11/12/23 18:33:31.47 JJkicwmgO
上条「片手ではバイオリンは弾けない…僕はもう二度と演奏できないんだよ…!」
さやか「…恭介」
上条「だから…こんなバイオリンなんか…!」
大型トラックが目の前を通った
さやか「あげるよ」
上条「……え?」
さやか「あたしの手。…あたしなんかには必要ないから」
――――
―恭介の部屋
上条「うわあああああっ!」
恭介がベッドから転げ落ちた
上条「はぁ、はぁ、はぁ……!」
両手が自由に動くことを何度も確認する
上条(…僕は…)
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 18:35:20.29 t9eYiymg0
酉キメェ
4: ◆o1ehmgejyk
11/12/23 18:35:26.26 JJkicwmgO
――――
―さやかの病室
さやか「ん…」
さやかが目を覚ました
杏子「―よう。やっと気が付いたか」
杏子がベッドに腰掛けてポテトチップスを食べている
さやか「…誰?」
杏子「あたしは佐倉杏子。あんたが車にはねられた時、救急車を呼んだ者だ」
さやか「……」
杏子「…しっかしよく生きてたねぇ。あんたはよっぽど運がいいんだろうね」
さやか「…恭介は?」
杏子「彼氏かい?」
さやか「……」
杏子「そりゃあもう毎日来てるよ。…今は落ち着いたけど、最初はそれこそ―」
さやか「彼氏じゃない…」
5: ◆o1ehmgejyk
11/12/23 18:37:55.84 JJkicwmgO
杏子「ん? じゃあ何だ。友達か?」
さやか「……」
杏子「…おーい?」
さやか「……」
杏子「…頭、大丈夫か…?」
さやか「…あたし、頭打った?」
杏子「さあね。顔をちょっと擦り剥いてるけど、中身のほうはどうだか
あたしは医者じゃないからさ。…それより…」
杏子がさやかの右腕に顎をしゃくった
杏子「…気の毒にな。そっちはもう、諦めてもらうしかない」
さやかの腕は肘の辺りから切断されているようだった
さやか「……」
杏子「…あの時のこと覚えてる?」
さやか「…あたし、どれぐらい寝てた?」
杏子「ちょうど1週間だ」
さやか「……」
6: ◆o1ehmgejyk
11/12/23 18:39:46.40 JJkicwmgO
杏子「…具合はどうなのさ?」
さやか「…恭介に会いたい…」
杏子がため息をついた
杏子「まだ受け答えもできねーのか。ちょっと待ってな。今医者呼んで来てやるよ」
さやか「…いい」
杏子「…?」
さやか「恭介に会いたい……」
杏子「……」
さやか「恭介…」
杏子「…心配すんな。あの男ならきっともうすぐ来る。少なくとも昨日まではそうだった」
さやか「……」
7: ◆o1ehmgejyk
11/12/23 18:40:47.63 JJkicwmgO
病室の扉が開いた
上条「……」
杏子「ほらね」
さやか「恭介…」
上条「! さやか…!」
恭介が近寄った
上条「目が覚めたんだ……」
さやか「恭介……」
杏子「……」
上条「さやか…。僕は君に何て謝ればいいのか…」
さやか「……」
杏子が立ち上がる
杏子「仕事に戻るよ。何かあったら携帯に連絡よこしな」
上条「…どうもありがとう」
8: ◆o1ehmgejyk
11/12/23 18:42:25.94 JJkicwmgO
病室は2人きり
上条「さやか…本当にごめん…。僕のせいで…」
さやか「…恭介のせい?」
上条「…ああ。あの時さやかは僕を庇って…」
恭介が強く目を閉じた
上条「…トラックに腕を踏まれた……」
さやか「……」
上条「ごめん…さやか…」
さやか「恭介は…?」
上条「…? 僕はもちろん無事だよ…さやかに助けられたから…」
さやか「……」
上条「さやか……?」
さやか「…はっきり覚えてないや…」
上条「…まさか、記憶が…!?」
さやか「…わかんない」
9: ◆o1ehmgejyk
11/12/23 18:43:14.02 JJkicwmgO
上条「僕のことわかる…?」
さやか「うん…」
上条「何か覚えてる…?」
さやか「…さっきの人」
上条「…?」
さやか「…夢の中で会ったような気がする」
上条「……。どんな夢を見てたんだい?」
さやかが少し涙を浮かべた
さやか「…最悪な夢。あんまり思い出したくない…」
上条「そっか…」
恭介がベッドの上に手を重ねて顔をうずめた
薬指に指輪をはめている
上条「…もし僕にできることがあったら、何でも言ってくれ…」
さやか「……」
さやかは恭介の指輪を外そうとした
10: ◆o1ehmgejyk
11/12/23 18:45:16.64 JJkicwmgO
上条「!」
咄嗟に手を庇う恭介
上条「…さやか…」
さやか「…それ…欲しいんだけど」
上条「……。それはできない…」
さやか「どうして…?」
上条「いや……」
さやか「……」
上条「…さやかは、お嫁さんになりたいのかい…?」
さやか「……。ちょっと待って…頭ぼーっとしてる…」
上条「…先生、呼ぼうか」
さやか「! やだ…」
さやかが恭介の手首を掴んだ
11: ◆o1ehmgejyk
11/12/23 18:46:07.86 JJkicwmgO
上条「え?」
さやか「行かないで…」
上条「大丈夫、僕はここにいるよ…ナースコールを押すだけだから」
さやか「……」
上条「心配ないよ…」
さやか「…いつまでいてくれるの?」
恭介が腕時計を見た
上条「8時には帰らないといけない…」
さやかは目を逸らした
さやか「……」
上条「…まだちゃんと喋れないか…? さやか…」
さやか「…水飲みたい」
12: ◆o1ehmgejyk
11/12/23 18:47:50.10 JJkicwmgO
――――
―リハビリ室
さやかが機械の義手でゴムボールを投げている
さやか「……」
白衣の女医が入って来た
ほむら「あまり散らかさないでちょうだい。次に使う患者が迷惑するわ」
さやか「…迷惑に思ってるのはあんたでしょ」
ほむら「ええ。そうよ」
さやか「……」
ほむら「調子はどう?」
さやかはボールを壁にぶつけた
さやか「……」
跳ね返って女医の足元に転がる
さやか「…これ、何なのよ」
ほむら「…? それはあなたの右手。慎重に見比べれば本物でないことはわかってしまうけれど」
13: ◆o1ehmgejyk
11/12/23 18:48:46.69 JJkicwmgO
さやか「時々すごく痛いんだけど」
ほむら「ボルトの噛み合わせが悪いようなら技師に言って」
さやか「そんなもんじゃないわよ…」
ほむら「……」
さやか「何もしてないのに、いきなり全身に痛みが来るんだ…それこそ体中が焼け付くみたいに
…あたしの体に何したのよ…あんたなんでしょ」
ほむら「どうして私を疑うの?」
さやかが浅くため息をついた
さやか「…さあ、どうしてかな」
ほむら「……。そんなに痛いなら、痛み止めを出してあげるわ。水なしで飲めるのを」
さやか「…要らない」
ほむら「そう」
女医がボールをいくつか拾って籠に入れた
ほむら「無理やり薬を飲ませることはできないわ。自分の体をどう管理するかは、あなたの自由
…でも、その結果、何が起こったとしても誰かを恨んだりしないことね」
14: ◆o1ehmgejyk
11/12/23 18:51:01.95 JJkicwmgO
――――
―マミの喫茶店
マミ「いらっしゃい」
マミが1人、本を読みながら紅茶を飲んでいる
さやか「……久しぶり」
マミ「…! 美樹さん!」
本を閉じて立ち上がった
マミ「電話の1本も入れないで、どこに行っていたの…?」
さやか「…あたし…」
マミ「いいわ、座って。今日はお客さんでいいから」
さやか「……」
さやかは円テーブルの席に腰掛けた
マミが手際よくミルクココアを用意してテーブルに置いた
マミ「はい。美樹さんのお気に入り」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 18:51:29.35 3vnClDq/0
さやさや
16: ◆o1ehmgejyk
11/12/23 18:51:56.81 JJkicwmgO
さやか「……」
うつむいて唇を噛むさやか
マミ「ほら、飲んで。いつも頑張ってくれてたから、お代も結構よ
…本当は怒りたいところだけど、せっかく勇気を出して来てくれたんだもの」
さやか「マミさん…」
マミが向かいに腰掛けて手を組んだ
さやか「…ごめん」
マミ「…本当にね。アルバイトも立派なお仕事なんだから、黙って休んじゃ駄目だよ」
さやか「……」
マミ「何かあったの?」
さやか「…うん」
マミの表情が少し真剣になった
マミ「話してみない? 他のお客さんが来ちゃったら行かなきゃいけないけど」
さやか「……。あのさ、マミさん…」
マミ「ええ」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 18:58:44.96 3vnClDq/0
さやさや
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 19:04:45.92 3vnClDq/0
まみまみ
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 19:09:31.32 4vKNufcV0
マミマミ
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 19:12:18.43 3vnClDq/0
さやまみ
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 19:16:33.00 3vnClDq/0
まみさや
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 19:23:59.88 3vnClDq/0
さやさや?
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 19:31:36.18 3vnClDq/0
まみまみ?
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 19:37:52.19 3vnClDq/0
ティロティロ
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 19:46:10.79 3vnClDq/0
ティロティロ
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 19:50:26.27 3vnClDq/0
まみまみ
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 20:05:51.75 t9eYiymg0
マミさん待ちすぎてモジモジし始めてるぞ
はやく書け
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 20:08:33.25 3vnClDq/0
さやさや
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 20:13:53.88 3vnClDq/0
さやさや~
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 20:14:38.32 bOHqqGLO0
とりあえず酉消してくれよ
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 20:19:42.23 3vnClDq/0
さやさや
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 20:26:29.60 3vnClDq/0
さや
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 20:31:27.26 3vnClDq/0
まみ
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 20:37:07.45 3vnClDq/0
ほむ
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 20:43:40.76 3vnClDq/0
まど
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 20:50:22.64 F+vVsi8E0
さや
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 20:56:05.63 3vnClDq/0
キュゥ
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 21:00:25.52 3vnClDq/0
ほむ
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 21:09:02.17 xDu24BbE0
じゅんじゅん
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 21:09:02.95 3vnClDq/0
ほーむ
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 21:14:03.60 JJkicwmgO
さやか「…あたし、もうここで働けなくなっちゃった…」
マミ「…どういうことかしら?」
さやかが目を閉じて泣き出した
さやか「…ごめん…」
マミ「……」
さやか「あたし……」
マミ「大丈夫よ。相談にはちゃんと乗るわ。お給料の問題かしら?」
さやかは首を振った
マミ「どうしたのよ」
さやか「…これ」
右手を見せるさやか
マミ「…どれ?」
さやか「…手…」
マミ「うん」
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
11/12/23 21:15:03.74 JJkicwmgO
さやか「……なくなっちゃった」
マミ「…え?」
さやかは義手の指を折り曲げて見せた
小さなモーター音が鳴る
マミ「!!」
さやか「機械なんだ…」
マミ「……!」
マミが目を丸くしたままさやかの手を見つめた
さやか「もう自由になんて動かせない…だってこれ、あたしの体じゃないんだもん…!」
マミ「…嘘…」
震えながら義手を握るマミ
薄いシリコンの下から冷たい金属の感触が伝わる
マミ「そんな……」
さやか「もうやだよ……!」