11/02/20 19:29:50.33
こずえ、美智留、みどりの唾液、汁、汗がひとつに混じり合っているとき、宿舎には、思いつめたような
顔をして、吉村さとみが、富士見高校の宿舎を訪れていた。あの、鮎原さんいらっしゃいますか?(さとみ)
対応したのは真木村京子。
なにか御用ですか?鮎原先輩は早川先輩と一緒に外出してますけど。(京子)
あの、わたし、鮎原さんが東京にいた時のバレー部のチームメイトなんです。なつかしくて。今日の試合の
お祝いを言いに来たんです(さとみ)
バレー部のチームメイトだというさとみの言葉を聞いて、一瞬、京子の顔が曇った。
京子の瞳に、憎しみの影がかかる。右頬をピクリとさせ、京子は、つとめて冷静に、しかし冷たく言い放った。
対戦相手のスパイにやってきたんですか?!鮎原先輩の昔の友達の立場を利用して!そうしないと勝てないんですか?!(京子)
それはトゲトゲしく、しかし、虚勢をはった言葉であった。
さとみは、やさしく微笑んだ。
あなた真木村さんでしょう?鮎原さんにあこがれていらっしゃるんですって。いいことだわ。勉強もおできになるそうね。(さとみ)
そうだ、鮎原さんのこといろいろと教えてあげるわ。一緒にいらっしゃらない。まだ夜も早い
から。東京はそんなにあぶないところじゃなくてよ。(さとみ)
さとみの表情には、その言葉とは裏腹に、その端正な顔立ちになにかしら断りづらい力がみなぎっていた。