07/09/06 01:28:37
そこに現れたのは、小柄な男とやせこけたアカ犬だった。
「 カサッ カサッ カサッ 」
「サッ サッ サッ サッ サッ」
小柄な男の足音に、犬の足音が混ざってる音だったのだ。
時計を見ると、時間は午前2時頃・・・こんな時間に犬の散歩か。
日中暑いので、夜中にやっているのか。
自分を納得させようとした。
街灯の真下に来ると、その音の主がピタリと足を止めた。犬も男に従って歩みを止めた。
白っぽい水銀灯の光の下に現れた犬の散歩者の風景は普通のそれと少しばかり異なっていた。
男は真夏というのに、茶色地に黒の縦縞のどてらをはおり、手ぬぐいで頬かむりしている。
白いズボン下をはき、黒いたびをはいた上にわらじを履いている。
アカ犬の首に回してある藁を編んだ荒縄はの一方は、シッカリと男の左手に繋がっていた。
俺は、ゆっくりと窓際から遠ざかろうとした。
それと同時に、今までうつむいていた頬かむりしていた男の頭がゆっくりとゆっくりと起き上がり、
俺の方へ顔を向けてきた。