりだ。
万が一翼が折れたら貴様等を殴り倒す。ウェザード(鷲の名前)!急げ!」

そう言うと鷲のスピードがぐんぐん上がり、
可憐に落ちてくる瓦礫を避けながら一変に地上へ出た。
が、鷲は地上に出たとたん地面に落ちた。
どうやら重量オーバーぎりぎりで走ってたのがわるかったらしい。
パラシエルは鷲から落ち、地面に叩きつけられた。
鷲の中から数人治療中だった人間が飛び出る。

「・・・・もう二度と人間は乗せん。・・・む?」

パラシエルはまたもや鼻をひくつかせた。

「誰か来るな。しかも相当癖のある臭いの奴が。」

そう言うとパラシエルは起き上がり臭いの元を見つめる。

133:オロッパス城周辺の近況 ◆svDXdcR9Gw
08/01/26 14:39:51 0
オロッパス城の近辺に、オロッパスの友軍と思しき兵士の一団がやってきていた。
その旗を見るに、どうやらアヨガンという国の兵士のようだ、ということがわかる。
「何ということだ!
 救援を求めに来たというのに、こちらも敵の奇襲に遭っているとは!
 この有様では、むしろ、こちらから救援物資を送らなければならないくらいだろう」
彼等は、破壊されて見る影も無くなったオロッパス城を見て唖然としていた。

オロッパスの大地には怪我人、死人、瓦礫といったものばかりが転がっており、
まともな建物や生存者を探すのにも苦労する有様であった。
死人にしても、死体が残っている者は、まだ弔ってもらえる分だけは幸いだったと言えるかも知れない。
魔王軍の暴虐な振る舞いと恐るべき力により、それほどの悲惨に見舞われているのだ。
「誰か、誰か生きている者は居らぬか!」
兵士達は大声で呼びかけている。
中には呼びかけに応じる負傷兵や、幸運にも一命を取り留めた一般人も居り、各人、傷の手当てを受けていた。

「しかし、酷い有様だ。
 オロッパスは決して寡兵ではなかったというのに……
 一体、どのような敵が襲ってきたというのだ?」
隊長と思しき男は辺りを一瞥し、この惨状の原因を分析していた。
魔王軍の本隊と長年戦い続けているアヨガン国の兵士達が見るに、
自分達でも未だに戦ったことのないほどの強敵が現われたのは間違いなかったのだろう。
隊長の顔面が蒼白になった。
「むむ、これはゆゆしき事態。
 ここの先ほどの襲撃のときよりも強靭な軍を組織して向かわれては、われわれでも対応できまい。
 いち早く報告に帰らねば……」

134:紅竜 ◆DuEaAnn9RQ
08/01/26 18:10:37 O
>>133
「とうっ!」
オロッパス城の周りを視察していた隊長の前に、紅竜は三回転ほどしながら落ちてきて華麗に着地した。
城の残った壁の上から、登場のタイミングを見計らっていたのだ。

「おおう。やはりアヨガンの兵士どもが、のこのこ出てきおったか。
他の奴らが帰った後も、残っていたかいがあったというものよ」
魔王軍から攻められる事を知っているはずのアヨガン軍は
必ず情報を手に入れるために、オロッパスに援軍を出すだろう。
そう考えた紅竜は、仲間が引き上げた後も待ち伏せの為に残っていたのだ。
予想より敵の到着が速かったが、待つ必要がないぶん好都合といえる。

「貴様等が帰って報告できる事など、何一つないわ。
なぜなら‥‥貴様等全員ここで死ぬのだからな!!喰らえぃ!紅竜天才波!」
問答無用とばかりに、兵士達に向かって魔力弾を放つ!

135:リーベル ◇fbsB0QAAho
08/01/26 19:43:23 O
城まであと少しの距離まで近づいたところで大きな揺れを感じた。
まさか……と、風の精霊シルフと土の精霊ノームを呼んだ。
シルフには音を、ノームには地下の様子を伝わせるために。

ノーム曰く、人間が掘った地下の空間は完全に埋まってしまったらしい。
隙間と言える物もほとんどないほどみっちりだと言う……間に合わなかった?
しかしシルフによって届けられた音は、地下にいた生存者が無事だと
言う事と大きな鳥のような物が羽ばたいている事を伝えていた。
誰かがロック鳥でも呼んだのだろうか?
「どちらにせよ無事なのは確かと言うことかしら……
 魔王軍も退いたようだし、姿隠しは解いてしまいましょう。」
生存者に会うため、姿隠しを解いて瓦礫の中を歩いていく。
その歩調は聊か急ぎ歩きで、心の安定を欠いている事を伝えていた。

>131-132
果たして、その目に飛び込んできたのは奇妙な光景だった。
巨大な白鷲とその周囲に見慣れぬ装いをした負傷者が何人か。
先ほどの羽ばたきはこの鷲のものだろう。そして、この凄惨極まりない
戦場にはまったくもって不釣合いな格好をした少年が、まるで自分が
来るのが分かっていたかのようにこちらを見つめていた。
振り落とされたのか、打ち身が何箇所かあるようだが一番軽傷に見える。
リーベルは少年を気にかけながらも、重傷を負った者へと近づき、とりあえず
フェルとランカムに宿る名も無き生命の精霊を活性化させ傷を塞がせた。

>133
その時、遠くから大声が聞こえてきた。
視線を向けると、そこにはアヨガン国旗を掲げた兵士の一団がいた。
アヨガンと言えば、長らく魔王軍本隊と戦い続けている国だ。
そのアヨガンの兵士がここに来たと言うことは、オロッパスに
援軍でも求めに来たのだろう……アヨガンには魔王の恐れる
封魔の宝玉があり、アヨガンの陥落は人の敗北を意味すると言えよう。
フェルとランカムの傷はもう少し大人しくしていれば完全に塞がるので、
彼らの事は周囲の人々に任せる事にした。
「もし……アヨガンへ行くのでしたら、ご同行させて頂けますか?」

136:東條ルミナ ◆Yw2bVAsGtA
08/01/26 21:11:35 O
「……ん?…まぁ心配すんな…商談はスマートに済ませる主義だからな」
少しばかり引っ掛かる箇所はあったが、そのことは気にせずにルミナはそう返す。
元々敵対意識などは持ち合わせていない訳だし、仮にあったとしても露骨にそのことを出すほど愚かでもない。以前、同じようなことをして、命を狙われたことがあったからだ。

広間につき、2、3歩足を進めた瞬間、ルミナにまるで心臓を掴まれたような悪寒が走った。
一瞬、その大魔王に自分の考えが読まれたかと思ったがそうでもないようだ。

赤屍の声を聞いた瞬間、その悪寒が増したからだ。
「(成る程、だからあんなこと言ったのか…)」
心の中で、軽く舌打ちをし、ルミナは呆れ顔を見せた。
「ナンパなら勘弁してくれよ…これから仕事の話すんだからよぉ」

137:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/26 21:42:48 0
>>122>>117>>128>>130-132
大見得きって宝箱を開けたバンダナ…しかし
宝箱の中には何も無いどころかただ暗い闇が広がっているだけ。
>「あれ?」
「あれ?…じゃないだろう!!意気揚々に開けてみればただの箱じゃな…」
全て言う前に宝箱から手が伸びだし…ずるずると子供が這い出てきた。
こんな気持ち悪い登場の仕方はいまだ見たことがない…
それにしても…なんとか細い奴だ…ホントにこいつがここを出してくれるのか?
そして口を開いたかと思ったら天界から来ただの訳の分からんことを並べ立てる。
信用できないのは俺だけではないようでバンダナも天使気取りのガキにキレる。
>「さて、文句質問等は今の状況を打開してからにしよう。
>話は宝箱の中で聞かせて貰った。だからやる事はわかっている。」
「フンッ、お前が何をしてくれるっていうんだ。」
俺は腕を組み悪態をつく、全く役に立たない者を呼んでくれた……
しかしその時鷲が降り立ちどんどん巨大化し、負傷者を飲み込んでいく。
「おい、俺には関係ないが負傷した奴を飲み込んで喰うつもりじゃないだろうな!?」
>「安心しろ。この鷲は僕様の優秀な翼。少しばかるこの荷物共を胃の中で治療してやるだけだ。
>まあ代償として魔力は根こそぎ吸われるだろうがそれくらいどうって事もないだろう。」
天使を名乗るガキは俺の手を掴み鷲に乗る。
>「ほれ、とっとと行くぞ。間違っても振り落とされるなよ、餓鬼共。」
ガキに餓鬼呼ばわりされイラっとくるが助けてもらっている以上は何も言えん。
一体このわずかな時の間に俺のプライドは何度傷つけられた?

>「ちょ、ちょっと待ってくれ!もう一人いるんだ!」
「放っておけッ…余計な労力など使うな!」
しかしバンダナは魔術を使い瓦礫を粉砕し男を助ける。
なぜだ?俺には全く理解できない。なぜ他人を助ける?
鷲の中に入っていったあの鎧の男もそうだ、なぜ俺など助ける?
他人など放っておけばいいものを…使命でも命令でもなくなぜ……
「………気に喰わん……」
必死で男を引き上げるバンダナを見ているうちに俺の中に怒りが湧き上がる。
いや、怒りとは違う…怒りとは違う…だが腹立たしい…どうにも俺はおかしい。
この世界に来てから苛立ってばかりだ。
そうしているうちに鷲はスピードを上げていき…外の世界が見えてくる。
このまま飛び続けどこかに降ろすのかと思いきや…地上に出たとたんに鷲は力なく落ち
天使を名乗るガキは地面へと叩きつけられる。
>「・・・・もう二度と人間は乗せん。・・・む?」
「安心しろ、俺ももう乗る気にはなれん。」



138:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/26 21:44:15 0
>>133>>135
周りを見回すとあちこち破壊されておりおびただしい死人と怪我人がいることが分かる。
援軍に来たのか知らないが兵士たちが怪我人などを治したりしている。
兵士たちは凄惨な光景だと口をそろえて語るが、俺にはどうとも感じられなかった。
それも当たり前だ。前のここを知らず、またこういう風景が当たり前の世界に俺は居たからだ。
魔王を倒し世界に平和を…というのが俺達が呼び出された目的らしいが…実際全く明確な平和のビジョンが見えない。
「チッ…魔王側についていればよかったぜ。平和といわれても分かるはずもない。無法で混沌とした世界の方がはっきりしてる。」
>「誰か来るな。しかも相当癖のある臭いの奴が。」
そう言われてガキの向いている方に振り向くと女が居た。
俺は無意識に身構える。こちらに向かってくる奴を見かけたらまず敵と認識した方が良い。
女はこちらに近づいてくる。殺気は感じられないが…そんなもの達人となればいくらでも消せる奴はいる。
しかし、女は攻撃するわけでもなくただ近くに来ただけ。
「…なんなん……!?」
言いかけた時自分の体の異変に気付く…さっきよりもどんどん体の調子が良くなっている。
服を脱いでみるとあちこちの傷がふさがっていくのが見える。
「…まさか…お前が?……クッ!!」
だんだんと引いていた苛立ちがまた燃え上がってくる!
そうだ、この恩着せがましい感じが俺はむしょうに嫌なんだ!
なぜバンダナといいあの鎧の男といい…この女といい他人を助けようとする!
「…おい…俺は放っておいてくれ。助けてもらう道理などない…」
そう女に言い俺はあの面子から離れ瓦礫を歩く…これ以上俺はあいつ等とは居る道理もない。
「俺は好きにさせてもらう!短い付き合いだったな!!もう会う事もない!」
そうさ…今後はお互いに自由行動を取れば良い、助けてもらうなどもう御免だ。俺は1人で生きていく。
俺の生も死も俺のものだ。戦って…戦って…戦うだけ、今までもこれからも同じ。
仲間になる?論外だ。仲間など居ればいるだけ面倒なだけだ…どうせ言葉だけの拙い絆だ。
そんなものなら最初から無いほうがいい。1人ならば誰にも裏切られることもない!

>>134
変わり果てた街中を歩いているとき…なにやら戦っているもの達が見えた。
>「貴様等が帰って報告できる事など、何一つないわ。
>なぜなら‥‥貴様等全員ここで死ぬのだからな!!喰らえぃ!紅竜天才波!」
「クククッ……そうだ。俺にはこっちの方が合っている!!」
そして俺は走りだし兵隊長たちと黒ローブの男の間に立ちふさがり魔力の弾を手のひらで掴む。
手のひらは焼け付き皮が剥ける…こげた匂いが鼻をつき痛みが広がっていく…
覇気を使わなかったのはこの攻撃で相手の実力を知るためだ。
「ふん、弱いものを倒して面白いか?俺が相手をしてやる!」
そして俺は意識を集中させ覇気を爆発……
「…な、なに?………」
出ない…覇気が…かけらほども出ない…そ、そうだ!
そう…俺は忘れていた。本来覇気とは生命力と精神力を使うもの。
そして地下の戦いであれだけ消耗した俺に出せるわけなどなかったのだ。
いくら薬とあの女の施しで体力は回復してようと数日間は覇気は出せない。
体力とはなんの関係もない…今俺の心身はボロボロ……
「し、しまった……クッ…いいだろう!覇気などなしでもやってやる!!」
そして俺は構える。こうなったら引っ込みなどつくわけが無い。
大丈夫だ、当たらなければどうということはない!!

139:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/27 01:26:09 0
>>130
「っと……すまん、助けてくれてありがとう」
引き上げてくれたポップに対し、上条は礼を言う。
呼吸が乱れているのは、先ほどから全力で動き続けていたのと
『幻想殺し』がどの様な効果を与えるか解らなかったので
杖や鳥に触れることなく、左手一本でよじ登ったからだろう。
(……ん?)
と、そこで上条はポップ以外にも数人、巨鳥に乗っている人間がいる事を認識する。
(助けてくれたこの緑の人の仲間か?……だったらお礼言うべきだよな)
何となくそう思い、自己紹介と状況確認を兼ねて、礼を言おうと上条が口を開けた瞬間
>>132
「俺は上条tぐあっ!!?」
突然懸かったGにより、盛大に舌を噛んだ。
「ぬおおおぉ!!?」
顔の下半分を右手で押さえつつ悶える上条。不幸にも乗っていた鳥が飛翔した
タイミングで喋ってしまったのが原因だった。
涙目で悶えながらも上条はバランスを取ろうと、鳥の背中に捕まるが
「なああああ!!?」
やはり片手では支えきるのに無理があったようだ。
地上に出た瞬間地面に落ちた鳥の発生させた慣性により、その背中から
吹っ飛び、地面に叩きつけられる上条。
「ぐぅぅ……ふ、不幸だ……今日は不幸のバーゲンセールか……?」
倒れながらそんな事を呟き、周囲の風景を見て
「……ここ、何処だ?」
疑問の声を上げる。そこは言うなれば中世のヨーロッパのような情景だった。
壊れてはいるが城があり、日本では見かけない種類の樹木や草がある。
上条は、自分が学園都市にいない事は薄々感ずいてはいたが、
実際に見てみると、やはりその考えは当たっている様だった。
ローマ正教の魔術師にヨーロッパ付近にでも飛ばされたのだろうか?
などと、まだ痛みでぼやけている思考で思っていて、そこで違和感を覚えた。
(……待て、おかしい。そもそも、俺が転送されるなんて事は有り得ないんだ)
上条はその違和感の正体に気付く。上条当麻の幻想殺しは、それが
異能の力であれば、上条の意思とは関係なく消し去ってしまう能力なのだ。
それは、例え自分を治癒する力だろうと、テレポートだろうと、例外では無い。
故に、本来上条が何処かに「移動させられる」という事はありえないのだ
上条は今の状況の異常さを感じ、痛む体を置き上げる。
そして、現状確認の為に先の少年達のいる所へ向かい
「さっきは本当に助かった、俺は上条当麻って言うんだが……」
そこで一呼吸置き、尋ねる。
「なあ、悪いんだけど、此処が何処で今がどういう状況なのか教えてもらえるか?」


140:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/27 01:31:59 O
城は、廃墟のように荒れ果てている。
よく見れば、柱だった物の欠片には名匠による物と思われる、精緻な彫刻。
灰と血に覆われた絨毯の華麗な装飾は、その歴史が偲ばれる。
…かつてはこの城も、自分達の世界でのそれと同じように、
平和な統治が行われ、絢爛な舞踏会が行われ、栄えていた筈だ。

「こうも徹底して破壊されているとは…」
自分達の世の、最新の攻城兵器でも、このような破壊には至るまい。
鷲から吐き出された後、周囲を警戒して見渡していたランカムは、
改めて怪物達の力を知ると同時に、自分が震えている事に気づいた。

「“恐怖を支配せよ”」
ぽつりと、口をついて出る言葉。
「さもなくば“魔”に魂を食われる、か…」
元の世界の、敬愛する騎士団長の言葉だった。
先程の自分は、危うく恐怖に飲み込まれそうになった。
あるいは上官達なら、こんな状況でも、自分のように迷う事は無いだろう。

異変に気づいたのは、パラシエル。
「“臭い”?」
彼の言葉に振り返ると、一人の女性がこちらへ歩いてくる所だった。
印象的な銀の髪が、瓦礫の中で浮き上がるように輝いている。
--いつの間に?
今居る場所は、周囲に遮蔽物も少なく見通しが利く。
近付く者がいれば、視認できただろう。…“透明”にでもならない限りは。

女性が自分達の前で立ち止まると、不意に体の奥が暖かくなった気がした。
「これも“魔法”なのですね」
感心したように漏らす。一時的に、代謝が高まっているようだ。
安静にしていれば、傷はじきに全快するだろう。

顔を上げると、女性は赤い瞳で一方向を見つめていた。
視線の先には旗を掲げた、他国の使節と思しき一団。
聞けば、女性はあの使節を派遣したアヨガン国を目指すと言う。
自分達はこの世界に着いたばかりで、地理には暗い。
--彼女と同行したい所だ。
同意を求める為に、ポップ達を見る。

「…まず、治療の礼を言います。私はランカム。こちらは…」
言葉が終わる前に、フェルはリーベルと自分達に対し、
拒絶の言葉を発し、そのまま一人で歩いて行ってしまう。
「…すみません」
慌ててリーベルに一礼し、フェルを追って駆け出す。
先の青髪の女性との失敗もあり、不安定な彼を一人にはしたくなかった。

使節団の方へ近付くに連れ、その様子がおかしい事に気付く。
「…襲撃者ッ!?」

141:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/01/27 02:18:38 0
>>132
定員オーバーだったらしいが、鷲は上手く落下物を避けて地上まで運んでくれた。
しかしそこで力尽き、すぐに落下してしまう。
ポップは衝撃で地面に放り出され、したたかに頭を打ち付けた。
「ぐあーっ!痛ってえーっ!」
頭を押さえてゴロゴロのた打ち回る。

>>139
そこへ、上条がやって来た。
>「さっきは本当に助かった、俺は上条当麻って言うんだが……」
>「なあ、悪いんだけど、此処が何処で今がどういう状況なのか教えてもらえるか?」
「お、おう。痛ちちち…俺はポップ。よろしくな。ここは…」
ポップは召喚された時に魔術師に聞かされた情報を話す。
ここが魔王とその配下に侵攻されている世界で、自分たちは対抗戦力として異世界から召喚されたこと。
「…つーわけだ。聞かされた当初は俺も眉唾だったが、事ここに至っちゃもう疑う意味もねえ。
他人の世界のドンパチに巻き込まれるなんて、お互いとんだ不幸だったなあ」

>>135
「幸い、仲間は何人かいるみたいだぜ。とりあえず、あそこにいる変なのが天使のパラシエル…」
パラシエルを指そうとしたポップは、彼が明後日の方向を見ている事に気付いた。
見ると、そちらから耳の尖った色っぽい女性がやって来ている。
遠めに眺め回し、鼻の下を伸ばすポップ。即座にパラシエルに駆け寄って馴れ馴れしく肩に手を置く。
「うひょお、美人じゃねえか。あんたの知り合い?」
女性はやって来ると、ランカムとフェルの傷の具合を見咎め、魔法のような何かを使う。
すると二人の傷が塞がっていく。回復呪文の一種だろうか。
「はいはーい!ここにも重傷人が一人いるぜー!」
ポップは元気一杯に手を振ってアピールする。全然重症でもないのだが、美人に構ってほしいのだった。

>「もし……アヨガンへ行くのでしたら、ご同行させて頂けますか?」
二人を回復した後、リーベルが申し出る。
「アヨガン?」
ポップは首を傾げ、ランカムの同意を求める視線をさらにパラシエルに受け流す。
とりあえず、アヨガンが何処かどういうところかも分からないうちは、容易に判断はできない。
それが分かっていそうなのは、この中でパラシエルだけだ。
「なあ、パラ…」

>>138
しかし、その時フェルの怒声が聞こえた。
>「俺は好きにさせてもらう!短い付き合いだったな!!もう会う事もない!」
フェルはそう怒鳴ると、向こうへ歩き去っていってしまう。
ランカムがその後を慌てて追いかけていく。
「なんだぁ?あいつ。何ふてくされてんだ?」
頭を捻るポップだったが、やはり理解できない。
だが、フェルも召喚された身のようなので、本当に自分たちと別れて一人になることはないだろう。
頭が冷えた頃にランカムの説得に応じ、戻って来るに違いない。ポップはそうタカを括っていた。
そして、パラシエルに向き直る。
「まあ、あいつの事はランカムに任せるとしてよ、パラシエル。
俺達はこれから一体どうするべきなんだ?戦うにしろ、何か拠り所はほしいところだぜ。
差し詰め、アヨガンとやらには行くべきなのか?」

142:名無しになりきれ
08/01/27 15:53:31 O
ここで阿部さん召喚


アッー

143:リーベル ◇fbsB0QAAhoの代理投稿
08/01/27 20:56:52 0
>134、>137-138、>140-141
>「これも“魔法”なのですね」
「魔法?……いいえ、あなたの中に宿る生命の精霊に呼びかけて
 活力を高めただけです。傷が塞がっていくのは、あなたの命の力が
 満ち溢れているから。私はきっかけを与えたに過ぎません。」
恩を着せるような事をリーベルは好まなくなっていた。
ダークエルフゆえに、裏があると痛くも無い腹を探られた事も一度や二度ではなく
その度に傷ついてきたのだから。それでも見捨てられないのがリーベルだった。

>「俺は好きにさせてもらう!短い付き合いだったな!!もう会う事もない!」
>「…すみません」
しかし男は礼を言うでもなく、苛立ちを隠そうともしない口調で
訣別を口にしその場を去って行った。男を心配したランカムがそれを追いかける。
だが、リーベルは男の後ろ姿から精神の精霊の気配の異常に気づいてしまった。
「……あれは……どうして、あれほどに……」
その時のリーベルにはランカムが追う男の後ろ姿を痛ましそうに見送る事しか出来なかった。
同じように後を追ったところで心を閉ざした男に自分の声は届かない……
長く生きて、知識と力を蓄えても人の心までは救えないと、無力感に打ちのめされる。

>「はいはーい!ここにも重傷人が一人いるぜー!」
そんな鬱屈した気分の時に聞かされる元気な大声と言うのは一種の拷問だ。
眉を顰めたまま自称重傷人の方を向く。見た目には目立った外傷はなかった。
しかしよく見ると、魔力の源ともなる精神の精霊の働きが鈍っている。
魔道士らしく、相当高度な魔法を使って魔力を消耗したのだろう。
「……あなたの場合は、肉体ではなく精神力の方が重傷のようですね。
 ですが、私の知る魔法には精神力を回復させるものはないのです……
 今の私に、あなたにしてあげられる事はありません。」
申し訳なさそうに頭を下げるとその場を後にした。


144:リーベル ◇fbsB0QAAhoの代理投稿
08/01/27 20:57:14 0
>問答無用とばかりに、兵士達に向かって魔力弾を放つ!
アヨガンから来た兵士の一団へと近づき、同行を申し出る。
もはやオロッパスには戦略上の価値は無く、魔王軍も総力を挙げて
アヨガン攻めを始めるはずだ。ここにいても、出来ることと言えば
死霊魔術で死体を操って自分達の穴を掘らせて埋葬するか火に飛び込ませて
荼毘に付するかぐらいしかない。そして、そこまでの魔力は残ってなかった。
しかし長命種特有の悪癖、先の事を考えて周囲への警戒を怠ると言う愚行をここでも犯した。
ちょうど兵士の近くに寄っていたリーベルにも容赦なく魔王軍の攻撃が襲い掛かった。

>そして俺は走りだし兵隊長たちと黒ローブの男の間に立ちふさがり魔力の弾を手のひらで掴む。
だがそれを、先ほど立ち去った筈の男が防いだ。
生命の精霊の活性度はまだ高く、火傷も程なく癒えるだろう。
それよりも……先ほどの言動が気にかかる。
>「…おい…俺は放っておいてくれ。助けてもらう道理などない…」
>そう女に言い俺はあの面子から離れ瓦礫を歩く…これ以上俺はあいつ等とは居る道理もない。
戦いが始まった途端水を得た魚の様に生き生きとし始めたフェルに向かって、
「先ほどあなたは自分の好きにすると言った。私も自分の好きにしただけです。
 それが私の道理、否定される謂れはありません。特に、自分の心一つ意のままに出来ぬあなたには。」
と言い返すが、本心は飲み込んだ。戦いが始まろうと言うのに口論をするほど愚かではないつもりだ。
しかし、後ろ髪を引かれる思いを抱かせた相手が戻ってきたのは、ある意味幸運なのかもしれない。

>「し、しまった……クッ…いいだろう!覇気などなしでもやってやる!!」
「本調子ではないようですね……文句はお互い生きていたら
 後でいくらでも聞きます。あなたはあなたの好きにしなさい。
 私も私の好きにしますから。」
相手は遠距離攻撃出来るがフェルは出来ない(と思っている)。
ハンデを埋める為、シルフを呼んで被術者を遠距離攻撃から守る風の障壁を付与する事にした。
その効果は周囲の兵士達にも有効で被害の拡大は防げそうだが、
代わりに更に魔力を消費してしまい息が上がり始める。もう一回使って打ち止めだろう……

145:大魔王城の様子 ◆svDXdcR9Gw
08/01/27 21:52:53 0
大魔王の配下の将軍達は、あーでもないこうでもないと、襲撃の際の計画を練っている。
そうしていると、群青色の光が二つ、カーテンに浮かび上がった。
「おお、大魔王様がお目覚めになられた!」
怪鳥が叫んだ。
すると、集まっていた将軍達がその光に注目し、敬礼の姿勢をとった。
群青色の光はある決められた周期で点滅しており、何かを訴えかけるようだった。
怪鳥は大魔王の意を汲み取り、声を張り上げて、その場に居る者に伝えた。
「皆の者、よく聞け!次のアヨガン国との戦には『地獄の帝王』を参加させるとのことだ!
 この意味がわかるな、諸君!」

『地獄の帝王』の名は、魔王軍の内外に知れ渡っている。
そいつは異界から召喚された魔王や邪神の類だったが、大魔王によって知性を奪われ、完全な奴隷にされたと言われている。
強大な力を持ちながらも、完全に大魔王の意のままに動く、大魔王の懐剣――
『地獄の帝王』は、そのような存在として知られ、この世界の人間達に恐れられている。

大魔王が『地獄の帝王』を出撃させるということは、
「アヨガン国に総攻撃をかける」と、大魔王自らが宣言したのも同然だ。
大魔王の意向を聞いた将軍達から歓声があがり、早速戦の支度を始める者も居た。
伝令の悪魔は、オロッパス周辺に残った軍団に大魔王の意向を伝えるべく、再びオロッパスへと飛び去った。

146:ムーミン大佐 ◆PAPA28Te9k
08/01/27 22:13:12 0
>127>136>134
玉座の間に入ると、大魔王以下主だった者が揃っていた。
その中をムーミン大佐は歩み、カーテンの前で一礼。
「まっすぐ帰ってきたのだが流石に密偵方の足は速いですな。」
そう前置きをして帰還の挨拶、そしてルミナを一同に紹介する。
口上を終えた後、ムーミン大佐はウサコの裏切りを知る事となる。

その事実を不審には思うがあまり驚いた様子はなかった。
元々魔王達は忠誠で繋がっているわけではない。
利害関係や、お互いを利用する為に繋がっている側面が大きいのだ。
だからこそ、ムーミン大佐は初めて会ったルミナをもこうして玉座の間へと連れてきたのだ。
必要なのは信用ではなく、利害と力、なのだから。
しかしそれと同様にウサコの裏切りには不審を抱かずに入られなかった。
あのときからの状況でウサコが裏切らなければならない理由はないはず。
たとえ戦いに敗れたといっても空間転移があるのに・・・何故?

更に周囲が『石のようなもの』を手に入れて事で意気が上がってる事を見て一言付け加えておく。
「個人的なあの『石のようなもの』に秘められたパワーは底知れない。
意気が上がるのが判りますが、数日かけて解析してから利用するほうが賢明でしょうな。」と。

考えを巡らせながら下がり、椅子に座ろうとすると赤屍とルミナが言葉を交わしている。
その驚きを素直に口にする。
「驚いたね、Drジャッカル。君はこのような軍議は興味がないと思っていたのに。
すると私の土産話も既に映像として見たわけか。」
残念そうに肩をすくめて赤屍の隣の席に身を沈める。
だが、折角話すことを楽しみにしていたのでやはり一言話さなければ気がすまなかった。
嬉しそうな赤屍に更に言葉をかける。
「喜びたまえよ。何しろ私の右腕を持っていくほどの者だ。
朽ちていなければ・・・きっと君の渇きを癒してくれるはずさ。
他にも今回は粒ぞろいだったからねえ。ん?そういえば、彼はまだ帰ってきていないのか。」
軍議が続く中、赤屍と会話を交わし、きょろきょろと辺りを見回す。
ムーミン大佐が探したのは、共にオロッパスの城へと向かい城攻めを担当した紅竜だった。
高い野心を持つ男が、軍議で自分の戦果を高らかに報告すると思っていただけに、赤屍の参加とは逆の意味で驚いていた。

>「そちらの女性はどなたです?新しいお仲間ですか…?」
「ああ、壇上で言ったとおり、ね。我々の同輩になる確立は高い。
君にとっては残念だろうが、分別は付けてくれたまえよ?」
そういいながらルミナに目配せをした。(これが先程の言葉の意味さ)と。
バトルマニアではあるが、その分別はつく男。
そうは判っていても改めて言わずにはいられない赤屍から醸し出される気に苦笑しながら。

>145
そんなやり取りをしていると、大魔王が目覚めたと怪鳥が声を張り上げる。
そして大魔王の代弁を始めた。
>「皆の者、よく聞け!次のアヨガン国との戦には『地獄の帝王』を参加させるとのことだ!
その言葉を聞き、ムーミン大佐の咥えているパイプから立ち上る煙が少し濃くなった。
『地獄の帝王』を出す。
それは総攻撃であると同時に、それだけアヨガン攻略には骨を折る、という事を現しているのだから。
「着任早々大仕事だねえ。」
ルミナに語りかけるムーミン大佐の顔は愉悦に歪んでいた。
ムーミン大佐の報酬は完全歩合制。この世界で戦い成果を挙げればあげるほど報酬も大きくなるのだから。
そして、赤屍にも声をかける。
「さて、出陣までに再生が間に合うといいが。
Drジャッカル。腕ができたら結合手術をお願いできるかな?」

147:赤屍 ◆jdLx9J.tuQ
08/01/27 22:43:02 O
>>146ムーミン大佐からフェルの話を聞いた赤屍は久々の強者の出現を喜んでいた。
「実に楽しみですよ…ここ最近ずっと闘っていなかったものですから…ホントに楽しみです…。
ああ、紅竜さんならまだお帰りになられておりませんが…まあ、彼なら大丈夫でしょう。」
そしてムーミン大佐は赤屍に分別をつけるようにと警告する。
「ええ、分かっていますよ。私は無差別に人を殺したりはしません。」
口ではそう言っているが、説得力はあまり感じられない。

>>136赤屍はなんとなく勘づいていた。
ルミナが100%こちら側の人間ではない、いわゆる中立的な立場の人間であるという事に。
だが赤屍にはそんな事どうでも良かった。
赤屍もまた、100%魔王軍の味方という訳では無いのだ。
強者と闘う為に魔王軍に着いているだけで、魔王に協力する気なんてさらさら無い。
むしろ一戦交えたいとも考えている。
結局は強者と闘えればどちら側でも良いのだ。
「クスッ…ナンパですか…失礼しました。
私は赤屍蔵人、運び屋を営んでおります。以後お見知りおきを…。」
赤屍は笑顔で自己紹介をする。
しかしこの男ほど笑顔が不気味な男は滅多に居ないだろう。
非常に胡散臭いというか裏がありそうな笑顔だ。

148:赤屍 ◆jdLx9J.tuQ
08/01/27 22:44:48 O
「話相手が居なくて退屈していたんですよ。
それに…貴女は私と近い立場の人間だと思いまして…」
>>145と、ルミナとの会話の途中に怪鳥が大魔王の代弁を始めた。
「ようやく動き出しますか…私の出番もそろそろですかね…。」
嬉しそうに呟くと、ムーミン大佐から縫合手術を依頼される。
「よろしいですよ。片腕じゃ何かと不便でしょうからね。腕が出来たら教えて下さい。」

149:パラシエル ◆/Q.vnlAVN.
08/01/27 23:33:24 0
>140>141>135

>「“臭い”?」

ランカムの一人がパラシエルの見ている方向を見た。
パラシエルもまたじっと無表情で見つめ続けている。
すると目線の先に美しい一人のエルフ、リーべルが現れる。
しかしエルフといってもただのエルフではない。
ダークエルフである。
ポップが浮かれた声で話しかけてくる。

>「うひょお、美人じゃねえか。あんたの知り合い?」
「馬鹿か、僕様は任務以外で人間とは付き合わない主義だ。」

一方パラシエルは軽くポップを馬鹿にすると立ち上がる。
すると左手に取り付けられた装置から三本の大きな銀の爪が出てきた。
戦闘態勢である。
ダークエルフはその性質上魔王側に付いている事が多い。
もし敵であったらこのエルフを拷問に掛け情報を引き出せるだけ引き出そうと思ったのだ。
パラシエルは敵に情けを掛けるほど慈悲深い天使ではない。
しかし、パラシエルの爪は使われることはなかった。
そのエルフが話しかけるよりも先に怪我人の治療を始めたからだ。
ひとまず戦う気は無いらしい。
しかし暫くパラシエルは戦闘態勢を解かずじっとリーべルが治療しているのをみつめる。
が、パラシエルはすぐに飽きてしまい、爪をしまうとあくびとけのびをし、地面に体育座りをした。


150:パラシエル ◆/Q.vnlAVN.
08/01/27 23:35:07 0
>138>140>141
暫く地面に転がる石で遊んでいると急に怒声が響いた。

>「俺は好きにさせてもらう!短い付き合いだったな!!もう会う事もない!」

パラシエルはぐるんと声のする方を見ると、すでにフェルが歩き出していた。
奴もどうやら勇者側の人間らしいがこちらと一緒に行動する気は無いらしい。
フェルが歩み出した途端慌てて一人の騎士、ランカムも後を追う。
確かあの騎士、ポップの近くにいた男である。

「・・・全く、人間とは何故こうも後先考えずに行動したがるのだろうか。
まあいい、僕様には奴らが死のうが生きようが関係ないことだ。」

そう言うと再度あくびをして石を積み始める。

「しかし僕様にはこういう緊急時に単独行動を好む人間の気持ちがわからんな。
それについて行く人間の気持ちも。」

>「まあ、あいつの事はランカムに任せるとしてよ、パラシエル。
>俺達はこれから一体どうするべきなんだ?戦うにしろ、何か拠り所はほしいところだぜ。
>差し詰め、アヨガンとやらには行くべきなのか?」

ポップの問いかけにパラシエルは顔を上げると少し考え言った。

「・・・まあここにはもう用はないだろう。
何やらアヨガン方面から匂うものがある。言ってみて損は無いと思う。
それに時間があればできればゆっくりと今まで起きてたことを話して貰いたいしな。」

そう言うとポップを見てから上条の方を見た。
先ほどからこの男の臭いを覚えようとしているがまるでこの男から臭いを感じ取ることができないでいた。
まるでパラシエルの力が拒否されてるかのように。
パラシエルは鷲のクビを左手で持ち上げ猛烈にビンタし起こし鷲の上に乗った。

「ほれとっとと乗れ。チビ勇者ご一行。」

そう言うと鷲を動かした。
二種類の強く甘い臭い、即ち宝の臭いがするアヨガン方面へ。

151:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/28 02:33:09 0
>>141
「ちょ、ちょっと待ってくれ!ここは地球のヨーロッパ付近じゃないのか?
 異世界とか召喚って……流石に突拍子無さすぎる。第一、異次元ならともかく
 平行世界なんてモンがあるなんて話、聞いた事ねえぞ?」
ポップというらしい少年が教えてくれた内容を聞いた上条は頭を抑え、
混乱した様子で対応する。だが、上条が混乱するのも無理は無い。
オカルトに関わっている人間とはいえ、上条の生活するのは基本的に科学側の学園都市だ。
魔法やモンスターが身近に存在するポップのいた世界と違い、物事が科学的に解明されている
故に、ファンタジーへの状況処理の速度には差が出てしまう。
(……そうだ!)
上条は、何かを思い出し、ポケットから携帯電話を取り出してみる。その表示は、圏外。
学園都市製の携帯電話が、これほど開けた場所で圏外になる可能性はかなり低い
(さっきの鳥といい携帯といい、じゃあ、ここは本気で異世界って事なのか?)
>「幸い、仲間は何人かいるみたいだぜ。とりあえず、あそこにいる変なのが天使のパラシエル…」
ポップの言葉で迷走している思考を一時中断し、指し示す方向を見ると
そこには先ほど鳥の上で見た少年(?)と、先ほどはいなかった女性が一人。
上条はポップの説明が途切れたので、続きを促すために視線を戻すと
「なあポップ…っていねえ!?」
>>143
ポップはそこから既に消え、女性の方に向かい何やらフレンドリーに話しかけていた
>「はいはーい!ここにも重傷人が一人いるぜー!」
「どこの世界にも青髪ピアスみたいなのはいるんだな……」
上条は学園都市の友人の一人を思い出し、ポップ達の方を複雑な目で見て呟くと、
>>138
>「俺は好きにさせてもらう!短い付き合いだったな!!もう会う事もない!」
そんな怒声が聞こえてきた。
怪訝な表情で上条が声の方向を向くと、二人ほどの青年が離れていく所だった。
(なんだ?何か揉め事か?)
場合によっては仲裁に入ろうかと考えたが、周囲の様子を見るとどうも違うらしい
先頭を行っている青年が集団から離脱するとか、そんな感じの問答の様だ。
青年達と、先の女性は結局離脱していった様だ。

152:上条当麻 ◆dMCq11hv6U
08/01/28 02:35:06 0
>>150
>「しかし僕様にはこういう緊急時に単独行動を好む人間の気持ちがわからんな。
>それについて行く人間の気持ちも。」
パラシエルの台詞に、上条は圏外を示し続ける携帯をいろいろ操作しながら、何となく返事をする。
「まあ、確かに皆でいる方が楽しいとは思うけどさ、こんな風にいきなり知らない場所に
 連れてこられたら混乱してどう行動すればいいか解らないってのは普通だと思うぞ?
 つーか、今現在の上条さんがそうですから」
実際、ポップに話を聞けなければそうなっただろう。うだー、とため息を付きながら
上条は携帯を閉じる。少なくともここがどこか遠い世界だという事は認識したようだ。
それに、と前置きを置き、当たり前のように続ける。
「それに、着いて行く奴は心配だったんだろ。」
遠目に青年の一人と女性の表情が見えたからこそ、
何となく嫌な予感はあったが、上条は彼らを心配することはしていなかった。

>俺達はこれから一体どうするべきなんだ?戦うにしろ、何か拠り所はほしいところだぜ。
>差し詰め、アヨガンとやらには行くべきなのか?」
>「・・・まあここにはもう用はないだろう。
>何やらアヨガン方面から匂うものがある。言ってみて損は無いと思う。
>それに時間があればできればゆっくりと今まで起きてたことを話して貰いたいしな。」

『戦う』という言葉を澱み無く出すポップに驚きを覚えながらも、
しかし、現状ではどうする事もできなさそうなので、上条は促された通りに
鳥に乗ろうとするが、そこでパラシエルに尋ねる。
「なあ、勇者って誰……じゃない。えーと……そういえばアンタ何て名前か聞いて無いな。
 っつーか、ちょっと待ってくれ、ここに残ってる人達は大丈夫なのか?
 随分怪我してる人達がいるのに、またさっきの獣耳っ娘みたいなのに教われたりしたら」
上条が見ているのは、先の戦闘に巻き込まれたと思われる多くの負傷者。
正直、上条はまだ異世界に来たという事を全ては信じきれていないが、例えどんな目的の為に
どこに行くにしても、目の前の人達が危険に晒されるのを解っていて、
そして、自分がそれを助けられる可能性を持っているのならば、上条はそれを見捨てる事は
しない。彼らが危ないのならば、上条はここに残る事を選択するだろう。


153:パラシエル ◆/Q.vnlAVN.
08/01/28 15:22:30 0
>152
>「なあ、勇者って誰……じゃない。えーと……そういえばアンタ何て名前か聞いて無いな。
>っつーか、ちょっと待ってくれ、ここに残ってる人達は大丈夫なのか?
>随分怪我してる人達がいるのに、またさっきの獣耳っ娘みたいなのに教われたりしたら」

上条の問いにパラシエルは一つため息をつき答えた。

「全く面倒な奴だ、僕様の名はパラシエル、
この世界にやってきた勇者達を助けに来てやった宝箱の世界からやってきた宝の天使様だ。

ここに残ってる奴らは恐らくもう大丈夫だろう。援軍が来た臭いがする。
漂ってくる臭いの方向からして恐らくアヨガン方面の騎士達。
そこら辺の騎士はそこそこ強いからな。多少の魔物が来ても太刀打ちは出来るだろう。
負傷者の手当もある程度やってくれるはずだ。それに・・・まだ先ほど去った二人とダークエルフがまだここに居るらしいしな。
なににせよこの半瀕死状態の国を守ったってなんの価値は無い。
この国を守る暇があったらとっとと別の事をした方が良いだろう。」

どうやらパラシエルは上条とは逆の正義をもっていた。
目の前の負傷者よりも未来の負傷者、取りあえずなんでもいいから早くこの仕事を終わらせたいのだ。
どんな人間にも生きているだけで価値がある等という考えも特になかった。

「それから勇者について聞き出そうとしたな。勇者の詳しい定義については僕様もよくわかってない。
ただ神からはこの世界を守る意志のある異世界人と言われた。なのでお前を助けたこのチビ助も勇者だ。
無論その意志があるのなら・・・貴様も勇者、単独行動を始めたツンツン頭らも勇者である。

なので、本来あのツンツンらもサポートしなければならない立場かもしれないのだが・・・
わざわざ単独行動を好むつっぱった奴らのサポートを必死でするほど僕様はやる気のある天使では無いものでな。
このチビ勇者の近くが一番やりやすそうだと見た。一番あほそうだしな。」

154:紅竜 ◆DuEaAnn9RQ
08/01/28 16:56:05 O
紅竜の放った魔力弾は、兵士たちを守ろうとしたのか飛び込んできた男の手にとめられた。
>「ふん、弱いものを倒して面白いか?俺が相手をしてやる!」
「おおう。英雄気取りの愚か者がきおったか」
ニヤリと余裕の笑みを浮かべてみたが、この男の技の破壊力を知っている以上、内心は穏やかではない。
地下の戦いには参加していなかった紅竜だが、戦いの状況は把握している。
ウサコやムーミン大佐との戦いの傷が残っていないのも問題だし、
そもそも自分の拳法が通用するかどうかも疑わしい。とそこまで考えたのだが‥‥
相手の行動は予想外のものだった。

>「…な、なに?………」
>「し、しまった……クッ…いいだろう!覇気などなしでもやってやる!!」
その言葉、その慌て方。間違いない。こいつはあの強力なオーラを使えなくなっている!
横にいる黒肌の女が男になにか話しかけているのが聞こえたが、
地下での戦いにいなかった女など警戒する必要もない。
「くくく‥‥貴様どうやら覇気とやらを使えなくなったようだな。
まあ、仕方あるまい。
あんな二足歩行のカバに負けたら、恥を知る人間は死にたくもなるだろうからなぁ」

だがフェルはまだ闘志を失っていないようで、構えは崩さない。
それでいい。こんな所で挫折してもらっては困る。
世界征服の野望のためにも、大魔王に立ち向かう英雄は多い方がいいのだ。
大魔王と英雄たちが戦いの末共倒れになった隙に、魔王軍の全権を握るのが紅竜の筋書きなのだから。
戦果の報告もせず残ったのも、召喚戦士達をアヨガンに行かせるお膳立てをする為。
あの強大な力を持つ石に加えて封魔の宝玉まで大魔王の手に落ちれば、魔王に対抗できる者がいなくなるのだ。

>「…襲撃者ッ!?」
声が聞こえた方を見れば、聖印騎士と名乗っていた男がこちらに駆け寄ってきている。
1対2ではさすがに分が悪い。
「遅いわ!黒竜波動拳!!」
援軍到着の前に一撃は打ち込んでおこうとフェルに向かって両手から気弾を放つ。
が、気弾は風の障壁に軌道をそらされてあらぬ方向に飛んでいってしまった。
「おおう?魔術士がいたのか」
リーベルが魔法を唱えていたのを完全に見過ごしていたのだ。
そういえば、魔王軍の手配書に召喚石の秘密を知るダークエルフとやらの事が書かれていたが、
あれはこの女の事だったのかもしれない。
石ころの秘密なぞ自分で解き明かせるが、いざとなれば下僕アンテナを使って協力させる必要があるだろう。

そこへ魔王軍の伝令が飛んで来て、大魔王の意志を告げた。
「おおう!そうか!次のアヨガンとの戦いには『地獄の帝王』が参加するのか!」
わざわざ大声で伝令の内容を叫び、兵士や勇者様御一行に聞かせてやる。
ここまですればお人好しの奴らは必ずアヨガンに行くだろう。
「ふはははは!それならばもうこの城に用はないわ!さらばだ!
この悪の天才紅竜と戦って生きていられることを幸運に思えい!」
紅竜は忘れずに自己紹介を済ませると、転移魔法を発動させる。
特に妨害がなければ、先に指定している離れた場所に移動できるだろう。

155:リーベル ◆fbsB0QAAho
08/01/29 18:49:09 0
>149、>154
>援軍到着の前に一撃は打ち込んでおこうとフェルに向かって両手から気弾を放つ。
>が、気弾は風の障壁に軌道をそらされてあらぬ方向に飛んでいってしまった。
魔力を練り切れないまま発動した風の守りだったが、相手の攻撃の
威力がそこまで大きくなかった事も手伝って期待通りの効果を発揮した。
しかし、敵からは戦意を感じない。まるで手加減しているような、奇妙な
感じだった。エルフ特有の鋭敏な感覚は目の前の敵の力はこの程度でないと
はっきり伝えてきているにも関わらずだ。

>「おおう!そうか!次のアヨガンとの戦いには『地獄の帝王』が参加するのか!」
敵は伝令と思しき使い魔からの指令を、まるでこちらに聞かせるかのように
大声で言い放った。表情から見て間違いなくわざとだ。魔王軍も一枚岩では
ないと言う事なのか……敵も召喚者、だとすれば頷けなくも無いが。
だとすると、目の前の敵の目的は……?

>「ふはははは!それならばもうこの城に用はないわ!さらばだ!
>この悪の天才紅竜と戦って生きていられることを幸運に思えい!」
そう捨て台詞を残して敵、紅竜は転移魔法で離脱した。
実力ある者が自分から天才と名乗ると言うのは、自分本位な言動を
当然の事として捉えている証拠だとリーベルは思っている。
ダークエルフと言う種族の選民思想に相通ずる物があるその考えを、
リーベルは許す事が出来ない。それゆえに追われたのだから。

だが今のリーベルに出来ることはない。転移魔法を阻止できるだけの
魔力は残ってないし、そもそも発動した転移魔法の転移先を操作する事も出来ない。
(「自分勝手な存在が多すぎる……何故そんな生き方が出来るの……」)
ダークエルフでありながら他者を傷つける事を良しとしないリーベルには
未来永劫理解できない思想。それは相手も同じだろう。

二度あることは三度あると、いまだ警戒を解かないままリーベルは
先ほど自分にあからさまな警戒心を見せた少年の行動を思い返していた。

>すると左手に取り付けられた装置から三本の大きな銀の爪が出てきた。
あの少年は自分を見ただけで爪を展開させた。
それはつまり、ダークエルフと言う存在を知っていると言う事だ。
周囲にいた他の人々はそんな行動は取らなかったし、そのいずれもが
見た事のない装いだったのを考えるとあそこに固まっていたのは
全員召喚者なのだろう……あの少年は、自分がいた世界から召喚されたのだろうか?
それに、少年から感じる気配は自分の種族としての属性とは真逆に位置するもの。
どのような存在か……その辺りまで考えて、急に視界が回り始める。
度重なる魔力の消費と精神の酷使で限界が来たらしい……程なく、リーベルは意識を失った。

156:オロッパス周辺の状況 ◆svDXdcR9Gw
08/01/29 19:33:18 0
部隊が紅竜の襲撃を受けているとき、忍者みたいなものが影の中から現われ、アヨガン国の報告をした。
「アヨガン本国が大魔王軍の総攻撃を受け、苦戦を強いられております!
 至急、本国にお戻りください!」
もう襲撃が始まっているとの報告だった。
忍者みたいなものは全身を激しく回転させ、タケコプターの要領で空を飛んで本国へと引き上げていった。
「むむむ、魔王軍め。相変わらず行動が早過ぎる。
 しかし、此処で退いては負傷兵や一般人が……くそっ、どうすれば!」

>154
報告が来たのとほぼ時を同じくして、魔王軍が引き上げていった。
「む、魔王軍が引き上げてゆく!」
これはどうしたことかと思いつつも、とりあえず危機が去ったことに安堵した。
だが、今度は自国の危機とあって、隊長は事を急がねばならぬと判断したようだ。
「お前たちは此処に残って、住民や負傷兵の救護を続けろ。
 私は報告に戻るが、くれぐれも警戒を怠るな」
隊長が部下にそう指示を出して踵を返し、馬に飛び乗った。
「『地獄の帝王』……話には聞くが、一体どのような怪物なのだ?」
馬を走らせる隊長は、1人そんなことを呟いていた。

157:生き残りの魔術師 ◆svDXdcR9Gw
08/01/29 20:44:33 0
1人の魔術師が、瓦礫の山の中から這い出てきた。
しかし、もはや立っているのもやっとの状態である。
「力及ばず国は破壊され、『石のような物体』も奪われてしまった。
 民には酷だが、今はこの国を守るよりも、アヨガン国の救援が先決だ。
 アヨガン国の『封魔の宝珠』が魔王軍の手に渡ってしまえば、
 もはや魔王を倒す手立ては無くなってしまう。
 そうなれば、いずれこの世界そのものがこの国のようになってしまうだろう」

死に瀕した魔術師は、まず平らで広い場所を探した。
そして、自らの血を使って魔法陣を描いた。
アヨガン国との連絡用に使われていた転送用の魔法陣と同じものだ。
先ほどの戦いで崩れてしまったことを知っていた彼は、あえて描き直したのだ。。
魔術師はその作業で体力と魔力を使い果たした。
『勇気と力を備えた者がこの転送の魔法陣を見つけることを望む』
魔術師は最後の力を振り絞り、魔法陣の近くにそう書き記した。
「ぐふっ……」
魔術師は息絶えた。

158:大魔道士ポップ ◆bTJ1y4hkoY
08/01/29 21:45:42 0
>>150
>「・・・まあここにはもう用はないだろう。
>何やらアヨガン方面から匂うものがある。言ってみて損は無いと思う。
>それに時間があればできればゆっくりと今まで起きてたことを話して貰いたいしな。」
「何だ、天使っつっても何でも知ってるわけじゃねえんだな」
ポップは両手を広げた。
神の使いだから、何でも知っていて都合よく旅をナビゲートしてくれるものだと思っていたらしい。
「じゃあ、行くだけ行ってみっか。どうせアテもねえんだしな。誰かさんも思ったより頼りにならなさそうだしよ」
ポップはパラシエルに嫌味な笑みを向ける。
小便臭いとか糞餓鬼と言われた事へのみみっちい仕返しだった。

>>152
そしてパラシエルはさっきの鷲にまたがり、ポップ達にも乗るように促す。
上条はそれに対し、ここの怪我人達を放置して、さっきみたいな連中に襲われたらどうするのかと問う。
しかし、パラシエルは最早自分たちがここを守る必要はない事を説明する。二人の考え方は正反対だった。

>>153
>このチビ勇者の近くが一番やりやすそうだと見た。一番あほそうだしな。」
「うっせえこの穀潰し天使!さっきからチビチビっておめーも大して変わんねーだろうが!」
ムキになって唾を飛ばして反論した後、上条に向き直って言う。
「…上条、口は悪いがこのアホ天使の言う事も一理あんぜ。いや、守る価値がないっていうんじゃねえよ」
くるりと辺りの惨状を見回してみせる。
「言いたかねえけどもう壊滅状態だ。今さら、あのレベルの奴らが先陣切って攻める価値がないとは思わねえか?」
幹部が目的もなくほぼ壊滅済みの国へわざわざ出張ってくるとは考えにくい。
石を奪取したムーミン大佐があっさり退いたことからしても、目的は国の壊滅でなくあの石だったのだろうから。
言葉にはしなかったが、つまりここは自分達の戦力で守る場ではないということだ。
「怪我人の治療も今の魔力じゃできねえし、ここにいても俺達に出来ることはあんまりねえ」
怪我人はアヨガンの騎士達が看てくれるだろう。自分達にも多少の手伝いはできるだろうが、それだけだ。
一騎当千の戦力を持つ召喚戦士達には、きっと他にやるべき事がある。

「でもよ、せっかく目的地のアヨガンの騎士が来てるっつうんだし、ランカム達もまだ戻ってきてねえ。
そこで頼みたいんだけど、ここでちょっと警備や救助の手伝いをしながら情報を集めておいてくれねえか?
俺はこのトンヌラ天使と先に行ってちょっとアヨガンの様子を見て来っからよ。
向こうで落ち合おうぜ。ランカム達を連れて後から来てくれ。何かあったら瞬間移動呪文ですぐに戻って来るからよ」
ポップはそう言って、鷲の背中にひらりと飛び乗ろうとして失敗し、結局よじ登った。

159:聖印騎士ランカム ◆llczit4Tmc
08/01/30 01:04:26 O
--これも“魔法”か?
いつの間にか、周囲を包む気流。
…いや、彼女流に言わせれば“精霊”の力なのだろう。

逸れた黒竜波動拳の着弾が、近くで砂煙を上げるが、
“風”の加護ゆえか、視界は保たれている。
--よしッ。この位置なら、彼を支援できる。
紅竜を挟んで、フェルと対角線上に立つ。
挟撃は、騎士団の基本戦法だ。

しかし、その状況はすぐさま、敵の伝令によって水を差される形となった。
--侮られているのか?
男にはもはや、戦闘継続の意思は無いと見えた。
“紅竜”そう最後に名乗りを上げ、男は転移魔法を発動させる。

挟撃の状態で、伝令と対話する剛胆さだ。
“天才”の自称も、強ちただの慢心ではないか。
「見事な引き際だな」
苦々しげに言い、抜き身のレイピアを鞘に収めた。

いつの間にか、部隊長の傍らには、影のような男がいる。
伝令がもたらした報告は、魔王軍侵攻開始の報だった。
これは予想以上に、動きが早い。
事前に予定されていたと考えても、侵攻までの動きに、淀みが無い。
よほどの命令系統が構築されているのが、あるいは--
--魔王軍の中でも、全軍に直接指揮をとれる程の者が出向くのか。
「それが、“地獄の帝王”という訳か…?」

この世界に来てから、遭遇する事はわからない事だらけだ。
--ならば、自分の眼で確かめるしかない。
固定観念に囚われた想像が、真実に辿り着く事は無いだろう。
今は眼に見える物を、疎かにしてはならない。

「フェル殿、その方をッ」
疲労からか意識を失った女性を示しながら、道具袋の中を探る。
最初、持っていた回復薬・キュアルートは三個だった。
最初の襲撃時に一つ使い、二つ目はフェルに使い…三個目は?
--気絶中に落としたか。
実際にはフェルが、ポップに使用していたのだが。

「…皆の所に戻りましょう」
他の者達なら、彼女に適切な処置を施せるかもしれない。
フェルは不安定でも、無防備な彼女を見捨てるような男では無い。
そう信じた。

160:フェル・エクスティム ◆apHxuANXac
08/01/30 17:57:07 0
>>144>>154>>155>>159
「本調子ではないようですね……文句はお互い生きていたら
後でいくらでも聞きます。あなたはあなたの好きにしなさい。
私も私の好きにしますから。」
そう言い女は勝手に風でできた防御膜のようなものを俺や周りの雑魚に張る。
俺は女を睨みつける。なぜ他人など助ける!?それも息まで切らしてすることか!?
「遅いわ!黒竜波動拳!!」
しまった。この女に気を取られすぎてあいつの動きを見れてなかった。
しかし、気弾は勝手に俺から逸れていく。これがこの女が張った術か!
「貴様!いい加減にしろ!!俺に構っている暇があったらそこら辺の雑魚を守っていればいいだろうが!!」
向こう側に見えるランカムといい、なぜこいつ等は援護したがる!?

その時、敵の伝令を受け取ったフードの男がわざとらしい大声で叫ぶ。
「おおう!そうか!次のアヨガンとの戦いには『地獄の帝王』が参加するのか!」
アヨガン?地獄の帝王?よくは分からんが近いうちに戦いがあるらしい。
それだけ聞ければ俺は十分だ、戦いがあればあいつも出てくるかもしれない。
そう…この首の刻印を刻んだ奴であるムーミン大佐に!
そうだ、この前の男にしろ地獄の帝王にしろ…ムーミン大佐に勝つ価値に比べれば微々たるものだ。
この傷がある限り俺はあいつに生かされているのだ!それがまずガマンならん!
こいつ等に助けられるよりもガマンならんことだ!

「ふはははは!それならばもうこの城に用はないわ!さらばだ!
この悪の天才紅竜と戦って生きていられることを幸運に思えい!」
「おい貴様!アヨガンの戦いに参加しろとムーミン大佐に言っておけ!!
 本当なら貴様も倒しているんだが…そのために生かしてやる!」
なにはともあれ面白くなってきた。とにかくアヨガンとかいうところに行く必要がある。
「おい女!アヨガンとかいう場所を知っているか?」
返事はなく。振り向くと女は気を失っていた。他人に気を配って自分が倒れるなど馬鹿な奴だ…
「フェル殿、その方をッ」
「…チッ、なぜ俺が!!」
そういい女を抱かかえる…本当なら無視するがこの女にもまたランカムにも一応助けられている。
だから恩着せがましい手助けを受けて借りを作るのは嫌なんだ!
必死で薬を探しているランカムに少し苛ついた口調で言う。
「あの薬ならあのバンダナに使った、勝手に使って悪かったな。
 それで?この女はどうすればいい?正直いつまでもかかえられるほど軽いものでもないんだ!」
「…皆の所に戻りましょう」
少し考える、俺はあの時声高々に決別を口にした…
今更恥ずかしくて戻れるわけもない…まさかこいつ俺に恥をかかせるために言っているのか!?
だが…俺1人ではアヨガンについての行き方が分からないのも事実…
ましてや俺はそういう情報収集のような真似は嫌いだし苦手だ……
「…………いいだろう、だが勘違いするなよ。戻っても別にあいつ等を助ける気もないし、
 助けられる気もない!そしてこの女を助ける気もない!仲間になる気など更々ない!
 ただ俺は1人ではアヨガンについての情報を集めるのが難しいと判断したから戻るだけだ!」
 

161:兵士達の会話 ◆svDXdcR9Gw
08/01/31 00:21:38 0
アヨガン国の兵士の話題は、『地獄の帝王』の噂で持ちきりだった。
何せ、『地獄の帝王』は、大魔王の軍団で最も恐ろしい怪物だと言われている。
紅竜によってその名を聞かされ、震え上がる者も居よう。
状況が状況なだけに、明るい話題など聞こえてこない。

「聞く話によると、『地獄の帝王』は見上げるような巨体の怪物だという。
 本国が苦戦しているという報告はあるが、今のところ、『地獄の帝王』らしい奴が現われたとは聞かぬ」
「見上げるような巨体?」
「ああ。小屋くらいあるらしい。
 そのせいかは知らんが、篭城策をとった城の多くが、ヤツによって落とされているという報告もある。
 どれだけ城門を硬く閉ざしても、すぐに破られてしまうんだと。
 それどころか、城が丸ごと破壊されることだってあったらしい」
「なるほど。確かに、そんな奴が来てたら、いくらなんでも報告が来るだろうな」
「うむ。敵さんがこのままの勢いで攻める分には、あと半月は篭城できるとのことだ。
 しかし、これ以上攻撃が激しくなれば、どれだけ耐えられるかわからんな。
 まして、何人もの召喚戦士が大魔王の下についている以上、『地獄の帝王』以上の奴が居ないとも限らん」

また、随分とネガティブな方向に話を進めている兵士達も見られた。
「向こう側の召喚戦士も、まだあまり多くは出撃していないらしい。
 向こうも『切り札』は幾つも残しているようだな」
「何言ってるんだ。こっちだって『封魔の宝玉』がある」
「だが、それは向こうにも知れ渡っていることだろう。
 その証拠に、奴等はそれを狙って我等が祖国に進軍しているではないか」
「それに対して、こちらは向こうの切り札とも言うべき『地獄の帝王』についても、
 向こう側についた召喚戦士にどんな奴が居るのかも、われわれはよく知らない。
 何より、大魔王自身が戦った記録が無い以上、ヤツがどんな力を持ってるのかを知る術が無い」
「確かに、向こうの戦力は未知数だ。
 それに対してこっちの切り札は既に割れている……かなり厳しいな」
兵士達の表情は、一様に険しかった。
それだけ戦況が厳しい事が伺える。


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