07/09/26 00:15:40
俺は朝起きて、ゴソゴソとパンをまさぐる。
すぐ横にあるはずだ。レーズンパン、袋らしきものが手にあたり、ひとつ取る。
パンが口の中にまとわりつく。嫌な朝、毎朝毎朝、いつもいつも。レーズンパンの嫌な食後感が俺を苛める。
猫が笑っていた。窓辺から逆行で俺をにらんでいる。
葉がさわさわと猫をなでる。
ついに目覚めた俺は、起き上がった俺は、なんとなく顔を洗う。
少しサッパリしてスーツを着た。
パリッと、ピシっとではなく、なんとなく着た。
このままなんとなく寝癖をととのえて、なんとなく家を出て、なんとなく駅につく。
なんとなくお伊勢さんに着いても良さそうだが、俺は決して地元の駅以外には着かない。
俺には行くべきところがあるからだ。
しかし俺は行きたくなかった。
行きたくないのに行くべきところがあるのだ。
ハッキリとした目的とハッキリしない目的意識。
朝の寝ぼけのせいだと、寝るまで思っている。
今日も満員電車に乗る。
ここは少し知性を見せるところだ。
俺はドアの閉まる瞬間を狙うのだ。
ドアに寄りかかって満員電車をやり過ごすために。
誰よりも遅く入り、誰よりも早く脱出する。
誰もがそう思えば叶わない。
俺だけが、誰よりも強くそう思うから、俺は今日もドアに寄りかかることができるのだ。