スクールランブルバトルロワイアル13at EVENT
スクールランブルバトルロワイアル13 - 暇つぶし2ch565:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:40:32 gwH30NMS

 結局トリガーを引くことはできなかった。手を垂らし膝をつき、三原は考える。
自分は生きる。生きるためには高野であっても一条であっても殺すしかない。
その意思はもう揺らぐことはきっとない。
辛いのは、自分の歩むと決めた道に大事な人達が誰もいないこと。音篠達とは永遠に交わらないこと。
けれど、その選択は安易に飛びついたものではなく、考えて考えて考えぬいた結果だとしたら。

 親友達が望まない道だから、もう誰の笑顔も思い出せないのだと思っていた。
それは―違うのかもしれない。歩む道や選んだ扉が違ったとしても、受け入れられないものだとしても
認めること、認めてもらえることはできるのではないか。
音篠や、今鳥や、八雲がもう笑わないのは、笑顔が思い出せないのは自分が彼らを隠れ蓑にしているからではないのか。
もう解放して欲しい、と刑部は言った。それはつまり自分が八雲や天満を利用するのは止めて欲しいという意味なのだ。
選んだ手段がどれだけ汚らしいものだとしても、その決意をしたのは自分。それを認め、受け入れる。
誰のためでも、誰のせいでもなく自分のために信じると貫き通した道ならば、
その先にはきっと大事な人達が、追い求めていたものが―

(……何ていうんだろ。こういうの……)
 過ちがあった。悩んだ末の決断もあった。許せないことも多い。どれも認めなくてはならない。
三原はゆっくりとその場を立ち上がった。生きるため、全てを終わらせようと固く誓う。
生存者が一条なら、銃を突きつける前に過ちを詫び、決意を伝えよう。
そして刑部にも言わなくてもならないことがある気がした。
渦巻いていた狂おしい感情は消えていない。けれどもそれに振り回されてはならない。
これまでの自分は憎しみにつき動かされていた。自分で決めたと言いつつ、ただただ憎しみに操られていたのだ。
相手は誰でもよかった。笹倉でも播磨でも刑部でも一条でも高野でも。

(行こう……行かなきゃ!)

 信じられないほどに体が軽い。両腕もまだ動く。膝に力を込めて、体を起こした。もう周囲に動くものは何もない。
「……伊織?」
 どこかで見られている気がした。先程鳴き声が聞こえたから。見守ってくれているのか、見届けようとしてくれているのか。

566:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:42:58 gwH30NMS

この島で出会った大事な友達はまだいた。それが三原にまた勇気を与えていた。


 * * * * * * * *

「はい……はい」
 森の中に淡々とした声が小さく響く。独り言のように見えるが、それにしては口調がはっきりしすぎている。

「そうですか、わかりました」
 直後に鳴った小さな電子音を最後に声が途絶える。携帯電話を握っていた少女は液晶の画面を白けたようにじっと見つめていた。
そしてほどなくして大きめの警告音が鳴る。充電をするよう持ち主にメッセージを発しているのだ。
高野はそれを無視し、携帯電話をリュックの中に放り込む。

「先生は気楽でいいわね」

 盗聴器のことを承知の上で、わずかな皮肉を込めて呟く。
一条を殺した。残りは一人になった。だが生きているのはまだ二人いる。
刑部の存在が気がかりだった。三原が殺してくれれば問題ないが、正直なところ期待できない。
そんなことを考えながら一条の荷物を奪い、銃の動作確認や荷物の整理をしていたときのこと。
ふと携帯電話が気になった。メールくらいにしか利用していなかったが、本来の用途はどうなのだろう。
まさか外部と連絡できるはずもないが、圏外というわけではない。
試しに時報にかけてみた結果は予想していたうちの一つだった。
その折、せっかくの機会なので笹倉や刑部の存在について問い正した。
一条の荷物からわかったことだが、刑部は管理側の情報を漏らしている。
そして先程自分は銃撃を受けた。
けれども電話の相手である姉ヶ崎からの返事は『そっかあ』『大変だねえ高野さん』といった類のもの。
それがどうしたといわんばかりの態度を隠そうとしない。
おまけに背景から漏れてきたのは、菓子が割れたりお茶のようなものをすする音。
唯一の収穫は殺しても問題ないということただ一点。

567:参加するカモさん
07/07/17 02:43:46 6u0RqKl1
支援

568:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:44:40 gwH30NMS

(……)

 手早く荷物と考えをまとめる。三原の武器は機関銃。麻生の持っていたUZIかもしれない。
刑部ならばそれなりに浪費させてくれるだろう。
情けないことだが、それにかけている期待はかなり大きい。
必要なのは情報だ。ノートパソコン。沢近がまだ生きていた頃、三原は体育館にいた。
本人が刑部を追っている今、バッテリーとともに三原のリュックにあるとは考えにくい。
体育館へ行って見る価値はある。

 腹に溜まらない程度に水分を補給して、地面に捨てる。
カロリーの高いジャムパンを半分だけ食べた。
残りの食料と即戦力にならない道具は置いていく。ただし教師に連絡できる携帯電話だけは別だ。
ドグラノフ狙撃銃を握りしめるが、その重量に腕が震える。
疲弊した体に容赦なく負担が要求される。
けれども置いて行くことはできない。数少ないUZIに対抗し得る武器なのだ。
あと一人―あるいは二人。それを支えに、高野は地獄に幕を下ろすべく歩き出した。


 昼までに決着はつくだろう。乾いた空気を吸いながら終末を予想する。
空は青空が広がっていて、天気だけで言うならピクニックと変わらない。
うららかな日差しが制服の上から肌を刺す。
雲がないので、高いところの風の流れは分からない。
そう思っていたら小さな雲が視界の隅に映る。ほどなくして細かく散った。
凧はとても高く揚がりそうだった。

569:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:46:11 gwH30NMS


 * * * * * * * *

 重量のある金属の扉が軽く軋む。つい膝をぶつけてしまい、ゴゥンと重い音が響く。
太陽はだいぶ高い位置にきていたが室内にはまだ熱が伝わりきっていないのだろう。
ここまでの行程で汗ばんでいる体に、冷えた空気が若干の鉄の臭いとともにまとわりつく。
触覚からは高揚感、嗅覚からは不快感を感じ取る。

「……私が一番乗りか」

 目的の道具はすぐに見つかった。そして少しだけ離れたところにあるのは血の塊。異臭の発生源。
その中心には男子生徒が倒れていた。それが誰なのか、確認するまでもない。

「……残念だったわね、播磨君」

 意味のない一言をつぶやいて、高野は歩を進めた。ノートパソコンの前に立ち電源を入れる。
起動するまでは入り口のほうに銃を構えて警戒を続けた。
「三原さんは、と」
 島の地図に点在する数多の黒印。大勢のクラスメイトの名前。自分が殺した沢近愛理。
知らぬ間に殺された親友の塚本天満と周防美琴。慕ってくれた後輩二人。それにまとわりついていたバカ。
自分が見逃した男に殺された大馬鹿者だ。そして、今またその男の武器を警戒している。

(……三原さんは、知っているのかしらね)

 あの男の最期を。最後まで自分の前に立ちふさがるはずだった存在を。
追い払っても追い払っても食い下がってくる、国外追放しても戻ってきた非常識な人間。

 意味のない思考を無理矢理打ち切る。三原はまだ生きている。そして体育館とは若干の距離があった。
自分同様に、ノートパソコンを求めて体育館にやってくる可能性は高い。逆にそれが好機だ。
体育館の入り口は一つしかないのだから、見計らって狙撃してやればいい。
ドグラノフ狙撃銃をリュックにしまいこみ、両手を自由にする。ノートパソコンを閉じてバッテリーを上に積む。

570:参加するカモさん
07/07/17 02:47:45 6u0RqKl1
 

571:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:50:00 gwH30NMS

中の電解液がこぼれおちないよう注意しながら、高野は入り口に向かって歩き出した。


 体育館への入り口は一つ。ただしフロアに出るまでの扉は二枚あった。一つ目の扉は薄汚れたガラス張り。
外からやってくるとまずそれを通る。近くには下駄箱があり、トイレや教員室、器具室につながる廊下もある。
おそらく生徒達はここで靴の泥を落として上履きに履き替える。そして廊下を挟んだ向こうに二つ目の扉。
こちらは金属でできていて、どこかさび付いているのか開きにくい。それを越えて初めてフロアを見ることができる。
高野がやってきたとき金属扉は開かれていた。硬くて三原には閉じられなかったのだろう。
通り抜けられる程度のスペースはあったため、そこに身をすべりこませる形で中に入ったのだ。

 そして今、高野はノートパソコンと体の位置関係を横にずらし、無事に通過できるよう体を動かしていた。
視界が赤銅の扉に覆われる。リュックを足で引きながら、横歩きで狭い隙間を通り抜けた。
その直後にキィ、と何かが開く奇妙な音。疑問と共に正面を向いた高野が見たものは。
外からは中の様子が見えない程の有様を見せるガラスの扉。そこを丁度通り抜けた刑部の姿だった。

――!

 世界が弾ける。反射的にノートパソコンを投げつけた。刑部は即座に横に跳び、それを避ける。
扉が砕け、数多の破片が一瞬の芸術を描く。けれどもそれが二人の目に留まることはない。
跳ねた鋭い硝子の切っ先が地面に落ちるより、希硫酸の異臭が下駄箱回りに立ち込めるより早く両者は跳ねた。
距離が詰まり、そして止まる。互いの全てを見通すように、素手のままにらみ合いが続く。世界が安定を取り戻すまで。

 じわじわと足元の波紋が広がっていく。硝子の粒子がその海に浮かび朝日を反射させ瞬く。
「……三原さんは?」
「知ってどうする?」
「殺します」
 互いの喉を、目を、動脈を、心臓を見つめる。二人の間だけ、世界から忘れ去られたような静寂に包まれた。
その場の空気に血も凍るような冷気が立ち込める。
「それは無理だな」
 刑部はにべもなく言い放ち、空気より冷ややかな口調でゆっくりと続けた。


572:参加するカモさん
07/07/17 02:50:23 JBGp3MrP


573:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:51:32 gwH30NMS

「三原君は近くにいない。そして君に会うこともなさそうだ」
「……理由を伺ってもよろしいでしょうか」
 再び沈黙が舞い戻る。視線と視線が交差してお互いの意思がぶつかり合う。
返答を予想し、その先まで考えていそうな高野をじらしながら、刑部は当然のことのように話す。

「私と先にあったからさ」
「ノー・プロブレム」


君は

あなたは


―ここで死ぬから

 刑部はワルサーP99を。高野はシグ・ザウエルを。同じタイミング、同じ速度で互いの眉間に突きつけた格好をとる。
二人は言葉でなく態度で示した。嘲るように、互いの手の内を見透かすように。


「パーン」
 くだらないはったりにも動じない。銃は沈黙したままだ。高野はにらみ合ったまま考える。
相打ちなど最も意味がないこと。しかし自分が撃てば刑部も撃つ。自分が引かねば刑部も引かない。
「ふ」
 意地をはらず素直に銃口を下げる。そして勝負の場を改めて設けることにした。
そしてそんな面白い見世物を姉ヶ崎は邪魔しないだろう。奴は面白ければいいのだ。誰が残ろうがどうでもいい。
勝手に首輪が爆発してラッキー、という展開は自分なら絶対やるまい。
刑部は最後の最後で立ちふさがる強烈な障害なのだ。本来その役を背負うべき者はもういないのに。
額からこぼれる汗をぬぐって考える。もう弾数も体力も限界に近い。吐息には乾いたものが混じっている。
唐突に訪れた緊張に足が笑いそうになる。一条との白兵戦は予想以上に心身を疲弊させているようだ。
時間が経てば三原がやってきて完全に追い詰められてしまう。

574:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:53:15 gwH30NMS


(どうしよう?)

 ガラにもなく、思考が詰まる。多分、見逃してはくれない。下手な隙は見せられない。

(どうすればいい?)

 答える者は誰もいない。当然だ。誰も声をかけてくれるはずもない。
この難問にも自分で答えを出さなくてはいけない。心で軽く笑った。

―刑部があの男の代わりだと言うのなら。忘れ得ぬ思い出の一つを借りることにする。
一歩分の距離を取る。拳銃を握ったままその手を高く掲げ、手の中で回転させてスカートに戻す。
空になった右手で銃を形作り、そのまま突きつけた。

「早撃ちで勝負」

 バーン、というしぐさと同時に、高野の宣言は凛とした声で告げられた。

「気付いてないのか?私は君と違って」
「顔を狙いますから大丈夫です」
 刑部の声がぴしゃりと遮断された。
やや熱気が増してきた体育館の中央で、背中合わせに二人の人間が並ぶ。
刑部は体育館の入り口を、高野は小さな縁談を正面にして立っていた。

「ルールは、」
「あいつらと一緒でいいだろう」
 背後から言い返される。その声が少しだけ低くなっていることに高野は気付く。
肩越しに首だけを動かして彼女を見上げた。
刑部の視線は正面ではなく、そこから斜めに。もう動かなくなった播磨のほうに向けられていた。


575:参加するカモさん
07/07/17 02:53:57 6u0RqKl1


576:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:56:53 gwH30NMS


「播磨君のことは残念でしたね」
「別に。君こそどうなんだい?」
「まさか」

 互いの利き手は軽く広げられつつも、各々の獲物が握られている。
それさえ除けば、二人の関係は普段の茶道部での会話と遜色なかった。

「私が播磨君で……君が花井君になるのかな、これは」
「却下」
「そうか……じゃあ、そろそろはじめようか」

――1

 勝者には未来、敗者には死。この地獄の縮図のような決闘方法。
限りなく分かりやすく、非情な世界の理。両者はそれを噛み締めながら、最初の一歩を踏み出した。

――2

 忘れまいとした誓いも意味を持たない。いくら誓ってもそれで勝敗は決まらない

――3

 ごめんなさい。誰ということなく囁く、今だけは全てを忘れよう
 

577:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:58:05 gwH30NMS


――4

 天満も美琴も八雲もサラも愛理さえも消えていく。なのに、どうしても消えない影が一つ。邪魔だ。

――5

 ――ち



――6

 葉子。種田君のこと、すまなかった。だが私はせっかくの気遣いを無にしてしまうようだ

――7

 私は無力だったのかもしれない。けれども、出来る限りを尽くしたよ

――8

 拳児君。ほう、幸せそうな顔をしてるな。君は頑張った。誇っていい

――9

 君がまた私を信じてくれて、本当に嬉しかった。大事なときに傍にいられなくてごめんな


――10

 今はただ、この勝負に勝つ!

578:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 03:00:41 gwH30NMS


 握った銃と、互いの足音に全身全霊を集中する。
銃口を向け、相手の瞳を覗き込む。引き金に指を掛ける。
何万分の一秒でもいい。相手よりほんの少しだけ速く。
世界が凍る音を一歩ずつ数えた。そして十溜まった今この瞬間―


パパパッと、体育館の中で光が弾けた。


   *   *   *   *


「がっ……ふっ」
 
 食い破られたかのような痛恨に身をよじる。
灼熱の痛みが全身を焼いた。衝撃が順繰りに脳裏を駆けていく。
皮膚を焼き肉を貫き、銃弾が腹を後方へ突き抜けていくのがわかった。

膝が崩れて、前に、横に。世界が揺れる。大きな音がしたはずだが耳に届かない。
重しのようなものが体全体にのしかかる。

(あ……)

 映ったのは体育館の暗い天井。睫一つ動かさず見つめる。凧などどこにもなかった。

(……ま……だ)
 腹部は直接死につながるような箇所ではない。出血さえ抑えれば、胸や首に比べ長く保つ。
首を上げ、残った力を振り絞り、右半身に力を込めた。体を反転させ、這いずるような姿勢になる。
カッと目を見開き、結果を自身で確認した。

579:参加するカモさん
07/07/17 03:01:56 JBGp3MrP
 

580:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 03:02:06 gwH30NMS

 その先には同じような赤い染みが描かれていた。だが自分と違い、痛みに悶え動いているそぶりはない。
長く黒い線が円のように綺麗に広がっている。こちらの銃弾は、確実に刑部絃子の急所を捉えたと確信した。

「先生―!」

 遠のきそうな意識は勝利の余韻を味わう余裕もない。だが獣のような絶叫に覚醒させられた。
最後の一人が現れたことが嬉しかった。この状態ではそう長い時間をかけてはいられない。そして策は尽きている。
なのでできることは一つ。引き金を引く。たったそれだけでいい。
歯を食いしばって最後の力を両腕に込める。震える腕を床に押し付け両手でグリップを握る。
三原は自分のほうにやってくると思っていた。だが彼女はより近くの、地に伏している刑部に駆け寄った。だから。

 再び、閃光が体育館で爆ぜる。

「か……は……」

 刑部同様に、三点バーストを隙だらけの体に遠慮なく打ち込む。
反動の痛みは口の中を噛んで無理矢理堪える。続いて、残りを容赦なく放つ。

「がっ……!ぐっ……!」
 これで丁度終わりだ。奇跡的に全て三原の胸部や腹部に着弾したのを確認。
悶絶しながら、三原が刑部の隣に倒れる。
そして自らもそれが限界だった。感じたことのない疲労感と達成感が押し寄せてきて、
その流れに身を任せるように再び仰向けになり倒れこむ。
(これで……終わ……り)

 腹部の痛みがより深刻になってきた。あとはもう救助が早く来ることを祈るのみ。
あっけない最後だったが現実はこんなものだろう。
この瞬間をどれだけ心で描いただろう。感慨深いものが胸を満たす。
……そう思っていた。けれども何も感じない。最後に心に残っていたものが消えた気すらした。
高野晶という人間が全く別のものになってしまったようだった。

581:参加するカモさん
07/07/17 03:02:39 FREPNrk7
 

582:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 03:03:40 gwH30NMS
手に入れたものは何もない。失ったものしかない。
けれどもこの終点にたどり着いて、ようやく過ぎ去った日々を省みることができそうだった。

―カタ

 何かが動くような音がする。近づいてくる。風か小動物か、何かだろうか?
けれども妙だ。ここは確か森の中ではなくて体育館―

―ニャオ

 猫か。だが遊んであげるだけの余裕はない。
ふと、何かに吊られるように目を開く。視界に入ったのは無機質な天井と―鋭く光る銃口。

「え」
「高野さん」

 赤く染まった矢神高校の制服をまとった三原梢がこちらを覗き込んでいた。

「!……どし……て」
 一瞬で全身が濡れた感触がする。四肢が硬直するが、歯は勝手にカチカチと音を立てる。
久しく意識したことのない感情が心臓を縛る。視界が溶け合いかすみそうになる。
腹の痛みはもう感じない。感じている余裕がどこにもない。
代わりに、とてつもない息苦しさに喉が詰まりそうになる。

「刑部先生がくれたの。防弾チョッキ」
 制服には穴とコゲ跡がついていた。その周りは確かに赤黒く―いや、三原は元々全身血にまみれていたのだ。
「先生と戦って……その後、色々あって少しだけ話をして。そのとき最初にくれたの。
 私を安心させるためだと思う」
「……そう」
 かくんと首が曲がる。全てが終わったような目で、高野はぼそっとつぶやいた。

「あなたの勝ちね」

583:参加するカモさん
07/07/17 03:07:22 6u0RqKl1


584:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 03:08:26 gwH30NMS

 こんにちは、三原梢です。
私はとにかく進みました。自分の手で全部終わらせるために。
一条さんでも高野さんでも殺すつもりでした。私の選んだ道だから。
それは先生達の思う壺で、最悪で、今鳥君達が望まなかった方法。
最後が特にきつくて心が押しつぶされそうだった。そして私は自分以外の全てのせいにした。
今思うと、一条さんはそれに気付いていたのかもしれない。きっとそーだ。
けれど私は播磨君を殺したことを責められるのが嫌でそこから逃げた。

 だけど、刑部先生は許すと言ってくれた。
そんな資格はないと自嘲してたけど、私はとてもとても嬉しかった。
従姉っていうのはきっと本当なんだろう。最後に見た背中はとてもさみしそうだった。
播磨君にとっては従姉でも、刑部先生にとってはもしかしたら―なんてね。
八雲ちゃんにも申し訳ないことをしちゃったけれど、少しだけ待って欲しい。
いつか私が大人になって、自分の罪も皆の罪も悲しい事件も受け入れられるようになったら。そのときは。


 その日のために私は生きる。殺すしかないなら殺す。矛盾してるみたいだけど、それが答え。
罪はある。だから全部受け入れて、とことん悩みぬいて苦しみぬいて生きよう。
今鳥君達がいつか笑ってくれる日まで。一生来ないかもしれないその日まで。
一条さんや高野さんが何が目的で戦ってるのかわからない。けど私達はお互いに譲れないものがある。
それを賭けて勝負だ。もし土壇場で殺せなくなったならそれは弱い私の負け。
私は刑部先生を追うために、ノートパソコンを求めて体育館を目指した。

 途中で伊織が姿を見せた。やっぱり近くにいたみたい。近づいたら逃げるけど、離れようとすると寄ってくる。
危ないから離れていたほうがいいよ、と教えたその時。屋根が見えていた体育館から銃声が。私は駆けた。


585:参加するカモさん
07/07/17 03:10:52 JBGp3MrP
 

586:参加するカモさん
07/07/17 03:10:54 6u0RqKl1


587:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 03:11:27 gwH30NMS


 ―そして、刑部先生は死んでいた。胸の周りは赤くて少しも動いてなかった。
大切なことが言えなかった。播磨君のこと信じますって。この殺し合いを本当に止めようとしていた播磨君。
私より優しく強い心を持っていた。天満ちゃんが大好きな、『絃子の従弟』。
理解しようとせず、誤解で殺してしまってごめんなさいとせめて先生には謝りたかったのに。
ほんの少しだけ私の理性を取り戻させてくれた、この人に。
直後に高野さんに撃たれまくる。無茶苦茶痛かったけれど、こんなものは私が進むと決めた道の序の口に過ぎない。
転がっている先生の武器を借りて、ゆっくり立ち上がって―


「あなたの勝ちね」
 今、私は高野さんに銃をつきつけてこうしている。手が震える。やばい、勇気が出ない。
やっぱり殺し合って、その上で罪を償う、背負うなんておかしいんだろうか。矛盾してる?
憎しみの支えはもういらない。何のせいにもしてはいけない。私の意志で、罪を犯さないといけない。

 ふと思う。償ってどうなるんだろう。皆が帰ってくるわけでもないのに。
もしかしたら高野さんのほうがよっぽど立派な信念を持ってるんじゃないだろうか。自殺したほうがいい?
いや、迷うな私。それは逃げだ。見返りを求めているわけじゃない。例え戻ってくるものがなくったって―

「高野さん……」

ああ、でも願う権利くらいはあるかもしれない。全然リアルじゃない、突拍子もないものなら特に。
願いならある。私が願うのはただ一つ。三度目があること。


え、何で三度目かって?……なんとなく。C組、D組の皆。あと八雲ちゃんとサラちゃん。刑部先生と笹倉先生。
皆と一緒にいるのは最初じゃない。今が二度目。そんな気がしただけ。それに二度あることは三度あるってね。
だから自分の罪から逃げちゃいけない。覚えていないといけない。
最後まで、夢を見ていたいから。だから願います。一万でも二万年後でも構いません。ですからどうか
 

588:参加するカモさん
07/07/17 03:11:38 FREPNrk7
 

589:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 03:12:52 gwH30NMS



「……私は皆のことを絶対に忘れない。だから、またね!」


――皆とまた同じ世界に生きられますように


私は勝手な願いを込めて高野さんを撃ちました。
けれど、高野さんは少しだけ嬉しそうな顔をしている気がしました。
 

590:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 03:14:06 gwH30NMS

【午前:9~11時】

【三原梢】
【現在位置:G-03北部、分校跡体育館内】
[状態]:疲労甚大。左掌に銃創(応急処置済み)、胸骨、肋骨にヒビ。返り血にまみれている、
[道具]:自動式拳銃(ワルサーP99)/弾数13発、UZI/弾数3発、9ミリ弾142発、ベレッタM92/弾数8発、vz64スコーピオン/弾数8発、セキュリティウェア
[行動方針]:そういえば一条さんは?
[最終方針]:生きて苦しんで償って、それでも夢を見続ける。


※三原の道具:支給品一式(食料4、水5)、エチケットブラシ(鏡付き)、ドジビロンストラップ、弓(ゴム矢20本、ボウガンの矢4本)
※播磨の道具:支給品一式(食料4,水2)、黒曜石のナイフ3本、UCRB1(サバイバルナイフ)、さくらんぼメモ、烏丸のマンガ
は、体育館の中に放置してあります

※高野の道具:支給品一式(食料12、水3)、殺虫スプレー(450ml)、ロウソク×3、マッチ一箱、インカム一組、デザートイーグル/弾数0発、
※一条の道具:支給品一式(食料5)、東郷のメモ、刑部のメモ。
はG-03北東部に放置してあります
シグ・ザウエルP226/弾数0発、雑誌(ヤングジンガマ) 携帯電話(残量約1/5)は高野の死体傍にあります。
ドラグノフ狙撃銃/弾数6発、ノートパソコン(バッテリー破壊、フラッシュメモリ付き)は体育館の入り口付近に放置。使えるかどうかは不明。

※刑部の道具:暗視ゴーグル、ヘッドライトはG-03北西部に放置してあります。
9mmパラベラム弾15発入りダブルカラムマガジンは刑部の死体の傍です


【刑部絃子:死亡】
【高野晶:死亡】

―優勝者:三原梢

591:参加するカモさん
07/07/17 03:17:08 P9N6CnJY
……乙。
ハラミが優勝って当初は誰も予想してなかったろうな。
それがまたスクランらしいような気もするが。




592:参加するカモさん
07/07/17 03:20:05 gwH30NMS
代理投下終了。

すみません、ところどころ改行調整に失敗しています。
(元レスではスペースが空いている箇所を詰めてしまったり)

593:参加するカモさん
07/07/17 03:20:54 FREPNrk7
改めて乙

594:参加するカモさん
07/07/17 03:22:07 JBGp3MrP
代理投下乙。

595:参加するカモさん
07/07/17 03:23:01 6u0RqKl1
RH氏GJでした!
とにかく良かった

>「……今の件については~~」
の「今の件」は弾をわざと外したことかと思ったら防弾チョッキのことだったとは見事なミスリード

相変わらずキャラの内面描写も上手いし、優勝決定に相応しい素晴らしいSSだったと思います

>>592
乙でした

596:参加するカモさん
07/07/17 03:23:53 gwH30NMS
スレリンク(event板:541-552番)
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

597:参加するカモさん
07/07/17 03:28:23 WeWILppV
ハラミ伝説が現実に・・!

598:参加するカモさん
07/07/17 03:30:10 sBEVJw9d
絃子と高野の対決に播磨と花井の決闘シーンを重ねたところが秀逸すぎる!!
マジ傑作でした。
それにしてもハラミ凄いな……

599:参加するカモさん
07/07/17 03:53:06 mu7bJJ/v
GJ
スクロワ完結か……長かったね
絃子先生のカッコよさには痺れた
播磨は自分のイトコを置いて先に死んじゃダメだよなw

600:参加するカモさん
07/07/17 07:17:38 ih0GO4Ss
ついにモブ派完全勝利か・・・。


で残った姉ヶ崎、谷、ゴリ山はどうなるの?

601:参加するカモさん
07/07/17 07:37:23 g6oOkghj
えーとこれは茶道部と超姉の勝利か?

あと三度目云々のくだりが意味分からんのだが

602:参加するカモさん
07/07/17 09:19:49 27Vmf1QB
超乙
いろいろあったが、完結したのは目出度いことだ

603:参加するカモさん
07/07/17 10:19:04 K5P/Kg8J
>>601
二次創作、だからじゃね?
いやまぁ、正解はわからんが

604:参加するカモさん
07/07/17 11:21:54 W6MOGhgk
原始時代が一度目なんじゃねーの

605:参加するカモさん
07/07/17 14:27:32 ih0GO4Ss
トップマーダーは8人を殺した高野になったな。

でこれで本当に終わりなの?
エピローグとかないの?

教師陣や冥界の住人はほったらかし?

606:参加するカモさん
07/07/17 14:47:20 sBEVJw9d
エピローグ構想中の人たちはヒヤヒヤものです

607:参加するカモさん
07/07/17 14:53:28 fyYOgXAJ
待て、こんな終わり方で本当にいいのか?
優勝ENDでしかも優勝者決定という大事な事を相談も予約もなし。
黒化していたハラミが元に戻ったり絃子が首輪で爆死しなかったり
無敵だった高野が急に弱体化したり。最終戦もワンサイドで迫力に欠けた。

本当に皆納得してるの?それとも元々諦めてて
どんな形でも終わったからいいやってこと?投げやりすぎね?

608:参加するカモさん
07/07/17 14:54:43 RU1iVhyv
>>605
エピローグは恐れ多くてかけないけど
おまけくらいなら書くつもりだ

609:参加するカモさん
07/07/17 14:55:34 sBEVJw9d
予約期限内に書ききれないから予約エせずにピローグ構想している人々は急かされてヒヤヒヤものです

610:参加するカモさん
07/07/17 15:07:48 W6MOGhgk
>>607
こう言ってはなんだけど
この状況ではこれ以上は望めないだろ


611:参加するカモさん
07/07/17 15:26:34 JBGp3MrP
>優勝ENDで
優勝エンドを嫌う人ばかりじゃない。

>優勝者決定という大事な事を相談も予約もなし
相談とかを嫌う書き手もいるし、偶々このロワではそういう書き手が多く残ったということだろう。
予約はしたところで何か変わったとは思えんが?

>黒化していたハラミが元に戻ったり
どう見てもリレーの結果。

>絃子が首輪で爆死しなかったり
急に爆死させるような要因ってあったか?
高野視点の文章で俺は十分納得できたが。

>無敵だった高野が急に弱体化
ダメージの蓄積って描写がちゃんとある。
ファンタジー色を薄めてる以上、あの状態からでも元気に動き回られたらその方が不自然。

>最終戦もワンサイド
……どこが?
高野の先制 → 肉薄による状況硬直 → 決闘 → 高野勝利 → 三原到着 → 高野の銃撃 → 三原が高野に引導
むしろシーソー的な最終決戦だったと思うが。

俺は納得してる。それどころか良いSSで締めてくれたと思う。

612:参加するカモさん
07/07/17 15:56:53 MbGveYG+
>>611
それで論破したつもりか?
とりあえず首輪の件、妙ちゃんは権限を賦与されているだけで主催者じゃないんだから第三者によって優勝者が決定しそうな事態を看過しちゃダメ…てか、できないだろ

613:参加するカモさん
07/07/17 16:30:08 JBGp3MrP
>>612
誰によって優勝者が決まるかなんてさほど重要だとは俺には思えない。
【大人たちの戦い】で描写された黒幕たちの意図(の可能性)は
>参加者として十代の若者を用意し、世界の名だたる富豪達が観戦者となり、ある者は純粋に殺し合いを眺める事を、またある者は膨大な額の賭博を楽しむ悪趣味なゲーム。
ていうものだった。
博打の結果(賭けの対象)としては当然「優勝者無し」って選択肢もあるだろうし、優勝者があるほうが望ましいなら高野に勝った後に爆死させて三原優勝で何の問題もない。
鑑賞としてはイレギュラーな要素があったほうが喜ばれるものだから、なるべく爆死はさせたくないだろうし。
それに第三者が介入して結果が変わるのを嫌う主催者達だったら、最初から自分勝手に動き始めた絃子と葉子をすぐに爆殺するように言うと思う。
と、俺は思うんだが、なんで>>612は第三者によって優勝者が決定したら主催者の意向に反することになると思うのか教えてくれ。

614:参加するカモさん
07/07/17 16:46:14 MbGveYG+
>>613
そうかもしれないが、それを決めるのは妙ちゃんではないと言っているんだが
少なくとも妙ちゃんの権限でルールを変えることはできないだろ

615:参加するカモさん
07/07/17 17:02:18 JfMW/FRe
話ブッタ斬るけど、昨夜書けなかった感想を。

播磨を想う絃子と、花井を想う高野の心情。そして彼らのサバゲでの決着を絡めた二人の決闘!
奇しくも高野と同じ「皆のことを忘れない」という誓いを込めた三原のラストショット!
熱く、そして哀しいドラマに溢れた良い話だと思います。
よくぞここまで見事に締めくくってくれたという思いでいっぱいです。

改めて、心からGJ!の言葉を贈りたいと思います。
本当に、ありがとうございました。


616:参加するカモさん
07/07/17 17:07:01 JBGp3MrP
>>614
見返してみたら確かに【闇夜の出撃】で主催者からの伝達は
>ノートパソコンかフラッシュメモリの奪取又は破壊を目的とする場合に限り外出許可。
>ただし放送盗聴等ゲームの運営に支障の無いように。
>人員が決まったら要報告。ノートパソコンの探知機能からの一時解放。
>単独行動は禁止。兵隊達に協力を求めることも禁止。
>企画の趣旨を守るため、参加者の生命に関わるような行為は極力避けること。
>旧体育館倉庫A棟使用許可。フラッシュメモリはそのまま持ち帰るのが望ましい
ていうものだったな。
>>613で第三者による優勝者決定を主催者が気にしないかのように主張したのは間違いだった。スマン。

ただ妙が主催者の決めたルールにどこまで忠実かは微妙なところだと思う。
例えば【裏切り者】で
>「すぐに殺したらつまらないじゃないですか。教師が生徒を救おうとするも、結局なにもできなかった……。
>そんな物語、見てみたくありませんか?」
と言い放ってる。これは上の主催者からの命令「参加者の生命に関わるような行為は極力避けること」に反することを認める発言だ。
なら、事ここに至ってから焦って首輪爆破なんてするだろうか?
やってしまうとちょっと妙の行動が一貫しなくなる気がする。

617:参加するカモさん
07/07/17 17:09:14 P9N6CnJY
なんか話しが噛み合ってないような。
妙チャンの権限でルール変えたなんて>>613は言ってないじゃん。
ゲームの状況を黒幕が一切関知していない、
あるいは妙ちゃんが何も報告してないなんて可能性は薄い。
当然、黒幕は絃子達が反主催に回ったのも知ってるはずだが、
裏切られた時点でも、葉子が沢近と高野のバトルに横槍した時も処分しなかった。
これはつまりゲームをつつがなく進行するっていう合理性より、
イレギュラー要素を楽しむ黒幕のスタンスの表れとして推測できなくもない。
それにもし妙チャンが権限を越えて絃子を放置したってんなら、
そこでまた妙ちゃんの心の内側みたいのを書けばいいわけじゃん。

618:参加するカモさん
07/07/17 17:21:45 fyYOgXAJ
ロワの締めの話っていう意味わかってるのかね
スクロワが今後のパロロワ界でどう語り継がれるのかが掛かってるんだぞ?
だから些細な違和感も修正させなければならないのにうわべばっかで書き手を甘やかして・・
他の書き手がこれに満足してるとはとても思えない。
もうちょっと冷静に考えてみたら?

619:参加するカモさん
07/07/17 17:25:57 sBEVJw9d
スクロワ終了間際で暴れた変人ということで>>618自身が語り継がれると思う。
GEI氏と同じ扱いな

620:参加するカモさん
07/07/17 17:27:20 JBGp3MrP
>>618
なるほど、じゃあ>>618が感じる違和感のポイントを挙げて、如何にその点がおかしいか説明してくれ。

621:参加するカモさん
07/07/17 17:35:50 sfYFWZzX
>>618
冷静に考えると他の書き手の具体的なレスも持ってこず
違和感がどんなのかも言わずただ「些細な違和感」としか言わず
勝手に他の人が感動したのを上辺だけと決め付けるそのレスは聞く価値のない批判だな。

622:参加するカモさん
07/07/17 17:42:42 MbGveYG+
>>617
俺の言いたかったことは>>613には少しわかってもらえたみたいだからアンタはもういいや

623: ◆X7WwwzkoUU
07/07/17 17:49:49 Cu1TajKq
まぁ、そういった未回収の伏線とかを回収するのが、次の話のお仕事なんだがね。
ラストバトル+妙ちゃん関連になると話の量が膨大になるから、RH氏は読みやすいほどよい長さの作品をかいてくれたと思う。
俺の感想は>>560にもう書いたので、新たに感想を述べることはないが。

三原、教師陣、ナカムラ陣営を予約。

624:参加するカモさん
07/07/17 17:51:07 JfMW/FRe
これ以上の議論は、出来れば毒吐きスレに持っていって欲しいところ。
要修正ならば、その結果だけを伝えてくれればいいからさ。


んで、ちょいと優勝者ハラミの戦績を思い出してみたところ、実はほとんど闘っておらず、しかも敗けっ放しだった。

vs麻生戦●
目的は花井から麻生を引き離し、闘争の時間を稼ぐこと。
結果、利き腕を負傷して麻生を取り逃がし、任務失敗。

vs絃子戦●
敗北。絃子に殺意がなかったおかげで死亡を免れた。

vs高野戦○
防弾チョッキで命拾い。結果だけを言うなら、瀕死の相手にトドメを刺しただけ。

どっかに「バトルロイヤルを効率的に征するには、最後に一回だけ闘って勝てばよい」と言ってた人がいるが、ホントにそうだよなw


625:参加するカモさん
07/07/17 17:52:13 sfYFWZzX
未回収の伏線があれば自分で回収するとクールに予約。
そこに痺れるぅ、憧れるぅ


626:624
07/07/17 17:54:08 JfMW/FRe
×闘争→○逃走
正反対じゃんかよ……orz

>>623
おお、期待します。

627:参加するカモさん
07/07/17 17:57:50 6u0RqKl1
>>623
乙。
今まで放置されてた中村がどうなるのか、楽しみにしてます。

628:参加するカモさん
07/07/17 18:05:30 DYN6ArFd
長かったようで短かったなぁ
超姉好きな俺にとっては決闘を書いてくれた書き手さんにGJ 播磨死んだ時は呆然としてたからw

629:参加するカモさん
07/07/17 18:10:22 ih0GO4Ss
なんかロワの終盤から
書き手達の間でハラミを優勝させる空気が漂っていた気がするのは、多分俺の気のせいだろうな。

630:参加するカモさん
07/07/17 18:58:31 NmSuq5iB
むしろ黒化再発した時はハラミもうダメだと思ったが
しかし三原日記、まさか最後を締めくくるとはなw
このロワでハラミという新たな萌え要素も獲得して、もう勝ち組一直線だw

631:参加するカモさん
07/07/17 19:03:55 NKErcOLY
ハラミには死んで欲しかったんだがな。
播磨をあんな理由で殺しておいて今更過ぎる。

632:参加するカモさん
07/07/17 19:20:04 sBEVJw9d
なんでこんなに空気が悪いのか
予約期間中に書ききれなくてもとりあえずエピローグ予約しとけば良かったと絶望している俺が相手になってやる

633:参加するカモさん
07/07/17 19:52:04 ih0GO4Ss
振り返れば、ハラミの為のハラミの為によるロワだったな。

634:参加するカモさん
07/07/17 19:53:45 fyYOgXAJ
ここの人たちは最後の話を予約なしで投下されても文句ないの?
アニロワなんて書き手がちゃんと宣言して
最後を全員で見届けようとしてるのに・・

635:参加するカモさん
07/07/17 20:00:37 NmSuq5iB
別にない、内容も良かったし
むしろサプライズ狙ってたな作者氏
まあ今までもそうだったし、きっとこれがスクロワクオリティって奴なのかもしれん

636:参加するカモさん
07/07/17 20:03:57 sBEVJw9d
最後の話はこの次◆X7氏が書く話だろ
気に入らないならアニロワへ行けとマジレス
後、他の人たちはどうなの?ってレスは癪にさわるからやめろ。

637:参加するカモさん
07/07/17 20:07:33 NKErcOLY
予約無しの投下を何度も行ってきた書き手なので仕方ないとは思う。

638:参加するカモさん
07/07/17 20:07:40 sBEVJw9d
ちなみに、他の人たちはどうなの?ってレスがムカつく理由

テメエどうせ他の意見聴いたところで、自分の意見を変えようとしない自己完結野郎だろ

639:参加するカモさん
07/07/17 20:09:11 BfO2BQpW
>>557
この土壇場で突然投下とかやってくれたな。超GJ!
最後の最後で実に熱かった。いい優勝ENDをありがとう!
>>623
期待してます!
スクロワを支え続けてくれたRH氏とX7氏で締めて貰えるなんてこれほど嬉しい事はないよ…
>>634
別に何の問題もないじゃん。作品の内容も、ルール的にも。
リレー小説なんだから予約せず投下するのも一種の駆け引き。
成功すれば今回のようにサプライズを与える事にもなる、立派な投下方法だと思う。

640:参加するカモさん
07/07/17 20:24:56 Cu1TajKq
まぁ、このスクロワの中では、予約はむしろ書き手の負担を少なくするための装置だからね。
基本的にアニロワとはシステムが違うから、予約なしの投下なんて全然問題ない。
というかこの手の議論はすでに2,3回通過している気がするが。

641:参加するカモさん
07/07/17 20:28:16 FREPNrk7
>>623がカッコよすぎて泣いた
まさにリレーのあるべき姿って感じ、期待してま

642:参加するカモさん
07/07/17 21:14:46 ih0GO4Ss
三原、姉ヶ崎、谷、ゴリ山、ナカムラ、伊織

本当にサブばかりになっちゃったな・・・。

643:参加するカモさん
07/07/17 21:45:58 ZSLeZaEZ
・よそはよそ、うちはうちです。他のパロロワと比べて~といった意見はやめましょう。

644:参加するカモさん
07/07/17 21:55:35 NKErcOLY
で、完結は確実になった訳だが2ndはやるの?

645:参加するカモさん
07/07/17 22:27:35 ih0GO4Ss
>>644
やるらしいよ。

今度はバトロワII 鎮魂歌と同じルールで行くよ。

646:参加するカモさん
07/07/17 22:35:34 jOgkRnnM
>>645
Ⅱ知らない人は映画見なきゃならんのか

647:参加するカモさん
07/07/17 22:51:39 ih0GO4Ss
>>646
簡単に説明すると
男女同じ番号同士で二人一組のチームを組み、ロワに参加する。

一人が死んだら、もう一人の首輪が自動的に爆発する仕掛けになってる。

648:参加するカモさん
07/07/17 22:54:56 EzQvlZKB
>>647そのルールで行ったら、1番が凄く強そうだ

649:参加するカモさん
07/07/17 22:58:26 NKErcOLY
そのルールのままじゃなくパートナーの交代も可能にする仕組みがあった方がいいかも。

650:参加するカモさん
07/07/17 23:05:29 NmSuq5iB
>>647
ああっよく見たらウメマドが見事にタッグを!!
しかし・・・

>>649
容赦なく梅を殺して強いパートナーと組もうとする城戸が容易に想像できる・・・嗚呼。

651:参加するカモさん
07/07/17 23:05:50 jOgkRnnM
つまり、つむぎが縦笛を引き裂こうと画策したりするのか

652:参加するカモさん
07/07/17 23:15:13 NKErcOLY
まとめは1さんが忙しいみたいだからwiki形式の方が良いかな?

653:本編が(ry
07/07/17 23:27:58 Cu1TajKq
URLリンク(www7.uploader.jp)

パスはsukurowa

654:参加するカモさん
07/07/17 23:33:04 aMu+xSva
2ndの準備がしたいなら、スクロワ2nd企画スレでも立ててそっちでやってくれ。
ルールとかまとめの形式とか、その辺のことを具体的に決めていきたいのなら尚更。

ただ、やるにしても◆X7WwwzkoUU氏のエピローグ(……になるのかな?)が投下されて、
今のスクロワが完全に幕を閉じてからにして欲しい。

いくら終わりが目前だからって、まだ本当に完結したわけじゃないんだから、
まずは今のスクロワを大事にするべきじゃないか?

今から2ndの話とかされると、現在のスクロワが軽んじられてるようでなんかイヤだ。

655:参加するカモさん
07/07/17 23:34:49 EzQvlZKB
PCサイトビューアー未対応だから見れない…

656:参加するカモさん
07/07/17 23:38:20 xvlBbRRi
播磨のパートナーで確実に揉めます
パートナーが決まった所で関係が進展していったら確実にまた揉めます
死ぬ時は相乗効果でさらに揉めます
間違いないです

657:参加するカモさん
07/07/17 23:39:14 Cu1TajKq
播磨のパートナー=伊織、でおk?

658:参加するカモさん
07/07/17 23:40:11 xvlBbRRi
>>657
それなら揉めないなw
でもそうすると今度こそ能力系解禁?

659:参加するカモさん
07/07/17 23:42:11 gZhLLK+d
今読んだ
結局刑部先生は播磨が好きだったんだろうか?本編じゃなくスクロワにおいて
同様に高野も花井のことが?
そう思った人いる?

660:参加するカモさん
07/07/17 23:42:47 NKErcOLY
いっそ播磨は特例で男同士で組ませれば?

661:参加するカモさん
07/07/17 23:45:28 NKErcOLY
>>659
スクロワ内の描写だけに限れば前者は唐突な印象を受けた。
後者はそれと匂わせる描写が以前の作品であったものの、高野のキャラクターからして
恋愛をうまく想像できなかった。

662:参加するカモさん
07/07/17 23:50:05 fOXVkLCc
>>659
それはわからないからこそ面白いのかと。各自の想像しだいっしょ

>>660
アッー!!!
でもそれはそれで理由付けとかで揉めそうだ


というか嫌がってる人もいるみたいだし
2ndなんて夢のような話は今はやめとこうか

663:参加するカモさん
07/07/17 23:53:37 jOgkRnnM
>>659
花井に関しては「Past School Days」以降、積み重ねられてきたと思うよ

664:参加するカモさん
07/07/17 23:59:24 Khnfeo+B
高野と花井は随分前からこだわってた描写があったからいいものの
播磨と刑部は日記にまで重ねて書くほどだったか?


665:参加するカモさん
07/07/18 00:05:02 Cu1TajKq
>>664
それこそハラミの主観からの判断であって、根拠はいらないんだがな。
ハラミは、前作くらいから他人との繋がりのようなものを絶たれた孤独感に苛まれてた。
そんな中で、播磨と絃子の関係
(絃子の愛、までとはいかないけど、普通の従姉弟関係よりは強いもの。まぁ、腐れ縁っていったほうがしっくりくるが)
を匂わされたら、そう認識するのは決して不自然じゃない。

絃子の感情そのものも、出来の悪い弟に対する慈愛くらいに考えればいいんじゃないかな。

666:参加するカモさん
07/07/18 00:20:23 M4ENmh0g
本編で言ったら茶道部より超姉のほうが断然親しいけどな
その設定も受け継がれてるんだからこれくらい全然普通でしょ
Fキスもしてるし同棲だってしてるんだから

667:参加するカモさん
07/07/18 00:31:37 jP7QcRUc
書き手の人達もそのへん曖昧にしてるよな
どういうつもりで書いてるのか教えて欲しい
まあ極限状況だからの一言で解決かもしれんけど

668:参加するカモさん
07/07/18 01:02:58 ZgXKbXBt
まとめが更新されてるね。乙

教師達の死者名鑑も欲しいけど誰か頼む。
でも作っても掲載されない?

669:参加するカモさん
07/07/18 01:18:01 uihLBHeE
>>668
1さんのことだし、されるんじゃね?

ところでまとめの本編は Not Good by (三原、高野、刑部、姉ヶ崎、伊織)と表記されるべきでわ・・・。
伊織と妙ちゃんが抜けてるぞ。


670:参加するカモさん
07/07/18 01:46:31 +Lq9curo
あとは反省会会場とか書き手は鳥つきのアンケートとかWikiもちゃんとして
後から見る人のために残しておきたいな

671:参加するカモさん
07/07/18 04:18:03 AYtCfS4A
次回はカプ固定とかある程度の制限付けてやろうぜ。その方が喧嘩にならないよ。

672:参加するカモさん
07/07/18 05:21:11 d4w+4uKf
>>671
制限付けるのに喧嘩が起こり、一年はかかります。

673:参加するカモさん
07/07/18 06:58:38 hOti3ai2
スクランスレでカプ固定できたらノーベル賞が取れるよ

674:参加するカモさん
07/07/18 07:16:06 o0HI2KAI
なら葉鍵みたいにルート制にする?
書き手はそれぞれ自分が書きたいルートに参加するという形で。

675:参加するカモさん
07/07/18 07:41:46 rKVQsUGt
書き手の人が2ndもやってくれるとは限らないのに
よくそんなことがいえるな

676:参加するカモさん
07/07/18 08:09:01 uihLBHeE
今更だけど、沢近の愛称って『お嬢』じゃなかったっけ?

677:参加するカモさん
07/07/18 12:40:55 4cmaNgNB
今更どうでもいいよw

678:参加するカモさん
07/07/18 13:23:59 JVuZNnby
まぁ2ndはないだろうな

679:参加するカモさん
07/07/18 13:28:33 zL1ghcQn
今更ついでに。

本編の第五回放送のところが、第五回j放送になってるんだぜ

680:参加するカモさん
07/07/18 13:45:25 RYKFHe0I
高野明という謎の人物もいるんだぜ

681:参加するカモさん
07/07/18 17:39:59 AtEsC7yr
2ndは優勝した三原が様々な苦悩や葛藤の末
ワイルドセブンに入り黒幕と戦うという話でお願いします。

682:参加するカモさん
07/07/18 17:56:54 o0HI2KAI
RH氏の今回の話について良い点は他の人が語ってる通りだと思うけど
気になった所も言わせてほしい。

三原は結局改心したらしいけどここまで黒化しかけて立ち直った後、結局黒化→白化という
信号機みたいにコロコロと心境が変わったのは読み手として苛立ちを覚えた。
特に三原を黒化させたのはRH氏本人なのだから自分で黒くしておきながら……という気持ちが無いでもない。
一方で高野は登場から一貫して殺人者の立場を動じる事がなく、むしろ彼女の方に好感を覚えた。

三原に限らず極限状態だから、ありえなくはない、という理由付けで心境がやたらと変化するキャラが多かった印象がある。
笹倉も今まで散々意味ありげな態度を取っていたのに結局何もなかったというのは未だに納得できない。

683:参加するカモさん
07/07/18 18:05:44 JVuZNnby
今更そんな事言ってもね

684:参加するカモさん
07/07/18 18:32:19 RYKFHe0I
RH氏は前に自分が書いた話を読んでるのか疑わしい点があるよな
展開ありきでそれにキャラを当てはめる、他ロワでは通用しない構成の仕方
確かにこれをやると話は早く書けるけど誰も氏に急いでやれなんて言ってない
八雲雪野笹倉三原は全て氏が関わって性格がガラリと変わってしまった
あと誰も指摘してないけど伊織を都合よく使いすぎてる
まー意欲は認めてもいいけど

685:参加するカモさん
07/07/18 20:14:47 /pjx3daB
毒吐きで言った方がいいよ
せっかくあるんだから

686:参加するカモさん
07/07/18 20:34:04 11WfATEI
何言おうと勝手だとは思うけど、他ロワがどうだとかいいだすと頭悪く見えるからおすすめしない。


687:参加するカモさん
07/07/18 21:10:41 hOti3ai2
○悪く見える
×悪い

688:参加するカモさん
07/07/18 21:33:04 etItgdqJ
単に白黒だけで見ずに、
その黒がどんな色を混ぜ合わせてできた黒なのか、
その白がどんな光が交わってできた白なのか、
ってことに注目すれば、三原の精神状態の変化が彼女の成長の軌跡になっていることに気が付けるのになぁ。
ほんと、ストーリーの上辺しか読めない人は可哀想だ。
義務教育受け直させてあげたい。

689:参加するカモさん
07/07/18 22:12:29 RYKFHe0I
黒化した話と白化した話を比較してみ?
同じ書き手だからなおさら違和感がでてくる

690:参加するカモさん
07/07/18 22:16:17 7STEqIZg
>>689
お前には>>685>>688が読めないのか
かわいそうな奴だな

691:参加するカモさん
07/07/18 22:18:01 o0HI2KAI
理屈はわかるんですが実際にそう感じたもので……。
同じ作品を読んでも受け止め方は人それぞれなのが当たり前だし。
そう言う感想もあるとして特に気にしないでほしい。

692:参加するカモさん
07/07/18 22:33:24 GXgwSsoS
>理屈はわかるんですが実際にそう感じたもので……。

理屈がわかるけどそう感じたから、っていうのは、国語のテストに間違えた時の言い訳みたいなもんだぞ。
残念ながら、文章ってのはある程度勉強しないときちんとは読めない。
書き手も努力してくれてるんだ。
読み手もそれに見合った努力をして悪いことはなにもない。
>>688は、そういう「読み取る」努力をしなさいってレスだ。

693:参加するカモさん
07/07/18 22:36:22 RYKFHe0I
ある程度読み取る努力した人は納得できるん?脳内補完じゃなくて

694:参加するカモさん
07/07/18 22:42:27 IxWpfi/3
読解力以前に、>>684はなんでそんなに上から目線なんだw

695:参加するカモさん
07/07/18 22:45:07 JVuZNnby
納得できなかったとしてそれでどうしろって言うのよ?
ちょっといじったからって大して変わるわけでもなかろうに
何をさせたいかわからんな

696:参加するカモさん
07/07/18 22:46:55 GXgwSsoS
>>693
出来なかったら、>>692のようなレスはしないっすよ。

697:参加するカモさん
07/07/18 22:52:34 o0HI2KAI
>>695
どうこうしろ、とは一言も求めてませんよ。
作品の気になる点を上げただけで、良い点もあればあまり良いと思えない部分も自分的にあったという事です。

698:参加するカモさん
07/07/18 22:54:46 TxHoqNoa
>>692
なんか、アンタ偉そうな書き方する人だなぁ……

699:参加するカモさん
07/07/18 23:37:56 hOti3ai2
>>697は、このスレが>>697チラシの裏じゃないことから理解することから始めような
お前が駄文を書いていいのは、管理人がワザワザ用意してくれたチラシの裏である毒吐きスレだけなんだからさ
誰もお前の駄文なんざここでは読みたくないんだよ

700:参加するカモさん
07/07/18 23:41:12 woc8IZzJ
全くだ、そこら辺を分かってない奴の実に多いことよ…。

701:参加するカモさん
07/07/18 23:44:35 o0HI2KAI
何か荒れちゃってるね……

702:参加するカモさん
07/07/18 23:45:35 uZhQXS1B
はいはい、おまいらもちつけ

ところで、まとめサイトは結局最後まで(仮)まとめのままなのなw

703:参加するカモさん
07/07/18 23:47:51 hOti3ai2
ちなみに俺は、作品を批判するのは禁止しろと言ってるわけじゃないからな
誰にでも作品を評価する権利はあるわけだから
ただな、義務を怠って権利を主張し振りかざすのは問題外なわけ
義務ってのは、批判系は毒吐きスレで語らなくてはいけないってルールな
俺の言ってる意味わかるよな?

704:参加するカモさん
07/07/18 23:51:44 GXgwSsoS
×批判系は毒吐きスレ
○根拠の無い批判系は毒吐きスレ

705:参加するカモさん
07/07/18 23:53:02 hOti3ai2
訂正乙

706:参加するカモさん
07/07/18 23:53:57 WhY39gJv
別に三原がころころ白黒変わってるって訳でもないんだけどね。
『途切れる、日記』で一度は黒化しかけた以上、三原は何がきっかけで再び黒化してもおかしくない状態だった。
で、『希望』で八雲が目の前で死んだ時点で黒化はほぼ確定していた。
(そればかりか教師や播磨への憎悪も描写されていて、後々生きてくる事になるし)
だから厳密に言えば再び黒化させたのは>>1なんだよな。それを受けてRH氏が具体的に行動させた訳で。
でもX7氏が書いた『思い出の中で』で、三原はナポの死体を見て揺らいだ。
後に>>1が書いた『私の中のアナタなら』で三原は播磨を殺す訳だが、心理的にはむしろ揺らぎまくりの状態。
揺らぐ中で、それでも自分を正当化しようと刑部を狙ったのがX7氏が書いた『信念の代価』だった。
で、今回の『Not Good by』で絃子から真実を聞き、今に至ると。

立派に心理状態がリレーされてるし、その変遷はとても面白いと思うよ。

707:参加するカモさん
07/07/18 23:54:01 jUDNhhim
けど毒吐きはちゃんと人がいてこそ機能するわけで
誰もいない今の状態はちょっと・・

708:参加するカモさん
07/07/18 23:57:31 7STEqIZg
>>701
>>682のレスだけなら荒れなかったと思うがな
まあ次からは毒吐きで頼む

>>707
見てるだけの奴はいると思うぞ

709:参加するカモさん
07/07/18 23:59:13 uZhQXS1B
しかし改めて序盤から読み直すと……



ハラミ可愛い。

710:参加するカモさん
07/07/19 00:01:11 ypz24P5K
>>709
後半最悪だけどなw

711:参加するカモさん
07/07/19 00:06:03 2I12oklO
×三原可愛い。
○ハラミ可愛い。

712:参加するカモさん
07/07/19 01:08:38 CA2ePMsg
土日にはエピローグも投下された後だろうから、これまでのスクロワを振り返って
楽しくやりたいものだ

713:参加するカモさん
07/07/19 01:14:59 2U1qHRe/
長かったよねぇ。
二次支援・批評スレを追い出されてからもう一年が経過してるのか……。
あの時は、まさか完結するなんて思っていなかった。
スクラン二次創作が再び活気付けばいいななんて思っていただけだったのに。
本当に、俺たちはついにここまで来たんだなぁ。

714:参加するカモさん
07/07/19 06:42:44 27hWEEbK
ところでチェーンソーとか、工具セットとか、メリケンサックとか・・・持ってて何の役に立たなかった武器が幾つかあったな。

防弾傘とか、ボウガンも大した活躍もせずに壊れてしまったな。

715:参加するカモさん
07/07/19 07:26:25 sNb6mkfS
どうせなら、『これって大活躍したよなー』って思った道具を挙げた方がいいと思うんだぜ?

716:参加するカモさん
07/07/19 07:40:32 IzGj89jL
どう考えてもスペツナズナイフの1択です。

717:参加するカモさん
07/07/19 07:45:18 u0hs8xjH
花井とサラと播磨を殺したウージーも捨てがたい。
まぁ最悪は散々キャラと読者を振りまわして絶望与えたPCか。

718:参加するカモさん
07/07/19 07:59:26 tq11WhQa
スタンガンはラリったノッポ、ララ、一条と屈強な奴等を次々と倒していったな
ララなんかそれがなければ勝てた可能性大だったのに…

719:参加するカモさん
07/07/19 09:19:23 XEUhgIOB
ある意味日本刀。
さらには伊織とナポレオン。

720:参加するカモさん
07/07/19 10:18:41 TglQl8s0
携帯からでよくわからんが誰が生き残ったの?

721:参加するカモさん
07/07/19 10:36:30 8gqpt1wg


722:参加するカモさん
07/07/19 11:10:44 01WIKCuN
>>720
>>1氏とRH氏とX7氏の三人以外全滅

723:参加するカモさん
07/07/19 13:07:46 TglQl8s0
サンクス

724:参加するカモさん
07/07/19 13:21:13 tv/lr6pm
ナポと伊織も忘れちゃいけない。特に前者

725:参加するカモさん
07/07/19 13:22:01 tv/lr6pm
生き残りの話じゃなくて支給品の話ね

726:参加するカモさん
07/07/19 13:54:33 cKdcev32
元々スクランの二次創作に対するカンフル剤だったはずだが
この1年で更にスクランSS界が過疎った気がする

書き手に、IFスレやS3での経験者はいたんだろうか?

727:参加するカモさん
07/07/19 15:02:12 01WIKCuN
こう言っちゃなんだが、スクラン好きな書き手はロワ書かないんじゃないか…?

728:参加するカモさん
07/07/19 15:06:53 F9NEt8bI
それじゃあこのスクロワ見てるやつ全員がスクラン大嫌い
ってことになりますぜ、旦那。

729:参加するカモさん
07/07/19 15:24:58 01WIKCuN
「純粋に」が抜けてたな

嫌いってのとは違うけどやっぱどこか歪んでるとは思うよ
もちろん俺も含めて

730:参加するカモさん
07/07/19 17:03:01 NH//g+rR
まぁキャラが死んだことに一喜一憂するような精神分裂者ではあるわなw

731:参加するカモさん
07/07/19 20:55:00 pkZ980WG
某魔女の先例もあるしな

732:参加するカモさん
07/07/19 21:45:14 cKdcev32
「スクランキャラが死ぬのが見たい」じゃなくて
「スクランキャラがロワという極限状況でどう動くのか見たい」
っていう人は多いんだろうか?

733:参加するカモさん
07/07/19 22:12:47 sNb6mkfS
ってかここにいる奴は殆ど後者だろ。
『キャラが死にゆく様子をただ純粋に楽しむ』なんて流石に引くわw

734:参加するカモさん
07/07/19 22:34:24 8DaqCPq8
>>732
でもそれは詭弁だぞ
死ぬことはわかりきってるしキャラは全員死なないほうが稀なんだ
結局死んだことに憂いたり悲しんだりすることを楽しんでいるし

735:参加するカモさん
07/07/19 22:53:10 4cbXDZiD



ど う で も い い





736:参加するカモさん
07/07/19 23:11:02 7oOM5ky1
ところで分岐の話はどうなった?

737:参加するカモさん
07/07/19 23:24:00 fcii5uoY
完結間近のこの状況、今更どうだっていい

次でラストになるのかな?

738:参加するカモさん
07/07/20 02:15:37 /2E7nwo4
自分が少し狂ってるなんてことは認めないほうが楽だからな

739:参加するカモさん
07/07/20 09:25:40 OeEPjYDa
なんかメンドイしとりあえずここの前後数十レスでもみてこい
スレリンク(entrance2板)#tag479

740:参加するカモさん
07/07/20 10:00:29 3uXGB/7N
>>738
自分が狂ってると認めていると公言して、「どうだ、俺って人とは違うんだぜwww」
ってモニターの前で悦に入る姿を想像してなんかほほえましくなった。

741:参加するカモさん
07/07/20 13:34:56 Xu3mR5v3
>>739
そこの人間だって狂ってるって認めたくないに決まってるからな。そりゃ否定するよ
でも実際問題、他人の作ったキャラ追い詰めて殺して遊んでるのは確かだよ
それを狂ってる以外の言葉で表現した所で、狂ってると言う事実に変わりはない

>>740
自分が異常者だと自覚し悦に浸れる人間は根っからのロワ向きだろうね
ただ残念ながら俺にそんなことは出来ない
そうなって欲しいとも思わないし、そうなったら完全に人として終わりだと思ってる

742:参加するカモさん
07/07/20 13:50:14 e3vW5Ebz
狂ってるのは13スレまで来てこんなどうでもいいこと語ってるどこかの馬鹿どもだ

743:参加するカモさん
07/07/20 14:53:39 APuLXMEg
まああと一日はヒマだからね
完結後に言いたいことを今のうちにまとめるといい

744: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 16:19:03 4PZEaxUr
>>743
いや、予約期限は今日の17:49までですよ。
つーことで、17:30から投下するんで、ヒマな人は支援よろしく。

745: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 17:31:45 90b5Kk1K
投下します。題名は、

【「 全ての人に「さよなら」……。迷い込んだラビリンス……私はどうすればいい? ……教えて。
 「すれちがい」「思い出」とどけ、私の気持ち。とどけ、私の想い。もう戻らない大切なもの、緊迫の一場面。
 これが最後のチャンス、確かめたい……あなたの気持ち。伝わる言葉、伝わらない想い。あの日の独白、永遠の一日、だけど……いつまでも続いていく、わたしの「いま」。
 そして明日へ……「スクールランブルフォーエバー」】


746:参加するカモさん
07/07/20 17:32:46 Tvnc5sUt


747: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 17:33:22 90b5Kk1K
『……ナカムラ』
「はい」
 無線機のスピーカーから聞こえる声に、ナカムラは即座に反応した。
 海岸線から目的の島までの道のり、残りの距離は半分といったところか。
 前回、敵の哨戒船に撃退された地点まで、あと数分。
 今回は、こちらもそれ相応の“対策”はとってある。
「前回のようにいたずらにこちらの戦力を失うようなことにはならないだろうという程度の装備で、今現在目的地に向かっています。
 もちろん、敵戦力の概要がつかめていない今、安易にそれへの判断を下すのはためらうべきところかもしれませんが、どちらにせよこちらから出向くしか手は無いのです。
 とりあえず、RPGのような対戦車火気程度が敵の限界ならばこちらがその脅威にさらされるということはないでしょう」
 一年単位で買い替え、改修が加えられていた沢近家所有のヘリ―それは現代の最先端軍用ヘリに比べれば性能面では明らかに劣るが、
 一世代前のそれに比べれば僅かながら、そして民間レベルの機体に比べれば格段に機動性と運用面での性能において勝っている―10機の編隊で行われる今回の作戦は、
 ナカムラにとって二つの意味を持っていた。
 一つは、ナカムラの仕えるべき対象である沢近愛理の―もちろん生きていればの話だが―救出。
 そしてもう一つは、実の子のように可愛がり育ててきたスズキマサルへの弔い。
 だからこそナカムラは、しくじるわけにはいかなかった。
 与えられた任務以上の大切な何かを、ナカムラはやり遂げる必要があった。
「最優先事項はお嬢様以下そのご学友の救出。それがすみ次第、もしくはその任務の完遂の見込みがたち次第、
 可能な限りの戦力を用いて敵本陣への突入、および敵司令官もしくはその下士官の拿捕と情報の収集を行います。
 この作戦の許可は……」
『言ったとおりだ、ナカムラ。君は、君の思うとおりにしてくれ』
「……了解しました」
 それはきっと信頼の証。そう受け取ったナカムラは、この作戦をなんとしても成功させようという決意を新たにした。


748:参加するカモさん
07/07/20 17:34:58 6P0DHIh9
 

749: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 17:34:58 90b5Kk1K
 手に取ったSCAR(SOF Combat Assault Rifles)-Hの銃床を調節し、自らの長い腕にあう様に仕上げる。
 CQC(近接戦闘用)モデルであるため銃身が短く、建造物内での扱いやすさはピカイチでありH(ヘビー)タイプの―すなわちL(ライト)タイプの5.56ミリ口径のそれとは違い―7.62ミリ口径より放たれる銃弾は、
 少しばかりの遮蔽物ならものともせずぶち破ってくれるに違いない。
 もちろん、突撃銃一本ではいかにその性能が優れているとはいっても心もとない。
 サイドウエポンとして、ナカムラはジェリコ941の正規品を用意していた。装弾数が12発の40S&Wモデルではなく、15発の9ミリモデルだ。
 砂塵の中でも運用可能なように造られたそのイスラエル製の銃を、命中率の点で半ば神格化されたCz75の影響を強く受けた良い銃だとナカムラ個人は思い、愛用していた。
 ここ数年は実戦において使うことは無かったが、手入れを怠ったことはない。
 そしてナカムラは、その腕自体も錆付かせぬよう努めてきた。
 降下後の作戦行動について、できうるかぎりの準備は行っていた。
 もちろん、降下するまでの戦闘についても用意はしてある。
 流石にヘリ自身に機関銃を備え付けることはできなかったが、緊急の対応としてFNM249SAW(M249ミニミと呼ばれる機関銃の一種)を運用可能なようにヘリの機内に取り付けてある。
 支援火気としては軽量の部類に入るが、その性能には極めて高い定評がある。
 日本の企業でもライセンス生産されているが、あえてオリジナルを装備しているのは日本企業製のミニミには故障が多いという根拠の無い噂のせいではない。単に入手ルートの問題である。
 射程が長く、狙撃にも運用が可能といわれているそれをM27(200発箱型マガジン)と併用すれば、毎分1000発の発射速度は敵哨戒船にとって十分な脅威になるはずだ。
 短時間で用意したものとしては、上出来であった。
『第一警戒地点まで、あと三分! 隊長、このまま進みますか?』
「当初の予定通りだ。作戦の支障になりそうなものは、見つけ次第殲滅する。いいか、殲滅だ。それを全員に徹底させろ」
『……了解』

750: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 17:36:32 90b5Kk1K
 パイロットからの通信に答え、ナカムラはその頭を本来あるべき姿―傭兵として、血の戦場を駆け抜けたときの姿―に、切り替える。
 しかし、今のナカムラには昔とは決定的に違うものがあった。
 かつて彼が仕えたのは、雇用主であり、さらにはそれから言い渡された命令。
 しかし今の彼にとって大切なのは命令の遂行ではない。
 ナカムラが今この場にいるのは、ナカムラ自身の意思。沢近愛理を救いたい。
 彼の身体を突き動かしているのは、紛れも無くその種の極めて人間的な感情であった。
「待っていてください。お嬢様」
 登りきった太陽の光が、ナカムラの右目に眩しくうつる。
 ナカムラは沢近の為なら、もうこの陽の光が二度と見られなくてもいいとさえ思っていた。

   ※   ※   ※   ※   ※

 高野を撃ち、この島の中で生き残った生徒が自分一人になった時、三原には静かに考える暇が与えられることは無かった。
 聞こえてきたのは、無駄に明るくこの島には不似合いな声。

『三原さん、優勝おめでとー! いやー、まさか貴女が優勝するなんて、意外や意外。先生達、だれもそんなこと予想して無かったよー。
 約束どおり、三原さんは矢神に無事に帰れます。ただ、帰りのヘリはホテル跡屋上のヘリポートにしか来られないから、そこまでは自分の足で向かってね。
 禁止エリアは解除してあるから安心して。それじゃ、後で会いましょう!』

 憎むべき対象の不愉快な言葉は、三原の心に何も残さなかった。
 生き残ったことに、嬉しさなど感じない。
 後悔するべきことが多すぎて、もはや何を思ったらいいかも三原にはわからなかった。
 高野を撃ったのも、結局は自分の都合のいいようにすべてを解釈した結果なのではないかと思えてくる。
 それならば、やはり自分が進むべき道は他の皆に続いて……。
「ニャア」
 足元から響く優しい声の主に、三原は顔を向けた。
 思えば、この猫とも奇妙な縁がある。この島で最初に出会ったのはララだったが、その時に一緒に出会ったのが伊織だ。
 そして、最後に残ったのも自分とこの黒猫。
 飼い主を失った哀れな猫と、友人達を失った自分が重なったように思え、三原はしゃがみこんで伊織の頭を撫でてやった。


751:参加するカモさん
07/07/20 17:37:06 Tvnc5sUt


752: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 17:37:56 90b5Kk1K
 伊織は嫌そうな顔を見せたが、不思議と逃げようとしない。
 これではどっちがなだめられているのかわからないな、と三原は思い、力なく笑う。
「……ごめんね。こんな顔してたら、お前のご主人様に笑われちゃうね」
 伊織が同意するように、再び「ニャア」と鳴いた。
 八雲という優しい少女の事を思い出し、三原は自分の馬鹿らしい考えを否定する。
 それに高野にも約束したのだ。皆のことを忘れない、と。
 もしここで、自分で自分の命を絶ったなら、誰が皆のことを覚えていくというのか。
 罪の意識も。
 洗い流せない業も。
 全てを背負って生きていく。それから逃げることは、もう許されない。
 伊織を抱きかかえて、三原は立ち上がった。
 伊織は嫌がるそぶりも見せなかった。三原の腕のなかで丸まり、瞳を閉じる。
「お前も、疲れてたんだね」
 返事は無い。元々、返事を求めての問いではなかった。
 三原は高野の顔をもう一度見つめてから、埋めることもせず、立ち去る。
 最後に会うべき人と、会いに行く為に。
 彼女と対面したなら、自分の中で何が起こるか三原には予想できなかった。
 けれど、進むしかない。それが自分の責任であり、なにより、そうしなければ何も終わらないのだから。

   ※   ※   ※   ※   ※

 三原は一人で―正確には一人と一匹で―ホテル跡の前に立っていた。
 太陽は既に上がりきっている。
 時間的には空腹に悩まされてもいい頃合ではあるが、三原は食物はおろか水さえも口に含む気になれない。
 ここまでの道のり、三原は一つも言葉を漏らすことはなかった。
 全てはこの時、この場所で出会う人物に対して言葉を放つ為。
 それ以外に僅かでも声を出す力を使う訳にはいかない様な気がして、三原の口はここ2時間ほど閉じられていた。

753: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 17:39:15 90b5Kk1K
 しかし、それももう終わりだ。
 三原の目の前には、丸二日ぶりにみる三人の姿があった。その他には、誰の姿も見えない。
 けれども、周りの茂みに護衛が何人もいる可能性もある。
 そう考え、三原は眼球だけを動かし周囲を探り―すぐに、その行為を止めた。
 無意味だからだった。例えこの先に何があったとしても、自分がすべきことは何も変わらない。
 身体の右半分にのみかかる僅かな重みを感じならが、三原は一歩ずつ、前に進んだ。
 応じるように、目の前の三人も歩き出した。先頭は女性だ。そしてあの三人の中に女性は一人しかいない。
 他の二人は死んでしまった。否、殺してしまったから。
 近づいたことでよく見えるようになった姉ヶ崎の微笑に、三原ははっきりとした嫌悪感を感じ取り、それが顔に出るのを隠すことは無かった。
「……せっかく生き残ったんだもの。そんな顔することないのに」
「本気で言ってるのなら、私、怒りますよ」
「今も怒ってるくせにぃ」
 ケラケラと笑いながら、姉ヶ崎は隣にいる郡山に「ねぇ?」と呼びかける。
 郡山は、はぁ、と力ない相槌をうちながら、横目で三原を見ていた。
 三原はその視線から意図的に逃れ、今度は谷のほうを見る。
 太陽の光がメガネに反射してその瞳を窺うことは適わなかったが、口元はきつく結ばれ、その手にはしっかりと銃(三原には知りえないことだが、彼がもっているH&K USPは姉ヶ崎より託されたものであった)が握られていた。
 そういえば、この三人の中で銃を持っているのは谷だけだ。
 他の二人は手ぶらで、どう考えても警戒心にかけている。
 いや、それ以外の手段を用いることで何時でもこちらを殺せるというメッセージか。
 そう感じた三原の意識は、自然と自分の首に存在し続ける不愉快な感触へと集中する。
「心配しないで、もう首輪は作動しないから」
 まるでこちらの心を読んだかのような姉ヶ崎の言葉に、三原は驚きで目を丸くする。
 姉ヶ崎は「私もそうだったから」と静かに呟き、また一歩、三原に近づいてから言葉を続ける。
「貴女は知らないんだもんね。私が、このゲームの経験者だってこと」

754:参加するカモさん
07/07/20 17:39:53 Tvnc5sUt


755: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 17:41:11 90b5Kk1K
 三原は二度目の驚愕により一瞬だけ頭が真白になったが、すぐに思考を立て直す。
 なるほど、刑部先生が言っていた「姉ヶ崎が黒幕の一人」というのは、こういうことだったか。
「あんまり、驚いてくれないのね」
「私は既に一度、このふざけた殺し合いの経験者に会ってますから」
「ああ、アディエマスさんか。彼女も不幸よね~。こんなゲームに、二回も参加することになるなんて」
「……彼女かこの学校にいたから、じゃないんですか?」
 兼ねてから心の隅にあった疑問を、口に出してみる。
 姉ヶ崎は首を左右に振り、それを即座に否定して見せた。
「まっさか! そんなことないわよ。第一、彼女が目的だったら、このゲームの参加者は貴方達じゃなくて1-Dになってたはずでしょ?
 彼女がこのゲームに参加することになったのは、その方がゲームが盛り上がりそうだから。実際、見物だったでしょ?」
 悪びれる様子もなく、姉ヶ崎が答える。
 三原は、胕が煮えくり返るような思いだった。
 彼女と行動をともにしたのは僅かな時間でしかなかったが、その僅かな時間の中でさえ、サラ・アディエマスという少女の優しさを十分に知ることが出来た。
 サラのような人がこの殺し合いの中に放り込まれたなら、その心に受けるであろう傷は想像を絶するに違いない。
 ましてやそれを二度も味わうとなると―それ以上、三原は考えないことにした。
「まぁ、前回は誰も殺さないで優勝だったから、期待はしてなかったけどね。
 ……意外性って点では、三原さんの優勝も十分に驚くべきことだけど」
 ニヤリと、全ての者を不快にさせるであろう笑いを浮かべながら、姉ヶ崎が囁く。
 いつの間にか、姉ヶ崎は三原が手を伸ばせば届く距離にまで近づいていた。
 この至近距離で銃を撃てば、どんな下手糞だって外すわけが無い距離だった。
「……もういいでしょう。姉ヶ崎先生」
 姉ヶ崎の肩に手を置いて、谷がそう告げていなかったら、姉ヶ崎は何時までも三原と話をしていたかもしれない。
 姉ヶ崎は「えぇ~?」と不満げな声を漏らした後、谷の顔を見て、口を尖らせながら彼の後ろへと引き下がる。
 谷はそうする姉ヶ崎を寂しげに見つめたあと、表情を険しいものに戻して三原のほうへ向け、事務的な声で話し出す。

756:参加するカモさん
07/07/20 17:42:12 q6SWhBq8
支援

757: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 17:43:07 90b5Kk1K
「とりあえず、ご苦労様と言っておこう。これから、ヘリが三原を迎えに来る。
 お前はそれに乗り、指定の場所へと向かってもらう。
 ……今回のお前の立場は、『バス横転事故の唯一の生還者』ということになる。
 バスが横転して崖に落ち、他の者は死体すら見つからない。その設定を守りさえすれば、お前の身は安全だ。
 教師を含む48名は全て事故で死んだということにすれば、だ。簡単だろう?」
「……教師を、含め?」
 生じた疑問を、三原は素直に口にした。
 同時に、横から怪訝そうな顔をした郡山が会話に入ってくる。
「あん? それはどういうことじゃ、谷先生。俺達も一緒に帰るんじゃないのか?」
「……言っていなかったんですか? 姉ヶ崎先生」
 溜息をついた後、まるでいたずらした生徒をたしなめるかのように、谷は姉ヶ崎に尋ねた。
 それに対して姉ヶ崎は、ぺロッと小さく舌を出して答える。
「言う必要ないかと思って」
「まぁ、それはそうかもしれませんけど」
「そんなわけないじゃろっ!」
 慌てたように、郡山が再び割ってはいる。
「『奇跡的に四名生存』っ! それで問題ないはずじゃろ!?」
 喚く郡山を、三原は直視することが出来なかった。あまりにも醜く、浅ましい。
 顔を伏せ、せめて視界からだけでもその存在を消し去ろうと努力した。
 頭上を一方的な怒声が通り過ぎ、それが三原の頭を押さえつける圧力になる。

 それがなくなったのは、本当に唐突だった。
 それまでまるで嵐のように吹き荒れていた汚い言葉が、突然、事切れる。
 その代わりに、言葉にならないような言葉が、かすかに誰かの口から漏れているようだった。
 何事かと思い三原が顔を上げた瞬間、三原は全てを理解する。
 谷が引き金を引いたのは、まさにそれと同時だった。

 ぱんっ、と乾いた音が響くと同時に、郡山の頭から脳漿が飛び散る。それは谷の眼鏡と顔を紅で染め、飛沫は、三原の身体にもかかった。

758:参加するカモさん
07/07/20 17:44:30 SakkjTBM
支援

759:参加するカモさん
07/07/20 17:45:59 OeEPjYDa
しぇ~ん

760: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 17:46:28 90b5Kk1K
 いきなりの出来事に、三原は再び立ちすくむ。
「騒がしくてスマンね。だが、これでもう問題は無い。
 三原のするべきことはさっき言ったとおりだ。……何か、質問は?」
 表情一つ変えずに、谷は三原に尋ねる。
 その後ろにいる姉ヶ崎も、別段驚いた様子は無い。
 今この場で状況についていけていないのは、眼前で人の頭の中身が飛び散る場面を見ることになった三原と、
 いきなりその意識とともに生を狩り取られた郡山だけだった。もっとも、後者は既に驚き以外の表情を浮かべることは出来なくなっているが。
「三原、質問はないのか? 黙っていてはわからないぞ」
 まるで何もなかったかのように、穏やかな声で谷が問いかける。声だけを聞いていれば、本当に普段の谷となんら変わらなかった。
 いや、意図的に普段どおりに振舞おうとしているのか。どちらにせよ、その静かな声は三原の頭に冷静さを取り戻させる大きな手助けとなったけれども。
 ゆっくりと息を吸い、細く静かに吐き出す。三原は姉ヶ崎のほうへと視線を向け、尋ねた。
「……一つだけ」
「何? 先生に言ってごらんなさい。優勝したご褒美に、何でも答えてあげる」
 穏やかな彼女の微笑に、違和感を覚えながら。
「私達は、何で殺し合わなくちゃいけなかったんですか」
 一人になってからずっと、心に引っかかっていたことだ。
 突然こんな島につれてこられて、殺し合いをさせられて。結局生き残ったのは自分一人。
 それでは、死んでいった者達はなんだったのか。その死には、どんな意味があるのか。
 何も無いのでは、あまりにも他の皆が不憫だ。
「高野さんみたいなこと言うのね、三原さん」
 姉ヶ崎の表情はしかし言葉とは裏腹に、まさに待ってましたといわんばかりの笑顔だった。
「刑部先生も―もちろん、笹倉先生も、やけに気にしてたわねぇ。そんなことを知ったところで、何も状況がかわるわけではないのに」
 もちろん、三原にもそんなことはわかっている。
 ただ、理屈ではなかった。
 なにもわからないままこの島から去れば、自分は絶対に後悔する。そうした確信が三原の中にはあった。

761:参加するカモさん
07/07/20 17:47:05 OeEPjYDa
 

762: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 17:48:21 90b5Kk1K
「まぁ、いいわ。教えてあげる。このゲームはね、本来、巨大な賭博の対象なのよ」
「……賭け事?」
「人間、お金を持つと色々な娯楽を考えるものよね。一般人では味わえない残酷なゲームの観戦費として、彼らは喜んでお金を落とす」
 一瞬だけ、姉ヶ崎の顔の中に嫌悪の色を見つけたような気がした。
 しかしその色はまるで見間違いだったかのようにすぐに消え去り、姉ヶ崎の顔にはまたさっきまでと同じ不自然な笑顔が浮かんでいる。
 三原においては、嫌悪感を隠そうともしなかった。拳に自然と力が入る。
 スカートにはさんだままの鉄の塊の存在が、否応なくよりはっきりと認識される。
「私達は、見世物だったっていう事ですか」
 そんな“意味”だったら、欲しくはない。皆の死の理由がそれでは、哀しすぎる。
「……いいえ、違うわ」
 その言葉に、三原は一瞬眉をひそめる。
 姉ヶ崎はその疑問を払いのけようとするかのように、すぐに言葉を連ねた。
「言ったでしょう? このゲームは“本来”、賭博の対象であるって。この意味があなたにはわかる?」
「今回は、違う?」
「えぇ、そうよ。なかなか頭の回転が速いのね。だからこその優勝なんだろうけど」
 姉ヶ崎の言葉にはときおり自分に対する負の感情が含まれているな、とここで三原は気付いたのだが、今はそれに対しては言及せずに姉ヶ崎の言葉を最後まで聞くことにした。
「今回に限っては、観客は誰もいないのよ」
「……え?」
「実は日本でこのゲームが開かれるのは、実に久しぶりのことで―そうまさに、私が参加したもの以降、今の今まで日本では開催されることは無かった。
 理由は簡単。この国の環境がゲームに適していなかったから。
 銃のやり取りだけでいくつもの裏ルートを利用しなきゃいけない国なんて、彼らにとってはやりにくくてしょうがなかったみたい。あ。彼らって言うのは、このゲームの本当の首謀者達ね」
 まただ、と三原は思った。
 “彼ら”という単語を述べた時、またも姉ヶ崎の顔に嫌悪の色を見た。


763:参加するカモさん
07/07/20 17:48:48 OeEPjYDa
 

764:参加するカモさん
07/07/20 17:50:17 SakkjTBM
支援

765: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 18:00:35 90b5Kk1K
「でも、日本での開催は望まれ続けていた。日本にだってこのゲームのファンはいるのよ。
 私はそれを、前回のゲームの後に知り合った『愛好者』から知った。だから彼を通して売り込んだわけ。私の生徒を使って、日本におけるゲーム開催のテストをしてみませんか、って。
 彼らは喜んでその提案を呑んだわ。元々、私がそういった役割を負いたいっていうことは私が優勝した時に彼らに伝えてあったから、何も不審に思われることはなかったしね」
 三原は、姉ヶ崎の言葉を容易には受け入れることができなかった。
 受け入れたくは無かった。そういった考えを持ったまま正気でいられる人が存在するなど、信じたくは無かった。
「なんで……」
「何が?」
「なんでそんなことをっ! 先生も、この殺し合いを経験したんでしょう!?
 だったらなんで、なんでそれを私達にもやらせようなんて思えるんですか!
 貴女は誰よりも、その行為の虚しさを知っているはずなのにっ!」
 友人の死。
 大切な人の死。
 この世のありとあらゆる地獄をかき集めたような現実が広がるこの情景を、望んで体験しようとするものなどいるはずが無い。
 アクション映画と同じだ。観客は主人公の奮闘に狂喜するが、実際、主人公が背負う重圧とそれに伴う負担は異常なほどまでに大きい。
 それを姉ヶ崎は知っているはずだった。
 なのに何故? 三原は思う。
 なのに何故、彼女はずっと笑い続けているのか。
「虚しい? 何が?」
 姉ヶ崎はわらっていた。三原はその顔を注意深く見つめる。
「私がゲームで優勝した時に感じたのは、もう命を狙われることはないという安堵感と、生き残ったことに対する喜びだった。
 貴女だってそうでしょう? 生き残れたことが嬉しくて嬉しくて仕方が無いでしょう?
 それは、何事もにも勝る感動だと思うわ。それが虚しい? 馬鹿言わないでよ」
 声は徐々に荒く、険しくなっていた。
 なのに表情だけは変わることは無い。
「一人だけいい子ちゃんぶって。貴女だって本当は私と同じでしょう?
 認めちゃいなさい。ほら、今なら私達以外誰も聞いていないから」
 

766: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 18:01:49 90b5Kk1K
 自分の中に渦巻いていた姉ヶ崎に対する恨みや怒りは、その勢いを増している。
 しかし同時に、姉ヶ崎に対して、コレまでとは別の感情を抱いていることを悟る。
「……私は」
 自分には、語るべき言葉はない。それに気付いてはいたが、三原は声を出さずにはいられなかった。
 何もかもを決め付ける姉ヶ崎に反発したいという気持ちがまず一つ。
 そしてもう一つは、三原の中で出来上がっている一つの確信だった。
 目の前の、この人の笑顔は何かが違う。この人は―
「姉ヶ崎先生。そこら辺で」
 谷の制止の声を無視して、姉ヶ崎は声を荒げ続ける。
 顔が上気し、赤らんでいた。
「幾ら綺麗事を言ったって変わらないのよ。『皆のことを絶対に忘れない』? それがどうしたって言うの。
 忘れなかったら、貴女の罪は消えるっていうの? それは都合のいい自己弁護よ」
「そんなことは、言われなくてもわかっています」
 三原は、自己の行為が善ではないということを今では十分理解していた。
 その上での行為と結末。後悔がないといえば嘘になる。もしかしたらもっと他の道が見つかったかもしれない。
 いや、それよりも。もっと早くに自分の間違いに気が付いていたなら、自分一人だけが生き残るという状況よりももっとよいものが得られたかもしれないということさえ思っていた。
 だから三原は迷うことなく言うことができた。自分は咎人であると。
 けれども、それを責めることができるのは、死んでいった友人達とその大切な人だけだ。
 決して、姉ヶ崎などではない。あってはならない。
「でも、私はっ!」
 スカートからワルサーP99を抜き、姉ヶ崎の眉間へと押し付ける。
「三原っ!」
 大声を上げて谷が駆け寄ってきたが、姉ヶ崎が片手を上げてそれを制止した。
 谷が初めて表情を大きく変えたのは、この時だった。
 対して姉ヶ崎はというと、やはり表情は先程までと変わらなかった。
 三原は怒りの感情から引き離した理性的視点から、その顔の正体を分析する。

767: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 18:03:13 90b5Kk1K
「……怒ったの? 怒ったんでしょう。図星だからよね。そうなのよね。
 それで私を殺すの? 都合の悪い言葉を頭の中から追い出すように、自分を否定する存在を消し続けてきた貴女なら造作も無いことでしょうね」
 三原はその正体を察した。彼女は“嗤って”いたのだ。
 その笑顔はまさに嘲り。けれどもその対象は、三原ではなかった。
 そう気づいた時、三原の両の腕からは急速に力が抜けていった。
「できるものならやればいい。でもね、そんなことしたって貴女のまわりの現実は何も変わらないのよ。
 私を殺そうが生かそうが、貴女はこれから彼らによって、サンプルとして扱われる。
 ゲームの優勝者は可能な限り生かし続けるのが彼らの趣味の悪い方針だからね。
 貴女が彼らのことについて調べたり、その存在を声高に叫ぼうとしたりしないように管理され、そのデータいかんで今後の日本におけるゲームの開催が左右される。
 つまり最後まで、このゲームの開催者に協力することになる。貴女は、一生そうして生きていくのよ」
 既に三原は完全に理解していた。
 姉ヶ崎が嗤っていたのは、彼女自身だったのだ。
 彼女の瞳は最初から三原のことなんて捉えてはいなかった。きっと、自分以外の何者も今の彼女には見えていないのだろう。
「さぁ、殺したいんでしょう。殺しなさいっ。もう時間が無いわよ」
 三原の指はワルサーの引き金にかかったままだったが、その意思はもう姉ヶ崎を殺すことを拒んでいた。
 その中心にあったのは、恐怖。
 姉ヶ崎は、もしかしたらあるかもしれない―あったかもしれない未来の自分だった。
 友人達を殺していく残虐なゲーム。その被害者たる優勝者の命は、生きている限りその者の所有物とはならない。
 その者の命は、そのものをゲームの中へと送り込んだ者達の手によって管理され、彼らに都合が悪くなればいとも簡単に消されてしまう。
 それは、あるいは死と同じ意味を持っているのかもしれない。
 大切なものを全て投げ出して、その結果得たはずの生。
 それが擬似的なものに過ぎないと知った時、果たして、自らの命に意味を見つけることができるのか。

768: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 18:04:39 90b5Kk1K
 三原を、目眩が襲った。しかしすぐに意識を持ち直す。
 約束したではないか、高野に。皆のことを覚え続けると。それは死んでしまえば決してできないことだ。
 今の三原には、そう思い込むことしかできなかった。
「もうすぐ、ここに迎えのヘリがくるわ。その前に、貴女がしたいことをすればいい。
 ええ、そうよ。これは私の選択じゃない。貴女が、貴女の意思でやらなくてはいけないのよ」
 眼前の教師は、嗤い続けていた。
 きっと彼女は気付いていないのだ。否、気付かないようにしているのだ。
 今、この場で彼女の表情の意味に気付いていないのは姉ヶ崎ただ一人。
 三原は、彼女の背中で哀しそうな顔をしている男を見た。
「……姉ヶ崎先生、あなたは」
 三原の言葉は、そこで止まった。
 耳に入ってきたのは、ヘリのプロペラ音。
 小さい点に過ぎないそれは、徐々に、そのシルエットを大きくしていく。
 自然と、三原の視線はそちらに移った。谷も、今はそれを見ている。
 彼は同時に、少し怪訝そうな表情を浮かべた。
 しかし姉ヶ崎だけは違った。彼女はヘリそのものなど見ていなかった。
 彼女が見ていたのはワルサーP99のみ。そこから放たれるであろう弾丸を、彼女は待ち焦がれていた。
 まるで、それのみが彼女を救うかのように。
「ほら、早くしなさい。大丈夫。私一人が死んだところで、彼らは眉一つ動かさないわ。
 むしろ喜ぶかもしれない。おもしろいものが見られた、ってね」
「先生」
 三原は、ついに腕すら下ろした。姉ヶ崎の顔から、初めて嗤いが消える。
 次に彼女の顔に浮かんだものは―三原が感じたそのままの言葉で説明するとすれば―当然与えられると思っていたお菓子を奪われた子供のそれ、そのものであった。
「何してるのよ、三原さん」
 ヘリのプロペラ音がやかましい。
「私を、恨んでいるんでしょう? 憎んでいるんでしょう?
 だったら殺せばいいじゃない。貴女には、その権利がある。いえ、義務がある」
 姉ヶ崎の言葉はもう少しでかき消される寸前だった。
 どうも、ヘリは一機のみではないらしい。

769:参加するカモさん
07/07/20 18:05:28 q6SWhBq8
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770: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 18:05:54 90b5Kk1K
「どうしたのよ。だって貴女、もう殺したんでしょう? 今まで、それで生き残った。
 私だってそうよ。殺して、殺して生き残ったの。そんな人間は一人で十分。ねぇ、そうでしょう?」
 ヘリが高度を徐々に下げている。
 それに比例するように、姉ヶ崎の声も大きくなった。
「やりなさい、三原さん。恨みを晴らさせてあげるのよ。さぁ、早くっ!
 もしやらないというのなら。……谷先生。この娘を、殺してください」
「姉ヶ崎先生……」
 谷はためらいを見せたが、しかしすぐ観念したように、H&Kを持ち上げて三原の頭部に銃口を向けた。
 そこで初めて、三原は谷の眼鏡の奥にある瞳に宿った鈍い光を見た。
 谷が、何かを確かめるように三原にこっくりと頷いた。三原は、ワルサーを持つ腕を再びゆっくりと上げ始める。
 姉ヶ崎の顔には、歓喜の色が浮かぶ。
「そうよ、殺せばいいのよ。自分の命を長引かせる為に、他人を犠牲にする。
 当たり前のことじゃない。誰でもそうするのよ」
 三原は、ある点では姉ヶ崎の意見に同意していた。
 ワルサーを隠し持っていたのは、どこかで彼女達を殺したいという気持ちが渦巻いていたからだ。そうすることで、死んでいった者達に報いることができると思っていた。
 高野のことを許せなかったことと同様に、姉ヶ崎達もまた、許すことができない。
 もちろん、そんなことは無理だろうという気持ちが三原にはあった。
 それを実行すればおそらくこちらも殺されるだろう。
 それでは、高野との約束は果たせない。三原の願望は、単なる妄想であってその実現は不可能であるはずだった。
 しかし、目の前にはその得られないはずのチャンスが転がっている。
 そしてそれは、人差し指にちょっとだけ力を入れれば容易に達成されることにすぎない。
 そのはずだった。
 なのに、なぜその指が動かないのか。
「さぁ。さぁ。さぁっ!」
 姉ヶ崎の顔は期待と喜びに溢れている。

771: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 18:06:59 90b5Kk1K
 三原は引き金を引くべき理由を考えた。何よりも、三原自身がそれを望んでいるから。
 復讐の機会が与えられたなら、それを果たすべきなのに。なぜそれができないのか。
 高野を殺したのだ。同様に、目の前の女も殺すべきなのは明白。
 それなのに、三原を止めるものは何なのか。三原の心の中は、まるで間違いを起こした小さな子を許す時の様に―
「……あぁ」
 三原は、唐突に一人の教師の顔を思い浮かべた。
 同時に、腕からは力が抜ける。
「どうしたの、三原さん?」
「……ごめんなさい」
 姉ヶ崎は、三原の心の中で何が起こったのか全くわかっていないようだった。
 当然だろうと、三原は思う。
 だが、それこそが自分達の違いなのだ。それは三原にとっての幸運であり、姉ヶ崎にとっての不幸だった。
 ただ、それだけの違いなのだ。
「私には、あなたは撃てません」

   ※   ※   ※   ※   ※

772:参加するカモさん
07/07/20 18:08:03 q6SWhBq8
支援

773: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 18:09:02 90b5Kk1K
 ヘリが一機、高度を下げて三原たちに寄ってくる。
 中から出てきたのは姉ヶ崎の仲間ではなく、黒い眼帯をした男だった。
 ヘリポートには降りず、彼は降下ロープで真っ直ぐに三原たちの傍に降りてきて、瞬時に谷を昏倒させ、姉ヶ崎を押さえつけた。
 次にその眼帯の男が放った言葉―お嬢様のご学友ですか、と彼は尋ねた―で、三原はその男の正体を知る。
 三原は彼に伝えるべき言葉を知っていた。
 生き残ったのは自分ひとり、この他の関係者は東の学校にいる、と彼に伝えた時、彼は一瞬だけ悲しげな表情を浮かべたが、
 すぐにそれを彼自身の中に押し込め、無線機を通して異国の言葉によって上空のヘリ数機に新たな指令を出していた。
 その直後、残りのヘリは東へと飛び去っていく。
 彼らがそこで何をするのか、三原はあえて考えなかった。
 どこか現実とはかけ離れた情景を見ていた三原を現実に戻したのは、姉ヶ崎の悲痛な叫びだった。
「離してっ!」
 眼帯の男の代わりに、ヘリから降りてきたもう一人の男に抑えられていた姉ヶ崎は、三原をにらみつけていた。
「三原梢っ! 貴女も私と同じなのよっ! 認めなさいっ!
 こんなことしたってだれも救われないっ! 許されないっ!」
 三原は姉ヶ崎から視線を逸らす。ここで彼女の言葉を否定することは簡単だった。
 だが、本当にそうなのか。本当に自分と彼女には違いがあるのか、という思いが三原に沈黙を選ばせた。
 助け舟を出すように、眼帯の男が三原に対して屋上のヘリポートに行けと指示を出す。
 三原は素直に彼の言葉に従った。そうするより他、無かった。
 彼女がホテルへと入っていく姿を、姉ヶ崎はずっと見つめていた。
 三原がホテルの中に入り、やがてヘリが飛び去った後も、姉ヶ崎はその方向を見つめ、叫び続けた。
「お願い、認めてぇっ!」

   ※   ※   ※   ※   ※

三原が世間の注目を集めたのは、島から生還したあとのほんの1~2週間に過ぎなかった。

774:参加するカモさん
07/07/20 18:12:13 hTWe4NEo
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775: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 18:12:33 90b5Kk1K
 運転手の不注意による、崖からの転落事故。生存者は一名だけ。
 学校側の責任問題が追及されたが、何故か事故が起こった当日に別の場所で“交通事故”にあっていた理事長とその息子にいまさら罪を問えるはずも無く、
 マスコミは早々に興味を失い、事故について考えるのは死んだ生徒の関係者だけとなった。
 それは姉ヶ崎の言う“彼ら”が計画したものと同様の内容。唯一違うのは、それを管理しているのが“彼ら”ではなく、沢近の実家であるということ。
 三原は、ヘリの中で、そしてその後はどこかの狭い部屋の中で眼帯の男の仲間から取調べを受けた。
 盗聴機の音声も残っているはずだから、三原は一切嘘をつくことなく、彼らに全てを話した。
 結果として、三原は取り調べ開始から約24時間後、開放されることとなったのだ。
 開放といっても、もちろんその後でこれからの行動についての説明がなされたが。
 三原は、説明された内容のとおりに見事に役を演じてみせた。
 世間は彼女に同情し、死んでいった友人の家族からは、あの子の分も生きて欲しいとさえ言われたりもした。
 三原はそれに「はい」としか答えられなかった。友人の死を悲しむ表情を作るのは至極簡単だった。ただ、感情を隠さなければいいだけなのだから。
 しばらくして、父の栄転が決まる。
 よい機会だからと三原は父についていくことを勧められ、彼女はそれに従った。
 誰が手を回したかわかっているからだ。
 引越しまではしばらく時間があったが、三原は一度も矢神高校に戻ることは無く、そしてこれからも戻らないつもりだった。
 そのことについて家族は何も言わなかった。だから三原は、残された時間をただ怠惰に過ごすことができた。

 彼女の前に再び眼帯の男が姿を現したのは、引越しのまさに前日である。

776: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 18:15:51 90b5Kk1K
「一緒に、来ていただけますか」
「はい」
 彼が求めるままに黒い車に乗り込むと、その中はいい香りがした。
 それが沢近が使っていた香水と同じものだと気付くのに、さして時間はかからなかった。
「私は、沢近家に仕えております、ナカムラというものです。
 今日、貴女に来ていただくのは、愛理お嬢様のお父様―つまり、私の主人たる方とお話をしていただきたく思ったからです」
「……ずっと、待ってました」
「ほう?」
 車を走らせている間、ナカムラは姉ヶ崎の言う“彼ら”がどうなったかを話してくれた。

 哨戒船による防衛網を損害なしで突破したナカムラ達は、そのまま鎌石小中学校を襲撃、わずかな損害で敵の抗戦能力を失わせることに成功したらしい。
 平和のにとり憑かれたともいえる日本での作戦行動は、彼らに僅かな隙をもたらしたとナカムラは表現した。
 ナカムラは管理室の中で、姉ヶ崎が集めたと思われる“彼ら”につながる資料を発見し、それを用いて敵の首謀者を割り出したという。
 結果として、“彼ら”はその力を失った。そうとうえげつない手も使ったらしい。
 彼らを支持する勢力があったのも事実だが、逆に彼らを攻め立てる勢力が存在したのもまた事実。
 ―証拠さえ握ってしまえば、叩くことは可能です。もっとも、彼らのような組織が二度とこの世界に現れないということは保障できませんが。少なくともあと十年はこんなことはおこらないでしょう。
 ナカムラは、憮然とした態度のままそう告げた。
 車が沢近家の邸宅内に入り、そのエンジンが止まった後、最後に三原は姉ヶ崎と谷の現在の状態を尋ねた。
 ナカムラは少しだけ思案した後、三原の目を真っ直ぐと捉え、事実のみを簡潔に告げた。
「谷という男は、屋敷の中に監禁しております。
 姉ヶ崎という女は、ちょうど昨日のことですが、自害いたしました」

   ※   ※   ※   ※   ※

「よくきてくださいました」
 沢近家の長たる愛理の父は、三原に着席を促した。

777: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 18:18:40 90b5Kk1K
 三原はそれに素直に従う。スーツを着た女性が、三原の前に紅茶を出した。
「私に、話があると聞きました」
「ああ、うん。話というのは他でもない。私の娘のことなんだ」
 彼はそういうと、落ち着くためなのか、一口だけ紅茶を口に含み、語りだした。
「……あれは、小さい頃からよく懐いてくれてね」
 それは他愛の無い思い出話だった。
 けれども、それは愛理に対する想いで満ち溢れていた。
「あれの母親のことを、私は誰よりも愛している。しかし、周囲がそれを快くは思ってくれなかった。
 だから、あれがまだ幼い頃から、会う時間なんて本当に僅かしか作ってやれなかったんだが。
 それでも、会うたびに娘は笑ってくれたよ。もしかしたら、気を使ってくれていたのかもしれんがね」
 力なく、彼はわらった。
 後悔してるのだろうか。三原は思ったが、それを口に出すほど愚かではなかった。
「……君から見て、あの娘はどんな娘だった?」
 彼の言葉に、三原は「いい娘でした」とだけ返す。
 彼女について自分がこれ以上の言葉を語るのは、おこがましく思えた。ただ、それだけだった。
 愛理の父は少しだけ三原の更なる言葉を待っていたようだったが、やがて何かを納得するかのようにうなずき、「そうか。……ありがとう」とだけ告げ、部屋から去っていった。
 しばらくして、部屋の中に入ってきたのはナカムラだった。
 彼は嫌なら拒否して構わないという前置きをして、「谷という男が貴女に会いたいと言っています」と告げた。
 三原は迷わなかった。「行きます」とだけ即座に答え、ナカムラの示すとおりに、地下へと続く階段を下りていった。

   ※   ※   ※   ※   ※

「……いや、すまんな。こんなだらしない格好で。お前、授業はどうした?」
 三原の顔を見たときの、谷の第一声はそれだった。
 昔の日常と変わらない谷の態度に苦笑しつつ、答える。
「今日は日曜ですよ」
「……ああ、そうか。この部屋にこもっているから、どうも曜日の感覚がつかめなくてな」

778:参加するカモさん
07/07/20 18:26:43 q6SWhBq8
支援

779:参加するカモさん
07/07/20 18:29:36 SakkjTBM
支援

780:参加するカモさん
07/07/20 18:36:36 6P0DHIh9


781:参加するカモさん
07/07/20 18:40:31 4PZEaxUr
さるさんです。一度本スレ投稿を諦めてまとめに投下します。
その後でこちらにも投下するのでご心配なく

782:参加するカモさん
07/07/20 18:48:34 EMRXXMay
・・・終わった。


783:参加するカモさん
07/07/20 18:53:40 RoH786aW
三原日記、ハラミ・・・本当に三原のためにあったロワだったね。

784: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 19:03:01 90b5Kk1K
 それっきり、谷は黙ってしまった。
 三原は、自分から切り出すべきなのだと思い、いまや故人となってしまった相手の名前をだす。
「姉ヶ崎先生は……」
 谷は、うん、と頷いて、三原のあとを続けた。
「……彼女は彼女なりに苦しんでいたんだと思う。友達や、恋人を殺すことで生き残ったからなのかな。
 しょうがなかったんだと、それ以外の道はなかったんだと、自分自身に言い聞かせたかったのかもしれない。
 だからお前達を、かつての自分と同じ状況に陥れた。仲の良いお前たちでさえ殺し合いをするならば、自分達がしたことも仕方の無いことだったと結論付けることができるから。
 お前たちにとっては、迷惑極まりない話だと思うが……」
 そこまで言って、谷は哀しげな顔を浮かべて自分自身を嘲った。
「もちろん、これは俺の想像だ。姉ヶ崎先生は最後まで俺に理由を話してはくれなかったよ」
 三原はしかし、谷の想像が間違っているとは思わなかった。
 姉ヶ崎は、彼の言葉に耳を傾けるべきだったのだ。こんなに自分のことをわかってくれる人がいるということに気付けなかったことが、彼女の一番の不幸に違いない。
 三原は思ったことをそのまま口にした。
 しかし、谷はそれを認めなかった。
 自分には、もともとそんな力が無かったのだと口にして、自らの不手際を恥じていた。

 ナカムラから呼ばれるまで、谷と三原は語り続けた。
 最後に三原が、それでも、谷が一緒にいたことで姉ヶ崎は僅かだが救われたのではないかと告げたとき、
 谷は「そうかな?」とだけ寂しげに呟き、昔と変わらない笑みを三原に浮かべてみせた。


785: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 19:04:06 90b5Kk1K
   ※   ※   ※   ※   ※

 ナカムラの言うとおりに車に乗り込み、三原は真っ直ぐに自宅へと送られた。
 その間、ナカムラは一言も発しなかった。
 三原も、彼に向けるべき言葉を持たない。
 ただ、車の中に香る匂いだけが、ナカムラの想いを雄弁に語るのみであった。
 窓の外に流れる景色とも、今日でお別れになる。
 そう思いながら約十数分。車は、三原の家から少しだけ離れた場所に止まった。
「忘れないでくださいませ」
 三原と別れる直前、ナカムラは告げる。
「旦那様も、私も、あなたのことを心の中では恨んでおります。
 お嬢様の命を贄として生き残った貴女の事を、許すことはできないでしょう」
「はい」
 三原はそれを、ナカムラに言われるまでも無く理解していた。
 今日だって、彼らに殺されても文句はないと思ってついて行ったくらいだったから。
「死にたくなったら、まずは私めにご連絡ください。
 その時は、私が全身全霊をもってその希望にこたえて差し上げます」
「ええ」
 ―けれど。
 三原は思う。
 自分は、決して自ら死のうとは思わないだろう。私は生きて、皆の思い出をこの胸に抱き続ける。
 それを沢近や、彼の父、そしてこのナカムラという男が望むとは限らない。
 他の友人達だってどうだろうか、とも思う。
 けれど、三原自身はそうしなければいけなかったし、そうしたいと思っていた。
「それでは。……今日は有難う御座いました」
 軽く腰をまげて礼をした後、ナカムラは去っていった。
 残された三原は、そういえば自分が外に出たのはどうしてだったかと一瞬考え、しかし次の瞬間にその目的は達成された。
 足元で、猫の鳴く声がする。そうだ、この子を探していた。

786: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 19:05:02 90b5Kk1K
 それは、彼女が捜し求めていた子猫だった。全身が真っ白で、伊織とは正反対の人懐っこい顔をしている。
 こちらに戻ってきてから、道端で拾った猫だ。
 捨てられていたわけではない。おそらく、野良の親猫を失ってしまったのだろう。
 少し弱っていたその子猫を、三原は家に連れ帰って看病した。その子猫は今ではすっかり三原に懐いていた。
 結局、伊織はあの島に残ったのだ。
 三原は一緒に連れて行こうと手招きしたのだが、伊織はそれを拒否して、茂みの中に走り去っていった。
 愛想をつかされたのかもしれない。
 自嘲気味に笑った三原を、真っ白な子猫が不思議そうな顔で見つめている。
 それもしょうがないと思っていた。あの猫は、頼りない自分を心配してホテル跡にまでついて来てくれたのだ。
 私のお守りが終わったから、伊織は主人の元に帰ったのだろう。それが、伊織にとっての幸せなのだと三原は自分を納得させる。
「……帰ろっか、ハラミ」
「みゃあ」
 ハラミと呼ばれたその子猫は、ご主人の声に律儀に反応した。
 家族全員から反対されたが、三原はこの名前をこの子につけるのだと主張したのだ。
 子猫も主人の願いに答えるように、ハラミ以外の呼び名には決して応えようとしなかった。
 だからこの子はハラミなのだ。
 家に帰ると、家族が暖かく迎えてくれる。
 三原はハラミを抱いたまま、自分の部屋にもどり、ダンボールの一つを開けた。

787: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 19:06:00 90b5Kk1K
 そこには一冊の日記帳があり、三原は栞を挟んであったページを開いてペンを取る。
 書き出しは決まっている。
 三原はハラミの額を優しく撫でてやった後、いつも通りの言葉を日記帳に書き始めた。




 
 ―こんにちは、三原梢です。







       ~スクールランブルバトルロワイヤル・完~


788:参加するカモさん
07/07/20 19:06:30 FN3ePhYY
 

789: ◆X7WwwzkoUU
07/07/20 19:08:14 90b5Kk1K
以上です。
書きたいことを書いていったら、思いのほか長編になってしまいました。
なにか問題があれば、指摘してくださると助かります。


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