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帰還困難者に一括700万円 追加賠償で原賠審指針
文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は26日、東京電力福島第1原子力発電所事故による避難者
への追加賠償の指針案をまとめた。放射線量が下がらず帰還が難しい地域では慰謝料などを上乗せする。
4度目となる今回の見直し後、東電は新たな指針にもとづいて被災者に賠償する。
今回の見直しは、年間の放射線量が50ミリシーベルト超の帰還困難区域の住民を中心に賠償を上乗せ
したのが最大の特徴だ。除染の遅れで帰還の見通しが立たない避難者の移住費用を追加する。政府は
従来、避難者の「全員帰還」を原則としてきたが、現実を踏まえて転換。移住の支援にも踏みこむ。
具体的には帰還が6年超の長期にわたって困難な住民約2万5500人を対象に、1人700万円の一括
慰謝料を上乗せする。従来の慰謝料は750万円だった。さらに帰還困難者が引っ越し先で家を買ったり、
アパートを借りたりする費用も補償する。従来は事故前に所有していた不動産価値しか払わなかった。
指針の見直しにより、新居の建物と事故前の所有不動産の価値の差額の最大75%を払うことにした。移
住先との土地の差額も補償する。新しい借家の家賃も、事故前の家賃との差額を8年間は補償する。
帰還困難者の平均的な4人世帯では、賠償額が従来の約6300万円から8870万~1億400万円程度まで増える。
単身世帯では約3300万円が5300万~5700万円に増える。一方、政府が避難指示を解除した区域に戻る人への
賠償も増やす。避難中は1人に1カ月10万円払っている慰謝料を、避難指示の解除後も1年間は継続する。
避難中に傷んだ家を建て替える費用も事故前価値との差額の最大75%を支払う。
来春には福島県田村市で避難指示が解除となる見通し。4人世帯の賠償額は約3700万円から5600万円
程度まで増える。さらに政府は、早期に帰還した人には1人90万円の賠償の上乗せを検討。住民の帰還を
促し、自治体や生活インフラの再建につなげる。
原賠審の指針見直しなどにより、東電が被災者に払う賠償総額の見積もりは、現在の約3.9兆円から大幅に
膨らむ見通し。東電は27日、政府に新たな総合特別事業計画を提出して追加の資金支援を要請する。
URLリンク(www.nikkei.com)