スクールランブルバトルロワイアル13at EVENT
スクールランブルバトルロワイアル13 - 暇つぶし2ch365:参加するカモさん
07/07/07 21:14:53 6pEDl1jA
冥界ではさくらんぼが仲いいんだろうな
烏丸と天満を引き離すためにw

366:参加するカモさん
07/07/07 21:42:08 XoHwlh00
>>364
そっかーまじでありがとう!

367:参加するカモさん
07/07/07 21:55:25 ounN5Brx
>>365
嫌な関係だなwww

368:参加するカモさん
07/07/07 22:07:40 Br2D0Qm1
>>354-358
GJ!!
最後まで面白かったw

369:参加するカモさん
07/07/08 16:35:40 fVuBvHE8
もう自己リレーも解禁にしたらどうだろう


370:参加するカモさん
07/07/08 18:13:53 cnFqsUs7
もともと、自己リレーってのは禁止ではない。
自己リレーするには、ちゃんとした手順を踏まなきゃいけないってだけ。
別にいまさらそのルールを変える必要もないと思うが。
ルールを変えたところで、自己リレーという行為の印象自体は変わらないわけだし。

371:参加するカモさん
07/07/08 18:53:17 XHXGN5OG
>>358
GJ
ダメハネももう終わりか。スクロワもそろそろ終わりだろうし少し寂しいな
近雲は冥界でくらい播磨をそっとしておいてあげて

372:参加するカモさん
07/07/08 20:49:31 q5GUfMZO
>>358
最終回なんて言わないで、スクロワ完結後も完結記念でもう1本ダメハネ劇場を書いてくださいよ。

373: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 21:46:32 9PWZdsrT
本日23時から投下始めます。

374:参加するカモさん
07/07/08 21:48:02 YKWkhI5S
何故予告をする・・・まさか・・・・かんけt

・・・支援よろってことかな
続きはしたらばだと興が削げるし

375:参加するカモさん
07/07/08 21:55:45 9PWZdsrT
>>374
今回は長いので、支援はほんとにありがたいです。

376: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:00:21 9PWZdsrT
【 信念の代価 】

 朝日を浴びながら、三原は一人立ち止まっていた。
 パソコンは、行動の邪魔にしかならないので放置していた。
 どうせもう使うことも無いだろう。こんなものが無ければ、八雲も死んでしまうことはなかった。
 壊してしまおうとも思ったが、もしかしたらまだなにか使い道があるかもしれない。
 そう思い、三原はパソコンの電源を切るだけで他に何の細工も施さなかった。
 左手にはシグ・ザウエル。右手にはベレッタ。
 UZIを持つ気にはなれなかった。しかし置いていくことはせず、リュックにそれを放り込む。
 スコ―ピオンは無駄に弾をばら撒くくせに弾数が残り少ないので、それも温存するためリュックのなかにしまう。
 UZIに比べだいぶ軽いので、重さもそんなに気にするものでもない。
 代わりといっては何だが、三原のリュックの中には銃器と弾薬以外の何も入っていなかった。
 できるだけ重量を軽くして、行動しやすくするためだ。
 なぜなら、この島での戦いはもうすぐ終わるのだという確信が彼女にはあったから。
 水も食料も、地図さえも必要ない。
 いるのは、他の人間の命を奪う手段だけだ。
 三原は、諦めていた。
 今鳥や音篠の期待に応えることを。希望を追い求めていくことを。
 しょうがないのだと、自分に言い聞かせる。
 きっと最初から、これしか選択肢は残されていなかった。
 そう言い聞かせることで、三原は心を保っていた。
 否、保ててはいなかった。
 そう思うことで、三原は人としての自分自身を半ば壊してしまったのだから。


377: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:03:05 9PWZdsrT
「そうよ、最初から……」
 自分の周りには誰もいなかった。
 ララは一条を探していた。天満は八雲を、奈良は天満を求めていた。
 サラと麻生にとっても、自分は付属品でしかなかった。
 音篠と生きて再会することは叶わず、今鳥は―。
「誰も私を必要としてなかったんだから。だったら、私だって」
 ついこの間までともに過ごしていた友人達。その笑顔を思い出すことはできなかった。
 彼らたちが去っていったのか、それとも自分が遠ざかってしまったのか。
 三原にはその違いを判別することなどできない。
 きっとその両方なのだろう。そして二つが交わることは二度とないのかもしれない。
 それが三原には耐えられなかった。あがき続けたかった。
 ならば、三原にできることはただ一つだけである。
 スライドを引き、両の銃をいつでも発砲できるようにする。
 勝ち残るしかないのだ。この殺し合いゲームを。
 憎たらしいのは、自分をこんな状況に追い込んだ張本人。
 播磨の言葉が正しいなら、その内の一人はこの近くにいるのだろう。
 播磨を殺さなくてはいけなかったのは、まさにその女がいたからだ。
 三原はその右腕を真っ直ぐ前へと向けた。それは葉が何かと擦れる音のした方向。
 そして三原の視線の先に、よく見知った二人の女が現れた。
 本来なら好意を向けるべきであるその二人の人間に、三原が向けたのは暴力そのもの。
 真っ黒な銃口が彼女達の内の一人、刑部の心臓を真っ直ぐに捉えていた。

   ※   ※   ※   ※   ※

「三原、さん?」
 何が起こっているのか、一条には最初わからなかった。
 木々の間を目的地に向けて駆け足で進んできて、そして見えた人影。
 はっきりと彼女の姿を目視できるようになった時、目の前に飛び込んできたのは黒、そして、紅。
 思わず立ち止まり、見間違いかと目を擦る。
 しかし眼前の光景は変わることがなかった。そんな都合のいいことは起こらなかった。
 確かに先程までの三原も血にまみれていた。しかしそれは既に乾いて、赤黒く変色していたはず。
 

378: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:05:11 9PWZdsrT
 では、今の彼女の顔を彩っているあの紅は何なのか。
 そして彼女の腕の先にある、あの鉄の塊は何の意味を持つのか。
「……三原さ」
「ここで待っていたまえ」
 前に出ようとしていた一条を静止して、刑部が歩き出す。
「でも……っ!」
 一歩踏み出した一条だが、同時に、軽く視界が揺らいだ。
 まだ痛み止めの影響が抜けないらしい。
 行動にそれほど支障がでるとも思えなかったが、その一瞬の隙に刑部は一条と三原の射線上に立ちふさがっていた。
「刑部先生。なんでここにいるんですか?」
 驚くほどに三原の声は穏やかだった。
 先程、焼却炉の前で会った時とはあまりにもかけ離れた態度。
 それはまるで、何もかもを諦めたもののような―そんな、静かな声だった。
「君達に、協力しに来た。この殺し合いの黒幕は姉ヶ崎だ。
 彼女を何とかすれば、この絶望的な状況をひっくり返せるかもしれない」
 刑部の言葉に、三原はピクリと肩を動かした。
 しかしそれも一瞬のこと。三原は表情も変えず、刑部に言葉を返す。
「あなたが、私達に協力? そんな言葉をどう信じろっていうんですか。
 知ってるんですよ私。あなたが播磨君をたぶらかしたこと。
 そうしてまた騙すつもりでしょう? あのフラッシュメモリの罠みたいに」
「たぶらかした? 一体、何のことだ」
 三原は一歩前に出て、「とぼけないで」と呟いた。
「駄目ですよ、そんなことをしたら。播磨君は私の親友の、八雲ちゃんの想い人だったんですよ。
 そんな彼を汚しては駄目です。……でも、安心してください。
 彼がもうあなたに騙されることのないように、私が彼をなんとかしましたから」
 そこで、初めて三原の表情が変わった。
 残虐な、あまりにも直視しがたい笑み。一条の頭を、嫌な予感が過ぎった。
 それは認めたくない推測。しかし状況は全て、その悪夢のような推測を肯定している。
「まさか三原さん、あなた!」


379:参加するカモさん
07/07/08 23:06:46 0VCm2tKo
しえ~ん

380:参加するカモさん
07/07/08 23:06:48 peKUKLvG
支援

381: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:06:50 9PWZdsrT
 一条が見た刑部の背中は、微動だにしていなかった。
 しかし彼女の握られた拳は震えていた。爪が手のひらに食い込み、痛々しい色を浮かべている。
「……播磨君はどうした」
 刑部がそう告げると、三原の笑みはその禍々しさを増した。
 ニヤニヤと笑うだけで、何も言わない。
「どうしたと聞いているっ!」
「教えて三原さんっ! さっきの銃声は何っ!? 播磨さんは……」
 声を荒げる刑部と一条に対し、三原は銃口を刑部に向けたまま答えた。
「彼なら、ちゃんと送ってあげただけですよ。八雲ちゃんと、塚本さんのもとにね」
「……っ!」
「そん、な」
 最も聞きたくなかった、しかし予想していた答えに、一条は思わず膝をつく。
 この島の中で、最期まで希望を棄てていなかった人。
 何もかもを他人のせいにしてこの殺し合いを加速させようとしていた自分を、止めてくれた人。
 その人が死んでしまった。
 絶望にも近い感情が、一条の中から溢れ出る。
「あなたが悪いんですよ、刑部先生。あなたが播磨君をたぶらかそうなんて考えなければ、彼はもう少しだけ長生きできた。
 ……ねぇ、一条さん。あなたはどっちなの?」
 首を傾げながら、三原は一条に問いかけた。
「刑部先生に騙されているの? それとも、私についてくる?
 私についてくるなら、今すぐその人を殺して。できるでしょう。できないなら―」
 三原はにっこりと微笑む。
「―お願い、死んで?」
 その顔に迷いなど無く、だからこそ一条の背筋には薄ら寒い気味悪さが走る。
 高野と対峙した時とはまた違う。
 何か本当の狂気に触れたような、そんな感じがした。
 一条は立ち上がり、三原に向かって吼える。
「そんなこと、できませんっ!」


382:参加するカモさん
07/07/08 23:07:34 0VCm2tKo
 

383: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:09:59 9PWZdsrT
「そう? だったら、二人まとめて死んでもらうからいいんだけど」
 今の彼女なら本気でやるに違いない。
 そう思った三原は刑部を見上げ―そして、絶句した。
 刑部は、一条のほうに向けて銃を向けていたのだ。
 それは先程まで刑部が腰に吊っていたワルサーP99。
「なっ!?」
 混乱し、まさか刑部が本当に自分を騙していたのかという考えが頭を過ぎったが、一条が行動に移る前に刑部の左手が彼女の頭を押しやり、そして、発砲した。
「きゃあっ!?」
 何が起こったのか。刑部は誰に銃を撃ったのか。
 頭を押されて刑部の狙いが自分ではないと悟った瞬間、一条にはその見当がついていた。だから座り込んだままその存在へとすぐに目をむけ、そして確認する。
 木の陰から顔を出したその少女は、刑部にそれ以上撃つ気が無いのを確認したのか、身体全体を三人の前に晒した。
「……油断も隙もないですね、刑部先生」
「それはこっちの台詞だよ。高野君」
「まさか背後からこっそりと銃口を向けただけで気付かれるとは。
 殺気を読めたり、なんて漫画みたいなことができるのですか?」
「いや、私はそんな化け物じみた特技は持っていないよ。私はただ、君が木の枝を踏む物音に気が付いただけさ」
 何とでもないように、刑部が答える。
「十分化け物じみてますよ、それでも」
 嬉しそうに高野も応じた。
 お互い、銃は下におろしてある。
 しかしその指はしっかりとトリガーにかけてあった。
「……仲間割れですか、そちらは」
 ザッと目の前の光景を見やり、高野は刑部に尋ねた。
「播磨君が、いないようですが?」
「私が殺したのよっ!」
 高野の問いに答えたのは、刑部ではなく三原だった。さも誇らしげに、当然のことをしたように。
 高野はちらりと三原に目をむけ、そしてその視線を再び刑部に戻した。
「本当ですか、刑部先生?」
「どうやら、そうらしい。君の望む展開といったところか、高野君?」


384:参加するカモさん
07/07/08 23:10:47 +keFBKU9


385: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:11:53 9PWZdsrT
「いえいえ、残念でしょうがないですよ。あの男は―播磨君は、まだ私を救うなんてことを言っていましたか?」
「……そのことについて、話がある」
 刑部と高野は、三原をそっちのけで会話を続ける。
 三原の表情は、徐々に険しくなっていた。
「この殺し合いの黒幕がわかった。少なくとも、姉ヶ崎がそのうちの一人だ。
 彼女達がいる場所へ到達する手段もこちらにはある。それでも君は、この殺し合いをつづけるのか?」
 それはおそらく、刑部最終確認だったのだろう。
 その情報に、流石の高野も一瞬だけ驚いたような表情を見せたが、すぐに平静さを取り戻した。
 トリガーにかかった指は、一度も外されてはない。
 高野はゆっくりと、そして穏やかに答える。
「返事は、ノーです。そもそも、私には黒幕をどうこうしようという考えはない。
 だから何を聞いたって、そこの二人を殺す以外に私の選択肢はないんですよ」
 一条は理解する。高野は、もう説得などできない。
 彼女はこのゲームの黒幕と同じ存在なのだ。純粋なる―少なくとも一条の判断では―悪の存在。
「……一条君。三原君を連れて、建物の中に」
 刑部の声が、一段階低くなった。
「でもっ!」
「いいから行きなさい。彼女がここにいたままでは話がややこしくなる。
 それに……子供を守るのは、大人の役目だ」
 向けられた笑顔に、一条は抵抗するのを止めた。
 刑部も覚悟をしているのだ。だとしたら自分にできることは一つ。
 三原を、守る。
 例え今は混乱しているとしても、三原は高野とは違う。一条はそう信じたかった。
 話をすれば信じてもらえる。彼女の心を変えることはできる。
 一条にはそう思うことができた。なぜなら彼女自身、それが可能なことを自らの心で証明していたのだから。
 一条は立ち上がり、三原の下へと駆け出した。


386:参加するカモさん
07/07/08 23:13:16 0NzKREIg
 

387:参加するカモさん
07/07/08 23:13:41 0VCm2tKo
 

388:参加するカモさん
07/07/08 23:13:44 U6yPH1MR
私怨

389:参加するカモさん
07/07/08 23:13:56 +keFBKU9
 

390: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:14:16 9PWZdsrT
 三原は下を向き、その銃口も今は地面へと向かっている。
 とりあえず、体育館の中に逃げ込むべきだ。
 そのあとで三原の安全を確保したら、今度は刑部の援護に向かおう―一条は、そう考えながら三原の横へと走っていた。
「三原さんっ! ここは刑部先生に任せて中にっ!」
 そう叫びながら駆け寄る一条は、しかし次の瞬間またも驚愕に目を見開くこととなった。
 三原が急に顔を上げその右腕も地面と水平にして、さらにその銃口は、一条の後方に向けられていた。
 一条は止まることは無い。それが無駄でしかないこととわかっているからだ。
 その代わり、彼女は精一杯の声で叫んだ。
「―刑部先生っ!」
 その悲痛な叫びは、先程とは違う銃声によって塗りつぶされた。

   ※   ※   ※   ※   ※

 初弾。
 それは刑部の上方をすり抜けていき、その後ろにあった細木の枝を破壊してゆく。
 やはり片手での射撃には無理がある。三原は左手のシグ・ザウエルを投げ捨て、両手でベレッタを構えなおした。
 次弾。
 その時には、刑部は三原のほうへと視線を向けていた。
 右に転がるように避けた刑部を狙った金属の塊は地に食い込み、乾いた土は小さく粉塵を巻き上げる。
 次々弾。そしてさらにもう一発の銃弾。
 焦りとともに放たれたそれの一つはやはり先程と同じような土ぼこりを上げただけだったが、最後に放ったそれは刑部を―ちょうど腹部の辺りを捉える。
 刑部が顔をしかめ、「ぐぅっ!」とくぐもった声を漏らすのを確認。
 致命傷を与えることができたと考えた三原は一瞬、グリップを持つ手の力を緩めた。
 しかしその瞬間、痛みにもだえていなければならないはずの刑部は、怪我人とは思えない俊敏な動きで再びその場から駆け出した。


391:参加するカモさん
07/07/08 23:15:44 +keFBKU9
 

392:参加するカモさん
07/07/08 23:16:25 q5GUfMZO
支援

393: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:17:08 9PWZdsrT
「防弾チョッキ!?」
 ダメージがゼロというわけにはいかないはずだ。少なくとも、肋骨の一本や二本にヒビくらい入っているだろう。
 慌てて射撃姿勢をとり、刑部を銃口の先に捉えようとする。
 しかし先程のように不意打ちならともかく、高速で動く的となると……それを撃つということは、三原の能力をはるかに超えた技術を要求することに他ならない。
「一条君っ!」
 校舎を遮蔽物として姿を隠し終える寸前に、刑部は大声で叫んだ。
 それにも構わず三原は壁に向かってベレッタによる破壊活動を続けようとしていたが、一条によって後ろからスライドごとそれを捕まれ、その無意味な行為は中断された。
「何す―」
 三原の抗議の言葉は、瞬く間に今までとは少しだけ違う轟音によってかき消される。
 彼女の耳元で火を噴いたそれは、かつて高野晶の所有物であったシグ・ザウエル。
 その狙いは刑部と対峙していたもう一つの存在、高野に向けてつけられていた。
 高野は三原に向けて構えなおしていたドラグノフの射撃姿勢を崩し、おそらくはドラグノフよりも早く放たれるであろうシグ・ザウエルの牙からの逃走を謀る。
 いくら一条の筋力が常人のそれよりも優れているとはいえ、右手―しかも負傷している―ひとつで構えられたそれから放たれる弾丸は、そうそう一条の思うとおりに敵を撃ち滅ぼしはしない。
 着弾の衝撃は高野の後ろの林で生じ、高野自身は、刑部と全くの逆方向へとその身を隠した。
 先程の刑部に対する射撃と同じ理由で、狙ったところであたりはしない。
 一条は三発撃ったところで威嚇射撃を中断し、三原を引きずりながらやはり物陰に隠れた。
 三原は、すでに黙っていた。もしも自分があのまま無駄な行為を続けていたら、今頃間抜けな死体が一つ出来上がっていたことを察していたからである。
 そのあたりの冷静さは、不思議なことに持ち合わせていた。
 三原にとって今一番大切なのは狂乱による現実の忘却ではなく、実効的観点から見た最良の選択の模索であったから。
 このままでは、殺せない。


394:参加するカモさん
07/07/08 23:19:13 0VCm2tKo
 

395: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:19:18 9PWZdsrT
 そう思い、三原は自らのリュックの重量の大部分を占めるそれを取り出すことを考える。
 花井の命を奪い、サラの命を奪った。そしてつい先程、播磨の血をたっぷりと喰らった。
 自分達に絶望をあたえたUZI―精密な射撃など期待できない、ただ弾をばら撒くだけの暴力的な銃―の引き金を、三原はいま一度引こうとしていた。
 しかしそれも、一条によって止められる。
 自分の力であったUZIを抑えられ、キッと一条を睨み付けた三原であったが、次の瞬間彼女の目は一条から逸れていた。
 否―逸れたのではない。“逸らされた”のだ。
 三原の視線が動いた瞬間、周囲には乾いた音が響いていた。
 しばらくして、三原は自分の頬に感じられる熱い感覚を自覚する。
 呆然として一条へと再び顔を向けた時、その様子から三原は、一条が平手を三原の頬にはったのだということを理解した。
 それだけなら、怒り出す理由になるだろう。
 しかし三原にはそれができなかった。なぜなら一条は、泣いていたから。
 流石に、ぼろぼろと今の戦況を考慮しないほど豪快な泣き方ではなかったが、それでも涙は確かに一条の両の目から止まることなく流れている。
 呆気にとられて一条を見上げていると、彼女はぽつりぽつりと呟き始めた。
 あまりにも小さい声で、最初は聞き取ることができなかったが―しばらくして、かろうじて言葉の1節が「駄目だよ」という言葉でできているということがわかった。
「駄目だよ、三原さん。もう間違っちゃ駄目なんだよ」
 一条はそう告げる。まるで懇願するように。
「お願いだから。間違ったら―私みたいに、信じるべき人を疑っちゃったら駄目なんだよっ!」
 目の前で悲痛な叫びを繰り返す一条を、三原はただ眺めていた。
 その言葉の意味はわかる。しかし受け入れたくはなかった。
 彼女の言に従うなら、三原は自分の行ったことを正当化できなくなる。
 播磨を殺したことを、正当化できなくなるのだから。
「お願いだから、三原さん。私みたいには、ならないでっ!」
 その願いを聞き届けることはできなかった。三原は、そんなに強くはなれなかった。
「三原さ―」
「うるさいっ!」
 三原はUZIを握っているのとは反対の手で、一条の右肩を殴りつける。


396: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:21:17 9PWZdsrT
「ぐっ!?」
 一条はその痛みで顔をしかめ、UZIを抑えていた手から力を抜いた。
 倒れこむ一条を見下ろして、三原はUZIを構えなおす。
「勝手なこといわないで。私があなたと同じ? フンッ、そんなわけないわ。
 八雲ちゃんから聞いたのよ。今鳥君、あなたを助けて死んだんだって?
 いいわね、そんな人がいて。私はずっと、一人ぼっちだったっていうのに」
「くぅっ……」
「今のはビンタのお返し。残りのおしおきは、後でしてあげる。
 とりあえず今はあの女よ。……刑部先生を、この手で殺さなくちゃ」
「だから刑部先生は……」
「刑部先生は私の敵よっ! そうじゃなくちゃいけないのっ!」
 唾を飛ばしながら、必死の形相で三原が叫んだ。一条の全ての言葉を否定し、拒絶するように。
 UZIを手に、物陰から飛び出した。高野が隠れている方向に数発銃弾をばら撒いて牽制しつつ、刑部が逃げていった方向へと駆けていく。
「待って、三原さんっ!」
 一条の言葉は最早三原には届いていなかった。全ての神経は、刑部を殺すことへと向けられる。
 そうしなければ、これまでの自分の行為が否定される気がしたから。
 三原は走った。もう高野のいる方角を注意することもしていない。
「殺すっ! 殺してやるっ!」
 そう吼える彼女の中の理性は、もう既に殺されたように薄れていた。

   ※   ※   ※   ※   ※

 走り去る三原の背中を見ながら、一条は立ち上がる。
 今の一撃で意識がよりはっきりとした。
 相変わらず薬の効果で全身の感覚が薄れてはいるが、それがちょうどいい具合に右腕の痛みも中和してくれている。
 落ちているシグ・ザウエルを拾い上げ、これからのことを考えた。

397:参加するカモさん
07/07/08 23:21:22 0VCm2tKo
 

398:参加するカモさん
07/07/08 23:21:42 U6yPH1MR
支援

399: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:23:49 9PWZdsrT
 三原を追うのは、難しいかもしれない。
 彼女を追ったなら、高野を野放しにすることになる。
 背後から三人が狙われたなら……全員がアウトだ。高野の勝利でこの殺し合いは幕を閉じる。
 それに今の三原を説得するのに、一条は未熟すぎた。
 なにせ、つい十数時間前まで一条は三原と同じような状況だったのだ。
 その点では彼女の辛さ、苦しさをもっとも理解していると言えなくはないが、だからといってそれで彼女を救えるとは思えなかった。
 結論として、一条は自分が三原と刑部の間に入ることを選ばなかった。
 アレだけ大声で叫ばれれば、刑部も三原の接近に気が付くだろう。
 だとしたら、彼女に任せたほうがよいかもしれない。
 説得はできないにせよ、その銃弾から逃げ続けることは十分に可能なはずだ。
 今の自分にできることはただ一つ。
 再び出会った“悪そのもの”を、自分の手でなんとかすることだった。
「またあなたと対峙することになったわね、一条さん」
「今度は逃がしません。あなたは、私が倒します」
 お互い、物陰から顔を出していた。
 今度は誰もこの戦いを邪魔するものはいない。そして決着は、どちらかが死ななければつかない。
「また力を手に入れて、元気になったの?」
「そんなんじゃありません。私は……あのころの私と違います」
 一条はそう断言し、言葉を続けた。
「播磨さんのためにも、私は正義を貫く」
「何を馬鹿なことを。播磨君の意思を継ぐってことは、私を助けるってことじゃないの?
 なのに、私を殺す? ……フッ、随分と自分本位な正義感だこと」
 高野は表情を変えず、一条の言葉を切り捨てる。
「あなたはどう思っているの? 播磨君の考えが正しかったと思っている……わけではなさそうだけど。
 正義ぶりたいなら、人を殺してはいけない。当たり前のことでしょ?」
「……正直、自分でもよくわかっていません」
 一条は何も隠すことなく、思ったとおりの言葉を口にした。
「私は自分の中にある正義を、なそうとしている。
 そのために人を殺すというのは、やっぱり矛盾していると思います。
 でも、あなたを許すことなんてできないんです。あなたは皆の命を奪ったから」

400: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:25:06 9PWZdsrT
「ずいぶんと自分勝手な正義ね。そんなもので、貴女はまだ自分自身を正当化しているわけか」
 鼻で嗤い、高野が吐き棄てるように一条へと言葉を放った。
 その言葉が一条の胸に深く刺さる。けれど、その刃が一条を止めることはなかった。
 一度抜けかけた手の力が、再び戻る。片手持ちだった銃を、しっかりと両の手で支えた。
「……前は、そうでした。何もかも他人のせいにして、自分を正当化して。
 全てから逃れようとしていた。でも、今は違います。
 西本さん、烏丸さんを殺してしまったこと。そして、今から高野さんを殺すこと。
 全ては私の罪です。私はそれを背負っていきます。あなたにだけは、屈するわけにはいかないから」
 一条は、迷うわけにはいかなかった。
「ゴメンなさい、今鳥さん」と頭の中で大好きだった人に謝りつつ、手に持った凶器は何時でも目の前の悪を討ち滅ぼす剣と成り得た。
 おそらく彼の望んだ展開は、こんなものではない。
 花井や、そして八雲だって、こんな道は求めていなかったのだろう。
 しかし、駄目だった。
 全てを壊すことを望んでいる目の前の少女の息の根を止めねば、未来はない。
 播磨が死んだ今、残る生徒は自分達以外に三原だけであるが、特に三原は守らねばならぬと一条は思っていた。
 なぜなら、一条にはわかっていたからだ。三原が、かつての自分と同じだということが。
 もちろん、三原の本心など聞けるわけもない。けれど、彼女の瞳の色は、事実を事実のまま正確に物語っていた。
 どうしようもない戦況。救いの見出せない状況。
 そんな中で正気を失い、最も安易な逃げ道を―すべての罪を他人に転嫁し、自分の行為を正当化するという選択肢を選び出す。
 まさに三原は、そんな嫌悪すべき状態にあった。その弱く脆い存在を、守らないわけにはいかなかった。
 なぜなら自分は正義の味方だから。
 ドジビロンピンクのような存在にならねばならないと、自分の中の今鳥に誓ってしまったから。


401: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:27:10 9PWZdsrT
「……つまらない答え。そんな人に、負けるわけにはいかない」
 だから目の前の敵が自分と同等の武力を有していることなど、今の一条を動揺させるものにはならなかった。
 自分の命がどうでもいいわけではない。……できることなら、生き残りたい。
 けれど、ここで逃げることは一条にとって死よりも辛い選択。
 だからこそこれは自暴自棄の末の愚行ではない。一条にとっては当然の選択―今の彼女であり続けるために、必ずなさねばならぬ決断。
 目の前の悪を討つ。そのためなら、彼女の身体は思い通りに動いてくれた。
「私も、負けるわけにはいきませんから」
 肩の負傷は自身の戦闘能力を極端に奪っている。そしてここで無理をすれば、この右腕が健康な状態に戻ることは一生無いと思ってもよいだろう。
 けれども、一条はその己の傷ついた身体を限界以上に駆使する決断をした。
 高野とて、銃を自由自在に扱えるわけではない。
 もちろん高野の持っているは狙撃銃であるから、止まっている遠距離の相手に対しては一条の持っているシグ・ザウエルに比べかなりの効力を発揮する。
 だが、こと接近戦となれば話は別だ。
 あの長いバレルは接近戦では邪魔者にしかならない。
 本来なら木々が立ち並ぶ林の中で戦うのが最も効果的なのだろうが、そうでなくても接近しての戦いは互いの戦力バランスを大きく変動させることだろう。
 そして接近戦なら、一条に分があるのは言うまでも無い。
 笹倉の飲ませてくれた鎮痛剤のお陰で、右腕を無理をして“動かす”ことは可能だ。
 一介の女子高生が歯向かうには、一条のアマレスの技術は規格外に過ぎていた。
「全力で、あなたを倒します。高野さんっ!」
 たとえこの腕が壊れようとも。
 たとえこの命が尽き果てようとも。
 一条かれんの正義は、それが信じるものを果たすために燃え上がっていた。
 まるでそれが当然だと言わんばかりに。その姿はまるで、特撮ヒーローが敵の怪人に挑むような勇ましさ。


402:参加するカモさん
07/07/08 23:28:44 0VCm2tKo
 

403:参加するカモさん
07/07/08 23:28:57 +keFBKU9
  

404: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:30:12 9PWZdsrT
「……無理なことは、口に出さないほうがいいよ」
 そしてそれを迎え撃つ高野は、しかし敵の怪人のようにただ正面から一条に挑みはしなかった。
 その顔に貼りついた陰鬱な笑みは、一条がいつも見ていた高野の笑みとは違い―また、彼女がこの島で見せた偽物の笑みともまた違っていた。
 まるで、なにかこの世の終わりでも見て落胆しているような。
 そんな表情を浮かべた後で、高野は林の中へと姿を隠す。

「……」
 シグ・ザウエルを両手に持ったまま、一条は高野のいる方角に向かってゆっくりと歩みだした。高野が隠れている場所は、木の陰から見える高野のリュックサックが教えてくれていた。
 そしてその木の陰からはドラグノフの銃身は見えていない。ならば、こちらは安心して攻め込める。
 残りの弾数は11発。牽制と、最後のとどめ。それに使用するには十分な数だといえる。
 目標まで残り半分の距離―というところで、一条はその違和感に気付いた。
 高野に、動きが無い。
 彼女の得物が接近戦に向かないことは、高野自身が一番良く知っているであろうはずなのに。
 あの高野がこうも無策に自分の接近を許すのだろうか?
 そんな疑問が一条の頭を過ぎり、そしてそれが彼女の注意力を喚起した。
 それまで自分が見ていたただ一つの点から左に約60°。そこに高野は存在した。
 否、視認したのは高野本人ではなく、高野の構えるドラグノフのスコープが太陽光を反射することで発している僅かな光だったのだが。
「しまった!」
 瞬間的に判断して、一条は猛然とその場から駆け出した。
 それが幸いしたらしい。一条が走り出したコンマ一秒ほど後に、彼女がそれまでいた位置を凶弾が通り過ぎていく。
 ただそれを一条が認識することはなかった。
 彼女はそのまま全力で疾走し、高野のいる位置から姿を隠すように木の陰へとまわり込む。
「……危なかった」
 その位置から、先程のリュックサックが見えた。
 木の枝にぶら下げられているそれは、さながら小動物を捕らえるための罠のように見えた。
 追撃は無い。
 コレだけ遮蔽物の多い場所に入ってしまえば、とりあえずの安心は確保できる。
 だがしかし、接近できるだろうか。

405:参加するカモさん
07/07/08 23:31:29 +keFBKU9
 

406: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:31:58 9PWZdsrT
 逃げられればどうしようもない。
 そして逃げた先には、三原と刑部がいる。
 もめているあの二人は隙だらけだ。その場に高野を行かせるわけにはいかない。
 先程高野のスコープが見えた方向へと目をやる。
 まだそこに彼女は存在しているようだった。バレルだけが顔を出している。
 ここの決着をつけてから動くということだろうか、と一条は判断する。
 それは一条にとって都合のいいことであり、望むべき展開。
 シグ・ザウエルを両手で持ち直し、これからどう高野と戦えば良いかを考える。
 高野とは違い、一条がしなければいけないことは一つだった。
 自分の命を守りきれなくても、高野さえ止められればいい。
 もちろん無駄に死にたがっているわけではない。ただ、自分の命よりも大切なものがあると考えているだけである。
 しかしそう思うと、いくらか気が紛れるように思えた。
 この先に待っているどんな結末も、許容できる気がして。
「どうしたの、一条さん。私を倒すんじゃなかった?」
 高野の声に反応して、一条は木の陰から顔を出す。
 その目には逃げ出す高野の背中が映った。それを見て、一条も動き出す。
 これだけ木々が密集していては、高野の狙撃銃は一条の俊敏な動きに対応しきれない。
 対して一条の獲物は小回りの聞くシグ・ザウエルだ。いざとなれば、体術だって心得ている。
 視界についてはこちらもあちらも同等の条件。ならば、臆することは無い。
 木と木の間を駆け抜けながら、一条は徐々に高野に近づいていった。
 高野も移動を繰り返しているが、発砲は無い。虎の子の弾薬を無駄にしたくは無いのだろう。
 それは一条も同じだったが高野とは違い、一条は高野に対して今ある弾薬を全て消費することが可能だった。
 その点でも、一条は有利といえる。
 もちろん、窮地に陥れば高野だって弾薬の温存など考えずにその牙を一条に向けてくるかもしれない。
 だが逆に言えば、窮地に陥らない限り高野は消極的な責め方しかしてこないということ。
 そんな戦術をとる人間に、今の一条は負ける気がしなかった。
 威嚇をかねて、一発だけ発砲。弾けた木の破片が、高野の頭に降り注ぐ。
 シグ・ザウエルの残りの弾数は10発。それは十分すぎると思ってよい数だ。


407:参加するカモさん
07/07/08 23:32:22 +keFBKU9
  

408: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:33:23 9PWZdsrT
 脚に力を込め、駆ける。その差はちゃくちゃくと縮まりつつあった。
 最初は30メートルほどあった二人の距離は、もう15メートルほどまでに縮まっている。
 このまま行けば、高野を間合いに捉えることは不可能ではない。
 それにしても、高野は何を考えているのか。
 ただ逃げるだけでは、高野にとってはなんの利益も無いはずだ。
 正対してこちらの動きを制限し隙あらば狙撃という方法をとられた方が、向こうも千日手にはなるがこちらも動けないために高野にとっては有効な戦術であると思えるのに。
 そう言えば、と一条は思い出す。高野が逃げていく方向は高野がやってきた方向と一致している。
 もしかしたら高野は、この先に罠を仕掛けているのかもしれない。
 だがしかし、仮定の話で足を止めるわけにはいかなかった。
 高野は前を走り続け、一条はその後を追う。
 急に草木が密集している地帯に入り、高野が藪の中に消えた。
 慌てて一条もその中へと入り込み、そして藪を抜ける直前、一条は渾身の力で右前方に跳んだ。
 高野が藪に入っていた時点で予測はしていた事態だから、葉と枝の間から見える高野の姿に瞬間的に反応したのだった。
 轟音と、飛び散る葉。
 着地と同時に起き上がり、銃弾が発射された方向に視線を向けた一条の目には、ドラグノフを構える高野がいた。
「……うまく避けたわね」
「卑怯なあなたのやりそうなことです」
 その場所は、林の中で少し開けた場所だった。
 この島にまだ人がいたころは子供達の遊び場だったのか。明らかに人が手を加えた形跡がある。
「もう逃げないんですか?」
「そうね。あのまま逃げても、いつか狭い林の中で貴女と接近戦をすることになるだろうし。
 だからといって長期戦にもちこむには、残りの二人の動向が気がかりだから。
 とっとと貴女を殺してしまおうと思って。……不満?」
「いえ、望むところです。狭かろうが広かろうが、この距離ならもう貴女を逃がしません。
 私もあなたを早く倒して、刑部先生の手助けにいかないといけないんですから」
 一条は銃を右手だけで持ち、低く構える。
 幾分か、先程よりも落ち着いた気がした。

409:参加するカモさん
07/07/08 23:34:40 0VCm2tKo
 

410:参加するカモさん
07/07/08 23:36:29 +keFBKU9
 

411: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:40:37 9PWZdsrT
「ここにきてレスリングスタイル? まぁ、得意ならそれでいいんだけど」
「あなたは、ここで私が止めるっ!」
 右腕の痛みは益々強くなっていた。しかし、動かせないわけではない。
 これからの戦いは、一条にとって贖罪のように思えた。
 高野を倒すことで、今まで死んでいった者達への責任が少しでも果たせるような気がして。
 ―ああ、駄目だ。
 一条は再び自分を諌める。またもや、自らの為すことを他人のせいにしてしまうところだった。
 これからの行動は、あくまで自分の正義のため。
 だから自分を犠牲にできるのだ。誰のせいにもできないからこそ、気兼ねなく自分の身を棄てられる。
「……だあああああっ!!」
 一条は、高野の足元を狙い走り出す。
 そうすることがさも当然のように、彼女には迷いは無かった。

   ※   ※   ※   ※   ※

 自分に向かって突き進んでくる一条を見ても、高野に焦りは無かった。
 高野は自ら望んで、この展開を作った。狙撃銃で接近戦など、愚の骨頂だというのに。
 ―なぜだろうか。
 高野は自問する。
 もっといい戦い方があっただろう。
 こちらの危険を最小限に抑えて、一条を殺すための戦術。
 しかしそれを考えることなく、ただ一条をこの空き地に引き込んだのは自分の意思。
 足りないと感じていたのはこのスリルなのか、とも考えたが、今この状況においても高野の心の中の空白は満たされていなかった。
 地面をけり、一条の顔面目掛けて土を巻き上げる。
 一条は左手を盾にして、何の問題も無くタックルの態勢に入った。
「二度目は無いかっ!」
 ドラグノフを脇に抱え、左に跳躍する。
 すんでのところで一条のタックルを回避した高野の蹴りの射程内に一条は入っていたが、
 高野はそのまま反撃はせずに更に後ろに跳んで逃げる。
 それまで高野がいた場所に、一条の腕が伸びていた。

412:参加するカモさん
07/07/08 23:41:00 RRmL7rWa
支援

413:参加するカモさん
07/07/08 23:42:21 +keFBKU9
 

414: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:42:54 9PWZdsrT
 あれだけ高速でタックルしてきたというのに、その体勢は微塵も崩れてはいない。
 やはり接近戦では一条に分があった。
 ドラグノフで決着をつければ全てが終わる。
 しかし、先程までとは違う理由で引き金は引けない。
「撃たないんですか。高野さん」
「貴女がそれを言う? わかっているくせに」
 緊張感で手に汗が流れるのを感じながら、高野が答えた。
「私は、自分は生き残って貴女を殺さなくてはいけない。でも、貴女は違うんでしょう?」
 一条は無言だった。高野はそれを肯定と捉える。
「私が貴女に狙いをつける一瞬の間に、貴女も私に狙いをつけることができる。
 私が貴女を殺そうとした瞬間に、貴女も私を殺す。……捨て身ってのは、ホント誰を相手にしてもやっかいだね」
「わかっているのなら、理解してください。あなたはもう負けなんです。大人しく、観念してください」
「ハッ、何を馬鹿なことを」
 高野は、一条の言葉を鼻で笑って一蹴した。
「私が気付いていないと思ってるの、一条さん。
 今の論理なら、貴女は自分から銃撃戦を仕掛けて私と共倒れになることを望むはず。そうするのに弾薬が不十分なわけじゃないでしょう?
 それができないのは……その肩ね」
 自らがつけたその銃傷を、高野は見つめた。
 一条は顔をしかめ、憎らしげに唇を噛む。
「図星でしょ? 応急処置はしてあるみたいだけど、今の動きでもホラ、傷口が開き始めている。
 まぁ、一発なら銃の反動にも耐えられるでしょう。でも、それから矢継ぎ早に次弾を撃てる? その次は?
 無理よね。例え撃てたとしても、ぶれる腕でつけた狙いなんてあってないようなもの。
 そんな中で自分から撃てば、返り討ちに遭うのは目に見えてる。ね?」
 赤く染まり始めた一条の肩を見ながら、高野はそういって一条に同意を求める。
 一条は腰をおろし、もう一度タックルの体勢をつくった。
「否定はしません。でも、あなたを掴んでゼロ距離で撃つなら、外すことは絶対にない。
 だから、私の絶対的有利は揺るぎません」
「私を掴むことができれば、だけどね。でもいいの? そんな簡単に自分の作戦をばらして」
「はい。だって、今のは嘘ですから」
「? 何を……」


415:参加するカモさん
07/07/08 23:43:00 0VCm2tKo
 

416:参加するカモさん
07/07/08 23:44:02 +keFBKU9
   

417: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:45:42 9PWZdsrT
 次の瞬間、またも一条が高野に向かい走りよった。
「馬鹿の一つ覚えみたいに―」
 高野は再び寸前で跳躍できるように、足に力をこめる。
 が、次の瞬間、高野の目の前に黒い塊が現れた。
 それはシグ・ザウエル。手首のスナップだけで投げられたそれは、高野がそれの投擲された事実に気付くよりもはやく額にぶつかり、高野の額からは鮮血が飛び散る。
 痛みに苦悶しつつも高野はドラグノフを構え、銃弾を放った。
 しかしその一撃は、高野の反撃を予見していた一条にかわされる。
 次の瞬間には一条が懐に入り込み、ドラグノフを掴んでいるのが見えた。
 そして、腹部に重い一撃。
「ぐふっ!」
 胃の内容物がすべて戻りそうな感覚に陥ったが、高野はそれに耐え一条の動きを目で捉え続けようとする。
 一条は後ろに回りこんでいた。危機を感じ、肘鉄を打とうと腕を振る。
 確かにそれが一条の身体の一部を捉えた手ごたえはあった。けれども硬い筋肉の感触は、一条に対してのダメージが少ないであろうことを高野に予感させる。
 案の定、その後すぐに一条は次の行動に出た。
 高野の首に後ろから手を回し、締め上げる。高野は左手をドラグノフから離し、なんとか一条の腕と自分の首の間にそれを挟みいれた。
「終わりです、高野さん」
 ギリギリと、首を締め上げられる。抵抗を試みるが、一条の腕はビクともしない。
 純粋なパワー勝負で、一条に高野が叶うはずもなかった。
 ドラグノフを撃とうにも、長いバレルが邪魔をして一条には当りそうもない。
 しかし高野は冷静だった。冷静に、ドラグノフを地面に落として右手をポケットに入れる。
「私はもう容赦しない。あなたをここで殺すことを、私はためらわない」
 ポケットから箱状のそれを出し、後ろ手で一条に押し当てて、
「私自身の正義の為に、私はあなたを……」
 ためらわずに、そのスイッチを押した。
「あ゛あ゛っ!?」
 後ろから一条の悲鳴が聞こえる。
 しかしその腕が高野の首から外れることはなかった。
 もう一度、強くスイッチを押し込む。
「うぐっ!」
 今度は腕が外れた。力なく、高野の背中を伝って一条は崩れ落ちていく。


418:参加するカモさん
07/07/08 23:46:26 0VCm2tKo
 

419:参加するカモさん
07/07/08 23:46:46 0NzKREIg
 

420: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:47:53 9PWZdsrT
「……かはっ、ごほっ!」
 つぶれかけた喉をさすり、高野は新鮮な空気を大きく吸い込む。
 そうして後ろを見やると、一条が口の端から泡を見せて倒れこんでいた。
「……な、なかなか、頑張ったんだけどね」
 スイッチを押して、スタンガンが使えなくなったことを確かめ、投げ捨てる。
 変わりにドラグノフを拾い上げ、ゆっくりと一条に近づいた。
 接近戦用に仕込んでいた武器が役に立った。どれほどの出力かを試していなかったため少しばかりの不安はあったが、予想以上にうまく働いてくれたようだ。
「あなたもここで終わり。安心して、私が覚えておいてあげるから」
 ドラグノフを一条の首に通し、キャメルクラッチのような形で一条の首を締め上げた。
 徐々に力を入れていく。もがかれても外れないよう、身体をしっかりと密着させて。
「これで……後一人……っ!」
 もうすぐ全てが終わる。
 全てが終われば、自分だけは矢神に返されることになるのだろう。
 きっと姉ヶ崎達も出てくるに違いない。
 その時になって、始めて高野の目的は成就されるといっていい。
 高野の腕に、さらに力がこもる。
 それは普通ならここまま少女の首を折ってしまうくらいの、そんな力だった。
 一条に恨みがあるわけではない。
 ただ、早く済ませてしまいたい。その一心で、高野は一条に止めを刺した―はずだった。

 最初の異変は、一条の首に起こった。
 急にその太さを増す。まるで腕に力瘤が浮かぶように、一条の首には青筋が浮かんでいた。
 高野は、アマレスの選手の首の強さを思い出す。
 これでは十分に締めが決まらない。事実、一条の首から上は既に血色を取り戻していた。
 次に、反っていたはずの背中が、徐々に逆の方向へと戻る。
 高野は慌ててそれに対抗しようとするが、レスリングで鍛えた彼女の腹筋に高野の背筋が叶うはずはなかった。
 甘く見ていた、と高野は思う。
 この女の強さを。そしてなにより執念を。


421:参加するカモさん
07/07/08 23:48:08 RRmL7rWa
  

422:参加するカモさん
07/07/08 23:48:53 +keFBKU9
 

423: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:49:21 9PWZdsrT
 同時に、一条はその身体を大きく横に振り、高野を振り落とした。
 ドラグノフを手放し、高野は地面へと放り出される。反撃に入ろうと考えた瞬間には、一条がすでにその上に覆いかぶさっていた。
 必死の形相で息も絶え絶えに、一条の目は高野を捉えている。
 高野は自嘲と、そしてまたもう一つの意味をこめて、笑った。
「……さっき撃っておけば、よかったかな」
「あなたの慢心のお陰で、今この状況になっているっ!」
 高野の言葉に噛み付くように、一条が言い放った。
「なんですかその表情はっ! 今からあなたは死ぬんですよっ!
 もっと悔しがればいいのにっ! そうしなければ、私はっ!」
「正義感が満たされない?」
「……っ! そうじゃありませんっ! あなたは死にたくなかったんじゃないんですか?だから皆を殺したんじゃなかったんですか!?
 なのにあなたにそんな顔をされたら……何の為に、皆は死んだんですかっ!」
 高野の襟を掴み、一条はその態度を糾弾する。
 その光景を、まるで横から傍観しているような思いで高野は見ていた。
 死ぬのは怖くないのかと問い詰める女。その女が、高野にはとても滑稽に思えた。
 問い詰められたもう一人の女は、死を恐れていないわけではない。
 むしろこの殺し合いが終わる前に死ぬことを最も恐れている人間だといっていいだろう。
 問い詰められた女は、その右手を自らの腹部へと運んでいた。
 それがあるから、女は怯えていないのだった。自らが死ぬとは思っていないから、女は平気な顔でいるのだ。
 女は―高野晶は、スカートに挟んだデザートイーグルを手に取る。
 それは彼女の親友が残してくれた切り札であり、元々は、一条の親友である嵯峨野に渡された支給品。
 表情を変えず、高野はそれを一条に押し当てる。
 その感触に一条が気付くことは無かった。
 恐怖など与えても何の意味も無い。一条に尋ねることももう存在していない。
 だから高野はためらうことなく―
 

 ―その最後の銃弾を、一条に放った。


424: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:51:00 9PWZdsrT
   ※   ※   ※   ※   ※

「ぐがっ……! ああ゛ぅっ……」
 弾丸は、一条に致命傷を与えていた。
 左の胸を抉っている。どんなに有能な医者でも、まず助けることはできまい。
 地面に丸まっている一条が、高野には酷く矮小な存在に思えた。
「思ったよりも、てこずったわね」
 ドラグノフと、一条の投げ捨てたシグ・ザウエルを拾い上げながら、高野は一条に向かってそう告げる。
 それは高野にとっては褒め言葉を放ったつもりであったが、それが一条にとっては何の意味も無い言葉であることももちろん理解していた。
 一条の奮闘は称えるべきことだったが、その行為は、高野の目指すものと対象の位置にある。
 死にゆく少女に送るには少々残酷な気がしたが、高野はそのまま言葉を続けた。
「どう? わかってもらえたかしら。いくら貴女が自分勝手な正義を振りかざしたって、何も変わらない。
 私程度の力の前にこのザマよ。それでこのゲームを潰す? 笑わせないで」
「ぞんなこと、ない……。か、可能性が、ゼロじゃなければ……」
 口から血を吐きながら、それでもなお一条は高野の言葉に抗う。
 無力な少女の口から漏れた根拠の無い言葉に、高野は何の感情も抱けなかった。
「そうね、たしかに可能性はゼロじゃなかった。
 何事も絶対は無いわ。でもね、それは貴女のその甘い考えを突き通す免罪符にはなりえない。
 私のいままでしてきたことが、仕方が無いの一言ですまされることじゃないようにね」
「……あな、た……は」
 高野の言葉に対して、一条は何か言いたげだった。
 それを制するように、高野はシグ・ザウエルを一条の目に見える位置に持ち上げた。
「貴女は、今まで殺してきた人の中では骨のあるほうだったわ。
 それだけに、残念よ。私が最初に会ったのが貴女だったら、もしかしたら私は貴女に殺されていたかもしれないから」
「……そう、したら……あなたを、止められたの、か……な」
「あるいは、ね」


425:参加するカモさん
07/07/08 23:51:32 +keFBKU9
 

426: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:53:19 9PWZdsrT
 このまま放っておいてもいずれ死ぬが、せめて苦しむ時間を少しでも減らしてやるのが、高野に残った唯一の良心。
「……さようなら、一条さん。皆のもとにいけるといいわね」
 そう心にも無いことを、高野は一条に別れの言葉として送った。
「わたし、は……きっと、地獄いきだか、ら……」
 哀しげな顔で一条はそう漏らし、そして、瞼を閉じた。
 高野は、両手でシグ・ザウエルの銃口を一条の額に向け直す。
 もしも、今のこの少女のように自らの正義を信じて、人間として正しいことを行える愚かさが自分にも備わっていたなら何か変わっていただろうか。
 高野はそんなことをふと思ったが、すぐにそれが無駄な考えだと思い直す。
 過去を振り返ることより意味のないことは無い。
 過去があったのだから、今の自分が、そして一条がある。
 だから今を基準として過去を思っても、それは、全くもって不毛なことだ。
 そう思わせた自分の甘さを断ち切るように、高野は、一条に向けて最期の一撃を放った。




 ……その銃声は、さながら終焉へのカウントダウン。
 姉ヶ崎の言うバトルロワイアルというゲームで殺さなくてはいけないのは、残り一人となったのだから。
 穏やかな表情のまま額から血を流し、その場で眠る一条を見つめながら高野は呟く。
「死んだって、何も変わらないのかもね。だって―」
 死に際の一条の言葉を思い出しながら、高野は、
「―この島自体が、もう、地獄なんだから」
 救いの無いこの殺し合いに、終わりをもたらそうとしていた。


427:参加するカモさん
07/07/08 23:54:04 +keFBKU9
 

428: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:55:28 9PWZdsrT
【午前:8~9時】

【高野晶】
【現在位置:G-03北東部】
[状態]:疲労(大)。
[道具]:シグ・ザウエルP226/弾数9発、ドラグノフ狙撃銃/弾数6発、デザートイーグル/弾数0発、
     雑誌(ヤングジンガマ)
[行動方針]:刑部と三原の下に向かい、三原が生きているなら殺す。
[最終方針]:全員を殺し、全てを忘れない。反主催の妨害。教師達にも罰を与える。ゲームの目的を知りたがっています。

※少し離れた木の枝かけたリュックの中に、支給品一式(食料13、水4)、殺虫スプレー(450ml)、ロウソク×3、マッチ一箱、インカム一組、携帯電話(残量約1/5)がある。


【一条かれん:死亡】
※支給品一式(食料5)、東郷のメモ、刑部のメモを持っている。


429:参加するカモさん
07/07/08 23:55:49 0VCm2tKo
 

430: ◆X7WwwzkoUU
07/07/08 23:58:28 9PWZdsrT
【刑部絃子】
【現在位置: G-03北西部】
[状態]:疲労大、両手の皮が剥けてかなりの痛み。肋骨2本にヒビ。三原から逃亡。
[道具]:自動式拳銃(ワルサーP99)/弾数15発、9mmパラベラム弾15発入りダブルカラムマガジン1つ
     暗視ゴーグル、ヘッドライト、セキュリティウェア
[行動方針]:追ってくる三原をどうにかする。
[最終方針]:反主催
[備考] :高野を危険人物と認識。三原を警戒。笹倉についてはもしかしてもう……と思っています

【三原梢】
【現在位置:G-03北西部】
[状態]:疲労、かなりの精神不安定状態。左掌に銃創(応急処置済み)、返り血にまみれている、絃子を追跡。
[道具]:ベレッタM92/弾数8発、vz64スコーピオン/弾数20発、9ミリ弾142発      
[行動方針]:自分の正しさが否定されないよう、教師である刑部を殺す。
[最終方針]:天満や八雲の名の下に全員を利用して優勝…するしかないんだよね!?
[備考] :自称『塚本八雲の親友』。教師らを激しく憎悪。高野を危険人物と認識

※三原の道具:支給品一式(食料4、水5)、エチケットブラシ(鏡付き)、ドジビロンストラップ、ノートパソコン(バッテリー、フラッシュメモリ付き)、弓(ゴム矢20本、ボウガンの矢4本)
※播磨の道具:支給品一式(食料4,水2)、黒曜石のナイフ3本、UCRB1(サバイバルナイフ)、さくらんぼメモ、烏丸のマンガ
は、体育館の中に放置してあります



431:430修正
07/07/09 00:00:43 9PWZdsrT
【刑部絃子】
【現在位置: G-03北西部】
[状態]:疲労大、両手の皮が剥けてかなりの痛み。肋骨2本にヒビ。三原から逃亡。
[道具]:自動式拳銃(ワルサーP99)/弾数15発、9mmパラベラム弾15発入りダブルカラムマガジン1つ
     暗視ゴーグル、ヘッドライト、セキュリティウェア
[行動方針]:追ってくる三原をどうにかする。
[最終方針]:反主催
[備考] :高野を危険人物と認識。三原を警戒。笹倉についてはもしかしてもう……と思っています


【三原梢】
【現在位置:G-03北西部】
[状態]:疲労、かなりの精神不安定状態。左掌に銃創(応急処置済み)、返り血にまみれている、絃子を追跡。
[道具]:UZI/弾数45発、ベレッタM92/弾数8発、vz64スコーピオン/弾数20発、9ミリ弾142発      
[行動方針]:自分の正しさが否定されないよう、教師である刑部を殺す。
[最終方針]:天満や八雲の名の下に全員を利用して優勝…するしかないんだよね!?
[備考] :自称『塚本八雲の親友』。教師らを激しく憎悪。高野を危険人物と認識

※三原の道具:支給品一式(食料4、水5)、エチケットブラシ(鏡付き)、ドジビロンストラップ、ノートパソコン(バッテリー、フラッシュメモリ付き)、弓(ゴム矢20本、ボウガンの矢4本)
※播磨の道具:支給品一式(食料4,水2)、黒曜石のナイフ3本、UCRB1(サバイバルナイフ)、さくらんぼメモ、烏丸のマンガ
は、体育館の中に放置してあります


432: ◆X7WwwzkoUU
07/07/09 00:01:46 9PWZdsrT
投下終了です。
支援ホントに助かりました。
途中で一回サルさんが出たときはホントどうなるかと……。

433:参加するカモさん
07/07/09 00:02:03 RRmL7rWa
投下だけで1時間かかる大作とは。
ほんと乙でした。
内容もシーソーゲームの熱戦でほんと面白かったです。
何より>>426後半の余韻の残し方はマジでGJ。
こういう引きはすごい好き。

434:参加するカモさん
07/07/09 00:10:59 m3bAsia8
大作投下乙であります

うおぉぉぉ……イチさぁ~~~ん!
生き残り唯一の良心が……
無情に鬱って、GJです

435:参加するカモさん
07/07/09 00:14:28 PROt6zUH
ついにハラミと姉さんの一騎打ちになったか。

436:参加するカモさん
07/07/09 00:26:21 CEmJiJve
      -≡三|  |          / ̄ ̄\
         __  ( ヽ ノ       /  ⌒   \
     /-  \ ノ>ノ ─、   (●)(● )    |
.     (O)  (O)|  /  \_ \   (__人__)    |
 r-=、 i(入__,ノ L_ (●)(●)  |   、|r┬|       |
 `゙ゝヽ、( /  |:::`(__人__)   |゙`ー {`ー'      |
  にー `ヽ、_ /::::::::ィ"^゙リ   _,,ノ ,.  {       / ___
 ,.、 `~iヽ、. `~`''"´ ゙t (,, ̄, frノ  ヽ、    〈/   ⌒\
 ゝヽ、__l::::ヽ`iー- '''"´゙i, ヽ ヽ,/   /     (●) (● ) \
 W..,,」:::::::::,->ヽi''"´::::ノ-ゝ ヽ、_ノー‐テ-/ i  /::⌒(__人__)⌒:::::: \
   ̄r==ミ__ィ'{-‐ニ二...,-ゝ、'″ /,/`ヽl : :|    |r┬-|      |
    lミ、  / f´  r''/'´ミ)ゝ^),ノ>''"  ,:イ`i \    `ー ´       /;`゙

437:参加するカモさん
07/07/09 00:40:04 uUNHFoSm
乙です
ハラミ日記はもう読み返せそうにないですね

あとUZIの残弾数が少しは減ってると思うのですが・・

438:参加するカモさん
07/07/09 00:41:05 PDC9Dwxx
乙です。
三原が相変わらずの状態なんですね……
果たして彼女はこの先救われるのか気になります。


439:参加するカモさん
07/07/09 00:49:52 PROt6zUH
>>437
彼女が生きてる限り、ハラミ日記復活の可能性はありますよ。

440:参加するカモさん
07/07/09 00:55:38 TsowNoRX
久しぶりのガチバトル面白かったです!GJ!

一条今までで一番輝いてたよ…。ハラミの気持ちも分かっててすごく良かった。


441:参加するカモさん
07/07/09 01:01:25 TsowNoRX
久しぶりのガチバトル面白かったです!GJ!
一条今までで一番輝いてたよ…。三原の気持ちも分かっててすごく良かった。


442:参加するカモさん
07/07/09 01:02:38 TsowNoRX
連投失礼orz

443:参加するカモさん
07/07/09 12:48:23 6W3BZsoH
さらばイチサン。

444:参加するカモさん
07/07/09 17:03:13 p/H7LnBJ
武神ついに倒れたか・・・。
とにかくGJ!!


445:参加するカモさん
07/07/09 21:51:47 Fbd5pWJD
>>432
乙!ガチバトルはほんとよかった
いよいよ終わりが見えてきた気がするよ

446:参加するカモさん
07/07/10 09:48:38 r3zRBP8I
急に過疎り始めたな・・・。

どうした?

447:参加するカモさん
07/07/10 09:50:01 xahIKZzQ
言わなくてもわかるだろ

448:参加するカモさん
07/07/10 12:12:24 d84Y2B75
予約が入らない

449:参加するカモさん
07/07/10 12:28:01 dcVF+wm1
そらそーよ

450:参加するカモさん
07/07/10 19:53:52 Df9F+X6g
ここまできて一日や二日で予約がほいほい入ったら逆に怪しむわw

しかしほんと、次あたりで決着ついてもおかしくないな

451:参加するカモさん
07/07/11 00:31:09 80GO5U53
姉さんのラスボス化は兼ねて予想されていたけど、相手がハラミというのは想像つかなかったな・・・。

452:参加するカモさん
07/07/11 00:32:45 oGNjlHUq
チョット待て絃子さんはどうなってしまうんだ?

453:参加するカモさん
07/07/11 05:26:11 fVQByZ7A
もう犬死にしか道はなさそうだ
あるいは、優勝決定を呆然と眺めるしか

454:参加するカモさん
07/07/11 08:03:43 GE6d5hWa
普通に三原に殺されて終わりだろ
それか三原をかばって死ぬかどっちか
もう生きてる理由がないし邪魔なだけのキャラ

455:参加するカモさん
07/07/11 16:28:25 Uehdrfa9
予約が来るまで反省会の続きでもしようか

456:参加するカモさん
07/07/11 16:41:07 6cnbhnko
>>455みたいに、盛り下げる発言しかしないやつを駆逐しきれなかったことが反省点かな。

457:参加するカモさん
07/07/11 16:43:56 ndIEAjTm
予約がくるまでってことは今の続きを読みたいってことだよな?
だけど反省会をするってのは今の続きには期待してないってことだよな?
矛盾してるぞ。

458:参加するカモさん
07/07/11 18:02:22 GE6d5hWa
なんでもいいから早く終われってことだろ

459:参加するカモさん
07/07/11 18:08:19 ZBifbozB
質問ですが、
予約するにあたって期限を一週間程いただくのは無理ですか?

460:参加するカモさん
07/07/11 18:13:01 Uehdrfa9
>>457
続きは読みたいが反省会もすべきっていうのが何で矛盾するんだよw

>>459
期限は変わらず3日。伸びることはない。
期限切れたところでどのくらいのめどでできあがるか報告する。
あとは他の書き手次第だとじゃないかな

461:参加するカモさん
07/07/11 18:17:53 3MIzwHyH
>>459
3日以内で書き上げられそうだという段階まで持って行ったら予約して下さい。

462:参加するカモさん
07/07/11 18:47:28 ZBifbozB
>>460-461
失礼しました。
勝手な事を言って申し訳ありませんでした。

463:参加するカモさん
07/07/11 19:05:07 F4xZaOUp
どうせ今なら誰も書かないから「書いてます」って言えばそれが予約みたいに機能するよ
完成が近くなったら正式に予約すればいい

464:参加するカモさん
07/07/11 20:31:44 fVQByZ7A
まあ終盤も終盤だしな、無理に急いで仕上げるよりはじっくりと完成度高めてほしかったりはする

465:参加するカモさん
07/07/11 23:05:48 dhuv8rRr
予約してしまえばいいんじゃないの?
それか鳥つきで「今かいてる」宣言するか

466:参加するカモさん
07/07/12 16:31:32 ytSLmWCz
過去ログ読んでた
神視点とか三人称視点とか一人称視点とか言われてたけど、
最近の作品を分類するとどうなるの?

467:参加するカモさん
07/07/12 18:06:34 Cx3PsR7O
そんなどうでもいいこと知ってどうする

468:参加するカモさん
07/07/12 18:47:06 CfV9Cbze
>>466
俺もここで聞いた程度のことしか知らんけど、最近のはほとんどが三人称じゃないかな。

469:参加するカモさん
07/07/12 20:16:46 ytSLmWCz
自分が読んでると、
「あれ、ここだけ何となく神視点っぽくね?」とか
「神視点と三人称視点混じってない?」とか
どうでもいい点が気になってしまって・・・実際どうなのか知りたかった

470:参加するカモさん
07/07/12 20:55:03 KGwj9twK
URLリンク(www.raitonoveru.jp)にでも言って自学自習してください



471:参加するカモさん
07/07/13 05:25:30 adltj8kR
無事最終回を迎えたら、好きな話やキャラの人気投票とかしたいな

472:参加するカモさん
07/07/13 07:00:03 yKxoasFg
あと、酉付作者の一言感想とかも欲しいな。

……発言次第では荒れるかもしれんが。

473:参加するカモさん
07/07/13 07:26:49 Xxu3AukE
書き手には色々聞きたいことがあるよな
荒れようが最後なんだし別にいいし

474:参加するカモさん
07/07/13 16:05:17 e26M/YNt
ラジオの時にやろうよ
ここだと自演とかあるかもしれないし

475:参加するカモさん
07/07/13 16:30:50 0Bx1ImD2
ラジオでもここでも変わんなくね?
つーか誰が何のために自演するんだ?

476:参加するカモさん
07/07/13 20:54:34 w/q8d6Q1
>>475
自演する奴に教えてもらえ
>>473
荒れるようなことは聞くなよ

477:参加するカモさん
07/07/13 21:56:23 coEW2obj
優勝なり全滅なり決定させる書き手はエンディングもやらないといけないから、
予約一週間くらいあってもいいような気がする

478:参加するカモさん
07/07/13 22:31:37 +LmNEEzw
したらばなら少なくとも携帯とPCは判別できて
繋ぎ変えても管理人はわかるってことは確か

479:参加するカモさん
07/07/13 23:36:14 0tfWkn8N
>>477
別に、エンディングは他の書き手に任せてもいいじゃん。

480:参加するカモさん
07/07/14 00:04:34 QX6Vv4iz
もう全滅でいいだろ
優勝だとエピローグ書くのめんどいだろうし
もう内容的に終わってんのにダラダラ延命しても意味ない

481:参加するカモさん
07/07/14 00:10:48 x+yjP+rk
>>480
消えろ

482:参加するカモさん
07/07/14 02:37:39 Qhn6CVUE
つーか全滅でもエピローグは要るよな普通w

483:参加するカモさん
07/07/14 11:43:04 WaE4FQxJ
もうどんなEndだろうが、たいして違いはないよ。

484:参加するカモさん
07/07/14 13:04:54 e/sK79Z7
今までの本編のなかで、
「この作品のここが名場面」
っての、ある?

485:参加するカモさん
07/07/14 13:19:38 QmHl1vo2
あるわけないだろ常考
まあ途中までの盛り上げ方は上手だったと思う
締の形がグダグダっていうのもスクランっぽいからこういうのも合ってるのかもね

486:参加するカモさん
07/07/14 13:36:42 kRJV8ZpW
>>484
Joker Trickの田中死亡シーンはベタだけどやっぱ良いと思う。

487:参加するカモさん
07/07/14 17:36:04 MNgYBl8y
>>485
消えろ

488:参加するカモさん
07/07/14 17:39:44 QX6Vv4iz
必死ですねw

489:参加するカモさん
07/07/14 18:13:41 MNgYBl8y
>>488
消えろ

490:参加するカモさん
07/07/14 18:17:15 QmHl1vo2
好きな話の人気投票でもやってみればわかる。終盤の話より中盤のほうが絶対票集めるはずだから。
ロワの終盤はどんな結末にせよ伏線が回収されていって一本の道に収束していけば成功
回収不可能なものばかり集まってグダグダなまま人数減らしに終始するのが一番無意味


491:参加するカモさん
07/07/14 19:35:54 QX6Vv4iz
>>498
そんな事言ってるとお前一人になっちゃうよ?

492:参加するカモさん
07/07/14 19:42:25 QX6Vv4iz
うわ、間違えたw

493:参加するカモさん
07/07/14 20:23:56 MNgYBl8y
>>490>>491
消えろ

494:参加するカモさん
07/07/14 20:45:08 GXVI56bc
>>490>>491
消えろ


495:参加するカモさん
07/07/14 21:22:19 NUkl/zZY
>>486
評判良いよな、田中の死
リアルタイムで見た俺にとっては投下後の荒れ具合の方がインパクト強かったが

496:参加するカモさん
07/07/14 22:33:08 Qhn6CVUE
荒れてたっけ……って思い出した、最初に投下されたのは首輪が爆発しなかったんだっけな田中
何にせよあの最期はよかったな、吊り橋ファンとしては満足だ

名場面……あえて天満死亡を。場面自体はあっさりしてたもんだが、やっぱあの衝撃はでかかった

497:参加するカモさん
07/07/14 22:38:27 Xg4WSDpR
田中と永山が播磨と天満だったら・・・

498:参加するカモさん
07/07/14 22:53:01 yMVKZDWh
>>496
死ぬ場面自体は確かにあっさりだったけど、そこに行くまでの経緯が悲痛だったからな。
主人公の最期の台詞がマジ泣きの叫び声だもんなあ…死ぬ瞬間だけでもあっさりで逆に良かったのかもしれん。
そういうのも含めてロワらしくて良かったと思うけど。

499:参加するカモさん
07/07/14 23:15:20 5jVclvoQ
モブじゃなくて準レギュラークラスのキャラの
いい場面ってどんなのがあるだろ?

500:参加するカモさん
07/07/14 23:21:26 WUHtW6Jk
八雲の首が吹っ飛ぶシーンは良かったね

501:参加するカモさん
07/07/14 23:25:43 NUkl/zZY
奈良の死に際には笑った

502:参加するカモさん
07/07/14 23:41:51 1aeqTDcj
>>499
よしだやま

503:参加するカモさん
07/07/15 00:12:26 BEidDLel
>>499
今鳥とイチさんのドジビロン繋がりの連携シーンはスクランらしくてよかったな

504:参加するカモさん
07/07/15 00:33:49 VFkC3POh
烏丸が隣子に手刀かましてかっさらってく話が良かったなー
最初から最後まで読んでて緊張しっぱなしだったな
あと奈良覚醒も。驚きを隠せなかった

505:参加するカモさん
07/07/15 01:14:22 foP9WfXm
こう見るといなくなった書き手の話ばっかだな

506:本編が(ry
07/07/15 02:11:04 GcJuFed7
>>503
やっつけ仕事だが
URLリンク(takukyon.hp.infoseek.co.jp)

507:参加するカモさん
07/07/15 04:17:13 I4B680vT
斉藤と結城の名前を出さない、おまいらに失望した。

508:参加するカモさん
07/07/15 04:46:15 K5Z7/vN3
だって結城はともかく斉藤はモブなんだもの
俺だって斉藤は好きさ

509:参加するカモさん
07/07/15 08:57:27 cl1KEFFR
>>506
イイ!!
ダメハネばっかりじゃなく絵もいけるのか。嫉妬。

最近で言えばナポレオンを抱いて思いをめぐらせる一条が良かった。

510:本編が(ry
07/07/15 09:59:24 1GpVxRDI
>>507>>508

URLリンク(takukyon.hp.infoseek.co.jp)

511:参加するカモさん
07/07/15 10:23:54 DMX/VHtH
>>506
>>510
なんという男前・・・
画像を見ただけで保存してしまった
この画像は間違いなくまとめ行き

という訳でダメ子の時と同じ場所に収録させて頂きました。

512:本編が(ry
07/07/15 11:28:01 I9i4i6Qa
>>504

URLリンク(takukyon.hp.infoseek.co.jp)

513:参加するカモさん
07/07/15 11:58:48 sk/ycXmH
>>512
ちょww誰よコレwwww

514:参加するカモさん
07/07/15 12:10:34 QJrsZwMW
女キャラがいないよ

515:本編が(ry
07/07/15 12:14:55 I9i4i6Qa
>>513
奈良君です。
奈良の覚醒ってこんなんじゃなかったっけ? すぐ死んじゃったからよく覚えてないや。

まぁ、>>484は僕なわけでして。
そろそろ物語が終盤だから、前半のおさらいもかねて名場面のアンケートを、ね。
んで、いくつかでてきたらその名場面を鉛筆描きで描いて晒そうという恥ずかしい企画。
出かけるので、再開は今晩9時頃になると思うけど。
暇な方はぜひご参加ください。ひとりがいくつ名場面をあげてもよいです。

516:参加するカモさん
07/07/15 12:21:38 I9i4i6Qa
あ、田中と永山はもう確定ですので

517:参加するカモさん
07/07/15 12:32:10 DMX/VHtH
ハラミゆーな!って言ってるハラミが見てみたい。
本編じゃそんな台詞一度も言ってないけど

518:参加するカモさん
07/07/15 12:33:03 DMX/VHtH
考えてみたら寝言で言ってたか。失礼しました

519:参加するカモさん
07/07/15 17:09:32 B6xmpAuE
ハリーにボコボコにされるミコチンには俺のSっ気が大いに刺激されたものだ

520:参加するカモさん
07/07/15 18:09:41 FDS9io67
俺、RPGでラスボス倒す直前まできたら寄り道しまくるタイプなんだ
だから今のこのスレが居心地良すぎて困る

521:参加するカモさん
07/07/15 19:33:54 EdAfPFEH
その気持ちわかるな

522:参加するカモさん
07/07/15 22:40:54 SaDj6eWX
ララが死んで天満が泣くところ、
沢近は燃え盛る笹倉を見て笑うところ
播磨はジャーマンで死ぬところ
がインパクトあるなあ

烏丸や八雲が思いつかない・・

523:参加するカモさん
07/07/15 23:07:32 av6t+FY7
播磨と東郷の決闘
花井の『ミコちゃーーーーーーーん!!!』
八雲とハラミが互いに抱きしめあいながら泣くシーン
沢近と高野のインカム越しでの交渉決裂場面
ナポレオンの死をキッカケに立ち直る一条、取り乱すハラミ

が個人的にお気に入りかな

524:参加するカモさん
07/07/15 23:36:03 twkGRLjZ
播磨には序盤からヒヤヒヤさせられた
いきなりSMに捕まって死にそうになったし

525:本編が(ry
07/07/15 23:59:36 +8Ed3WRW
帰宅が遅れ、
しかも女性の顔が描けないときた。
とりあえず色々と描いてみようと思うよ。
火曜には全部消すけど。
今鳥~奈良まではあと少ししたら消します。
とりあえず田中&永山
URLリンク(takukyon.hp.infoseek.co.jp)

526:本編が(ry
07/07/16 00:39:48 6AvSzFJP
URLリンク(www7.uploader.jp)

天満をうpしました。
passはsukurowa

527:参加するカモさん
07/07/16 00:56:17 OYBtfu+I
GJ過ぎるぜ…

528:参加するカモさん
07/07/16 01:36:52 gcnMTxDg
ところで男がどいつもこいつもタレ目なのは何でなんだ?w

529:参加するカモさん
07/07/16 01:41:28 6AvSzFJP
URLリンク(www7.uploader.jp)

三原&一条&ナポレオン
パスはさっきと同じ。

>>528
今鳥と斉藤が元々タレ目だからだぜ!?

530:参加するカモさん
07/07/16 15:34:40 BZYBnLWS
この前一週間くらい予約期間ほしいって言ってた人、書いてるのかな?

531:参加するカモさん
07/07/16 15:43:03 V2IsNC4y
>>530
書いてますよ。

532:参加するカモさん
07/07/16 15:53:40 IruHI4yo
キタ----(゜∀゜)----!!!
期待してないの反対の反対の反対

533:参加するカモさん
07/07/16 15:55:57 IruHI4yo
ID逆にしたらよいふり

534:参加するカモさん
07/07/16 16:00:41 V2IsNC4y
ただまだ予約入れられるだけ進んでませんので
他の書き手さんの足止めにならないよう誰を書いているのかだけでも断った方が良いでしょうか?

535:参加するカモさん
07/07/16 16:12:00 /wvN/Yxy
正式に予約してからだろはげ

536:参加するカモさん
07/07/16 16:12:38 15LSGGy/
誰を……って言ったって、今の状況じゃ姉ヶ崎たち以外、みんなまとめてワンセットのような気がするが。

まぁ、話を細かく分ければ絃子・三原と高野とを別々にすることも出来なくはない……のか?

537:参加するカモさん
07/07/16 16:15:27 V2IsNC4y
>>535-536
失礼しました。

538:参加するカモさん
07/07/16 16:26:25 /wvN/Yxy
なんかこの作者の発言ログ見てると不安になるんだが…とマジレス
嫌な予感がしてならないから、良い意味で俺の予感を裏切ってくれ

539:参加するカモさん
07/07/16 18:14:02 iwSRmxkf
どうせ他に誰も書かないだろ


540:参加するカモさん
07/07/16 18:51:33 srQstFCz
>>529
GJ!ハラミやべえw

541: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 00:53:15 fcvNTM6a
投下します。規制をうけたらまとめサイトのほうに投下します。

【Not Good by】

542: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 00:53:53 fcvNTM6a

 制服がいつもの倍以上に重く感じる。絞れば赤い雫が採れるかもしれない。
いつもつけていたお気に入りの香水の匂いはもうしない。
霧散してしまったか、八雲の血にかぶせられた播磨の血の香りにかき消されたか。
けれどそんなことはどうでもいい、と三原は首を横に振った。

 刑部は殺さなくてはならない。殺し合いを強要した教師という存在であるから―否。
そんなことは問題にならない別の理由が三原にはあった。『俺のイトコ』。いうなれば恋人か。
塚本姉妹がそれを知れば悲しむだろう。播磨は意識しないまま騙されていたのだ。
諸悪の根源を殺す。それでこそ―そうしなくては、自らの正当性は証明されない。

「先生、どこ……」

 だがその刑部の姿が見当たらない。
鬱蒼と並び立つ木々。腰ほどの高さのある藪。隠れることができそうな場所はいくらでもある。
まんまと逃げられたのだろうか?―違う。最初はともかく、三原はもうそうは思っていなかった。

 トーン、と何かが落ちる音がする。石が足元に投げつけられた。
「そこっ!」
 林の静寂を暴力的な轟音が蹂躙する。空薬莢が次々と噴出されて足元に転がる。
だがターゲットは長髪をなびかせながら、余裕を見せ付けるようにその姿を森の中に消していく。
「この……この……この!」
 距離を離されないよう、あわてて走り出す。だがもう刑部の姿は見えない。
近くの茂みに向かって適当に打ち込むが、期待した効果は得られなかった。


543: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 00:56:07 fcvNTM6a

「ああもう……!」
 こんなことばかり繰り返してる。先程の挑発じみた行為はもう三回目。
校舎の周囲を少し走った後、誘い出されるようにこの付近にたどり着いた。
もちろんその間何度か攻撃を試みたが、銃弾は怨敵を捕えられない。
距離があるのはもちろんだが、両手にかかる負荷も馬鹿にならない。
片手で打てるほど強い腕はしていないし、傷ついた左手は支えるのが精一杯で銃把を握れる状態にない。
そのしわ寄せが右手に集まり、今ではもう内側から痺れるような痛みが時折走る。
マシンガンの利点である連射性も有効活用できてるとは言い難い状況にあった。

(……そろそろ弾切れ)
 正確に数えられるはずもないが、感覚ではそろそろだ。
UZIとリュックを足元に降ろし、沢近から奪ったもう一つの機関銃を取り出す。
つかず離れずの距離をとり続け、高野に見舞った銃を使おうとしない刑部の狙いはわからない。
いや、おそらくこちらの消耗を待っているのだろう。
だが刑部とて疲労しているはずであるし、いつまでも逃げ続けられるはずがない。
せめて十。いや、十五メートルほどの距離まで近づくことができれば。
まだまだ状況はこちらに有利―

「三原君!少し話を」
「うるさい黙れっ!!」

 振り向き様にトリガーを引く。スコーピオンの380ACP弾が枝を、地面を、樹木を、石を削っていく。
UZIよりも軽くシャープな音。三原はそれが少しだけ気に入った。
そして刑部が一際大きな木の陰に隠れたのも確認できた。髪の一部が見えたのだ。

(チャンス!)
 指を離す。もう一度撒き散らすくらいの数は残っている。
両手に気合を入れて、負荷に耐えるよう強く命令する。次で終わる、と。


544: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 00:57:26 fcvNTM6a

「刑部先生、どういうつもり!隠れてないで、姿を見せたらどうですか!」
 適当な言葉を紡ぎながら、少しずつ歩き出す。
三原は足音を隠したかった。着実に近づいていることを知られたくなかったのだ。
闇雲に歩いていて、たまたま近づいているだけ―そう思うように誘い込み、隙を作る。

「どこへ消えたの!正々堂々と姿を見せなさいよ!臆病者、卑怯者!」
 空回りに焦り、頭に血が上ってわめきちらしている。そういった人間を装う。
そしてすり足で少しずつ射程内に近づくことを忘れはしない。

「メモリなんて罠を張って!次に播磨君をたぶらかして!一条さんにも何か吹き込んだんでしょう!
 そして今はこそこそ逃げ回って!そんなことしかできないってわけ!?」

 適当に、適当に。こちらの意図を悟られないように。あまりその内容と意味を考えず、
思いついたことを次から次へと口にする。不思議と叫ぶたびに勇気が沸いてくる気がした。
だがその都度体力は消耗していく。ほどほどにしなくてはならない。
もう充分近づいたといえる。刑部が隠れているはずの太い木は射程内だ。
今頃気付かれないように必死で息を殺しているだろう。せいぜい恐怖しろと思う。
木が邪魔にならない角度までダッシュで走りこみ、即座に引き金を引く。
防弾チョッキを着ていても、逃げられなくなる程度にダメージを与えられれば御の字。
頭に当たると楽だな、くらいに三原は少しだけ笑った。

「見てなさい。殺してやる!私が先生から奪ってやる!」

 次の言葉を最後に行動開始。そう思い三原は一呼吸置き、口を大きく開く。

「播磨君みたいに―笹倉先生みたいにね!!」


545: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 00:58:28 fcvNTM6a

 一気に距離を稼ぐべく、三原は両脚に力を貯めた。だがそれを爆発させようとした瞬間、
何かが頭の後ろを通り過ぎていった。耳に残る反響音。集中力が一気に奪われる。

「―え」

 中途半端な勢いで体が前へ倒れそうになる。反射的に右足が動く。下手なステップを踏むように、体がふらふらする。
時間が止まったような気がした。思わず見上げた先には正に晴天といえる青空。

(……撃たれ……た!?)

 銃声だと気付いた瞬間に、当たり前の不安が三原の体と心に押し寄せてくる。
殺すはずだったのに。自分が勝つはずだったのに。だらんと手がぶら下がり、銃が転がる。絶望が目から零れた。
頭をかくんと下げる。血に汚れた体が見える。『見る』ができるなら目や頭は大丈夫な気がした
腹部も胸部にも痛みはない。手足に異常はなし。左手は―もとから。心も元々。
じゃあどこだろう?全身を覆う疲れはあるが、特に何処が痛いというわけではない。

(!……)

 当然撃たれたのだと思っていた。自分は殺すつもりでいたのだから。
互いに直線武器は届かない位置にいる以上、今撃っても意味がない。
殺す覚悟は勇気を与えてくれた代わりに、そんな当たり前の理解も許さなかった。
更に、身体に問題がないことを認識するまでに数秒もの浪費を求めていた。
そして数秒間の間に―三原が混乱の最中にある間に、二人の距離は劇的に近くなる。
刑部は隠れていた木から飛び出していて、迷うことなく三原のほうへ駆けていた。
三原が気付いたときはもうすぐ傍にその姿があった。瞬間移動などと突拍子もないことを考え出す。


546: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 00:59:40 fcvNTM6a

―あ

 刑部が迫る。撃て。撃たねば撃たれる。やらなきゃやられる。
無理だ。安堵と畏怖で体がすくんで動かない。銃も落としてしまった。
殺される。死の恐怖が迫り来る。刑部は氷の瞳に炎を宿していた。
走っている人間の表情を読み取ることは難しい。なのにとても容易く理解できる。
一瞬が何時間にも感じるとはこういうことなのだろうか。
だったら人の体は残酷だ。さっさと終わればいいものを長く感じるようにできてるから。

―こんなことだったら


―どうせ死ぬんなら


―ニャオ


―?


 力強く地面が踏まれる。乾いていたのか、うっすらと砂埃が舞い上がった。
刑部は三原の目の前にまで近づいていた。動きが一瞬だけ止まる。
刹那をとても長く感じていた三原さえ、一瞬と思うほどの間だけ。
手が振り上げられ、そのまま顔に向かう。
ただしそれは銃を握っていた右手ではない。左手だった。左手が開かれた状態で―平手の状態で、三原の頬を打っていた。


547: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 01:01:31 fcvNTM6a

 銃よりはるかに小さく、乾いた、しかし耳に残る音が鳴り響く。同時に三原の体が後ろに崩れた。
視界が前後左右に揺れて方向感覚がおぼつかなくなる。それが安定した頃、視線はもう一度空を捕えていた。
もう一秒一秒を長く感じることはなかった。バクバクと心臓の鼓動が加速している。頬がとても痛く指先が混乱と緊張で震える。
口の中も喉の奥も熱くなり、死が目の前にまで来ていたことが分かった。

 ―自分は殺されなかった。生きている。それを三原は理解した。
空が滲む。体中で目が一番熱い場所になる。この三日間で何度この感情に捕らわれただろう。
けれどもこの涙は悪いものではないような気がした。

(そういえば、さっき一条さんにもぶたれたっけ)
 少し前のことを思い出しながら肘を支えに上半身を起こす。頭の中のくらくらを無理矢理押し込めて、辺りを見回した。
「……刑部先生」
 逃げずにその場に立ち尽くしている事が意外だった。
これまで逃げに徹していた相手が突如攻撃にまわってきて、なのに自分を生かしているのだから。
座ったまま刑部を見上げる。彼女は一条のように涙を流してはいない。けれど戸惑いの表情が見えた。
そして何か考え事をしているようにも。叩いた左手をじっと眺め、閉じたり開いたりして時折目を瞑っている。

「続き、やりませんか?」
 たった今自分は生きていることに喜びを感じた。代わりにマグマのような憎悪を犠牲にしたような気もするが、
そんなものはいくらでも取り戻しが効く。今までのことを思い出すだけでそれは容易い。
刑部は一連の出来事に思うところがあったようだが関係ない。一連の行動には疑問だらけだが、
殺されても文句の言えない人間であることは違いないのだ。

「それもいいが……せっかくだ。話をしないか?」
 それは三原があり得るかと思っていた返答だった。近くに落ちているスコーピオンを拾ってもいいけれど、
既に銃を携えている相手のほうが絶対有利。そんな理由をつまらないと思いながら、三原は静かに頷いた。
いつ湧き上がるとも知れない憎悪を押さえつけながら。


548: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 01:02:54 fcvNTM6a


 * * * * * * * *

「……今の件については感謝しますけど、くだらない言い訳だったらすぐに殺します」
「好きにするといい」
 地面に転がっている暗視ゴーグルやヘッドライトを軽く蹴飛ばす。左手にはまだ熱くて鈍い痺れが残る。
スコーピオンを握り締めながらの三原の警告に、刑部はそれに特に迷うそぶりも見せず答えた。
自身の銃は腰に戻してある。状況は圧倒的不利になったが、その代償として話し合いに応じてくれた。
木と木の間を縫ってそよいでくる風が汗ばんだ体を冷やす。開いた胸元やはみ出たシャツの裾から熱気が逃げる。

「……少し前を最後に銃声が聞こえなくなった。高野君と一条君だ。決着がついたと思っていい」
 あと一人で全てが終わる。三原にとっては悪くない情報だろう。
「一条君が生きているなら、話だけでも聞いてくれないか。すぐに殺されるようなことはされないはずだ。
 もし一条君を疑う理由が私にあるなら、それを教えて欲しい。私が播磨君をたぶらかしたというのは何だ?」
 本題に入る。それが三原を凶行に向かわせている理由だと思えて仕方ない。
播磨が三原を殺そうとしない以上、よほどのことがない限り三原もまた播磨を殺す理由がない。
殺すぐらいなら高野に向かわせたほうがはるかにマシなのだ。目を少し泳がせた後、三原が口を開く。
「それはこっちが聞きたいくらい。播磨君、ゲームを壊すとか言って息まいちゃって。
 あげく『俺の絃子』だって。まさか色仕掛けでもしたんですか?」
「……は?」
 今出た声が自分のものなのか一瞬迷う。だが……そういうことなのだろうか。
「笹倉先生のことも刑部先生のことも信じちゃって。まさか先生達が何をしたか忘れるはずないのに」
「……」
 なんともいえない感情がわき上がって来る。くだらない。実にくだらない。
播磨拳児という人間は元々誤解されやすい存在だと思っていたが、まさかこれほどとは。
そういうこと、なのだろう。笑いそうに、或いは叫びそうになる感情を無理矢理抑えて伝えるべきことを整理した。
大声を出すとわき腹に響いて辛い。泣き出しそうになる。



549: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 01:04:53 fcvNTM6a

「先生……?」
「……とりあえず聞いて欲しい」
 一言断りを入れてから話を続ける。彼女は事実を受け入れてくれるだろうか。
信じてくれるだろうか。わからないが、その機会は今しかない。
落ちている木の棒を拾って、ガリガリと地面に字をなぞる。
話し合いでは途中で割り込まれてしまう。文章で伝えるのが確実だ。


『従姉の名は絃子』


「……は?」
 地面に描かれた文字の意味を理解したのだろう。今度は三原から、先程と同じような声が発せられる。
「私の母と、彼の父が兄弟なんだ。昔からつきあいがあってね。
 はり……いや、拳児君が私を信頼してくれたのはそういうことだよ」
 だが血縁関係というだけでは説得力に乏しい。諸所の事情を簡潔に説明する。
播磨の中学時代や家庭の事情、同居生活とそこから発生する信頼があったことや笹倉とも旧知の仲であること。
面倒毎を避けるため学校にも知らせていないことを教える。

「な……何よそれ。俺の絃子って……俺の従姉ぉ!?」
 想像の範疇を超えた事実に三原が叫ぶ。全ては誤解だった。
そんな答えは期待していなかったのだろう。理由付けがただの誤解では納得は得られない。
「……そ、そんなのわかるわけない!そんなのを信じろって!?証拠はあるんですか!?」
「確かに……証明はできないな。何を言っても、それのウラを取ることがこの島ではできない」
 三原は唖然と立ち尽くしていた。必死で言い繕おうと、必死で空気を食べている。
燃え盛る感情の高ぶりを戸惑いと驚嘆が抑えているようだった。
「本当だとしても……年上のお姉さんとか、同居とか……まるっきり恋人じゃん!それこそ俺の絃子じゃん!
 何よ、播磨君天満ちゃんが好きとか言っておいて……八雲ちゃんだって、だから」


550: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 01:06:13 fcvNTM6a

「違う。違うんだ」
 それだけは絶対に違う。思わず叫びそうになってしまった。播磨拳児に限ってそれはない。
彼が愛したのは塚本天満ただ一人。それだけは信じて欲しかった。
けれどもう彼はこの世にいない。誤解されてしまっても、それを本人は否定できない。
ならどうするか。決まっている。まだ命ある自分がそれを正しく伝えねばならないのだ。
「怒鳴ってすまない。……これも何の証拠も無い話だが、塚本君達は私と拳児くんの関係を知っている。
 どちらも私の家に来たことがあるんだ。事情はきちんと話したはずだ。理解してくれたよ」
「んな……!」
 ぶるぶると三原の拳が震える。それは更に認めたくない言葉だった。―これまでのことが全て真実なら。
「……認めない。じゃないと私は……八雲ちゃんのために、やったことは……」
 それ以上は考えたくなかった。それはあってはならないことだ。
誤解で、くだらない誤解で、大事な親友の大事な人を―

「君はいい子だと思う。……こんな状況でも友達の八雲君のことを考えてくれているのだから」
「と……と、当然よ。だって親友だから。聞きなさい、八雲ちゃんと私は―」
 飛びつくように、誇らしげに三原は話す。
その反応は、三原が八雲のことを大事にしているからこそのもの。少し嬉しくなる。
「知っているよ。花井君とサラ君と麻生君の死。辛かったんだろう。
 君は逃げ出さず、マシンガン相手に慣れない拳銃で立ち向かったんだ。本当に強い娘だと思う。皮肉じゃない」
「え……」
 何故知っているのか。盗聴器があるからだ。それはすぐに気付いたらしい。
「そのことを知っていたから……私は思い留まることができた」
 あと付け加えるならふいに聞こえたあの鳴き声。だが空耳かもしれない、それは黙っておく。刑部は更に続けた。
「君を殴った時、本当は殺してやると思ったんだ。拳児君だけでなく、葉子まで……大事なものが壊されたことが
 ただただ許せなかった。今更何を言っているのだろうね。私にそんな資格はないというのに。
 葉子が覚悟していたのは知っていたはずなのに……とても自分が嫌な人間に思えてきた」


551: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 01:08:32 fcvNTM6a

「……すまない、くだらない話をした」
「だから、だから何!いい子?強い娘?だから?
 高野さんや一条さんと協力しろって!?罠かもしれない先生の言うことを信じろって!?」
 一日も経ってないはずなのに、刑部に言われた事件の記憶は遠い遠い過去の出来事のように感じていた。
思えば、あの希望に満ちていた頃とは随分変わってしまった気がする。けれどもそれは仕方ないこと。
「誰も、誰も信じられない!誰も私なんて見ようとしないし、大事な人は皆死んじゃった!
 勝手な期待ばっかり残して、押し付けて!できるわけない、皆の期待に応えるなんて絶対無理!」
 一通り叫び、荒い息をしながら吐き捨てる。心の溜まっていたものを一気にぶつけた。
これ以上の問答は要らない。時間の無駄だ。殺してやる、とつぶやいてスコーピオンを構える。
目の前の人間を殺せば、自分の正しさが証明――されるのだろうか。
誤解である可能性を知ってしまった。もう殺しても何も解決しないような気がする。
心の奥深いところから、怒りと憎しみと無念が涸れない泉のように湧き出てくる。
これをどうすればいいのか。心の中を埋め尽くしつぶれてしまえ、心壊れてしまえというのか。


「『誰も私なんて見ようとしない』か。けれど君は彼らを捨てずに心に持っていた。
 優しい娘だ。君位の歳のとき、私は自分とすぐ近くの数人にしか興味が無かった」
「違……!何でそういうことに」
「八雲君については、拳児君が全て受け止めた。今すぐ背負おうとしなくていい。
 それよりもこれからのことを考えてくれ」

 一方的に話す刑部に苛立ちが募る。自分の立場がわかっているのだろうか。
憎悪に火をつけようと刺激を与え始める。だがどうにも火がつかない。
乾燥していたはずの心が、いつも間にか少しだけ湿りを帯びているようだった。



552: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 01:10:47 fcvNTM6a

「生き残った一人とどうするか、もう一度考えて欲しい。拳児君のことを信じて欲しい。
 あと―できれば、君の友人達を解放してやって欲しい。私の話は以上だ」
 最後の意味は分からなかった。だが刑部はそのまま隙だらけの背を向ける。一体どこへ。思わず口にした。
「もう一人と会って来る。……高野君だったら話し合いの余地すら許されない。
 ノートパソコンはおそらく体育館にあるのだろう?」
 いいのだろうか。逃がしてしまって。いいのだろうか。殺してしまって。
迷っているうちに、刑部が一歩だけ進む。だが二歩目はない。

「あ、そうそう。君は言っていたね。八雲君のために拳児君を殺したと」
 心臓を直接つかまれたような気分になる。せめて八雲との絆は失いたくなかった。
それを指摘されるのは耐えられない。静かに、隠したまま忘れ去りたい傷跡だ。
「ふ、ふふ……あはは、ほら、先生だって本当は私のこと許さないって思ってる!」
「……言ったろう。私に君を責める資格はない。それだけのことをしてきたからね。
 だが君がそう思うのなら、気がすまないというのならあえて言おう」

 それは、三原の理解の範疇を越えていた。
内心刑部の言うこと―『俺の従姉』の意味を知ってしまったからこそ、信じ難いものだった。

「彼の命を奪ったこと。彼のイトコとして、君を許そう。忘れることはできないが、責めないことを誓うよ」

 何故そんなことが、平然と言える。もうわけがわからない。刑部がそれを言ってどうする。
けれどまた目が少しだけ熱くなる。さっぱりわからない。だから次を最後に終わらせることにした。
最後の言葉を刑部の背中にぶつけることを選んだ。

「もしかして……播磨君のこと……?」
 向けられた背中が完全に止まる。風になびく木々も耳に残った銃声の響きも煩いと感じるほどここは静かだ。
先程、死を意識したときと同じ感覚。ほんの一秒にも満たない間、世界がとてもとても長く感じる。

「―まさか」

553:参加するカモさん
07/07/17 01:14:25 vGnV/Lk4
支援

554:参加するカモさん
07/07/17 01:15:48 zEOGEqdL
sienn

555: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 01:17:42 fcvNTM6a
すいません、1レスに収まる構成にできませんでした。
続きはまとめに投下します。

556:参加するカモさん
07/07/17 01:30:28 Bw6I40pu
こ・・・この展開・・・ま、まさか!?

557: ◆RHLa6nIQ9U
07/07/17 01:33:16 fcvNTM6a
色々問題があると思います。
指摘をよろしくお願いします。

とりあえず誤字orz

558:参加するカモさん
07/07/17 01:36:37 Bw6I40pu
乙。GJ。
詳しい感想は明日で、今はただ一言。

本当によくやった・・・!!

559:参加するカモさん
07/07/17 01:41:57 JfMW/FRe
ま、まさか……ほ、本当に……?
今は何も言葉にならないので一言だけ。

GJ!!!

560:参加するカモさん
07/07/17 01:44:49 zEOGEqdL
>>557
パッと見では、問題はないと思うよ。
しかし貴方はいつもこちらが望む展開を……いやむしろ、それ以上の物語を書いてくれる。
GJだ。それに尽きる。
高野VS刑部はもう少し対話してくれたら嬉しかったけど、状況が状況だからそれは無理な要求だw
まぁ、あの二人は会話がなくともお互いのことはある程度以上に理解していたと思うがね。

561:参加するカモさん
07/07/17 01:56:33 2mS0xDmV
>>557
一言だけ・・・GJ!!!

562:参加するカモさん
07/07/17 02:00:29 JBGp3MrP
GJ!!!
まじで涙ぐんだ。

>凧はとても高く揚がりそうだった。
を初めとする高野の花井に対する想い、
暗示された播磨に対する刑部の想い、
友人らに対する三原の想い、全てが美しかった。
最終戦に播磨と花井の決闘シーンをダブらせてくる辺りも良かったし、
優勝者がこのロワを通じて成長した三原って形でまとめたのも物語的に綺麗。
細かいこといえば、決闘の銃声後の描写がどっち視点で書かれてるのかを分からせるのが「凧」ってのも痺れた。

最後にもう一度だけ、本当に本当にGJでした!

563:参加するカモさん
07/07/17 02:11:20 gwH30NMS
続きをこちらに代理投下しても可?

564:参加するカモさん
07/07/17 02:22:36 FREPNrk7
GJでした
非常に綺麗な〆方だったと思います。
最後に復活した日記に、涙腺が緩むのを感じました。
あとは優勝後のもろもろをエピローグでどなたかが仕上げるって感じで完結になるのかな。
本当にお疲れ様でした。

>>563
大きな話だし、今回ばかりはそのほうがいいかもしれない
賛成に一票

565:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:40:32 gwH30NMS

 結局トリガーを引くことはできなかった。手を垂らし膝をつき、三原は考える。
自分は生きる。生きるためには高野であっても一条であっても殺すしかない。
その意思はもう揺らぐことはきっとない。
辛いのは、自分の歩むと決めた道に大事な人達が誰もいないこと。音篠達とは永遠に交わらないこと。
けれど、その選択は安易に飛びついたものではなく、考えて考えて考えぬいた結果だとしたら。

 親友達が望まない道だから、もう誰の笑顔も思い出せないのだと思っていた。
それは―違うのかもしれない。歩む道や選んだ扉が違ったとしても、受け入れられないものだとしても
認めること、認めてもらえることはできるのではないか。
音篠や、今鳥や、八雲がもう笑わないのは、笑顔が思い出せないのは自分が彼らを隠れ蓑にしているからではないのか。
もう解放して欲しい、と刑部は言った。それはつまり自分が八雲や天満を利用するのは止めて欲しいという意味なのだ。
選んだ手段がどれだけ汚らしいものだとしても、その決意をしたのは自分。それを認め、受け入れる。
誰のためでも、誰のせいでもなく自分のために信じると貫き通した道ならば、
その先にはきっと大事な人達が、追い求めていたものが―

(……何ていうんだろ。こういうの……)
 過ちがあった。悩んだ末の決断もあった。許せないことも多い。どれも認めなくてはならない。
三原はゆっくりとその場を立ち上がった。生きるため、全てを終わらせようと固く誓う。
生存者が一条なら、銃を突きつける前に過ちを詫び、決意を伝えよう。
そして刑部にも言わなくてもならないことがある気がした。
渦巻いていた狂おしい感情は消えていない。けれどもそれに振り回されてはならない。
これまでの自分は憎しみにつき動かされていた。自分で決めたと言いつつ、ただただ憎しみに操られていたのだ。
相手は誰でもよかった。笹倉でも播磨でも刑部でも一条でも高野でも。

(行こう……行かなきゃ!)

 信じられないほどに体が軽い。両腕もまだ動く。膝に力を込めて、体を起こした。もう周囲に動くものは何もない。
「……伊織?」
 どこかで見られている気がした。先程鳴き声が聞こえたから。見守ってくれているのか、見届けようとしてくれているのか。

566:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:42:58 gwH30NMS

この島で出会った大事な友達はまだいた。それが三原にまた勇気を与えていた。


 * * * * * * * *

「はい……はい」
 森の中に淡々とした声が小さく響く。独り言のように見えるが、それにしては口調がはっきりしすぎている。

「そうですか、わかりました」
 直後に鳴った小さな電子音を最後に声が途絶える。携帯電話を握っていた少女は液晶の画面を白けたようにじっと見つめていた。
そしてほどなくして大きめの警告音が鳴る。充電をするよう持ち主にメッセージを発しているのだ。
高野はそれを無視し、携帯電話をリュックの中に放り込む。

「先生は気楽でいいわね」

 盗聴器のことを承知の上で、わずかな皮肉を込めて呟く。
一条を殺した。残りは一人になった。だが生きているのはまだ二人いる。
刑部の存在が気がかりだった。三原が殺してくれれば問題ないが、正直なところ期待できない。
そんなことを考えながら一条の荷物を奪い、銃の動作確認や荷物の整理をしていたときのこと。
ふと携帯電話が気になった。メールくらいにしか利用していなかったが、本来の用途はどうなのだろう。
まさか外部と連絡できるはずもないが、圏外というわけではない。
試しに時報にかけてみた結果は予想していたうちの一つだった。
その折、せっかくの機会なので笹倉や刑部の存在について問い正した。
一条の荷物からわかったことだが、刑部は管理側の情報を漏らしている。
そして先程自分は銃撃を受けた。
けれども電話の相手である姉ヶ崎からの返事は『そっかあ』『大変だねえ高野さん』といった類のもの。
それがどうしたといわんばかりの態度を隠そうとしない。
おまけに背景から漏れてきたのは、菓子が割れたりお茶のようなものをすする音。
唯一の収穫は殺しても問題ないということただ一点。

567:参加するカモさん
07/07/17 02:43:46 6u0RqKl1
支援

568:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:44:40 gwH30NMS

(……)

 手早く荷物と考えをまとめる。三原の武器は機関銃。麻生の持っていたUZIかもしれない。
刑部ならばそれなりに浪費させてくれるだろう。
情けないことだが、それにかけている期待はかなり大きい。
必要なのは情報だ。ノートパソコン。沢近がまだ生きていた頃、三原は体育館にいた。
本人が刑部を追っている今、バッテリーとともに三原のリュックにあるとは考えにくい。
体育館へ行って見る価値はある。

 腹に溜まらない程度に水分を補給して、地面に捨てる。
カロリーの高いジャムパンを半分だけ食べた。
残りの食料と即戦力にならない道具は置いていく。ただし教師に連絡できる携帯電話だけは別だ。
ドグラノフ狙撃銃を握りしめるが、その重量に腕が震える。
疲弊した体に容赦なく負担が要求される。
けれども置いて行くことはできない。数少ないUZIに対抗し得る武器なのだ。
あと一人―あるいは二人。それを支えに、高野は地獄に幕を下ろすべく歩き出した。


 昼までに決着はつくだろう。乾いた空気を吸いながら終末を予想する。
空は青空が広がっていて、天気だけで言うならピクニックと変わらない。
うららかな日差しが制服の上から肌を刺す。
雲がないので、高いところの風の流れは分からない。
そう思っていたら小さな雲が視界の隅に映る。ほどなくして細かく散った。
凧はとても高く揚がりそうだった。

569:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:46:11 gwH30NMS


 * * * * * * * *

 重量のある金属の扉が軽く軋む。つい膝をぶつけてしまい、ゴゥンと重い音が響く。
太陽はだいぶ高い位置にきていたが室内にはまだ熱が伝わりきっていないのだろう。
ここまでの行程で汗ばんでいる体に、冷えた空気が若干の鉄の臭いとともにまとわりつく。
触覚からは高揚感、嗅覚からは不快感を感じ取る。

「……私が一番乗りか」

 目的の道具はすぐに見つかった。そして少しだけ離れたところにあるのは血の塊。異臭の発生源。
その中心には男子生徒が倒れていた。それが誰なのか、確認するまでもない。

「……残念だったわね、播磨君」

 意味のない一言をつぶやいて、高野は歩を進めた。ノートパソコンの前に立ち電源を入れる。
起動するまでは入り口のほうに銃を構えて警戒を続けた。
「三原さんは、と」
 島の地図に点在する数多の黒印。大勢のクラスメイトの名前。自分が殺した沢近愛理。
知らぬ間に殺された親友の塚本天満と周防美琴。慕ってくれた後輩二人。それにまとわりついていたバカ。
自分が見逃した男に殺された大馬鹿者だ。そして、今またその男の武器を警戒している。

(……三原さんは、知っているのかしらね)

 あの男の最期を。最後まで自分の前に立ちふさがるはずだった存在を。
追い払っても追い払っても食い下がってくる、国外追放しても戻ってきた非常識な人間。

 意味のない思考を無理矢理打ち切る。三原はまだ生きている。そして体育館とは若干の距離があった。
自分同様に、ノートパソコンを求めて体育館にやってくる可能性は高い。逆にそれが好機だ。
体育館の入り口は一つしかないのだから、見計らって狙撃してやればいい。
ドグラノフ狙撃銃をリュックにしまいこみ、両手を自由にする。ノートパソコンを閉じてバッテリーを上に積む。

570:参加するカモさん
07/07/17 02:47:45 6u0RqKl1
 

571:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:50:00 gwH30NMS

中の電解液がこぼれおちないよう注意しながら、高野は入り口に向かって歩き出した。


 体育館への入り口は一つ。ただしフロアに出るまでの扉は二枚あった。一つ目の扉は薄汚れたガラス張り。
外からやってくるとまずそれを通る。近くには下駄箱があり、トイレや教員室、器具室につながる廊下もある。
おそらく生徒達はここで靴の泥を落として上履きに履き替える。そして廊下を挟んだ向こうに二つ目の扉。
こちらは金属でできていて、どこかさび付いているのか開きにくい。それを越えて初めてフロアを見ることができる。
高野がやってきたとき金属扉は開かれていた。硬くて三原には閉じられなかったのだろう。
通り抜けられる程度のスペースはあったため、そこに身をすべりこませる形で中に入ったのだ。

 そして今、高野はノートパソコンと体の位置関係を横にずらし、無事に通過できるよう体を動かしていた。
視界が赤銅の扉に覆われる。リュックを足で引きながら、横歩きで狭い隙間を通り抜けた。
その直後にキィ、と何かが開く奇妙な音。疑問と共に正面を向いた高野が見たものは。
外からは中の様子が見えない程の有様を見せるガラスの扉。そこを丁度通り抜けた刑部の姿だった。

――!

 世界が弾ける。反射的にノートパソコンを投げつけた。刑部は即座に横に跳び、それを避ける。
扉が砕け、数多の破片が一瞬の芸術を描く。けれどもそれが二人の目に留まることはない。
跳ねた鋭い硝子の切っ先が地面に落ちるより、希硫酸の異臭が下駄箱回りに立ち込めるより早く両者は跳ねた。
距離が詰まり、そして止まる。互いの全てを見通すように、素手のままにらみ合いが続く。世界が安定を取り戻すまで。

 じわじわと足元の波紋が広がっていく。硝子の粒子がその海に浮かび朝日を反射させ瞬く。
「……三原さんは?」
「知ってどうする?」
「殺します」
 互いの喉を、目を、動脈を、心臓を見つめる。二人の間だけ、世界から忘れ去られたような静寂に包まれた。
その場の空気に血も凍るような冷気が立ち込める。
「それは無理だな」
 刑部はにべもなく言い放ち、空気より冷ややかな口調でゆっくりと続けた。


572:参加するカモさん
07/07/17 02:50:23 JBGp3MrP


573:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:51:32 gwH30NMS

「三原君は近くにいない。そして君に会うこともなさそうだ」
「……理由を伺ってもよろしいでしょうか」
 再び沈黙が舞い戻る。視線と視線が交差してお互いの意思がぶつかり合う。
返答を予想し、その先まで考えていそうな高野をじらしながら、刑部は当然のことのように話す。

「私と先にあったからさ」
「ノー・プロブレム」


君は

あなたは


―ここで死ぬから

 刑部はワルサーP99を。高野はシグ・ザウエルを。同じタイミング、同じ速度で互いの眉間に突きつけた格好をとる。
二人は言葉でなく態度で示した。嘲るように、互いの手の内を見透かすように。


「パーン」
 くだらないはったりにも動じない。銃は沈黙したままだ。高野はにらみ合ったまま考える。
相打ちなど最も意味がないこと。しかし自分が撃てば刑部も撃つ。自分が引かねば刑部も引かない。
「ふ」
 意地をはらず素直に銃口を下げる。そして勝負の場を改めて設けることにした。
そしてそんな面白い見世物を姉ヶ崎は邪魔しないだろう。奴は面白ければいいのだ。誰が残ろうがどうでもいい。
勝手に首輪が爆発してラッキー、という展開は自分なら絶対やるまい。
刑部は最後の最後で立ちふさがる強烈な障害なのだ。本来その役を背負うべき者はもういないのに。
額からこぼれる汗をぬぐって考える。もう弾数も体力も限界に近い。吐息には乾いたものが混じっている。
唐突に訪れた緊張に足が笑いそうになる。一条との白兵戦は予想以上に心身を疲弊させているようだ。
時間が経てば三原がやってきて完全に追い詰められてしまう。

574:代理投下 ◇RHLa6nIQ9U
07/07/17 02:53:15 gwH30NMS


(どうしよう?)

 ガラにもなく、思考が詰まる。多分、見逃してはくれない。下手な隙は見せられない。

(どうすればいい?)

 答える者は誰もいない。当然だ。誰も声をかけてくれるはずもない。
この難問にも自分で答えを出さなくてはいけない。心で軽く笑った。

―刑部があの男の代わりだと言うのなら。忘れ得ぬ思い出の一つを借りることにする。
一歩分の距離を取る。拳銃を握ったままその手を高く掲げ、手の中で回転させてスカートに戻す。
空になった右手で銃を形作り、そのまま突きつけた。

「早撃ちで勝負」

 バーン、というしぐさと同時に、高野の宣言は凛とした声で告げられた。

「気付いてないのか?私は君と違って」
「顔を狙いますから大丈夫です」
 刑部の声がぴしゃりと遮断された。
やや熱気が増してきた体育館の中央で、背中合わせに二人の人間が並ぶ。
刑部は体育館の入り口を、高野は小さな縁談を正面にして立っていた。

「ルールは、」
「あいつらと一緒でいいだろう」
 背後から言い返される。その声が少しだけ低くなっていることに高野は気付く。
肩越しに首だけを動かして彼女を見上げた。
刑部の視線は正面ではなく、そこから斜めに。もう動かなくなった播磨のほうに向けられていた。



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