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<iPS細胞>日本人研究者の「初の臨床応用」に疑義
毎日新聞 10月12日(金)1時46分配信
日本人研究者の森口尚史氏が人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った世界初の
臨床応用を実施したと読売新聞が11日付朝刊で報じた。これに対して、
森口氏が客員講師を務めた米ハーバード大と、患者への治療を実施したとされる米マサチューセッツ
総合病院は同日、「森口氏の一切の臨床試験は、我々が承認したものではない」との声明を発表した。
森口氏は、米ニューヨークで10日から開かれていた国際会議で、iPS細胞から心筋の細胞を作り、
重症の心不全患者に細胞を移植する治療を実施したとポスターで展示した。この治療は、
ハーバード大の倫理委員会の「暫定承認」を受けたと説明。読売新聞が、
この発表内容を報じたことに対して、国内外の研究者から疑問の声が上がった。
森口氏は11日、研究内容をまとめたポスター展示の場で、詳細を報告する予定にしていたが、
主催する米財団によると、予定の時間に森口氏は現れなかった。その後、主催者は会場からポスターを撤去。
理由について「研究内容の正当性に疑義が呈されたため」と述べた。
ハーバード大学は11日、森口氏について声明を発表した。
それによると、森口氏は「99~00年にかけてマサチューセッツ総合病院の客員研究員だったが、
それ以来、同病院やハーバード大とは関係がない。森口氏の職務に関わる臨床試験は、
同大学あるいは総合病院の審査委員会により承認されたものではない」としている。
森口氏は毎日新聞の取材に「ハーバード大の在籍証明書も自宅にある。
倫理委員会について大学が一つ一つ細かい決定まで把握できていないだけではないか。
きちんとした手続きで進めており、なぜこんなことになるのか、何が何やら訳が分からない」と話した。