07/05/09 23:29:56 yx2hEOfr
スレリンク(owarai板)
URLリンク(2ch.pop.tc)
***帝国軍大本営***
帝国全軍の大元帥たる皇帝ラインハルトが、不治の病に侵されていることが、
会戦終結後に主だった将帥たちにも伝えられた。アイゼナッハは沈黙を保ったままわずかに手を震わせて、ハンカチで顔を拭いた。
それに対して猛将ビッテンフェルト提督の反応は激烈であった。
ビッテンフェルト「なぜだ! なぜオーベルシュタインの野郎が死なないで
皇帝が亡くなるんだ!? この宇宙には正義も真実もないのか!
大神オーディンは、貢物をむさぼるだけの役立たずか!!」
ミッターマイヤー「騒ぐな、ビッテンフェルト」
ビッテンフェルト「これが騒がずにいられるか!」
ミッターマイヤー「理由があって騒ぐなと言っているのだ。第一に、陛下は確かに
ご病気ではあるが、亡くなるとは限らぬ。上級大将ともあろう者が
先頭に立って騒ぎ立てては、兵士達によからぬ影響があろう。
第二に、皇妃及びアレク大公のことを考えろ。あの方たちこそ、
卿よりはるかに哀しむ資格がおありなのだ。それを弁えた方がよいぞ」
ビッテンフェルト「なるほど、そう言われると一言もない。俺が軽率だった」
率直に非を認め、ビッテンフェルトは激情を体内に封じ込めた。
その率直さが、ミッターマイヤーにとっては羨望に値した。
神の不公正を呪ってやりたいのは、むしろミッターマイヤー自身がそうであったのだ。
彼は自室でグラスを傾けつつ、死者となった知己たちに語りかけた。
ミッターマイヤー「キルヒアイス、ロイエンタール、それにケンプ、レンネンカンプ、
ファーレンハイト、シュタインメッツ、ルッツ……頼む。
頼むから、まだ皇帝を天上(ヴァルハラ)へとお連れしないでくれ。
皇帝はまだ現世にこそ必要な御方なのだ」