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自殺 東北の取り組み/実態把握と「危機介入」策を 2006年03月18日土曜日
自殺防止の新たな取り組みとして岩手県が新年度、岩手医大と連携した実態調査に乗り出す。
県の委託を受けた同大の精神科医が家族の精神的なケアに当たるとともに、亡くなった人の生活の様子や心理状態などを聞き取りたいという。
東北は全国的にみても自殺で亡くなる人の割合が高く、中でも秋田、青森、岩手の3県は2002年から3年続けて、都道府県別で1―3位の高率となっている。
対策には実態調査が欠かせないが、これまで県単位で行われた例はほとんどない。
岩手県のケースは自殺者減少を目指す前向きな取り組みであり、継続的に実施して効果的な対策に結び付けてほしい。
岩手県の自殺者は1997年に365人だったが、翌98年は501人へ急増、その後も500人前後で推移している。
有識者会議で検討した結果、亡くなる前の心情や行動をある程度突き止め、その傾向を県民に知ってもらえれば、防止につながるのではないかといった意見が出たという。
具体的な内容はこれから決めるが、委託された精神科医は早い段階で自殺した人の家族と接触し、自発的な電話連絡を呼び掛ける。
医師に連絡が来て了解を得られれば、ケアや聞き取り調査に取り組む。
どの程度の成果が上がるのかは分からないが、岩手県は「取り組む価値はある」とスタートさせる。
自殺者を減らしたいという危機感が背景にある。
大学などと協力した実態分析には秋田県も強い興味を示し、条件さえ整えば実現させたいという。
秋田県の自殺率はここ10年連続、全国で最も高い。
心の健康づくりといった「オブラートに包んだような対策」(同県)から踏み込み、自殺者数の減少を明確に打ち出している。
国内の自殺者数は1998年に前年より一挙に35%増えて戦後初めて3万人を超え、その後も減っていない。
警察庁の統計では98年以降、経済・生活面の理由によって特に50―60代の男性の自殺が増えたことがはっきりしている。
98年は景気や雇用環境がどん底だった時期。リストラや過酷な勤務によって追い詰められたことを示している。
病気などの個人的な問題よりも、社会状況の変化によって増えているのであり、心の健康などを訴える予防啓発活動の効果は限られるだろう。
フィンランドは政策展開によって自殺率を減らした国として知られるが、出発点になったのは全自殺者の家族に対する面接調査だった。
対策では(1)自殺は実は長い期間の末に起き、何度か「危機介入」の機会がある
(2)どのような人に危機が迫り、どんな救いの手を差し伸べるのかが重要だ―という姿勢で臨んだという(厚労省・こころの健康科学研究事業報告書)。
毎年3万人もの人が自殺することは重大な問題であり、家族へのダメージも計り知れない。
一般的な広報や啓発活動よりも、個別の実態を調べ、差し迫った「危機」に介入する手法を探る時期になっている。
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