12/03/20 20:39:02.13 72HyluLJ
初音ミク 「捨てられた39号 その2」
出荷の時間である。
それぞれのミクが、車に乗せられ、各家庭のもとに運ばれる。
初音ミクが運ばれてきた、各家庭の人々は皆、驚きと喜びの声をあげた。
39号もある家のもとに運ばれた。豪邸である
運送員が、その家のイヤホンをならす。
「はーい、どなた?」
品の良い、いかにも良家の育ちと思わせる、中年の女性が家から出てきた。
運送員が答える、「どうも○○急便です、ご注文された、初音ミクです」
その女性は驚いた。「まあ、これが噂の初音ミクねえ。リョウ君も喜ぶわあ」
39号は頭を下げ挨拶をした。「どうもはじめまして、初音ミクです。これからあなた方の家でお世話になります」
リョウの母親と思われる女性は、家の方に向かって呼んだ「ねえリョウ君!あなたが欲しがっていた、初音ミクが来たわよ」
すると家から、リョウと思われる少年が出てきた。
「あ、来たの?初音ミク」
母親の反応とは対照的に、なぜか冷めた反応だった
それでも気にせずに39号は、頭を下げ、挨拶をした
「初めまして、初音ミクです。あなたが私のご主人様ですね。これからよろしくお願いいたします」
「うん、ああよろしく。まあとにかく部屋に入ってよ」
少年は相変わらず、無愛想な反応だった。
それとは、対照的に好意的な態度で母親は言った
「ミクさん、これからよろしくねえ。リョウ君、勉強もすごくがんばってくれてすごく良い子なの。でもたまにそのせいでストレスが溜まるみたいなの。
だからストレスを解消してあげるために、お相手してあげてねえ」
「はい、まかせてください」
68:創る名無しに見る名無し
12/03/20 20:41:44.71 72HyluLJ
初音 ミク 「捨てられた39号 その3」
ミクはリョウの部屋に入った。
「えーっと君が初音ミクだっけ。驚いたなあ、本当に来るなんて」
リョウは戸惑ったように言った
「はい、初音ミクです。これからあなたのためにずっとお相手をさせていただきます」
ミクは誇らしげに言った
「うーん、なんというか、もうその必要はないんだよなあ」
リョウは、ためらったような表情で言った。
ミクは突然のことに驚いた
「いやあさあ、最近オレ彼女ができたんだよね。でやっぱり、オレ生の人間の方がいいなあと思えてきたんだ。
それに、君と一緒にいると、彼女から浮気しているとかなんとか言われかねないわけよ」
「と、いうわけで、来て初日早々から悪いけど、君はいらないわけ」
ミクは突然のことに、ただただ動揺するだけだった
「そ、そんな!」
リョウは部屋をドアをあけて大きな声で母親に向かって言った
「ねえ母さん、この初音ミクいらないんだ。いままで恥ずかしくて黙っていたけど、オレ彼女できたんだ」
母親は答えた
「まあ、そうなの?それは知らなかったわ。それなら人形なんかよりも生身の人間相手の方が、精神衛生上いいわよねえ」
「どうしようかな、これ。粗大ゴミに出せばいいのかな?」
「そうねえ、業者さんに頼めば、バラバラにしてリサイクルしてくれると思うわ」
バラバラにして、リサイクルされる?!
私が?
「そんなの嫌あ!」
ミクは部屋を飛び出した
リョウは大きな声で言った
「お、おいどこに行くんだよ。人形は人形らしく、大人しく処分されろよ」
ミクはその声を振り切って、逃げるように家を出ていった。
しばらく街中を歩いていた。
やがて雨が降ってきた。
傘を持たないミクはびしょ濡れだ
「寒いよ・・・」
ミクは呟いた
「何でこんなことに・・・39号である私が、特別な存在である私が・・・」
悲しさと寂しさと、そして怒りにも似た感情が湧き上がってきた。
「今頃他のミク達は、暖かい家でぬくぬくと暮らしているのだろう。クッ・・・」
拳を強く握りこんだ。
だがやがてそんな感情も、薄れていった
頭がぼーっとしてきたのだ。
思わず近くのゴミ捨て場でしゃがみこんだ
「これで私は終わりなの?この私が?」
69:創る名無しに見る名無し
12/03/20 21:54:16.37 J6OcUquL
キャラスレで見かけて来てみた
>>1-64
短いのができたらまた投下してくれし
>>65-68
キャラスレで冒頭だけじゃ生殺しって発言があったけど
展開が速いので先が読めず、続きが気になるのは相変わらずだw
70:66
12/03/20 22:46:45.61 72HyluLJ
どうも今日も読んでいただけてうれしいです
ご期待に添えられるようにがんばります^^
71:創る名無しに見る名無し
12/03/20 23:20:00.16 Os3vWpJg
>>66
これは・・・っ!
続きに期待です、面白そう
心理描写も、突き放すくらい簡潔なのによく伝わってるし、それがかえっていい演出になってる
72:66
12/03/21 19:56:43.96 qSkeLDMa
初音 ミク 「捨てられた39号 その4」
すると、通りかかった一人の男がじっとミクのことを見つめていた
彼は、ホコリと油に汚れた作業着を着ていた。
彼ははそっと、ミクに対して手を差し出した。その手はホコリと油で汚れていた。
「い、いやあ!汚い手で私に触れないで!」
ミクは反射的に大きな声で言って、彼の手から体を避けた
「ひ、ひどいなあ・・・。たしかに汚い手だけど、これでも一生懸命、石鹸で洗ったんだぜ。
でもどうしても、工場の汚れっていうのは完全に落ちなくてね」
彼は困り顔で言った。
「あなた工場で働いているの?学歴は?」
ミクは、相手をまるで商品の値打ちを鑑定するかのような目で、まじまじと相手を見た。
「高卒だよ。高校を卒業した後、ここの近くの小さな町工場で工員として働いている。
そんなことより、自分のことを心配した方がいいんじゃないのか?ずぶ濡れだぜ」
彼は心配そうな顔で、ミクを眺めた。
(高卒で、零細企業勤務か・・・正直私のレベルとは釣り合わない。しかし、他に行くあてもないし、仕方がない)
「ねえ、しばらく私をあなたの家に泊めてよ、他に行くところがないのよ」
ミクは高慢な態度で言った。
「ええ!女の子を?そりゃあ俺は今一人暮らしだけど、それでも女の子を急に泊めるってまずくないか?
しかもそんなことを女の子の方から言うなんて」
彼は少し照れているようだった
「私はただの女の子じゃないの?ボーカロイドよ。初音ミクよ」
「ボーカロイド?ああ、あの最近話題になっている。君がそうなのか」
「そうよ、とにかく部屋に案内して頂戴」
「わ、わかったよ。ちなみに僕の名前はジュンって言うんだ」
彼の部屋の中に入ったミクは、部屋中を見渡した
(広くはないけど、意外ときれいね・・・)
「あっピアノ。あなた音楽を演奏するの?」
「ああ、それね。うんたまにピアノを弾くよ。ピアノを弾いていると、なんというか心が清浄化される、そんな気がするんだよね」
「私はボーカロイド。歌を歌うことが大好きなの。じゃあたまに私のために弾いてくれる?」
「ああ、そうだったね。いいよ、自分の演奏で歌ってくれる人がある僕も弾きがいがあるな。いいよ」
(部屋はきれいだし、それに私の大好きな楽器もある。しばらくはここを拠点に、また新しいご主人様をみつけるか)
ミクは心の中で、そんな算段をしていた。
73:66
12/03/22 20:15:06.47 YecL+D7i
初音 ミク 「捨てられた39号 その5」
そうして彼との共同生活は始まった。
ジュンが工場に仕事に行っている間は、ミクは掃除や洗濯をする
彼が帰ってくるまでに夕食の準備をする
その程度の作業はできるように設計されているのだ。
彼が帰ってきた。一緒に食事をする
食事をしているときに会話をする。
話の中心は音楽の事についてだ。
彼が音楽が大好きだったこと。
小中高とピアノを実家で習っていたこと
今は工場で働いて、趣味としてピアノを弾いていること。
ミクは彼に対して興味を抱くようになった。
「ねえ、じゃあごはんを食べ終わったら、早速ピアノを弾いて。私歌いたい」
「よし、弾いてあげるよ」
彼が、ささっと食事を終え、食器を片づけ、演奏の準備にかかる。
ミクは少し緊張した面持ちで歌う姿勢をとる。
「よし、じゃあこの曲を知っているかな」
彼が演奏を始める
ミクはその曲はもちろん知っていた。
この世に存在するほとんどの曲の情報はインプットされているのだ。
ミクは曲に合わせて歌い始める。
調子がいい
すらすらと声が出てくる
彼の演奏と波長がぴったりだ
演奏が終わる
「すっごーい。お互いの波長がぴったりだね」
ミクは興奮した表情で言う
「ああ、そうみたいだね」
彼も満足気な表情で言う。
「ねえ、もっともっと歌いましょう」
「いいよ」
そうして夜中までお互い音楽を楽しんだ。
彼が工場に行っている間は、ミクは家事をして
彼が帰ってきたら、一緒に音楽を楽しむ
そんな生活を繰り返した
やがてミクはそんな生活に徐々に幸せを見出していった。
74:創る名無しに見る名無し
12/03/22 21:40:53.39 CHQ8J1W2
>>72-73
王道じゃのう
ここからどう展開するか
75:66
12/03/22 22:09:59.59 YecL+D7i
すみません
そんなに急展開はもう起きません・・・・
76:創る名無しに見る名無し
12/03/22 23:17:15.96 CHQ8J1W2
いやプロット上の展開ってことで急展開って意味でもない
まああまり余計に書き手に気を使わせずに続きを待つことにする
77:66
12/03/23 19:18:45.43 DB2dpBap
初音 ミク 「捨てられた39号 その6」
そんなある日、ジュンがネットを見っていると、近日中、ミクを持っている人たちの集まるパーティが開催されることを見つけた。
隣でその画面を見ていたミクが言う「ねえ、これに行きましょう」
しかしジュンは困ったような表情をした。
「でもこのパーティに来る人は、きっとお金持ちの立派な人たちばかりだよ。僕みたいな貧乏人が、行くべき場所じゃないよ」
「そんなの関係ないわよ」
ミクはきっぱりと言った。
「あなたと私は最高のパートナー同志よ。このパーティの場所にはピアノも用意してあるっていうじゃない。
私とあなたはそこで、最高の演奏と歌声を披露してみせるのよ。私たちの実力を見せつけてあげましょう」
「わ、わかったよ」
彼は納得したようだった。
「でも、どんな恰好で行けばいいかな。正装の服は、このヨレヨレのスーツしかないよ」
「別にそれでいいのよ」
そしてパーティの日
パーティーの会場について二人とも驚いた
みんな煌びやかな服装をしていて、いかにも上級階級の雰囲気を醸し出していた
ジュンは、急に自分が場違いな所にいるような気がした。
「気にする必要はないわ」
ミクは堂々とした態度で言った。
すると誰かが声をかけてきた
「あらあら39号さん、お久しぶり。そちらがご主人様?随分なご主人様で、クククッ」
ミク21号だ。隣には、豪華なスーツを着た男が一緒にいる。彼からはいかにもお金持ちという雰囲気が感じられた。
彼が21号の持ち主なのだろう。
「おやおや君みたいな、みすぼらしい恰好をした男が、ミクを所有しているのかい?
こんなご主人をもったミクもかわいそうになあ」
「・・・・・」
ジュンとミク39号の2人とも黙り込んだままだった。
ミクは悔しそうな表情をして、ジュンはただうつむいていた
ミク21号と男は言うだけ言って去って行った。
78:66
12/03/23 21:30:36.40 DB2dpBap
初音 ミク 「捨てられた39号 その7 最終話」
演奏会が始まった。
みんな、ギターやバイオリン、そしてピアノなどの楽器で演奏して
各人の所有するミクに歌わせる。
みんな得意気である.
どうだこれが自分たちのミクだ、と見せつけるような感じである。
そしていよいよジュンとミク39号の番である。
ジュンは緊張した面持ちであるが、ミクの方は毅然としている。
演奏が始まると、たちまち聴衆たちは聴き入った。
これほどにまで二人の息が合った演奏はなかった。
ジュンもピアノを弾き始めると緊張は吹き飛び、なんとも心地よい気分になっていった
ミクも今までにないほど楽しい気分で歌を歌っていた
完璧だった。
演奏が終わると、拍手が鳴り響いた。
2人ともとても幸福な気分だった。
その後もパーティーは続いた。
やがて、ミクがしどろもどろになりながら口を開く
「あ、あの私・・・・」
すると、男が声をかけてきた
「やあ、さっきの演奏は最高だったよ。俺のことを覚えている?」
リョウだ。
かつて一番最初のミク39号の所有者で、そしてあっさりと捨てた男だった。
「俺さあ、あの後、彼女と別れたんだよね。そして今の君の演奏を見て、また君が欲しくなったんだよ。
またうちに来ないかない」
悪びれる様子もなく言った。
そして、ジュンの方を見て続けた
「そんな貧乏くさい男のもとにいるより、金持ちの俺の家に来た方が絶対いいと思うぜ」
ジュンは、怒る様子もなくむしろ落ち込んでいるような様子でつぶやいた
「た、たしかに僕は貧乏だ・・・もしミク、君が望むなら彼の元に帰ってもいいんだよ・・・」
するとミク39号は迷わず答えた
「いや!絶対にリョウ、あなたのもとに帰るもんですか。私はずっとずっと、彼、ジュンの元にいるの」
ミクの顔には決意が込められていた。
リョウはその顔を見てあきらめるように言った
「そうか君は、あの時とは変わったなあ。あの時は本当にただの人形という感じだったが、今はもう、完全に一つの意思を持った存在になったんだな。
いくら説得しても無駄なようだ」
リョウは踵を返して去って行った。
79:66
12/03/23 21:31:01.23 DB2dpBap
まちがえた次が最終話
80:66
12/03/23 21:34:40.03 DB2dpBap
初音 ミク 「捨てられた39号 その8 最終話」
ジュンが不安げな表情で言う。
「ミク・・・本当に良かったのかい・・・?」
ミクは、決意が込められたままの表情で答えた。
「ええ、もちろんよ」
そして、ふと物憂げな表情になった。
「私とあなたが、初めて会った時の事を覚えている?」
「ああ、もちろんさ」
「私、あなたが私に手を差し伸べてくれたとき、あなたの手を汚いと言って、避けてしまった・・・。
あの時は本当にごめんなさい・・・今はあなたの手、本当にきれいだと思うわ。そう、特にピアノを弾いている時なんて、たとえようもないほどに」
するとジュンが優しげな表情になった
「いや、もうあの時の事はいいよ。それより僕のピアノを弾いている姿を褒めてくれてありがとう」
そう言うと、ミクを抱きしめた。
「愛しているよミク。これからもずっとずっと一緒だ」
ミクは突然の行為に驚いたが、すぐにこの抱擁の暖かさが感じられた
「私を許してくれるの?いいの?本当に?ずっと一緒にいてくれるの?」
ミクの目から滴がしたたり落ちてきた。涙である。
自分で自分に驚いた。
涙を流すなどという機能が備わっているなんて。
こんな感情を持っていたなんて。
「ありがとう、本当にありがとう」
涙がとめどなくあふれ出てきた。自分の顔が涙でぐしょぐしょになっているのがわかった
ヨレヨレのスーツを着た男と、涙で顔がぐしょぐしょのミク
このパーティでもっともみすぼらしい恰好の二人
だけど、他の誰よりも幸せそうにである。
そして事実二人はこれからもずっとずっと幸せに暮らしたのであった
完
81:創る名無しに見る名無し
12/03/23 21:52:35.75 cMmMmseU
>>66
GJ!いい話だ てか期待した以上の展開だ
簡潔必要十分できっちりまとまってる話、
駆け足なようで脇役まで生きてる描写が読ませる
82:66
12/03/23 22:02:37.81 DB2dpBap
おお;;ありがとうございます
パッと思いついたアイデアで書いたので
自分ではかなり稚拙だと思ったのですが
他にもみなさんのご意見やご感想をお待ちしております
83:創る名無しに見る名無し
12/03/24 00:26:29.04 6HFD1/1b
>>79で吹いた
それはともかく起承転結が簡潔にまとまってて良いと思う
84:創る名無しに見る名無し
12/03/24 17:54:05.74 lsc41org
地の文の印象が児童文学か何かを彷彿とさせるね
稚拙ととるか技法ととるかは書き手や読み手の意識によるけど
淡々と話が流れていく文章の雰囲気は嫌いじゃないな
GJ!
85:66
12/03/24 21:03:27.23 gzoe4xEe
僕の文章って完結でしょうか?
もう少し修飾して文章を書くといいかもですか?
86:創る名無しに見る名無し
12/03/25 01:36:48.29 TAxj0wB3
>>66
状況説明に長けているのかな
一節の短さや全体的にやや幼稚な台詞回しが
独特のリズムと淡白な世界をつくってるみたいだ
で、どう書くと良いかは何を書きたいかで変わってくるけど
ブログちょっと読んだ印象ではモノローグのほうが得意なんじゃない?
書きたいことばかり書く形式だから内容によっては読まれづらいが…
87:66
12/03/25 03:00:54.53 ObhLI4eY
なるほど、もっと文章の練習をします