11/12/20 21:39:22.39
黄河中央部に位置する大きめの中州にて警戒に当たっていた監視兵より、
張郃軍、そして顔良軍の進撃を伝える報が延津砦に届けられた…
【兗州・延津砦】
兵士「前方より敵影確認!!先陣と思しき一団の旗印は『張』とあり、
後続にも数多くの旗が靡いており、兵数は少なく見ても二万を
超えていると思えます!!」
于禁「ついに来たか…」
趙儼「相手は二万以上、当方は二千…彼我兵力差は十対一」
于禁「かかかっ、普通では勝てんな」
趙儼「笑われている場合では御座いませぬぞ、于禁殿」
于禁「何、余裕のあるところを見せておけば兵士達も気が休まろうて」
趙儼「左様ですか。して、先陣を率いているのが袁紹軍の二枚看板である
顔良と文醜ではなく『張』の旗印をした者とありますが…」
于禁「元は冀州刺史であった韓馥麾下の将であった張郃であろうな。」
趙儼「名は聞いた事がありますが、袁紹幕下では新顔の類に位置する将と
思えますが…顔良と文醜を差し置いての先陣とは何らかの理由でも?」
于禁「理由は無かろう。逆に張郃を使う立場に立って考えれば、先陣で功を
立てれば儲けものと思う程度だろう。」
趙儼「失敗すれば若将に責任を取らし、改めて二将を用いると言うことですな」
于禁「しかし若将とはいえ先陣を率いる者、気を緩めずに対処していくが、
彼等との戦いは事前に司空殿が進撃を想定されていた対応に沿って進めるゆえ
まずは広場にて兵士達を集めよ」
趙儼「ははっ!!」
【兗州・延津砦内の広場】
于禁「愚かにも袁紹軍が我が領内に侵攻してきた!!敵の数は我が軍を凌駕しようが
私が延津砦の守備を任されてから今日まで、準備に準備を重ねて来た…
相手が十倍もの兵で攻め寄せようが地の利も此方側にある!!」
趙儼「もちろん狙撃用の弓矢も食料も十分に保有している」
于禁「これより徹底した専守防衛策を以って敵に相対するゆえ、敵が攻めて来たときは
砦より狙撃し、それ以外の時は“どのようなことがあっても”敵の挑発に乗らず
迎え撃つ事はせぬ!!時間を出来る限り稼ぎ、司空殿の援軍を待つのだ!!」
趙儼「さぁ皆の者、籠城の仕度を整え持ち場を固めるのだ!!」
一同「おおおおおおっ!!」
于禁「趙儼、これより司空殿に袁紹軍の襲来と援軍の要請を出すが…」
趙儼「存じております、わざと敵の目に付くような形で使者を出すのですね」
※延津砦の守備兵は約2000人。籠城に際しての食料や物資の補給、黄河の延津側の
封鎖作業などは万全ですが、何故か不可解な籠城策を採る曹操陣営。