10/10/21 22:05:27
>>334です。
ここ数回の投稿が、332になっていました。ごめんなさい。全て334です。
病院に着くと、個室とナースステーションを行き来する看護士の姿が見えた。
妻との約束で、決して人工呼吸器などはしない、というのがあったので、
自力での呼吸が止まるといよいよとなる。尿が止まって2日経っていた。
妻の身体は腫瘍熱により僕より熱い感じがした。
もしかしたら、同じ感じを伝えたかったのかも知れない、と僕は解釈することにした。
なんだか、理由も無く誇らしかった。きっと熱でイカれていたのであろう。
血圧が少し持ち直し、少しほっとして、その夜は酒を飲みそびれて機嫌の悪い父と、
息子と僕の3人で交代で様子を見ていた。そして明け方近くになって、息子が付き添っていた。
僕は病室を出てすぐ隣の待合ソファーのあるところで横になっていた。
突然、息子が泣きそうな顔で出てきた。
今までに無い血圧の低下らしい。主治医がやってきて、あれこれ看護士に指示をしながら
僕たち3人に入るように促した。
もう、マスクも帽子も手袋も白衣も要らないらしい。
もしかすると、そのときを個室で迎える為の配慮だったのかもしれない。
「ご主人、息子さんも手を握ってあげていて下さいね。」
僕の手よりも更に熱い妻の手を握り締めていた。
いよいよその時が来たのである。
東向きにベランダの在るその病室の大きな窓から、朝日が差し込んできた。
妻は晴れ女だった。そしてまさに、まさに眠るが如く、静かに息を引き取った。
僕は息子をしっかりとハグした後、妻に向き直り、
いろんな計器や管を取り外されて身軽になった妻に語りかけた。
「長い間、良く頑張ったね。お疲れ様。」妻の頬をなで、その顔を覗き込むようにして。
溢れる涙は抑え切れなかったが、それでも微笑んで、精一杯微笑んで言った。
妻の長い戦いは終わった。
癌が見つかって余命3ヶ月、長くて半年、と言われてから6年と8ヶ月が経っていた。
…なんかもう顔がぐしゃぐしゃです。今日で終わりにする、と言っておきながら、
今日は最後までもう書けそうにありません。ごめんなさい。
明日には全てを書き終えます。
今日は今から帰って、家事をします。おやすみなさい。
明日に続きます。