03/07/06 20:29
まず、私に意見陳述の機会を与えてくださったことに感謝申し上げます。
今回、私が提訴に踏み切ったのは、被告の発言が、権威・権力による支配を強要・正当化する行為であり、浄土
真宗本願寺派教団の基幹運動に取り組んできた私の名誉を著しく傷つけるものであるからです。
私は住職となって今年で20年になります。住職となった当初、私には基幹運動についての意識は大変希薄なも
のでありました。教団あげて取り組まれている運動が、教団内外の差別をはじめとする、いのちを傷つけ貶める現
実に取り組む教団の本来化が基幹運動であるという認識は、ほとんどありませんでした。
そんな私が基幹運動に主体的に取り組むきっかけを与えてくれたのは、私の長男でした。今年17歳になる長男
は、生まれたときから視神経萎縮のため視力が大変少ない弱視です。彼の将来に少なからず不安を持ち、障害者に
ついての文献などを読んでいた私に衝撃を与えた言葉があります。「障害者にとって一番の敵は親である」という
言葉です。障害者がさまざまな差別の中にあることは衆知のことです。家族、特に親はその差別に本人とともに立
ち向かっていくものであると思っていました。しかし、日々の生活の中で「一番の敵」すなわち、誰より差別を克
服できていないのは親である私なのかもしれないという先の言葉は、私に大きなきっかけを与えてくれました。
以来、私は私自身が、差別をする生き方からの解放を求めて基幹運動に参加してまいりました。いろいろなかた
ちで本山にも出入りさせていただき、障害者差別についてのブックレットの執筆などもさせていただきました。
私にとって、差別すること・されることからの解放を願って、さまざまな取り組みをすすめていく基幹運動は生
きることそのものであり、いのちの証明であるといっても過言ではありません。多くの方々と、ともに運動をすす
めていくことが何よりのよろこびであり、運動の中に自分の身があることは大きな誇りでありました。