11/12/31 22:10:28.59 Bk581gjE0
さやか「…ひっ…、ひっ……」
ナース「大変…すごい震えてるわよ。先生に診てもらわないと」
さやかは口を押さえたまま首を振った
ナース「とりあえず、今はここで横になってていいから。すぐに先生呼んで来るわね」
鞄を落としてふらふらと立ち上がる
ナース「歩けるの? 無理しないで」
さやかが声にならない声で泣きながら去っていく
ナース「ちょ、ちょっと…」
189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:10:45.33 X9ir6pOe0
さやかいったぁぁぁぁーーー!!
190:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:11:14.91 9PbppUn00
アウトー!
191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:11:59.41 Bk581gjE0
―病室
ナース「上条さん? 入っていいかしら」
恭介「どうぞ…」
看護師が部屋に入った
杏子がベッドに腰掛けて、俯きながら足をぶらぶらさせている
ナース「お友達が来てたけど…。あの子、泣いてたわよ。何かあったの?」
恭介「…いえ…」
ナース「…喧嘩でもしたの?」
恭介「……」
杏子「……」
杏子(やっちまった……)
192:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:14:00.97 Bk581gjE0
――――
―夜。さやかの部屋
さやかがベッドに腰掛けてソウルジェムを見つめている
さやか「……」
QB(ねぇ。入っていいかい?)
さやか(…キュゥべえ…)
QB(3人とも心配してるよ)
さやか「……」
机の陰からキュゥべえが現れた
QB「怖気付いたのかい?」
さやか「…そんなんじゃない」
QB「来ないなら来ないって一言伝えてほしかったな。みんな君を待ってて出発が遅れてるんだ」
さやか「……」
QB「何か困ったことがあるみたいだね」
さやか「…大きなお世話よ」
193:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:14:47.43 Bk581gjE0
QB「魔法少女になった以上、君にも魔獣と戦う使命がある
君の為でもあるけれど、こっちとしてもきちんと責任を全うしてもらわないと困るんだよ」
さやか「…だったらあたし1人で戦う。マミさん達にはそう伝えといて」
キュゥべえは目を閉じた
QB「あの3人の中に、会いたくない子がいるようだね」
さやか「……」
QB「魔獣は手ごわいよ。今のさやかの実力から考えるに、1人では恐らく荷が重すぎるだろう」
さやか「…あいつの顔見るくらいだったら、危ない目に遭ったほうがまだマシだよ」
QB「君は事を甘く捉えすぎている。杏子の反対を押し切って契約したんだろう?
ここでまた君が新たに問題を起こしたら、困るのは僕だけじゃないんだよ」
さやか「…なんで杏子なんかに頼っちゃったんだろ、あたし」
QB「杏子のことが気に入らないのかい?」
さやか「あいつ…『変なことしない』って約束したのに…」
QB「味方同士のトラブルなら、きちんと話し合って解決しないと」
さやか「…あいつとは口利きたくない」
194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:16:05.88 XHcDCrX40
べえさんの胃に穴が開く・・・あるかどうかはしらんが
195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:16:32.88 Bk581gjE0
QB「ワガママを言わないでくれ。僕がここへ来た一番の目的は、君を連れて戻ることなんだ」
さやか「…あたしはあいつと一緒に戦わないほうがいいんだよ…
頭のどこかで『杏子が魔獣との戦いで死んでくれたら』って考えがちらついちゃって、
下手したら、あたし本当にそうなるように仕向けちゃうかもしれなくて…」
さやかが下を向いて泣き出した
さやか「最低だよね、こんなこと考えるなんて…
でもあたし、あいつのことどうしても赦せない…!」
QB「うーん、なるほどね」
さやか「……」
キュゥべえが椅子の上に飛び乗った
QB「君の気持ちはわかった。マミ達にはありのままを話しておくよ」
さやか「! い、今の話…」
196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:17:15.22 Bk581gjE0
QB「大丈夫。余計な問題を誘発させないように、
言っちゃいけないような所は黙っておいてあげる。それなら心配ないだろう?」
さやか「……」
QB「今日はひとまずゆっくり休むといい。でも、ずっとこうしてる訳にも行かない
今君がやるべきことは、一刻も早く元気を取り戻すことだ。いいね」
さやかは下を向いたままうなずいた
QB「うん。それじゃあよろしく頼むよ、さやか。また会おうね」
キュゥべえがベッドの陰に消える
さやか「…あたしって、嫌な子だ…」
197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:17:39.83 Bk581gjE0
――――
―マミの家
テーブルにリンゴが切り分けられている
QB「―さやかはどうやらメンバーが気に入らないみたいだね」
マミ「そう…困ったわね。何でも相談してって言ったのに…」
ほむら「……」
杏子「……。まぁ、『気に入らない』ってのはあたしのことだろうね」
マミ「そうね…佐倉さんも悪気がなかったのはわかるけど、
邪魔者みたいな言い方は、美樹さんにはちょっとこたえたかもしれないわね…」
杏子(本当の原因はそこじゃないけどな…)
マミ「美樹さん、他に何か言ってた?」
QB「具体的には特に教えてくれなかったよ。ただ、僕にはひどく落ち込んでいるように見えた」
マミ「心配ね…。そういえば、暁美さんは美樹さんと同じクラスだったわよね?
学校で何か変わった様子はあったかしら?」
ほむら「……。今日はどちらかと言うと上機嫌だったと思うのだけれど」
マミ「あら、不思議ね」
198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:21:31.72 Bk581gjE0
ほむら「でも、午後の様子は私にもわからないわ。2年生の授業は午前で終わってしまったから」
杏子(そうだったのか……)
マミ「美樹さんとは何か話したの?」
ほむら「挨拶程度しかしなかったわ」
マミ「そう…」
杏子「……」
マミ「…佐倉さん?」
杏子「…ん?」
マミ「そんな顔しなくていいのよ。悪いのは佐倉さんじゃないもの
学校で元気だったのなら、美樹さんはあなたが思うほど傷ついてはいないはずよ」
杏子「……」
マミ「きっと、集まる時になって不安になってしまったのね
『またみんなの足を引っ張っちゃうんじゃないか』って。美樹さん、いい子だから…」
杏子はリンゴを一切れ口に入れた
マミ「あの子には、私からきちんと話をしておくわ。とにかく、今日の所は3人で行きましょう」
199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:23:46.40 fZYR1yp40
支援
200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:24:28.67 HVPN4Vse0
支援
201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:24:36.06 Bk581gjE0
――――
―翌日。学校の屋上
さやか「……」
マミ「お説教をする為に呼んだんじゃないわ。だからそんなに怖がらないで
私の顔、怒ってるように見える?」
さやか「…ううん」
マミ「…チームの子が嫌なんですって?」
さやか「…! キュゥべえから聞いたの…?」
マミ「ええ」
さやか「……」
マミ「…美樹さん、私のこと嫌い?」
さやか「え?」
マミ「いつも先輩ぶって、かっこつけて、本当は力になってあげられる自信なんてないのに、
『全部私に相談しなさい』なんて言って…
こんな頼りない先輩について行くの、嫌になっちゃった?」
202:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:25:02.16 Bk581gjE0
さやか「う、ううん! マミさんはかっこいいし、優しいし…ちゃんと尊敬もしてるよ…」
マミ「…じゃあ、佐倉さんかしら?」
さやか「…!」
マミ「あの子、昨日美樹さんが来なかったのを見て、結構へこんでたわよ
『この間は言い過ぎちゃった』って、口には出さないけど思ってるみたいで」
さやか「…あのことなら別に気にしてないよ。あたしがお荷物なのは本当だし」
マミ「美樹さん…」
さやか「ねぇ、マミさん…キュゥべえはどこまで喋ったの…?」
マミ「え…?」
さやか「あたしが杏子のこと嫌いだって、みんなの前で言ったの…?」
マミ「そんなこと言ってなかったわよ」
さやか「……」
マミ「…佐倉さん、怖い?」
さやか「…別に」
203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:25:24.80 Bk581gjE0
マミ「うーん…。どうして嫌いなの?」
さやか「……」
マミ「2人には絶対に内緒にしておくから。言うだけ言ってみない?」
さやか(なんで思い出させるのよ…)
顔を隠すさやか
涙がこみ上げる
マミ「美樹さん…?」
さやか「…何でもない…」
マミ「泣かないで…。どうしたの…?」
さやか「何でもないってば…!」
204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:25:44.97 ckxzX1STP
>>194
弁当分けてもらってるシーンあったからべえさんも胃はあるだろう
205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:25:51.61 Bk581gjE0
――――
―同じ頃。病院の前
医者達が恭介の見送りに出ている
恭介「長い間、お世話になりました」
ナース「お大事にね」
医者「大変だと思うけど、頑張ってね。リハビリとバイオリン」
恭介「あはは。ありがとうございます」
両親に連れられて車に向かっていく
父「さあ恭介、家に帰ろう。…退院おめでとう」
恭介「うん…」
遠くに杏子の姿が見えた
花壇の煉瓦に腰掛けてクレープを食べている
恭介「杏子…!」
父「…?」
恭介「ごめん、2人とも…。父さん達は先に帰ってて」
206:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:26:17.26 Bk581gjE0
父「…どうしたんだ?」
恭介「大事な友達が来てる…。少し話してから帰るよ」
父「……。わかった。あまり寄り道するんじゃないぞ
まだ体は万全じゃないんだ。くれぐれも車に気をつけなさい」
恭介「あはは、うん。事故はもう二度と御免だからね」
―恭介が杖に縋りながら杏子に歩み寄った
杏子「……」
恭介「…杏子」
杏子「…何の用さ?」
恭介「! 君こそ…」
杏子「あたしはあんたを見送りに来ただけだ」
恭介「見送りじゃなく出迎えだったら嬉しかったんだけど…」
上条家の車が走り去る
杏子「…あれ、あんたの家族じゃないのか?」
恭介「…そうだよ」
207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:26:34.40 Bk581gjE0
杏子「いいのか? ほっといて」
恭介「母さん達にはいつでも会える…今は杏子のほうが大事だから」
杏子「ふーん…」
恭介「…その…」
杏子「座りなよ。そんな足で立ってないでさ」
恭介「あ、ああ…」
隣に腰掛ける恭介
恭介「…昨日のことなんだけど…」
杏子は遠くを見ながら食べ続けている
恭介「……ありがとう」
杏子「何が?」
恭介「何って…全部さ…」
杏子「…結局できなかったね」
208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:27:03.73 Bk581gjE0
恭介「……」
杏子「あんたはさ。さやかのことどう思ってるんだ?」
恭介「…なんで…?」
杏子「見てわかんないの? あいつ、あんたに惚れてんだよ」
恭介「……」
杏子「あんたはどうなのさ? そこんとこ。あのままほっとくのか?」
恭介「…さやかは、僕にとって家族みたいなもので…ほとんど弟みたいにしか思えなくて…
さやかが僕のことを好きだなんて、どう受け止めればいいのかわからないんだよ…」
杏子は口の周りを舐めた
杏子「…もうあたしにしか興味ないのか?」
恭介「…ああ。杏子のことを思い出すだけで、じっとしていられなくなる…」
杏子(…あたしもキスされた日の夜はそうだった)
杏子がクレープを食べ終えた
杏子「前から聞きたかったことがある」
209:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:27:29.64 Bk581gjE0
恭介「何…?」
杏子「あたしを引き取るって言ったよね。あれは本気?」
恭介「…!」
杏子「…ったく。真面目に考えちまったじゃんかよ」
恭介「杏子…」
杏子「……」
恭介「…ごめん。確かにあの時は冗談のつもりだった…
でも、『本当にできたらいいのに』って、ずっと思ってたよ…」
杏子「…仮の話だけど、一緒に住むとして、あたしと何するんだ?」
恭介「そんなこと聞かれても…。いつもみたいに話したり、音楽をやったり…
何ていうのかな…僕はただ、一緒にいたいだけなんだよね」
杏子「……」
恭介「最近は、病室に戻る度に杏子の匂いがした…
夜に杏子のこと考えてると、いつの間にか眠ってて…
『一緒に寝られたらどんなに幸せだろう』…とか思ったりして…」
杏子は目を泳がした
210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:27:59.99 Bk581gjE0
恭介「…杏子が来てから何度も奇跡的な出来事があったけど…
どんな不思議な奇跡よりも、僕はただ君だけが欲しかった…」
杏子「ふーん…」
恭介「…杏子の気持ちが聞きたい」
杏子「……。あいつを怒らせたくて会ってた訳じゃないんだけどな…」
恭介「……」
杏子「…あんたはあたしがいなくなったらどうする?」
恭介「考えたくもないよ…。もっと杏子のことが知りたい
これからも杏子と関わっていたい。ピアノや歌も聴きたい…」
杏子「……」
恭介「…嫌かな」
杏子「…いいよ。…面倒見てやるよ」
恭介「ありがとう」
杏子が恭介の手を握った
杏子「家まで送ってやる」
211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:28:19.99 Bk581gjE0
―――――
―夜。マミの家
杏子「―あいつはまたサボりか」
マミ「うん…、今日私が説得してみたんだけど、
泣いてばかりで、何が嫌なのかちゃんと話してくれないのよ…」
杏子「……」
コーンスナックを食べ始める杏子
マミ「失礼を承知で聞くけど、この前のこと以外で何か心当たりはない?」
杏子「…!」
マミ「美樹さん、どうしてもあなたと会いたくないって言うの…
私の見てない所で何かあったんじゃない?」
杏子は目を逸らした
杏子「…さあね」
マミ「……」
杏子「…あいつがした契約の願い事にケチつけたからかもしれない」
マミ「どういうこと?」
212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:28:39.10 Bk581gjE0
杏子「…あいつ、知り合いの怪我を治すようにキュゥべえに頼んだんだよ
それであたしは『くだらねーことに奇跡を使いやがって』って馬鹿にしたんだ…」
マミ「そうだったの…。美樹さんには、それが赦せなかったのかもしれないわね」
杏子「…魔法の力なんて、他人の為に使うもんじゃない
そんなことしたって、いつの間にか自分も相手も傷つけて、
最後にはそいつ自身を破滅に追い込んじまうだけだ」
ほむら「……」
杏子(…そうだよ。あいつの手を治そうとなんてしたのがそもそもの間違いだった…
さやかの奴にはっきり『遊び半分でこっちの世界に入って来るな』
って言って、無理矢理にでも締め出しちゃえばよかったんだ…)
ほむらがリボンを握り締めて震えた
QB(―マミ、みんな)
マミ(あら、キュゥべえ。どうしたの?)
QB(さやかを連れて来たよ)
杏子「!」
マミ(…鍵は開いてるわ。通してあげて)
213:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:29:01.73 Bk581gjE0
QB(ああ、了解だ)
キュゥべえを肩に乗せたさやかが入って来た
さやか「……」
杏子「……」
マミ「よく来てくれたわね、美樹さん。そろそろ行こうと思っていた所だけど、
少しゆっくりしてからにする?」
さやか「…そうする。ありがとう」
マミ「今、紅茶を出すから」
マミがテーブルを離れた
さやかは俯き気味に杏子を睨んでいる
杏子「……」
さやか(…何か言うことないの)
杏子(…! …悪かったよ)
さやか(…それだけ?)
214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:29:23.75 Bk581gjE0
杏子(他に何て言ってほしいのさ?)
さやか(…さあ、何だろうね…あたしわかんないや
ただ…、『言ってほしい』とかは、ちょっと違うと思う)
マミがテーブルにティーカップを置いた
マミ「もう…。2人とも仲良くしなさい。話すなら私に聞こえるように話したら?」
杏子「……」
マミ「せっかく来てくれたんだもの。いっそここで仲直りしちゃったらどうかしら
私達は互いに命を預け合う関係なのよ。仲間割れは一番避けなければいけないことよね」
さやか「……」
マミ「美樹さん、何があったかは佐倉さんから聞いたわ」
さやか「…!」
マミ「佐倉さんにも深い事情があるのよ。心無い一言に思えたかもしれないけれど、
あなたの優しさに共感して、その裏返しで厳しい言葉をかけてしまっただけだと思うの」
215:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:29:43.48 Bk581gjE0
さやか「…?」
さやか(あんた、マミさんに何て言ったのよ?)
杏子「……」
さやか(…嘘ついたんだ。…そうだよね。言える訳ないもんね、あんなこと)
杏子は冷や汗をかいた
さやか(いいよ、それで。これはあたしの問題だもん
仮に解決できる人がいるとしたら、それはマミさんじゃない)
杏子(…あたしを殺そうってのか?)
さやか(…別に。そんなことしたってどうにもならないでしょ
たださ…用もないのにあたしに話しかけたりしないで
あたし、あんなもの見せられた後で愛想笑いできるほど我慢強くないから)
216:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:30:19.80 J0kh3K1S0
さやさや……
217:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:31:23.73 Bk581gjE0
――――
―昼。見滝原某所
杏子がモナカアイスを食べながら歩いている
杏子(しょうがねーじゃん…あいつはあたしに惚れちまったんだよ
今更あいつを捨てろっつーのかよ…)
恭介「あ、杏子!」
恭介が遠くで手を振っている
杏子「あ…」
恭介「奇遇だね、こんな所で会うなんて」
杖をついてふらつきながら走って来る
杏子「おい、無理しなくていいっての」
杏子が駆け寄って支えた
恭介「ありがとう」
杏子に抱き付く恭介
杏子「ちょっと…人前であんまりベタつくな…。誰が見てるかわかんねーぞ」
恭介「あぁ、ごめん…つい」
218:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:31:25.38 h1uJp6kGO
書き手はレスの無さで需要ってものを弁えられないものか
219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:32:44.87 Bk581gjE0
杏子「あはは。なんか、あんたって年上の女好きそうだよね」
恭介「え…そうかな」
杏子「そうだよ」
食べかけのアイスを差し出した
杏子「食うかい?」
恭介「うん、頂くよ。ありがとう」
恭介は杖にもたれるようにアイスを食べ始めた
杏子「ここで何してたんだ?」
恭介「リハビリの為に散歩してたんだ。月曜には学校に行きたいんだけど、
まだ親が不安がっててさ。杏子は何をしてたの?」
杏子「ゲーセン行って来た所だ。ここんとこあんたの見舞いばっかり行ってたから
何して暇潰せばいいかわからなくなっちまった」
恭介「そっか…これからは学校があるからますます会えなくなっちゃうね」
杏子「そうだね…。学校は楽しいか?」
恭介「楽しいよ。病院での生活にうんざりしてたから、みんなの顔を見るのが楽しみだ
でも杏子がいないのだけが、ちょっと残念だな…」
220:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:34:18.52 Bk581gjE0
杏子「あはは、あたしの分まで勉強しなよ。あんたにはちゃんとした将来があるんだからさ」
恭介「…うん」
杏子「……。んなことより、暇ならどこか寄ってかない? ジュースぐらいならおごるよ」
恭介「そんな。僕が出すよ」
杏子「いいっての。もらえるもんはもらっときな。あんたはまだ働ける歳でもないんだし」
恭介「…そういえば、杏子って―」
杏子「ん?」
恭介「……。何でもない」
恭介が下を向いた
杏子「どうした?」
恭介「…ううん…今は聞かないでおくよ」
杏子「……」
杏子(…馬鹿みたいに正直な奴だと思ってたけど…
こいつもこいつで気遣ってるのかもしれないな)
杏子「あたしのこと心配か?」
221:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:34:42.32 Bk581gjE0
恭介「え…」
杏子「言いたいことがあるなら言っちゃいなよ。あんたの言葉では傷ついたりしないし、
そう簡単に見捨てたりもしないからさ」
恭介「…わかった。…少し気になってたんだけどさ…。杏子って、どんな仕事してるの…?」
杏子「……。仕事っていう仕事はしてないよ」
恭介「え? じゃあ、どうやって暮らしてるの…?」
杏子「……。親父の遺産さ」
恭介「…杏子の家、お金持ちだったんだね」
杏子「…嘘だと思うかい?」
恭介「…半分ね」
杏子「……!」
恭介「やっぱり、聞くべきじゃなかったかな…」
杏子はため息をついた
杏子「…本当のこと知りたい?」
恭介「…ううん。今はまだ、僕は知らなくていいと思ってる…
ただ…、もし悲しい仕事なら、できれば辞めてほしいな…」
222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:35:01.30 Bk581gjE0
杏子「悲しい仕事って何さ?」
恭介「……」
杏子「葬儀屋とか?」
恭介「いや…そういうことじゃなくて…」
杏子が恭介の背中を叩いた
杏子「一体何を想像してんだよ」
恭介「……」
恭介は鼻を掻きながら小さなため息をついた
恭介「疑ってた訳じゃないけど…。もし、…もし杏子が体を売ってたら、嫌だなって…」
杏子「……」
恭介「……」
杏子「…それ、金になるのか?」
恭介「わからないけど…」
杏子が笑った
223:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:35:22.21 Bk581gjE0
杏子「そんなこと思いつきもしなかったよ。あたしはそっちとは一生無縁だ
いくら積まれようが、死んでも御免だね。誰が好きでもない男なんかと…」
恭介「……」
杏子「あたしは正真正銘潔白さ。だからそこは心配しなくていいよ
キスされたのも抱き締められたのも、家族と女以外ではあんたが初めてだ」
恭介「…そっか……うん。ありがとう…すっきりしたよ」
杏子「ったく、何つーこと考えてやがんだよ」
恭介「ごめん…」
恭介が困ったように笑った
杏子「…ちょっと来な」
恭介を人目の少ない物陰へ引き連れる
杏子「したいと思わない?」
恭介「…何を…?」
杏子がチュっと唇を鳴らした
恭介「…!」
杏子「何戸惑ってんのさ?」
224:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:35:36.04 e4hvBaot0
いやいや恋愛模様以外の所で期待しているので続けてくれ
225:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:35:38.50 Bk581gjE0
恭介「…いや。杏子から言って来るなんて、珍しいから…」
杏子「……」
杏子が恭介の肩を掴んで壁に押し付けた
杏子「一瞬だけな。誰も見てないうちに」
恭介「ああ」
目を閉じてキスした
体を離すと、恭介が杖を捨てて杏子を引き寄せた
杏子「!」
恭介「もう少しだけ…」
目を泳がす杏子
恭介からキスした
杏子(ったく…)
恭介が口をこじ開けるように舌を入れた
226:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:35:58.99 Bk581gjE0
杏子「…!」
恭介「…平熱高い?」
杏子「何年も計ってない…なんで?」
恭介「口の中温かいね」
杏子「へんた―」
言い切る前に恭介がまた唇を塞いだ
杏子「……」
知らない人が目の前を通りかかった
杏子はキスしたまま恭介の頭を叩いた
227:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:36:16.41 Bk581gjE0
――――
―夜。4人組が魔獣と戦っている
杏子が魔獣の放つ魔法の糸を切断していく
さやか(どいて)
杏子「…?」
後ろからさやかが剣を脇に構えて突進して来る
杏子「なっ…!」
さやかは杏子と戦っていた魔獣の集団に斬りかかった
さやか「うあああああああ!!」
先頭の首を切り落とし、大量の剣を召還して乱雑に投げ込む
大半はかすりもしなかった
杏子「おい…」
さやかが落ちた首を踏みつけて何度も突き刺す
死角から放たれた糸がさやかの腕に絡み付いた
228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:36:33.11 Bk581gjE0
さやか「…ふん」
剣を大きく振って断ち切る
杏子(何やってやがる…ほとんど魔力の無駄遣いじゃねーか)
杏子はさやかから目を離さないように別の魔獣を狙った
さやかは自分の仕事を投げ出して杏子の獲物に向かって走った
杏子「…!」
さやか「……」
すれ違う瞬間、冷たい目で杏子を睨んでいるのが見えた
杏子と魔獣の間に割り込んで来る
さやか「だあああああああ!!」
近い敵から剣で殴った
さやか「はぁ、はぁ…!」
魔獣が倒れるまでひたすら殴る
杏子(切れ味が落ちてるぞ…相当疲れてるな)
229:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:36:40.37 QQIRPV2o0
>>218
さやかを落したいだけのSSだ
いやなら閉じろ
230:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:36:51.85 Bk581gjE0
杏子「さやか!」
さやか「……」
杏子「何やってんだよ! あんたはもうすっこんでろ!」
さやか「うるさいわね…」
杏子「…!」
さやかを比較的安全な方向へ蹴り飛ばす
さやか「うわっ!」
杏子「手本を見せてやるからそこで座ってな…。そろそろ覚えろっての」
杏子は糸を紙一重の所でかわしながら魔獣を次々と斬り捨てた
さやか「……」
マミとほむらがさやかの殺し損ねた魔獣を処理している
マミ「さあ、行くわよ! 暁美さん、美樹さんを助けてあげて」
ほむら「ええ」
マミが大砲を召還した
ほむらが背中の翼で低空飛行して、尻もちをついているさやかを抱き上げた
231:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:37:16.28 Bk581gjE0
杏子「……」
杏子が退避する
マミ「ティロ・フィナーレ!」
魔獣の群れが燃え上がった
―やがて燃え尽きて静まり返った
マミ「―みんな、よく頑張ったわ」
ほむらがさやかを降ろして翼を引っ込めた
さやか「はぁ…はぁ…」
杏子とほむらが地面に散らばった浄化素材を集め始めた
マミ「美樹さん。ソウルジェムを見せてみなさい」
さやか「……」
俯きながら少し濁ったソウルジェムを差し出す
マミ「佐倉さんを助けてあげようとしたのね? それはいい心がけだわ
でも、まずは目の前の仕事に集中することから始めなさい」
232:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:37:33.53 Bk581gjE0
さやか「…マミさん。あたしは杏子を助けようとしたんじゃないよ
また嫌味言われるのが嫌だっただけ…
こうやって、あたしがちゃんと魔獣を倒せば誰も文句ないわよね」
マミ「あらそう。見返りをもらうことを正当化する為に、人の手柄を横取りしたって訳ね」
さやか「……!」
マミがさやかの傷を修復した
マミ「焦りは禁物よ。美樹さんはまだそんなこと考えなくていいの
それに、誰もあなたをお荷物だなんて思ってないわ。だって私達、友達じゃない
当分は素直にダイスを受け取っておきなさい」
さやか「……」
杏子が来た
杏子「…よう…こいつはあんたのだ、さやか…」
浄化素材を一掴み差し出す
さやか(…そうやってマミさんの前でいい顔して、あたしだけ悪者にしようっていうの?)
杏子(何ふざけたこと言ってやがる)
杏子「…全部あんたが倒した魔獣のサイコロだ
これだけあればその穢れも完全に浄化できるだろ」
233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:37:48.93 Bk581gjE0
さやか(…余計なことしないで。あんたの手からは何も受け取りたくないから)
杏子「…!」
歯を食いしばる杏子
マミ「もう…またテレパシー? そこで一体何を話してるの?」
さやか「……」
杏子「…あたしらは何も話してないよ。あんたの気のせいだ、マミ」
マミ「…そうなの? 美樹さん」
さやか「…うん。別に何も…」
マミ「……」
さやかは杏子から浄化素材を受け取った
ほむらがさやかの目を見つめている
さやか「…何よ…」
234:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:38:05.67 Bk581gjE0
ほむら「……。戦場に私情を持ち込むべきではないわ。あなたには難しいかもしれないけれど…
現に、あなた1人の無謀な行動が、残る3人の仕事を増やした」
さやか「……」
ほむら「誤解しないで。あなたを落ち込ませたい訳じゃないわ
この程度の出来事で本心から責めるつもりもない。私はただ、あなたを助けたいだけよ
似たような状況が続けば、あなたは近いうちに自分を保てなくなるから」
さやかは涙目になった
マミがさやかのソウルジェムを浄化し始めた
さやか「…もういいよ、マミさん。あたしこのチーム抜けるわ」
マミ「!」
杏子「…!」
ほむら「……」
さやか「そのほうがお互い都合いいよね。足引っ張る子はいなくなるし、
あたしも今みたいにみんなに怒られなくて済むから」
235:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:38:21.29 Bk581gjE0
マミ「誰も怒ってなんかいないわよ」
さやか「無理しなくていいって言ってるでしょ。本当は追い出したくて仕方ないくせに
…っていうか、むしろさ。あたしがここにいたくないんだよね」
杏子「…あんた1人で何ができるってんだ、さやか
もうちっとコツを覚えるまではあたしらの世話になっときな」
さやか(…誰があんたなんかに)
杏子(…テメェ…)
さやか「あ、そうだ、ほむら…。あんたにお礼言ってなかったよね…さっきはありがと」
ほむら「……」
さやか「それじゃ、バイバイ。あとは3人で上手くやって…」
浄化中のソウルジェムを拾って歩き出す
マミ「ちょっと、待ちなさい」
236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:38:37.13 Bk581gjE0
さやか「…『もういい』って言ったわよね…あたしは1人で生きてくから…
戦いにも慣れて来たし。…契約した時点で、初めからそのつもりだったんだ」
マミ「美樹さん」
マミが駆け寄る
さやか「…ついて来ないで」
マミ「……。いつでも戻って来てね?」
さやか「……」
さやかは泣きながら走り去った
マミ「…美樹さん、契約する前はあんなに素直な子だったのに…」
ほむら「…どんな不条理も受け入れる覚悟がなければ、魔法少女は務まらない
美樹さんには、それができなかったのでしょうね。…気の毒な子…」
杏子「……」
237:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:38:58.12 Bk581gjE0
―――――
―数日後。廃れた教会
杏子と恭介が席に腰掛けて手を繋いでいる
杏子(さやかの奴…)
恭介「…立派な教会だね」
杏子「……」
恭介「…杏子の父さんにも会ってみたかったな。きっと立派な人だったんだろうな…」
杏子「…ひたすら正直で、優しい人だったよ。変わり者だったけどね
…正直すぎて、ちょっと馬鹿で、子供みたいな人でさ」
恭介「……」
杏子「あたしの初恋なんだよね。ガキだった頃、親父と結婚したくて、
親父に好きになってもらう為に一生懸命だった」
恭介「…そっか」
杏子は脚を組んでポッキーを食べ始めた
杏子「食うかい?」
恭介は杏子の手をどけてキスした
238:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:39:16.65 Bk581gjE0
杏子「…!」
恭介「……」
杏子が首を振って立ち上がった
パーカーのポケットに手を入れて説教壇に上がる
恭介が後ろからついていく
杏子「…あんたはあたしのことを何だと思ってる?」
恭介「え…?」
杏子「なんでキスばっかりするのさ?」
恭介「…『好きだから』じゃ駄目かな」
杏子「どこが好きな訳?」
恭介「…全部、かな…」
杏子「あたしの全部なんか知らねーだろ」
恭介「……。これから知ること、全部受け入れるよ。…全部好きになる」
杏子「…あんたを傷つけても?」
239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:39:32.37 Bk581gjE0
恭介「そのつもりだよ」
杏子「…ふーん」
杏子が振り返って恭介の頬を引っぱたいた
恭介「…!」
杏子「…これでもか?」
恭介「あのさ…。やっぱり杏子、今日イライラしてる…?」
杏子「……」
恭介「いいよ…僕が捌け口になる」
杏子「…くっ…!」
恭介の胸倉を掴んで壁に強く押し付けた
杏子「…言ったね」
恭介「ああ。やってくれ」
杏子が反対の頬を倍の力で叩いた
唇が切れて血が垂れた
240:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:39:50.33 Bk581gjE0
恭介「うっ…!」
杏子「ナメんなよ…」
恭介が目の色を変えて杏子を見つめた
恭介「……」
杏子の左胸に指を食い込ませる
杏子「…! …触んな!」
恭介の頭を壁に叩きつけ、首を絞めながらキスした
恭介が襟元を掴んで押し返す
杏子「!」
足がもつれ合い、抱き合ったまま階段を転げ落ちた
恭介「いっ…た…」
杏子「いい根性してんじゃん…」
杏子が恭介を床に押さえつけて強引にキスした
241:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:40:11.10 Bk581gjE0
恭介「……」
どちらからともなく指を絡めて手を繋いだ
無理矢理舌を入れる杏子。その気になれば喉に届きそうだった
恭介が杏子のポニーテールを鷲掴みにした
杏子「…!」
恭介の首を絞める
恭介が急に舌を噛み締めた
杏子(痛っ…)
杏子は本格的に気道を絞めつけた
顎に一層力を入れる恭介
杏子「っ…!」
繋いだ手に爪を立てる
恭介「……」
舌の裏から血が滲んだ
242:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:40:28.52 Bk581gjE0
杏子(…噛み切られる…!)
首を絞めていた手で恭介の胸を叩く
恭介がようやく口を開けた
飛び退くように倒れる杏子
肘をついたまま口を押さえた。かなり出血している
恭介「杏子…?」
起き上がって来た恭介の腹に蹴りを入れた
恭介「ぐっ…」
杏子「…殺す気か?」
恭介「…ごめん、つい…。ちょっと興奮しちゃって…」
杏子「……」
杏子は人差し指で手招きすると、口の中に溜まった血を口移しした
杏子「…死ぬかと思ったぞ」
恭介「…舌、長いんだね」
243:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:40:30.60 X9ir6pOe0
>>218
バサラの方行ってこい。今丁度さやかちゃんと恭介がいい感じだぞ
244:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:40:43.85 Bk581gjE0
杏子「…?」
恭介「大丈夫だった…?」
杏子「…これが大丈夫に見えるか?」
恭介「…もっといじめたいんだけど…」
杏子「は…?」
杏子は目を泳がした
恭介「あ…何言ってるんだろ…頭でも打ったかな…」
杏子「……」
恭介「嫌だよね、こんなの…ごめん」
杏子が少し震える手で恭介の肩を掴んで顎を上げた
恭介「え…?」
杏子「…いいよ」
恭介「…君は…」
245:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:41:15.97 Bk581gjE0
杏子「…?」
恭介が唇をつけた
舌先で杏子の傷を抉る
杏子「んっ…!」
痛みで息が漏れた
恭介の舌を噛まないように顎の力を必死で抜いた
口から血がこぼれていく
―説教壇の上にキュゥべえが乗っているのが見えた
杏子は横目に睨みながらキスを続けた
QB(なるほどね…。さやかが怒っていた理由はこれだったのか)
杏子(よう。いきなり何の用だい?)
QB(さやかのソウルジェムの状態が思わしくない
その原因をはっきりさせる為に、みんなの動向を観察していたんだ)
恭介が杏子の上着のファスナーを下げた
杏子「…どこまでする気だ? 変態」
246:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:41:31.33 Bk581gjE0
恭介「…たまには、名前で呼んでほしいな…」
杏子「……変態」
恭介「…どうして呼んでくれないんだ…?」
杏子「んー…。なんか、こっ恥ずかしいんだよ。あんたの名前呼ぶの」
恭介「…そっか」
杏子「悪いね」
恭介「ううん。こうしていられるだけで充分幸せだよ…」
杏子を抱き締める恭介
杏子は血まみれの口で恭介の首に何度かキスした
QB(しかし、どうしたものか…。わかったはいいけど、あいにく上条恭介は1人しかいない)
杏子(…つまり何、『別れろ』っての…?)
247:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:41:52.90 Bk581gjE0
QB(それは違うよ。君が恭介をさやかに譲ったら、そのしわ寄せは杏子に行ってしまう
だけど僕にとっては、さやかより君のほうが重要な収入源だ
だからどの道犠牲が避けられないのなら、君のソウルジェムの安定を優先したいね)
杏子(あたしはさやかみたいに神経細くねーぞ)
QB(なら、今すぐ恭介と別れてさやかに謝りに行くかい?)
杏子(……。それで、こいつの気持ちはどうなる。こいつが好きなのはあたしなんだぞ)
QB(彼には割り切ってもらうしかない)
杏子(…ふん。できるか、そんなこと…)
QB(困ったな…。まぁ仕方ない。今日はこれ以上話し合っても進展はなさそうだ
また別の解決方法を考えつつ、さやかを見守るとしよう
ところで杏子、今僕が見聞きしたことは、マミ達に伝えても構わないかい?)
杏子(…! …勘弁しろ)
QB(わかったよ。このことは秘密にしてあげる
また使用済みのグリーフマテリアルが溜まったら声をかけてね
僕も時々3人の戦いに同行するから、その時でも構わないよ。じゃあね、杏子)
恭介「杏子の血だ…」
恭介は杏子の唇を噛んだ
248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:41:56.92 QQIRPV2o0
まあ書き手もクソだわなぁ
わざわざVIPでやるなよ
249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:43:10.99 Bk581gjE0
―――――
―夜。マミの家
杏子がソファでうつ伏せにウトウトしている
マミ(キュゥべえ。美樹さんの様子はどう?)
QB(相変わらずだ。でも大丈夫。さやかには僕がついてるからね
彼女1人でも危険を極力避けられるように、しつこく助言してあげる)
マミ(ありがとう。早く機嫌を直してくれるといいんだけど…)
マミが何気なく杏子の顔を見た
唇の隙間から血が滲んでいる
マミ「佐倉さん…。口、怪我してるの…?」
杏子「ん?」
杏子が唇に触れた
杏子「チッ…やっぱ完全に治療しないと駄目か…」
ソウルジェムを取り出す杏子
250:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:43:27.71 Bk581gjE0
マミ「口の中を怪我するなんて、一体どうしたの?」
杏子「彼氏にやられたんだよ…。あの変態、急に噛みやがって…何なんだよ」
マミ「……」
ほむら「……」
杏子は舌を治療した
杏子「あいつの相手してたら魔獣と戦う前にボロボロになっちまう
これじゃ命がいくつあっても足りねーよ、ったく…」
マミ「…佐倉さん。もしかして…彼、エスなの?」
杏子「…『エス』?」
マミ「…『サディスト』っていう言葉、知ってるかしら…」
杏子「何だよ、それ…」
マミ「…えっと…ね…」
ほむら「…相手を痛めつけて快楽を得る人のことよ」
251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:43:43.52 Bk581gjE0
杏子「なっ…あいつは、そんなんじゃねーよ…」
ほむら「彼がエスでないとすれば、これは単なる暴力ということ」
(恭介『…もっといじめたいんだけど…』)
杏子(…あいつ、まさか本当に変態だったのか…?)
マミ「そこで気になるんだけど…」
杏子「…?」
マミ「佐倉さんは、エムなのかしら…?」
杏子「……」
ほむら「…『エム』というのは、エスの反対よ。痛めつけられることで快楽を得る人」
杏子「…! …待ちな。そんな奴、この世にいねーだろ」
マミ「……。そう思う?」
252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:44:03.69 Bk581gjE0
杏子「当たり前だっつーの」
ほむら「……」
マミ「きっと佐倉さんは今まさに目覚めの時を迎えようとしているんだわ
気付けば湧き上がる性の快楽に溺れて…」
杏子「また始まったよ…もうこいつ何とかしてくれよ」
ほむらが笑った
マミ「でも私の予想、ここまで結構当たってるじゃない
私が言った通り、例の彼とこうして恋に落ちちゃったんだし」
マミが唇に指を当ててウィンクした
マミ「『恋の預言者』! どうかしら?」
杏子「……」
ほむら「……」
253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:44:39.71 Bk581gjE0
――――
―さやかの部屋
さやかがベッドで膝を抱えている
QB(入っていいかい、さやか)
さやか「……」
QB(魔獣退治に行くのが嫌なのかい?)
さやか(…言われなくてもちゃんと行くわよ)
QB(その前にドアを開けてくれないか。閉まったままじゃ荷物が入らないんだ)
さやか「…『荷物』…?」
ベッドから降りてドアを開ける
QB「やあ」
キュゥべえが薔薇の花をくわえている
さやか「…それ、どうしたの?」
254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:45:00.69 Bk581gjE0
QB「君にあげようと思ってね。所有権が放棄されていたから拝借して来たんだ」
さやか「……」
さやかがキュゥべえを抱き上げてベッドに腰掛けた
QB「薔薇は嫌いかい? さやか」
さやか「…ううん。ありがと…」
QB「トゲを処理してないから気をつけるんだよ」
さやか「…うん…」
キュゥべえはベッドに薔薇を置いて窓の外を見上げた
QB「…雲が晴れた。部屋を暗くしてごらん」
さやか「どうして…?」
QB「今夜は満月だ。一緒に眺めようじゃないか」
さやか「……」
さやかは照明を落として窓辺に立った
255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:45:00.86 XHcDCrX40
べえさんの胃が心配で心配で
256:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:45:17.25 Bk581gjE0
QB「驚くほど明るいだろう? 月の光だけで部屋の中が隅々まで見えるくらいだ」
さやか「…本当だ」
QB「おかげでいつもより瘴気が薄い。魔獣を倒しに行ったとしても、
あちこち駆け回ることになって効率が悪いかもしれない
それなら、今回は部屋にこもって明日の戦いに備えるという選択肢もありだ」
さやか「……」
QB「仮に僕が魔法少女なら、そうするだろうね」
さやか「…いいのかな、こんなことしてて…」
QB「ああ。それでいい。君自身がそう考えることで、明日は普段以上に積極的に戦えるはずだ
さやかは誰かに指図されると本領を発揮できないタイプだからね」
さやか「……」
キュゥべえが月を見つめた
QB「地球には人間の気に入りそうなものが山ほどある
戦う気力がない時は、こうやって彼らの力を借りるといい」
257:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:45:31.99 ms3s8uxH0
こう、一瞬凄く斬新なバトルシーンが始まったのかと思った
258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:45:38.13 Bk581gjE0
さやか「…うん。ありがとう。…あんたのおかげで、一瞬だけ恭介のこと忘れられた…」
QB「ねぇ、さやか。今、キッチンにはココアの粉と牛乳がある。後でこっそり飲みに行こう」
さやか「うん…」
さやかが少しだけ笑った
マミ(―キュゥべえ。聞こえる?)
QB(ああ、聞こえてるよ、マミ)
マミ(美樹さんの様子はどう?)
QB(花をあげたら少し落ち着いた。チームへの復帰は難しいと思うけれど、
ソウルジェムが穢れるペースはこれまでより落ちてくれるだろう)
マミ(よかった…。お手柄よ、キュゥべえ)
QB(これも僕の役目の1つだからね)
259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:46:27.08 Bk581gjE0
――――
―2031年 斜太興業の事務所
恭介「―ところで、例の『赤鬼』の手がかりは見つかったのか…?」
初老の組員が両手を上に向けた
組員「んなもんあったらこっちから教えてますわ」
恭介「そうか……」
組員「東京からはるばる戻って来てくれた人にこんなこと言いたかないですけどねぇ、
あんた騙されてたのと違いますか?」
恭介「……!」
組員「戸籍上、佐倉杏子って女はとっくの昔に死んでる。それもガキん時です
あんたの女は偽名で付き合ってたんですよ
でなきゃ戸籍乗っ取りの出来損ないみたいなもんで―」
恭介「馬鹿を言うな。杏子とは12年も連れ添った。しかも初めに会ったのは中学の時だ
家柄はまあまあだったが、ただの中学生にわざわざ身分を偽って近付く奴がいるものか」
260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:46:44.26 Bk581gjE0
組員「まぁ何にしたって、うちが探してる赤鬼とあんたの元カノは別人でしょうや
口酸っぱくして言ってますけどありゃ怪物ですよ、本当
佐倉が在籍してたっつー『ワルプルギスの夜』についても調べさせてもらいましたけどね、
あれただのド貧乏な小劇団ですよ。ふっつーの女の子の集まりなの。わかります?」
恭介「……」
組員「もう諦めたらどうです? こっちもこっちで赤鬼の話は既に伝説と化してる
これ以上そんな宝探しみてーな仕事に時間割くのマジで馬鹿馬鹿しいんですよ」
恭介は目を逸らした
恭介「…『失くした』とは思えない…。『もう会うことはない』なんて割り切れないんだ…
今はまだ、『ただはぐれてしまっただけだ』と信じていたい…」
組員同士が呆気に取られたように目を合わせる
組員「…まあ上条さん。取引も落ち着いたことですし、久々におやつでもどうです?
ずいぶん譲歩していただいてますからなぁ。上物ですが、特別にお安くしておきますよ」
261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:47:16.44 Bk581gjE0
恭介「…!」
顔を上げる恭介
組員「いやはや、喜んでいただけたようで。あんたの為に取っといてよかった」
恭介「……いや」
組員「…?」
恭介「…ノーだ」
組員「あらま」
恭介「…私を廃人にする気か?」
組員「滅相もない。私はあんたの力になりたいだけですよ」
恭介「……」
組員「すっきりしたいんでしょう?」
恭介が両手で顔を拭いた
恭介「…いや、駄目だ。薬の話はするな…せめて執行猶予が終わるまでは」
組員「大丈夫ですよ、バレやしませんって。うちが保証しますから」
恭介「……。顔を洗って来る…」
262:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:47:26.11 fZYR1yp40
マミさん大人やな
263:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:48:19.66 Bk581gjE0
――――
―2011年 休日の昼。カフェ
杏子と恭介が向かい合わせに手を握り合っている
恭介「―昨日さやかと会ったんだけど、『顔も見たくない』って言われちゃってさ…」
杏子「……」
恭介「…さやかとの関係は、壊したくなかったのに…」
杏子「……。それなら、ちょうどいいって言えばちょうどいいかもね…
これであたしもあんたも、あいつに気を遣わなくて済むんだしさ…」
恭介がアイスティーを一口飲んだ
恭介「…綺麗な指輪だね。よく似合ってる」
杏子「…! こいつには触るな…。なくされると困るんだ」
恭介「…家族のもの…?」
杏子「……まぁそんな所さ」
恭介は唇を噛んだ
杏子「もう、何暗い顔してんの? たまのデートだ。気楽に楽しもうじゃん」
264:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:48:37.69 9PbppUn00
べえさんがイケメンすぎて涙でた
265:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:49:09.75 wdBSO/UK0
文章長い上に話がよくわからないな……
まとめ載ったら見よう
266:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:49:53.72 J0kh3K1S0
かみかみ
267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:51:14.43 h1uJp6kGO
長いけどさやかをひたすら落として恭介とあんあんを
持ち上げたいだけのオナニーだよ
268:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:53:15.09 9PbppUn00
恭介はともかくあんあんは下がる一方ですやん
269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:56:34.67 X9ir6pOe0
支援
270: ◆o1ehmgejyk
11/12/31 22:57:28.80 X/CGX05zO
恭介「ううん…そうじゃないよ」
杏子「…?」
恭介「実は、杏子にお願いがあって…。なかなか言い出せなかったんだけど…」
杏子「…何」
恭介が少し顔を赤くした
恭介「…今度の連休、うちに来ない…?」
杏子「……」
恭介「何だか最近…デートが終わった後、妙に寂しくてさ…。杏子、携帯持ってないし…」
杏子はストローをくわえた
恭介「…2人で夜遅くまで話したり、2人で朝を迎えて、一緒に朝食を取ったり…
そんな1日が、今は僕の夢でさ…」
杏子「…ふーん」
恭介「…親に旅行に誘われてるんだけど、杏子が来てくれるようなら断ろうかなって思っ
てて…」
杏子「…あたし、夜って忙しいんだよね」
恭介「そうなの…?」
271:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:59:17.64 J0kh3K1S0
かみかみ
272:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 22:59:42.87 2dYoeVS70
俺は支援する
273:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:00:11.88 X/CGX05zO
杏子「うん…ちょっと知り合いと会わないといけなくてね」
恭介「…どんな人?」
杏子「んー、何つーのかな…。あ、そういえばあいつら、あんたの学校の奴らだよ」
恭介「え…誰?」
杏子「巴マミと暁美ほむらだ。知ってるかい?」
恭介「あぁ、暁美さんは確か…さやかのクラスに新しく入って来た子だ。巴さんは知らないけど…」
杏子「あいつは3年だったかな。うん、今年で15だからそうだ」
(マミ『…彼、エスなの?』)
杏子(そういえばマミが言ってたな…。こいつって冗談抜きで変態なのかな…)
恭介「そっか……」
杏子が恭介の手を握り直した
杏子「…1日ぐらい時間作ってやってもいいよ」
恭介「本当?」
杏子「その前に、あんたに確かめたいことがある…」
274:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:02:01.48 X/CGX05zO
恭介「何?」
杏子「…あたしを痛めつけるのって、楽しいか…?」
恭介「え…。あ、あの時はごめん…何だか、殴られてるうちにスイッチ入っちゃったみたいで…
楽しんでた訳じゃないんだけど…体が勝手に動いたっていうか…」
杏子「……」
恭介「…今でも思い出すんだよね。何だったんだろうって…
どういう訳か、杏子の痛がってる姿が無性に愛しく思えてさ…」
杏子「…!」
恭介「あはは…。杏子の言う通り、『変態』だよね…僕。自分でも少し怖いよ…」
杏子「…そういえば、あの時さりげなくあたしの胸触ったよね」
恭介「…!」
杏子「しかもその後、服脱がそうとしなかったか?」
恭介が目を逸らす
275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:04:40.23 J0kh3K1S0
かみかみ
276:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:04:40.65 X/CGX05zO
杏子「…ぶっちゃけさ…」
恭介「…?」
杏子がストローで氷をくるくる掻き回した
杏子「…抱きたいの?」
恭介「……」
杏子「……」
恭介は鼻を掻いた
恭介「…興味はある」
杏子「…もし子供が出来ちゃったらどうする?」
恭介「…それはまずいね…」
杏子が笑った
277:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:05:21.20 X/CGX05zO
杏子「わかってんじゃん」
恭介「あはは、これはさすがにね…」
杏子「ま、そこんとこわきまえてるならいいよ。一緒に寝てやる」
恭介「ありがとう」
杏子「血迷って無理矢理犯そうとしても駄目だぞ。腕力はあたしのほうが上だ」
恭介「なっ…! そんなことしないって…」
杏子「変態」
恭介「うう…」
杏子はチュっと唇を鳴らした
278:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:08:55.77 X/CGX05zO
――――
―ある日の放課後
恭介が学校を出ていく
仁美「あら、上条君」
恭介「あ、志筑さん」
仁美「遅かったですわね。これからお帰りですの?」
恭介「うん。ちょっと友達とダラダラしてて。志筑さんは?」
仁美「用を済ましていた所ですわ。よかったら、途中まで一緒に帰りませんか?」
恭介「ああ、いいよ。そういえば、志筑さんとこうして話すのは久しぶりだね」
仁美「ええ。退院なさってしばらくは忙しそうでしたので、声をおかけするのは控えてましたの」
恭介「あはは、そんなに気を遣わなくてもいいのに」
仁美が笑った
279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:10:07.37 J0kh3K1S0
ひとひと
280:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:10:48.66 X/CGX05zO
―帰り道
仁美「―さやかさん、心配ですわね…。暇を見つけてお見舞いに行くべきでしょうか…」
恭介「…さやかか…」
仁美「…どうかしましたの?」
恭介「…ううん。何でもないよ」
仁美「……」
恭介「…あ、ところでさ…志筑さんって帰る方角はこっちなんだっけ?
今まで帰り道に見かけたことってないような…」
仁美「…ええ。本当は全然逆方向ですわ」
恭介「え…じゃあ、今日はどうして…?」
仁美「上条君に…お話ししたいことがありますの」
恭介「話…?」
仁美「大切なお話ですわ。…実を言うと、学校に残っていたのはこの為ですの
ほんの少しだけ、お時間をいただきたいんですけど…」
恭介「え…っと、僕なんかが聞いちゃっていいことなのかな…」
仁美「これは上条君にしかお話しできないことですわ。どこか近くで腰を下ろしませんか?」
281:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:10:55.96 VZqtPcda0
みみみ
282:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:11:57.45 oNXm055Y0
ハッピーエンドになればいいなぁ……
283:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:14:52.14 J0kh3K1S0
ひと
284:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:15:08.49 X/CGX05zO
恭介「…うん。わかった」
2人が道を逸れて歩いていく
―遠くを杏子が横切った
ポッキーをくわえながら両手をポケットに入れている
恭介「あ、杏子だ」
仁美「え?」
恭介「ちょっと、待ってて…すぐに戻るから」
仁美「ええ…」
足早に近付いていく恭介
恭介「杏子」
杏子「ん? ああ、あんたか」
仁美「……」
恭介「どこへ行くんだい?」
杏子「マミん家さ。あんたは何してんの? こんな何もない所で寄り道かい?」
285:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:15:44.38 X/CGX05zO
恭介「ううん、ちょっと…友達がね」
杏子が仁美に気付いた
杏子「…あの子か?」
恭介「うん…何か大事な話があるらしくて…」
仁美は鞄を両手で引っ提げて立ち尽くしている
杏子「ふーん…」
杏子はポッキーをかじった
恭介「僕が役に立てることなんてあるかどうかわからないけど…
…それじゃあ、あんまり待たせると悪いから、僕はもう行かないと」
仁美の顔を見つめる杏子
杏子「……」
仁美「……」
ポッキーの箱を取り出す
杏子「2人で食いな」
286:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:17:13.05 J0kh3K1S0
あんあん!
287:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:17:57.45 X/CGX05zO
恭介「あ…、ありがとう」
杏子は背中越しに手を振りながら去っていった
恭介が仁美の元へ戻った
恭介「…ごめんごめん、待たせちゃったね」
お菓子の箱を差し出す恭介
恭介「これ、さっきの子がくれたんだ。『2人で食べてくれ』ってさ」
仁美「……」
仁美は少し俯いている
恭介「あぁ…お菓子なんか食べてる場合じゃなかったかな…ごめん。真面目に聞くよ」
仁美「…お友達ですか?」
恭介「うーん…杏子は、入院中によくお見舞いに来てくれてた子で…」
恭介は鼻を掻いた
恭介「…今は、大切な人なんだ」
288:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:18:20.57 X/CGX05zO
仁美「…そうでしたの…」
恭介「あ、杏子のことなら気にしないで。僕が女の子と会ってたからって怒らないと思うから」
仁美「……」
恭介「…どうしたの?」
仁美「…素敵な方ですわね」
恭介「あはは…何だかこっちが照れちゃうな。…うん。いい所を挙げたらキリがない人でさ」
仁美「……」
恭介「学校のみんなには内緒だよ? 冷やかされたら手に負えないから」
仁美が寂しそうに笑った
仁美「…お幸せになってくださいね」
恭介「ありがとう」
恭介は笑いながら頭を掻いた
289:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:20:03.35 J0kh3K1S0
ひとひと……
290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:20:48.88 9PbppUn00
仁美…
291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:21:00.67 X/CGX05zO
―――――
―マミの家
杏子がテーブルをピアノに見立てて指で叩いている
マミ「―そういえば暁美さん、最近少し、来るのが早くなったわね」
ほむら「ええ」
マミ「何か理由でもあるの?」
ほむら「あなた達の漫才が見たいのよ」
杏子が手を止めた
杏子「こっちは付き合い切れねーっつーの」
マミ「あら、その言い草はないんじゃない? 私はあなたと彼の恋を応援したいだけなのに」
杏子「どう見てもふざけてるだけじゃねーかよ」
マミ「そんなことないわよ」
マミは目を閉じて紅茶を飲んだ
292:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:21:29.99 VZqtPcda0
鈍い男とかハーレムアニメの主人公だけで十分だ
293:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:22:10.22 X/CGX05zO
杏子「あ、そうだ…。ちょいとそのことで相談があるんだが」
マミ「ええ、何でも言って」
杏子「今度の連休、1日だけ休んでいいか?」
マミ「彼氏とデートかしら?」
杏子「うん…」
マミ「暁美さんはどう思う?」
ほむら「私は構わないけれど」
マミ「そう」
マミが笑った
マミ「何だか、いつの間にかみんなで戦うのが当たり前になっちゃったよね
本来なら、たった1人でやらなければいけないことなのに…」
ほむら「…そうね」
294:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:23:18.89 2dYoeVS70
あんあん可愛すぎる食べちゃいたい私女だけどあんあんに食うかい?って言われて食べちゃいたいよ食うかい?ってなに?誘ってるの?いいよギシギシアンアンしようね年越しはあんあんとえっちだよやったねざまぁキモオタさんあんあんお待たせ大好きだよれろれろちゅっちゅっ
295:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:28:41.12 h1uJp6kGO
>>292 書き手はその「鈍いやれやれ系主人公」()に自己投影()して書いてるんだと思うよ
し
296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:30:19.61 oDwHSHCRO
うーん…
物書きとして許せないんだが
何この幼稚な文章
297:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:34:16.00 X/CGX05zO
杏子「……」
マミ「とにかく、楽しんでいらっしゃい。素敵な土産話、期待してるわよ」
杏子「ったく…」
杏子がミルクティーを飲み干した
(恭介『…興味はある』)
杏子(…あいつ、どうするつもりなんだろう…)
マミ「お代わり、要る?」
杏子「ん…? ああ、もらっとくよ…」
マミ「……」
マミが杏子の目を見つめた
杏子「…? 何だよ…」
マミ「…佐倉さん、ひょっとして…」
298:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:36:22.13 VZqtPcda0
ばいばい猿さん
299:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:36:49.05 SA6ApR3Z0
考えてみれば魔女の元なんだから魔法少女じゃなくて魔少女と呼ぶべきだ
300:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:38:57.31 vMsjOImf0
あるいは魔女子
301:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:44:47.38 X/CGX05zO
杏子「ああ…?」
マミ「今度のデート…夜中に時間を作るっていうことは、お泊まりかしら…?」
杏子(…もしかして、同じこと考えてんのか…?)
杏子「…なぁ、マミ…」
マミ「な、何?」
杏子「…言いにくいんだけどね」
マミ「ええ…」
杏子は目を泳がした
杏子「…セックスのやり方、知ってる…?」
ほむらがティーカップを落とした
302:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:47:33.08 9PbppUn00
酉でぐぐったらあのSSがでてきた
303:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:48:03.44 J0kh3K1S0
ほむほむ
304:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:50:41.61 STEEneWd0
考えてみれば年齢的に思春期だよな
アニメだとそういう性への関心とかのシーン見られないから、二次創作でも興味深い
305:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:52:34.31 VZqtPcda0
ほむほむ!ほむほむ!
306:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/31 23:57:53.05 J0kh3K1S0
ほむー
307:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/01/01 00:04:52.92 Z2pNx0Ye0
復活あんあん!
308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/01/01 00:14:48.46 4olHSkrn0
復活あんあん!
309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/01/01 00:15:02.19 2eidhiAbO
あ
310:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/01/01 00:19:37.74 4olHSkrn0
あんあん?
311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/01/01 00:24:59.90 4olHSkrn0
あんあん……
312:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/01/01 00:26:26.07 pat670gI0
SS速報に移ったの?
313:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/01/01 00:29:20.31 purTgrx30
新年おめでとう支援
314:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/01/01 00:29:26.85 4olHSkrn0
URLリンク(ex14.vip2ch.com)
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12/01/01 00:29:40.08 KvjvIGSq0
あっちに移動したみたい
316:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/01/01 00:40:19.93 4olHSkrn0
……
317: 【吉】 【1668円】 忍法帖【Lv=21,xxxPT】 【Dnews4vip1321770851184033】
12/01/01 00:49:18.35 p66/ghUu0
なんだよそれ
318:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
12/01/01 00:50:51.24 purTgrx30
>>314
移ったっぽいな