07/09/23 02:32:30
彼岸は残り火。
やがて来る秋は残り香。
尽きて、なくなれば、目を焼き焦がす光もなつかしく、そっと思い出そうにも虚空が邪魔をする。
風とともに陽を気持ち良くちらせていた緑は、今は全てを包み込む憂い色。
星すらも飲み込まれてゆく。
緊張と高揚と忘却の闇は、音を喰らい空をかすめとられ立ち尽くす。
この時の止まった日々に、次々と時間が通り過ぎる。
チラリとふらつく焦りに声をかけてみても、曖昧に叫び声をあげるだけ。
すべて灰色の空に薄まり溶けてゆく。
リン?
寝ているの?
瞼をそっと人差し指で撫でてみる。
まつげがあたり、六角形の崩れたような釘が首に刺さる。
突き抜けて、雲にとどくまで、僕の喉には穴があいていた。
穴だ。
塞ぎたくなるかい?
君が今目をあけたら、きっとこの穴は広くなる。
君はジッと、寝ぼけた目でそれを見つめるだろう。
ジリリジリリと灼かれ、腕が通りそうなほどにまでなり、君が手を伸ばす。
やめてくれ、さわらないでくれ、通したところで誰が幸せになれるんだ?
君の欲求が、白く柔らかい腕が、僕に近づく。
ポッカリとあいた穴は、君をするりとたやすく通し、
はじける。
僕の穴はついに大きくなりすぎて、心臓と頭をきりはなす。
心臓が僕を探してキョロキョロと、焦っているのか?
僕はもう嫌だよ。ありがとう。
頭は砂になり、探す手がゆっくりと崩していった。